JP2014118387A - 繊維用抗菌剤及び抗菌性繊維製品 - Google Patents

繊維用抗菌剤及び抗菌性繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維製品を抗菌加工した際に生じる生地汚れや白化を予防し、抗菌加工と染色とを同浴で実施した際にも、染め斑、色抜けや染色槽の缶体汚れを生じることなく、抗菌性に優れた繊維製品を得ることが可能な繊維用抗菌剤及び該繊維用抗菌剤による加工が施された抗菌性繊維製品を提供する。
【解決手段】(A)ピリチオン亜鉛と、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルと、(C)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び/または(D)芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物と、及び(E)増粘剤とを含有する繊維用抗菌剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維用抗菌剤及び抗菌性繊維製品に関する。本発明は、特に、繊維製品に対して抗菌成分を均一に付与することが可能な繊維用抗菌剤及び該繊維用抗菌剤による抗菌加工が施された抗菌性繊維製品に関する。
空調設備の普及により高気密化した近年の生活環境は、微生物の繁殖しやすい環境でもあり、微生物由来の臭気や微生物によるアレルギーが問題となっている。
微生物の繁殖を抑制すべくさまざまな抗菌剤が上市されているが、繊維用抗菌剤としては、安全性が高く、抗菌性や抗かび性に優れたピリチオン亜鉛やピリチオンナトリウムなどのピリチオン系金属錯体が挙げられる。
ピリチオン系金属錯体による繊維の抗菌加工について、特許文献1には、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などでコロイド状態に粒状化した2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛(ピリチオン亜鉛)と、染料とを含む液中に繊維構造物を浸し、常圧または加圧の下、90〜160℃で加熱処理することにより、抗菌剤と染料とを繊維内部に吸尽させ、拡散させることができ、洗濯耐久性に優れた抗菌性繊維構造物を得ることができることが報告されている。
また、特許文献2には、鉄及び銅の含有率を一定量以下に抑えた抗菌・抗カビ加工用ピリチオン亜鉛含有分散液が開示され、この分散液は、単独で繊維に適用することも、繊維を染色する際や難燃処理する際に併用することもできることが報告されている。
ピリチオン系抗菌剤による繊維製品の抗菌後加工では、一般に、浸漬やパディングによる繊維製品への抗菌成分の付与が行われる。しかし、繊維用抗菌剤としての安定性が比較的良好であるにも関わらず、これを希釈したパッド浴中で凝集物を生じ、生地汚れや白化などのトラブルを生じることがあった。
また、浸漬にて抗菌加工と染色とを同浴で実施した場合にも、ピリチオン系抗菌剤の凝集物が繊維上に付着し、染め斑や色抜けを生じたり、染色槽内部に汚れを生じたりするなどの問題が発生していた。
特開2000−008275号公報 特開2001−288014号公報
本発明は、従来技術の有する上記課題に鑑みてなされたものであり、繊維製品を抗菌加工した際に生じる生地汚れや白化を予防し、抗菌加工と染色とを同浴で実施した際にも、染め斑、色抜けや染色槽の缶体汚れを生じることなく、抗菌性に優れた繊維製品を得ることが可能な繊維用抗菌剤を提供すること、及び該繊維用抗菌剤による加工が施された抗菌性繊維製品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ピリチオン亜鉛を特定の分散剤で分散させ、更に増粘剤を併用することにより、常温から抗菌加工温度にわたる広い温度範囲で、処理浴中のピリチオン亜鉛の分散状態が安定化されることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
よって、本発明は以下からなる。
(1)(A)ピリチオン亜鉛と、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルと、(C)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び/または(D)芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物と、及び(E)増粘剤とを含有する繊維用抗菌剤。
(2)(A)ピリチオン亜鉛に対する、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルと、(C)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び/または(D)芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の使用量の合計が、(A)ピリチオン亜鉛の2〜80質量%である、上記(1)に記載の繊維用抗菌剤。
(3)(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルのアリールフェニル基が、フェニル基に対して1〜5個のスチリル基が付加した構造からなる、上記(1)または(2)に記載の繊維用抗菌剤。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の繊維用抗菌剤による処理が施された抗菌性繊維製品。
ピリチオン亜鉛の分散状態が安定な本発明の繊維用抗菌剤により、洗濯耐久性に優れた抗菌性繊維製品が得られ、生地汚れや白化現象を予防することができる。また、繊維製品の抗菌加工が染色と同浴で実施された場合の、染め斑や色抜け、染色槽の缶体汚れなどの現象を防止することもできる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して、詳細に説明する。
本発明の繊維用抗菌剤は、抗菌成分としてピリチオン亜鉛を含有し、その分散剤として、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルとポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び/または芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物とを含有し、さらに増粘剤を含有する繊維用抗菌剤である。
本発明の繊維用抗菌剤におけるピリチオン亜鉛の量は、5〜50質量%であることが望ましい。ピリチオン亜鉛の量が5質量%未満では、繊維用抗菌剤を多く使用しなければ十分な抗菌効果が得られないおそれがあり、一方ピリチオン亜鉛の割合が50質量%を超えると、ピリチオン亜鉛の沈降や分離の抑制が困難となるおそれがある。
本発明で用いるポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルのアリールフェニル基としては、フェニル基に1〜3個のスチリル基が付加したスチリルフェニル基、前記スチリルフェニル基に、さらにスチリル基が付加したアリールフェニル基であって、フェニル基に対するスチリル基の総数が2〜5個であるスチリルフェニル基、及びフェニル基に1〜3個のベンジル基が付加したベンジルフェニル基を挙げることができる。
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルによるピリチオン亜鉛の分散効果は、主に常温付近において発揮される傾向にあり、この常温付近での分散効果をより安定化させるとの観点から、アリールフェニル基としては、フェニル基に対するスチリル基の数が1〜5個のアリールフェニル基が好ましく、スチリル基の数が2〜5個のアリールフェニル基がより好ましく、フェニル基に対して3個のスチリル基を付加したトリスチリルフェニル基が特に好ましい。また、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルのエチレンオキシド付加モル数は、5〜40モルであることが望ましい。
エチレンオキシド付加モル数が5モル未満の場合や、40モルを超える場合、ピリチオン亜鉛の十分な分散効果が得られないおそれがある。
本発明のポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニアで中和したものであることが好ましい。
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルの使用量は、ピリチオン亜鉛に対し、1〜40質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましい。ピリチオン亜鉛に対して1質量%未満では、ピリチオン亜鉛を安定に分散させるのが困難となるおそれがあり、40質量%を超えると泡立ちが強まり、作業性の低下を招くおそれがある。また、染料と同浴で用いた場合には、染料の分散性を阻害するおそれもある。
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルによるピリチオン亜鉛の分散効果は、主に常温付近において発揮される傾向にあり、高温でのピリチオン亜鉛の分散効果は低下する傾向にあるが、次に述べるポリエチレングリコール脂肪酸エステル、及び/または芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物を、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルと併用することにより、高温下のピリチオン亜鉛の分散状態を安定化させることができる。
本発明で用いるポリエチレングリコール脂肪酸エステルは、分子量400〜1500のポリエチレングリコールの脂肪酸エステルであることが好ましく、ジ脂肪酸エステルであることがより好ましい。脂肪酸の炭素数としては、カルボキシル基の炭素を含み、8〜22であることが好ましく、12〜18であることがより好ましい。具体的には、カプリル酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などを例示することができる。
ポリエチレングリコールの分子量が400未満の場合や、1500を超える場合、または炭素数が8未満の脂肪酸や炭素数が22を超える脂肪酸を用いた場合、抗菌処理と染色との同浴処理において、染料の分散性を低下させるおそれがある。
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルの使用量は、ピリチオン亜鉛に対し、1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。1質量%未満では、ピリチオン亜鉛や染料の分散状態を安定に保つ効果が十分に発揮されないおそれがある。一方、50質量%を超えて添加しても、分散状態をさらに安定化させる効果が得られないばかりか、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル自体が分離してしまうおそれがある。
本発明で用いる芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の芳香族スルホン酸とは、芳香族スルホン酸とホルムアルデヒドとの重縮合反応物であり、芳香族スルホン酸としてはα―ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸などのナフタレンスルホン酸を用いることができる。また、それらのカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩などの中和塩を用いることもでき、未中和の芳香族スルホン酸のホルムアルデヒド縮合物を得た後に、中和することもできる。
芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の使用量は、ピリチオン亜鉛に対して、1〜25質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。ピリチオン亜鉛に対する使用量が1質量%未満では、ピリチオン亜鉛及び染料の分散状態の安定化効果が得られないおそれがある。
一方、芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の使用量が25質量%を超えると、染色同浴処理時に、染料が過剰に安定化し、染着阻害を起こすおそれがある。また、芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、一般に着色しており、経時によりさらに濃色化する傾向にあるため、使用量が15質量%を超えると抗菌加工布を黄変させるおそれがある。
ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルで分散されたピリチオン亜鉛は、水中で安定な分散状態にあるが、これを希釈したパッド浴では、時間の経過に伴いピリチオン亜鉛の凝集物を生じる場合がある。時間の経過に伴う希釈浴でのピリチオン亜鉛の凝集は、ピリチオン亜鉛のポリエチレングリコール脂肪酸エステルによる分散浴や、芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物による分散浴でも生じるが、前記3種の分散剤のうち、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルを必須成分とし、さらにポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の少なくとも一方を用いることにより、希釈浴中におけるピリチオン亜鉛の経時凝集を抑制することができる。
ピリチオン亜鉛の分散状態が安定な本発明の繊維用抗菌剤を、繊維製品の抗菌加工に用いることにより、浸漬処理においても、パディングなどの連続処理においても、抗菌成分であるピリチオン亜鉛を繊維製品に均一に付与することが可能となり、洗濯耐久性に優れた抗菌性繊維製品を得ることができる。
ピリチオン亜鉛に対する分散剤の総量は、2〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましい。分散剤量が2質量%未満では、ピリチオン亜鉛の再凝集を抑制し得ないおそれがある。一方、80質量%を超えると、染色と抗菌加工の同浴処理で、染着濃度が低下するなど、染色性に影響を及ぼすおそれがある。
本発明の繊維用抗菌剤において、ピリチオン亜鉛は、平均粒径が2μm以下に微粉砕処理されることが好ましく、抗菌剤の安定性の観点から、1μm以下に微粉砕処理されることがより好ましく、0.5μm以下に微粉砕処理されることがさらに好ましい。
ピリチオン亜鉛の微粉砕処理は、ピリチオン亜鉛と、前記分散剤と、水とを混合したスラリー状の調整液に対して施すことができる。この調整液の分散剤として、前記3種の分散剤のうちの1種を用いることも、2種以上を併用することもできるが、常温でのピリチオン亜鉛の分散効果に優れるポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルを分散剤に用いることが好ましい。
前記スラリー状の調整液には、分散剤の全量を添加することができ、分散剤の一部を微粉砕処理後に添加することもできる。
ピリチオン亜鉛を含むスラリー状の調整液を微粉砕処理する手段に制限はなく、ガラスビーズなどの粉砕メディアを用いたミル方式や、高圧ホモジナイザーなどの湿式微粉砕処理を施すことができる。
微粉砕処理にかかるスラリー状の調整液のpHは、3〜10であることが好ましく、鉄や銅による変色がある場合には、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸などのキレート剤を添加することもできる。
本発明の繊維用抗菌剤に用いる増粘剤としては、水溶性高分子化合物を特に制限なく用いることができるが、非イオン系またはアニオン系の水溶性高分子化合物であることが好ましく、カチオン染料との相溶性の観点から、非イオン系の水溶性高分子化合物であることがより好ましい。具体的には、グアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ポリビニルアルコール、デキストラン、デキストリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン性系分子化合物や、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アルギン酸、などのアニオン系高分子化合物を挙げることができる。
これらの水溶性高分子化合物のほかに、乾式非晶質シリカや湿式非晶質シリカなどの非イオン系高分子化合物を用いることもできる。
本発明においては、これらの増粘剤の1種を用いることができ、2種以上を同時に用いることもできる。
繊維用抗菌剤における増粘剤の量は、繊維用抗菌剤の2.5質量%以下であることが好ましい。増粘剤の量が繊維用抗菌剤の2.5質量%を超えると、抗菌加工と染色との同浴処理において染料の分散性が低下する場合がある。
ピリチオン亜鉛を抗菌成分とする繊維用抗菌剤において、粘度はピリチオン亜鉛の沈降を抑制するための重要な項目であり、粘度を高くすることによりピリチオン亜鉛の分離を抑えることができる。しかし、高粘度化しすぎると、繊維用抗菌剤を充填した製品容器からの取り出しや水への希釈が困難になるおそれがある。ピリチオン亜鉛の沈降抑制と作業性の両面から、本発明の繊維用抗菌剤の20℃におけるB型粘度計での測定粘度は、300〜8,000mPa・sであることが好ましく、捺染粘性指数(PVI)は0.5未満であることが好ましい。粘度が8,000mPa・sを超えるか、捺染粘性指数(PVI)が0.5を超えると、充填容器からの取出し、及び水への希釈が困難になるおそれがある。
一方、粘度が300mPa・s未満の繊維用抗菌剤では、ピリチオン亜鉛の十分な沈降抑制効果が得られず、経時でケーキングを生じるおそれがある。作業性の観点から、繊維用抗菌剤の粘度は300〜5,000mPa・sであることがより好ましい。
本発明の繊維用抗菌剤においては、増粘剤の一部または全量を、微粉砕処理前のスラリー状の調整液に添加することも、増粘剤の全量を微粉砕後の処理液に添加することもできるが、増粘剤の一部を微粉砕処理前のスラリー状の調整液に添加し、処理可能な範囲内で処理液の粘度を高めておくことが好ましい。処理液の粘度を高めることにより、せん断力が増し、微粉砕化効率を上げることができる。
本発明の繊維用抗菌剤を適用する繊維製品の素材に特に制限はなく、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリイミド繊維などの合成繊維、綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維、レーヨン、キュプラ、テンセル(商標:コートルズ社)などの再生セルロース繊維、アセテート、プロミックスなど半合成繊維、及びこれらの複合繊維や混紡を挙げることができ、短繊維、長繊維、糸、織物、編物など、その繊維形態に関わらず用いることができる。また,繊維の太さや断面形状にも制限はなく、減量加工などの表面処理が施された繊維の抗菌加工に用いることもできる。
本発明の繊維用抗菌剤を繊維製品に付与する方法にも制限はなく、バッチ式染色機(たとえば、染色仕上機器総覧(昭和56年、繊維社発行)のp196〜247に記載のもの)を用いた浸漬処理方法によって付与することも、パディング装置(たとえば、繊維染色加工事典(昭和38年、日刊工業新聞社発行)のp396〜p397に記載のものや、色染化学III(1975年、実教出版(株)発行)のp256〜p260に記載のもの)を用いたパディング処理、コーティング機(たとえば、染色仕上機器総覧(昭和56年、繊維社発行)p473〜477に記載のもの)を用いたコーティング処理などの既知の連続処理方法によって付与することもできる。
液流染色機、気流染色機、ドラム染色機、ウィンス染色機、ワッシャー染色機、チーズ染色機などの染色機を用いて、ポリエステル繊維の抗菌加工と染色とを同浴で実施する場合には、本発明の繊維用抗菌剤と、分散染料と、分散均染剤とを含む浴(pH3〜6)に、ポリエステル繊維を浸漬し、120〜140℃にて15〜60分間の加熱処理を施すことにより、抗菌加工と染色とが同時に施されたポリエステル繊維製品を得ることができる。このような加工が施されたポリエステル繊維を、ソーピングまたは水洗し、未固着の抗菌成分や染料などを洗い落として脱水した後、100〜180℃で乾燥してもよい。
前記染色機を用いて、アクリル繊維の抗菌加工と染色とを同時に実施する場合、本発明の繊維用抗菌剤と、カチオン染料とを含む浴(pH3〜6)にアクリル繊維を浸漬し、90〜120℃にて15〜60分間の加熱処理を施すことにより、抗菌加工と染色とが同時に施されたアクリル繊維を得ることができる。
浸漬処理における繊維用抗菌剤の使用量は、適用される繊維製品に関わらず、ピリチオン亜鉛として0.01〜10%o.w.f.の範囲であることが好ましい。0.01質量%未満では、十分な抗菌効果が得られないおそれがある。抗菌剤の使用量としては、ピリチオン亜鉛濃度として10%o.w.f.で十分であり、10%o.w.f.を超えて用いても更なる効果は得られないおそれがある。
パディング、コーティングでは、処理液を加工に適した粘度に調整して用いることができる。
使用可能な粘度調整剤に特に制限はなく、たとえば、グアーガム、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ポリビニルアルコール、デキストラン、デキストリン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系高分子化合物や、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アルギン酸などのアニオン系高分子化合物、または乾式非晶質シリカや湿式非晶質シリカなど、増粘剤として例示した化合物を用いることもできる。
本発明の繊維用抗菌剤は、スプレーによって付与することもでき、例えば、圧搾空気で抗菌加工用処理液を霧状にして吹き付けるエアースプレーや、液圧霧化方式のエアースプレーを使用することができる。
パディング、コーティング、スプレーなどの連続処理では、繊維用抗菌剤を繊維製品に付着させた後、乾熱処理や、飽和常圧スチーム処理、加熱スチーム処理、高圧スチーム処理等の蒸熱処理などの熱処理を施すことによって、抗菌剤を繊維に固着させることができる。
対象繊維によって、適正な処理温度は異なるが、通常、100℃〜210℃の範囲である。熱処理温度が前記下限未満では、抗菌成分が繊維製品中に十分に吸尽されないおそれがあり、他方前記温度範囲の上限を超えて熱処理されると、繊維製品の脆化や変色を生じるおそれがある。
パディング、コーティング、スプレーなどの連続処理により、繊維用抗菌剤を付与する場合においても、繊維用抗菌剤の使用量は、ピリチオン亜鉛の濃度として0.01〜10%o.w.f.であることが好ましい。
本発明の繊維用抗菌剤は、発明の効果を損なわない範囲において、帯電防止剤、撥水撥油剤、防汚剤、硬仕上げ剤、風合調整剤、柔軟剤、吸水剤、スリップ防止剤、耐光堅牢度向上剤などの他の機能性薬剤を同時に付与することもできる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
繊維用抗菌剤の調製
ピリチオン亜鉛と以下に示す成分とを用いて、実施例の繊維用抗菌剤を調製した。
合成例1
フェノール94部(1.0モル)と硫酸0.1部を反応容器に仕込み、窒素ガス気流下に撹拌しながら昇温した。次いで、110〜130℃でスチレンモノマー312部(3.0モル)を滴下し、125〜135℃で3時間付加反応を行い、トリスチレン化フェノールを合成した。
このトリスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキシド10モルを、温度150〜160℃、圧力0.39MPa以下にて反応させた。このとき、触媒として水酸化ナトリウムを用いた。エチレンオキシド付加後、冷却し、氷酢酸にてpH7に中和し、ポリオキシエチレン(10モル)トリスチレン化フェノールを得た。
得られたポリオキシエチレン(10モル)トリスチレン化フェノールの1モルを反応容器に仕込み、30〜40℃、減圧度200mmHgにて、クロルスルホン酸1モルを徐々に滴下し、30〜40℃で、脱塩酸反応(硫酸エステル化反応)を、2時間行った。
反応終了後、水酸化ナトリウム水溶液にてpH8に中和し、ポリオキシエチレン(10モル)トリスチリルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩の水溶液(濃度50質量%)を得た。
合成例2
トリスチレン化フェノール1モルに対し、エチレンオキシド20モルを付加した以外は、前記合成例1と同様に操作して、ポリオキシエチレン(20モル)トリスチリルフェニルエーテル硫酸エステルNa塩の水溶液(濃度50質量%)を得た。
合成例3
分子量600のポリエチレングリコール(1モル)と、オレイン酸(1モル)と、触媒(パラトルエンスルホン酸)とを反応容器に仕込み、窒素気流下に200℃にて3時間の脱水反応を行い、ポリエチレングリコール(600)モノオレイン酸エステルを得た。
合成例4
分子量600のポリエチレングリコールを、分子量1000のポリエチレングリコールとした以外は、合成例3と同様の操作を行い、ポリエチレングリコール(1000)モノオレイン酸エステルを得た。
合成例5
分子量600のポリエチレングリコールを、分子量1500のポリエチレングリコールとした以外は、合成例3と同様の操作を行い、ポリオキシエチレングリコール(1500)モノオレイン酸エステルを得た。
合成例6
オレイン酸をラウリン酸とした以外は、合成例3と同様の操作を行い、ポリエチレングリコール(600)モノラウリン酸エステルを得た。
合成例7
ポリエチレングリコール(1モル)と反応するラウリン酸を、2モルとした以外は、合成例6同様の操作を行い、ポリエチレングリコール(600)ジラウリン酸エステルを得た。
合成例8
ポリエチレングリコール(1モル)と反応するオレイン酸を、2モルとした以外は、合成例3と同様の操作を行い、ポリエチレングリコール(600)ジオレイン酸エステルを得た。
合成例9
β−ナフタレンスルホン酸(1モル)とホルムアルデヒド(0.95モル)とを100℃にて10時間縮合反応させた後、水酸化ナトリウムにて中和した。これをろ過し、β−ナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物の水溶液(濃度40質量%)を得た。
合成例10
β−ナフタレンスルホン酸(1モル)を、メチルナフタレンスルホン酸(1モル)とした以外は、合成例9と同様の操作を行い、メチルナフタレンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物の水溶液(濃度40質量%)を得た。
増粘剤
Z−1:ヒドロキシエチルセルロース
(HECダイセルSP−900 ダイセルファインケム(株)製)
Z−2:ヒドロキシプロピルグアーガム
(Jaguar HP−105 ローディア日華(株)製)
Z−3:ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトローズ65SH−400 信越化学工業(株)製)
Z−4:非結晶シリカ(乾式)(アエロジル200 日本アエロジル(株)製)
Z−5:キサンタンガム(ロードポール23 ローディア日華(株)製)
Z−6:アルギン酸(スノーアルギンSH 富士化学工業(株)製)
実施例1
ピリチオン亜鉛(400g)、合成例1のポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルNa塩(20g)、水(580g)からなるスラリー液をビーズミル機(DYNO−MILL KDL型 ウィリー・エ・バッコーフェン社製:0.5mmのガラスビーズ使用)で処理し、粒度分布測定装置LA−920((株)堀場製作所製)で測定した50%積算粒径が0.5μm以下となるまで微粉砕処理を行った。
得られた分散液150gに、合成例3のポリエチレングリコール(600)モノオレイン酸エステルを15g、増粘剤Z−1の5質量%水溶液を30g、水を105g加えて均一化し、実施例1の抗菌剤とした。なお、表1には、全量を100gとした使用量を記載した。
実施例2〜29、比較例1〜6
実施例1と同様の手順にて、実施例2〜29、比較例1〜6の繊維用抗菌剤を作成した。配合例を表1〜4に示す。
評価項目
粘度
20℃における繊維用抗菌剤の粘度を、BM型粘度計(TOKIMEC INC.製)の3号ローターにて測定した(6rpm)。
捺染粘性指数(PVI)
20℃における繊維用抗菌剤の粘度を、BM型粘度計(TOKIMEC INC.製)の3号ローターで測定し、60rpmでの測定粘度と、6rpmでの測定粘度の比を求めた。
捺染粘性指数(PVI)=60rpmの粘度測定値/6rpmの粘度測定値
繊維用抗菌剤の室温安定性
栓付き透明ガラス瓶に繊維用抗菌剤を入れ、室温にて1ヶ月放置した後の、分離状態、沈降度合いを評価した。
◎:分離も沈降物も認められない。
○:分離の境界が上部から3分の1以内の位置に認められるが、沈降物は認められない。
△:分離の境界が上部から3分の1以内の位置に認められ、沈降物も認められるが、容易に分散する。
×:分離の境界が上部から3分の1より下の位置に認められるか、または容易に分散できない沈降物を生じる。
以下の各評価は、全て1ヶ月静置後の抗菌剤を用いて実施した。
水分散性
200mlのビーカーに繊維用抗菌剤5gを入れ、水95gを加えて、繊維用抗菌剤の分散状態を評価した。
◎:水に均一に分散する。
○:ガラス棒で攪拌することにより容易に均一に分散する。
△:ガラス棒で30秒程度攪拌することにより均一な分散状態が得られる。
×:ガラス棒で30秒間以上攪拌しても均一に分散しない。
抗菌染色同浴での分散性
分散染料併用時の分散性
ダイアニックスレッドACE(ダイスタージャパン(株)製)0.5g/L、繊維用抗菌剤3g/L、分散均染剤ニッカサンソルトRM−3406(日華化学(株)製)1g/L、80質量%酢酸0.5g/Lからなる処理液300mL(pH3.5)を、染色試験機のポットに入れ、これを130℃に加熱した。30分後、80℃まで冷却して、濾紙(No.2、アドバンテック東洋(株))にろ過し、濾紙の目詰まり、及びポット内部の汚れを次の基準に従い評価した。
◎:濾紙の目詰まり及び容器汚れともになし。
○:濾紙に僅かに目詰まりを生じる。容器汚れなし。
△:濾紙の目詰まりは多いが、ろ過に要する時間は繊維用抗菌剤無添加と同程度で、容器汚れはない。
×:濾紙全面に目詰まりを生じ、容器汚れも認められる。
カチオン染料併用時の分散性
ニチロンCDブラックKBF200%(日成化成(株)製)1.5g/L、繊維用抗菌剤3g/L、80質量%酢酸3g/L、酢酸ナトリウム1g/Lからなる処理液300mL(pH3.5)を、100℃に加熱した。30分後、80℃まで冷却して、濾紙(No.2、アドバンテック東洋(株))にろ過し、前記基準により、濾紙の目詰まり、及び容器汚れを評価した。
抗菌染色同浴処理時の染色性
分散染料併用時のポリエステル布帛の染色性
ダイアニックスレッドACE(ダイスタージャパン(株)製)1%o.w.f.、繊維用抗菌剤3%o.w.f.、分散均染剤ニッカサンソルトRM−3406(日華化学(株)製)1g/L、80質量%酢酸0.5g/Lからなる浴(pH3.5)に、ポリエステル布帛を入れ、130℃にて30分間加熱し、80℃まで冷却後、水洗し、乾燥した。
カチオン染料併用時のアクリル布帛の染色性
ニチロンCDブラックKBF200%(日成化成(株)製)3%o.w.f.、繊維用抗菌剤3%o.w.f.、80質量%酢酸3g/L、酢酸ナトリウム1g/l、からなる浴(pH3.5)にアクリル布帛を入れ、100℃にて30分間加熱し、80℃まで冷却後、水洗し乾燥した。
分散染料併用時のポリエステル布帛の染色性、及びカチオン染料併用時のアクリル布帛の染色性について、次の基準で判定した。結果を表1〜4に示す。
◎:繊維用抗菌剤無添加と同等の染色布が得られる。
○:僅かに色相が異なる、または僅かに染斑を生じる。
△:色相がやや異なる、または染斑を生じる。
×:繊維用抗菌剤無添加の染色布との色相が相違し、染斑も生じる。
抗菌性
繊維製品に対して、以下の方法で抗菌加工を施し、抗菌加工処理布の抗菌性を評価した。
浸漬によるポリエステル布帛の抗菌染色同浴加工
分散染料ダイアニックスレッドACE(ダイスタージャパン(株)製)0.5%o.w.f.、繊維用抗菌剤(使用濃度は表1〜4中に記載)、分散均染剤ニッカサンソルトRM−3406(日華化学(株)製)1g/L、80質量%酢酸0.5g/Lからなる処理液(pH3.5)に、ポリエステルニット白布を入れ(浴比1:15)、130℃にて30分間加熱処理し、80℃まで冷却後排液した。次に、ソーピング剤(サンモールRC−700E(日華化学(株)製)1g/L、ハイドロサルファイト1g/L、ソーダ灰1g/Lからなる処理液(浴比1:20)にて、80℃で10分間ソーピング後、水洗し、その後120℃にて3分間乾燥した。
浸漬によるアクリル布帛の抗菌染色同浴加工
カチオン染料ニチロンCDブラックKBF200%(日成化成(株)製)2%o.w.f.、繊維用抗菌剤(使用濃度は表1〜表4中に記載)、80質量%酢酸0.5g/L、酢酸ソーダ1g/lからなる処理液(pH3.5)に、アクリルニット白布を入れ(浴比1:15)、100℃にて30分間加熱処理し、80℃まで冷却後排液した。次に、リポトールB−12(日華化学(株)製)1g/Lを含む処理液(浴比1:20)にて、80℃で10分間ソーピング後、水洗し、120℃にて3分間乾燥した。
パディングによるポリエステル布帛の抗菌加工
繊維用抗菌剤を希釈した処理液(使用濃度は表1〜4中に記載)を調製した。パッド浴は、布の動きによってのみ攪拌されることから、これを1時間静置した後、パッド槽に移した。このパッド浴を緩やかに攪拌したのち、ポリエステルニット白布を通し、マングルにてピックアップ率が100%になるよう絞り、120℃にて3分間乾燥後、さらに180℃にて30秒間乾燥した。
パディングによるアクリル布帛の抗菌加工
繊維用抗菌剤を希釈した処理液(使用濃度は表1〜表4中に記載)を調製し、1時間静置後、パッド槽に移した。
このパッド浴を緩やかに攪拌したのち、アクリルニット白布を通し、マングルにてピックアップ率が100%となるように絞り、120℃にて3分間乾燥後、さらに150℃に60秒間乾燥した。
抗菌性の評価
抗菌性の評価は、一般社団法人繊維評価技術協議会(以下、繊技協という)の抗菌防臭加工の評価方法及び基準に従った。
繊技協が定める洗濯方法マニュアル(JIS L0217(1995)付表1の103法)で実施した洗濯10回後(L−10)の処理布と、洗濯前(L−0)の処理布について、JIS L1902(2008)「繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」の(10.1)菌液吸収法で定める方法によって、黄色ブドウ球菌に対する静菌活性値を求めた。結果を表1〜4に示す。静菌活性値が2.2より大きいものを、効果ありと判定する。
抗菌剤(1質量%水溶液)の安定性
直径10cmに裁断した黒綿布を、吸引瓶に接続したブフナー漏斗に置き、抗菌剤の1質量%水溶液100mLを吸引ろ過し、次の基準で判定した。結果を表5に示す。
○:黒綿布上に5個未満の粗粒子が認められる。
△:黒綿布上に5〜20個の粗粒子が認められる。
×:黒綿布上に20個より多くの粗粒子が認められる。
パディングによる綿の抗菌加工
黒綿布の加工
繊維用抗菌剤1質量%、ニッカシリコンH−89(バインダー、高重合度シリコーン、日華化学(株)製)2質量%を含む処理液を調製した。1時間静置後、パッド浴を緩やかに攪拌した。処理液中に黒綿布を通し、マングルにてピックアップ率が80%となるように絞り、これを120℃にて3分間乾燥した。パッド浴及び黒綿布の状態を観察し、次の基準で判定した。結果を表5に示す。
◎:パッド浴での凝集物の沈降、黒綿布上の粗粒子はいずれも認められない。
○:パッド浴にやや凝集物が沈降する。黒綿布上に粗粒子は認められない。
△:パッド浴に凝集物が沈降する。黒綿布上に粗粒子を生じる。
×:パッド浴に沈降物を生じ、黒綿布に白化が認められる。
尚、白化とは、処理布全面に粗粒子が付着した状態をいう。
白綿布の加工
繊維用抗菌剤1質量%の処理液を調整し、1時間静置した後、パッド槽に移した。これを、緩やかに攪拌した。処理液中に綿ニット白布を通し、マングルにてピックアップ率100%になるように絞った。処理布を、120℃にて3分間乾燥後、更に150℃にて60秒間乾燥した。得られた処理布の外観を以下の基準で評価した。
○:黄変なし。
△:僅かに、黄変した。
×:明らかに黄変が認められた。
得られたパディング処理白布の抗菌性は、前記「抗菌性の評価」と、同様の方法にて評価した。
結果を表5に示す。
Figure 2014118387
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実施例の繊維用抗菌剤は、室温安定性、水への希釈性、水分散性、希釈液の安定性のいずれも良好であり、生地汚れや白化を生じることなく、洗濯耐久性に優れた抗菌性繊維製品を得ることができた。
また、抗菌加工と染色とを同浴で実施しても、高温で凝集物を生じることなく、繊維用抗菌剤無添加での染色布と、同様の色相からなる抗菌性繊維製品が得られた。
一方、比較例2,3(分散剤:ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステル)の繊維用抗菌剤では室温安定性及び水への希釈性は良好であったものの、経時で希釈液に凝集物を生じた。また、染料分散性試験では濾紙に目詰まりを生じた。
比較例4(分散剤:ポリエチレングリコール脂肪酸エステル)の抗菌剤を希釈したパッド浴ではピリチオン亜鉛が沈降し、布に十分付着させることができなかった。抗菌効果が他に比べて著しく劣るのはピリチオン亜鉛の予定量が付与されなかったことによる。
比較例5(分散剤:芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物)の抗菌剤は、製品の室温安定性も水への希釈性も良好であった。しかし、抗菌染色同浴処理では、染料の染着濃度が低くなり、パディング処理では処理浴中に経時凝集が認められた。パディング処理布のL−10の抗菌性が低下しているのは、布に付着したピリチオン亜鉛の凝集物が、洗濯を繰り返すことにより脱落したためと考えられる。また、ポリエステル繊維、アクリル繊維、綿の全てで黄変が認められた。
比較例6(増粘剤無添加)の抗菌剤は、経時によりケーキングを生じていたため、加工処理液を調製することができなかった。
ピリチオン亜鉛の分散状態が安定な本発明の繊維用抗菌剤により、繊維製品に対してピリチオン亜鉛を均一に付与することが可能となり、洗濯耐久性に優れた高品位の抗菌性繊維製品を、容易に得ることができる。また、ピリチオン亜鉛の分散状態が安定な本発明の繊維用抗菌剤を用いることにより、生地汚れや白化のトラブルも解消することができる。
さらに、本発明の繊維用抗菌剤によれば、染色同浴処理においても、染め斑や色抜けを生じることなく、抗菌剤無添加時と同様の染色がなされた抗菌性繊維製品を得ることができる。
よって、本発明は、産業上有用である。

Claims (4)

  1. (A)ピリチオン亜鉛と、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルと、(C)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び/または(D)芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物と、及び(E)増粘剤とを含有する繊維用抗菌剤。
  2. (A)ピリチオン亜鉛に対する、(B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルと、(C)ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び/または(D)芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の使用量の合計が、(A)ピリチオン亜鉛の2〜80質量%である、請求項1に記載の繊維用抗菌剤。
  3. (B)ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル硫酸エステルのアリールフェニル基が、フェニル基に対して1〜5個のスチリル基が付加した構造からなる、請求項1または2に記載の繊維用抗菌剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維用抗菌剤による処理が施された抗菌性繊維製品。
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