JP2014123082A - 回折格子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高反射率のリトロミラー、3、4ポート素子の提供。
【解決手段】周期構造10は、1周期において、x軸の負の向きに沿って、第1領域11と、第1領域11の幅よりも広い第2領域12と、第1領域11及び第2領域12の屈折率よりも小さい第1領域11と第2領域12との間の第1スペーサ領域13と、第1領域11及び第2領域12の屈折率よりも小さくx軸方向の幅が第1スペーサ領域13よりも狭い第2スペーサ領域14とを有する。入射角が5°以上、80°以下の範囲で、第1方向であってx軸の正から負の向きに、周期構造10の表面に光を入射させた時に、反射して第1方向の側であってx軸の正の向きに向かう−1次反射光の反射率を、第2方向であってx軸の負の向きに向かう0次反射光の反射率、屈折して第3方向であってx軸の負の向きに向かう0次透過光及び第4方向であってx軸の正の向きに向かう−1次透過光の透過率に比べて、大きい。
【選択図】図1
【解決手段】周期構造10は、1周期において、x軸の負の向きに沿って、第1領域11と、第1領域11の幅よりも広い第2領域12と、第1領域11及び第2領域12の屈折率よりも小さい第1領域11と第2領域12との間の第1スペーサ領域13と、第1領域11及び第2領域12の屈折率よりも小さくx軸方向の幅が第1スペーサ領域13よりも狭い第2スペーサ領域14とを有する。入射角が5°以上、80°以下の範囲で、第1方向であってx軸の正から負の向きに、周期構造10の表面に光を入射させた時に、反射して第1方向の側であってx軸の正の向きに向かう−1次反射光の反射率を、第2方向であってx軸の負の向きに向かう0次反射光の反射率、屈折して第3方向であってx軸の負の向きに向かう0次透過光及び第4方向であってx軸の正の向きに向かう−1次透過光の透過率に比べて、大きい。
【選択図】図1
Description
本発明は、分光器、パルス整形器、レーザ共振器、光通信用マルチプレクサなどに用いられる反射型回折格子に関する。
最近、基板上にリッジと溝の周期構造を形成した透過型の回折格子が知られている。下記特許文献1によると、石英ガラス上に、TiO2 の単一幅のリッジと単一幅の溝との周期構造を配設した回折格子が知られている。この回折格子の面に垂直に光を入射させた場合に、垂直に透過する0次の透過光を0として、水平方向に屈折させる1次の透過光を得ることができる。また、0次の透過を0として、所定角に屈折する光を大きくするために、1周期に占めるリッジの割合と溝の深さが決定されている。
また、非特許文献1においては、単一幅のリッジとギャップとの周期構造における透過型回折格子において、回折格子の入射面の法線に対して所定角で入射する光のリッジ内の水平方向及び垂直方向の電界分布の解析手法が開示されている。そして、リッジの周期構造の配列方向の電磁界分布に関する2つのモードの波の基板に垂直な方向に進行した時の位相差により、0次の透過光と−1次の透過光との強度を変化させることができるとしている。この位相差は、溝の深さにより決定できる。0次の透過光は、基板と同じ屈折率を有した平板に光が入射した時に屈折する方向の光であり、−1次の透過光は入射光の側に屈折する光である。
また、下記非特許文献2においては、SiO2 基板上に、TiO2 から成る幅の狭いリッジ、空気から成る幅の広い溝、幅の広いリッジ、幅の狭い溝との配設を1周期とする周期構造を基板上に配設した透過型回折格子が開示されている。この回折格子では、回折格子の入射面に垂直に入射した光について、法線の両側に屈折する1次の透過光と−1次の透過光の強度が解析されている。これによると、リッジの周期の方向(x軸方向)の電磁界分布に関する3つのモードのそれぞれの溝の深さ方向に進行する光の合成により1次の透過光と−1次の透過光の強度が決定される。そして、垂直入射に対して、屈折効率97%の1次の透過光が得られ、0次の透過光、−1次の透過光は、実質的に0とすることができる。また、この回折格子に対して裏面側の3方向から入射された光の反射と0次の透過との関係が開示されている。この原理を用いた入出力に対して非対称な4ポート素子が開示されている。
また、特許文献2には、非特許文献2の透過型回折格子を用いた、入出力に対して非対称な4ポート素子が開示されている。
一方、反射型回折格子として、下記特許文献3の素子が知られている。これによると、入射光を体積ホログラムにより回折させて、その裏面にあるミラーで反射させて、入射光の側に反射させるリトロマウント構造が知られている。
T. Clausnitzer, T. Kampfe, E.-B. Kley, A. Tunnermann, U. Peschel, A. V. Tishchenko, and O. Parriaux,"An intelligible explanation of highly-efficient diffraction in deep dielectric rectangular transmission gratings, " Opt. Express 13, 10448 (2005).
H. Iizuka, N. Engheta, H. Fujikawa, K. Sato, and Y. Takeda,"Role of propagating modes in a double-groove grating with a +1st-order diffraction angle larger than the substrate-air critical angle," Opt. Lett. 35, 3973 (2010).
ところが、反射型の回折格子の場合には、回折格子を透過した光を、金属や誘電体多層膜による反射膜により光の入射側に反射させる構造である。金属を用いた場合、光の一部が反射膜で吸収され、反射効率が100%にはなり得ない。また、強い光を用いる場合は光吸収により回折格子の損傷につながる。また、誘電体多層膜による反射膜を用いるためには、誘電体層を何度にも分けて製膜する必要があり、部品点数が増加し製造コストが増大する。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は誘電率の異なる周期構造だけで、法線に対して斜めから入射した光に対して、法線に対してその入射方向の側に反射する−1次反射光の反射率を実質上1にできる回折格子を提供することである。また、他の目的は、入出力に対して非対称特性を有した3又は4ポート素子を実現することである。
第1の発明は、基板上に、基板面上に原点と任意の1軸方向にx軸をとり、基板面に垂直な外向きを正とするz軸をとるとき、x軸の方向に屈折率が周期的に変化し、z軸の正の向きに高さを有する周期構造を有した回折格子において、周期構造は、1周期において、少なくとも、x軸の負の向きに沿って、x軸の方向に幅を有した第1領域と、x軸の方向の幅が第1領域の幅よりも広い第2領域と、屈折率が第1領域及び第2領域の屈折率よりも小さく第1領域と第2領域との間の第1スペーサ領域と、屈折率が第1領域及び第2領域の屈折率よりも小さくx軸方向の幅が第1スペーサ領域の幅よりも狭く、第2領域のx軸の負の側に隣接する第2スペーサ領域とを有し、基板面の法線に対する入射角が5°以上、80°以下の範囲で、第1方向であってx軸の正から負の向きに、周期構造の表面に光を入射させた時に、反射して法線に対して第1方向の側であってx軸の正の向きに向かう−1次反射光の反射率を、反射して第2方向であってx軸の負の向きに向かう0次反射光の反射率、屈折して第3方向であってx軸の負の向きに向かう0次透過光の透過率、屈折して第4方向であってx軸の正の向きに向かう−1次透過光の透過率に比べて、大きくしたことを特徴とする回折格子である。
詳細は、後述するが、図1に示すような屈折率に関する周期構造を形成して、幅の狭い第1領域−幅の広い第1スペーサ領域−幅の広い第2領域−幅の狭い第2スペーサ領域のの順の配列方向に進行する成分を有する光を周期構造の表面から入射させた時に、法線に対して入射側に反射する−1次反射光の反射率を、0次反射光の反射率、0次透過光及び−1次透過光の透過率よりも大きくすることができる。なお、第1領域及び第2領域の屈折率は第1スペーサ領域及び第2スペーサ領域の屈折率よりも大きい。本発明では周期構造の表面に対して斜め方向から光を入射させることが特徴である。
法線に対して5°以上、80°以下の角度範囲で、光を入射させる。この場合に、光の入射面は、周期構造の配列方向に平行とする。これにより、入射光は、周期構造の配列方向の成分を有する。周期構造の設計上は、このような方向からの入射光を前提としているが、使用時には、光の入射面は、必ずしも、周期構造の配列方向に平行である必要はない。光の入射面を周期構造の配列方向に平行にする場合が、最も効率高く−1次反射光を得ることができる。また、−1次反射光の進行の向きは、第1方向と同一方向であって反対の向きが典型的な場合(リトロマウント)であるが、一般的には、法線に対して第1方向の側に進行する向きである。したがって、本発明は、反射角と入射角とが同一である必要はない。すなわち、本発明は、入射光と反射光との光軸が一致している場合と、一致していない場合とを含む。例えば、入射角60°に対して−1次反射光の反射角が50°である場合も本発明に含まれる。また、−1次反射光の反射角は、波長に依存する。
また、入射角が5°より小さい場合、80°よりも大きい場合には、−1次反射光の反射率が低下するので、この範囲が望ましい。また、入射角が5°よりも小さくなると、可視光、近赤外光領域の波長に対してリトロマウント条件を満たす周期構造の周期が長くなりすぎるので望ましくない。また、入射角は10°以上80°以下が望ましく、さらに、望ましくは25°以上、80°以下が望ましい。また、1周期において、少なくとも第1領域、第2領域、第1スペーサ領域、第2スペーサ領域が存在すれば良く、領域とスペーサ領域との組が3組以上存在していても良い。
本発明において、第1領域の幅、第2領域の幅、第1スペーサ領域の幅、第2スペーサ領域の幅、周期構造の高さは、周期構造の実効屈折率、入射光の波長、入射角に対して、周期構造のx軸の方向の電界分布に関する各x軸モードに対して、z軸の正の方向に伝搬するアップモードと、アップモードと振幅が等しく位相が異なるz軸の負の方向に伝搬するダウンモードとの2つの共振モードが存在するように設定されている。周期構造にはz軸方向において、周期構造の表面と、周期構造と基板との界面との間での多重反射によりz軸の正方向に進行する電磁波(アップモード)とz軸の負方向に進行する電磁波(ダウンモード)との合成による共振状態の定在波が形成される。また、x軸方向の電磁波の分布は、周期構造に応じた複数のx軸モードが存在する。この各x軸モード毎に、アップモードとダウンモードとの振幅が等しく、位相が異なるように、周期構造の幅、周期、高さが設定されている。周期構造と基板との界面においては、アップモードとダウンモードの位相差をπとし、周期構造の表面(入射面)においては、それらの位相差をπ/4とするように設計されている。
本発明において、x軸モードは、直交関係にある0次モードと1次モードとの2つのモード又は3つ以上のモードのそれぞれに対して、アップモードとダウンモードとの2つのモード、合計少なくとも4つのモードを存在させることが望ましい。すなわち、0次モードと1次モードとの2つのモードを考慮する場合には、合計4つのモードを存在させることが望ましい。リトロマウント構造の場合には、低次のモードとして、周期構造の周期の2倍を1周期とする0次モード、1次モードを考慮しても良い。
本発明において、−1次反射光の反射率は、70%以上とするのが望ましい。望ましくは80%以上、さらに、望ましくは90%以上、最も望ましくは95%以上とする。設計上は設計波長に対して、99.8%以上、実質上100%が得られる。さらに、望ましくは、0次反射光、0次透過光、−1次透過光の強度が、実質上、0となるように、4つ以上のモードが干渉するように周期構造が設計されていることが望ましい。
また、本発明においては、後述するが、図8に示すように、4つの第1〜第4方向#1〜#4から光を入射させた場合に、特徴的な光出力関係が存在する。第1点は、上記したように第1方向#1から光を入射させた場合に、法線に対して第1方向の側に反射される−1次反射光の反射率を実質上、100%とすることができる。
第2点は、第2方向#2から光を入射させた場合の特性である。すなわち、第2方向であってx軸の負から正の向きに、周期構造の表面に光を入射させた時には、屈折して第3方向であってx軸の負の向きに向かう−1次透過光の透過率が、屈折して第4方向であってx軸の正の向きに向かう0次透過光の透過率、反射して第1方向であってx軸の正の向きに向かう0次反射光の反射率、反射して法線に対して第2方向の側であってx軸の負の向きに向かう−1次反射光の反射率に比べて、大きい。
第3点は、第4方向#4から光を入射させた場合の特性である。すなわち、周期構造と基板との界面からの周期構造に光が入射する場合において、第4方向であってx軸の正から負の向きに向けて、界面に光を入射させた時に、反射して法線に対して第4方向の側であってx軸の正の向きに向かう−1次反射光の反射率が、反射して第3方向であってx軸の負の向きに向かう0次反射光の反射率、屈折して第1方向であってx軸の正の向きに向かう−1次透過光の透過率、屈折して第2方向であってx軸の負の向きに向かう0次透過光の透過率に比べて、大きい。
第4点は、第3方向#3から光を入射させた場合の特性である。すなわち、周期構造と基板との界面からの周期構造に光が入射する場合において、第3方向であってx軸の負から正の向きに向けて、界面に光を入射させた時に、屈折して第2方向であってx軸の負の向きに向かう−1次透過光の透過率が、屈折して第1方向であってx軸の正の向きに向かう0次透過光の透過率、反射して第4方向であってx軸の正の向きに向かう0次反射光の反射率、反射して法線に対して第3方向の側であってx軸の負の向きに向かう−1次反射光の反射率に比べて、大きい。
本発明の回折格子は、周期構造の表面からの2方向の入射、裏面(基板との界面)からの2方向の入射の合計4方向からの入射に対して、非対称な出力特性を有する。
本発明の回折格子は、周期構造の表面からの2方向の入射、裏面(基板との界面)からの2方向の入射の合計4方向からの入射に対して、非対称な出力特性を有する。
本発明において、周期構造の第1領域及び第2領域は同一材料、第1スペーサ領域及び第2スペーサ領域は同一材料で形成されていることが望ましい。もちろん、第1領域と第2領域とを屈折率の異なる別材料としても良く、第1スペーサ領域と第2スペーサ領域とを屈折率の異なる別材料としても良い。また、材料の一例として、周期構造の第1領域及び第2領域は、シリコン、又は、酸化チタンから成ることが望ましい。また、基板材料の一例として、酸化シリコンを用いることが望ましい。第1領域及び第2領域をシリコンとした場合には、SOI基板を用いることができる。
周期構造の第1領域及び第2領域の高さは等しいことが望ましい。もちろん、異なっていても良い。第1スペーサ領域及び第2スペーサ領域は、真空、空気又は誘電体とすることが望ましい。誘電体で充填することで、周期構造を機械的及び化学的に保護することができる。周期構造の第1領域及び第2領域の誘電率は、基板の誘電率よりも大きいことが望ましい。周期構造の第1領域と第2領域とは、材料又は高さが異なるっていても良い。周期構造は、基板上に形成された面状の層をエッチングして形成されていることが望ましい。周期構造の形成にはナノ加工を用いることができる。
本発明の回折格子は、上記したように、4方向からの光の入射に対して特徴ある非対称性を有している。したがって、この特性を用いた様々な応用装置が考えられる。例えば、上記構造の回折格子と、周期構造に入射させる光の向きを反射により反転させる可動ミラーとを有し、反転により光の透過をオンオフ制御する光スイッチを実現することができる。すなわち、第1方向から光を入射させた場合には、法線に対して第1方向の側に光を実質上100%反射させるので、この素子はオフ状態となる。可動ミラーを微小移動させて、同一方向からの入射光を反射させて第2方向から周期構造に入射させた場合には第3方向に透過するので、この素子はオン状態となる。このように可動ミラーをゲートとする光スイッチを実現することができる。
また、上記の周期構造が基板上の一部の領域に形成され、他の領域には形成されていない回折格子と、他の領域の基板の表面に第2方向から光を入射させ基板の裏面で反射させて、その反射光を、周期構造と基板との界面に第3方向から周期構造に入射させて、第2方向に−1次透過光を得て、−1次透過光を反射させるミラーとを有する像面変換装置を実現することができる。これにより反転像が得られる。
また、上記の周期構造を有する第1周期構造と、第1周期構造に対して配列の向きが反対の向きを有した第2周期構造とが、基板上に配列された回折格子と、第1反射面とその裏面の第2反射面とを有したミラーであって、光を第1反射面により反射させて第1周期構造の第2方向から光を入射させるミラーと、を有し、第1周期構造の第3方向に出力される−1透過光を基板の裏面で反射させて、その反射光を、第2周期構造と基板との界面に第2周期構造の第3方向から第2周期構造に入射させて、第2周期構造の第2方向に−1次透過光を得て、−1次透過光をミラーの第2反射面により反射させることにより、像面変換装置を実現することができる。
上述したように、本発明の回折格子によれば、入射角が5°以上、80°以下の範囲で、第1方向であって、幅の狭い第1領域−幅の広い第1スペーサ領域−幅の広い第2領域−幅の狭い第2スペーサ領域の順に向かう配列方向の成分を有する向きに光を周期構造の表面から入射させた時に、法線に対して同一方向の側に反射する−1次反射光の反射率を、0次反射光の反射率、0次透過光及び−1次透過光の透過率よりも大きくすることができることを、本発明者らは初めて見い出した。したがって、本発明の回折格子は反射膜を用いることなく、−1次反射光を得ること、すなわち、リトロミラーとすることができる。また、上記したように、4方向からの光の入射に対して、非対称な出力特性を得ることができるので、3又は4ポート素子として、本発明の回折格子を用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照して説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1に係る反射型回折格子1の構成を図1に示す。SiO2 から成る誘電体基板20の基板面20a上に、Siから成る周期構造10が形成されている。基板面20a上にo−xyz直交座標系をとる。周期構造10は、x軸の負の向きに沿って、幅W1 のリッジから成る第1領域11、エアギャップから成る幅d1 の第1スペーサ領域13、幅W1 より幅の広い幅W2 を有したリッジから成る第2領域12、幅d1 よりも幅の狭い幅d2 を有したエアギャップから成る第2スペーサ領域14の配列を1周期とする周期構造である。なお、第2スペーサ領域14は第2領域12と、次の周期の第1領域11aとの間の領域である。
本反射型回折格子1は、入射光に対して、−1次反射光(入射光の方向に反射する反射光)を得るリトロミラーを構成している。本実施例では、入射光の波長λは1550nm、第1領域11の幅W1 は200nm、第2領域12の幅W2 は300nm、第1スペーサ領域13の幅d1 は285nm、第2スペーサ領域14の幅d2 は110nm、1周期pは895nm、周期構造10の高さhg は、1030nmである。また、第1領域11の幅の中心線と第2領域12の幅の中心線との間隔dは、360nmである。第1領域11及び第2領域12の材質はシリコン(Si)、誘電体基板20の材質は酸化シリコン(SiO2 )、第1スペーサ領域13及び第2スペーサ領域14の材質は空気である。
上記の構造の回折格子1は、製作が容易である。それは、元となる基板として今日頻繁に産業界で用いられているSOI(Silicon on insulator)基板を用いることができるためである。また、周期構造の製作においては、MEMSの製作でよく用いられるボッシュプロセスにより高アスペクト比の構造を精度よく製作することができる。また、下側がボッシュプロセスによって破壊されない酸化シリコンの基板であるため、エッチングストップのための終点検出の必要なくウエハ全体で均一に周期構造10を製作することができる。なお、第1スペーサ領域13、第2スペーサ領域14の材料は空気としたが、屈折率の小さい誘電体で充填されていても良いし、回折格子1を別の入射光に対して透明な容器に入れて真空としても良い。
次に本発明の原理について説明する。直交座標系o−xyzは、図1に示すようにとる。入射光Linはx軸の正から負の向きに向かい、入射角θinで入射する。この方向を第1方向とする。入射面はxz面に平行である。したがって、入射光Linは−x、−z方向に進行する。また、周期構造10からの反射光であって、入射光Linのx軸方向の進行側(負方向)の第2方向に反射する光を0次反射光LR0 、入射光Linのx軸方向の進行側とは反対側(入射側、x軸正方向)の第1方向に反射する光を−1次反射光LR-1とする。また、屈折して基板20と周期構造10との界面である基板表面20aから基板20側への透過光であって、入射光Linのx軸方向の進行側(負方向)の第3方向に透過する光を、0次透過光LT0 、入射光Linのx軸方向の進行側とは反対側(入射側、x軸正方向)の第4方向に透過する光を−1次透過光LT-1とする。
p偏光の入射光のy成分磁界Hy について、次の(1)が成立する。(1)式が成立すれば、周期構造10内におけるy成分磁界Hy について、xに関する関数X(x)とzに関する関数Z(z)とに変数分離可能であるので、(2)式が成立する。したがって、Z(z)、X(x)のそれぞれについてマックスウエルの方程式から、次の(3)式、(4)式が、それぞれ、成立する。
ただし、iは、第1領域11、第1スペーサ領域13、第2領域12、第2スペーサ領域14を区別する変数である。ki,x はx軸方向の領域iでの波数である。
また、各領域i毎の(4)式の固有関数Xi (x)の一般解は(6)式で表される。
ただし、x' は、各領域iの左端でx' =0となるように正規化されたx座標である。(6)式のki,x は、第1スペーサ領域13及び第2スペーサ領域14においてはα、リッジである第1領域11及び第2領域12においてはβである。α、βについて、第1領域11と第1スペーサ領域13との界面、第1スペーサ領域13と第2領域12との界面、第2領域12と第2スペーサ領域14との界面におけるy成分磁界Hy の連続性から、次の(7)式が成立する。
ただし、k0 は自由空間での波数、θinは入射角、neff はkz =k0neff で定義される有効屈折率である。kmzはモードmのz軸方向の波数であり、第1、第2領域11、12、第1、第2スペーサ領域13、14には依存ぜず、同一値である。また、ng は第1領域11、第2領域12のリッジの屈折率であり、第1スペーサ領域13と第2スペーサ領域14とは共に空気であるので、屈折率は1である。また、α、βは、(6)式のki,x である。αは、スペーサ領域での波数のx成分、βはリッジでの波数のx成分である。
本発明では、(7)式の右辺が−1、すなわち、k0 psin(θin)=πの関係(リトロマウント条件)を満たすように、入射光の自由空間波長λ0 に対して入射角θinと周期pが決定されている。そして、(7)式の右辺が−1になるように、幅ω1 、ω2 、d1 、d2 の組合わせが決定される。この条件が満たされる時に、−1次反射光は反射角が−θin、すなわち、入射光と同一経路で反射される。
次に、基板20と周期構造10との界面である基板表面20a(z=0の面)において、各mモード(x軸モード)のアップモードとダウンモードの合成から、n次透過光の透過率Tn は、次の(9)式で表される。
ただし、C+ T,mnは、m−アップモード(z軸の正方向に伝搬するx軸mモード)が、n次透過光に寄与する結合係数である。C- T,mnは、m−ダウンモード(z軸の負方向に伝搬するx軸mモード)が、n次透過光に寄与する結合係数である。また、C+ T,mn=FmnA+ m であり、C- T,mn=FmnA- m である。ただし、FmnA+ m 、FmnA- m は、(1)式の入射光強度H0 を1に規格化した値である。また、A+ m は、Z=0におけるm−アップモードのZ成分の規格化振幅であり、A- m は、Z=0におけるm−ダウンモードのZ成分の規格化振幅である。すなわち、A+ m 、A- m は、それぞれ、(5)式におけるC、Dのことである。本発明では、C+ T,mn=−C- T,mn、したがって、A+ m =−A- m を満たすように、周期構造10の高さhg が設定される。この条件の場合に、各n次透過光の透過率を、Tn =0とすることができる。
次に、周期構造10の表面(入射面、z=hg )における電磁波を考える。z=0においてA+ m のアップモードのy成分磁場Hy は、z=hg において、exp(jΛm hg )の位相回転を受ける。同様に、z=0においてA- m のダウンモードのy成分磁場Hy は、z=hg において、exp(−jΛm hg )の位相回転を受ける。したがって、z=hg における各mモード(x軸モード)毎のアップモードとダウンモードの電磁波の合成から、n次反射光の反射率Rn は、次の(10)式で表される。
ただし、C+ R,mnは、m−アップモード(z軸の正方向に伝搬するx軸mモード)が、n次反射光に寄与する結合係数である。C- R,mnは、m−ダウンモード(z軸の負方向に伝搬するx軸mモード)が、n次反射光に寄与する結合係数である。また、Λm は、各mモードの波数のz成分であり、(5)式のkmzのことである。
ただし、C+ R,mnは、m−アップモード(z軸の正方向に伝搬するx軸mモード)が、n次反射光に寄与する結合係数である。C- R,mnは、m−ダウンモード(z軸の負方向に伝搬するx軸mモード)が、n次反射光に寄与する結合係数である。また、Λm は、各mモードの波数のz成分であり、(5)式のkmzのことである。
また、(9)式、(10)式のFmnは、次の(11)式で表され、各モード成分のn次透過光、n次反射光への結合を表している。
リトロマウント条件を満たす時には、sin(θin)=λ0 /(2p)が成立するので、(11)式の指数関数は、exp{[(−jλ0 /(2p)]x}となる。
(9)式において、Tn =0とする条件は、すなわち、周期構造10と基板20の界面において、各mモードについてアップモードとダウンモードの振幅が等しく、位相差をπとする条件である。そして、(10)式により周期構造10の入射面(Z=hg )において、R-1を1とする条件は、各mモードについてアップモードとダウンモードの振幅が等しく、位相差がπ/2となることである。Λm は、有効屈折率neff により決定されるので、入射角θin、第1及び第2領域の屈折率、第1及び第2スペーサ領域の屈折率により決定される。よって、これらの既知の屈折率から、第1領域及び第2領域の高さhg を決定することができる。
(9)式において、Tn =0とする条件は、すなわち、周期構造10と基板20の界面において、各mモードについてアップモードとダウンモードの振幅が等しく、位相差をπとする条件である。そして、(10)式により周期構造10の入射面(Z=hg )において、R-1を1とする条件は、各mモードについてアップモードとダウンモードの振幅が等しく、位相差がπ/2となることである。Λm は、有効屈折率neff により決定されるので、入射角θin、第1及び第2領域の屈折率、第1及び第2スペーサ領域の屈折率により決定される。よって、これらの既知の屈折率から、第1領域及び第2領域の高さhg を決定することができる。
図3は、各モードmのアップモードとダウンモードとから、n次の透過光、n次反射光が合成される概念を示した図である。0モード−ダウンモード、0モード−アップモード、1モード−ダウンモード、1モード−アップモードの4つのモードとから、−1次反射光LR-1、0次反射光LR0 、−1次透過光LT-1、0次透過光LT0 が、上記の説明により得られる。
また、合成により、−1次反射光LR-1を得るための(10)式の結合係数C+ R,mn、C- R,mnをm=0,1、n=−1について表すと図4のようになる。4つの結合係数(複素数)の合成の絶対値が−1次反射光の反射率を表している。合成値は、ほぼ、単位円上に位置し、−1次の反射光の反射率が大きいことがわかる。すなわち、0モード−アップモードと0モード−ダウンモードとの位相差がπ/2、1モード−アップモードと1モード−ダウンモードとの位相差がπ/2であり、それぞれの合成値の位相差がπ/2であることから、4つのモードの合成が大きくなっている。
また、合成により、0次反射光LR0 を得るための(10)式の結合係数C+ R,mn、C- R,mnをm=0,1、n=0について表すと図5のようになる。4つの結合係数(複素数)の合成に入射光の強度Iin(=−1)を加えた絶対値が0次反射光の反射率を表している。合成値は、ほぼ、単位円の原点に位置し、0次反射光の反射率は実質上、0であることがわかる。この場合には、4つのモードの合成が、入射光と逆位相となるので、0次反射光は0となっている。
また、合成により、−1次透過光LT-1を得るための(9)式の結合係数C+ T,mn、C- T,mnをm=0,1、n=−1について表すと図6のようになる。4つの結合係数(複素数)の合成の絶対値が−1次透過光の透過率を表している。合成値は、ほぼ原点に位置し、透過率は実質上、0であることがわかる。すなわち、0モード−アップモードと0モード−ダウンモードとの位相差がπ、1モード−アップモードと1モード−ダウンモードとの位相差がπであるので、それぞれの合成が0となることから、4つのモードの合成も0となることが理解される。
また、合成により、0次透過光LT0 を得るための(9)式の結合係数C+ T,mn、C- T,mnをm=0,1、n=0について表すと図7のようになる。4つの結合係数(複素数)の合成の絶対値が0次透過光の透過率を表している。合成値は、ほぼ原点に位置し、透過率は実質上、0であることがわかる。この場合も−1次透過光と同様に、0モード−アップモードと0モード−ダウンモードとの位相差がπ、1モード−アップモードと1モード−ダウンモードとの位相差がπであるので、それぞれの合成が0となることから、4つのモードの合成も0となることが理解される。
次に、−1次反射光LR-1、0次反射光LR0 の反射率、−1次透過光LT-1、0次透過光LT0 の透過率の波長依存特性を図2に示す。周期構造10の設計時の入射光の波長λ0 =1550nmにおいて、−1次反射光LR-1の反射率は実質上1、0次反射光LR0 の反射率及び−1次透過光LT-1、0次透過光LT0 の透過率は、実質上0であることがわかる。なお、周期構造10を構成するシリコン(Si)と、基板20を構成する酸化シリコン(SiO2 )の誘電率は共に1550nm波長帯域において、実数であることから、損失なく反射させることができる。
上記の説明では入射光は、p偏光として説明したが、s偏光についても、y成分磁界Hy をy方向電界Ey として、境界条件をy方向電界Ey に関する境界条件とすれば、上記(1)式〜(11)式は、そのまま成立する。上記(1)式〜(11)式は、y方向電界Hy 、y方向電界Ey とについて成立するのであるから、入射光が、任意角での直線偏光、円偏光、楕円偏光であっても、上記の原理は成立する。
次に、本実施例の回折格子1を4つの入出力ポートを有する分岐素子とした場合について説明する。図1に示す回折格子1において、図8に示すように、入射角θinで入射光Linを導入するポート#1、0次反射光LR0 が出力される角度位置にポート#2、0次透過光LT0 が出力される角度位置にポート#3、−1次透過光LT-1が出力される角度位置にポート#4を設ける。
ポート#1から光を入射させた場合のポート#2、#3、#4から出力される光の強度は上述した通りである。今、任意の一つのポートから光を入射させて、他の3つのポートから出力される光の強さ(入射光強度に対する割合%)を求めた。その結果を表1に示す。
ポート#1から入射した光は、99.8%がポート#1から−1次反射光として出力される。ポート#2から出力される0次反射光は0.1%である。ポート#3から出力される0次透過光は0.1%である。ポート#4から出力される−1次透過光は0%である。
一方、ポート#2から入射した光は、98.5%がポート#3から−1次透過光として出力される。ポート#1から出力される0次反射光は0%であり、ポート#2から出力される−1次反射光は0.5%であり、ポート#4から出力される0次透過光は1%である。
また、ポート#3から入射した光は、98.5%がポート#2から−1次透過光として出力される。ポート#1から出力される0次透過光は0%であり、ポート#3から出力される−1次反射光は1%であり、ポート#4から出力される0次反射光は0.5%である。
さらに、ポート#4から入射した光は、97.6%がポート#4から−1次反射光として出力される。ポート#1から出力される−1次透過光は0%であり、ポート#2から出力される0次透過光は1.2%であり、ポート#3から出力される0次反射光は1.2%である。
以上のように、光の伝搬に関して異方性を有する理由は次の通りである。幅の狭い第1領域11、幅の広い第1スペーサ領域13、幅の広い第2領域12、幅の狭い第2スペーサ領域14の順で配列する方向に光が入射する場合には、−1次透過光が実質上100%、0次反射光、−1次透過光、0次透過光の強度は、実質上0%となる。ポート#1から光が入射する場合と、周期構造10と基板20との界面である基板表面20a側のポート#4から光が入射する場合との関係は、ほぼ等しくなる。
逆に、幅の広い第2領域12、幅の広い第1スペーサ領域13、幅の狭い第1領域11、幅の狭い第2スペーサ領域14の順で配列する方向に光が入射する場合には、ポート#2、ポート3の何れから入力した場合であっても、相手側のポート#3,#2にそれぞれ出力される−1次透過光の透過率が実質上100%となり、0次反射光、−1次反射光、0次透過光の強度は、実質上、0%となる。
このように本実施例の回折格子1は、双方向反射(リトロミラー、ポート#1、#4)、双方向透過(ポート#2、#3)の4ポート素子として用いることができる。
上記実施例において、1周期において、第2領域の幅よりも広い第3領域、第2スペーサ領域の幅よりも狭い第3スペーサ領域を、第2スペーサ領域に続けて設けた構造としても良い。このように領域については順次幅を広くし、スペーサ領域については順次幅を狭くするように、領域とスペーサ領域の多数組を1周期に配列して、その周期を多数繰り返した構造であっても良い。すなわち、1周期に、4つ以上のリッジとスペーサ領域とを設けても良い。また、各領域の高さや材料(屈折率)は、異なるものとしても良い。
上記実施例において、1周期において、第2領域の幅よりも広い第3領域、第2スペーサ領域の幅よりも狭い第3スペーサ領域を、第2スペーサ領域に続けて設けた構造としても良い。このように領域については順次幅を広くし、スペーサ領域については順次幅を狭くするように、領域とスペーサ領域の多数組を1周期に配列して、その周期を多数繰り返した構造であっても良い。すなわち、1周期に、4つ以上のリッジとスペーサ領域とを設けても良い。また、各領域の高さや材料(屈折率)は、異なるものとしても良い。
図9は、実施例2に係る回折格子2を示している。本実施例では、入射光の波長λは650nm、第1領域11の幅W1 は40nm、第2領域12の幅W2 は350nm、第1スペーサ領域13の幅d1 は260nm、第2スペーサ領域14の幅d2 は50nm、1周期pは700nm、周期構造10の高さhg は、600nmである。また、第1領域11の幅の中心線と第2領域12の幅の中心線との間隔dは、245nmである。第1領域11及び第2領域12の材質は酸化チタン(TiO2 )、誘電体基板20の材質は酸化シリコン(SiO2 )、第1スペーサ領域13及び第2スペーサ領域13の材質は空気である。入射角θinは、30°である。酸化チタンは入射角30°のp偏光に対して高い回折効率を示す。反射率、透過率の波長依存性を図10に示す。波長650nmにおいて、−1次反射光の反射率が、実質上100%、0次反射光の反射率、0次透過光、−1次透過光の透過率は、ともに、実質上、0%であることがわかる。
本実施例では、可視光を制御でき、人間への情報提供に関わる機器に応用できる。たとえば、ディスプレイ・メガネ等である。これは、可視領域でチタニアの誘電率が実数であるためである。
本実施例では、可視光を制御でき、人間への情報提供に関わる機器に応用できる。たとえば、ディスプレイ・メガネ等である。これは、可視領域でチタニアの誘電率が実数であるためである。
実施例3は、実施例1の反射型回折格子1と可動ミラーとを用いて、光スイッチを構成している。その構成を図11に示す。周期構造10は実施例1と同一である。この光スイッチ3は、4ポート素子である。上述したように、ポート#1(入出力ポート)から入射した光は、−1次反射光の反射率が実質上100%であるので、同一ポート#1にのみ反射される。ポート#2(入力ポート)から入射した光は、−1次透過光の透過率が実質上100%であるので、ポート#3(出力ポート)のみに透過する。そこで、周期構造10に対して垂直に可動ミラー50を設ける。この可動ミラー50を入射光Linをポート#2に反射する位置に移動させることで、入射光Linをポート#3から出力することができる。すなわち、可動ミラー50を制御素子とすることで、入射光Linに対して、ポート#2からポート#3への通過に対してオンオフ制御することができる。
実施例4の誘電率測定装置の構成を図12に示す。光源からの光をポート#2から周期構造10へ入力させる。ポート#3から一1次透過光が出力され、誘電体基板60の裏面で反射されて、反射光はポート#4から周期構造10に入力する。この光は−1次反射光としてポート#4から出力され、誘電体基板60の裏面で反射されて、ポート#3から周期構造10に入射する。その入射光は−1次透過光としてポート#2から出力されて、光源と同一位置に存在する光検知器61へと戻る。すなわち、光は、往路と復路とで同一経路を通ることになる。光検知器61において、入射光と反射光を干渉させることで、誘電体基板60の屈折率を測定することができる。また、波長に応じて、光検知器61に入力する入射角が異なるので、このことから誘電率の波長特性も測定することができる。
実施例5の装置を図13に示す。本装置は、特定波長のみについて動作する像面変換ハーフミラーである。光源65から出力された光は、周期構造10の形成されていない表面領域68から誘電体基板20に入射し、裏面に形成されている反射膜25で反射される。反射光はポート#3から周期構造10に入射して、ポート#2から−1次透過光としてミラー66に入射する。そして、ミラー66により反射されて光検知器67に入射する。特定波長の光に対して、図13の経路を通過することができる。したがって、この装置によれば、ミラー66の存在により見通せない物体が、特定波長で照明された時にのみ、その物体を検出できる装置を実現することができる。また、光検知器67の位置において、観測者がミラー66を見るときの像は、光源65の位置にある対象物を下から見上げた像となり、像面変換が行える。
実施例6の装置を図14に示す。周期構造10の右半分の第1区分は実施例1の配列の第1周期構造10aであり、左半分の第2区分は配列の向きを反転した第2周期構造10bである。すなわち、第1区分ではx軸の正の向きは右向き、第2区分ではx軸の正の向きは左向きである。ミラー66の左側に、第1周期構造10aと配列が逆向きの第2周期構造10bを折り返して配置することにより、上下反転ハーフミラーとして用いることができる。光源65から出力された光は、ミラー66に入射して、ミラー66により反射されて第1区分の第1周期構造10aのポート#2からx軸の正の向きに入射する。入射光はポート#3に−1次透過光として出力されて、誘電体基板20に入射し、裏面に形成されている反射膜25で反射される。反射光は第2区分の第2周期構造10bのポート#3から第2周期構造10bに入射して、ポート#2から−1次透過光としてミラー66に入射する。そして、ミラー66により反射されて光検知器67に入射する。したがって、この装置によれば、光検知器67の位置において、観測者がミラー66を見るときの像は、光源65の位置にある対象物を上下反転した像となり、像面変換装置となる。
実施例7の装置は、反射型回折格子を用いた構造物の歪み形状変形測定装置である。構造物の例としては、車が挙げられる。そのような構造物においては、意匠性の観点から、光路と垂直なミラーを配置することは難しい。図15に示すように、本発明の回折格子を車両71のウィンドウ72に配置し、後方に光源と光検知器73を用意すれば、車体の歪みを測定できる。ウィンドウ72が事故・不具合等により傾いた場合、回折格子への入射角が変化するので、反射光の角度は入射光角度からずれ、検出光量は減少する。また、光源とウィンドウの間の距離は干渉による位相差測定あるいは光飛行時間測定により決定できる。
本発明の回折格子によれば、−1次反射光に対する反射率を極めて高くすることができる。したがって、本発明の回折格子はリトロミラー、レーザ共振器のミラーに応用することができる。また、高反射率が得られる−1次反射光の反射角は波長に依存する。したがって、本発明の回折格子は、高感度の分光分析に用いることができる。
その他、本発明の回折格子は、パルス整形用の回折格子・光通信用マルチプレクサなどに応用することができる。
その他、本発明の回折格子は、パルス整形用の回折格子・光通信用マルチプレクサなどに応用することができる。
本発明は、高反射率のリトロミラーに応用することができる。また、光の反射、透過を切り換えることができる3、4ポート素子として用いることができる。
1…反射型回折格子
10…周期構造
11…第1領域
12…第2領域
13…第1スペーサ領域
14…第2スペーサ領域
20…誘電体基板
20a…基板
10…周期構造
11…第1領域
12…第2領域
13…第1スペーサ領域
14…第2スペーサ領域
20…誘電体基板
20a…基板
Claims (20)
- 基板上に、基板面上に原点と任意の1軸方向にx軸をとり、基板面に垂直な外向きを正とするz軸をとるとき、x軸の方向に屈折率が周期的に変化し、z軸の正の向きに高さを有する周期構造を有した回折格子において、
前記周期構造は、1周期において、少なくとも、前記x軸の負の向きに沿って、前記x軸の方向に幅を有した第1領域と、前記x軸の方向の幅が前記第1領域の幅よりも広い第2領域と、屈折率が前記第1領域及び前記第2領域の屈折率よりも小さく前記第1領域と前記第2領域との間の第1スペーサ領域と、屈折率が前記第1領域及び前記第2領域の屈折率よりも小さく前記x軸方向の幅が前記第1スペーサ領域の幅よりも狭く、前記第2領域の前記x軸の負の側に隣接する第2スペーサ領域とを有し、
前記基板面の法線に対する入射角が5°以上、80°以下の範囲で、第1方向であって前記x軸の正から負の向きに、前記周期構造の表面に光を入射させた時に、反射して法線に対して前記第1方向の側であって前記x軸の正の向きに向かう−1次反射光の反射率を、反射して第2方向であって前記x軸の負の向きに向かう0次反射光の反射率、屈折して第3方向であって前記x軸の負の向きに向かう0次透過光の透過率、屈折して第4方向であって前記x軸の正の向きに向かう−1次透過光の透過率に比べて、大きくした
ことを特徴とする回折格子。 - 前記第1領域の幅、前記第2領域の幅、前記第1スペーサ領域の幅、前記第2スペーサ領域の幅、前記周期構造の高さは、前記周期構造の実効屈折率、前記入射光の波長、前記入射角に対して、前記周期構造の前記x軸の方向の電界分布に関する各x軸モードに対して、前記z軸の正の方向に伝搬するアップモードと、アップモードと振幅が等しく位相が異なる前記z軸の負の方向に伝搬するダウンモードとの2つの共振モードが存在するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の回折格子。
- 前記x軸モードは、直交関係にある0次モードと1次モードとの2つのモード又は3つ以上のモードのそれぞれに対して、前記アップモードと前記ダウンモードとの2つのモード、合計少なくとも4つのモードを存在させることを特徴とする請求項2に記載の回折格子。
- 前記−1次反射光の反射率は、70%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記4つ以上のモードは、0次反射光、0次透過光、−1次透過光の強度を、実質上、0とするように干渉していることを特徴とする請求項3に記載の回折格子。
- 前記第2方向であって前記x軸の負から正の向きに、前記周期構造の表面に光を入射させた時には、屈折して前記第3方向であって前記x軸の負の向きに向かう−1次透過光の透過率が、屈折して前記第4方向であって前記x軸の正の向きに向かう0次透過光の透過率、反射して前記第1方向であって前記x軸の正の向きに向かう0次反射光の反射率、反射して法線に対して前記第2方向の側であって前記x軸の負の向きに向かう−1次反射光の反射率に比べて、大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造と前記基板との界面からの前記周期構造に光が入射する場合において、前記第4方向であって前記x軸の正から負の向きに向けて、前記界面に光を入射させた時に、反射して法線に対して前記第4方向の側であって前記x軸の正の向きに向かう−1次反射光の反射率が、反射して前記第3方向であって前記x軸の負の向きに向かう0次反射光の反射率、屈折して前記第1方向であって前記x軸の正の向きに向かう−1次透過光の透過率、屈折して前記第2方向であって前記x軸の負の向きに向かう0次透過光の透過率に比べて、大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造と前記基板との界面からの前記周期構造に光が入射する場合において、前記第3方向であって前記x軸の負から正の向きに向けて、前記界面に光を入射させた時に、屈折して前記第2方向であって前記x軸の負の向きに向かう−1次透過光の透過率が、屈折して前記第1方向であって前記x軸の正の向きに向かう0次透過光の透過率、反射して前記第4方向であって前記x軸の正の向きに向かう0次反射光の反射率、反射して法線に対して前記第3方向の側であって前記x軸の負の向きに向かう−1次反射光の反射率に比べて、大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造の前記第1領域及び第2領域は同一材料、前記第1スペーサ領域及び第2スペーサ領域は同一材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造の前記第1領域及び前記第2領域は、シリコンから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造の前記第1領域及び前記第2領域は、酸化チタンから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記基板は、酸化シリコンであることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造の前記第1領域及び前記第2領域の高さは等しいことを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記第1スペーサ領域及び前記第2スペーサ領域は、、真空、空気又は誘電体であることを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造の前記第1領域及び前記第2領域の誘電率は、前記基板の誘電率よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造の前記第1領域と前記第2領域とは、材料又は高さが異なることを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の回折格子。
- 前記周期構造は、前記基板上に形成された面状の層をエッチングして形成されたことを特徴とするとする請求項1乃至請求項16の何れか1項に記載の回折格子。
- 請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の回折格子と、
前記周期構造に入射させる光の向きを反射により反転させる可動ミラーと
を有し、
前記反転により光の透過をオンオフ制御することを特徴とする光スイッチ。 - 請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の前記周期構造が前記基板上の一部の領域に形成され、他の領域には形成されていない回折格子と、
前記他の領域の前記基板の表面に前記第2方向から光を入射させ前記基板の裏面で反射させて、その反射光を、前記周期構造と前記基板との界面に前記第3方向から前記周期構造に入射させて、前記第2方向に−1次透過光を得て、前記−1次透過光を反射させるミラーと
を有することを特徴とする像面変換装置。 - 請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の前記周期構造を有する第1周期構造と、前記第1周期構造に対して配列の向きが反対の向きを有した第2周期構造とが、基板上に配列された回折格子と、
第1反射面とその裏面の第2反射面とを有したミラーであって、光を前記第1反射面により反射させて前記第1周期構造の第2方向から光を入射させるミラーと、
を有し、
前記第1周期構造の第3方向に出力される−1透過光を前記基板の裏面で反射させて、その反射光を、前記第2周期構造と前記基板との界面に前記第2周期構造の第3方向から前記第2周期構造に入射させて、前記第2周期構造の第2方向に−1次透過光を得て、前記−1次透過光を前記ミラーの第2反射面により反射させる
ことを特徴とする像面変換装置。
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