JP2014122274A - シリコーン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】LEDパッケージの輝度を向上すること。
【解決手段】シリコーン樹脂、蛍光体および無機粒子を含むシリコーン樹脂組成物であって、前記無機粒子の密度が4.5g/cm以上4.9g/cm以下であり、前記無機粒子の屈折率が1.45以上1.47以下であることを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリコーン樹脂組成物に関する。より詳しくは、発光ダイオードに用いられるシリコーン樹脂組成物に関する。
発光ダイオード(LED)は、その発光効率の目覚しい向上を背景とし、低い消費電力、高寿命、意匠性などを特長として液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト向けや、特殊照明分野で急激に市場を拡大している。さらに、更なる発光効率の向上により、前述のような環境低負荷を特長として、今後一般照明分野で巨大な市場を形成すると期待されている。
LEDの発光スペクトルは、LEDチップを形成する半導体材料に依存するため、LCDバックライトや一般照明向けの白色光を得るために、LEDチップ上にそれぞれのチップにあう蛍光体を設置している。例えば、青色を発光するLEDチップ上に黄色蛍光体を設置する方法、青色LEDチップ上に赤および緑の蛍光体を設置する方法、さらには紫外線を発するLEDチップ上に赤、緑、青の蛍光体を設置する方法などがある。LEDチップの発光効率やコストの面から、青色LEDチップ上に黄色蛍光体を設置する方法、または赤および緑の蛍光体を設置する方法が、現在最も広く採用されている。
LEDチップ上に蛍光体を設置する方法の一つとして、蛍光体粒子を分散した樹脂組成物をチップ上に膜形成し、その後、透明性が高く、耐熱性、耐光性の良好なシリコーン系の樹脂で封止する方法が行われている。しかしながら、この様な方法では、蛍光体の分散性をコントロールできず、蛍光体がLEDチップから発生する光を吸収し発生する光について、取り出し性が不十分となり、LEDパッケージの輝度が低いといった課題があった。この課題を改善するため、例えば特許文献1、2には、屈折率の高い正方晶のジルコニア粒子を添加することが検討されている。また、特許文献3には、分散剤として平均粒径D50の値が蛍光体の平均粒径D50の1/10以上である酸化ケイ素、酸化アルミニウム、エポキシ系樹脂、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化バリウム、酸化チタンなどが検討されている。
特開2007−103708号公報 特開2007−299981号公報 特開2005−064233号公報
上記の通り、粒子の添加によって、より高輝度なLEDパッケージが得られるが、蛍光体からの光取り出し性は不十分であり、LEDパッケージの輝度として満足いくものが得られていない。本発明は、上記課題に着目し、LEDパッケージの輝度を向上することを目的とする。
本発明は、シリコーン樹脂、蛍光体および無機粒子を含むシリコーン樹脂組成物であって、前記無機粒子の密度が4.5g/cm以上4.9g/cm以下であり、前記無機粒子の屈折率が1.45以上1.47以下であることを特徴とするシリコーン樹脂組成物である。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、LEDパッケージの輝度を向上することができる。
本発明は、シリコーン樹脂、蛍光体および無機粒子を含むシリコーン樹脂組成物であって、前記無機粒子の密度が4.5以上4.9以下であり、前記無機粒子の屈折率が1.45以上1.47以下であることを特徴とするシリコーン樹脂組成物である。本発明のシリコーン樹脂組成物を用いれば、LEDチップの近傍に存在する蛍光体について、蛍光体間に適度な隙間を設け、光路長を調整することができるため、蛍光体からの光取り出し性を向上させ、LEDパッケージの輝度を向上できることができる。
本発明者らは詳細な検討の結果、LEDパッケージ中において、特にLEDチップの近傍に存在する蛍光体が輝度に影響を及ぼすことを見出した。LEDチップの近傍にある蛍光体は、LEDチップから発生する光を吸収しやすいため、発光もしやすい。しかし、ここで蛍光体同士が隣接しすぎていると、せっかく蛍光体から発生した光を隣接した蛍光体が再吸収してしまい、光取り出し性が低下する。更に検討を進めた結果、LEDチップの近傍にある蛍光体同士の間隔を設け、光路長を調整することで、蛍光体からの光取り出し性を向上させ、LEDパッケージの輝度を向上できることを見出した。以下、本発明のシリコーン樹脂組成物に含まれる成分について説明する。
(無機粒子)
本発明における無機粒子の屈折率とは、25℃におけるナトリウムD線(589.3nm)に対する屈折率である。屈折率の測定は、Abbe屈折率計、Pulfrich屈折率計、液浸型屈折率計、液浸法、最小偏角法などを用いることができる無機粒子の屈折率が1.45未満の場合、シリコーン樹脂との屈折率差が大きくなりすぎるため、光取り出し性が低下してしまう。一方、1.47を超えると、無機粒子による光散乱効果が大きくなり、蛍光体の吸収ロスが生じてしまう。
本発明における無機粒子の密度は、JIS Z8807(2012)個体の密度及び比重の測定方法に準ずる方法によって測定される値のことである。無機粒子の密度が4.5g/cm以上4.9g/cm以下であることで、LEDパッケージ中で適度に沈降し、チップ付近の蛍光体間に挟まれる形になり適度な隙間を与える。無機粒子の密度が4.5g/cm未満であると、パッケージ内に均一に分散されるため、LEDチップ近傍付近で蛍光体間に入り込むことができず、適度な隙間を与えることができない。一方、4.9g/cmを超えると、先に無機粒子が沈降してしまうため、蛍光体間に入り込むことができず、輝度向上の効果が得られない。本発明においては、蛍光体の密度が4.5〜4.9g/cmである場合、最も効果が得られる。
無機粒子の粒径は、0.5μm以上8.0μm以下の範囲であることが好ましい。粒径は、平均粒径すなわちメジアン径(D50)で表し、マイクロトラック法(日機装(株)製マイクロトラックレーザー回折式粒度分布測定装置による方法)で測定する。すなわち、レーザー回折散乱式粒度分布測定により測定して得られる体積基準粒度分布において、小粒径側からの通過分積算」50%の粒子系をメジアン径(D50)として求める。
また、既に組成物が硬化していて粒子を単離できない場合には、硬化物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定画像を画像処理して粒径分布を求め、そこから得られる体積基準粒度分布において、小粒径側からの通過分積算50%の粒子径をメジアン径D50とする方法でも測定することが可能である。この方法で求められるD50の値は、無機粒子を直接観察した場合よりも小さい値となるが、硬化物から測定する場合の平均粒子径は上記の測定方法で求められる値と定義される。なお、上記のD50の値が蛍光体粉末を直接観察した場合よりも小さい値となる理由は、粉末を直接観察した場合には正しく直径が測定されるが、LEDパッケージの断面を測定した場合には無機粒子が必ず赤道面で切断されているとは限らないからである。無機粒子が球状であり、その任意の場所で切断されると仮定すると、その見かけの直径は、理論上は真の直径の78.5%となる(直径1の円の面積と一辺1の正方形の面積の比に相当)。実際には蛍光体粒子は真球ではないので、経験的にはおおよそ70%〜85%となる。
本発明に用いられる無機粒子は、密度と屈折率が上記範囲を満たすものであれば特に制限はないが、透明性、耐熱性の観点から、フッ化バリウムが好ましい。無機粒子の封止用組成物における固形分濃度は、0.5vol%以上であることが好ましく、0.7vol%以上であることがより好ましい。これにより、無機粒子が蛍光体間に入り込みやすくなり、隙間を生じやすくなるため輝度がより向上する。また上限としては特に制限はないが、3.5vol%以下であることが好ましく、3.0vol%以下であることがより好ましく、2.5vol%以下であることがさらに好ましい。この濃度範囲であれば、蛍光体間に適度な隙間が生じ、最適な光路長が得られるため輝度がより向上する。なお、固形分とは溶媒を除いた全成分を指す。
無機粒子の固形分濃度(vol%)は、封止用組成物の硬化物の断面を走査型電子顕微鏡観察(例えば、(株)日立製高分解能電界放出形走査電子顕微鏡“S4800”)で観察し、面積比から求めることができる。例えば、500μm×500μmの視野内にある微粒子の面積を測定し、視野面積でそれを除し、100を乗じることで、濃度(vol%)を算出することができる。
無機粒子は、シリコーン樹脂との分散性を向上させるため、シランカップリング剤などで表面処理がなされていても良い。
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂としては、硬化型シリコーンゴムが好ましい。一液型、二液型(三液型)のいずれの液構成を使用してもよい。硬化型シリコーンゴムには、空気中の水分あるいは触媒によって縮合反応を起こすタイプとして脱アルコール型、脱オキシム型、脱酢酸型、脱ヒドロキシルアミン型などがある。また、触媒によってヒドロシリル化反応を起こすタイプとして付加反応型がある。これらのいずれのタイプの硬化型シリコーンゴムを使用してもよい。特に、付加反応型のシリコーンゴムは硬化反応に伴う副成物がなく、硬化収縮が小さい点、加熱により硬化を早めることが容易な点でより好ましい。
付加反応型のシリコーンゴムは、一例として、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物のヒドロシリル化反応により形成される。このような材料としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、プロペニルトリメトキシシラン、ノルボルネニルトリメトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン等のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン-CO-メチルハイドロジェンポリシロキサン、エチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン-CO-メチルフェニルポリシロキサン等のケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物のヒドロシリル化反応により形成されるものが挙げられる。また、他にも、例えば特開2010−159411号公報に記載されているような公知のものを利用することができる。
また、市販されているものとしては、一般的なLED用途のシリコーン封止材を使用することもできる。具体的には、OE−6630A/B、OE−6336A/B、OE−6351A/B、OE−6250A/B、EG−6301A/B、JCR−6140A/B、JCR−6125A/B、JCR−6101UP、OE−6450A/B、OE−6520−A/B、OE−6550A/B、OE−6631A/B、OE−6636A/B、OE−6635A/B、OE−6665N、SR−7010A/B、OE−8001(以上、東レ・ダウコーニング社製)、ASP−1111A/B、ASP−1120A/B、ASP−1031A/B、SCR−1012A/B、SCR−1016A/B、KER−6110A/B、KER−2500A/B、KER−2500N−A/B、KER−2600A/B、KER−2700A/B、KER−3000−M2、KER−3100−U2、KER−3200−T1、KER−6000A/B、KER−6020F、KER−6075F、KER−6150A/B、KER−6200A/B、KER−4000−UV(以上、信越化学(株)製)、IVS−4312A/B、IVS−4542A/B、IVS−4546A/B、IVS−4622A/B、IVS−4632A/B、IVS−4742A/B、IVS−4752A/B、XE14−C2042A/B、XE14−C2860A/B、XE14−C3450A/B、IVS−5854A/B、IVS−G3445A/B、IVS−G5778A/B、IVS−G0810、IVS−M4500A/B、XE14−C2508A/B、XE13−C2476(以上、モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン社製)、A1070A/B、A2020A/B、A2030A/B(以上、(株)ダイセル製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら透明樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。
(蛍光体)
蛍光体は、LEDチップから放出される光を吸収して波長を変換し、LEDチップの光と異なる波長の光を放出するものである。これにより、LEDチップから放出される光の一部と、蛍光体から放出される光の一部とが混合して、白色を含む多色系のLEDが得られる。具体的には、青色系LEDにLEDからの光によって黄色系の発光色を発光する蛍光体を光学的に組み合わせることによって、単一のLEDチップを用いて白色系を発光させることができる。
上述のような蛍光体には、緑色に発光する蛍光体、青色に発光する蛍光体、黄色に発光する蛍光体、赤色に発光する蛍光体等の種々の蛍光体がある。本発明に用いられる具体的な蛍光体としては、無機蛍光体、有機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料等公知の蛍光体が挙げられる。有機蛍光体としては、アリルスルホアミド・メラミンホルムアルデヒド共縮合染色物やペリレン系蛍光体等を挙げることができ、長期間使用可能な点からペリレン系蛍光体が好ましく用いられる。本発明に特に好ましく用いられる蛍光物質としては、無機蛍光体が挙げられる。以下に本発明に用いられる無機蛍光体について記載する。
緑色に発光する蛍光体として、例えば、SrAl:Eu、YSiO:Ce,Tb、MgAl1119:Ce,Tb、SrAl1225:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Ga:Euなどがある。
青色に発光する蛍光体として、例えば、Sr(POCl:Eu、(SrCaBa)(POCl:Eu、(BaCa)(POCl:Eu、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)Cl:Eu,Mn、(Mg、Ca、Sr、Baのうち少なくとも1以上)(POCl:Eu,Mnなどがある。
緑色から黄色に発光する蛍光体として、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦括されたイットリウム・ガドリニウム・アルミニウム酸化物蛍光体、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット酸化物蛍光体、及び、少なくともセリウムで賦活されたイットリウム・ガリウム・アルミニウム酸化物蛍光体などがある(いわゆるYAG系蛍光体)。具体的には、Ln12:R(Lnは、Y、Gd、Laから選ばれる少なくとも1以上である。Mは、Al、Caの少なくともいずれか一方を含む。Rは、ランタノイド系である。)、(Y1−xGa(Al1−yGa12:R(Rは、Ce、Tb、Pr、Sm、Eu、Dy、Hoから選ばれる少なくとも1以上である。0<x<0.5、0<y<0.5である。)を使用することができる。
赤色に発光する蛍光体として、例えば、YS:Eu、LaS:Eu、Y:Eu、GdS:Euなどがある。
また、現在主流の青色LEDに対応し発光する蛍光体としては、Y(Al,Ga)12:Ce,(Y,Gd)Al12:Ce,LuAl12:Ce,YAl12:CeなどのYAG系蛍光体、TbAl12:CeなどのTAG系蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu系蛍光体やCaScSi12:Ce系蛍光体、(Sr,Ba,Mg)SiO:Euなどのシリケート系蛍光体、(Ca,Sr)Si:Eu、(Ca,Sr)AlSiN:Eu、CaSiAlN:Eu等のナイトライド系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Euなどのオキシナイトライド系蛍光体、さらには(Ba,Sr,Ca)Si:Eu系蛍光体、CaMgSi16Cl:Eu系蛍光体、SrAl:Eu,SrAl1425:Eu等の蛍光体が挙げられる。
これらの中では、YAG系蛍光体、TAG系蛍光体、シリケート系蛍光体が、発光効率や輝度などの点で好ましく用いられる。上記以外にも、用途や目的とする発光色に応じて公知の蛍光体を用いることができる。
(添加剤)
本発明の封止用組成物には、添加剤として塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤等を添加することも可能である。また、蛍光体沈降抑制剤としてアルミナ微粒子、シリカ微粒子、シリコーン微粒子等を添加することも可能である。
(作製方法)
本発明のシリコーン樹脂組成物について作製方法を説明する。なお、これらの作製は、その他の公知の方法を用いてもよく、後述する方法に限定されない。
シリコーン樹脂、無機粒子および蛍光体を所定量混合、分散する。混合、分散には、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の攪拌・混練機で均質に混合分散することによって、本発明のシリコーン樹脂組成物を作製することができる。混合分散後、もしくはその過程で、真空もしくは減圧により脱泡することも好ましい。付加反応型シリコーン樹脂を用いる場合は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を有する化合物を混合すると、室温でも硬化反応が始まることがあるので、アセチレン化合物などのヒドロシリル化反応遅延剤を配合して、ポットライフを延長することも可能である。
(用途)
本発明のシリコーン樹脂組成物は種々の用途に適用できるが、発光ダイオードに好ましく適用することができる。一例として、本発明のシリコーン樹脂組成物の硬化物をLEDチップ上に形成する方法を説明する。上記のようにして得られたシリコーン樹脂組成物をLEDチップ上に射出成型、圧縮成型、注型成型、トランスファー成型、コーティング、ディスペンス、印刷、転写等の方法で膜形成した後、硬化させることにより、所望の形状の蛍光体分散体をLEDチップ上に設置することができる。加熱硬化させる場合の硬化条件は、通常40〜250℃で1分〜5時間、好ましくは100℃〜200℃で5分〜2時間である。こうして、シリコーン樹脂組成物の硬化物を備えた発光ダイオードが得られる。この後、蛍光体を含まない透明シリコーン樹脂で封止してもよいし、LEDチップ上だけでなく周辺部等もシリコーン樹脂組成物の硬化物で覆う等の方法により、本発明のシリコーン樹脂組成物自体を封止剤として利用しても良い。
また、本発明のシリコーン樹脂組成物を直接LEDチップ上に設置するだけでなく、シート状成型物とした後、LEDチップ上に設置することもできる。本発明のシリコーン樹脂組成物を、予め剥離性を有するフレキシブルなベース基板上に塗布、乾燥、硬化もしくは半硬化させた後、LEDチップ上に剥離転写させることによって、さらに必要に応じて追加の加熱、硬化を行うことによって、所望の形状の蛍光体分散体をLEDチップ上に設置することができる。ベース基板としては、PETフィルム、PPフィルム、PPSフィルム、ポリイミドフィルム、アラミドフィルムなどの他、コーティング処理が施された紙、アルミ箔もしくは板、スチール箔もしくは板を使用することができるが、経済性、取り扱い性の面でPETフィルムが好ましく、シリコーン組成物の硬化に高温を必要とする場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルが好ましい。
シート状成型物の厚さとしては、5〜500μmであることが好ましく、取り扱い性の点から50〜200μmであることがさらに好ましい。また、厚さにバラツキがあると、LEDチップ上の蛍光体量に違いが生じ、結果として発光スペクトルにもバラツキが生じる。従って、厚さのバラツキは、好ましくは±5%、さらに好ましくは±3%である。
ベース基板上への蛍光体分散シリコーン組成物の塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、キスコーター、スリットダイコーター、スクリーン印刷等により行うことができるが、前述のような得られる蛍光体分散シリコーン組成物のシート状成型物の厚さが均一性を得るためにはスリットダイコーターで塗布することが好ましい。
得られたシート状成型物は、LEDチップと同程度の大きさにカットされ、マウンターなどの装置によって、LEDチップ上に設置される。その後、蛍光体を含まない透明シリコーン樹脂で封止してもよいし、シート状成型物で覆う範囲をLEDチップ上だけでなく周辺部にも広げる等の方法によりシート状成型物自体を封止剤として利用しても良い。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。各実施例および比較例における組成物で用いた原料、各実施例および比較例における評価方法は以下の通りである。
[シリコーン樹脂組成物]
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂:東レ・ダウコーニング社製“OE6630”(屈折率:1.53、密度:1.17g/cm)。2液混合タイプのため、A液、B液からなる。
(無機粒子)
無機粒子1:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムA(屈折率:1.45、粒径:0.5μm、密度:4.5g/cm
無機粒子2:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムB(屈折率:1.47、粒径:0.5μm、密度:4.5g/cm
無機粒子3:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムC(屈折率:1.45、粒径:0.5μm、密度:4.9g/cm
無機粒子4:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムD(屈折率:1.47、粒径:0.5μm、密度:4.9g/cm
無機粒子5:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムE(屈折率:1.47、粒径:3.0μm、密度:4.9g/cm
無機粒子6:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムF(屈折率:1.47、粒径:6.0μm、密度:4.9g/cm
無機粒子7:平岡特殊硝子製作(株)社製フッ化バリウムG屈折率:1.47、粒径:8.0μm、密度:4.9g/cm
無機粒子8:(株)アドマテックス社製高純度合成球状シリカ“SO−C6”(屈折率:1.45、粒径:0.5μm、密度:2.2g/cm
無機粒子9:第一稀元素化学工業(株)社製酸化ジルコニア“UEP−100”(屈折率:1.76、粒径:0.5μm、密度:6.0g/cm)。
(蛍光体)
蛍光体:Intematix社製“NYAG−02”(CeドープのYAG系蛍光体、メジアン径(D50):7μm、密度:4.8g/cm)。
[各実施例および比較例における評価方法]
<LEDパッケージの作製と輝度評価>
実施例1〜14、比較例1〜3におけるLEDパッケージは以下の要領で作製した。まず、容積300mLのポリエチレン製容器に、表1〜3に示す濃度になるように所定量のシリコーン樹脂、無機粒子、蛍光体を秤量し、クラボウ社製遊星式攪拌脱泡装置“マゼルスターKK−400”を用い、1,000rpmで10分間攪拌、脱泡した。得られた組成物を、LEDチップ(昭和電工(株)製“GM2QT450G”、平均波長:453.4nm)が実装されたフレーム(エノモト社製フレーム“TOP LED BASE”)に、ディスペンサー(武蔵野エンジニアリング社製“MPP−1”)を用いて流し込み、80℃で1時間、150℃で2時間キュアすることによって、LEDパッケージを作製した。作製したLEDパッケージを、20mAの電流を流して点灯させ、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製“MCPD−7700”)を用いて、試験開始直後の輝度を測定し、10個の平均値を輝度とした。比較例1に対する輝度の増加率を下式により計算し、増加率が2.0%以上であれば輝度向上に非常に効果あり(表中でAと表記)、1.0%以上2.0%未満であれば、効果あり(表中でBと表記)、0.1%以上1.0%未満であれば、少し効果あり(表中でCと表記)、0.1%未満(マイナスとなる場合を含む)であれば輝度向上効果なし(表中でNGと表記)とした。
輝度の増加率(%)={(各実施例、比較例の輝度)−(比較例1の輝度)}/(比較例1の輝度)×100。
(実施例1〜4、比較例1〜3)−無機粒子の屈折率、密度による輝度向上効果−
表1に示す無機粒子を用いて、LEDパッケージの作製と輝度測定および輝度の増加率の評価を行い、結果を表1に示した。実施例1〜4では、比較例1と比較して、輝度向上効果が得られた。比較例2では輝度はほぼ変わらず、比較例3では輝度は低下した。
Figure 2014122274
(実施例5〜11)−無機粒子の濃度による輝度向上効果−
無機粒子を無機粒子2に変更し、表2に記載の無機粒子の添加量に変更した以外は実施例1と同様の操作でLEDパッケージを作製し評価を行った。結果を表2に示す。これらの結果から、無機粒子の固形分濃度によらず輝度向上効果は見られたが、その効果は0.5vol%以上のときがより大きく、0.7vol%以上2.5vol%以下の範囲であればさらに大きいことがわかった。
Figure 2014122274
(実施例12〜14)−無機粒子の粒径の効果−
表3に記載の無機粒子に変更した以外は実施例1と同様の操作でLEDパッケージを作製し評価を行った。結果を表3に示す。これらの結果から、粒径に依存せず、輝度が向上することがわかった。
Figure 2014122274

Claims (6)

  1. シリコーン樹脂、蛍光体および無機粒子を含むシリコーン樹脂組成物であって、前記無機粒子の密度が4.5g/cm以上4.9g/cm以下であり、前記無機粒子の屈折率が1.45以上1.47以下であることを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
  2. 前記無機粒子がフッ化バリウムである請求項1記載のシリコーン樹脂組成物。
  3. 組成物における前記無機粒子の固形分濃度が0.5vol%以上である請求項1記載のシリコーン樹脂組成物。
  4. 発光ダイオード用に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物の硬化物を備える発光ダイオード。
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