JP2014120817A - 据置型近接無線通信装置、携帯型近接無線通信装置、近接無線通信システムおよび近接無線通信方法 - Google Patents

据置型近接無線通信装置、携帯型近接無線通信装置、近接無線通信システムおよび近接無線通信方法 Download PDF

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Abstract


【課題】狭指向性を持つアンテナを用いながら安定に無線通信を行えるようにする。
【解決手段】据置型近接無線通信装置は、携帯型近接無線通信装置をかざす領域であることを示す第1指標と、前記領域内における前記携帯型近接無線通信装置をかざすのに最適な推奨位置と外れた位置から前記推奨位置の方向に指向性を持つ電波を放射する、前記領域内に配置されるアンテナと、を有する電波送受信部と、前記アンテナで送受される電波の変復調処理を行う無線通信部と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、近接無線通信を行う据置型近接無線通信装置、携帯型近接無線通信装置、近接無線通信システムおよび近接無線通信方法に関する。
ICカード等の携帯機器を近接させて行う非接触無線通信技術として、RFID、FeliCa(登録商標)、NFC、TransferJet(登録商標)などが知られている。これらの技術では、コイルやカプラを使用した電磁誘導による無線通信と、UHF帯などのアンテナで電波を送受する無線通信とがある。
UHF帯を用いる無線通信は、比較的通信可能距離が長く、数10cm以上の通信が可能である。このため、携帯機器をリーダの10cm程度の距離に近づければ、安定した通信を行うことができ、携帯機器とリーダのそれぞれについて、アンテナの設置場所についての制約は少ない。したがって、UHF帯を用いるリーダには、携帯機器をかざすおおまかな位置をマーク等で示すのが一般的である。
ところが、40GHzを超えるようなミリ波帯を用いる無線通信では、波長が短いため、アンテナの形状が非常に小さくなる。また、ミリ波帯では、アンテナ利得を持たせるために、一定方向に指向性を向けるのが一般的である。
このように、ミリ波帯を用いる無線通信は、UHF帯を用いる無線通信よりも、アンテナの指向性が非常に狭くなり、携帯機器やリーダ等に明記されたかざすべき位置から外れた位置でかざしてしまうと、良好な通信ができないおそれがある。
特開2002-183773号公報 特開2002-352198号公報 特開2004-355580号公報 特開2005-033629号公報 特開2011-259366号公報
本実施形態は、狭指向性を持つアンテナを用いながら安定に無線通信を行うことができる据置型近接無線通信装置、携帯型近接無線通信装置、近接無線通信システムおよび近接無線通信方法を提供するものである。
本実施形態では、携帯型近接無線通信装置をかざす領域であることを示す第1指標と、前記領域内における前記携帯型近接無線通信装置をかざすのに最適な推奨位置と外れた位置から前記推奨位置の方向に指向性を持つ電波を放射する、前記領域内に配置されるアンテナと、を有する電波送受信部と、
前記アンテナで送受される電波の変復調処理を行う無線通信部と、を備える据置型近接無線通信装置が提供される。
(a)〜(c)は第1の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の要部を示す図。 第1の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の外観を示す斜視図。 第1の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の主要部の構成を示すブロック図。 ICチップ12の一例を示す図。 (a)と(b)は図4のループ状のアンテナ7の指向性のシミュレーション結果の一例を示す図。 (a)〜(c)は斜め下方に電波を放射する例を示す図。 第2の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の要部を示す図。 図7の一変形例を示す図。 第3の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の要部を示す図。 第4の実施形態に係る据置型無線通信装置の要部を示す図。 図10の一変形例を示す図。 (a)〜(d)は第5の実施形態に係る携帯型近接無線通信装置30を示す図。 携帯型近接無線通信装置30の主要部の構成を示すブロック図。 第6の実施形態に係る携帯型近接無線通信装置30を示す図であり、図14(a)は正面図、図14(b)は背面図、図14(c)は携帯型近接無線通信装置30のアンテナ31の設置場所および水平面方向の放射方向を示す図、図14(d)は側面方向におけるアンテナ31の放射方向を示す図。 90度異なる方向に電波を放射する2つのアンテナ7を据置型近接無線通信装置1に設ける例を示す図。 それぞれ90度ずつ異なる方向に電波を放射する4つのアンテナ7を据置型近接無線通信装置1に設ける例を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の要部を示す図、図2は第1の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の外観を示す斜視図である。
図1の据置型近接無線通信装置1は、例えば駅の自動改札機等のチケットゲート機に内蔵される。図2は本実施形態に係る据置型近接無線通信装置1をチケットゲート機2に適用した例を示している。なお、本実施形態に係る据置型近接無線通信装置1は、チケットゲート機2への適用に限定されるものではなく、近接無線通信を行う種々の装置への適用が可能である。
図2の据置型近接無線通信装置1の上面には、ユーザが所持する携帯型近接無線通信装置との間で近接無線通信を行う電波送受信部3が設けられている。図1は図2に示す電波送受信部3の上面を拡大図示したものである。以下では、電波送受信部3の上面方向を水平面方向と呼び、電波送受信部3の上面の法線方向を上下方向と呼ぶ。
図1(a)に示すように、電波送受信部3の上面4には、例えばトラック形状または矩形状の第1指標5と、この第1指標5の内側に設けられる第2指標6とが設けられている。第1指標5と第2指標6は、電波送受信部3の上面4に別の色等で描かれてもよいし、シール等の薄膜部材を電波送受信部3の上面4に貼り付けたものでもよい。
第1指標5は、携帯型近接無線通信装置をかざす領域であることをユーザに認識させるためのものである。第2指標6は、携帯型近接無線通信装置をかざすのに最適な推奨位置をユーザに認識させるためのものである。第1指標5と第2指標6の具体的な表示形態は問わない。境界線のみで、各指標を識別させてもよいし、各指標の内部の色を変えて識別させてもよい。異なるマークで識別させてもよい。
第2指標6は、例えば図1(a)に示す星印マークのように、ユーザが推奨位置であることを認識しやすい形態で表示される。また、マークの代わりに、「タッチ」や「Touch」等の文字を表示してもよいし、マークの代わりにLED等の照明器具を設けて、点灯または点滅させてもよい。
図1(a)の例では、星印マークの周りを矩形状の線で囲んでいるが、この線は特に必須ではない。また、第2指標6のサイズや形状も任意であるが、第2指標6内に携帯型近接無線通信装置をかざすと、据置型近接無線通信装置1内のアンテナ7からの電波を安定して受信できることを想定しているため、第2指標6は、電波を安定して受信できるサイズや形状に設定される。
ユーザが携帯型近接無線通信装置を第2指標6にかざす際には、携帯型近接無線通信装置を第2指標6に接触させてもよいし、わずかに第2指標6から離してかざしてもよい。携帯型近接無線通信装置との無線通信ができた場合には、例えば第1指標5にその旨の表示を行うか、音声でユーザに知らせてもよい。
本実施形態では、図1(a)に示すように、第1指標5の領域内の第2指標6の位置と外れた位置で、かつ第1指標5の領域内にアンテナ7を設置している。このアンテナ7は、第2指標6の方向に指向性を持つ電波を放射する。したがって、ユーザが携帯型近接無線通信装置を第2指標6にかざすと、アンテナ7からの電波を安定に受信可能となる。
図1(b)は据置型近接無線通信装置1のアンテナ7の電波の放射方向10を示す図である。図示のように、アンテナ7は、概略的には扇状に電波を放射し、扇状の概略中心方向に電波の最大利得を持っている。よって、望ましくは、アンテナ7から放射される電波の最大利得の方向と第2指標6の方向とが概略一致するように、アンテナ7の設置場所が設定される。
図1(c)は電波送受信部3の上下方向におけるアンテナ7の電波の放射方向10を示す図である。図示のように、アンテナ7は、電波送受信部3の上面4よりも下方の面8上に設置されており、この設置場所から上下方向に対しても、所定の鋭角の角度範囲で電波を放射する。したがって、アンテナ7が電波送受信部3の上面4よりも下方に設置されていても、電波送受信部3の上面4よりも上方にも電波が放射されることになり、電波送受信部3の上面4の上方にかざされた携帯型近接無線通信装置で安定に電波を受信できる。
本実施形態では、例えば、40GHz〜80GHzの周波数範囲内のミリ波の電波を用いて近接無線通信を行うものである。ミリ波帯の無線通信は、伝送速度が高速な上に、電波の直進性が強くて伝搬損失が大きいことから、第三者に傍受されにくくセキュアな通信ができるという特徴がある。その一方で、安定した通信を行うための十分な受信電力を得るため、送受のいずれかもしくは両方に狭い指向性のアンテナを用いてアンテナ利得を持たせることが一般的であり、そのため従来の近接無線と比較して指向性が非常に狭いという短所もある。そこで、本実施形態では、上述したように、据置型近接無線通信装置1のアンテナ7の設置場所を工夫して、携帯型近接無線通信装置と安定に無線通信ができるようにしている。
図3は第1の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の主要部の構成を示すブロック図である。図3の据置型近接無線通信装置1は、アンテナ(第1アンテナ)7を内蔵した電波送受信部(第1電波送受信部)3と、無線通信部(第1無線通信部)11とを有する。無線通信部11は、アンテナ7で送受される電波の変復調処理を行う。
電波送受信部3と無線通信部11との少なくとも一部は、ICチップ化することが可能である。例えば、図4はこの種のICチップ12の一例を示す図である。図4は、ICチップ12内のボンディングワイヤを用いてアンテナ7を形成した、アンテナ7内蔵型のICチップ12の一例を示している。
図4では、無線通信部11が内蔵されたICチップ12の上面に形成される差動給電線13と、この差動給電線13から左右に延在される2本のワイヤ14と、これら2本のワイヤ14の先端同士を誘電体基板上で接続する金属部15とで、ループ状のアンテナ7を形成している。このループ状のアンテナ7の指向性の範囲および方向は、ワイヤ14の傾斜角度やワイヤ14間の距離等を調整することで変更可能である。ワイヤ14はボンディングワイヤと同じ材料で形成されており、図4では、ICチップ12、ワイヤ14およびアンテナ7を同じパッケージ20内に収納している。
図5は図4のループ状のアンテナ7の指向性のシミュレーション結果の一例を示す図である。図5(a)のように、ICチップ12の左側側面部にアンテナ7が設けられている場合、その指向性は図5(b)に示すようにICチップ12の左側側面方向の範囲18になる。したがって、ICチップ12の設置面方向に電波を放射することができる。
本実施形態では、図5に示すようなICチップ12に内蔵されたアンテナ7を図1(b)に示す位置に設けて、この位置から第2指標6の位置側(図1(b)の点線9から左側)に電波の指向性の最大利得が向くようにする。利用形態によっては、厳密な意味で、アンテナ7から放射される電波の最大利得の方向が第2指標6の方向にならない場合もありうるが、少なくとも、アンテナ7の水平面方向の指向性を、アンテナ7の位置から第2指標6の位置側に向ける必要がある。すなわち、アンテナ7を通過する図1(b)の点線9から左側にアンテナ7の指向性を向ける必要がある。
従来の据置型近接無線通信装置1は、電波送受信部3の上面4から法線方向に指向性を向けて電波を放射するのが一般的であった。これに対して、本実施形態に係る据置型近接無線通信装置1は、例えば図5のようなループ状のアンテナ7を用いることで、図1(b)と図1(c)に示すように、電波送受信部3の上面4に沿った方向に電波を放射する。これは、本実施形態では、ミリ波での無線通信を想定しており、指向性が狭いことから、携帯型近接無線通信装置を第2指標6にかざしたときに安定して無線通信ができるよう、アンテナ7から第2指標6の方向に電波の指向性を向けるためである。
本実施形態におけるアンテナ7の電波の放射方向は、必ずしも電波送受信部3の上面4に略平行である必要はなく、図6に示すように、水平面方向に対して所定の鋭角角度だけ傾けた方向でもよい。アンテナ7は、電波送受信部3の上面4よりも下方に設置されるため、アンテナ7から水平面方向に略平行に電波を放射すると、第2指標6の電波強度は、必ずしも最大にならない。そこで、図6(c)に示すように、アンテナ7から第2指標6の方向に向けて、斜め上方に電波を放射すれば、第2指標6の電波強度をより高くすることができ、より安定に無線通信を行うことができる。
なお、図6の例では、電波送受信部3の上下方向における電波の放射角度を傾けるものであり、図6(b)に示す水平面方向における電波の放射角度は図1(b)と同様であり、図6(a)に示すアンテナ7の設置場所も図1(a)と同様である。
このように、第1の実施形態では、第1指標5の内側に第2指標6を設けて、第1指標5の範囲内で第2指標6とは異なる位置に設置されるアンテナ7から、第2指標6の方向に向けて電波を放射するため、ユーザが携帯型近接無線通信装置を第2指標6にかざすと、アンテナ7からの電波を安定して受信できるようになる。これにより、ミリ波のように指向性が非常に狭い電波であっても、安定した無線通信が可能になる。
(第2の実施形態)
以下に説明する第2の実施形態では、第2指標6を省略するものである。
図7は第2の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の要部を示す図、図8は図7の一変形例を示す図である。図7と図8の据置型近接無線通信装置1はそれぞれ、上述した図1と図6から第2指標6を省略したものである。
ユーザは、第1指標5を視認すると、暗黙の了解として、第1指標5の中心付近が携帯型近接無線通信装置をかざす位置であると認識するものと考えられる。そこで、本実施形態では、第2指標6を省略するものである。
本実施形態のアンテナ7は、第1指標5の範囲内で、第1指標5の中心位置から外れた位置に設置される(図7(a)、図8(a))。そして、アンテナ7は、第1指標5の中心位置に向けて電波を放射する(図7(b)、図8(b))。より望ましくは、アンテナ7から第1指標5の中心方向が電波の最大強度になるようにする。最低限、アンテナ7から第1指標5の中心に近い側(図7(b)と図8(b)の点線9よりも左側)に電波の指向性が向くようにする。
また、アンテナ7から放射される電波は、図7(c)に示すように水平面に平行でもよいし、図8(c)に示すように所定の鋭角角度の方向、すなわち斜め上方でもよい。
このように、第2の実施形態では、第2指標6を省略するため、電波送受信部3の上面4の表示形態を簡易化できる。第2指標6を省略しても、通常のユーザは第1指標5の中心付近が携帯型近接無線通信装置のかざし位置であると認識するため、第1指標5の中心付近にアンテナ7からの電波の指向性を向ければ、安定した無線通信が可能となる。
第2の実施形態のように、第2指標6を省略すると、ユーザは、第1指標5を視認しながら、第1指標5の中心位置を目測で予測して携帯型近接無線通信装置をかざす行為を行うことになる。よって、第2指標6がある場合とくらべて、実際にユーザがかざす位置のばらつきが大きくなることが予想される。よって、ユーザが携帯型近接無線通信装置をかざす位置が多少ずれても、安定した無線通信が行えるように、図8に示すようにアンテナ7から斜め上方に電波を放射させて、第1指標5の中心付近の比較的広い範囲での電波強度をより高めるようにするのが望ましい。
(第3の実施形態)
以下に説明する第3の実施形態では、ユーザに対して、携帯型近接無線通信装置のかざし位置だけでなく、かざし方向も知らせるものである。
図9は第3の実施形態に係る据置型近接無線通信装置1の要部を示す図である。図9では、第2指標6として、「Touch」という英文字情報を表示し、この英文字情報がかざし位置を表し、この英文字情報の表示方向、すなわち各英文字の頭部の方向がかざし方向を表すようにしている。この場合、ユーザは、図9の矢印19の方向から携帯型近接無線通信装置30をかざすことになる。電波送受信部3の上面4にかざし方向を明示する矢印マーク等の方向表記がなくても、ユーザは、英文字情報の表示方向により、かざし方向を認識できる。
なお、図9では、英文字情報だけを第2指標6としているが、この英文字情報の中心位置に、第1指標5の一部をなす星印等のマークを付けてもよい。あるいは英文字情報を省略して、矢印等のかざし方向をユーザに認識させることができるマークのみを第2指標6としてもよい。
図9では、第2指標6の中心線22から外れた位置にアンテナ7を設置し、この位置から、ユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざす方向とは反対側、すなわち中心線22の方向に向かって電波を放射するようにしている。これにより、図9(b)に示すように、アンテナ7からの電波が水平面方向に広がっている方向にユーザが進入して、携帯型近接無線通信装置30をかざすことになり、アンテナ7からの電波を受信しやすくなる。
上下方向についても同様であり、ユーザがかざす行為を行う際に、ユーザの携帯型近接無線通信装置30は、図9(c)の矢印21の方向に沿って、アンテナ7からの電波が上下方向に広がっている範囲を通って、据置型近接無線通信装置1の脇を通過していくことになる。
このように、第3の実施形態では、ユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざす方向とは逆側にアンテナ7を配置して、ユーザの進入方向に向けて電波を放射するため、ユーザは特に意識しなくても、電波の放射範囲が広がっている方向に携帯型近接無線通信装置30がかざすことになり、安定した無線通信が可能となる。
(第4の実施形態)
以下に説明する第4の実施形態は、第1指標5の範囲外に、携帯型近接無線通信装置30のかざし方向をユーザに知らせる情報を表示するものである。
図10は第4の実施形態に係る据置型無線通信装置の要部を示す図である。図10では、第1指標5の範囲外に、「カードを触れてください」等の文字情報23を表示している。この文字情報の表示方向は、ユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざす方向であり、ユーザはこの方向に進入しながら、携帯型近接無線通信装置30をかざす行為を行う。
図10では、星印等のマークを第1指標5としている。そして、図9と同様に、ユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざす方向とは逆方向に電波の放射方向10が広がるようにアンテナ7を設置している。これにより、ユーザは、電波の放射方向10が広がっている方向から携帯型近接無線通信装置30をかざすことになり、安定した無線通信が可能となる。
図11は図10の一変形例を示す図であり、図10の据置型無線通信装置を自動改札機等のチケットゲート機2に適用した例を示している。図11の例では、第1指標5の範囲外に、ユーザの進入方向を示す矢印マーク24を表示している。この例では、ユーザが進入する方向とは逆方向に電波の放射方向が広がるようにアンテナ7を設置している。
なお、図11の例では、図10のように、第1指標5の範囲外に、「カードを触れてください」等の文字情報23を表示してもよいし、この表示を省略してもよい。
このように、第4の実施形態では、第1指標5の範囲外に、ユーザの進入方向と携帯型近接無線通信装置30のかざし方向との少なくとも一方を示す表示を行い、この表示にしたがってユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざす際に、そのかざす方向とは逆方向に電波の放射方向が広がるようにアンテナ7を設置するため、安定した無線通信が行える。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、上述した第1〜第4の実施形態で説明した据置型近接無線通信装置1と無線通信を行うことが可能な携帯型近接無線通信装置30の構成に特徴があるものである。
図12は第5の実施形態に係る携帯型近接無線通信装置30を示す図であり、スマートフォンに適用した例を示している。図12(a)は正面図、図12(b)は背面図、図12(c)は携帯型近接無線通信装置30のアンテナ31の設置場所および水平面方向の放射方向を示す図、図12(d)は携帯型近接無線通信装置30の側面方向におけるアンテナ31の放射方向を示す図である。以下では、携帯型近接無線通信装置30のタッチパネル操作面(表示パネル面)を正面と呼び、その対向面を背面と呼ぶ。
図12の携帯型近接無線通信装置30では、正面の上辺側にカメラ32などが配置され、下辺側に操作キー33などが配置されており、携帯型近接無線通信装置30の上下をユーザが認識可能な形状になっている。また、携帯型近接無線通信装置30の背面の上辺側にはカメラ34が配置され、背面についてもその上下をユーザが認識可能な形状になっている。
また、携帯型近接無線通信装置30の背面には、かざし位置を示す指標35が設けられている。図12(b)の例では、楕円形マークの中心に星印マークを設けたものを指標35としているが、指標35の具体的な表示形態は問わない。
図12(c)に示すように、アンテナ31は、指標35とは異なる位置に設置され、このアンテナ31から指標35の方向に指向性を持つ電波を放射する。より具体的には、アンテナ31は、指標35の長手方向の中心線36から外れた位置に設けられて、この中心線36方向に電波を放射する。また、図12(d)に示すように、アンテナ31からの電波は、背面に向かうななめ下方に放射される。
図12の携帯型近接無線通信装置30では、その正面を上にして、かつ正面の上辺をユーザの進入方向に配置した状態で、背面の指標35を据置型近接無線通信装置1のかざし位置にかざす行為を行うことを前提としている。
図13は携帯型近接無線通信装置30の主要部の構成を示すブロック図である。図13の携帯型近接無線通信装置30は、アンテナ31を内蔵した電波送受信部(第2電波送受信部)40と、無線通信部(第2無線通信部)41とを有する。無線通信部41は、アンテナ31で送受される電波の変復調処理を行う。
電波送受信部40は、据置型近接無線通信装置1に設けられた指示位置にかざすための推奨位置を示す指標35と、この指標35の位置と外れた位置に配置されて指標35の方向に指向性を持つ電波を放射するアンテナ(第2アンテナ)31とを有する。
図12の携帯型近接無線通信装置30には、図1の据置型近接無線通信装置1にあったような第1指標5に対応するものは設けられていない。これは、携帯型近接無線通信装置30のユーザは、暗黙の了解として、タッチパネル操作面の対向面がかざし面であると認識しているためである。
また、図12の携帯型近接無線通信装置30では、図1の第2指標6に対応する指標35を、背面の中央付近に設けているが、背面には、カメラなどの他の部材も設置されているため、これらの部材の邪魔にならない位置に指標35を設ければよい。なお、理想的には、アンテナ31からの電波の最大利得の方向に沿って、指標35を設けるのが望ましい。アンテナ31からの電波の最大利得の方向であれば、背面の中央から外れた位置に指標35を設けてもよい。
携帯型近接無線通信装置30は、背面全体を覆う不透明の保護カバーに収納して使用されることも考えられる。この場合、せっかく背面に指標35を設けても、保護カバーに覆われて外部から指標35を視認できなくなる。ただし、人間は一般に、背面に指標35があることを一度でも目にすると、その記憶を留めて、指標35が見えなくても、背面がかざし面として認識する。よって、背面に指標35を設けることは、ある程度の効果があると考えられる。
あるいは、携帯型近接無線通信装置30が普及して、世の中の大部分の人間がかざす操作に慣れてくると、指標35がまったくなくても、背面の略中央部をかざすことを自然に行うようになると考えられる。よって、携帯型近接無線通信装置30に指標35を設けることは必ずしも必須ではない。
図12(d)では、側面方向におけるアンテナ31の指向性を、背面に向かって斜め下方としているが、アンテナ31と背面との距離が非常に短ければ、背面に略平行な方向に電波を放射してもよい。
このように、第5の実施形態では、携帯型近接無線通信装置30のユーザは、携帯型近接無線通信装置30の正面を上にして、かつ正面の上辺側を自身の進入方向に配置した状態でかざす行為を行うのが一般的なため、それに合わせてアンテナ31を配置することで、据置型近接無線通信装置1との間で安定した無線通信を行うことができる。
(第6の実施形態)
携帯型近接無線通信装置30の中には、上下の区別がまったくつかないものがある。特に、正面の全体がタッチパネルになっており、物理的なボタンやカメラ等がない場合には、画面を表示させない限り、上下の区別がつかない。以下に説明する第6の実施形態では、上下の区別がつかない携帯型近接無線通信装置30を想定したものである。
図14は第6の実施形態に係る携帯型近接無線通信装置30を示す図であり、図14(a)は正面図、図14(b)は背面図、図14(c)は携帯型近接無線通信装置30のアンテナ31の設置場所および水平面方向の放射方向を示す図、図14(d)は側面方向におけるアンテナ31の放射方向を示す図である。
図14の携帯型近接無線通信装置30は、正面と背面のいずれにも、上下を区別する部材が存在しない。そこで、背面には、かざし位置を示す指標35の周辺に、かざす方向を示す別の指標37が設けられている。この指標37は、例えば、図14(b)に示すように、矢印の形態で表示され、矢印の矢先の方向がかざす方向になる。
この場合、図14(c)に示すように、矢印の矢尻の方向にアンテナ31が設置され、アンテナ31からは、かざし位置の方向に電波が放射される。また、側面方向については、アンテナ31は、背面に向かう斜め下方向に電波を放射する。
ユーザは、携帯型近接無線通信装置30の背面の矢印の方向に沿って、かざす行為を行う。これにより、携帯型近接無線通信装置30のアンテナ31からは、かざす方向に電波が放射されることになり、この方向に据置型近接無線通信装置1のアンテナ31が設置されていれば、両者間で安定に無線通信を行うことができる。
このように、第6の実施形態では、携帯型近接無線通信装置30の正面と背面のどちらにも、ユーザがかざす方向を認識できるような部材がない場合には、少なくとも背面にかざす方向を示す指標37を設けるため、この指標37を見たユーザは、かざす方向を容易に把握でき、据置型近接無線通信装置1と安定した無線通信が可能となる。
(第7の実施形態)
上述した第1〜第6の実施形態は、据置型近接無線通信装置1または携帯型近接無線通信装置30にアンテナ7または31を一つだけ設ける例を示したが、それぞれ異なる方向に電波を放射する複数のアンテナ7または31を設けてもよい。
図15は90度異なる方向に電波を放射する2つのアンテナ7を据置型近接無線通信装置1に設ける例を示し、図16はそれぞれ90度ずつ異なる方向に電波を放射する4つのアンテナ7を据置型近接無線通信装置1に設ける例を示している。
図15と図16は、据置型近接無線通信装置1のアンテナ7の配置の一例を示しているが、携帯型近接無線通信装置30のアンテナ7の配置を図15または図16と同様にしてもよい。
図15(a)は、トラック状の第1指標5の長辺側に一つのアンテナ7を配置し、短辺側に他のアンテナ7を配置する例を示している。図15(b)は長辺側のアンテナ7が放射する電波の放射範囲を示し、図15(c)は短辺側のアンテナ7が放射する電波の放射範囲を示している。これら2つのアンテナ7からの電波はそれぞれ、第2指標6の方向に放射される。
図16(a)は、トラック状の第1指標5の長辺側に二つのアンテナ7を配置し、短辺側に他の二つのアンテナ7を配置する例を示している。図16(b)〜図16(e)はこれらアンテナ7が放射する電波の放射範囲を示している。これら4つのアンテナ7からの電波はそれぞれ、第2指標6の方向に放射される。
ミリ波通信では、そもそも指向性が狭いため、アンテナ7が一つだけだと、指標35(第2指標6)の設置場所によっては、その設置場所に電波が十分に届かないおそれがある。また、携帯型近接無線通信装置30は、予め想定した方向からかざされるとは限らない。例えば、図15(b)のような放射方向を持つアンテナ7だけが据置型近接無線通信装置1に設けられていたとすると、このアンテナ7の電波放射方向とは反対側から携帯型近接無線通信装置30をかざす場合には、安定した無線通信ができる可能性が大きいが、このアンテナ7と90度異なる方向からユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざした場合には、十分な電波を送受信できないおそれがある。そこで、図15(c)のように、90度異なる方向にもアンテナ7を設けて電波を放射したとすると、予め想定した方向と90度異なる方向からユーザが携帯型近接無線通信装置30をかざす行為を行った場合も、正常に無線通信できる可能性が高くなる。
アンテナ7の数を増やすほど、安定して通信可能な範囲を広げることができるが、設備コストが高くなるため、必要に応じてアンテナ7の数を設定すればよい。
また、携帯型近接無線通信装置30においても、ユーザがかざす行為を行う際に、予め想定した方向に携帯型近接無線通信装置30を向けるとは限らないため、アンテナ7が一つだけだと、アンテナ7からの電波の放射方向がかざす方向とは異なる方向になるおそれもある。したがって、図15や図16のように、それぞれ異なる方向に電波を放射する複数のアンテナ7を携帯型近接無線通信装置に設ければ、より安定に無線通信を行うことが可能となる。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 据置型無線通信装置、2 チケットゲート機、3 電波送受信部、5 第1指標、6 第2指標、7 アンテナ、11 無線通信部、30 携帯型近接無線通信装置、31 アンテナ、35 指標、40 電波送受信部、41 無線通信部

Claims (17)

  1. 携帯型近接無線通信装置をかざす領域であることを示す第1指標と、前記領域内に配置され、前記領域内における前記携帯型近接無線通信装置をかざすのに最適な推奨位置と外れた位置から前記推奨位置の方向に指向性を持つ電波を放射するアンテナと、を有する電波送受信部と、
    前記アンテナで送受される電波の変復調処理を行う無線通信部と、を備える据置型近接無線通信装置。
  2. 前記アンテナは、電波の最大利得の方向と前記推奨位置の方向とが一致するように電波を放射する請求項1に記載の据置型近接無線通信装置。
  3. 前記アンテナは、前記領域の水平面に沿った所定の角度範囲の指向性を持ち、かつ前記角度範囲内に前記推奨位置を含むように電波を放射する請求項1または2に記載の据置型近接無線通信装置。
  4. 前記アンテナは、電波の最大利得の方向が水平面方向か、または前記水平面から所定の鋭角範囲の方向に電波を放射する請求項1乃至3のいずれかに記載の据置型近接無線通信装置。
  5. 前記電波送信部は、前記推奨位置であることを示す第2指標を有し、
    前記第1指標および前記第2指標は、前記領域の上面に設けられ、
    前記アンテナは、前記領域の上面よりも下部側の所定位置に配置されて、斜め上方に電波を放射する請求項1乃至3のいずれかに記載の据置型近接無線通信装置。
  6. 前記アンテナは、前記携帯型近接無線通信装置の所持者が前記携帯型近接無線通信装置をかざしながら前記領域を通過する方向とは逆の方向に電波を放射可能な位置に配置される請求項1乃至5のいずれかに記載の据置型近接無線通信装置。
  7. 前記アンテナは、それぞれが異なる方向から前記推奨位置の方向に指向性を持つ電波を放射する複数のアンテナ部を有する請求項1乃至6のいずれかに記載の据置型近接無線通信装置。
  8. 前記電波の周波数は、40GHz乃至80GHzの範囲内である請求項1乃至7のいずれかに記載の据置型近接無線通信装置。
  9. 据置型近接無線通信装置に設けられた指示位置にかざすための推奨位置を示す第1指標と、前記第1指標の位置と外れた位置に配置されて前記第1指標の方向に指向性を持つ電波を放射するアンテナと、を有する電波送受信部と、
    前記アンテナで送受される電波の変復調処理を行う無線通信部と、を備える携帯型近接無線通信装置。
  10. 前記アンテナは、電波の最大利得の方向と前記第1指標の方向とが一致するように電波を放射する請求項9に記載の携帯型近接無線通信装置。
  11. 前記アンテナは、前記第1指標が設けられる領域の水平面に沿った所定の角度範囲の指向性を持ち、かつ前記角度範囲内に前記第1指標の方向を含むように、電波を放射する請求項9または10に記載の携帯型近接無線通信装置。
  12. 前記アンテナから放射される電波の上下方向における最大利得の方向は、前記領域の水平面の方向か、または前記水平面から背面に傾いた所定の鋭角の方向である請求項11に記載の携帯型近接無線通信装置。
  13. 前記アンテナから放射する電波の最大利得の方向とは逆方向が所持者のかざす方向であることを示す第2指標を有する請求項9乃至12のいずれかに記載の携帯型近接無線通信装置。
  14. 前記第1指標は、表示パネル面とは反対側の面に設けられる請求項9乃至13のいずれかに記載の携帯型近接無線通信装置。
  15. 前記電波の周波数は、40GHz乃至80GHzの範囲内である請求項9乃至14のいずれかに記載の携帯型近接無線通信装置。
  16. 互いに近接無線通信を行う据置型近接無線通信装置および携帯型近接無線通信装置を備え、
    前記据置型近接無線通信装置は、
    前記携帯型近接無線通信装置をかざす領域であることを示す第1指標と、前記領域内に配置され、前記領域内における前記携帯型近接無線通信装置をかざすのに最適な推奨位置と外れた位置から前記推奨位置の方向に指向性を持つ電波を放射する第1アンテナと、を有する第1電波送受信部と、
    前記アンテナで送受される電波の変復調処理を行う第1無線通信部と、を備え、
    前記携帯型近接無線通信装置は、
    前記据置型近接無線通信装置に設けられた指示位置にかざすための推奨位置を示す第2指標と、前記第2指標の位置と外れた位置に配置されて前記第2指標の方向に指向性を持つ電波を放射する第2アンテナと、を有する第2電波送受信部と、
    前記第2アンテナで送受される電波の変復調処理を行う第2無線通信部と、を備える近接無線通信システム。
  17. 据置型近接無線通信装置と携帯型近接無線通信装置とで近接無線通信を行う近接無線通信方法であって、
    前記据置型近接無線通信装置は、前記携帯型近接無線通信装置をかざす領域であることを示す第1指標を有し、前記領域内における前記携帯型近接無線通信装置をかざすのに最適な推奨位置と外れた位置に設けられる第1アンテナから、前記推奨位置の方向に指向性を持つ電波を放射し、
    前記携帯型近接無線通信装置は、前記据置型近接無線通信装置に設けられた指示位置にかざすための推奨位置を示す第2指標の位置と外れた位置に設けられる第2アンテナから、前記第2指標の方向に指向性を持つ電波を放射し、
    前記携帯型近接無線通信装置は、前記第1アンテナからの電波の放射方向と前記第2アンテナからの電波の放射方向とは対向するような方向から前記推奨位置にかざされる近接無線通信方法。
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