JP2014122135A - 塗布型透明膜形成用組成物の製造方法 - Google Patents

塗布型透明膜形成用組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い透明性、高い屈折率および低いヘイズを有する透明膜を低温で形成することができ、かつ高い保存安定性を有する塗布型透明膜形成用組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)金属アルコキシド、(B)アルコール、(C)水、および(D)強酸と弱塩基とを反応させて得られる塩を、金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)を35〜250モル、水(C)を0.5〜5モル、および該塩(D)を0.01〜0.1モルの範囲で混合する工程を有する、塗布型透明膜形成用組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗布型透明膜形成用組成物の製造方法に関する。より詳しくは、高い透明性、高い屈折率および低いヘイズを有する透明膜を低温で形成することができ、かつ高い保存安定性を有する組成物の製造方法に関する。また、本発明は、前記方法で得られる組成物、当該組成物からなる透明膜および当該透明膜を有するデバイス素子に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)および有機エレクトロルミネッセンス型ディスプレイ等の画像表示装置では、外光の反射による像の写りこみによって表示面の視認性が劣化することを防ぐために、多くの場合、反射防止膜が組み込まれている。反射防止膜は、屈折率の異なる複数の層を積層してなる多層膜からなり、光の干渉を用いて反射光を低減している(例えば、非特許文献1参照)。
また、投影型静電容量方式のタッチパネルでは、基板表面に透明電極である酸化インジウムスズ(ITO)電極がパターニングされている。しかしながら、ITO電極と一般的に使用されるガラス基板との屈折率差が大きいために、結果的にITO電極のパターンが顕著に見えてしまうという問題がある。これを解決するため、ITO電極の上層または下層に、高屈折率透明膜からなるパターン見え防止膜を含む積層体を形成する方法がある。
これらの反射防止膜やパターン見え防止膜では、高い透明性、高い屈折率および低いヘイズを有する膜が求められる。高屈折率透明膜としては、有機ポリマーを用いたものや、チタン等の金属を用いたものが知られている。しかしながら、特に屈折率が1.7を超えるような高屈折率透明膜に関しては、前者の方法では実現が難しく、後者の方法が一般的に用いられる。このような金属を含む高屈折率透明膜を形成する方法としては、一般的にドライコーティング法とウェットコーティング法が知られている。
ドライコーティング法としては、例えば、真空蒸着、スッパッタリング、化学気相蒸着(CVD)が知られる。これらの方法は、純度の高い高品質な高屈折率透明膜を得られることが長所であるが、高真空を用いるために、高い機器制御技術が必要であり、また大規模な装置や特殊な機構が必要である。その結果、ドライコーティング法では製造コストが高いという欠点が生じてしまう。また、成膜時に基板が高温となる場合が多く、フィルム基板等への成膜において不利である。
これに対して、ウェットコーティング法は、製造コストが低く、また成膜方法が比較的簡便であるため、メリットが大きい。ウェットコーティング法による高屈折率透明膜の形成方法として、金属酸化物微粒子を分散剤やバインダーとともに混合し、塗布成膜することによって、バインダー内に金属微粒子が分散した高屈折率透明膜を形成する方法が知られている。しかしながら、これらの透明膜は一般にヘイズが高く、また金属酸化物微粒子が凝集し易いためにインクの安定性を保つことが難しいという欠点がある(例えば、特許文献1参照)。
これらに対して、その他の形成方法としては、ゾル−ゲル法による高屈折率透明膜の形成方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。この方法は、金属アルコキシド等の金属を含む化合物を溶液中で加水分解させ、金属酸化物粒子のゾル分散液を形成し、これを部分的に重縮合させて金属酸化物重合体のゲルを得て、これを基板上に塗布し、焼成時に重縮合を進行させて、緻密な金属酸化物膜を成膜する方法である。この方法は、大気中で成膜できるために製造コストが低く、また緻密さの高い金属酸化物膜の成膜が可能であるために高屈折率膜が容易に得られるという長所がある。しかしながら、ゾル−ゲル法には、以下の(1)〜(3)の課題がある。
(1)組成物中の反応を適切にコントロールすることが難しく、ゾル粒子の凝集が起きて組成物中に沈殿が生じ、得られる透明膜の光学特性が劣化しやすい。
(2)組成物のゲル化が進行しやすく、保存安定性に欠ける。
(3)一般的に焼成には300〜400℃の高温が必要であるため、フィルム基板や耐熱性の低いモジュール付きガラス基板などへの成膜が困難である。
特許文献2および特許文献3には、100℃前後の低温での焼成で、高い屈折率および高い透明性を有する膜の製造方法が開示されている。しかしながら、膜の製造に用いられる組成物の保存安定性に欠けるという課題は解決できておらず、また、得られる高屈折率透明膜のヘイズが高い。
特開2004−54161公報 特許第4942053号公報 特許第4208051号公報
吉田貞史、矢嶋弘義、『薄膜・光デバイス』、東京大学出版会、1994年 作花済夫、『ゾル−ゲル法の科学』、アグネ承風社、1988年
本発明の課題は、高い透明性、高い屈折率および低いヘイズを有する透明膜を低温で形成することができ、かつ高い保存安定性を有する組成物の製造方法を提供することにある。また、本発明の課題は、前記方法で得られる組成物、当該組成物からなる透明膜および当該透明膜を有するデバイス素子を提供することにある。
本発明の発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、下記構成を有する製造方法によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、例えば[1]〜[13]に関する。
[1](A)金属アルコキシド、(B)アルコール、(C)水、および(D)強酸と弱塩基とを反応させて得られる塩を、金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)を35〜250モル、水(C)を0.5〜5モル、および該塩(D)を0.01〜0.1モルの範囲で混合する工程を有する、塗布型透明膜形成用組成物の製造方法。
[2]金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)が65〜250モルである、前記[1]に記載の製造方法。
[3]アルコール(B)が、炭素数2〜10でありかつ1分子中にヒドロキシ基を1つ有するアルコールである、前記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]金属アルコキシド(A)が、チタンアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種である、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の製造方法。
[5]塩(D)が、強酸として塩化水素と弱塩基として含窒素化合物とを反応させて得られる塩であり、含窒素化合物がヒドラジン、アセトアミジン、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、ジエチルマロニル尿素、1,10−フェナントロリン、ベンジジンおよびアンモニアから選択される少なくとも1種である、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる塗布型透明膜形成用組成物。
[7]25℃およびせん断速度383s-1の条件で測定される粘度が1〜20mPa・sである、前記[6]に記載の組成物。
[8](1)基板上に、前記[6]または[7]に記載の組成物を塗布する工程、および(2)工程(1)に続いて基板を70〜160℃で加熱する工程を含む、透明膜の製造方法。
[9]前記[8]に記載の製造方法によって得られる透明膜。
[10]波長550nmにおける屈折率が1.7以上である、前記[9]に記載の透明膜。
[11]基板と前記[9]または[10]に記載の透明膜とを含む積層体であり;該透明膜の膜厚が5〜200nmであり;該積層体の全光線透過率が85%以上であり;該積層体のヘイズ値H1と該基板のみのヘイズ値H2との差|H1−H2|が1.5%以下である;積層体。
[12]前記[11]に記載の積層体を含む電子デバイス。
[13]パターン化された透明導電膜の上層または下層に、前記[9]または[10]に記載の透明膜を含む積層体で、該透明導電膜が存在する領域と該透明導電膜が存在しない領域での、波長550nmにおける反射率の差が1%以下である積層体を有する電子デバイス。
本発明によれば、高い透明性、高い屈折率および低いヘイズを有する透明膜を低温で形成することができ、かつ高い保存安定性を有する組成物の製造方法、当該方法で得られる組成物、当該組成物からなる透明膜ならびに当該透明膜を有するデバイス素子を提供することができる。
図1は、本発明の組成物からなる透明膜の用途を示す図である。 図2は、実施例・比較例の粘度の上昇率をプロットしたグラフである。 図3は、実施例・比較例の透明膜の膜厚をプロットしたグラフである。 図4は、実施例・比較例の透明膜の屈折率をプロットしたグラフである。
本明細書において、化合物の説明中、例えばアルコキシ基、アルキル基およびアルキレン基を、それぞれ単にアルコキシ、アルキルおよびアルキレンともいい、「塗布型組成物」とは、塗布に用いられる組成物を意味する。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔1.塗布型透明膜形成用組成物の製造方法〕
本発明の塗布型透明膜形成用組成物の製造方法は、(A)金属アルコキシド、(B)アルコール、(C)水、および(D)強酸と弱塩基とを反応させて得られる塩を、特定のモル比で混合する工程を有する。
以下、これらの化合物をそれぞれ「成分(A)」〜「成分(D)」ともいい、本発明の製造方法で得られる塗布型透明膜形成用組成物を「本発明の組成物」ともいう。以下、成分(A)〜(D)および任意成分について説明したのち、混合工程について説明する。
[1−1.金属アルコキシド(A)]
金属アルコキシド(A)とは、1種または2種以上のアルコキシが金属と結合した構造、すなわちM−OR(式中、Mは金属であり、Rはアルキルである。)を有する化合物である。
金属アルコキシド(A)における金属の種類としては、亜鉛、鉛、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、カドニウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、鉄、チタン、マグネシウム、インジウムや、イットリウム、ユウロピウム、ランタン等の希土類金属などを好適に用いることができる。これらの中でも、化合物の安定性および反応性のバランス、得られる透明膜の屈折率の高さ、入手の容易さの観点から、チタンおよびジルコニウムが特に好ましい。すなわち、金属アルコキシド(A)としては、チタンアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種が好ましい。
金属アルコキシド(A)におけるアルコキシとしては、例えば炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシが挙げられる。その具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、1−メチル−n−ブトキシ、2−メチル−n−ブトキシ、3−メチル−n−ブトキシ、1,1−ジメチル−n−プロポキシ、1,2−ジメチル−n−プロポキシ、2,2−ジメチル−n−プロポキシ、1−エチル−n−プロポキシ、n−ヘキシルオキシ、1−メチル−n−ペンチルオキシ、2−メチル−n−ペンチルオキシ、3−メチル−n−ペンチルオキシ、4−メチル−n−ペンチルオキシ、1,1−ジメチル−n−ブトキシ、1,2−ジメチル−n−ブトキシ、1,3−ジメチル−n−ブトキシ、2,2−ジメチル−n−ブトキシ、2,3−ジメチル−n−ブトキシ、3,3−ジメチル−n−ブトキシ、1−エチル−n−ブトキシ、2−エチル−n−ブトキシ、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ、1,2,2−トリメチル−n−プロポキシ、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ、1−エチル−2−メチル−n−プロポキシが挙げられる。これらの中でも、化合物の安定性および反応性のバランス、入手の容易さの観点から、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシが特に好ましい。
金属アルコキシド(A)において、金属上のアルコキシの種類は全て同一であっても、異なっていてもよいが、化合物の安定性および反応性のバランス、入手の容易さの観点から、金属上のアルコキシの種類が全て同一であることが好ましい。すなわち、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウムが好ましく、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−n−ブトキシジルコニウムが特に好ましい。
金属アルコキシド(A)としては、単量体である金属アルコキシドを用いることが好ましいが、単量体である金属アルコキシドが一部重縮合した化合物、すなわち、テトラブトキシチタン・ダイマー、テトラブトキシチタン・テトラマーなども好適に用いることができる。
金属アルコキシド(A)は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[1−2.アルコール(B)]
アルコール(B)としては、任意のアルコールを用いることができる。その中でも、後述する機能を発現する観点から、炭素数2〜10でありかつ1分子中にヒドロキシ基を1つ有するアルコールが好ましく、炭素数2〜6でありかつ1分子中にヒドロキシ基を1つ有するアルコールがより好ましい。
アルコール(B)としては、例えば、R−OH(式中、Rはアルキルであり、その炭素数は好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6である。)で表される化合物、およびR2O−R1−OH(式中、R1はアルキレンであり、R2はアルキルであり、R1とR2の炭素数の合計は好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6である。)で表される化合物が挙げられる。
具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノールが好ましい。これらの中でも、原料化合物の溶解性と反応制御とのバランスの観点から、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールから選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、原料化合物の溶解性と反応制御とのバランス、揮発速度の適切さの観点から、2−プロパノールが特に好ましい。
アルコール(B)は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[1−3.水(C)]
水(C)としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、RO水、脱イオン水、精製水、水道水、純水、超純水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等に由来する水を用いることができる。本発明の組成物には不純物が混入しないことが好ましく、したがって、イオン交換水、蒸留水、RO水、脱イオン水、精製水、純水、超純水が好ましい。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[1−4.塩(D)]
塩(D)は、強酸と弱塩基とを反応させて得られる塩である。
塩(D)の原料である強酸としては、25℃における水中での酸解離定数pKaが3未満である化合物であればよく、例えば、塩化水素、硝酸、硫酸、フッ化水素、臭化水素、過塩素酸、塩素酸が挙げられ、反応制御がしやすい点で、好ましくは塩化水素である。強酸の25℃における水中での酸解離定数pKaの下限値は特に限定されず、例えば−15である。
塩(D)のもう一つの原料である弱塩基とは、当該塩基の共役酸の25℃における水中での酸解離定数pKaが3以上12未満である化合物であり、例えば、ヒドラジン、アセトアミジン、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、ジエチルマロニル尿素、1,10−フェナントロリン、ベンジジン、アンモニア等の含窒素化合物が挙げられ、反応性の点で、好ましくはヒドラジン、アセトアミジン、ヒドロキシルアミンである。
なお、強酸および弱塩基の共役酸における前述したpKaは、一般に知られている滴定法、吸光度法、キャピラリー電気泳動法等を用いて測定することができる。
塩(D)としては、ヒドラジン一塩酸塩、アセトアミジン塩酸塩、塩酸ヒドロキシルアミンが好ましい。これらの中でも、ヒドラジン一塩酸塩が特に好ましい。なお、これらの塩酸塩にかえて、硝酸塩、硫酸塩、フッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩も挙げられる。
強酸と弱塩基との反応量比は、例えば、以下のとおりである。塩(D)は、弱塩基1モルに対して、強酸を通常1〜50モル、好ましくは1〜10モル反応させて得ることができる。
塩(D)は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[1−5.任意成分]
本発明では、組成物の調製において、任意成分として成分(A)〜(D)以外の成分を混合してもよい。任意成分としては、例えば、バインダー、界面活性剤、密着性促進剤、腐食防止剤が挙げられる。
バインダーは、本発明の組成物を用いて形成した透明膜中で、金属酸化物重合体を分散させ、かつ担持させるために用いることのできる樹脂である。バインダーとしては、一般的にゾルゲル組成物のバインダーとして用いられているもので、形成した膜の透明性を著しく損なわない樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリアミドイミドが挙げられる。また、バインダーは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、本発明の組成物の、基板上における塗布性をさらに向上させる効果がある。この結果、例えば、得られる透明膜の膜厚の均一性が良好となる。界面活性剤としては、一般的に知られるシリコン系、フッ素系、アクリル系の界面活性剤を用いることができる。市販品としては、例えば、Zonyl FSO−100、Zonyl FSN、Zonyl FSO、Zonyl FSH(商品名;デュポン(株))、Triton X−100、Triton X−114、Triton X−45(商品名;シグマアルドリッチジャパン(株))、Dynol 604、Dynol 607(商品名;エアープロダクツジャパン(株))、n−Dodecyl−β−D−maltoside、Novek、Byk−300、Byk−306、Byk−335、Byk−310、Byk−341、Byk−344、Byk−370、Byk−354、Byk−358、Byk−361(商品名;ビックケミー・ジャパン(株))、DFX−18、フタージェント250、フタージェント251(商品名;(株)ネオス)、F−477、F−479、F―472SF、TF−1366(商品名;DIC(株))、KP−341(商品名;信越化学工業(株))が挙げられる。また、界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
密着性促進剤としては、例えば、基板と組成物中の成分との間に結合を形成する化合物、および基板と組成物中の成分との間に親和性を示す官能基を有する化合物が知られている。また、2種以上の密着性促進剤により、異なる機序に基づいて、基板と組成物との密着が促進されてもよい。密着性促進剤の具体例としては、3−(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。また、密着性促進剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
腐食防止剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物等の公知の化合物を用いることができる。市販品としては、例えば、Irgafos XP40、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、IRGANOX 1520L(以上、商品名;BASF・ジャパン(株))が挙げられる。また、腐食防止剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[1−6.各成分の作用]
本発明の製造方法で用いられる、または本発明の組成物に含まれる、金属アルコキシド(A)、アルコール(B)、水(C)および塩(D)の作用機序について、推測も含めて以下に説明する。
〈金属アルコキシド(A)〉
金属アルコキシド(A)は水(D)と反応して、金属アルコキシド(A)中の一部のアルコキシが加水分解を受け、ヒドロキシ基が生成する。その後、分子間で、ヒドロキシ基同士が、またはヒドロキシ基とアルコキシとが一部重縮合することによって、金属−酸素−金属の結合が生成し、金属酸化物重合体が生成する。本発明では、この重合体が適切な重合度を有しかつ重縮合反応が二次元的に進行してなる重合体であるため、この重合体が組成物中に良好に分散し、透明な組成物が得られると推測される。この組成物を基板上に塗布・焼成した場合、膜中で前述の重縮合反応がさらに進行し、緻密な金属酸化物膜となる。その結果、透明性および屈折率が高い膜を得ることができる。
〈アルコール(B)〉
アルコール(B)は、金属アルコキシド(A)および塩(D)等の他の原料化合物を溶解させる溶媒としてばかりではなく、本発明の組成物の安定性を高めること、ならびに透明性および屈折率が高い膜を形成する組成物として適した特性を発現させることを目的として用いられる。これらの性質については以下のように推定している。
金属アルコキシド(A)に対して適切な量加えられたアルコール(B)は、金属アルコキシド(A)のアルコキシとアルコール(B)との交換反応、水(D)による金属アルコキシド(A)のアルコキシの加水分解反応、およびそれに続く分子間でのアルコキシとヒドロキシ基とによる重縮合反応の進行をバランスよく制御する。その結果、本発明の組成物中には金属酸化物重合体が生成する。この重合体は、適切な重合度を有しかつ重縮合反応が二次元的に進行してなる重合体であるため、組成物中での分散性が高く、組成物は透明である。なおかつ、適切な量のアルコール(B)の存在によって、重合体の成長、すなわち重縮合反応が抑制されているため、組成物の粘度等が安定で、保存安定性に優れる。
このようにして得られた組成物を基板上に塗布・焼成した場合、膜中から前述のアルコール(B)が揮発し、その結果、組成物中に分散していた重合体同士での重縮合反応がさらに進行する。
本発明の組成物中に分散している重合体の形状が三次元的ではなく二次元的であると推測されるために、重縮合反応が進行した結果得られる膜は二次元的なバルク構造が積み重なった緻密な金属酸化物膜となると推測される。その結果、透明性および屈折率が高い膜を得ることができる。
また、適切な量のアルコール(B)は焼成の際の揮発速度が適切であるために、膜の硬化速度が適度に制御される。その結果、平坦性が良好である、ヘイズが低くなるという優れた性質を有する膜を得ることができる。
〈水(C)〉
水(C)は、本発明の組成物中で、金属アルコキシド(A)の加水分解を促進する機能、および塩(D)の溶解を促進する機能を有する。
〈塩(D)〉
塩(D)は、本発明の組成物中の反応を適切に制御する機能を有する。また、塩(D)の存在によって、本発明の組成物を用いて、従来よりも低温で高屈折率の透明膜を形成することができる。これらについては以下のように推定している。
塩(D)は、金属アルコキシド(A)中のアルコキシの加水分解を適切に抑制する機能を有しており、金属アルコキシド(A)1分子が有するアルコキシの全てではなく、一部を加水分解することに留める。さらに、塩(D)は、その後に起きる分子間でのヒドロキシ基とアルコキシとの重縮合反応を適切に促進する機能も同時に有しているため、加水分解が起きた後、比較的短時間で、次の重縮合反応を進行させる。その結果、三次元的ではなく二次元的に成長した金属酸化物重合体の生成が促進される。
この二次元的に成長した重合体の分散した組成物が、透明性および屈折率が高い膜を形成するために好適であることは、アルコール(B)の作用機序の説明に記載したとおりである。
また、塩(D)が、前述の重縮合反応を促進する機能を有していることから、本発明の組成物を用いて成膜した場合、例えば70〜160℃という低温で緻密な金属酸化物膜を形成することができる。
[1−7.混合工程]
本発明の透明膜形成用組成物の製造方法は、上述の成分(A)〜(D)を混合する工程を有する。混合時の液温は、通常18〜35℃、好ましくは20〜30℃であり;撹拌時間は、通常1〜48時間、好ましくは4〜24時間であり;反応は例えば常圧下で行われる。
このような混合条件であれば、金属アルコキシド(A)の重縮合反応が適切に進行し、すなわち適切な重合度を有しかつ重縮合反応が二次元的に進行してなる金属酸化物重合体が生成すると推測される。
混合工程において、成分(A)〜(D)の仕込み量を以下に説明する範囲に設定することによって、(1)組成物の安定性を良好にすることができ、(2)組成物を塗布成膜した場合、透明性・屈折率が高く、かつヘイズが低い膜を、低い焼成温度で得ることができる。具体的には、金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)を35〜250モル、水(C)を0.5〜5モル、および塩(D)を0.01〜0.1モルの範囲で混合する。
金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)を35〜250モル、好ましくは65〜250モルの範囲で混合する。これらの範囲であれば、得られる組成物の安定性が高くなる。例えば保存中に、粘度の上昇が起きることもなく、沈殿が生じるようなこともない。さらに、これらの範囲であれば、組成物を塗布成膜した場合に、充分な膜厚の膜が得られ、得られる膜は、高い屈折率、高い透明性および低いヘイズを有する。アルコール(B)の量を好ましい範囲に設定した場合、ヘイズがさらに低い膜を得ることができる。
金属アルコキシド(A)1モルに対して、水(C)を0.5〜5モル、好ましくは0.8〜3モルの範囲で混合する。これらの範囲であれば、金属アルコキシド(A)の加水分解が充分に進行し、また塩(D)の溶解性が充分にあるため、組成物中での反応が適切に進行する。このため、組成物を塗布成膜した場合に、得られる膜の屈折率は高くなる。また、金属アルコキシド(A)の加水分解が適度に進行するため、得られる組成物の安定性が高く、例えばゲル化等による粘度の増加が起きることもなく、金属酸化物微粒子等の沈殿が生じるようなこともない。さらに、組成物を塗布成膜した場合に、得られる膜は高い透明性および低いヘイズを有する。
金属アルコキシド(A)1モルに対して、塩(D)を0.01〜0.1モル、好ましくは0.02〜0.06の範囲で混合する。これらの範囲であれば、低い焼成温度でも重縮合反応が充分に進行するため、得られる膜の透明性および屈折率が優れる。さらに、組成物は充分な安定性を有するので、例えば組成物中に沈殿が生じて、得られる膜の光学特性が低下するようなことは起こらない。
混合工程において、成分(A)〜(D)および必要に応じて上記任意成分を公知の方法により攪拌、混合、溶解等を適宜選択して行うことによって、本発明の組成物を製造することができる。混合工程では、上記の組成比で、成分(A)〜(D)を混合することが好ましい。
原料化合物の混合方法としては特に限定されず、各成分(A)〜(D)を一括混合してもよいが、推定される組成物中での反応を考慮すると、以下の(1)〜(3)の方法が好ましい。さらに、このようにして得られた組成物に、上記任意成分を添加してもよい。
(1)最初に、全ての金属アルコキシド(A)と全てのアルコール(B)とを混合し、これらを充分反応させ、次に、得られた混合溶液に、水(C)および塩(D)を加え、充分反応させる方法。
(2)最初に、全ての金属アルコキシド(A)と一部のアルコール(B)とを混合し、これらを充分反応させ、次に、得られた混合溶液に、水(C)、塩(D)および残りのアルコール(B)を加え、充分反応させる方法。
(3)全ての金属アルコキシド(A)と一部のアルコール(B)とを混合し、これらを充分反応させて混合溶液(1)を調製し、水(C)と塩(D)と残りのアルコール(B)とを混合して混合溶液(2)を調製し、次に、混合溶液(1)と混合溶液(2)とを混合して、充分反応させる方法。
上記(1)〜(2)の方法における撹拌時間は、通常1〜48時間、好ましくは4〜24時間である。上記(3)の方法において、混合溶液(1)および(2)のそれぞれの調製時の撹拌時間は、通常5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間であり、混合溶液(1)および(2)の混合時の撹拌時間は、通常1〜48時間、好ましくは4〜24時間である。
〔2.塗布型透明膜形成用組成物〕
本発明の塗布型透明膜形成用組成物は、(A)金属アルコキシド、(B)アルコール、(C)水、および(D)強酸と弱塩基とを反応させて得られる塩、を特定のモル比で混合して得られる。具体的には、本発明の組成物は、上述の製造方法によって得ることができる。
本発明の組成物は、粘度が1〜20mPa・sであることが好ましく、1〜10mPa・sであることがより好ましい。粘度は、25℃およびせん断速度383s-1の条件で測定され、その測定条件の詳細は実施例に記載したとおりである。
本発明の組成物は、粘度等が安定で、保存安定性に優れる。また、本発明の組成物を用いることにより、高い透明性、屈折率および平坦性を有し、低いヘイズを有する金属酸化物膜を、低い焼成温度で得ることができる。
本発明の組成物は、非特許文献2に記載の手法、すなわち、NMR、ESR、ラマンスペクトル、赤外スペクトル、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等による分析方法によって、組成の同定を行うことができる。また、原料化合物同士の反応は、組成物を塗布して焼成した際に起こる場合が圧倒的に多数であり、原料化合物の混合工程における溶液中で起こる場合は少数である。したがって、上記分析方法によって、本発明の組成物を製造する際に用いた原料化合物の組成を同定することが可能である。
〔3.塗布型透明膜形成用組成物を用いた透明膜の製造方法〕
本発明の塗布型透明膜形成用組成物を用いて基板上に透明膜を形成する方法について、以下に説明する。本発明の透明膜の製造方法は、(1)基板上に、本発明の塗布型透明膜形成用組成物を塗布する工程、および(2)工程(1)で得られた塗膜を、基板を加熱する等の方法で焼成する工程、を有する。
[3−1.工程(1)]
工程(1)では、本発明の透明膜形成用組成物を基板上に塗布する。
基板としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラス等からなるガラス基板;ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリメタクリル酸メチル等からなる高分子基板が挙げられる。基板は、板状であってもフィルム状であってもよい。基板の表面には、酸化インジウム、酸化錫、銀、金、炭素、有機化合物等からなる透明電極や、絶縁膜、カラーフィルター、各種駆動回路等が形成されていてもよい。
本発明の組成物は低い焼成温度で膜を形成することができる。したがって、これらの基板の中でも、耐熱性が低いプラスチック基板や、熱による悪影響を受け易い駆動回路付き基板等への成膜において、特に有用である。
基板の厚さの一例としては、0.1〜3mmが例示されるが、特に限定されない。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、ブレードコート法、スプレー法、凸版印刷法、凹版印刷法、平板印刷法、ディスペンス法およびインクジェット法等の一般的な方法を用いることができる。膜厚の均一性および生産性の観点から、スピンコート法とスリットコート法が好ましく、スリットコート法がより好ましい。
工程(1)で得られた塗膜に対しては、塗布後に、適宜乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥、室温乾燥、加熱乾燥、通風乾燥が挙げられる。これらの方法により、塗膜中の溶媒、例えばアルコール(B)を除去することで塗膜を乾燥させる。乾燥条件としては、例えば、室温以上100℃以下の温度で1〜5分間乾燥させる。また、減圧乾燥では、例えば、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度で乾燥させる。製造コストの観点からは、大気圧下、室温で乾燥することが好ましいが、乾燥に時間がかかる場合は、50℃程度で加熱して乾燥させることが好ましい。乾燥工程は、工程(2)の焼成よりも低い温度で行われる。
[3−2.工程(2)]
工程(2)では、工程(1)で得られた塗膜を焼成する。
本工程によって、塗膜中の溶媒、例えばアルコール(B)が除去され、また、塗膜中で金属アルコキシド(A)およびその低次縮合物の重縮合反応が進行することによって、緻密な金属酸化物膜が形成され、塗膜が硬化する。全ての溶媒が除去されなくてもよい。
焼成には、例えば、ホットプレート、オーブンを用いることができる。
焼成温度としては、アルコール(B)等の溶媒の種類によっても異なるが、基板への熱負荷および製造コストの観点から、通常70〜160℃であり、好ましくは80〜120℃である。焼成温度は、例えば、ホットプレートを用いる場合はプレートの温度であり、オーブンを用いる場合はオーブン内に設置した熱電対を用いて測定した温度である。また、焼成時間は、通常10〜60分間である。本発明では、上記特徴を有する透明膜形成用組成物を用いることから、このような低温焼成が可能である。80℃で10〜60分間焼成する条件が、製造コストおよび基板への熱負荷のバランスの観点から好ましい。
[3−3.任意工程]
なお、上記の各工程の前後には、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程から選択される1または2以上の工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶剤を用いた洗浄処理および加熱処理が挙げられる。
プラズマ表面処理は、透明膜形成用組成物や現像液等に対する塗れ性を上げるために用いることができる。例えば、酸素プラズマを用いて、100ワット、90秒、酸素流量50sccm(sccm;standard cc / min)、圧力50パスカルの条件で、基板または塗膜の表面を処理することができる。
超音波処理は、溶液中に基板を浸漬し、例えば、200kHz程度の超音波を伝播させることによって、基板上に物理的に付着した微粒子等を取り除くことができる。
オゾン処理は、基板に空気を吹きつけると同時に紫外光を照射し、紫外光によって発生したオゾンの酸化力によって、基板上の付着物等を効果的に取り除くことができる。
洗浄処理は、例えば、純水を霧状あるいはシャワー状等に吹きつけ、溶解性と圧力で微粒子状の不純物を洗い流し、取り除くことができる。
加熱処理は、取り除きたい化合物を揮発させることによって基板中の化合物を取り除く方法である。加熱温度は、取り除きたい化合物の沸点を考慮して適宜設定する。例えば、取り除きたい化合物が水である場合は、50〜80℃程度の範囲で加熱する。
[3−4.透明膜および積層体]
上記製造方法により得られた透明膜の膜厚は、5〜200nmである。前記膜の屈折率は、好ましくは1.7以上であり、より好ましくは1.8〜2.1である。
本発明の積層体は、基板と上記透明膜とを含み、例えば基板上に上記透明膜が形成された膜付き基板である。前記膜付き基板等の積層体の全光線透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは85〜93%である。前記膜付き基板等の積層体の曇度(ヘイズ)H1は、基板のみのヘイズ値H2との差|H1−H2|が好ましくは1.5%以下であり、より好ましくは1.2%以下である。
これらの特性が前記範囲であれば、本発明の透明膜は、反射防止用途やパターン見え防止用途としての機能を充分に発揮することができる。
「全光線透過率」は入射光に対する透過光の割合であり、透過光は直接の透過成分と散乱成分とからなる。「ヘイズ」は、全光線透過光のうち、入射光軸から2.5度以上散乱した光の割合である。光源はC光源であり、スペクトルはCIE輝度関数yである。「屈折率」は波長550nmにおける屈折率である。これらの測定条件の詳細は実施例に記載したとおりである。
[3−5.高屈折率透明膜の用途]
以下、本発明の高屈折率透明膜の用途について説明する。本発明の塗布型透明膜形成用組成物を用いて形成された高屈折率透明膜およびそれを用いた積層体は、その光学特性から、例えば電子デバイスに用いられる。電子デバイスの一例は、基板と、本発明の高屈折率透明膜とを有する。
電子デバイスとしては、例えば、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス型ディスプレイ、電子ペーパー等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、タッチパネル素子、太陽電池素子が挙げられる。
電子デバイスは、堅い基板を用いて作製されてもよく、曲がり易い基板を用いて作製されてもよく、さらにはそれらの組み合わせでもよい。また、電子デバイスに用いられる基板は透明であっても、着色されていてもよい。
FPDに用いられる高屈折率透明膜としては、例えば、反射防止膜がある。
タッチパネル素子には、その検出方法によって抵抗膜式や静電容量方式等があるが、いずれも反射防止膜として高屈折率透明膜が用いられる。また、特に投影型静電容量方式では、ITO膜のパターン見え防止用途として高屈折率透明膜が用いられる。高屈折率透明膜は、それぞれ任意の形状にパターニングされることもある。
太陽電池素子は、光吸収層の材料によって、シリコン系、化合物系、有機系、量子ドット型等があり、いずれも反射防止膜として高屈折率透明膜が用いられる。高屈折率透明膜は、それぞれ任意の形状にパターニングされることもある。
〈反射防止膜用途〉
一つの例では、本発明の組成物を用いて形成された膜は、例えば、単層で反射防止膜として用いられる。一般に、屈折率n1の透明基板上に屈折率n2、膜厚d2の膜が形成されている場合、屈折率n0の媒体中を膜表面から垂直に入射する光の反射率は、n0<n2<n1かつn2・d2が光の波長の1/4の奇数倍であるときに最小値をとり、その値は以下のRで示される。
R=[(n01−n2 2)/(n01+n2 2)]2
よって、Rがゼロになる条件は、n2=(n010.5であるから、例えば、媒体が空気(n0=1)の場合、屈折率が3.4程度の半導体材料上に本発明の高屈折率透明膜(屈折率:例えば1.85程度)を形成することによって、その反射率を低下させることができる。本発明の組成物は、安定性が高く、得られる膜の透明性が高く、ヘイズが低く、かつ屈折率が高いことから、このような反射防止用途に好適に用いることができる。
また、別の例では、本発明の組成物を用いて形成された膜を含む積層体が、反射防止膜として用いられる。一般に、ガラス基板上に、1層目として屈折率約1.35の膜、2層目として屈折率約1.85の膜からなる積層体を反射防止膜として形成した場合、空気中を反射防止膜表面から垂直に入射する光は、波長400〜800nmの広い範囲で、反射防止膜を形成しない場合に比べて反射率が低くなることが知られている。本発明の組成物を用いて形成された膜は、この例における2層目の膜として好適に用いることができる。
〈パターン見え防止用途〉
一つの例では、本発明の組成物を用いて形成された膜は、透明基板上に形成された透明導電膜パターン、例えば静電容量方式のタッチパネルにおけるタッチ電極パターンのパターン見え防止用途として用いられる。
透明基板上に形成された透明導電膜パターンにおいて、透明導電膜と透明基板との屈折率の差が大きい場合、透明基板上の透明導電膜が存在する領域での反射光と透明導電膜が存在しない領域での反射光との強度の差が大きく、結果的に透明導電膜パターンが顕著に見えてしまう。これを防止するために、本発明の高屈折率透明膜を含む積層体を透明導電膜パターンが形成された透明基板上に形成する(図1(A))、または、透明基板上に本発明の高屈折率透明膜を含む積層体を形成してその積層体上に透明導電膜パターンを形成する(図1(B))。これらの場合、透明導電膜が存在する領域での反射光と、透明導電膜が存在しない領域での反射光との波長550nmにおける反射率の差が1%以内であることが好ましい。
すなわち、電子デバイスの一例を挙げれば、パターン化された透明導電膜の上層または下層に、本発明の高屈折率透明膜を含む積層体であって、該透明導電膜が存在する領域と該透明導電膜が存在しない領域での、波長550nmにおける反射率の差が1%以下である積層体を有する電子デバイスが挙げられる。
本発明の組成物は、組成物の安定性が高く、得られる膜の透明性が高く、ヘイズが低く、かつ屈折率が高いことから、このようなパターン見え防止用途に好適に用いることができる。
パターン見え防止用途で用いられる透明基板としては、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラス等からなるガラス基板;ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリメタクリル酸メチル等からなる高分子基板が挙げられる。これらは板状でもフィルム状でもよい。
パターン見え防止用途で用いられる透明導電膜としては、例えば、有機物膜、ITO、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)、ガリウム・酸化亜鉛(GZO)等の金属酸化物膜、金属ナノ粒子分散膜、金属ナノワイヤ分散膜、金属ナノチューブ分散膜、有機物ナノ粒子分散膜、有機物ナノワイヤ分散膜、有機物ナノチューブ分散膜が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例や比較例において、構成成分としての水は超純水を用いたが、以下では単に「水」と言うことがある。超純水は、ピューリック FPC−0500−0M0(商品名;オルガノ(株)製)を用いて調製した。また、組成物の調製は、特に記述のない限り、25℃の室温下で行った。
各評価項目における測定方法または評価方法は下記方法に従った。
(1)粘度
組成物の粘度の測定には、TV−22形粘度計(東機産業(株)製)を用いた。25℃およびせん断速度383s-1のときの粘度を測定した。組成物の粘度の安定性の評価は、組成物を25℃で180時間保存した場合の、保存開始時の粘度測定値a(mPa・s)と保存終了後の粘度測定値b(mPa・s)とを比較して、粘度の上昇率を(b−a)/aの百分率とし、粘度の上昇率が80%以下である組成物を「良好(AA)」とし、上昇率が80%を超える組成物を「不良(CC)」とした。
(2)全光線透過率および曇度(ヘイズ)
透明膜付き基板の全光線透過率および曇度(ヘイズ)の測定には、ヘイズガードプラス(BYKガードナー(株)製)を用いた。リファレンスは空気とした。透明膜のヘイズの評価は、基板のみのヘイズ値と透明膜付き基板のヘイズ値との差が、1.5%以下である場合を「良好(AA)」、1.5%を超えるものを「不良(CC)」とした。なお、厚さ0.7mmのEagleXGガラス基板のヘイズ値は0.0%であった。
(3)屈折率
透明膜の屈折率の測定には、反射分光膜厚計FE−3000(大塚電子(株)製)を用いた。波長550nmにおける測定値を、試料の屈折率とした。
(4)膜厚
透明膜の膜厚の測定には、段差計P−16+(商品名;ケーエルエー・テンコール(株)製)を用いた。基板上に形成された膜の一部を削り取り、その境界面の段差を測定した。その測定値を、試料の膜厚とした。なお、膜厚の測定は、「ファインセラミックス薄膜の膜厚試験方法−触針式粗さ計による測定方法(JIS−R−1636)」に準じた。
[実施例1]
[透明膜形成用組成物の調製]
オルトチタン酸テトラブチル(東京化成工業(株)製)1.00g、および2−プロパノール34.2gを混合し、10分間攪拌して混合溶液(1)を得た。また、ヒドラジン一塩酸塩(東京化成工業(株)製;Hydrazine monohydrochloride)0.0760g、水1.00g、および2−プロパノール25.0gを混合し、10分間攪拌して混合溶液(2)を得た。次に、混合溶液(1)を攪拌しながら混合溶液(1)に混合溶液(2)2.76gを加え、4時間攪拌し、組成物Iを得た。用いた原料化合物の仕込み量のモル比を表1に示す。
[透明膜の形成]
厚さ0.7mmのEagleXGガラス基板上に、得られた組成物I 0.5mLを滴下し、スピンコーター(商品名;MS−A150 ミカサ(株)製)を用いて2000rpmでスピンコートを行った。前記ガラス基板を大気圧下、室温で1分間乾燥させ、80℃のホットステージ上で1時間焼成し、透明膜付き基板Iを作製した。
[透明膜付き基板の評価]
得られた透明膜付き基板Iは、全光線透過率=91.8%、ヘイズ=0.3%、屈折率=1.88、膜厚=23nmであった。ヘイズの評価は「良好(AA)」であった。これらの評価結果を表1に示す。透明膜付き基板Iの透明膜は、本発明の組成物を用いて形成したために、高い透明性、低いヘイズおよび高い屈折率を有していた。
[粘度の安定性の評価]
得られた組成物Iの保存開始時の粘度は2.05mPa・sであり、粘度の上昇率は0%であり、粘度の安定性は「良好(AA)」であった。これらの評価結果を表1に示す。組成物Iは、本発明で示された適切な化合物と適切な仕込み量とによって調製されたものであるため、粘度の安定性が高かった。
[実施例2〜5]
実施例1において、各成分の仕込み量を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、組成物II〜Vを得た。得られた組成物を用いて、実施例1と同様にして、透明膜付き基板II〜Vを得た。これらの評価結果を表1に示す。透明膜付き基板II〜Vの透明膜は、本発明の組成物II〜Vを用いて形成したために、高い透明性、低いヘイズおよび高い屈折率を有していた。
[比較例1]
特許第4942053号に開示されている実施例1に基づいて、以下の組成物VIを調製した。オルトチタン酸テトライソプロピル(東京化成工業(株)製)3.552gおよびエタノール5.9gを混合して1時間攪拌し、混合溶液1を得た。また、ヒドラジン一塩酸塩0.0343gおよび蒸留水0.45gを10〜30℃に保ちながら、超音波攪拌装置(USK−1R;アズワン(株)製)を用いて10分間超音波攪拌を行い、その後エタノール11.8gを加えて、20〜50℃に保ちながら10分間超音波攪拌を行い、混合溶液2を得た。次に、混合溶液1に混合溶液2を全量加え、温度25℃で回転数550rpmで1時間攪拌し、組成物VIを得た。用いた原料化合物の仕込み量のモル比を表1に示す。得られた組成物VIは調製後急速にゲル化が進行した。
[比較例2]
特許第4942053号に開示されている実施例2に基づいて、以下の組成物VIIを調製した。オルトチタン酸テトライソプロピルではなくオルトチタン酸テトラブチル4.253gを用い、混合溶液1と混合溶液2を混合した後の攪拌時間を1時間ではなく24時間にしたこと以外は比較例1と同様の手順と化合物を用いて、組成物VIIを得た。用いた原料化合物の仕込み量のモル比を表1に示す。得られた組成物VIIは調製後急速にゲル化が進行した。
[比較例3]
特許第4942053号に開示されている実施例4に基づいて、以下の組成物VIIIを調製した。混合溶液1においてオルトチタン酸テトライソプロピルではなくオルトチタン酸テトラブチル4.253gを用い、エタノールではなく2−プロパノール5.68gを用い、混合溶液2においてエタノールではなく2−プロパノール11.37gを用い、混合溶液1と混合溶液2を混合した後の攪拌時間を1時間ではなく6時間にしたこと以外は比較例1と同様の手順と化合物を用いて、組成物VIIIを得た。用いた原料化合物の仕込み量のモル比を表1に示す。
組成物VIIIを用いたこと以外は実施例1と同様の手順で、透明膜基板VIII−1を作製した。また、組成物VIIIを用い、かつ5500rpmでスピンコートを行ったこと以外は実施例1と同様の手順で、透明膜基板VIII−2を作製した。
[比較例4]
実施例1において、各成分の仕込み量を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、組成物VIVを得た。得られた組成物を用いて、実施例1と同様にして、透明膜付き基板VIVを得た。これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2014122135
表1中の成分の詳細は以下のとおりである。
・オルトチタン酸テトラブチル(東京化成工業(株)製)
・オルトチタン酸テトライソプロピル(東京化成工業(株)製)
・ジルコニウムテトラブトキシド(東京化成工業(株)製)
・ヒドラジン一塩酸塩(東京化成工業(株)製)
図2〜4に、実施例1〜4および比較例3〜4に基づく、2−プロパノールの仕込み量/オルトチタン酸テトラブチルの仕込み量(モル比)に対する、組成物の粘度の上昇率、ならびに透明膜の膜厚および屈折率をプロットしたグラフを示す。なお、比較例3のプロットは、透明膜の膜厚では透明膜付き基板VIII−1に基づき、透明膜の屈折率では透明膜付き基板VIII−2に基づく。
例えば、実施例1〜4と比較例1〜4とを対比する。比較例1〜4の組成物は、2−プロパノールまたはエタノールの仕込み量が適切でなかったため、保存安定性が低かった。また、比較例3および4の透明膜基板VIII−1、VIII−2およびVIVは、ヘイズが高かった。実施例1〜4の組成物は、2−プロパノールの仕込み量がオルトチタン酸テトラブチル1モルに対して35〜250モルの範囲であったため、保存安定性に優れ、得られる膜のヘイズが低かった。特に、実施例1〜3の組成物は、2−プロパノールの仕込み量がオルトチタン酸テトラブチル1モルに対して65〜250モルの範囲であったため、得られる膜のヘイズがさらに低かった。
本発明の組成物は、例えば、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、電子ペーパー、タッチパネル素子、太陽電池素子などのデバイス素子の製造工程に用いることができる。本発明の組成物は保存安定性に優れており、なおかつ、成膜時に必要な温度は低い。本発明の組成物から製造できる膜は、透明性が高く、ヘイズが低く、屈折率が高いという特性を併せ持つ。
10…透明基板
20…透明導電膜パターン
30…高屈折率透明膜を含む積層体

Claims (13)

  1. (A)金属アルコキシド、
    (B)アルコール、
    (C)水、および
    (D)強酸と弱塩基とを反応させて得られる塩、
    を、金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)を35〜250モル、水(C)を0.5〜5モル、および該塩(D)を0.01〜0.1モルの範囲で混合する工程
    を有する、塗布型透明膜形成用組成物の製造方法。
  2. 金属アルコキシド(A)1モルに対して、アルコール(B)が65〜250モルである、請求項1に記載の製造方法。
  3. アルコール(B)が、炭素数2〜10でありかつ1分子中にヒドロキシ基を1つ有するアルコールである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 金属アルコキシド(A)が、チタンアルコキシドおよびジルコニウムアルコキシドから選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 塩(D)が、強酸として塩化水素と弱塩基として含窒素化合物とを反応させて得られる塩であり、含窒素化合物がヒドラジン、アセトアミジン、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、ジエチルマロニル尿素、1,10−フェナントロリン、ベンジジンおよびアンモニアから選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法によって得られる塗布型透明膜形成用組成物。
  7. 25℃およびせん断速度383s-1の条件で測定される粘度が1〜20mPa・sである、請求項6に記載の組成物。
  8. (1)基板上に、請求項6または7に記載の組成物を塗布する工程、および
    (2)工程(1)に続いて基板を70〜160℃で加熱する工程、
    を含む、透明膜の製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法によって得られる透明膜。
  10. 波長550nmにおける屈折率が1.7以上である、請求項9に記載の透明膜。
  11. 基板と請求項9または10に記載の透明膜とを含む積層体であり;該透明膜の膜厚が5〜200nmであり;該積層体の全光線透過率が85%以上であり;該積層体のヘイズ値H1と該基板のみのヘイズ値H2との差|H1−H2|が1.5%以下である;積層体。
  12. 請求項11に記載の積層体を含む電子デバイス。
  13. パターン化された透明導電膜の上層または下層に、請求項9または10に記載の透明膜を含む積層体で、該透明導電膜が存在する領域と該透明導電膜が存在しない領域での、波長550nmにおける反射率の差が1%以下である積層体を有する電子デバイス。
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