JP2014119642A - 反射板用積層フィルム - Google Patents

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昭 中村
Masahiro Hasegawa
正大 長谷川
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Abstract

【課題】
液晶ディスプレイのバックライト用部材に提供して、光源部(特にLED光源)から発生する青色光を吸収させることによって、液晶ディスプレイ画面から発せられる青色波長帯の光を減光させることに利用できる積層フィルムを提供すること、および、青色光の吸収性を有する積層フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】
少なくとも二層を有する積層フィルムであって、最外層が第一層であり、以下を満足する反射板用積層フィルム。
(a)第一層はポリエステル層であって、第一層重量を基準として、半導体化した酸化亜鉛粒子を0.1質量%以上30質量%未満含有してなり、
(b)第一層は前記酸化亜鉛粒子とは異なる無機粒子を含有する層であり、
(c)第一層側の450nm以上500nm未満の青色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が1%以上34%未満であり、
(d)第一層側の400nm以上450nm未満の紫色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が3%以上80%未満であり、
(e)第二層がポリエステル層であり、かつ蛍光剤を含有し、
(f)積層フィルム全体の全光線透過率が10%以下であること
【選択図】なし

Description

本発明は、青色光を吸収し、優れた反射性能を有する反射板用フィルムに関する。より詳しくは、液晶テレビのLEDバックライト用部材、パソコンのLEDバックライト用部材、小型モニターのLED光源用部材、あるいは照明器具の反射用部材などの反射材料用で目の保護のため青色光の減光が必要とされる用途において、基材フィルムとして好適に用いられる反射板用積層フィルムに関する。
近年、テレビ、パソコン、スマートフォン等のLED液晶ディスプレイを綺麗に見せるため高輝度化が進められている。ところが、LED光源が用いられているバックライトを使用した画面から青色光が強く発せられるために、青色光が画面のチラツキや眩しさの要因となり、長時間使用すれば、青色光による眼精疲労を引き起こすと言われている。その原因は、青色光のエネルギーが大きく、可視光線の中で最も直進しやすい光のため、目の角膜、水晶体に吸収されずに網膜に悪影響を与えて眼精疲労が起こる事と考えられている。この液晶ディスプレイによる眼精疲労は年々増加傾向にあり、大きな問題となりつつある。最近では、青色光をカットする眼鏡や液晶保護フィルムが出回っているが、これらは、画像光が目に入る前に青色部を反射する減光方式のため、画面が暗く見えることや眼鏡や液晶保護フィルムの隙間から漏れ出た青色光が目に入る場合もあり、完全な減光方法とはならなかった。そのため、青色光を選択的にバックライト装置内で直接的に減光させる技術が要求されている。
青色光とは、例えば液晶ディスプレイのバックライトに使用されているLED光源から発せられる光波長帯であり、一般の白色LEDでは約430nm〜480nmの光波長領域で約450nm付近に強いピークがでる青色光を言う。これを液晶ディスプレイ装置内で光源からの青色光を直接的に減光するためには、バックライト部材の反射フィルムについて、可視光部の青色光部だけを吸収させる機能を持たせた反射用フィルムが必要となる。その他、バックライト光源による温度上昇で反射フィルムが変形することがあるため、この用途の反射フィルムには、赤外線を吸収する機能も要求されるようになっている。例えば、特許文献1では、導電性酸化亜鉛を透明フィルムに使用して紫外線や赤外線を遮蔽する効果があるが、光反射の性能が無く、液晶ディスプレイのバックライト用途には使用できない。また、特許文献2では、バインダーに蛍光体を混ぜたものを白色フィルムに塗布しているが、蛍光体の励起による光の吸収率が示されていない。また、蛍光体の励起吸収だけでは青色光の吸収性能が劣るため要求を満たせない。また、特許文献3と特許文献4に開示されているフィルムは、可視光波長領域の減光が大きすぎて液晶ディスプレイのバックライトに使用できない。こうした状況下、青色光吸収性と反射性に優れたフィルムが反射板用フィルムに求められているのである。
特開2003−547947号公報 特開2010−164689号公報 特開2011−170295号公報 特開2011−75945号公報
青色光吸収性と反射性に優る反射板用積層フィルムを提供する。
液晶ディスプレイに使用すればバックライト用反射フィルムと同等の相対反射率を持ちながら画面から発する青色光を吸収でき、照明器具に用いれば、反射される青色光を吸収できる反射板用積層フィルムを提供すること。
本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)
少なくとも2層を有する積層フィルムであって、少なくとも一つの最外層が第一層であり、以下を満足する反射板用積層フィルム、
(a)第一層はポリエステル層であって、第一層重量を基準として、半導体化した酸化亜鉛粒子を0.1質量%以上30質量%未満含有してなり、
(b)第一層は前記酸化亜鉛粒子とは異なる無機粒子を含有する層であり、
(c)第一層側の450nm以上500nm未満の青色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が1%以上34%未満であり、
(d)第一層側の400nm以上450nm未満の紫色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が3%以上80%未満であり、
(e)第一層とは異なる第二層を有し、第二層がポリエステル層であり、かつ蛍光剤を含有し、
(f)積層フィルム全体の全光線透過率が10%以下であること
(2)
前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径が0.02μm以上1μm未満であることを特徴とする(1)に記載の反射板用積層フィルム、
(3)
750nm以上〜2500nm未満の近赤外波長領域における吸収率が5%以上95%未満であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の反射板用積層フィルム、
(4)
第二層が気泡を含有し、第二層における積層フィルム断面での気泡部分の面積を第二層面積で除した値に100をかけた値である気泡含有率が10%以上60%未満であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の反射板用積層フィルム、
(5)
第一層側の相対反射率が90%以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の反射板用積層フィルム、
(6)
液晶ディスプレイのバックシートに用いられる(1)〜(5)のいずれかに記載の反射板用積層フィルム、
である。
本発明の反射板用積層フィルムは上記の構成にすることにより、可視光の青色光波長帯を吸収する効果があり、液晶ディスプレイのLEDバックライトに使用すれば、青色発光波長が吸収されて、画面から発する青色光を弱めることができる。あるいは照明器具に用いられたときに高い光反射性と共に青色光を吸収できる積層フィルムを提供できる。
本発明のフィルムは、少なくとも2層を有する反射板用フィルムである(以下は積層フィルムとする)。本発明の積層フィルムにおいて、最外層である第一層は、ポリエステル層であって、半導体化した酸化亜鉛の粒子を0.1質量%以上30質量%未満含有することが必要である。この半導体化した酸化亜鉛の性質によって紫色光から青色光の吸収性(以下を青色光吸収性とする)を得ることができる。
本発明において、好適に用いられるポリエステルは、融点が250℃以上のポリエステルが使用されることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。
本発明において、半導体化した酸化亜鉛(以下、単に酸化亜鉛と呼ぶ。)とは、アルミニウムやガリウムなどの異種元素を酸化亜鉛にドーピングした粒子であり、酸化亜鉛自体が持つ紫外線波長域400nm未満の光吸収性を持つこと以外に、可視光波長400nm以上500nm以下で7%以上30%以下(粉体の分光反射率による)の光吸収性を発現するものである。好ましくは、酸化亜鉛はn型半導体が好ましく、アルミドープ、ガリウムドープのものであり、10MPa圧縮粉体の体積抵抗率が20〜30000Ω・cmであるものが好ましく、体積抵抗率が20〜10000Ω・cmであるものがさらに好ましい。これらのn型酸化亜鉛はパゼットCK(ハクスイテック社製)などとして入手することができる。
本発明における青色光吸収性とは、フィルム中に混合した無機系の光吸収剤によりフィルム内(フィルム面内)において青色光吸収を発現させることである。また、青色光吸収性はこの吸収波長に励起波長を合わせた蛍光剤を併用することで性能を上げることができる。この蛍光剤は励起波長が400nm以上540nm未満のものが好ましく、励起波長410nm以上500nm未満のものがさらに好ましく、励起波長430nm以上470nm未満のものが最も好ましい。励起波長400nm未満の蛍光剤は発光波長ピークが450nm近傍の青色になるため好ましくない。励起波長550nm以上の蛍光剤は発光波長ピークが620nm近傍であり発光色が赤色にずれ輝度が低下するので液晶ディスプレイに好ましくない。本発明の積層フィルムでは、第二層における反射光が540nm〜600nmの光波長帯にあること、かつ蛍光剤の発光波長帯540nm〜600nmであることが、積層フィルムの相対反射率を上げるため好ましい。
本発明の積層フィルムは、酸化亜鉛を使用することによる熱線(赤外線)吸収の特性を有することが好ましい。反射板用積層フィルムでは、750nm以上2500nm未満の近赤外波長領域における吸収率が5%以上95%未満であることが好ましく、さらには吸収率が10%以上95%未満であり、最も好ましくは吸収率が20%以上95%未満である。吸収率5%未満であると熱線が効率よく吸収されない。また、酸化亜鉛の使用だけでは赤外吸収率95%未満を超えることは難しい。本発明の積層フィルムを、液晶ディスプレイ光源部のバックシートに用いた場合、液晶ディスプレイ光源部は熱源でもあるので、点灯時間が長くなるほど、光源や光源部近傍の温度は上昇する。一方、一般に光源は熱に弱く、熱に長時間曝されると劣化が促進されるが、本発明の積層フィルムが光源から照射される赤外線を速やかに吸収することができ、光源や光源部近傍の温度の上昇を抑制することができる。その結果、光源の劣化を抑制でき、光源の寿命を長くすることができる。特に、光源としてLEDが用いられている場合、かかる効果は特に顕著に現れる。これは、LED光源には、その構成部材として樹脂が用いられているためである。樹脂は一般的に熱劣化しやすく、樹脂の劣化が光源の寿命に大きな影響を及ぼすためである。したがって、本発明のフィルムを用いることにより、かかる樹脂の劣化を抑制でき、LED光源の寿命を大きく伸ばすことができる。
第一層における酸化亜鉛の粒子の含有量は、第一層重量に対して0.1質量%以上30質量%未満である。含有量を0.1質量%以上とすることによって、青色光の吸収を効率的に高めることができる。また、酸化亜鉛粒子の含有量を30質量%未満とすることによって、フィルムの強度を保つことができ、該フィルムを二軸延伸法にて得る場合は、製膜時に破れを減少させることができる。第一層における酸化亜鉛の粒子径は平均一次粒子径が0.02μm以上1μm未満であることが好ましい。これにより、積層フィルムの光反射性を損なわずに青色光の吸収を高めることができる。また、本発明の積層フィルムは、酸化亜鉛粒子のポリマー中に分散したときに発現する平均二次粒子径が0.1μm以上20.0μm以下の範囲であるポリエステルマスターペレットを用いて製造されてなることが好ましい。さらには0.4μm以上10.0μm以下の範囲が好ましく、最も好ましいのは0.4μm以上5.0μm以下の範囲である。平均二次粒子径が0.4μmより小さい場合は、高度な分散工程が必要となりコスト高となり実用性に欠ける。逆に20.0μmより大きい場合はフィルム中に斑が発生し、引張強度、製膜性が不良となることがある。ここで、酸化亜鉛粒子がポリマー中にて形成してなるストラクチャー(母材のポリマー分子と酸化亜鉛粒子とが混合体を構成し粒子状となったものである)を二次粒子と称し、その大きさを円相当径にしたものを二次粒子径と呼ぶ。ストラクチャーは、無機粒子の単体だけが凝集してなる粒子径とは形成が異なるものである。平均二次粒子径は、走査型電子顕微鏡S4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)にて測定され、酸化亜鉛ポリエステルマスターペレットの表面にエッチング処理をほどこし1000倍に拡大した表面写真から測定した平均粒子径値(Dn)である。また、二次粒子径の変動係数(CV値)は、画像の100個の二次粒子について測定される粒子径を用いて下記式から計算によって得られる。
CV値(%)=(粒子径標準偏差(σ)/平均二次粒子径(Dn))×100
二次粒子径おけるCV値の範囲は、1%以上60%未満であることが好ましい。より好ましくは10%以上55%未満であり、最も好ましいのは20%以上45%未満である。CV値が1%より小さい時は、フィルム原料時の分散が困難となりコスト面の不具合を生じる。逆にCV値が60%より大きい場合はフィルム製造時に斑が発生し、引張強度、製膜性が不良となることがある。また、第一層における気泡の含有率が第一層に対して10%以下であることが好ましい。これは、気泡は光特性を低下させるためである。
また、第一層の密度は、1000kgm−3〜1500kgm−3であることが好ましい。第一層の密度が、層中に含有せしめることができる白色粒子量の上限から、1500kgm−3以下が好ましい。一方、下限は特に定められるものではないが、1000kgm−3以上であることが好ましい。第一層における気泡の含有率を第一層に対して10%以下にしようとするならば、第一層の密度を1000kgm−3以上とすることが好ましい。第一層の密度を上記の範囲内とするためには、無機粒子の含有量や気泡の含有率を制御することが好ましい。特に好ましくは、無機粒子の含有量を上述の範囲内としたり、気泡の含有率を上述の範囲内とすることである。
本発明の反射板用積層フィルムは、可視光線が第一層から入射される態様で用いられることが好ましい。すなわち、本発明において、可視光線を吸収する機能を有する層は第一層であるので、可視光線は第一層から入射される態様で用いられることが好ましい。また、第一層は少なくとも一方の最外層であることが必要である。このような構成にすることにより、第一層からフィルム中に効率的に青色光(可視光波長域内)を吸収させることができ、さらに積層フィルム全体での青色光の吸収率を高めることができる。
また、本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂を用いてなる第二層を有し、第一層を最外層にして二層以上であることが必要であり、さらに三層以上が好ましい。また、第二層は、蛍光剤を含有することが必要である。さらに、第二層は気泡を含有することが好ましい。本発明の積層フィルムが、このような第二層を有することにより、さらにフィルムの反射による可視光線強度を強めることができる。この理由は、以下のとおりである。第一層/第二層を有してなる積層フィルムにおいて、可視光線が第一層側から入射される場合、可視光線は第一層内で青色光が吸収されつつ、第二層に到達する。ここで、第二層は蛍光剤と好ましくは気泡とを含有する層である。第二層に入射した可視光線は、蛍光剤に到達し蛍光剤が発光して可視光線が強まることになる。また、気泡の屈折率とポリエステル樹脂の屈折率は大きく異なる。そのため、好ましくは第二層内のポリエステル樹脂/気泡の界面にて(正)反射して第一層に再び戻り可視光線が強まることになる。そして、第一層に再入射した可視光線は、第一層内でさらに屈折・拡散・青色光吸収されて、最終的には第一層の表面からフィルム外に出射する。第二層に気泡を含有せしめる手段としては、ポリエステル中に、高融点のポリエステルと気泡の核剤となりうる非相溶なポリマー、非結晶性環状オレフィン樹脂、結晶性オレフィン樹脂などを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することで、非相溶ポリマー粒子周りにボイド(気泡)を形成せしめる手段などが例示される。
また、第二層における積層フィルム断面での気泡部分の面積を第二層面積で除した値に100をかけた値である気泡含有率は10%以上60%未満であることが好ましい。気泡の含有率を10%以上とすることによって、第二層のフィルムの反射性を効率的に向上させることができる。一方、気泡の含有率を60%未満とせしめることにより、フィルムの機械特性を維持することができる。また、本発明のフィルムを二軸延伸法にて得る場合は、気泡の含有率を60%未満に制御することによって、製膜時に破れを減少させることができる。
また、本発明の積層フィルムの第一層側の450nm以上500nm未満の青色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が1%以上34%未満であることが必要である。好ましくは5%以上34%未満、最も好ましいのは10%以上34%未満である。青色波長領域における吸収率が1%未満であると、白色LEDの発光波長における450nm付近のピーク波長の吸収性が劣るため使用できない。一方、青色波長領域における吸収率を34%以上にすると光吸収によってフィルムの色相が変化し、液晶ディスプレイ画面の色相が変わるため使用できない。一方、第一層側の400nm以上450nm未満の紫色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が3%以上80%未満であることが必要である。さらには40%以上80%未満、最も良いのは60%以上80%未満である。紫色波長領域における吸収率が3%未満であると、白色LEDの発光波長における450nm付近のピーク波長の吸収性が劣る。また、青色波長領域における吸収率が34%以上であると、光吸収によってフィルムの色相が変化し、液晶ディスプレイ画面の色相が変わるため使用できない。
本発明の積層フィルムは、第一層側の相対反射率が90%以上であることが好ましい。第一層側の面における相対反射率を540nm以上700nm以下にわたって測定し得られた相対反射率チャートより5nm間隔で相対反射率を読み取り、算術平均値を計算し、相対反射率とする。相対反射率が90%以上であると、本発明のフィルムを、光源部のバックシートとして好適に用いることができる。これは、液晶ディスプレイを明るく表示できるためである。このように、本発明のフィルムは、液晶ディスプレイ光源部などの光反射板用部材に最適である。また、本発明では第二層がポリエステル樹脂であり、かつ蛍光剤を含有する層であることで積層フィルムの相対反射率が高まる。蛍光剤の含有量は第二層重量を基準として0.02質量%以上6質量%以下が好ましい。さらには0.2質量%以上5質量%以下が好ましく、最も良いのは0.3質量%以上3質量%以下である。蛍光剤の含有量が0.02質量%未満であると蛍光剤の発光が少なく相対反射率を高める効果が出ないことがある。6質量%を超えると層内が濁るため反射光が低下することがある。蛍光剤は、Lumogen(登録商標) F Orange 240(BASF社製)、UVITEX OB(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、FX305シリーズにおけるLemon Yellowなど(シンロイヒ(株)製) Eastobrite OB−1(Eastman Chemical Company製)、Kayalightシリーズ(日本化薬(株)製)、Kayaphorシリーズ(日本化薬(株)製)、Mikawhiteシリーズ(日本化薬(株)製)、Hostaluxシリーズ(クラリアントジャパン(株)製)、Shigenoxシリーズ(ハッコールケミカル(株)製)、Hakkolシリーズ(ハッコールケミカル(株)製)、等を使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。この蛍光剤を使用すれば、上述に示した発光波長帯での発光によって、第一層側のフィルム表面反射と第二層の内部反射が合わさり、積層フィルムの相対反射率を効率的に高めることができる。
本発明の積層フィルムは、全光線透過率が10%以下であることが必要である。より好ましくは5.0%以下、更に好ましくは2.0%以下である。なお、ここでいう透過率とは、JISK7361−1:1997に基づいて測定された値である。全光線透過率が10%より大きい場合、白色フィルムとしての白色性、反射特性に劣り、また液晶ディスプレイに組み込んでも輝度特性に劣ることがあるため好ましくない。本発明の積層フィルムにおいて、透過率を2.0%以下とすることによって、裏面への光抜けを抑えることができ、白色性、反射特性に優れた白色フィルムとすることができるため、特に液晶ディスプレイ用として用いた場合に特に高い輝度向上効果を得ることができる。
また、本発明では、第一層に酸化亜鉛とは異なる無機粒子を含有することが必要である。第一層側の表面から光が入射した場合、第一層は酸化亜鉛とは異なる無機粒子を含有するので、光はポリエステルとこの無機粒子との界面で反射される。一部の光は第一層を透過して第二層に侵入するが、第二層は蛍光剤と好ましくは気泡を含有するので、第二層に侵入した光は蛍光剤により励起、発光されるか、好ましくはポリエステルと気泡の界面で第一層側に反射される。その結果、第一層側のフィルム表面ではこのような2種類の反射光が合わさって、積層フィルムの相対反射率を効率的に高めることができる。
また、第一層は、酸化亜鉛と異なる無機粒子を混合することで白色とすることが好ましい。白色化すれば、層の内部で起こる光損失(連続した界面反射によって層の端部に光が放出される現象)を防ぐことができる。白色化によりフィルム面での優れた反射性を実現できる。例えば、LED光(発光波長420nm〜480nm)が本発明の積層フィルムに照射された場合に、LED光は第一層(フィルム面内)において紫色光と青色光が吸収されるが、積層フィルムの内部反射光と表面反射光に蛍光剤の発光が合わせられて光波長550nm近傍の相対反射率が強くなる。その結果、液晶ディスプレイの輝度をより明るくすることができる。また、第一層の酸化亜鉛は紫外線を吸収するため、上記の蛍光剤の紫外線劣化を緩和する効果があり、反射板フィルムの青色光吸収性を長期に保つことができる。酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子としては、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛(但し半導体でないもの)、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛(鉛白)、硫酸バリウムなどの白色粒子が挙げられるが、これらの中で、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタンなどが反射特性や隠蔽性、製造コスト等の観点で好ましい。本発明において、炭酸カルシウムを用いる場合、コロイド炭酸カルシウムを使用することが安定性、および適度な分散径を得るのに好ましい。また、二酸化チタンを用いる場合、アナターゼ型と比較してルチル型の方が結晶構造が密であるため屈折率が高く、ポリエステル樹脂など透明性の樹脂を使用した場合に樹脂との屈折率差が大きくなり、界面での高い反射作用を得ることができるため、ルチル型二酸化チタンを使用する方が好ましい。また、他の白色粒子を選択する場合は、屈折率が1.57以上2.80以下である白色粒子を用いるのが好ましい。屈折率が1.57以上であることによって、界面での高い反射作用を得られる。なお、屈折率を2.80以下とするのは、この値を超える白色粒子は高い屈折率によって反射作用が低下することがあるためである。白色粒子の添加量としては、含有する第一層中の構成成分の総量に対して5質量%以上25質量%以下が好ましく、さらに好ましくは7質量%以上20質量%以下である。5質量%より少ないと白色化の効果が薄れ、高反射性、高隠蔽性が得られなくなり好ましくない。また25質量%を超えると、製膜性が悪化することがある。
また、本発明では、酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子のメジアン径が0.2μm以上20μm以下であることが好ましい。なお、本発明でいうメジアン径とは、レーザー回折粒度分布測定装置(たとえば、日機装株式会社製、マイクロトラックMT3000II)により測定された体積基準の粒子径の累積分布曲線において50%に相当する粒子径のことをいう。酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子のメジアン径をかかる数値範囲とすることにより、第一層の反射性を一層効率的に高めることができるためである。
また、第一層に含有せしめる酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子は、表面処理されていることが好ましい。表面処理を行うことによって、第一層における気泡の含有率を低減することができる。これは、本発明の積層フィルムは、上述したように、二軸延伸法によって製造されることが好ましいが、ポリエステル中に酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子が存在すると、延伸中にポリエステルと酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子の界面に剥離が生じ、酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子を核とする気泡が生成することがあるためである。無機粒子の表面を処理することによって、ポリエステルの親和性を高めることができ、気泡の生成を抑制できる。
本発明において、好適に用いられる酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子の表面処理剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シロキサンである。また、第一層では酸化亜鉛粒子を混合するため、酸性やアルカリ性が強い表面処理剤の使用ときには、かかる反応性につき注意が必要である。
本発明の積層フィルムの製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない
添加剤(1)ポリエステル組成物と、酸化亜鉛粒子を含有してなるポリエステル組成物の製造方法(マスターペレット法)
ポリエステルと、酸化亜鉛粒子と、表面処理剤を混合し、該混合物を押出機に投入し、溶融混練押出し、ペレタイズを行い、マスターペレットを得る。
添加剤(2)ポリエステル組成物と、酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子を含有してなるポリエステル組成物の製造方法(マスターペレット法)
ポリエステルと、酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子と、表面処理剤を混合し、該混合物を押出機に投入し、溶融混練押出し、ペレタイズを行い、マスターペレットを得る。
無機粒子を混合してマスターペレットにすると無機粒子の凝集が起こり、ペレタイズ時にフィルターが目詰まりを起こしやすく、また、無機粒子の分散不良が起こりやすい問題がある。そのため次のように、添加剤(1)を含有するマスターペレットと、添加剤(2)を含有するマスターペレットを別々に準備する。このようにして得たマスターペレットを用いて、フィルムを製造することにより、第一層中に酸化亜鉛粒子(1)と酸化亜鉛粒子と異なる無機粒子(2)を充填せしめることができる。
三層積層フィルムの製造方法(二軸延伸法)
押出機Aと押出機BとTダイ3層口金を有する押出機を用いて、原料を押出機Aと押出機Bに投入し、溶融混練せしめ、A層/B層/A層からなる溶融押出シートを作成する。
具体的には、A層用の原料として、上述の製造方法で得られた、添加剤(1)を含有するマスターペレットおよび添加剤(2)を含有するマスターペレットならびに必要に応じてポリエステルを混合し、乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。
次に、B層用の原料として、ポリエステルに非相溶な樹脂(例えば、ポリメチルペンテン)と、蛍光剤とポリエステルとを混合し、乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給する。
Tダイ3層口金内で押出機Aに投入されたポリエステル組成物が両表層にくるように、かつ押出機Bに投入されたポリエステル組成物が内層にくるように積層し、三層構成の溶融押出シートを吐出する(この三層構成は、A層が第一層であり、B層が第二層で構成されるものである)。
この溶融されたシートを、ドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力にて密着冷却固化し、該未延伸フィルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90℃〜150℃に一時加熱された雰囲気中で横延伸を行い、150〜230℃の熱固定を経て、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取った後、スリットを行い、本発明の積層フィルムを得る。
また、二層積層フィルムの製造方法は、Tダイ二層口金を有する押出機を用いて、原料を押出機Aと押出機Bに投入し、溶融混練せしめ、A層/B層からなる溶融押出シートにつき上述の三層積層と同じ手法で製膜を行い、本発明の積層フィルムを得る。
[測定方法]
(1)無機粒子のメジアン径
レーザー回折粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3000II)を用いて測定する。無機粒子をレーザー回折粒度分布測定装置付属のセルブロックに1g入れた後、常温にて測定し、体積基準の粒子径の累積分布曲線において50%に相当する粒子径を無機粒子のメジアン径とする。
(2)酸化亜鉛ポリエステルマスターペレットの二次粒子径
マスターペレットの表面をエッチング処理して、走査型電子顕微鏡S4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で1000倍に拡大した表面写真から、ストラクチャーの円相当径を測定する。変動係数(CV値)は、画像の100個のストラクチャーについて測定される粒子径を用いて下記式から計算によって得られる。
CV値(%)=(粒子径標準偏差(σ)/平均粒子径(Dn))×100。
(3)積層フィルム中の酸化亜鉛の平均一次粒子径
フィルム層断面をカッターで切り出し、その断面をRuO染色超薄切片法によりフィルムの横方向−厚み方向に断面を有する超薄切片(サンプル)を採取した。すなわち、ミクロトーム法を用いて上記断面を有する超薄切片を採取し、該切片をRuOで染色し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、下記条件で観察した。
・装置 :(株)日立製作所製 透過型電子顕微鏡(H−7100FA)
・加速電圧:100kV
・観察倍率:100,000倍
得られた画像から第一層の断面写真を撮影した。次に、この断面写真の粒子部分をマーキングして、該マーキング部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を使用して画像処理を行い、測定視野内の100個の一次粒子を円相当径に換算しこれら100個の粒子の円相当径の平均値を算出し、粒子の平均一次粒子径とした。
(4)第一層の無機粒子含有量
積層フィルムから取り出した第一層100gをプラズマ低温灰化処理装置(装置名プラズマアッシュアー、株式会社ジェイ・サイエンス製)で灰化したものをエタノールに分散させ遠心分離後に沈殿した無機粒子を真空乾燥して、測定サンプルを得る。得られた測定サンプルを、ICP発光分析装置(装置名OPTIMA4300DV、パーキンエルマー社製)に導入し、連結装置であるICP質量分析装置(装置名ELAN DRCII、パーキンエルマー社製)を用いて金属元素の定量分析をする。分析して検出した金属量(M)の元素周期表の原子量(Ma)を求め、金属酸化物の分子量(Mb)を見いだし、無機粒子含有量(Mc)は下記式から得られる。
無機粒子含有量(Mc)=M×Mb/Ma (質量%) 。
(5)第一層、第二層における気泡の含有率
積層フィルムをミクロトームによって、断面方向(厚み方向)に切断し、透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用いて、フィルムの第一層、第二層の断面を観察し、2000倍に拡大した断面写真を得る。得られた断面写真から、気泡部分をOHP用透明フィルム上に油性ペンでトレースし、気泡部分を油性ペンで塗りつぶし、気泡がトレースされた分析用フィルムを得る。イメージアナライザーを使用して、得られた第一層の分析用フィルムから、油性ペンで塗りつぶされた気泡の面積(a)、第一層に相当する面積(b)を算出し、第二層の分析用フィルムから、油性ペンで塗りつぶされた気泡の面積(c)、第二層に相当する面積(d)を算出する。(a)〜(d)を用いて下記の式で計算される値を第一層、第二層における気泡含有率(%)とする。
第一層における気泡の含有率=(a)/(b)×100 (%)
第二層における気泡の含有率=(c)/(d)×100 (%)。
(6)第一層の密度
積層フィルムを幅10mmの短冊にカットして、端部に粘着テープを貼り付け、界面剥離を行い第一層のみを取り出し幅10mm、長さ10mmの第一層サンプルを作る。該第一層サンプルを電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重の測定を行った。測定は3回行い、平均値を第一層の比重ρとし、下記の式で計算される値を第一層の密度とする。
第一層の密度(kgm−3)=第一層のρ×0.997538×1000。
(7)積層フィルムの密度
積層フィルム(幅1m)の幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所、幅10cm、長さ10cmの正方形にN=5で計15枚採取する。サンプル15枚の重量を測定し、サンプルの総重量を測定する。また、サンプルの四辺の中央部の厚みをマイクロメーターでN=2で測定をしてその平均値をサンプルの厚みとし、厚みと面積からサンプルの総体積を算出する。サンプルの総重量とサンプルの総体積から、積層フィルムの密度を以下の式より算出する。
積層フィルムの密度(kgm−3)=(サンプルの総重量(kg))/(サンプルの総体積(m))。
(8)積層フィルムの相対反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に60mmφ積分球を取り付け、酸化アルミニウム製の標準白色板(日立ハイテクノロジーズ製、部品No.210−0740)を100%としたときの第一層側の面における相対反射率を540nm以上700nm以下にわたって測定する。得られた相対反射率チャートより5nm間隔で相対反射率を読み取り、算術平均値を計算し、相対反射率とする。
(9)青色光吸収率の測定
ハイセンスジャパン株式会社製32型液晶TV モデルLHD32K15JP(製造番号1147JHAAAD00359)のバックライト内に張り合わせてある反射フィルム(以下、ブランク白色フィルムという。)を取り出し、測定用の反射フィルムに置き換えして組立する。次にTV画面を点灯させて、画面の中央部を小型分光器(トプコンテクノハウス製USB−100)で測定する。ブランク白色フィルムのチャートと本発明の積層フィルムのチャートを重ねて、その差から450nm以上500nm未満の青色波長領域における分光反射率曲線の最大の吸収率を読みとる。
(10)紫色光吸収率の測定
上記(9)の測定方法でブランク白色フィルムのチャートと本発明の積層フィルムのチャートを重ねて、400nm以上450nm未満の紫色波長領域における分光反射率曲線の差から最大の吸収率を読みとる。
(11)赤外線吸収率の測定
上記(9)の測定方法にて、赤外線測定器(浜松ホトニクス製TG-cooled NIR-III)を使用する。ブランク白色フィルムのチャートと本発明の積層フィルムのチャートを重ねて、分光反射率曲線750nm以上〜2500nm未満の近赤外波長領域における差から最大の吸収率を読みとる。
(12)全光線透過率
JISK7361−1:1997に基づいて測定した。
測定方法は、ヘイズメーター(スガ試験機製ヘイズメーターHZ−2)を用いて、測定サンプル1枚について、第一層側から光りを入射させて全光線透過率を測定した。5サンプルについて測定した値から平均値を算出し、これを全光線透過率とした。
(13)青色光吸収性の評価
本発明の反射板用フィルムによる青色光の減少効果は、450nm付近の白色LEDのピーク波長での吸収率(目に影響が出る波長の減少)を評価する。
評価基準◎、○、△が合格である。
◎:15%以上
○:5%以上15%未満
△:1%以上5%未満
×:1%未満。
(14)製膜性
フィルム破れの発生回数で評価を行った。評価は1日あたりの破れ回数にて行い、以下
の基準で判定をした。なお、○、△が合格である。
○:良好 (破れ発生がほとんどない(1回/日未満))
△:やや劣る (破れが時々発生(1〜2回/日))
×:劣る (破れが多発(2回/日以上))。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートのチップ40質量部に、ルチル型酸化チタンのポリエチレンテレフタレートマスター(マスターチップ総量に対して数平均粒径0.25μmのルチル型酸化チタン50質量%含有)30質量部とn型酸化亜鉛のポリエチレンテレフタレートマスター(マスターチップ総量に対して平均一次粒子径30nmパゼットCK(10MPa圧縮粉体の体積抵抗率10000Ω・cm、アルミドープナノタイプ:ハクスイテック社製)20質量%含有)30質量部を混合して、積層フィルム製造用ポリエチレンテレフタレート組成物原料全体量100質量%中のルチル型酸化チタン量が15質量%、n型酸化亜鉛量が6質量%になるよう調整した。このポリエチレンテレフタレート原料を真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Aに供給しポリエステル層(第一層)を形成すると共に、押出機Bを有する複合製膜装置において、ポリエステル層(第二層)を形成するため、乾燥したポリエチレンテレフタレート原料94.7質量%に、乾燥した三井化学社品のポリメチルペンテン樹脂(以降PMPと省略)5質量%と蛍光剤(ルモゲンFOrange240:BASF社製)0.3質量%混合したものを260〜300℃に加熱された押出機Bに供給し、溶融してTダイ三層用複合口金内に導入した。
これらポリマーはA層(第一層)/B層(第二層)/A層(第一層)となるように三層積層装置を通して三層積層されてTダイよりシート状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.3倍縦延伸した後に冷却ロールに通し、続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で180〜240℃の熱固定温度処理をして、破れることなく安定して製膜できた。こうして得られた積層フィルムの第一層における気泡の含有率は1.0%であり、第二層における気泡の含有率は15%であった。表2に積層フィルムの特性を示す。また、得られた積層フィルムの青色光吸収率15%、紫色光吸収率25%となった。また、赤外線吸収率70%、全光線透過率9%、積層フィルムの密度が1100kgm−3を示し、相対反射率が95%と高く、青色吸収性は良好であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例2〜6]
積層フィルムの気泡含有率などを表2に記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表2に示す。積層フィルムの密度、フィルム厚みを厚くしても青色吸収性は良好であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例7]
第一層中のn型酸化亜鉛(パゼットCK(ハクスイテック社製))の平均一次粒子径を20nmに変更した以外は、実施例1〜6と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表2に示す。得られた積層フィルムは青色吸収性が良好であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例8〜20]
実施例1と同じく、ポリエチレンテレフタレートマスターチップ中のn型酸化亜鉛について、平均一次粒子径、二次粒子径、CV値を表2に記載したとおりに変更した。また、n型酸化亜鉛、ルチル型チタンの含有量を下限から上限に振り分け、さらに、気泡含有率、蛍光剤含有率を表2に記載したとおりに変更した。このときに得られた積層フィルムの特性を表2、表3に示す。得られた積層フィルムは相対反射率が使用可能の範囲であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例21〜30]
第一層中のn型酸化亜鉛をパゼットGK−40(10MPa圧縮粉体の体積抵抗率60Ω・cm、ガリウムドープナノタイプ:ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例8〜20と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表4に示す。得られた積層フィルムは相対反射率が使用可能の範囲であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例31〜40]
第一層中のn型酸化亜鉛を23−K(10MPa圧縮粉体の体積抵抗率300Ω・cm、アルミドープ顔料タイプ:ハクスイテック社製)に変更した以外は、実施例21〜30と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表5に示す。得られた積層フィルムは相対反射率が使用可能の範囲であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例41〜50]
第一層中の混合する無機粒子を炭酸カルシウムの粒子に変更した以外は、実施例8〜20と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表6に示す。得られた積層フィルムは相対反射率が使用可能の範囲であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例51〜60]
第一層中の混合する無機粒子を硫酸バリウムの粒子に変更した以外は、実施例8〜20と同様にして積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性を表7に示す。得られた積層フィルムは相対反射率が使用可能の範囲であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[実施例61〜70]
実施例1〜10と同じ原料処方と製膜方法で、Tダイ二層用複合口金を使用し、ポリマーはA層/B層となるように二層積層装置を通して積層を行い、Tダイよりシート状に成形して製膜をした。得られた積層フィルムの特性を表8に示す。得られた積層フィルムは青色吸収性が良好であり、例えば液晶ディスプレイのバックシートとして好適な積層フィルムであった。
[比較例1]
実施例11をもとに、各項目を表9に記載の値に変更して製膜した。この場合は、破れが多発して生産性が不良となった。得られた積層フィルムの特性を表9に示す。また、得られた積層フィルムは、青色吸収率が低く、相対反射率も低い。
[比較例2]
比較例1をもとに、表9に記載の値に変更して製膜した。得られた積層フィルムの特性を表9に示す。得られた積層フィルムは、相対反射率が低い。
[比較例3〜10]
実施例13〜20をもとに、n型酸化亜鉛を使用せず、蛍光剤の種類を変えて製膜した。得られた積層フィルムの特性を表10に示す。得られた積層フィルムは、青色吸収性能が劣っていた。
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本発明の積層フィルムは、液晶テレビのバックライト用部材、パソコンのバックライト用部材、小型モニターの光源用部材、照明器具の反射シートなど、青色吸収性および反射性が必要とされる用途に幅広く利用することができる。

Claims (6)

  1. 少なくとも二層を有する積層フィルムであって、少なくとも一つの最外層が第一層であり、以下を満足する反射板用積層フィルム。
    (a)第一層はポリエステル層であって、第一層重量を基準として、半導体化した酸化亜鉛粒子を0.1質量%以上30質量%未満含有してなり、
    (b)第一層は前記酸化亜鉛粒子とは異なる無機粒子を含有する層であり、
    (c)第一層側の450nm以上500nm未満の青色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が1%以上34%未満であり、
    (d)第一層側の400nm以上450nm未満の紫色波長領域における分光反射率曲線の吸収率が3%以上80%未満であり、
    (e)第一層とは異なる第二層を有し、第二層がポリエステル層であり、かつ蛍光剤を含有し、
    (f)積層フィルム全体の全光線透過率が10%以下であること
  2. 前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径が0.02μm以上1μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の反射板用積層フィルム。
  3. 750nm以上〜2500nm未満の近赤外波長領域における吸収率が5%以上95%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の反射板用積層フィルム。
  4. 第二層が気泡を含有し、第二層における積層フィルム断面での気泡部分の面積を第二層面積で除した値に100をかけた値である気泡含有率が10%以上60%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の反射板用積層フィルム。
  5. 第一層側の相対反射率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の反射板用積層フィルム。
  6. 液晶ディスプレイのバックシートに用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の反射板用積層フィルム。
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