JP2014124416A - 骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材 - Google Patents

骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材 Download PDF

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Abstract

【課題】短期的には骨の欠損部又は損傷部を補って骨の力学的強度を確保できるとともに、長期的には患者自身の骨の再生を促すことができ、かつ、硬化物の力学的強度に優れる骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材を提供する。
【解決手段】リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とからなる骨再生材料キットであって、前記ゼラチンからなる微粒子は、放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17である骨再生材料キット。
【選択図】なし

Description

本発明は、短期的には骨の欠損部又は損傷部を補って骨の力学的強度を確保できるとともに、長期的には患者自身の骨の再生を促すことができ、かつ、硬化物の力学的強度に優れる骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材に関する。
骨の欠損部又は損傷部の治療には人工骨が用いられている。
従来の人工骨としては、リン酸カルシウムからなる緻密体と多孔体の人工骨が知られていた。このような人工骨は、治療の対象となる骨の状態に合わせて、形状等を整える必要がある。しかし、手術現場において人工骨を切断加工したり、切削加工したりすることは困難であり、使いにくいという問題があった。
これに対して、リン酸カルシウム顆粒を水系媒体中に懸濁させたペースト状骨補填材料が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。ペースト状骨補填材料は、インジェクター等を用いて骨の欠損部又は損傷部に充填させることができる。ペースト状骨補填材料は、充填後に硬化して骨の欠損部又は損傷部に固定される。ペースト状骨補填材料を用いれば、複雑な欠損部又は損傷部であっても容易に治療を行うことができる。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたペースト状骨補填材料を用いても、単に骨の欠損部又は損傷部を補うだけで、骨の再生を促進するわけではない。実際に、骨の再生は、充填した骨補填材料の表面に限られている。また、この骨補填材料は、力学強度はきわめて高いものの、骨組織の有するコラーゲン繊維等の有機成分を含有しないことから、弾性率と靭性に劣るという決定的な欠点もあった。従って、短期的には骨の欠損部又は損傷部を補って骨の力学的強度を確保できるとともに、長期的には患者自身の骨の再生を促すような骨再生材料が求められていた。
これに対して、特許文献4には、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、生体吸収性高分子からなる微粒子と、水系媒体とからなる骨再生材料キットが開示されている。特許文献4に記載された骨再生材料キットを骨の欠損部又は損傷部に充填すると、生体吸収性高分子からなる微粒子が生体吸収されることにより充填部に連続孔が生じ、該連続孔に骨芽細胞が侵入して増殖することができる。即ち、特許文献4に記載の骨再生材料キットは、骨の欠損部を補う役割と同時に、骨芽細胞の増殖のための足場材料としての役割も果たすことができる。
しかしながら、特許文献4に記載された骨再生材料キットは、その硬化物の力学的強度が不足することから、踵骨、大腿骨、脛骨、椎体等は、大きな荷重がかかる部位の骨の欠損部又は損傷部に用いることが困難であるという問題があった。
特開2000−262609号公報 特開2000−245823号公報 特開2002−35106号公報 特開2011−15957号公報
本発明は、短期的には骨の欠損部又は損傷部を補って骨の力学的強度を確保できるとともに、長期的には患者自身の骨の再生を促すことができ、かつ、硬化物の力学的強度に優れる骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材を提供することを目的とする。
本発明は、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とからなる骨再生材料キットであって、前記ゼラチンからなる微粒子は、放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17である骨再生材料キットである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、鋭意検討の結果、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と生体吸収性高分子からなる微粒子と水系媒体とからなる骨再生材料キットにおいて、該生体吸収性高分子からなる微粒子として「放射線処理されたゼラチンからなる微粒子」を用いることにより、骨再生材料キットとしての優れた性能を維持して、硬化物の力学的強度を著しく向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の骨再生材料キットは、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とからなる。
上記ゼラチンからなる微粒子は、施術後に徐々に生体内で吸収されて、充填部に骨芽細胞が侵入可能な連続孔を生じさせる役割を有する。また、ゼラチンは親水性の高い高分子であることから、水分を含むことで膨潤する。このため、骨孔内に移植した後、周囲の水分を吸い、体積を増し、充填部分への密着性が向上するという効果も得られる。また、従来の無機材料のみを含むペースト状骨補填材料の場合、適用部に体液や血液が多く存在したときに、硬化が遅延したり、硬化せずに流出してしまったりすることがあった。更に、硬化した場合にでも強度が低下したり、崩壊して流出してしまったりするという問題があった。本発明では親水性の高いゼラチンからなる微粒子を含むことにより止血効果が発揮されることから、多少の出血のある部位にも用いることができる。更に、ゼラチンからなる微粒子を含有することにより、本発明の骨再生材料キットを混合してから硬化するまでの時間のバラツキが小さくなるという効果も発揮される。
本発明では上記ゼラチンからなる微粒子は、放射線処理されたものを用いる。放射線処理されたゼラチンからなる微粒子を用いることにより、骨再生材料キットとしての優れた性能を維持して、硬化物の力学的強度を著しく向上させることができる。
この理由については明らかではないが、放射線処理によってゼラチンの分子鎖の一部が切断されることにより微粒子の表面に官能基が多数露出し、該官能基によりリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子との結合力が高まるためではないかと考えられる。該官能基が起点となって、リン酸カルシウム系化合物の結晶核が形成されるためであるとも考えられる。このことは、上記放射線処理されたゼラチンからなる微粒子が後述するような特定の膨潤度を有する場合に本発明の効果が発揮されることからも裏付けられる。
上記放射線処理に用いる放射線としては、γ線、電子線等が挙げられる。なかでも、透過力が高いことからγ線が好適である。
上記放射線処理の方法としては、例えば、ガラス等の放射線を透過する容器にゼラチンからなる微粒子を入れた状態で放射線を照射する方法等が挙げられる。
上記放射線の照射強度としては、例えば放射線がγ線である場合には、15〜25kGy程度が好適である。この範囲内であれば、上記ゼラチンからなる微粒子を極端に劣化させることなく、硬化物の力学的強度を向上させる効果を発揮することができる。
なお、放射線処理によりゼラチンからなる微粒子が滅菌されることから、エチレンオキサイドガス滅菌等の他の滅菌処理をあらためて行う必要がなくなるのも利点である。
上記放射線処理されたゼラチンからなる微粒子は、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17である。膨潤度がこの範囲である場合に、硬化物の力学的強度を著しく向上させるという優れた効果を発揮することができる。好ましくは、膨潤度が9〜17である。
放射線処理の効果は、放射線処理前のゼラチンからなる微粒子の架橋状態に大きく依存すると考えられる。放射線処理前のゼラチンからなる微粒子の架橋の程度が適当な範囲であると、上述したように放射線処理によってゼラチンの分子鎖の一部が切断されて微粒子の表面に官能基が多数露出し、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子との結合力が高まることにより硬化物の力学的強度を著しく向上する。これに対して、放射線処理前のゼラチンからなる微粒子の架橋の程度が低すぎると、放射線処理後にもゼラチンからなる微粒子の吸水性が大きすぎ、大量の水系媒体を吸収して膨潤し、硬化物全体としての強度が低下してしまう。一方、放射線処理前のゼラチンからなる微粒子の架橋の程度が高すぎると、放射線を照射しても架橋の組み換えが優先され、効果的に官能基が露出せずに、硬化物の力学的強度の向上効果が得られないものと考えられる。上記放射線処理されたゼラチンからなる微粒子の膨潤度が8.5〜17程度である場合に、ゼラチンからなる微粒子の吸水性と、放射線処理による力学的強度向上効果とのバランスが優れるものと考えられる。
なお、上記膨潤度は、以下の方法により測定することができる。
即ち、予め重量を測定しておいた40μメッシュのセルストレーナーに上記ゼラチンからなる微粒子を入れ、シャーレ中に置く。ここに蒸留水を加えて37℃、1時間インキュベートした後、セルストレーナーを取り出してメッシュ部に付着している水を拭き取り、セルストレーナーを含めて含水したゼラチンからなる微粒子の重量を測定する。秤量後、真空乾燥機にて真空下60℃で5時間乾燥させた後、再度セルストレーナーを含めて乾燥後の上記ゼラチンからなる微粒子の重量を測定する。これらの測定結果より、以下の式により膨潤度を算出することができる。
膨潤度=(B−A)/(C−A)
A:セルストレーナーの重量、B:インキュベート後の重量、C:乾燥後の重量
上記ゼラチンからなる微粒子の架橋状態は、熱脱水架橋、紫外線架橋、化学架橋、イオン架橋等の従来公知の架橋方法を用いてゼラチンを架橋する際の条件により調整することにより制御することができる。例えば、上記ゼラチン微粒子を熱架橋する場合、真空下で110〜170℃、5分〜48時間程度の熱処理を行うが、架橋温度や熱処理時間を調整することによりゼラチンからなる微粒子の架橋状態を制御することができる。
上記ゼラチンからなる微粒子の平均粒子径の好ましい下限は10μm、好ましい上限は400μmである。上記ゼラチンからなる微粒子の平均粒子径が10μm未満であると、骨芽細胞が侵入可能な連続孔を形成できないことがあり、400μmを超えると、硬化物の強度が低く充分に骨の力学強度を補えないことがある。上記ゼラチンからなる微粒子の平均粒子径のより好ましい下限は20μm、より好ましい上限は200μmである。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる粒子は、水系媒体と混合するとペースト状となり、体内で硬化して、骨の力学強度を補う役割を有する。
上記リン酸カルシウム系化合物は特に限定されず、例えば、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸水素カルシウム、水酸アパタイト、炭素含有アパタイト、フッ素アパタイト等が挙げられる。これらのリン酸カルシウム系化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子の平均粒子径の好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子の平均粒子径が5μm未満であると、上記水系媒体と混合してペースト状にしたときに粘度が上昇してインジェクトが難しくなることがある。100μmを超えると、硬化物の強度が低く充分に骨の力学強度を補えないことがある。上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子の平均粒子径のより好ましい上限は50μmである。
上記水系媒体は、ペースト状骨再生材料の媒体となるものである。
上記水系媒体は、注射用水等が挙げられる。上記水系媒体は、pHを調整する目的で、バッファー成分を含有してもよい。また、上記水系媒体として、骨髄液や細胞懸濁液も使用することができる。
更に、上記水系媒体は、粘度を調整する目的で少量の水溶性高分子を含有したり、感染を予防する目的で抗菌剤を含有したり、骨再生を促進する目的で各種の成長因子等を含有してもよい。
上記水溶性高分子は、例えば、乳酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸等の重合体、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、ヘパラン硫酸等が挙げられる。
本発明の骨再生材料キットは、更に各種細胞増殖因子、抗菌剤、抗生物質等の薬剤を有してもよい。これらを有する骨再生材料キットを用いれば、骨の欠損部又は損傷部に充填して硬化させた後、該硬化物が分解するとともに該薬剤が徐々に放出されることから、長期にわたって薬理効果を発揮することができる。例えば、細胞増殖因子の徐放により早期の骨再生が期待される。また、抗菌剤、抗生物質等の除放により、骨欠損部近傍に細菌等が多く存在する環境下(例えば、骨感染例や口腔内)での使用も可能となる。更に、細胞増殖因子と骨髄間葉系細胞を含む骨髄細胞とを併用した場合には、骨粗鬆症に伴う難治性骨折や脊椎圧迫骨折等の、骨修復部周囲に骨形成に必要な細胞が乏しいと考えられる場合や、骨修復部中心部まで骨形成に有効な細胞侵入が期待できない場合等にも、高い治癒効果の発揮を期待できる。なお、上記薬剤は、骨再生関連の薬剤のみに限定されない。
本発明の骨再生材料キットを用いて、ペースト状骨再生材料を調製することができる。
ここでペースト状骨再生材料とは、使用時にはペースト状であって、用手的又はインジェクターにより骨の欠損部又は損傷部に容易に充填することができ、充填後に体内で硬化させることができる骨再生材料を意味する。
本発明の骨再生材料キットを構成するリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17であるゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とを混合してペースト状としたペースト状骨再生材料もまた、本発明の1つである。
本発明のペースト状骨再生材料を調製するにあたって、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とを配合する比率は特に限定されず、混練操作のしやすさ、インジェクターを用いたインジェクトのしやすさ、硬化までの時間、硬化物の強度等を考慮して決定する。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子との配合比率を調整することによって、硬化物の空隙率を調整することができ、これにより硬化物の強度と骨の再生速度とを制御することができる。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子との配合比率は、重量比で97:3〜76:24の範囲であることが好ましい。この範囲内であると、短期的な骨の力学的強度を確保と、長期的な骨の再生とを両立することができる。この範囲よりも上記ゼラチンからなる微粒子が少ない場合には、充分な連続孔が形成されずに骨の再生が進まないことがあり、この範囲よりも上記ゼラチンからなる微粒子が多い場合には、硬化物の強度が低いことがある。より好ましくは重量比で95:5〜80:20の範囲であり、更に好ましくは重量比で90:10〜85:15の範囲である。
骨再生材料に必要とされる強度は適用する部位によって異なる。従って、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子との好ましい配合比率の範囲内において、その適用部位を考慮して配合比率を決定すればよい。
例えば、踵骨、大腿骨、脛骨、椎体等は、大きな荷重がかかる部位であることから、これらの部位に適用する場合には、骨の再生速度よりも強度を優先させるべきである。即ち、ゼラチンからなる微粒子の配合比率を低めに設定する。
例えば、頭蓋骨、上腕骨、前腕(橈尺)骨、指骨等は、大きな荷重はかからない部位であることから、これらの部位に適用する場合には、強度よりも骨の再生速度を優先させるべきである。即ち、ゼラチンからなる微粒子の配合比率を高めに設定する。
上記水系媒体の含有量は、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子との合計100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が65重量部である。上記水系媒体の含有量が5重量部未満であると、ペースト状骨再生材料の粘度が高くインジェクトが困難となることがあり、65重量部を超えると、硬化させたときに、収縮することがある。上記水系媒体の含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は45重量部である。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子と水系媒体とを混合する方法は特に限定されないが、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子と水系媒体とシリンジ中に入れ、練和混合する方法や板上でリン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子と水系媒体を練和混合する方法が好適である。
本発明のペースト状骨再生材料を調製するにあたって、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とを配合する手順については特に限定されず、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体との全量を同時に混合してもかまわない。
しかしながら、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子とゼラチンからなる微粒子とを混合した後、この混合物に上記水系媒体を加えていく方法や、上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子に上記水系媒体の一部量を加え練和混合した後、上記ゼラチンからなる微粒子、上記水系媒体の残部量を加えて混合する方法が好ましい。このような方法でペースト状骨再生材料を調製することにより、より均一に調整することができ、強度の高い骨再生材料が得られる。
上記リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子は、水系媒体と混合するとリン酸カルシウム結晶を析出し、最終的には硬化する。また、上記ゼラチンからなる微粒子は、水系媒体と混合すると、室温下でも時間の経過とともに溶解したり、膨潤したりする。従って、ペースト状骨再生材料は、できる限り手術現場において施術の直前に調製することが好ましい。
本発明のペースト状骨再生材料は、用手的又は注射器等のインジェクターを用いて、容易に骨の欠損部又は損傷部に充填することができる。充填したペースト状骨再生材料は室温下でも硬化して骨再生材料となり、骨の力学的強度を補完する。本発明のペースト状骨再生材料は、上記放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17であるゼラチンからなる微粒子を用いたことにより、特に高い力学的強度を発揮することができる。更に、時間の経過に従って上記ゼラチンからなる微粒子が吸収されることにより連続孔が形成され、該連続孔に骨芽細胞が侵入することにより患者自身の骨が再生される。
また、本発明のペースト状骨再生材料をいったん外部で硬化させて骨再生材料を形成した後、該骨再生材料を骨の欠損部又は損傷部に充填したり、骨接合材として使用したりしてもよい。
本発明のペースト状骨再生材料を硬化してなる骨再生材料、骨接合材もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、短期的には骨の欠損部又は損傷部を補って骨の力学的強度を確保できるとともに、長期的には患者自身の骨の再生を促すことができ、かつ、硬化物の力学的強度に優れる骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実験例1)
(1)ゼラチンからなる微粒子の製造
平均粒子径が200μmのゼラチン粒子を真空下で140℃で3、7、14、18、24時間熱処理し、熱架橋ゼラチン微粒子を得た。
得られた架橋ゼラチン微粒子5gをガラス製サンプル瓶に封入し、25KGyのγ線を照射して、放射線処理された熱架橋ゼラチン微粒子を得た。
また、得られた熱架橋ゼラチン微粒子5gをガラス製サンプル瓶に入れ、蓋をせずに滅菌バック(エルク社製)に入れた。これをエチレンオキシドガス滅菌器(イオジェルクSA−1000、エルク社製)にてエチレンオキシドガス処理を行った。処理完了後、真空乾燥機(DP−43、ヤマト科学社製)にて室温下24時間脱ガス処理を行い、エチレンオキシドガス処理された熱架橋ゼラチン微粒子を得た。
予め重量を測定しておいたセルストレーナー(40μメッシュ、ファルコ社製)に得られた熱架橋ゼラチン粒子、放射線処理された熱架橋ゼラチン微粒子、又は、エチレンオキシドガス処理された熱架橋ゼラチン微粒子を50mg入れた。これを各々4つ準備し、φ100のプラスチック製シャーレに置いた。ここに50mLの蒸留水を加えて37℃、1時間インキュベートした。1時間後、セルストレーナーを取り出してメッシュ部に付着している水をキムワイプで拭き取り、セルストレーナーを含めて含水したゼラチン微粒子の重量を測定した。秤量後、真空乾燥機にて真空下60℃で5時間乾燥させた後、再度セルストレーナーを含めて乾燥後のゼラチン微粒子の重量を測定した。以下の式を用いて膨潤度を算出した。結果を表1に示した。
膨潤度=(B−A)/(C−A)
A:セルストレーナーの重量、B:インキュベート後の重量、C:乾燥後の重量
Figure 2014124416
(2)ペースト状骨再生材料の製造
得られた熱架橋ゼラチン粒子、放射線処理された熱架橋ゼラチン微粒子、又は、エチレンオキシドガス処理された熱架橋ゼラチン微粒子0.15gと、平均粒子径が10μmのリン酸カルシウム系微粒子(α型リン酸三カルシウム75重量%、リン酸四カルシウム18重量%、リン酸水素カルシウム二水和物5重量%及び水酸アパタイト2重量%含有)1.35gとをガラス板上で混合した。次いで、700又は760μLの水系媒体(5.4%コンドロイチン硫酸ナトリウム、13%コハク酸二ナトリウム無水物、0.3%亜硫酸水素ナトリウム含有水溶液)を加えて90秒間混合して、ペースト状骨再生材料を得た。ただし、一部の組み合わせでは、練和することができず、ペースト状骨再生材料を製造することができなかった。
得られたペースト状骨再生材料を直径6mm、高さ12mmの割型に充填し、37℃、相対湿度95%の恒温恒湿器の中で1時間養生した。その後、割型からサンプルを取り出し蒸留水に浸漬して37℃3日間養生した。その後、割型からサンプルを取り出し蒸留水に浸漬して37℃3日間養生して硬化物を得た。
万能試験機(EZ−Graph、島津製作所社製)を用いて、試験速度1mm/minの条件で、得られた硬化物の圧縮強度を測定した。結果を表2に示した。
Figure 2014124416
表1及び表2より、放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17であるゼラチンからなる微粒子を用いたペースト状骨再生材料は、硬化物の力学的強度に特に優れることが判る。
(実験例2)
(1)ゼラチンからなる微粒子の製造
平均粒子径が200μmのゼラチン粒子を真空下で140℃で14時間熱処理し、熱架橋ゼラチン微粒子を得た。
得られた架橋ゼラチン微粒子5gをガラス製サンプル瓶に封入し、15KGy、あるいは25KGyのγ線を照射して、放射線処理された熱架橋ゼラチン微粒子を得た。
(2)ペースト状骨再生材料の製造
得られた熱架橋ゼラチン微粒子、放射線処理された熱架橋ゼラチン微粒子0.15gと、平均粒子径が10μmのリン酸カルシウム系微粒子(α型リン酸三カルシウム75重量%、リン酸四カルシウム18重量%、リン酸水素カルシウム二水和物5重量%及び水酸アパタイト2重量%含有)1.35gとをガラス板上で混合した。次いで、700μLの水系媒体(5.4%コンドロイチン硫酸ナトリウム、13%コハク酸二ナトリウム無水物、0.3%亜硫酸水素ナトリウム含有水溶液)を加えて90秒間混合して、ペースト状骨再生材料を得た。
得られたペースト状骨再生材料を直径6mm、高さ12mmの割型に充填し、37℃、相対湿度95%の恒温恒湿器の中で1時間養生した。その後、割型からサンプルを取り出し蒸留水に浸漬して37℃3日間養生した。その後、割型からサンプルを取り出し蒸留水に浸漬して37℃3日間養生して硬化物を得た。
万能試験機(EZ−Graph、島津製作所社製)を用いて、試験速度1mm/minの条件で、得られた硬化物の圧縮強度を測定した。結果を表3に示した。
Figure 2014124416
表3より、15kGyのγ線を照射した場合にでも、未照射の場合に比べて硬化物の力学的強度が優れることが判る。
本発明によれば、短期的には骨の欠損部又は損傷部を補って骨の力学的強度を確保できるとともに、長期的には患者自身の骨の再生を促すことができ、かつ、硬化物の力学的強度に優れる骨再生材料キット、ペースト状骨再生材料、骨再生材料及び骨接合材を提供することができる。

Claims (4)

  1. リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、ゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とからなる骨再生材料キットであって、
    前記ゼラチンからなる微粒子は、放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17である
    ことを特徴とする骨再生材料キット。
  2. 請求項1記載の骨再生材料キットを用いてなるペースト状骨再生材料であって、リン酸カルシウム系化合物からなる微粒子と、放射線処理されており、かつ、37℃の水中に1時間浸漬した後の膨潤度が8.5〜17であるゼラチンからなる微粒子と、水系媒体とを混合してペースト状としたことを特徴とするペースト状骨再生材料。
  3. 請求項2記載のペースト状骨再生材料を硬化してなることを特徴とする骨再生材料。
  4. 請求項2記載のペースト状骨再生材料を硬化してなることを特徴とする骨接合材。
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