JP2014123689A - 裏面電極型太陽電池素子とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 結晶系シリコンに対して、キャリヤの表面再結合を劇的に抑制できるとともに、結晶系シリコン表面の大部分を外気から保護する構造の裏面電極型太陽電池素子を提供する。
【解決手段】
結晶系シリコン基板2の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜3,13が形成され、さらに窒化シリコン膜4,14で被膜されている太陽電池素子1であって、前記シリコン基板2の裏面側の窒化シリコン膜4に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群25,26が形成されており、前記結晶系シリコン基板2の裏面側のみに電極を形成した構造である。
【選択図】 図3
【解決手段】
結晶系シリコン基板2の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜3,13が形成され、さらに窒化シリコン膜4,14で被膜されている太陽電池素子1であって、前記シリコン基板2の裏面側の窒化シリコン膜4に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群25,26が形成されており、前記結晶系シリコン基板2の裏面側のみに電極を形成した構造である。
【選択図】 図3
Description
本発明は、結晶系シリコン基板を用いた太陽電池において、太陽光エネルギーを電気へ変換する効率を高めた構造の裏面電極型太陽電池素子とその製造方法に関する。
太陽電池素子は、太陽光により生成された電子とホールをそれぞれ専用の電極で収集することで発電機能が生じる半導体素子である。結晶系シリコン基板を用いた太陽電池素子は、太陽光エネルギーの電気への変換効率が高いことから、多く使用されている。
太陽電池素子は、太陽電池の基本構成単位である。太陽電池素子(太陽電池セルとも呼称される)を必要枚配列して、屋外で利用できるよう樹脂や強化ガラスなどで保護し、パッケージ化したものは太陽電池モジュールや太陽電池パネルと呼称される。太陽電池モジュール(太陽電池パネル)を複数枚並べて接続したものを太陽電池アレイと呼称される。本明細書では、太陽電池素子について以下に説明するが、説明の都合上、その表記の一部を省略して太陽電池と記載することがある。
太陽電池素子のエネルギー変換効率を向上させるためには、電子とホールが電極に到達する前に、結晶系シリコン基板の表面で再結合して消えてしまうこと(表面再結合)を防ぐ構造が必要である。そのため、この表面再結合を抑える表面パッシベーション法の提案がなされている。
論文 B. Hoex, ”Silicon
surface passivation by atomic layer deposited Al2O3”, Journal of Applied Physics、 104, p.044903, (2008Y) (引用非特許文献1)には、原子層成長法で形成した酸化アルミニウム膜でp型結晶シリコン表面をカバーすると、結晶シリコン内部と表面での電子とホールの再結合を合わせて観察した場合でも、2.5 msを超える長いキャリヤ寿命が得られることが報告されている。この値は、結晶シリコン基板の厚みから判断して、電子とホールの結晶シリコン表面での再結合速度が、最大でも、6 cm/s 以下であることを推察させている。ただし、この酸化アルミニウムが良好なパッシベーション特性を示すのは、p型結晶シリコン基板に対してであり、高品質基板が比較的得られ易いn型結晶シリコンに良好なパッシベーションとなっている訳ではない。
surface passivation by atomic layer deposited Al2O3”, Journal of Applied Physics、 104, p.044903, (2008Y) (引用非特許文献1)には、原子層成長法で形成した酸化アルミニウム膜でp型結晶シリコン表面をカバーすると、結晶シリコン内部と表面での電子とホールの再結合を合わせて観察した場合でも、2.5 msを超える長いキャリヤ寿命が得られることが報告されている。この値は、結晶シリコン基板の厚みから判断して、電子とホールの結晶シリコン表面での再結合速度が、最大でも、6 cm/s 以下であることを推察させている。ただし、この酸化アルミニウムが良好なパッシベーション特性を示すのは、p型結晶シリコン基板に対してであり、高品質基板が比較的得られ易いn型結晶シリコンに良好なパッシベーションとなっている訳ではない。
論文 A. Focsa, ”Surface passivation at low temperature of p- and
n-type silicon wafers using a double layer a-Si:H
/ SiNx:H”, Materials
Science and Engineering B, 159-160, p.242, (2009Y) (引用非特許文献2)には、基板表面への損傷を与えにくいとされるリモートプラズマ化学気相堆積法(Remote Plasma Enhanced Chemical Vapor
Deposition = R-PECVD) を用い、n型結晶シリコン上に極薄アモルファスシリコン膜と窒化シリコン膜を積層すると、表面再結合速度を 10 cm/s にまで低下させられることが報告されている。
n-type silicon wafers using a double layer a-Si:H
/ SiNx:H”, Materials
Science and Engineering B, 159-160, p.242, (2009Y) (引用非特許文献2)には、基板表面への損傷を与えにくいとされるリモートプラズマ化学気相堆積法(Remote Plasma Enhanced Chemical Vapor
Deposition = R-PECVD) を用い、n型結晶シリコン上に極薄アモルファスシリコン膜と窒化シリコン膜を積層すると、表面再結合速度を 10 cm/s にまで低下させられることが報告されている。
論文 K. Koyama, K. Ohdaira, and H.
Matsumura、“Extremely low surface recombination
velocities on crystalline silicon wafers realized by catalytic chemical vapor
deposited SiNx / a-Si stacked passivation layers”,
Applied Physics Letters, 97,p.082108,(2010) (引用非特許文献3)には、R-PECVD法の代わりに、基板表面へのプラズマによる損傷等が全くない触媒化学気相堆積法(Catalytic chemical vapor deposition = Cat-CVD)を用い、このアモルファスシリコン、窒化シリコン積層膜をn型結晶シリコン上に堆積したところ、表面再結合速度が 1.5 cm/s 以下の極めて小さな値が得られることが報告されている。
Matsumura、“Extremely low surface recombination
velocities on crystalline silicon wafers realized by catalytic chemical vapor
deposited SiNx / a-Si stacked passivation layers”,
Applied Physics Letters, 97,p.082108,(2010) (引用非特許文献3)には、R-PECVD法の代わりに、基板表面へのプラズマによる損傷等が全くない触媒化学気相堆積法(Catalytic chemical vapor deposition = Cat-CVD)を用い、このアモルファスシリコン、窒化シリコン積層膜をn型結晶シリコン上に堆積したところ、表面再結合速度が 1.5 cm/s 以下の極めて小さな値が得られることが報告されている。
ところで、現在、結晶シリコンを用いた太陽電池の多くは、p−n接合の受光面となる表側にN電極を配置して、裏側にP電極を配置している。この構造は、N電極(表面電極)の分だけ受光面積が小さくなり、また、表面電極の影の影響がある。そこで、電極をすべて裏面に配置することで表面の受光面積を広げる裏面電極型太陽電池(バックコンタクト型太陽電池とも呼称される)が提案されている(特許文献1〜3)。
しかし、特許文献1〜3などに記載されている裏面電極型太陽電池では、電子、ホールそれぞれを収集する微細な電極が、数10 μmの間隔で配置されることから、従前の技術では、半導体集積回路製造と同じ高価な手法であるフォトレジスト工程がこの型の太陽電池製造に使われることが多く、裏面電極型太陽電池は、従来型に比べ製造上のコストが高くなるという問題があった。そのため、高価であっても高い効率を必要とする人工衛星に搭載される太陽電池などに使用され、裏面電極型太陽電池の適用は限定的であった。
また一方、太陽電池製作工程における低温化も焦眉の要求である。現在市販されている結晶シリコン太陽電池の多くは、塗布された窒化シリコン膜等の絶縁膜の上にボロン、リンを配して、それを温度が800℃以上の高温で熱処理する際に、ボロン、リンが窒化シリコン膜等の中を通過して結晶シリコン表面まで拡散するドーピング法、いわゆる「ファイヤースルー」工法により作製されている。この方法を用いれば、より低価格で太陽電池製作ができるが、まず、高温の処理が、結晶シリコン中にその成長時に混入してしまった酸素等の作用により欠陥が作られ、それが太陽電池の効率向上を妨げることが問題とされている。また、今後、原材料の節約のために、結晶シリコンは厚さが100 μm前後に薄板化する必要があるが、その場合、高温処理が基板の反りを招くという問題も指摘されている。すなわち、太陽電池製作工程の低温化は避けて通れないが種々の問題点を有している。
結晶シリコン太陽電池素子の製作を低温化する方法としては、三洋電機株式会社(当時)が開発した、n型の結晶シリコン上に真性の極薄アモルファスシリコン膜とp型アモルファスシリコン膜、n型アモルファスシリコン膜を堆積してp型、n型の電極とするHIT型(High Efficiency Solar Cells with Intrinsic Thin Layers)構造の太陽電池が知られている。HIT型の製作過程では、アモルファスシリコン膜の堆積を200℃以下程度の低温で行っており、結晶シリコン基板の特性を劣化させるような高温処理は一切行っていない。このため、現在でも、結晶シリコン基板の厚みを100μm程度まで薄くできる。このHIT型太陽電池は、市販されている結晶シリコン太陽電池の中では、最も効率が高いといわれている。
HIT型太陽電池の製造方法としては、結晶シリコン両面にまず10nm以内の厚みの真性アモルファスシリコン膜を堆積し、その上に、太陽光照射面(表面)およびその裏面それぞれにp型アモルファスシリコン膜またはn型アモルファスシリコン膜を堆積して、表と裏の両面に電極を形成する方法が一般的である。一方、HIT型太陽電池で裏面に電極を全て集めて、裏面電極型構造の太陽電池を形成することも提案されている。
例えば、小山らは、論文 ”Novel Back-Contact
Heterojunction Solar Cells Using Cat-CVD a-Si and SiNx films”、 Extended abstract of 5th International Conference on
Hot-Wire CVD (Cat-CVD) Process. held at Boston, USA, (August 2008Y)
(引用非特許文献4)にて裏面電極型構造の太陽電池を提案している。また、山本らは、京都市「京都テルサ」において開催された、第9回「次世代の太陽光発電システム―震災からの復興、再生の実現―」シンポジウムにおいて、論文、山本憲治「高効率シリコン太陽電池―ヘテロ接合太陽電池、バックコンタクトセル−」、シンポジウム予稿集、p.30-32. (June 2012Y) (引用非特許文献5)を発表し、裏面電極構造のHIT型太陽電池で、効率23%を得たことを報告している。
Heterojunction Solar Cells Using Cat-CVD a-Si and SiNx films”、 Extended abstract of 5th International Conference on
Hot-Wire CVD (Cat-CVD) Process. held at Boston, USA, (August 2008Y)
(引用非特許文献4)にて裏面電極型構造の太陽電池を提案している。また、山本らは、京都市「京都テルサ」において開催された、第9回「次世代の太陽光発電システム―震災からの復興、再生の実現―」シンポジウムにおいて、論文、山本憲治「高効率シリコン太陽電池―ヘテロ接合太陽電池、バックコンタクトセル−」、シンポジウム予稿集、p.30-32. (June 2012Y) (引用非特許文献5)を発表し、裏面電極構造のHIT型太陽電池で、効率23%を得たことを報告している。
また、本発明者らを含むグループは、フォスフィンやジボラン等のリン、ボロンを含むガスをCat-CVD装置内で加熱触媒体により分解した種を用いると、それらリン、ボロンが結晶シリコン表面層に、350℃以下、場合によっては、実に80℃の低温でドープでき、結晶シリコン表面に、リンがドープされたn型結晶シリコン層、ボロンがドープされたp型結晶シリコン層を形成できることを発見し、論文、Taro
Hayakawa, Yuki Nakashima, Motoharu Miyamoto, Koichi Koyama, Keisuke Ohdaira,
Hideki Matsumura, “Low temperature phosphorus doping in
silicon using catalytically-generated radicals”,
Japanese Journal of Applied Physics、vol.50、p.121301-1-5. (2011Y) (引用非特許文献6)を発表している。
Hayakawa, Yuki Nakashima, Motoharu Miyamoto, Koichi Koyama, Keisuke Ohdaira,
Hideki Matsumura, “Low temperature phosphorus doping in
silicon using catalytically-generated radicals”,
Japanese Journal of Applied Physics、vol.50、p.121301-1-5. (2011Y) (引用非特許文献6)を発表している。
このように、結晶シリコン太陽電池において、その形成温度を低温化する試みがなされ、また、全ての電極を太陽光照射面の裏面に設置する試みがなされている。さらにその裏面電極も、電極部分自体での再結合によるキャリヤ損失の影響を最小化するために点電極化することが、公知となっている。
B. Hoex, "Silicon surface passivation by atomic layer depositedAl2O3", Journal of Applied Physics、 104, p.044903, (2008Y)
A. Focsa, "Surface passivation at low temperature of p- andn-type silicon wafers using a double layer a-Si:H/ SiNx:H", Materials Science and Engineering B, 159-160, p.242, (2009Y)
K. Koyama, K. Ohdaira, and H.Matsumura,"Extremely low surface recombinationvelocities on crystalline silicon wafers realized by catalytic chemical vapordeposited SiNx / a-Si stacked passivation layers", Applied Physics Letters, 97,p.082108,(2010Y)
K. Koyama, K. Ohdaira, H. Matsumura,"Novel Back-Contact Heterojunction SolarCells Using Cat-CVD a-Si and SiNx films"、Extended abstract of 5th International Conference on Hot-Wire CVD (Cat-CVD)Process. held at Boston, USA, (August 2008Y) (引用非特許文献4)
山本憲治, "高効率シリコン太陽電池―ヘテロ接合太陽電池、バックコンタクトセル−"、シンポジウム予稿集、p.30-32.(June 2012Y)
Taro Hayakawa, Yuki Nakashima,Motoharu Miyamoto, Koichi Koyama, Keisuke Ohdaira, Hideki Matsumura, "Low temperature phosphorus doping in silicon usingcatalytically-generated radicals",Japanese Journal of Applied Physics、vol.50、p.121301-1-5. (2011Y)
上述のとおり、裏面点電極型構造のHIT型太陽電池は公知であるが、そのような太陽電池構造においては、太陽光により生成された電子やホールが、結晶シリコン内はもとより、結晶シリコン表面での再結合で失われないことが重要である。特に、結晶シリコンの材料使用量を減らすために、結晶シリコンの厚みを100μm以下にしようとすると、相対的に結晶シリコン表面での電子とホールの再結合の影響が大きくなり、その抑制が焦眉の課題となっている。
結晶シリコンや多結晶シリコン(ポリシリコン)等の結晶系シリコンは、その表面が周辺の汚染に敏感であり、その表面を曝した状態で太陽電池の製作工程に進むと、その表面には汚染による再結合点が多量に形成されることから、製作工程で結晶系シリコン表面が電極以外の場所で外気に曝されない太陽電池製作工程とそれを保証する構造の裏面電極型太陽電池素子の実用化が求められる。
そこで上述の課題に鑑みて、本発明の目的は、結晶系シリコンに対して、キャリヤの表面再結合を劇的に抑制できるとともに、結晶系シリコン表面の大部分を外気から保護する構造の裏面電極型太陽電池素子とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の裏面電極型太陽電池素子は、結晶系シリコン基板の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜が形成され、さらに窒化シリコン膜で被膜されている太陽電池素子であって、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群が形成されており、前記結晶系シリコン基板の裏面側のみに電極を形成したことを特徴とする。
本発明によれば、結晶シリコンや多結晶シリコン等の結晶系シリコン基板に対して、キャリヤの表面再結合を劇的に抑制できるアモルファスシリコンと窒化シリコンの積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができ、前記シリコン基板全面の大部分を外気から保護する構造となる。
本発明は、前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とがいずれも触媒化学気相堆積法によって形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、触媒化学気相堆積法(Catalytic chemical vapor deposition =
Cat-CVD)によって膜堆積されているので、前記結晶系シリコン基板の表面に欠陥が導入されずに済み、高品質の太陽電池素子となる。
Cat-CVD)によって膜堆積されているので、前記結晶系シリコン基板の表面に欠陥が導入されずに済み、高品質の太陽電池素子となる。
本発明は、前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにリン等のn型不純物がドープされてn型アモルファスシリコン薄膜が積層された構造であり、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにボロン等のp型不純物がドープされてp型アモルファスシリコン薄膜が積層された構造であることを特徴とする。
本発明によれば、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合が極限にまで抑制されるので、高い効率を得ることとなる。
本発明は、前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で開けられた細孔を通じて、その細孔位置近傍にリン等のn型不純物が350℃以下の低温でドープされた層が前記シリコン基板内に形成された構造であり、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で開けられた細孔を通じて、その細孔位置近傍にボロン等のp型不純物が350℃以下の低温でドープされた層が前記シリコン基板内に形成された構造であることを特徴とする。
本発明によれば、前記シリコン基板の厚みを100μm以下としても、その特性を劣化させずに、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合が極限にまで抑制されるので、高い効率を得ることとなる。
本発明は、リン等のn型不純物がドープされた層が、フォスフィン等のリン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱固体との接触分解反応により分解生成された種を用いて形成されたものであり、かつ、ボロン等のp型不純物がドープされた層が、ジボラン等のボロン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱固体との接触分解反応により分解生成された種を用いて形成されたものであることを特徴とする。
本発明によれば、ドープされた層が、ドーピングガスを触媒化学気相堆積装置内で触媒体と接触分解反応によって分解生成された種を用いて形成されたものであり、低温ドープが行われているので、前記シリコン基板の厚みを100μm以下としても、その特性を劣化させずに、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合が極限にまで抑制され、高い効率を得ることが容易である。
本発明は、前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とがいずれも触媒化学気相堆積法によって形成されており、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜がマスキングされ、エッチングによって当該窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、結晶シリコンや多結晶シリコン等の結晶系シリコン基板に対して、キャリヤの表面再結合を劇的に抑制できるアモルファスシリコンと窒化シリコンの積層膜、それも、シリコン表面に欠陥を導入せずに膜堆積できる触媒化学気相堆積法(Catalytic chemical vapor deposition =
Cat-CVD)を用いて作られる積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができる。そして、マスキングされた後、エッチングによって前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群が形成されていることで、前記シリコン基板全面の大部分を外気から保護する構造となる。
Cat-CVD)を用いて作られる積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができる。そして、マスキングされた後、エッチングによって前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群が形成されていることで、前記シリコン基板全面の大部分を外気から保護する構造となる。
本発明は、液体塗布法によって前記点電極群が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記点電極群が低温プロセスで形成されているので、高い効率を得ることができる。
前記液体塗布法としては、インクジェットやスピンコートなどが挙げられる。前記液体塗布法は、液体プロセスとも呼称される。前記液体塗布法では、導電性金属微粒子や導電性金属膜が形成された微粒子を含んだ液体を塗布して、H原子処理等の処理を行い、電極形成する。
本発明は、前記シリコン基板がn型結晶シリコンであり、前記シリコン基板の受光面がテクスチャ構造となっていることを特徴とする。
本発明によれば、電子とホールを効率よく収集でき、効率の高い太陽電池素子となる。
本発明は、前記点電極群として、電子を収集する第1の電極群とホールを収集する第2の電極群とが交互に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記点電極群がバランスよく配置されているので、高い効率を得ることが容易である。前記第1の電極群と前記第2の電極群の配置数は、異なっていてもよいし、同じ数としてもよい。
本発明は、前記マスキングとして有機フィルムが用いられているとともに、前記第2の電極群には導電性の金属膜が形成されており、前記窒化シリコン膜の直上で前記金属膜の直下に前記有機フィルムが残存していることを特徴とする。
上記特徴は、本発明の裏面電極型太陽電池素子が、前記マスキングとして有機フィルムが用いられるほどの低温で電極形成することができていることを示している。
前記有機フィルムの材質としては、化学耐性の高い高分子フィルムが好ましく、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート等から選択される。
前記金属膜の材質としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、コバルト等やこれらの合金が挙げられる。前記金属膜は、例えば触媒化学気相堆積法を用いて堆積形成される。
本発明は、前記シリコン基板の受光面側の前記窒化シリコン膜は、前記アモルファスシリコン薄膜に接する側が下地窒化シリコン膜であり、その上に、酸化シリコン、酸窒化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの当該下地窒化シリコン膜よりも屈折率の低い、酸素が含有された膜が積層された構造であることを特徴とする。
本発明によれば、前記窒化シリコン膜が屈折率の異なる積層膜となっているので、短い波長にも太陽光の吸収領域が拡げられた広帯域の太陽電池素子となる。
本発明は、前記アモルファスシリコン薄膜が、アモルファスシリコンを骨格としつつ、水素、酸素、窒素、炭素、ゲルマニウム、錫、ボロン、リン、等の不純物を含有するものであり、かつ、前記窒化シリコン膜が、窒化シリコンを骨格としつつ、水素、酸素、炭素、等の不純物を含有するものであることを特徴とする。
本発明によれば、効率の高い太陽電池素子が、既存の製造ラインから得られる。前記不純物は、不可避的不純物の場合もあるし、積極的に含有させた不純物の場合もある。前記不純物の含有率は、任意に設定される。
上述した本発明の裏面電極型太陽電池素子を配列することで、高効率の太陽電池となる。
本発明の裏面電極型太陽電池素子の製造方法は、結晶系シリコン基板の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜を形成し、さらに窒化シリコン膜で被膜した太陽電池素子の製造方法であって、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置に点電極群を形成し、前記結晶系シリコン基板の裏面側のみに電極を形成することを特徴とする。
本発明によれば、先ず、結晶シリコンや多結晶シリコン等の結晶系シリコン基板に対して、キャリヤの表面再結合を劇的に抑制できるアモルファスシリコンと窒化シリコンの積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができ、前記シリコン基板全面の大部分を外気から保護する構造となる。
本発明は、触媒化学気相堆積法によって前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とをそれぞれ形成することを特徴とする。
本発明によれば、触媒化学気相堆積法(Catalytic chemical vapor deposition =
Cat-CVD)によって膜堆積することで、前記結晶系シリコン基板の表面に欠陥が導入されずに済み、高品質の太陽電池素子となる。
Cat-CVD)によって膜堆積することで、前記結晶系シリコン基板の表面に欠陥が導入されずに済み、高品質の太陽電池素子となる。
本発明は、前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにリン等のn型不純物をドープしてn型アモルファスシリコン薄膜を積層したものであり、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにボロン等のp型不純物をドープしてp型アモルファスシリコン薄膜を積層したものであることを特徴とする。
本発明によれば、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合を極限にまで抑制することができ、高い効率を得ることができる。
本発明は、前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、当該細孔を通じてその細孔位置近傍にリン等のn型不純物を350℃以下の低温で前記シリコン基板にドープして層構造を形成し、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、当該細孔を通じてその細孔位置近傍にボロン等のp型不純物を350℃以下の低温で前記シリコン基板にドープして層構造を形成することを特徴とする。
本発明によれば、前記シリコン基板の厚みを100μm以下としても、その特性を劣化させずに、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合を極限にまで抑制することができ、高い効率を得ることができる。
本発明は、フォスフィン等のリン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱触媒体との接触分解反応を用いて分解して生成した種に曝すことで、リン等のn型不純物を前記シリコン基板にドープし、かつ、ジボラン等のボロン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱触媒体との接触分解反応を用いて分解して生成した種に曝すことで、ボロン等のp型不純物を前記シリコン基板にドープすることを特徴とする。
本発明によれば、ドーピングガスを触媒化学気相堆積装置内で触媒体と接触分解反応によって分解生成された種を用いてドープした層を形成するものであり、低温ドープとなる。よって、前記シリコン基板の厚みを100μm以下としても、その特性を劣化させずに、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合を極限にまで抑制することができ、高い効率を得ることができる。
本発明は、触媒化学気相堆積法によって前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とをそれぞれ形成し、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜をマスキングし、ドライエッチングによって当該窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置に点電極群を形成することを特徴とする。
本発明によれば、触媒化学気相堆積法とドライエッチングの組み合わせによって、前記シリコン基板に熱的ダメージを加えないうえ、化学薬品による化学的ダメージも加えることなく製造することとなる。
本発明は、液体塗布法によって前記点電極群を形成することを特徴とする。
本発明によれば、前記点電極群を低温プロセスで形成するので、高い効率を得ることができる。
前記液体塗布法としては、インクジェットやスピンコートなどが挙げられる。前記液体塗布法は、液体プロセスとも呼称される。前記液体塗布法では、導電性金属微粒子や導電性金属膜が形成された微粒子を含んだ液体を塗布して、H原子処理等の処理を行い、電極形成する。
本発明は、前記シリコン基板がn型結晶シリコンであり、前記シリコン基板の受光面をテクスチャ構造とすることを特徴とする。
本発明によれば、電子とホールを効率よく収集でき、効率の高い太陽電池素子を製造することが容易となる。
本発明は、前記点電極群として、電子を収集する第1の電極群とホールを収集する第2の電極群とが交互に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、前記点電極群をバランスよく配置するので、高い効率を得ることが容易である。前記第1の電極群と前記第2の電極群の配置数は、異なっていてもよいし、同じ数としてもよい。
本発明は、前記マスキングに際して、前記細孔群に対応する開口群が形成された有機フィルムを用いてマスキングすることを特徴とする。
本発明によれば、全工程を低温プロセスで行うことができるので、融点が200℃以下の安価な有機フィルムをマスキング材料として用いることができるようになり、廉価でありながら高品質なプロセスとすることができる。
本発明は、前記有機フィルムが第1の有機材料からなる第1のフィルムと第2の有機材料からなる第2のフィルムとからなり、前記第1のフィルムにはリン等のn型不純物をドープするための第1の細孔群に対応した第1の開口群が形成されるとともにボロン等のp型不純物をドープするための第2の細孔群に対応した第2の開口群が形成されており、前記第2のフィルムが前記第1の開口群を覆いつつ前記第2の開口群を覆わずに前記第1のフィルム上に剥離可能に貼り合わさっている有機フィルムであることを特徴とする。
本発明によれば、前記第2のフィルムが前記第1の開口群を覆いつつ前記第2の開口群を覆わずに前記第1のフィルム上に剥離可能に貼り合わさっている前記有機フィルムを用いることで、マスク合わせの要らない1マスクで製造することができる。
前記第1の有機材料と前記第2の有機材料は、各々例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート等から選択される。前記第1のフィルムと前記第2のフィルムは、化学耐性の高い高分子フィルムが好ましく、例えば、環状ポリオレフィンが用いられる。
前記第2のフィルムが前記第1のフィルム上に剥離可能に貼り合わさっているとは、剥離可能な粘着剤又は剥離可能な接着剤で固定されているか、圧着又は熱圧着によって剥離可能に固定されているということである。
本発明は、前記エッチングが第1のエッチングと第2のエッチングとからなり、前記有機フィルムを用いてマスキングした後、前記第1のエッチングによって前記第2の細孔群を形成し、ボロン等のp型不純物をドープし、p型アモルファスシリコンを積層し、導電性金属を堆積して金属膜を形成した後、前記第2の有機フィルムを剥離して、前記第2のエッチングによって前記第1の細孔群を形成し、リン等のn型不純物をドープし、n型アモルファスシリコンを積層することを特徴とする。
本発明によれば、前記第2の有機フィルムを剥離するだけの簡単な作業で、前記金属膜のうち、不要な箇所を簡単かつ確実に除去することができ、信頼性の高い太陽電池素子が製造できる。
本発明は、前記点電極群を形成した後、H原子処理を行うことを特徴とする。
本発明によれば、前記点電極や前記点電極と接続される電気配線の低抵抗化を図ることができ、また、前記有機フィルムのうち、不要な露出部を除去することが容易となる。例えば触媒化学気相堆積装置内で触媒分解により生成した高密度H原子を用いてH原子処理を行う。
本発明は、前記シリコン基板の受光面側の前記窒化シリコン膜として、前記アモルファスシリコン薄膜に接する側を下地窒化シリコン膜とし、その上に、酸化シリコン、酸窒化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの当該下地窒化シリコン膜よりも屈折率の低い、酸素が含有された膜を積層することを特徴とする。
本発明によれば、前記窒化シリコン膜を屈折率の異なる積層膜として、波長の低い領域を広げることとなり、広帯域の太陽電池素子を製造することができる。
本発明は、本発明は、前記アモルファスシリコン薄膜が、アモルファスシリコンを骨格としつつ、水素、酸素、窒素、炭素、ゲルマニウム、錫、ボロン、リン、等の不可避不純物を含有するものであり、かつ、前記窒化シリコン膜が、窒化シリコンを骨格としつつ、水素、酸素、炭素、等の不可避不純物を含有するものであることを特徴とする。
本発明によれば、効率の高い太陽電池素子が、既存の製造ラインから得られる。前記不純物は、不可避的不純物の場合もあるし、積極的に含有させた不純物の場合もある。前記不純物の含有率は、任意に設定される。
本発明の裏面電極型太陽電池素子によれば、結晶シリコンや多結晶シリコン等の結晶系シリコン基板に対して、キャリヤの表面再結合を劇的に抑制できるアモルファスシリコンと窒化シリコンの積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができ、前記シリコン基板全面の大部分を外気から保護する構造となる。本発明によれば、触媒化学気相堆積法によって膜堆積されているので、前記結晶系シリコン基板の表面に欠陥が導入されずに済み、高品質の太陽電池素子となる。
本発明の裏面電極型太陽電池素子の製造方法によれば、先ず、結晶系シリコンの受光面及び裏面を、シリコン表面に欠陥を導入せずに膜堆積できる触媒化学気相堆積法を用いて作られる積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができる。そして、マスキングした後、エッチングによって前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置に点電極群を形成することで、前記シリコン基板全面の大部分を外気から保護することができ、前記結晶系シリコン表面での電子とホールの再結合が極限にまで抑制されるので、高い効率を得ることができる。
上述した本発明の裏面電極型太陽電池素子の製造方法によって、高効率の太陽電池素子が得られる。そして、前記裏面電極型太陽電池素子を配列することで、高効率の太陽電池となる。
本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、n型結晶シリコンの両面にアモルファスシリコンと窒化シリコンの積層膜を堆積した時の、試料の表面再結合速度の見積もられる最大値 Seff max をアモルファスシリコンの膜厚の関数として表したグラフ図である。アモルファスシリコンの堆積時の基板温度 Tsubが90℃、150℃の両方の場合の値を示しており、かつ、アモルファスシリコン膜がなく、窒化シリコン(SiNx)膜単独の場合の値を、アモルファスシリコン膜厚0の値として示している。
図1は、n型結晶シリコンの両面にアモルファスシリコンと窒化シリコンの積層膜を堆積した時の、試料の表面再結合速度の見積もられる最大値 Seff max をアモルファスシリコンの膜厚の関数として表したグラフ図である。アモルファスシリコンの堆積時の基板温度 Tsubが90℃、150℃の両方の場合の値を示しており、かつ、アモルファスシリコン膜がなく、窒化シリコン(SiNx)膜単独の場合の値を、アモルファスシリコン膜厚0の値として示している。
図2は、デバイスシミュレーターPC1Dにより見積もった、太陽電池素子の開放端電圧 VOC を結晶シリコンの厚みの関数とし、表面再結合速度 Seff をパラメーターとして示したグラフ図である。材料節約のため結晶シリコンの厚みが減少すると、表面再結合速度の大小が VOC の大小に大きな影響を持つことが見られる。なお、結晶シリコン内部でのキャリヤ寿命を 1 ms と仮定している。
図3は、本発明の第1の実施形態の裏面電極型太陽電池素子1を模式的に示す断面構造図である。太陽光照射面は、光の乱反射を利用して表面での太陽光の反射を極力防ぐ構造を取っている。点状の電極25,26が裏面のみに形成されているので、太陽光照射面に透明電極などを形成す必要はない。また、太陽光照射面には、太陽光を効率良く取り込むための種々の工夫が可能になるので、太陽光照射面から電極がなくなって電極影の影響が排除できただけでなく、この太陽電池構造には、大きな効用が生まれる。
図3に示す例では、電極部は、アモルファスシリコン薄膜3と窒化シリコン膜4を積層したパッシベーション膜で覆われたn型結晶シリコン2裏面の一部に細孔を開け、そこに現れた結晶シリコン表面に、電子収集電極部はリン原子を低温でドープした後その上にリンがドープされた極薄のn型アモルファスシリコンを挟んで金属電極26が形成され、一方、ホール収集電極部はボロンを低温でドープした後その上にボロンがドープされた極薄のp型アモルファスシリコンを挟んで金属電極25が形成された構造となっている。
図4は、本発明の第2の実施形態の裏面電極型太陽電池素子1を模式的に示す断面構造図である。図4に示す例では、電極部は、アモルファスシリコン薄膜3と窒化シリコン膜4を積層したパッシベーション膜で覆われたn型結晶シリコン2裏面の窒化シリコン層4の一部に細孔を開け、そこに現れたノンドープ真性アモルファスシリコン膜3を用いて、電子収集電極部はそのノンドープの極薄真性アモルファスシリコン膜3、リン原子がドープされた極薄n型アモルファスシリコン膜16を挟んで金属電極26が形成され、一方、ホール収集電極部はそのノンドープの極薄真性アモルファスシリコン膜3、ボロン原子がドープされた極薄n型アモルファスシリコン膜15を挟んで金属電極25が形成された構造となっている。いわゆる、HIT型太陽電池の電極構造となっている。
図5は、本発明の第3の実施形態の裏面電極型太陽電池素子1を模式的に示す断面構造図である。図5に示す例は、図3および図4に示した電極構造の両方を併せ持つ構造、すなわち、結晶シリコン2表面にリン原子またはボロン原子を低温で結晶系シリコン基板にドープした後に、HIT構造電極を形成する構造となっている。
(本発明の製造方法)
本発明の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。また、図8と図9は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順を模式的に示す断面構造図である。そして、図11は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造に用いる有機フィルム30を示す図である。ここでは、特に図1に示す構造例の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順について、詳細に説明する。
本発明の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。また、図8と図9は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順を模式的に示す断面構造図である。そして、図11は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造に用いる有機フィルム30を示す図である。ここでは、特に図1に示す構造例の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順について、詳細に説明する。
本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造手順は、SiNx膜の形成工程(符号S1)、有機フィルムによるマスキング工程(符号S2)、第1のエッチング工程(符号S3)、p型不純物のドープ工程(符号S4)、p型アモルファスシリコン薄膜の堆積及び金属膜の堆積工程(符号S5)、金属膜の不要部分の除去工程(符号S6)、第2のエッチング工程(符号S7)、n型不純物のドープ工程(符号S8)、n型アモルファスシリコン薄膜の堆積工程(符号S9)、点電極群の形成及び金属配線の形成工程(符号S10)、金属配線の低抵抗化及び有機フィルム露出部の除去工程(符号S11)、からなる(図10)
先ず、Cat-CVD法により、n型結晶シリコン基板2の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜3,13を形成し、さらに窒化シリコン膜4,14で被膜して、SiNx膜を形成する(図8(a)、符号S1)。
つまり、最初に、結晶系シリコンの受光面及び裏面を、シリコン表面に欠陥を導入せずに膜堆積できるCat-CVD法を用いて作られる積層膜で覆うことで、太陽光により生成された電子とホールの再結合を抑制することができる。
次に、有機フィルム30をn型結晶シリコン基板2の裏面にラミネートする(図8(b)、符号S2)。
図11に示すように、前記有機フィルム30は、第1の有機材料からなる第1のフィルム31と第2の有機材料からなる第2のフィルム32とからなる。前記第1の有機材料と前記第2の有機材料とは異種材料であり、前記第1のフィルム31にはリン等のn型不純物をドープするための第1の細孔群に対応した第1の開口群42が形成されるとともにボロン等のp型不純物をドープするための第2の細孔群に対応した第2の開口群41が形成されている。そして、前記第2のフィルム32が前記第1の開口群42を覆いつつ前記第2の開口群41を覆わずに前記第1のフィルム31上に剥離可能に貼り合わさっている。本実施形態によれば、マスク合わせの要らない1マスクで製造することができる。
そして、マスキングした後、第1のエッチングによって前記シリコン基板2の裏面側の窒化シリコン膜4及びモルファスシリコン薄膜3に所定間隔で細孔411(第2の細孔群411)を開ける(図8(c)、符号S3)。
第2の細孔群411を形成した後、ボロン等のp型不純物を350℃以下の低温でドープし(符号S4)、p型アモルファスシリコン薄膜を積層して導電性金属を堆積して金属膜50を形成する(図8(d)、符号S5)。
金属膜50を形成した後、前記第2の有機フィルム32を剥離することで、金属膜50の不要部分と一緒に除去する(図8(e)、符号S6)。
金属膜50の不要部分と一緒に除去した後、第2のエッチングによって細孔421(第1の細孔群421)を開ける(図9(a)、符号S7)。
第1の細孔群421を形成した後、リン等のn型不純物を350℃以下の低温でドープし(符号S8)、n型アモルファスシリコン薄膜を積層する(図9(b)、符号S9)。
次に、インクジェットによる液体塗布法によって点電極群25,26を形成し、金属配線を形成する(図9(c)、符号S10)。
前記金属配線を形成した後、高密度H原子を用いたH原子処理を行い、前記金属配線の低抵抗化及び前記第1の有機フィルム31の露出部を除去する(図9(d)、符号S11)。
本実施形態によれば、全工程を低温プロセスで行うことができるので、融点が200℃以下の安価な有機フィルムをマスキング材料として用いることができるようになり、廉価でありながら高品質なプロセスとすることができる。
図12は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造に用いるシリコン基板ホルダー121を示す図である。図12に示すように、Cat-CVD法では、基板加熱機構が不要なので、触媒体線122をシリコン基板ホルダー121の表側と裏側とに向かい合うように所定間隔で配置することで、結晶シリコン基板2の表裏同時堆積ができる。
(本発明の製造ライン)
図13は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造ラインを示す図である。
図13は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造ラインを示す図である。
本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の製造ラインは、例えば、一本の製造ラインで連続的に一連の製造プロセスを行う製造ラインとすることができる。図13に示す例では、結晶シリコン基板2を配列したシリコン基板ホルダー121をコンベヤ101に投入すると、ハロゲンランプ182が配されたロードロックチェンバー102にて150℃にシリコン基板2を事前加熱する。そして、シリコン基板2を90℃〜150℃に加熱した状態でa−Si膜堆積チェンバー103にてa−Si膜を堆積する。次に、ハロゲンランプ182が配されたチェンバー104にて250℃〜300℃にシリコン基板2を事前加熱する。そして、シリコン基板2を約250℃に加熱した状態でSiNx膜堆積チェンバー105にてSiNx膜を堆積する。次に、有機フィルムマスクの融着ラミネート用チェンバー106にて有機フィルムマスクを融着ラミネートする。次に、ドライエッチングによるSiNx/a−Si膜の孔開け加工用チェンバー107にてドライエッチングする。そして、触媒生成された低密度H原子によるソフトエッチングおよび欠陥消去処理用チェンバー108にてソフトエッチングおよび欠陥消去処理を行う。次に、ボロン低温ドーピング用チェンバー109にてボロン低温ドーピングを行う。そして、極薄 p+-a-Si堆積チェンバー110にて極薄 p+-a-Si堆積を行う。次に、金属膜電極堆積用スパッタチェンバー111にてスパッタリングを行う。そして、フィルム剥離装置内蔵チェンバー112にて、有機フィルム30のうちの第2の有機フィルム32を剥離する。次に、ドライエッチングによるSiNx/a-Si膜の孔開け加工用チェンバー113にてドライエッチングする。そして、触媒生成された低密度H原子によるソフトエッチングおよび欠陥消去処理用チェンバー114にてソフトエッチングおよび欠陥消去処理を行う。次に、リン低温ドーピング用チェンバー115にてリン低温ドーピングを行う。そして、極薄 n+-a-Si堆積チェンバー116にて極薄 n+-a-Si堆積を行う。次に、インクジェットによる金属配線形成用チェンバー117にて点電極群25,26及び金属配線の形成を行う。そして、触媒生成された高密度H原子照射による配線金属の低抵抗化および不要部分の有機フィルム除去用チェンバー118にて前記金属配線の低抵抗化及び前記有機フィルム露出部の除去を行う。そして、チャンバー119から太陽電池素子1が取り出される。
(実施例)
Cat-CVD法により、n型結晶シリコン両面に、アモルファスシリコン、窒化シリコンと順に積層し、その結晶シリコン試料内に光照射により発生したキャリヤの寿命を、マイクロ波光伝導減衰法と言う方法で計測し、さらに、そうして求めたキャリヤ寿命から、結晶シリコン内での電子とホールの再結合は無視できるという極端に厳しい仮定のもとに、結晶シリコンの表面再結合速度 Seff max を算出、それを、結晶シリコンに積むアモルファスシリコンの膜厚の関数で表したものが、図1である。アモルファスシリコンの厚みが10 nm以上で、表面再結合速度として見積もられる最大の値 Seff max は 1.5
cm/s と世界最高の値が得られる。
Cat-CVD法により、n型結晶シリコン両面に、アモルファスシリコン、窒化シリコンと順に積層し、その結晶シリコン試料内に光照射により発生したキャリヤの寿命を、マイクロ波光伝導減衰法と言う方法で計測し、さらに、そうして求めたキャリヤ寿命から、結晶シリコン内での電子とホールの再結合は無視できるという極端に厳しい仮定のもとに、結晶シリコンの表面再結合速度 Seff max を算出、それを、結晶シリコンに積むアモルファスシリコンの膜厚の関数で表したものが、図1である。アモルファスシリコンの厚みが10 nm以上で、表面再結合速度として見積もられる最大の値 Seff max は 1.5
cm/s と世界最高の値が得られる。
図2では、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1における開放端電圧 Voc の値を、そのSeff
max をパラメーターとし、結晶シリコン2の厚みの関数として見積もった値を示すが、太陽電池の効率に直結する重要なパラメーターである Voc は、結晶シリコン2の厚みが 100 mm 前後以下と薄くなると、
Seff max の値が小さいと0.75 Vと大幅に増大し、効率がその分大幅に向上することを、この図は示している。
max をパラメーターとし、結晶シリコン2の厚みの関数として見積もった値を示すが、太陽電池の効率に直結する重要なパラメーターである Voc は、結晶シリコン2の厚みが 100 mm 前後以下と薄くなると、
Seff max の値が小さいと0.75 Vと大幅に増大し、効率がその分大幅に向上することを、この図は示している。
図6は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の受光面がテクスチャ構造となっていることを示す走査型電子顕微鏡像である。太陽電池素子1の受光面に乱反射を起こさせて光反射率を落とす凹凸構造を施した表面構造の走査型電子顕微鏡像であり、その表面にピラミッド状の構造体が作られている様子が示されている。
図7は、本実施形態の裏面電極型太陽電池素子1の光反射率の照射光の波長依存性を示すグラフ図である。波長 540 nm から 750nm の間では、反射率は実に1%以下である。
太陽光照射面がこの反射特性を持つ太陽電池素子1の諸特性としては、短絡光電流 Jsc = 38.9 mA/cm2、Voc = 0.75 V、太陽電池特性の曲線因子
FF =0.86、効率=25.1 % が得られた。
FF =0.86、効率=25.1 % が得られた。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とがいずれも触媒化学気相堆積法によって形成されているとして説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
1 裏面電極型太陽電池素子、
2 結晶系シリコン基板、
3,13 アモルファスシリコン薄膜、
4,14 窒化シリコン膜、
5 ボロン等のp型不純物がドープされている領域、
6 リン等のn型不純物がドープされている領域、
25,26 点電極
2 結晶系シリコン基板、
3,13 アモルファスシリコン薄膜、
4,14 窒化シリコン膜、
5 ボロン等のp型不純物がドープされている領域、
6 リン等のn型不純物がドープされている領域、
25,26 点電極
Claims (29)
- 結晶系シリコン基板の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜が形成され、さらに窒化シリコン膜で被膜されている太陽電池素子であって、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群が形成されており、前記結晶系シリコン基板の裏面側のみに電極を形成したことを特徴とする裏面電極型太陽電池素子。
- 前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とがいずれも触媒化学気相堆積法によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにリン等のn型不純物がドープされてn型アモルファスシリコン薄膜が積層された構造であり、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにボロン等のp型不純物がドープされてp型アモルファスシリコン薄膜が積層された構造であることを特徴とする請求項1または2記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で開けられた細孔を通じて、その細孔位置近傍にリン等のn型不純物が350℃以下の低温でドープされた層が前記シリコン基板内に形成された構造であり、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で開けられた細孔を通じて、その細孔位置近傍にボロン等のp型不純物が350℃以下の低温でドープされた層が前記シリコン基板内に形成された構造であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- リン等のn型不純物がドープされた層が、フォスフィン等のリン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱固体との接触分解反応により分解生成された種を用いて形成されたものであり、かつ、ボロン等のp型不純物がドープされた層が、ジボラン等のボロン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱固体との接触分解反応により分解生成された種を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項4記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とがいずれも触媒化学気相堆積法によって形成されており、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜がマスキングされ、エッチングによって当該窒化シリコン膜に所定間隔で細孔が開けられて、その細孔群位置に点電極群が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 液体塗布法によって前記点電極群が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記シリコン基板がn型結晶シリコンであり、前記シリコン基板の受光面がテクスチャ構造となっていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記点電極群として、電子を収集する第1の電極群とホールを収集する第2の電極群とが交互に配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記マスキングとして有機フィルムが用いられているとともに、前記第2の電極群には導電性の金属膜が形成されており、前記窒化シリコン膜の直上で前記金属膜の直下に前記有機フィルムが残存していることを特徴とする請求項6記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記シリコン基板の受光面側の前記窒化シリコン膜は、前記アモルファスシリコン薄膜に接する側が下地窒化シリコン膜であり、その上に、酸化シリコン、酸窒化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの当該下地窒化シリコン膜よりも屈折率の低い、酸素が含有された膜が積層された構造であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 前記アモルファスシリコン薄膜が、アモルファスシリコンを骨格としつつ、水素、酸素、窒素、炭素、ゲルマニウム、錫、ボロン、リン、等の不純物を含有するものであり、かつ、前記窒化シリコン膜が、窒化シリコンを骨格としつつ、水素、酸素、炭素、等の不純物を含有するものであることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子。
- 請求項1から12のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子を配列した太陽電池。
- 結晶系シリコン基板の受光面及び裏面にアモルファスシリコン薄膜を形成し、さらに窒化シリコン膜で被膜した太陽電池素子の製造方法であって、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置に点電極群を形成し、前記結晶系シリコン基板の裏面側のみに電極を形成することを特徴とする裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 触媒化学気相堆積法によって前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とをそれぞれ形成することを特徴とする請求項14記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにリン等のn型不純物をドープしてn型アモルファスシリコン薄膜を積層したものであり、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記アモルファスシリコン薄膜上に、さらにボロン等のp型不純物をドープしてp型アモルファスシリコン薄膜を積層したものであることを特徴とする請求項14または15記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記点電極群の内、電子を収集する第1の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、当該細孔を通じてその細孔位置近傍にリン等のn型不純物を350℃以下の低温で前記シリコン基板にドープして層構造を形成し、かつ、前記点電極群の内、ホールを収集する第2の電極群は、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、当該細孔を通じてその細孔位置近傍にボロン等のp型不純物を350℃以下の低温で前記シリコン基板にドープして層構造を形成することを特徴とする請求項14または15記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- フォスフィン等のリン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱触媒体との接触分解反応を用いて分解して生成した種に曝すことで、リン等のn型不純物を前記シリコン基板にドープし、かつ、ジボラン等のボロン系ガスを触媒化学気相堆積装置内で加熱触媒体との接触分解反応を用いて分解して生成した種に曝すことで、ボロン等のp型不純物を前記シリコン基板にドープすることを特徴とする請求項16または17記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 触媒化学気相堆積法によって前記アモルファスシリコン薄膜と前記窒化シリコン膜とをそれぞれ形成し、前記シリコン基板の裏面側の窒化シリコン膜をマスキングし、ドライエッチングによって当該窒化シリコン膜に所定間隔で細孔を開けて、その細孔群位置に点電極群を形成することを特徴とする請求項14から18のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 液体塗布法によって前記点電極群を形成することを特徴とする請求項14から19のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記シリコン基板がn型結晶シリコンであり、前記シリコン基板の受光面をテクスチャ構造とすることを特徴とする請求項14から20のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記点電極群として、電子を収集する第1の電極群とホールを収集する第2の電極群とを交互に配置することを特徴とする請求項14から21のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記マスキングに際して、前記細孔群に対応する開口群が形成された有機フィルムを用いてマスキングすることを特徴とする請求項19記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記有機フィルムが第1の有機材料からなる第1のフィルムと第2の有機材料からなる第2のフィルムとからなり、前記第1のフィルムにはリン等のn型不純物をドープするための第1の細孔群に対応した第1の開口群が形成されるとともにボロン等のp型不純物をドープするための第2の細孔群に対応した第2の開口群が形成されており、前記第2のフィルムが前記第1の開口群を覆いつつ前記第2の開口群を覆わずに前記第1のフィルム上に剥離可能に貼り合わさっている有機フィルムであることを特徴とする請求項23記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記エッチングが第1のエッチングと第2のエッチングとからなり、前記有機フィルムを用いてマスキングした後、前記第1のエッチングによって前記第2の細孔群を形成し、ボロン等のp型不純物をドープし、p型アモルファスシリコンを積層し、導電性金属を堆積して金属膜を形成した後、前記第2の有機フィルムを剥離して、前記第2のエッチングによって前記第1の細孔群を形成し、リン等のn型不純物をドープし、n型アモルファスシリコンを積層することを特徴とする請求項24記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記点電極群を形成した後、H原子処理を行うことを特徴とする請求項14から25のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記シリコン基板の受光面側の前記窒化シリコン膜として、前記アモルファスシリコン薄膜に接する側を下地窒化シリコン膜とし、その上に、酸化シリコン、酸窒化シリコンまたは酸化アルミニウムなどの当該下地窒化シリコン膜よりも屈折率の低い、酸素が含有された膜を積層することを特徴とする請求項14から26のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 前記アモルファスシリコン薄膜が、アモルファスシリコンを骨格としつつ、水素、酸素、窒素、炭素、ゲルマニウム、錫、ボロン、リン、等の不純物を含有するものであり、かつ、前記窒化シリコン膜が、窒化シリコンを骨格としつつ、水素、酸素、炭素、等の不純物を含有するものであることを特徴とする請求項14から27のいずれか一項記載の裏面電極型太陽電池素子の製造方法。
- 請求項14から28のいずれか一項記載の製造方法によって製造された裏面電極型太陽電池素子。
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JP2012280379A JP2014123689A (ja) | 2012-12-24 | 2012-12-24 | 裏面電極型太陽電池素子とその製造方法 |
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JP2016157807A (ja) * | 2015-02-24 | 2016-09-01 | 京セラ株式会社 | 光電変換装置 |
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