JP2014118403A - Tlr阻害作用を有するイミダゾール誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は核酸受容体阻害作用を有し、核酸受容体下流のシグナルの阻害に起因する疾患、例えば関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病(GvHD)又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤として有用な新規化合物に関する。
病原体が生体に進入すると、免疫系はそれらの病原体をすみやかに識別し排除する。哺乳類では免疫系は大きく自然免疫と獲得免疫に分けることが出来る。獲得免疫では、遺伝子再構成という方法で無数の個々に異なる抗原特異性を有する受容体がT細胞やB細胞表面に発現され、あらゆる未知の外来抗原に対処する(非特許文献1)。
一方で、マクロファージや樹状細胞などによって担われる自然免疫系は非特異的な免疫応答で微生物の排除が行われると考えられていたが、Toll様受容体(Toll−like receptor;TLR)の発見や樹状細胞を中心とした諸研究の急速な進展により、適応免疫系における抗原認識ほどの親和性や特異性は高くない、特徴的な微生物認識機構が存在していることが明らかになってきた(非特許文献2)。とくにTLRに代表される細胞内にシグナルを伝達する核酸認識受容体は、感染をいち早く前線においてキャッチするという役割のみならず、その後、細胞内にシグナルを伝え、自然免疫系活性化のスイッチをオンにする重要な役割がある。その意味において、これまで知られていた自然免疫系の活性化によって誘導されるI型インターフェロン等のサイトカインやケモカイン、そして抗原提示に関与する分子群の遺伝子発現誘導と、その後の適応免疫系の活性化へと連携させて特異的な免疫応答発動へと導くという経路が明らかとなった(非特許文献2)。
核酸受容体のうちTLR3はウイルス由来の二本鎖RNAを認識し、TLR7は同様にウイルス由来の一本鎖RNAを認識することが明らかとなっている。TLR9は細菌のCpG DNAを認識して活性化される。CpG DNAは細菌のゲノムDNAの特徴的な配列でメチル化されてないCpG配列がある頻度で繰り返されている。哺乳類のゲノムDNAではCpG配列の頻度が少なく高頻度にメチル化されているため、免疫賦活作用はない(非特許文献3)。
これまでRNAやDNAセンサーとして報告されてきたTLR7及び9に関しては多くの研究がなされ、その詳細がかなり明らかになってきている。TLR7及び9はエンドソームやライソソームにおいて細胞外に存在するRNAやDNAを認識する受容体として機能し、I型インターフェロンや炎症性サイトカインの遺伝子発現を誘導する。この両者ともMyD88依存性のシグナル伝達経路を介するが、前者がIRAK1/IKKα−IRF−7が関与するのに対し,後者では、NF−κBやIRF−5やMAPキナーゼの経路が関与する、MyD88にはIRF−7やIRF−5の他に、IRF−1やIRF−4が会合することが知られているが(非特許文献4、5、6)、TLR9下流で関与するIRF転写因子の種類や役割は細胞の種類によって異なっている。
上記に示したように核酸受容体はRNAやDNAをリガンドとして認識するが、正常な状態では自己核酸はリガンドとして認識されず、自然免疫を活性化しない。これは細胞死により放出された自己核酸は血清中のヌクレアーゼにより核酸受容体により認識される前に分解されるからである。またTLR3、7及び9の細胞表面ではなく、エンドソームでの細胞内局在も自己核酸を認識しない機構として考えられている。しかしながら、自己免疫反応や炎症が起こっている状況下ではこのような防御機構が破綻し、内在性のタンパク質と複合体を形成し、核酸受容体シグナルを活性化することが考えられる(非特許文献7)。
これらのことから核酸受容体を阻害することにより、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD及び敗血症による心筋症の病態を改善することが可能であると考えられる。以下に示すようにこれらのいくつかの疾患についてはTLRと具体的な関係が示されている。
RAについてはTLR9阻害作用を有する核酸配列を用いて、TLR9を阻害することによりプリスタン誘導性ラット関節炎モデルにおいて発症と病態が抑制されたことが報告されている(非特許文献8)。また抗マラリア薬であるヒドロキシクロロキンはエンドソームの酸性化抑制によりTLR7及び9の阻害作用を有していることが知られ、日本を除くほとんどの国でRA及びSLEの治療薬として承認されている(非特許文献9)。
SLEについてはTLR9ノックアウトマウスにおいてSLE様の病体において見られる抗核抗体の減弱が報告されており(非特許文献10)、TLR9阻害作用を有する核酸を用いた実験においても同様の結果が報告されている(非特許文献11)。さらに同様の作用を有する低分子化合物についても報告されている(CPG52364:特許文献1)。
TLR7ノックアウトマウス(SLE様の症状を自然発症するMRL/lprマウス)においても尿中タンパク質の減少、血中IgGの減少などSLE様の症状の発症が抑制されることが知られている(非特許文献12、13)。さらに抑制性の核酸を投与することによりSLE様の症状の抑制も報告されている(非特許文献11)。これらの報告からはTLR7もSLEのターゲットとして非常に有用であることが推察される。マウスにおけるMSのモデルであるEAEモデルにおいては、TLR2及びTLR9ノックアウトマウスで病態の発症が弱いという報告があり、TLRの関与が示されている(非特許文献14)。
SS患者の唾液腺上皮細胞では、TLR3の活性化によるアポトーシスに感受性が高いという報告がなされており、TLRの関与が考えられる(非特許文献15)。
IBDなどの腸炎では様々なTLRが炎症に関与していることがマウスの腸炎モデルを用いて示されており、TLR阻害により病体に抑制的に働く場合、TLRの活性化が病体に抑制的に働く場合が報告されており、一概に阻害作用のみが病態回復に機能するとは考えられないが、TLRとの関与は示されている(非特許文献16)。
リガンドであるCpG−B DNAにより産生される炎症性サイトカインにより、心筋細胞の収縮性が失われたとされる報告があり、TLR9ノックアウトマウスではその作用が減弱された(非特許文献17)。このようなことから敗血症による心筋症に関与していると考えられる。
ヒドロキシクロロキンはTLR9阻害作用を有することが公知であり、すでに臨床でも使用されている薬剤であるが、TLR9阻害作用としてはそれほど強くなく、さらに強いTLR9阻害作用を有する薬剤により、より強力な薬効が期待できる。またヒドロキシクロロキンはクロロキン網膜症などの副作用の懸念があるが、異なる骨格の化合物により、このような副作用の懸念は払拭できる可能性も考えられる。
したがって、強い核酸受容体阻害作用を示し、経口投与可能な低分子性の薬剤が、今後のRA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療において有用であると考えられる。
イミダゾール骨格を有する誘導体において、HCVポリメラーゼ阻害作用を有するものが報告されている(特許文献2)。また、CB2受容体アゴニスト作用を有し、抗炎症作用を有するピペラジンイルフェニルイミダゾール誘導体も報告されている(特許文献3)。しかしながら、本発明に含有される化合物群とは置換様式の点で異なる。
植松智ら ウイルス,54:145−152(2004)
高岡晃教ら ウイルス,58:37−46(2008)
Takeda K et al.,Annu.,Rev.Immunol.,21:335−376(2003)
Honda K et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101:15416−15421(2004)
Negishi H et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,102:15989−15994(2005)
Negishi H et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:15136−15141(2006)
Kim,Y.M et al.,Nature,452:234−238(2008)
S Herman et al.,Ann.Rheum.Dis.,70 :A39 doi:10.1136/ard.2010.148973.8(2011)
横川直人、Current Therapy,28:85−91,2010
Sean R.Christensen et al.,J.Exp.Med.,202:321−331(2005)
Rahul D.Pawaret al.,J Am Soc Nephrol,18:1721−1731(2007)
Sean R.Christensenet al.,Immunity,25:417−428(2006)
Kevin M.Nickerson al.,J.Immunol,184:1840−1848(2010)
Socorro Miranda−Hernandez,al.,J Immunol,187:791−804(2011)
Manoussakis MN,al.,J Autoimmun,35(3):212−218(2010)
Elke Cario,Inflamm Bowel Dis,14(3):411−21(2008)
Pascal Knuefermannal.,Cardiovascular Research,78:26−35(2008)
本発明の目的は、低分子性の核酸受容体阻害作用を有する新規化合物を提供することにある。さらに詳細には、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
上記実情に鑑み、本発明者らは、鋭意TLR3,7及び/又は9阻害作用を持つ化合物を探索した結果、下記一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体が、内在的にヒトTLR3を発現しているヒト血管内皮細胞由来のECV304を用いた試験、ヒトTLR7を発現させたヒト胎児腎臓細胞由来のHEK293細胞を用いた試験、ヒトTLR9を発現させたヒト胎児腎臓細胞由来のHEK293細胞を用いた試験において核酸受容体阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に示す発明に関する。
[1]次の一般式(1):
[1]次の一般式(1):
[式中、
R1及びR2は、いずれか一方が水素原子を示し、他方が式(2):
R1及びR2は、いずれか一方が水素原子を示し、他方が式(2):
{式中、
mは1乃至4で示される整数を示し、
R3は、それぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又はC1−3アルキル基を示し、
環Cは、5又は6員の含窒素飽和複素環を示す}
を示し、
nは、1乃至4で示される整数を示し、
環A及び環Bは、それぞれ独立して、5又は6員の含窒素飽和複素環を示す]
で示される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
mは1乃至4で示される整数を示し、
R3は、それぞれ同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又はC1−3アルキル基を示し、
環Cは、5又は6員の含窒素飽和複素環を示す}
を示し、
nは、1乃至4で示される整数を示し、
環A及び環Bは、それぞれ独立して、5又は6員の含窒素飽和複素環を示す]
で示される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[2]一般式(1)で表される化合物が、
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
からなる群から選択される、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
からなる群から選択される、前記[1]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
[3]前記[1]又は[2]に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の、特にTLR9の阻害剤。
[4]前記[1]又は[2]に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤。
[5]自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群又は血管炎である、前記[4]に記載の予防及び/又は治療剤。
[6]TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の、特にTLR9のシグナルの活性化に起因する疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病(GvHD)又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤の製造のための、前記[1]又は[2]に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用。
[7]前記[1]又は[2]に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を患者に投与することを特徴とする、TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選ばれる少なくとも1種の、特にTLR9のシグナルの活性化に起因する疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病(GvHD)の病態等)又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療方法。
TLR3、7及び9からなる群から選ばれる少なくとも1種の阻害剤の有効成分である、本発明のイミダゾール誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症等の予防及び/又は治療において有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明における用語の定義は以下のとおりである。
本明細書で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
本明細書で使用するとき、「C1−3アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜3の飽和炭化水素基を意味する。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基等が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「C1−6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6の飽和炭化水素基を意味する。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基又は2−エチルブチル基等が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「5又は6員の含窒素飽和複素環」とは、隣接する環員原子間で多重結合を有さず、環員原子として窒素原子を少なくとも1つ含有する、5又は6員の複素環を意味する。具体的には、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、チオモルホリン 1−オキシド環、チオモルホリン 1,1−ジオキシド環、ピペラジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、1,2,3−トリアゾリジン環又は1,2,4−トリアゾリジン環等が挙げられる。
式(1)中、C1−3アルキル基としては、メチル基が好ましい。
式(1)中、5又は6員の含窒素飽和複素環としては、ピペラジン環又はピペリジン環が好ましい。
式(1)中、nとしては、3が好ましい。
式(2)中、R3としては、C1−3アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(2)中、mとしては、1が好ましい。
式(2)中、環Cとしては、ピペラジン環が好ましい。
式(2)中、環Cがピペラジン環を示すとき、フェニレン基は、当該ピペラジン環の1位又は4位に結合することが好ましい。
式(2)中、環Cがピペラジン環を示すとき、R4は、当該ピペラジン環の1位又は4位に結合することが好ましい。
式(1)中、環Aとしては、ピペリジン環が好ましい。
式(1)中、環Bとしては、ピペリジン環が好ましい。
式(2)中、環Cがピペラジン環を示すとき、R4はメチル基が好ましい。
式(2)中、環Cがピペラジン環を示すとき、mは1が好ましい。
式(2)中、R3がメチル基を示すとき、mは1が好ましい。
式(1)中、環Aがピペリジン環を示すとき、環Bはピペリジン環が好ましい。
式(1)中、環Aがピペリジン環を示すとき、環Bの環員原子である窒素原子は、当該ピペリジン環の4位に結合することが好ましい。
式(1)中、R1、R2、n、m、環A、環B及び環Cの組み合わせとしては、以下のものが好ましい。
R1=水素原子、R2=式(2)、n=3、m=1、環A=ピペリジン環、環B=ピペリジン環及び環C=ピペラジン環;
R1=式(2)、R2=水素原子、n=3、m=1、環A=ピペリジン環、環B=ピペリジン環及び環C=ピペラジン環。
R1=水素原子、R2=式(2)、n=3、m=1、環A=ピペリジン環、環B=ピペリジン環及び環C=ピペラジン環;
R1=式(2)、R2=水素原子、n=3、m=1、環A=ピペリジン環、環B=ピペリジン環及び環C=ピペラジン環。
本発明のイミダゾール誘導体の具体例として、
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
を挙げることができる。
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
を挙げることができる。
本発明のTLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の阻害剤の有効成分の具体例として、
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
を挙げることができる。
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
を挙げることができる。
本発明のイミダゾール誘導体、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明のイミダゾール誘導体のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質、並びにそれらの物質のプロドラッグを包含している。
本発明のイミダゾール誘導体において許容される塩としては、具体的には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との酸付加塩等が挙げられる。
本発明のイミダゾール誘導体、及びその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノール等のアルコールとの溶媒和物等)が挙げられる。
本発明のイミダゾール誘導体は、公知の方法を組み合わせ製造することができる。イミダゾール誘導体の製造方法を下記反応工程図に示すが、製造法はこれに限定されるものではない。
本発明の一般式(1)の化合物は、以下のスキームにしたがって、イミダゾール誘導体(3)から製造することができる。
[式中、
R1、R2、R3、m、n、環A、環B及び環Cは、前記定義と同じものを示し、E1及びE2は、いずれか一方が水素原子を示し、他方がハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、E3はハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、Pは保護基を示し、R4及びR5は水素原子又はC1−6アルキル基を示すか、又はR4とR5が一緒になって環を形成する。]
R1、R2、R3、m、n、環A、環B及び環Cは、前記定義と同じものを示し、E1及びE2は、いずれか一方が水素原子を示し、他方がハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、E3はハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、Pは保護基を示し、R4及びR5は水素原子又はC1−6アルキル基を示すか、又はR4とR5が一緒になって環を形成する。]
[工程1]イミダゾール誘導体(3)とボラン化合物(4)との鈴木−宮浦カップリング反応によって、イミダゾール誘導体(5)を製造することができる。使用される金属触媒、塩基ならびに反応条件は、通常、鈴木−宮浦カップリング反応に使用される試薬及び条件であれば特に限定されないが、例えばN.Miyaura,A.Suzuki,Chem.Rev.1995,95,2457−2483,(1995)等に記載されている方法を用いることができる。使用される金属触媒としては特に制限は無いが、例えば、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(0)ジベンジリデンアセトン、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム錯体であり、好ましくは、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)である。塩基としては特に制限は無いが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム等であり、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸セシウムである。溶媒としては特に制限はないが、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。好ましくはテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、水、及びそれらの混合溶媒である。反応温度は、0〜200℃、好ましくは60℃〜150℃である。反応時間は、1時間〜48時間、好ましくは30分間〜20時間である。上記反応で用いるボラン化合物(4)は、市販の入手可能なものをそのまま使用するか、或いは、公知の方法により適宜製造できるが、これに限定されるものではない。
[工程2]イミダゾール誘導体(5)と、脱離基を有するアルキル化剤(6)のアルキル化反応によって、イミダゾール誘導体(7)を製造することができる。アルキル化は、溶媒中、塩基の存在下により行うことができる。溶媒としては、特に制限は無いが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類を単独又は組み合わせて使用することができ、塩基としては、特に制限は無いが、例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム等のアルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を使用することができる。また、添加物として、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、12−クラウン−5、18−クラウン−6などを添加してもよい。反応温度は、−10〜200℃、反応条件によって異なるが好ましくは0℃〜120℃である。反応時間は、1時間〜72時間、反応条件によって異なるが好ましくは1時間〜36時間である。上記反応で用いるアルキル化剤(6)は、市販の入手可能なものをそのまま使用するか、或いは、公知の方法により適宜製造できるが、これに限定されるものではない。
[工程3]イミダゾール誘導体(7)の脱保護反応によって、イミダゾール誘導体(8)を製造することができる。一般に用いられる方法(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis Fourth Edition,A John Wiley&Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。
[工程4]イミダゾール誘導体(8)のメシル(Ms)化反応によって、イミダゾール誘導体(9)を製造することができる。メシル化は、一般に用いられる方法(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis Fourth Edition,A John Wiley&Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。
[工程5]イミダゾール誘導体(9)と、アミン誘導体(10)のアルキル化反応によって、本発明の化合物(1)を製造することができる。アルキル化は、工程2と同様にして行うことができる。上記反応で用いるアミン誘導体(10)は、市販の入手可能なものをそのまま使用するか、或いは、公知の方法により適宜製造できるが、これに限定されるものではない。
イミダゾール誘導体(7)は以下のルートによっても製造することができる。
[式中、
R1、R2、R3、m、n、環A、環B及び環Cは、前記定義と同じものを示し、E1及びE2は、いずれか一方が水素原子を示し、他方がハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、E3はハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、Pは保護基を示し、R4とR5は水素原子又はC1−6アルキル基を示すか、又はR4とR5が一緒になって環を形成する。]
R1、R2、R3、m、n、環A、環B及び環Cは、前記定義と同じものを示し、E1及びE2は、いずれか一方が水素原子を示し、他方がハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、E3はハロゲン原子又はトリフレート基などの脱離基を示し、Pは保護基を示し、R4とR5は水素原子又はC1−6アルキル基を示すか、又はR4とR5が一緒になって環を形成する。]
[工程6]イミダゾール誘導体(3)と、脱離基を有するアルキル化剤(6)のアルキル化反応によって、イミダゾール誘導体(11)を製造することができる。アルキル化は、工程2と同様にして行うことができる。
[工程7]イミダゾール誘導体(11)とボラン化合物(4)との鈴木−宮浦カップリング反応によって、イミダゾール誘導体(7)を製造することができる。カップリング反応は、工程1と同様にして行うことができる。
上記一般式における置換基等は必要に応じ一般に用いられる方法(Comprehensive Organic Transformations Second Edition,A John Wiley&Sons, Inc.)を参考に、酸化、還元、アルキル化、アミド化、エステル化、加水分解、還元的アミノ化等により適宜変換させることにより、目的物が得られる。また、保護基を用いる場合には、保護基としては特に制限はないが、一般に用いられる方法(Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis Fourth Edition,A John Wiley&Sons,Inc.)等により導入できるものを適宜使用できるが、これに限定されるものではない。
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。例えば、ラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的なラセミ混合物の分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は、適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
本発明のTLR3、7及び/又は9阻害剤、並びに自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤は、一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に、矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が、安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデト酸ナトリウム)、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
坐剤を調製する場合は、一般式(1)で表される化合物に公知の坐剤用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
本発明の一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体の投与量は、年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり0.1mg〜1000mg、好ましくは1mg〜1000mg、より好ましくは1mg〜500mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、下記実施例中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
m:マルチプレット(multiplet)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
CD3OD:重メタノール
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
Ms:メタンスルホニル
PLC:分取用薄層クロマトグラフィー
s:シングレット(singlet)
d:ダブレット(doublet)
t:トリプレット(triplet)
m:マルチプレット(multiplet)
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
CDCl3:重クロロホルム
CD3OD:重メタノール
1H-NMR:プロトン核磁気共鳴
Ms:メタンスルホニル
PLC:分取用薄層クロマトグラフィー
実施例1
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
工程1
1-(4-(1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)-4-メチルピペラジンの製造
1-(4-(1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)-4-メチルピペラジンの製造
4-ブロモ-1H-イミダゾール(200 mg, 1.36 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(80 mg, 0.068 mmol)、1-メチル-4-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)ピペラジン(617 mg, 2.04 mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(2 mL)を1,4-ジオキサン(4.5 mL)中で混合し、還流下で一晩攪拌した。室温に戻し、水を加え、析出物をろ取し、表題化合物(166 mg, 不純物を含む)を無色固体して得た。
1H-NMR (400MHz, CD3OD)δ:2.35 (3H, s), 2.62 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.22 (4H, t, J = 4.6 Hz), 6.99 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.26 (1H, s), 7.57 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.66 (1H, s).
工程2
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートの製造
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートの製造
1-(4-(1H-イミダゾール-4-イル)フェニル)-4-メチルピペラジン(100 mg)のアセトニトリル(2 mL)溶液に、炭酸カリウム(285 mg, 2.05 mmol)、3-ブロモプロピル ベンゾエート(251 mg, 1.03 mmol)を加え、60℃で3時間撹拌した。室温に戻し、セライトろ過を行い、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=98:2→82:18 、グラジエント)を用いて精製し、表題化合物(39 mg、2工程収率12%)を淡緑色固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 2.29 (2H, tt, J = 6.4, 6.4 Hz), 2.36 (3H, s), 2.60 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.24 (4H, t, J = 4.9 Hz), 4.13 (2H, t, J = 6.8 Hz), 4.38 (2H, t, J = 6.1 Hz), 6.95 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.14 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.44 (2H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.52 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.58 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.66 (2H, d, J = 9.0 Hz), 8.03 (2H, d, J = 8.1 Hz).
工程3
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オールの製造
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オールの製造
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエート(39 mg, 96 μmol)のメタノール(1 mL)溶液に、室温で5M水酸化ナトリウム水溶液(0.3 mL)を加え、同温度で3時間撹拌した。クロロホルムで抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=98:2→82:18 、グラジエント)を用いて精製し、表題化合物(23.3 mg, 80%)を淡黄色固体して得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:2.03 (2H, tt, J = 6.4, 6.4 Hz), 2.38 (3H, s), 2.61 (4H, t, J = 4.6 Hz), 3.25 (4H, t, J = 4.6 Hz), 3.65 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.11 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.95 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.11 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.47 (1H, d, J = 1.2 Hz), 7.66 (2H, d, J = 8.8 Hz).
工程4
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オール(23.3 mg, 77.6 μmol)の塩化メチレン(0.8 mL)溶液に、氷冷下でトリエチルアミン(11.8 mg, 116 μmol)、MsCl(107 mg, 93.1 μmol)を加え、室温で1時間攪拌した。氷冷下で、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル(1.1 mL)、炭酸カリウム(16.1 mg, 116 μmol)、1,4'-ビピペリジン(19.5 mg, 116 μmol)を加え、60℃で7時間攪拌した。室温に戻し、セライトろ過をし、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を、PLC(クロロホルム:メタノール=11:1)を用いて精製し、表題化合物(25.7 mg, 73%)を淡緑色固体して得た。
1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オール(23.3 mg, 77.6 μmol)の塩化メチレン(0.8 mL)溶液に、氷冷下でトリエチルアミン(11.8 mg, 116 μmol)、MsCl(107 mg, 93.1 μmol)を加え、室温で1時間攪拌した。氷冷下で、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル(1.1 mL)、炭酸カリウム(16.1 mg, 116 μmol)、1,4'-ビピペリジン(19.5 mg, 116 μmol)を加え、60℃で7時間攪拌した。室温に戻し、セライトろ過をし、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を、PLC(クロロホルム:メタノール=11:1)を用いて精製し、表題化合物(25.7 mg, 73%)を淡緑色固体して得た。
実施例2
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
工程1
3-(5-ブロモ-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートの製造
3-(5-ブロモ-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートの製造
4-ブロモ-1H-イミダゾールと3-ブロモプロピル ベンゾエートを用いて、実施例1の工程2と同様にして、表題化合物(14%)を微黄色油状物として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 2.26 (2H, tt, J = 6.8 Hz), 4.14 (2H, t, J = 7.1 Hz), 4.35 (2H, t, J = 5.8 Hz), 7.03 (1H, d, J = 0.7 Hz), 7.47 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.59 (1H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.60 (1H, s), 8.04 (2H, d, J = 8.3 Hz).
工程2
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートの製造
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートの製造
3-(5-ブロモ-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートを用いて、実施例1の工程1と同様にして、表題化合物(不純物を含む)を微黄色油状物として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ: 2.09 (2H, tt, J = 6.4, 6.4 Hz), 2.37 (3H, s), 2.58 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.21 (4H, t, J = 4.9 Hz), 4.16 (2H, t, J = 7.3 Hz), 4.21 (2H, t, J = 6.1 Hz), 6.90 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.00 (1H, s), 7.22-7.28 (3H, m), 7.44 (2H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.57 (1H, s), 7.92 (2H, d, J = 7.3 Hz).
工程3
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オールの製造
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オールの製造
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル ベンゾエートを用いて、実施例1の工程3と同様にして、表題化合物(75%、2工程収率75%)を淡黄色固体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3)δ:1.81 (2H, tt, J = 6.1 Hz), 2.37 (3H, s), 2.60 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.27 (4H, t, J = 4.9 Hz), 3.51 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.13 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.97 (2H, d, J = 9.0 Hz), 6.98 (1H, s), 7.27 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.55 (1H, d, J = 1.0 Hz).
工程4
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オールと1,4'-ビピペリジンを用いて、実施例1の工程4と同様にして、表題化合物(63%)を黄色油状物として得た。
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジンの製造
3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロパン-1-オールと1,4'-ビピペリジンを用いて、実施例1の工程4と同様にして、表題化合物(63%)を黄色油状物として得た。
実施例1及び2の化合物の化学構造式とその物性値を表1に示す。
[試験例1] TLR9発現レポーター細胞を用いたTLR9活性化阻害試験
1)TLR9発現レポーター細胞の樹立
ヒトTLR9発現細胞は、ヒト胎児腎臓細胞株であるHEK293にヒトTLR9を発現させた細胞をInvivogen社より購入した(hTLR9/293xL)。hTLR9/293xLを、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM(sigma社))を用いて継代培養した。NFκB認識配列の4回繰り返しにホタルルシフェラーゼ遺伝子を連結したpGL4.28(Promega社)を、Fugene6(Roche社)を用いてリポフェクションにより遺伝子導入した。ハイグロマイシン、ブラストサイジン耐性細胞クローンを選択し、TLR9発現レポーター細胞とした(hTLR9 NFκB−luc/293xL)。
2)TLR9活性化阻害試験
hTLR9 NFκB−luc/293xLを96ウェルホワイトマイクロタイタープレートに1.0×104/80μLで播き、CO2インキュベータ中で37℃、1晩培養した。DMEMにより希釈した被検化合物(10μL)を添加し、終濃度0.01,0.03,0.1,0.3,1μMとした。1時間後にTLR9リガンドであるCpG−B DNA(ODN2006)(Invivogen)を終濃度1μMとなるように添加した(10μL)。合計100μLとして4時間CO2インキュベータ中でインキュベート後にルシフェラーゼ活性をTLR9活性として測定した。ルシフェラーゼ活性はBright Glo(Promega)を60μL添加し、マルチマイクロプレートリーダーARVO(Perkin Elmer)により発光量を測定した。被検化合物を添加していない場合のルシフェラーゼ活性を100%として、各被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を計算した。
1)TLR9発現レポーター細胞の樹立
ヒトTLR9発現細胞は、ヒト胎児腎臓細胞株であるHEK293にヒトTLR9を発現させた細胞をInvivogen社より購入した(hTLR9/293xL)。hTLR9/293xLを、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン、ストレプトマイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM(sigma社))を用いて継代培養した。NFκB認識配列の4回繰り返しにホタルルシフェラーゼ遺伝子を連結したpGL4.28(Promega社)を、Fugene6(Roche社)を用いてリポフェクションにより遺伝子導入した。ハイグロマイシン、ブラストサイジン耐性細胞クローンを選択し、TLR9発現レポーター細胞とした(hTLR9 NFκB−luc/293xL)。
2)TLR9活性化阻害試験
hTLR9 NFκB−luc/293xLを96ウェルホワイトマイクロタイタープレートに1.0×104/80μLで播き、CO2インキュベータ中で37℃、1晩培養した。DMEMにより希釈した被検化合物(10μL)を添加し、終濃度0.01,0.03,0.1,0.3,1μMとした。1時間後にTLR9リガンドであるCpG−B DNA(ODN2006)(Invivogen)を終濃度1μMとなるように添加した(10μL)。合計100μLとして4時間CO2インキュベータ中でインキュベート後にルシフェラーゼ活性をTLR9活性として測定した。ルシフェラーゼ活性はBright Glo(Promega)を60μL添加し、マルチマイクロプレートリーダーARVO(Perkin Elmer)により発光量を測定した。被検化合物を添加していない場合のルシフェラーゼ活性を100%として、各被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を計算した。
3)結果
上記実施例によって得られた化合物の活性値(IC50値)を表2に示す。
上記実施例によって得られた化合物の活性値(IC50値)を表2に示す。
以上より、本発明の化合物は強いTLR9阻害作用を有していることが確認された。したがって、本発明の一般式(1)で表されるイミダゾール誘導体は、TLR9阻害剤として、TLR9シグナルの活性化に関連する疾患、例えば、RA、SLE、SS、MS、IBD、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群、血管炎などの自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤の有効成分として有用であることがわかった。
本発明のイミダゾール誘導体若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、優れたTLR3、7及び/又は9阻害作用を有しており、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤への使用に有用である。本発明は、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、GvHD又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤を提供し、製薬工業において有用であり、産業上の利用可能性を有している。
Claims (5)
- 1'-(3-(4-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン、及び
1'-(3-(5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1H-イミダゾール-1-イル)プロピル)-1,4'-ビピペリジン
からなる群から選択される化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。 - 請求項1又は2に記載の化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、TLR3、TLR7及びTLR9からなる群から選択される少なくとも1種の阻害剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする、自己免疫疾患、炎症、アレルギー、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病又は敗血症による心筋症の予防及び/又は治療剤。
- 自己免疫疾患が、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、ベーチェット症候群又は血管炎である、請求項4に記載の予防及び/又は治療剤。
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JP2012276932A JP2014118403A (ja) | 2012-12-19 | 2012-12-19 | Tlr阻害作用を有するイミダゾール誘導体 |
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- 2012-12-19 JP JP2012276932A patent/JP2014118403A/ja active Pending
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