JP2014125586A - 水性接着剤 - Google Patents

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Fumiaki Matsuoka
史哲 松岡
Mutsuko Higo
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Abstract

【課題】被着体を強固に接着することができ、さらに、接着層の耐熱性を向上させることができる水性接着剤を提供すること。
【解決手段】エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤及び水を含む水性接着剤の提供。
【選択図】なし

Description

本発明は水性接着剤に関する。
引用文献1には、種々の樹脂を含有する水性接着剤が開示されている。また、引用文献2には、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体と、塩基と、硫酸塩とを含有する水性接着剤が開示されている。
特開2012−152327号広報 特開2000−72879号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の水性接着剤では、被着体に対する接着性について必ずしも満足するものでない場合があった。さらに、接着層の耐熱性についても十分とは言えない場合があった。
本発明は、以下の発明を含む。
[1] エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤及び水を含む水性接着剤。
[2] シランカップリング剤の含有量が、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、1〜10質量部である[1]の水性接着剤。
[3] シランカップリング剤が、エポキシ系シランカップリング剤及びメタクリル系シランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]又は[2]記載の水性接着剤。
[4] エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤、水及びラジカル発生剤を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の水系接着剤。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の水性接着剤を被着体に塗布し、水性接着剤が塗布された被着体の面にマイクロ波処理することで塗膜を形成し、得られた塗膜を他の被着体の間に挟持して接着することを特徴とする、被着体と接着層と被着体とをこの順に積層した積層体の製造方法。
本発明によれば、被着体を強固に接着することができる水性接着剤を提供することができる。さらに、接着層の耐熱性も向上する。
本発明の水性接着剤は、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤及び水を含むものである。
〈エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体〉
本発明の水性接着剤における、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体は、その鹸化物又は部分鹸化物、及び、無水マレイン酸による変性物を含むものである。エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体は、1種類でもよいし、組成が互いに異なる2種以上を組み合わせてもよい。
本明細書では、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して(メタ)アクリル酸、アクリレートとメタクリレートとを総称して(メタ)アクリレートという。
(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸と、2個以上のヒドロキシル基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコールとのエステル化合物であると好ましい。
具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
「組成が互いに異なる」とは、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体を構成する、エチレン、(メタ)アクリレート又は無水マレイン酸に由来する構造単位の物質量比が異なるものであってもよいし、(メタ)アクリレートに由来する構造単位の構造が異なるものであってもよいし、両者が異なるものであってもよい。
エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれでもよい。
エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体を構成するエチレンに由来する構造単位の物質量比は、通常、10〜95モル%であり、好ましくは20〜95モル%であり、より好ましくは30〜95モル%であり、(メタ)アクリレートに由来する構造単位の物質量比は、通常、1〜50モル%であり、好ましくは4〜35モル%であり、無水マレインに由来する構造単位の物質量比は、通常、0.01〜10モル%であり、好ましくは1〜10モル%である。
このような共重合体は、製造する際に、原料モノマーの全使用量に対する各モノマーの使用量を調整することにより得られる。
エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体が2種の場合、その質量比は、例えば、1:99〜99:1が挙げられ、好ましくは5:95〜95:5であり、より好ましくは10:90〜90:10である。
エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体は、当該分野で公知の方法、例えば、エチレン、(メタ)アクリレート及び無水マレインをラジカル重合等により重合することにより製造することができる。変性物の製造方法としては、エチレン及び(メタ)アクリル酸を溶融させた後、無水マレイン酸を添加して変性させた後にラジカル重合等により重合する方法、エチレン及び(メタ)アクリル酸をトルエン、キシレンなどの溶媒に溶解した後、無水マレイン酸を添加して変性させた後にラジカル重合等により重合する方法、又はエチレン及び(メタ)アクリレートをラジカル重合等により重合した後に無水マレイン酸を添加して変性させる方法等の公知の方法が挙げられる。無水マレイン酸に由来する構造単位は、カルボン酸無水物でも、加水分解されて形成されるカルボン酸でも、それらの混在でもよい。
また、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体は市場から容易に入手できる。市販品としては、BONDINE AX8390、BONDINE HX8290、BONDINE LX4110、BONDINE HX8140、BONDINE HX8210OREVAC T9314、OREVAC T9318、OREVAC G18211(ARKEMA社製)等が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体の含有量は、該共重合体の種類、水性接着剤の使用目的、目的とする性能等により適宜調整することができる。水性接着剤の安定性、粘性、塗膜形成能及び接着性の観点から、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体の含有量としては、水性接着剤の全量に対して、通常1〜60質量%であり、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
〈その他の樹脂〉
本発明の水性接着剤は、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体以外の樹脂を含有してもよい。
このような樹脂としては、例えば、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構造単位を有する樹脂、アクリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)及びAS樹脂等、及びこれらの樹脂の変性物等が挙げられる。これらは単独でもよいし2種以上を組み合わせてもよい。
炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン及びビニルシクロヘキサン等が挙げられる。好ましくは、エチレン、プロピレンである。
炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構造単位を有する樹脂としては、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びポリプロピレン(PP)等のホモポリマー、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体及びエチレン−1−ヘキセン共重合体等のα−オレフィン系共重合体及びその変性物、及び、炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体及びその変性物等が挙げられる。好ましくは、α−オレフィン系共重合体、α−オレフィン系共重合体の変性物、炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体及び炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体の変性物である。また、炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体は、それぞれのモノマーを1種類ずつを含むものであってもよいし、2種類以上を含むものであってもよい。
炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構造単位を有する樹脂は、ホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。また、過酸化物などで低分子量化、高分子量化したものであってもよい。
α−オレフィン系共重合体の変性物、及び、炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体の変性物としては、α,β−不飽和カルボン酸類等により変性された変性物等が挙げられる。この場合の変性率は、変性前の共重合体100質量%に対して、通常、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.2〜4質量%である。
α,β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸(マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等)、α,β−不飽和カルボン酸エステル(マレイン酸メチル、イタコン酸メチル、シトラコン酸メチル等)、α,β−不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等)が挙げられる。また、これらのα,β−不飽和カルボン酸類を組み合わせた変性物でもよい。
このような変性物は、α−オレフィン系共重合体又は炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体を、溶融させた後α,β−不飽和カルボン酸類等を添加して変性させる方法、トルエン、キシレンなどの溶媒に溶解した後α,β−不飽和カルボン酸類等を添加して変性させる方法などの公知の方法によって製造される。
α,β−不飽和カルボン酸無水物に由来する構造単位は、カルボン酸無水物でも、加水分解されて形成されたカルボン酸でも、それらの混在でもよい。
炭素数2〜20のα−オレフィンと共重合可能なモノマーとしては、α,β−不飽和カルボン酸及びその無水物、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩、α,β−不飽和カルボン酸エステル、ビニルエステル、ビニルエステル鹸化物、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物、ポリエン化合物(ジエン類など)、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類及びハロゲン化ビリニデン類等が挙げられる。これらは単独でもよいし、組み合わせて共重合に用いてもよい。
α,β−不飽和カルボン酸及びその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸のハーフエステル、マレイン酸のハーフアミド、イタコン酸のハーフエステル及びイタコン酸のハーフアミド等が挙げられる。なかでもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸及び無水マレイン酸が好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩としては、(メタ)アクリル酸のナトリウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート及びメタクリル酸とアルコールとのエステル化物等が挙げられる。なかでも、メチル(メタ)アクリレート及びエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。なかでも、酢酸ビニルが好ましい。
ビニルエステル鹸化物としては、ビニルエステルを塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール等が挙げられる。
環状オレフィンとしては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロへプテン及びビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン及びビニルナフタレン等が挙げられる。
ポリエン化合物としては、直鎖状又は分岐状の脂肪族共役ポリエン化合物、脂環式共役ポリエン化合物、脂肪族非共役ポリエン化合物、脂環式非共役ポリエン化合物及び芳香族非共役ポリエン化合物等が挙げられる。これらは、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基及びアラルキルオキシ基等の置換基を有していてもよい。
脂肪族共役ポリエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−デカジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−オクタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−デカジエン等が挙げられる。
脂環式共役ポリエン化合物としては、2−メチル−1,3−シクロペンタジエン、2−メチル−1,3−シクロヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−シクロヘキサジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ペンタジエン及び2−クロロ−1,3−シクロヘキサジエン等が挙げられる。
脂肪族非共役ポリエン化合物としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン及び4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン等が挙げられる。
脂環式非共役ポリエン化合物としては、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、5−ビニル−2−ノルボルネン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−3−ビニルシクロペンタン及びメチルテトラヒドロインデン等が挙げられる。
芳香族非共役ポリエン化合物としては、ジビニルベンゼン及びビニルイソプロペニルベンゼン等が挙げられる。
炭素数2〜20のα−オレフィンと該α−オレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体としては、具体的には、以下の(i)〜(vi)の共重合体等が挙げられる。
(i) エチレン−酢酸ビニル共重合体、その鹸化物又は部分けん化物
(ii) エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、
(iii) エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体及びエチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン−(メタ)アクリレート共重合体、
(iv) エチレン−ビニルシクロヘキサンなどのエチレン−脂環式α−オレフィン共重合体、
(v) エチレン−酢酸ビニル共重合体−グリシジル(メタ)アクリレート及びエチレン−酢酸ビニル共重合体−メチル(メタ)アクリレートなどのエチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体、
(vi) (i)〜(v)の共重合体の金属塩。
さらに、本発明の水性接着剤は、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体以外の樹脂として、粘着樹脂又は粘着付与剤としての機能を発揮する樹脂を含有してもよい。
このような樹脂としては、ロジン類、テルペン系樹脂、炭素数5の石油留分を重合した石油系樹脂及びこの水素添加樹脂、炭素数9の石油留分を重合した石油系樹脂及びこの水素添加樹脂、その他の石油系樹脂、クマロン樹脂並びにインデン樹脂、及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
具体的には、ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、及びこれらのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル、メチルエステル、トリエチレングリコールエステル、フェノール変性物、及びフェノール変性物のエステル化物、等のロジン類;テルペン重合体、テルペンフェノール、β−ピネン重合体、芳香族変性テルペン重合体、α−ピネン重合体及びテルペン系水素添加樹脂等のテルペン系樹脂;炭素数5の石油留分又は炭素数9の石油留分を重合した石油系樹脂、及びこれの水素添加樹脂;マレイン酸変性物又はフマル酸変性物等の石油系樹脂;後述するポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、必要に応じて他の化合物とを反応させて得られるポリウレタン樹脂などが挙げられる。
好ましくは、テルペン系樹脂及びポリウレタン樹脂である。テルペン系樹脂としては、YSレジンPX/PXN、YSポリスター、マイティエース、YSレジンTO/TR、クリアロンP/M/K(ヤスハラケミカル社製)、タマノル803L/901(荒川化学社製)及びテルタック80(日本テルペン化学社製)等の市品が挙げられる。
通常、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、必要に応じて他の化合物とを反応させて得ることができる。反応方法としては、アセトン法、プレポリマーミキシング法、ケチミン法及びホットメルトディスパージョン法等の公知の方法が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を2個以上有する有機ポリイソシアネート化合物が挙げられる。例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシル−2,6−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3−ビス(イソシアネート)メチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;2,4−トルイレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、1,5’−ナフテンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート及び1,3−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類及び;リジンエステルトリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−イソシアネート−4,4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチロールプロパンとトルイレンジイソシアネートとのアダクト体及びトリメチロールプロパンと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとのアダクト体等のトリイソシアネート類等が挙げられる。これらは単独でもよいし、組み合わせて反応に用いてもよい。
ポリオール化合物としては、分子内に水酸基を2個以上有する化合物が挙げられる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン及びグリセリン等の多価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール類;アジピン酸、セバシン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸又はアゼライン酸等のジカルボン酸類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、トリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン又はグリセリン等のポリオール化合物とから得られるポリエステルポリオール類;ポリカプロラクトンポリオール及びポリβ−メチル−δ−バレロラクトン等のポリラクトン系ポリエステルポリオール類;ポリブタジエンポリオール又はその水添物、ポリカーボネートポリオール、ポリチオエーテルポリオール及びポリアクリル酸エステルポリオールなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂は、水中でポリウレタン樹脂の分散安定性を向上させるために、分子内に親水基を有することが好ましい。親水基を分子内に有するポリウレタン樹脂は、アイオノマー構造とよばれ、それ自体に界面活性能力を有する。分子内に親水基を有することにより、乳化重合して得られるポリウレタン樹脂の水性エマルションは水中に分散されやすくなり、水性エマルションの耐水性が向上する傾向がある。
親水性基としては、スルホ基及びカルボキシル基などのアニオン性基が好ましく、スルホ基がより好ましい。これらは乳化重合して得られるポリウレタン樹脂の水性エマルションの耐水性をより向上させる傾向がある点で好ましい。
アニオン性基は、通常、中和剤によって中和されるのが好ましい。
中和剤としては、トリエチルアミン及びトリエタールアミン等の3級アミン化合物;水酸化ナトリウム等の無機アルカリ化合物及び;アンモニア等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂に親水基を導入するためには、スルホ基、カルボキシル基、水酸基、一級アミノ基(−NH)及び二級アミノ基(=NH)等のイソシアネート基と反応性を有する官能基を有する化合物(以下、「親水性基含有化合物」という場合がある)等をポリウレタン樹脂のモノマーに使用することが好ましい。
親水性基含有化合物としては、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、2,6−ジアミノベンゼンスルホン酸及びN−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルスルホン酸等のスルホ基含有化合物及び;2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基含有化合物等が挙げられる。これらは単独でもよいし、組み合わせてポリウレタン樹脂のモノマーに用いてもよい。
ポリウレタン樹脂を水性エマルションとして製造する場合、必要に応じて鎖延長、分子量調節等を目的として、親水性基含有化合物とは異なる化合物であって、分子内にイソシアネート化合物と反応し得る官能基を有する化合物を併用してもよい。このような化合物としては、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン及び1,6−ヘキサンジアミン等の多価アミン化合物;トリエタノールアミン等の三級アミン含有多価アルコール類及び;メタノール、エタノール及びブタノール等のモノアルコール類等が挙げられる。
市販のポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂の水性エマルション又は水溶性ウレタン樹脂等が挙げられる。ポリウレタン樹脂の水性エマルションにおける、ポリウレタン樹脂の含量は、通常10〜70質量%、好ましくは30〜50質量%である。
ポリウレタン樹脂の水性エマルションはさらに、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン及びN−メチルピロリドン等を含有してもよい。有機溶剤の量は通常、ポリウレタン樹脂の水性エマルション中の水100質量部に対して0.1〜100質量部である。
市販のポリウレタン樹脂としては、住友バイエルウレタン(株)製;ディスパコールU−42、U−53、U−54、U−56、KA−8481、KA−8584、KA−8755、KA−8756、KA−8766、DIC(株)製;ハイドランHW−111、HW−311、HW−333、HW−350、HW−337、HW−374、AP−20、AP−60LM、AP−80、三洋化成工業(株)製;ユープレンUXA-306、UXA-307、パーマリンUA−150、パーマリンUA−200、パーマリンUA−300、パーマリンUA−310、ユーコートUWS−145、第一工業製薬(株)製;スーパーフレックス107M、110、126、130、150、160、300、361、370、410、420、460、700、750、820、ADEKA社製;アデカボンタイターHUX−401、HUX−420A、HUX−380、HUX−561、HUX−210、HUX−822、HUX−895、HUX−830が好ましい。
本発明の水性接着剤がその他の樹脂を含有する場合、その含有量は、通常、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、11〜900質量部であり、好ましくは25〜150質量部である。その他の樹脂は、エマルションの状態でエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体と混合してもよいし、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体と共に乳化してもよい。
〈シランカップリング剤〉
シランカップリング剤としては、通常、下記一般式(II)で表される化合物等が挙げられる。好ましくは、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基((メタ)アクリロイル基)、アシルアミノ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有するシランカップリング剤であり、より好ましくは、エポキシ基、アルコキシシリル基、アシルオキシ基((メタ)アクリロイル)又はイソシアネート基を有するシランカップリング剤であり、特に好ましくはエポキシ基を有するエポキシ系シランカップリン剤及びメタクリロイル基を有するメタクリル系シランカップリング剤である。
11mSi(X11)n (II)
(式中、X11は−OH、ハロゲン原子、−OR12基、又は−OCOR12基を表す。R11は、炭素数1〜10の、置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数2〜10の、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は、炭素数6〜10の、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R12は炭素数1〜10の、置換基を有していてもよいアルキル基を表す。m及びnはそれぞれ1〜3の整数を表し、m+nは4である。)
炭素数1〜10の、置換基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。炭素数2〜10の、置換基を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、2−ブテン−1−イル基等が挙げられる。炭素数6〜10の、置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
炭素数1〜10の、置換基を有していてもよいアルキル基、炭素数2〜10の、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は、炭素数6〜10の、置換基を有していてもよいアリール基の置換基としては、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、プロピル基、t−ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(例えば、フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−メチル−N−オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)及びイソシネート基等が挙げられる。
これらの一般式(II)で表される化合物の具体例としては、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン及び3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
シランカップリング剤は市場から容易に入手できる。市販品としては、信越化学工業株式会社製品が好適である。
シランカップリング剤の含有量は、上述したエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、通常0.1〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である。
なお、本発明の水性接着剤がその他の樹脂を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、上述したエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体とその他の樹脂の合計含有量に対して、通常0.1〜20質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である。
〈ラジカル発生剤〉
本発明の水性接着剤は、好ましくはラジカル発生剤を含有する。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物及びアゾ化合物等が挙げられる。好ましくは有機過酸化物であり、有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル及びジアリールパーオキサイド等が挙げられる。ラジカル発生剤には市場から容易に入手できる。
ケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド及びアセチルアセトンパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート及び2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、P−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t―ヘキシルハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイドとしては、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド及びベンゾイルパーオキサイド類等が挙げられる。
パーオキシカーボネートとしては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート及びジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、α,α−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート等が挙げられる。
また、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンが好適なラジカル発生剤として挙げられる。
ラジカル発生剤の含有量は、通常,エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは1〜10質量部である。
〈水〉
本発明の水性接着剤が含有する水には、通常、水道水又は脱イオン水等が用いられる。
〈その他の成分〉
本発明の水性接着剤は、水性接着剤の意図する特性を損なわない範囲で必要に応じて、界面活性剤;有機溶剤;塩基性化合物;フェノール系安定剤、フォスファイト系安定剤、アミン系安定剤、アミド系安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、沈降防止剤、酸化防止剤、熱安定剤及び光安定剤などの安定剤;揺変剤、増粘剤、分散剤、消泡剤、粘度調整剤、耐候剤、顔料、顔料分散剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、難燃剤、油剤、染料、硬化剤及び架橋剤などの添加剤;酸化チタン(ルチル型)及び酸化亜鉛などの遷移金属化合物;カーボンブラック等の顔料;ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ウオラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、ガラスフレーク、硫酸バリウム、クレー、カオリン、微粉末シリカ、マイカ、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ及びセライトなどの無機、有機の充填剤等の任意成分を含有していてもよい。また、水性接着剤の安定性をより高めるために、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性樹脂を含有してもよい。
(界面活性剤)
本発明の水性接着剤は、一般に乳化剤として作用する界面活性剤を含んでいてもよい。そのような界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、両性及びノニオン性のいずれの界面活性剤でもよく、なかでも好ましくは、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤である。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩及びビニルスルホサクシネート等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウム塩及びセチルトリメチルアンモニウム塩等のアルキルアンモニウム塩、セチルピリジウム塩及びデシルピリジウム塩等のアルキルピリジウム塩、オキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩、ジオキシアルキレンジアルキルアンモニウム塩、アリルトリアルキルアンモニウム塩及びジアリルジアルキルアンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンプロピレンエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等のポリオキシエチレン構造を有する化合物及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン及びラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
中でも、界面活性剤としては下記式(I)で表される化合物が好ましい。

Figure 2014125586
(式中、Xは水素原子又は−SOM(Mは水素原子、NH又はアルカリ金属)を示す。nは1〜3の整数を表す。mは1〜100の整数を表す。)
式(I)におけるXとしては、水素原子、−SOH又は−SONHが好ましく、Mで表されるアルカリ金属としては、ナトリウムが好ましい。
界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよいが、2種以上を組み合わせるのが好ましい。なかでも、式(I)で表される化合物を2種以上組み合わせるのが好ましい。
式(I)で表される化合物を2種以上組み合わせる場合の組み合わせとしては、n、m又はXのいずれかが異なるものを組み合わせればよいが、Xが異なるものを組み合わせることが好ましい。具体的には、Xが水素原子と−SOHとの組み合わせ、水素原子と−SONHとの組み合わせ、−SOHと−SONHとの組み合わせが好適である。なかでも、水素原子と−SONHとの組み合わせがより好ましい。
界面活性剤は市場から容易に入手できる。式(I)で表される界面活性剤としては、ラテムルAD−25(花王株式会社製)、下記式(A)で表されるラテムルE−1000A(花王株式会社製)及び下記式(B)で表されるノイゲンEA−177(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
Figure 2014125586
界面活性剤の含有量は、通常、上述したエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部である。
(有機溶剤)
本発明の水性接着剤は、有機溶剤を含有しないものが好ましいが場合によって有機溶剤を含有していてもよい。有機溶媒としては、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル;メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン;メタノ−ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール及びn−ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びプロピレングリコール等のグリコール系溶媒;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)及びブチルカルビトール等のセルソルブ系溶媒;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のグリコール系溶媒及び;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶媒等が挙げられる。これらは単独でもよく、組み合わせて水性接着剤に含有されていてもよい。
本発明の水性接着剤が溶剤を含有する場合、その含有量は、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、通常、0.01〜30質量部、好ましくは0.01〜10質量部である。
(塩基性化合物)
本発明の水性接着剤には、塩基性化合物を含有していてもよい。
塩基性化合物としては、カルボキシル基を中和できるものが好ましく、例えば、アンモニア、有機アミン化合物及び金属水酸化物等が挙げられる。好ましくは、アンモニア又は有機アミン化合物である。特に、沸点が200℃以下の有機アミン化合物が好ましい。沸点が200℃以下の有機アミン化合物は、通常の乾燥によって容易に蒸散される点、及び、水性接着剤で塗膜を形成する場合に、塗膜の耐水性、耐アルカリ性を維持及び向上させる傾向があるという点で好ましい。
有機アミン化合物としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン及びN−エチルモルホリン等が挙げられる。好ましくは、N,N−ジメチルエタノールアミンである。
金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。
塩基性化合物は市場から容易に入手できる。
本発明の水性接着剤が塩基性化合物を含有する場合、その含有量は、通常、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100質量部に対して、1〜30質量部であり、好ましくは2〜20質量部であり、より好ましくは2〜10質量部である。
(増粘剤)
増粘剤は、水性接着剤の粘性調整のために使用することができる。増粘剤としてはADEKA(株)社製;アデカノールUH−140S、UH−420、UH−438、UH−450VF、UH−462,UH−472、UH−526、UH−530、UH−540、UH−541VF、UH−550、UH−752、H−756VF、サンノプコ社製;SNシックナー920、922,924,926,929−S、A−801、A−806、A−812、A−813、A−818、621N、636、601、603、612、613、615、618、621N、630、634、636、4050等が挙げられる。
(分散剤)
分散剤は、被着体の濡れ性改善のために使用することができる。分散剤としては、ADEKA(株)社製;アデカコールW−193、W−287、W−288、W−304、BYK社製;BYK−333、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−378、サンノプコ社製;ノプコウェット50、SNウェット366、ノプコ38−C、SNディスパーサンド5468、5034、5027、5040、5020等が挙げられる。
(硬化剤)
硬化剤としては、例えば、イソシアネート系の硬化剤であるジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)及びこれらのオリゴマー又はポリマーが挙げられる。具体的には、住化バイエルウレタン製のスミジュール44V20、スミジュールN3200、N3300、N3400、N3600、N3900、S−304、S−305、XP−2655、XP−2487、XP−2547等が挙げられる。硬化剤は、水性エマルション100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。硬化剤は、有機溶剤に溶解して添加してもよい。
<水性接着剤の製造方法>
本発明の水性接着剤は、公知の方法で製造することができる。例えば、エチレン、(メタ)アクリレート、無水マレイン酸を重合した後に、得られたエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体を水性媒体中に分散させる後乳化法(例えば、強制乳化法、自己乳化法、転相乳化法など)で製造することができる。
具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)反応器に、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体及び溶剤を投入し、加熱攪拌し、溶解し、これに水及び/又は溶剤、及び任意に界面活性剤、を投入し、加熱攪拌し、さらに任意に水及び/又は溶剤を投入して攪拌し、その後、冷却して常温に戻した後、シランカップリング剤及び任意にラジカル発生剤を添加し、攪拌する方法。なお、シランカップリング剤とラジカル発生剤は同時に添加してもよいし、分けて添加してもよい。また、ラジカル発生剤は、有機溶剤に溶解して添加してもよい。
(2)混練機に、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体を投入し、加熱攪拌し、溶融し、これに水及び/又は溶剤、及び任意に界面活性剤、を投入し、加熱攪拌し、さらに任意に水及び/又は溶剤を投入して攪拌し、その後、冷却して常温に戻した後、シランカップリング剤及び任意にラジカル発生剤を添加し、攪拌する方法。なお、シランカップリング剤とラジカル発生剤は同時に添加してもよいし、分けて添加してもよい。また、ラジカル発生剤は、有機溶剤に溶解して添加してもよい。
上述した(1)の製造方法の反応器としては、加熱可能な加熱装置と、内容物に対して剪断力等を与えることができる撹拌機とを備えた容器(好ましくは、密閉及び/又は耐圧容器)が挙げられる。
撹拌機には、通常のものを利用できる。このような耐圧容器としては、例えば、撹拌機付耐圧オートクレーブ等が挙げられる。攪拌は、常圧又は減圧のいずれで行なってもよい。また、撹拌機の回転数は、通常50〜1000rpm程度のである。必要に応じて、水性接着剤の分散/攪拌が進むにつれて、回転数を上げることが好ましい。
加熱は、通常、50〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜100℃で行う。
攪拌した後、得られた分散体から溶剤を留去することが好ましい。ここでの留去の方法としては、当該分野で公知の方法が挙げられる。溶剤留去の圧力条件は通常0.001〜1MPa程度であり、0.001〜0.5MPa程度が好ましい。
上述した(2)の製造方法における、混練器としては、例えば、ロールミル、ニーダー、押出機、インクロール及びバンバリーミキサー等が挙げられる。特に、スクリューを1本又は2本以上ケーシング内に有する押出機又は多軸押出機が好ましい。
押出機で撹拌する方法としては、溶融したエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体及び任意に界面活性剤を混合し、これを押出機のホッパー又は供給口より連続的に供給し、これを加熱溶融混練し、さらに押出機の圧縮ゾーン、計量ゾーン及び脱気ゾーン等に設けられた少なくとも1つの供給口より、水を供給し、スクリューで混練した後、ダイから連続的に押出す方法等が挙げられる。
なお、水性接着剤の製造において、上記したエチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、溶剤、界面活性剤、水、シランカップリング剤及びラジカル発生剤以外のその他の成分は、任意の時点で適宜添加できる。
また、水性接着剤の製造において、界面活性剤の使用量は、所望の範囲内の量が好ましいが、界面活性剤が過剰の場合には、得られた水性接着剤から過剰の界面活性剤を分離除去してもよい。界面活性剤の分離除去は、例えば、遠心分離機、平均細孔径が水性接着剤の平均粒子径よりも小さい細孔を有する濾過フィルター(好ましくは、0.05〜0.5μmの平均細孔径を有する精密濾過膜)又は限外濾過膜等により行うことができる。
さらに、得られた水性接着剤は、冷却することが好ましい。冷却により、微細な分散質からなる水性接着剤を得ることができる。冷却は、急冷ではなく、常温に放置する等して緩やかに行うのが好適である。これにより、冷却過程で樹脂等が凝集することなく、微細で均質な水性接着剤を得ることができる。
分散質の粒径は、個数基準で、通常10μm以下であり、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。上記範囲内であると静置安定性が良好である。
ここで個数基準の粒径とは、個数基準で積算粒子径分布の値が50%に相当する粒子径であり、体積基準メジアン径とは、体積基準で積算粒子径分布の値が50%に相当する粒子径である。特に断りがない限りは個数基準で測定したメジアン径の値を意味する。
また、種々の孔径を有するフィルター等でろ過等してもよい。
<水性接着剤の使用方法>
本発明の水性接着剤は、フィルム、シート、構造材料、建築材料、自動車部品、電気・電子製品、包装材料、衣料及び靴等の材料(被着体)の接着に使用することができる。
被着体としては、木材、合板、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード、ファイバーボード等の木質系材料;綿布、綿含有繊維、麻布、レーヨン等のセルロース系材料;ポリエチレン(エチレンに由来する構造単位を主成分とするポリオレフィン)、ポリプロピレン(プロピレンに由来する構造単位を主成分とするポリオレフィン)、ポリスチレン(スチレンに由来する構造単位を主成分とするポリオレフィン)等のポリオレフィン類、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、(メタ)アクリル樹脂ポリエステル、ポリエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、発泡ウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、発泡EVA、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂又はその発泡体等のプラスチック材料;ポリウレタン系、ポリアミド系及びポリアミノ酸系の合成皮革;ガラス、陶磁器等のセラミック材料及び;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属材料等が挙げられる。これらは、複数の成分からなる複合材料であってもよい。また、タルク、シリカ又は活性炭などの無機充填剤及び炭素繊維等と、プラスチック材料との混練成形品であってもよい。
なかでも、本発明の水性接着剤はエチレン−酢酸ビニル共重合体、綿含有繊維、ナイロン樹脂、ポリオレフィン及び合成皮革等の接着に好適に使用することができる。
ポリウレタンとは、ウレタン結合によって構成される高分子であり、通常、アルコール(−OH)とイソシアネート(−NCO)との反応によって得られる。発泡ウレタンとは、イソシアネートと、水との反応によって生じる二酸化炭素又はフレオン等の揮発性溶剤によって発泡されたポリウレタンのことである。自動車の内装用には、半硬質のポリウレタンが用いられ、塗料には硬質のポリウレタンが用いられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとを共重合したものであり、酢酸ビニルの含有率等によって性質が異なる。かかるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、種々の酢酸ビニル含有率及び形状(フィルム、ブロック、繊維、発泡体状)のものをも包含するものである。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、ポリオレフィン等のポリマーを含有するものであってもよい。好ましいポリオレフィンとしては、エチレン-オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン及びポリエチレンが挙げられる。
綿含有繊維は、綿100%の繊維であってもよいし、綿と、他の天然繊維及び/又は化学繊維との混紡繊維であってもよい。他の天然繊維としては、羊毛、絹及び麻等が挙げられる。化学繊維としては、合成繊維(例えば、ポリエステル系、ナイロン等のポリアミド系繊維)、半合成繊維(アセテート等のセルロース系、プロミックス等のタンパク質系繊維)、再生繊維(レーヨン、キュプラ、ポリノジック等のセルロース系繊維)及び無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維)等が挙げられる。
綿含有繊維の形状としては、織物、編物、不織布、メリヤス、フェルト、フィルム又はブロック状等が挙げられる。
ナイロン樹脂とは、いわゆるポリアミド系樹脂であり、アミド結合により構成されるポリマーである。具体的には、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン11及びナイロン12等が挙げられる。ナイロン樹脂は、フィルム、ブロック、繊維又は発泡体状等のいずれの形状であってもよい。
ポリオレフィンとは、オレフィンを重合させた熱可塑性樹脂であり、例えば、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構造単位を有する、ホモポリマー及び共重合体が挙げられる。
炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン及びビニルシクロヘキサン等が挙げられる。好ましくは、エチレン及びプロピレンである。なお、炭素数2〜20のα−オレフィン由来の構造単位を有する共重合体としては、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマーであってもよいが、エチレン−プロピレンコポリマ−、プロピレン−1−ブテンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、エチレン−1−オクテンコポリマー、エチレン−1−ヘキセンコポリマー等のα−オレフィン系コポリマー又はその変性コポリマー、共重合可能なモノマーとのコポリマー又はその変性コポリマーあるいはこれらの2種以上の混合物であってもよい。共重合可能なモノマーとのコポリマーでは、共重合可能なモノマー及びαオレフィンは、それぞれ単独でもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
ポリエチレンは、その分子量等の違いによって、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレン等、種々の特性を有するものが存在するが、本発明の水性接着剤の被着体としてのポリエチレンは、これらのいずれをも包含する。
ポリプロピレンは、プロピレンを重合させた熱可塑性樹脂であり、立体規則性が異なる、アイソタクチック(イソタクチック)ポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びアタクチックポリプロピレン等が存在するが、本発明の水性接着剤の被着体としてのポリプロピレンは、これらのいずれをも包含する。
合成皮革とは、狭義の合成皮革と人工皮革との双方を含む。
つまり、天然又は合成の布地等に合成樹脂を塗布して得られる合成皮革でもよく、マイクロファイバー等の布地(通常、不織布)に合成樹脂を含浸して得られる人工皮革でもよく、又、マイクロファイバー等の布地(通常、不織布)に合成樹脂を含浸し、さらに合成樹脂を塗布して得られる人工皮革でもよい。これらの合成樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリアミノ酸系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリウレタン系樹脂である。合成皮革の形状としては、フィルム、シート又はブロック状等の種々のものが挙げられるが、好ましくは、フィルム及びシート状のものである。
なかでも、スポーツシューズ、タウンシューズ、ビジネスシューズ等の紳士靴、婦人靴、及び工業用の作業靴等の履物における、胛被、中底、外底等の構成材料(被着体)を接着するための接着剤として好適である。
なお、これらの被着体の表面は、平滑であってもよいし、凹凸を有していてもよい。また、それらの表面に、接着剤との接着を高めるためのプライマー処理を施してもよい。プライマー処理としては、ブラスト処理、薬品処理、脱脂処理、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理、及びアンカー層の形成処理などが挙げられる。
被着体と接着層と被着体とをこの順に積層した積層体を製造する方法としては、例えば、被着体の一方又は双方、好ましくは双方に水性接着剤の塗膜を形成し、得られた塗膜を、被着体の間に挟持して接着する方法が挙げられる。接着時には、加圧又は加熱してもよい。塗膜の形成方法としては、例えば、被着体の一方又は双方の表面に本発明の水性接着剤を塗布し、必要に応じて室温付近で放置した後、乾燥又は加熱処理に供する方法、又は被着体の表面に押出しによって形成する方法等の公知の方法が挙げられる。
塗布方法としては、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、バーコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り及びへら塗り等の方法が挙げられる。
なお、水性接着剤を塗布する前に、被着体表面にプライマー処理を施してもよい。プライマー処理としては、例えば、ブラスト処理、薬品処理、脱脂処理、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理、及びアンカー層の形成処理等が挙げられる。
特に、綿含有繊維などの水を吸収し得る基材等の場合には、プライマー処理として、水性接着剤を塗布し、乾燥する処理を行なってもよい。ここでの水性接着剤の塗布は、上記の方法により行うことができ、乾燥は、後述する方法によって行なうことができる。プライマー処理に使用する水性接着剤は、1種でもよいし、2種以上を積層してもよい。また、被着体の双方において同じものでもよいし、異なるものでもよい。
被着体の表面に塗布した水性接着剤の乾燥及び加熱処理方法としては、自然乾燥、風乾等の非熱乾燥、熱風循環型のオーブン処理、赤外線処理、遠赤外線ヒーター処理及びマイクロ波処理等の方法が挙げられる。好ましくはマイクロ波処理である。加熱処理温度及び加熱処理時間は、基材の特性、本発明の水性接着剤の組成等に応じて適宜調整することができる。例えば、加熱処理温度としては、30〜150℃程度が挙げられ、好ましくは40〜85℃程度である。加熱処理時間は、1秒〜1時間程度が挙げられ、好ましくは5秒〜30分間程度であり、より好ましくは5秒〜10分間程度である。
水性接着剤の塗布、及び、乾燥及び加熱処理は、それぞれ1回のみ行なってもよいし、2回以上行なってもよい。その際、塗布方法及び乾燥方法は、それぞれ同じ方法を組み合わせてもよいし、異なる方法を組み合わせてもよい。
マイクロ波強度は基材の特性、本発明の水性接着剤の組成等に応じて適宜調整することができるが、通常、10〜50000W/mであり、好ましくは1000〜35000W/mである。
被着体に形成された塗膜を被着体間に挟持し接着する時には、加熱処理又は加圧処理してもよい。加熱処理する場合には、被着体及び塗膜からなる接着層が変質しない温度範囲とすることが必要であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。加熱処理は、上述した熱風循環型のオーブン処理、赤外線処理、遠赤外線ヒーター処理及びマイクロ波処理等で行うことができる。加圧処理する場合の圧力は、100g/cm以上、且つ、被着体の形状が変形する圧力未満が好ましい。
また、被着体の貼り合せを行なった後、得られた積層体に対して、上述した乾燥及び加熱処理(例えば、マイクロ派処理)、及び、加圧処理を行ってもよい。
本発明の水性接着剤で形成される塗膜の厚さは、通常、0.01〜300μmであり、好ましくは0.01〜200μmである。
以下に実施例を示す。例中の部及び%は、特に断らないかぎり質量基準を意味する。
固形分は、JIS K−6828に準じた測定方法で行った。
水性エマルションの粒子径は、HORIBA製作所製、レーザー回折粒子径測定装置LA−950V2で測定した。特に断りがない限りは個数基準で測定したメジアン径を意味する。
<水性エマルションの製造例1>
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えた2Lセパラブルフラスコ反応容器に、トルエン200部、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体(U1;BONDINE HX8290、ARKEMA社製)100部を入れ、80℃で保温して、攪拌し、溶解した。得られた溶液に、ラテムルE−1000A(30%水溶液、花王株式会社製)0.34部と、ノイゲンEA−177(第一工業製薬株式会社製)0.1部と、イソプロパノール5部との混合液を10分間かけて滴下し、その後5分間攪拌した。得られた溶液に、ジメチルエタノールアミン5部を加え、5分間攪拌し、反応混合物(A)を得た。
次いで、攪拌機をディスパー翼を備えたTKロボミクス(株式会社PRIMIX製)に変更し、反応混合物(A)を攪拌しながら、イソプロパノール100部と、イオン交換水100部との混合液を30分間かけて滴下した。得られた反応混合物に流動性が認められた時点で、ディスパー翼をホモミキサーに変更し、さらに攪拌しながらイオン交換水300部を滴下し、乳白色の溶液を得た。
得られた溶液を2Lナスフラスコに投入し、エバポレーターにて減圧濃縮し、200メッシュナイロン網にて濾過し、水性エマルション(E−1)を得た。得られた水性エマルション(E−1)の粒径(個数基準)は0.2μm、不揮発分濃度は42%であった。
<実施例1〜7:水性接着剤の製造及びM−EVAの接着性及び接着層の耐熱性の評価>
表1に示したように、水性エマルションの製造例で得られた水性エマルション(E−1)(不揮発分比、単位:質量部)に、増粘剤、分散剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤を添加し、得られた配合物の不揮発分が40%になるように水で調製した後、スリーワンモーターで攪拌し、水性接着剤F1〜F13を得た。
表1における増粘剤、分散剤、シランカップリング剤、有機化酸化物は以下のとおりである。
増粘剤:アデカノールUH−420、ADEKA社製
分散剤:ノプコウェット50、サンノプコ社製
シランカップリング剤 S−1:KBM−403、信越化学工業社製(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
シランカップリング剤 S−2:KBE−403、信越化学工業社製(3―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
シランカップリング剤 S−3:KBE−9007、信越化学工業社製(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)
シランカップリング剤 S−4:KBE−503、信越化学工業社製(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)
有機過酸化物:ルペロックス TBEC、アルケマ吉冨社製
Figure 2014125586
表2に示したように、得られた表1の各水性接着剤(F1)〜(F12)を、ガラス棒を用いて、綿100%の帆布に塗布(塗布量:不揮発分質量約130g/m2)し、1時間自然乾燥し、綿布−Aを得た。
また、各水性接着剤(F1)〜(F12)を、バーコーターNo.75を用いて、M−EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡体)に塗布(塗布量:不揮発分質量約30g/m2)し、750Wで30秒マイクロ波処理し塗膜を形成し、M−EVA−Aを得た。その後、各水性接着剤(F1)〜(F12)を、綿布−AおよびM−EVA−Aにガラス棒を用いて塗布(綿布塗布量:不揮発分質量約70g/m2、M−EVA塗布量:不揮発分質量約70g/m2)し、綿布―B、M−EVA−Bを得た。その後、M−EVA−Bを750Wで30秒間電磁波処理した。
続いて、綿布−B及びM−EVA−Bの水性接着剤の塗布面同士を貼り合せ、750Wで110秒マイクロ波処理した。その後、手で圧着した。これによって、綿布−Bと接着層とM−EVA−Bとをこの順に積層した積層体を得た。
Figure 2014125586
得られた各積層体を24時間、室温で放置し、その後、引張り試験機(島津製作所社製、オートグラフ)を用いて、剥離速度50mm/分、剥離角度180度で、積層体の接着性を、剥離強度を測定することにより評価した。その結果を表2に示す。
○:剥離強度70N/inch以上。
×:剥離強度70N/inch未満。
得られた各積層体を24時間、室温で放置し、その後、引張り試験機(東洋精機製、ストログラフT)を用いて、槽内設定温度60℃、剥離速度50mm/分、剥離角度180度で、接着層の耐熱性を、積層体の剥離強度を測定することにより評価した。その結果を表2に示す。
○:剥離強度3N/inch以上。
×:剥離強度3N/inch未満。
本発明によれば、被着体を強固に接着することができる水性接着剤を提供することができる。さらに、接着層の耐熱性も向上する。

Claims (5)

  1. エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤及び水を含む水性接着剤。
  2. シランカップリング剤の含有量が、エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体100重量部に対して、1〜10質量部である請求項1記載の水性接着剤。
  3. シランカップリング剤が、エポキシ系シランカップリング剤及びメタクリル系シランカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の水性接着剤。
  4. エチレン−(メタ)アクリレート−無水マレイン酸共重合体、シランカップリング剤、水及びラジカル発生剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の水系接着剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の水性接着剤を被着体に塗布し、水性接着剤が塗布された被着体の面にマイクロ波処理することで塗膜を形成し、得られた塗膜を他の被着体の間に挟持して接着することを特徴とする、被着体と接着層と被着体とをこの順に積層した積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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