以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図2に、本実施形態の区分け処理システムの模式図を示す。図2に示すように、本実施形態の区分け処理システム10は、被結束物である郵便物12が流れる順にしたがって、フィーダー14、郵便番号読取装置16、区分け装置18、自動結束装置26、ベルトコンベアー78により構成されている。また、自動結束装置26からベルトコンベアー78との間で、郵便物12の搬送を行う第1の搬送装置34(図1)、第2の搬送装置66(図9)を有する。なお、郵便番号読取装置16と区分け装置18は一体であってもよい。
本実施形態の区分け処理システム10の適用対象となる郵便物12は、例えば、封筒(ダイレクトメール)であり、封筒には、同封物に印刷された郵便番号、住所等を、郵便番号読取装置16が読み込むため(差出人、配達人、受取人が視認するため)の透明な窓部(不図示)が設けられている。郵便物12は、フィーダー14により郵便番号読取装置16に搬送されたのち、読み取られた郵便番号等に基づいて区分け装置18で区分けされる。そして、区分けされた郵便物12が自動結束装置26により結束され、結束された郵便物12はベルトコンベアー78に搬送され、その後搬出される。
図1に、本実施形態の第1の搬送装置の模式図であり、図2のB矢視図(第1の搬送装置による郵便物の持ち上げ時)を示す。詳細は後述するが、本実施形態の搬送装置(第1の搬送装置34)は、結束機28から結束後の郵便物12を搬送するものである。ここで、第1の搬送装置34は、結束機28に配置された郵便物12上に押付けられる第1のブロック48と、第1のブロック48に支持されるとともに平面視で結束機28の結束ライン(平面視の結束ヒモ32の長手方向)に交差する郵便物12上の位置に配置され(図2参照)、結束機28の結束ヒモ32により郵便物12と同時に結束される第1の爪部材52を有している。
また、第1の搬送装置34は、第1のブロック48を郵便物12に押付ける動作と、第1のブロック48を持ち上げて郵便物12の搬送方向に移動させる動作が可能な移動機構(第1の水平ロボット36、第1の垂直ロボット40)と、第1のブロック48と第1の爪部材52との間に介装され、第1の爪部材52を第1のブロック48側に引き込ませ、第1の爪部材52を結束ヒモ32と郵便物12の間から引抜くアクチュエータ(不図示)と、を有することが特徴となっている。
上記構成により、第1の搬送装置34は、第1の爪部材52により郵便物12を搬送し、搬送先(結束機30)においてアクチュエータ(不図示)が第1の爪部材52を結束ヒモ32と郵便物12の間から引き抜くことにより郵便物12を第1の搬送装置34から分離することができる。したがって、手作業によらず郵便物12を搬送することができる。
図2に示すように、フィーダー14は、例えば、郵便物12である封筒に同封物を封入するインサーター(封入封緘機)の搬出部である。フィーダー14は、一定の時間間隔で遂次的に封入済みの郵便物12を郵便番号読取装置16に搬送する。
郵便番号読取装置16は、郵便物12を区分け装置18側に搬送するとともに、窓部から視認できる郵便番号等を付属のカメラ(不図示)で読取り、事前データに基づいて、区分する郵便物12を区分け装置18に指示するものである。この事前データは、郵便番号のみならず、住所、建物等、より詳細に郵便物12の配送先を区分するためのデータとすることも可能である。
区分け装置18は、郵便番号読取装置16が読み込んだ郵便番号等に対応する事前データごとに郵便物12を区分けして、区分けして積み上がった郵便物12を自動結束装置26に搬送するものである。
図3、図4に、図2のA矢視図(プッシャーの搬送前と搬送後)を示す。区分け装置18(図2)は、郵便番号読取装置16が識別した事前データに対応するゲートシャッター(不図示)を開放した状態で、複数のゲートシャッターの配列方向に沿って郵便物12を移動させながら開放させたゲートシャッターの下にある区分け部20に郵便物12を収容する。そして、区分け部20内に一定数の郵便物12が積み上がると、区分け部20の下部にあるゲートシャッター(不図示)を開放して、郵便物12を自動結束装置26(図2)に押し出すプッシャー22のもとに投下させる。図4に示すように、プッシャー22は、付属する単軸ロボット24により郵便物12を自動結束装置26(結束機28)に押し出す。
なお、郵便物12をプッシャー22に落下させる際に郵便物12が崩れることを防止するため、区分け部20の直下に、区分け部20とプッシャー22との間で上下方向に移動するキャッチプレート(不図示)を設け、郵便物12をキャッチプレート上に配置させた状態でプッシャー22にまで下降させてプッシャー22に郵便物12を配置するようにしている。また、区分け部20の下部のゲートシャッターを開く前に区分け部20を下降させてプッシャー22上に配置し、そののちに区分け部20下部にあるゲートシャッターを開放してプッシャー22に郵便物12を配置するようにしてもよい。
図2に示すように、自動結束装置26は、結束機28、結束機30(第2の結束機)により構成される。結束機28は、結束ヒモ32を、郵便物12の短手方向に周回させて郵便物12を結束させるものである。結束機30は、結束ヒモ32を、すでに短手方向に結束された郵便物12の長手方向に周回させて郵便物12を結束させるものである。よって結束機28の結束ラインと結束機30の郵結束ライン(平面視の結束機28の結束ヒモ32の長手方向と、平面視の結束機30の結束ヒモ32の長手方向)は互いに交差(直交)していることになり、郵便物12は、いわゆる十字結束がなされる。ここで、区分け装置18で区分けされた郵便物12は、プッシャー22(図3)により結束機28まで搬送される。また、結束機28で結束された郵便物12は、第1の搬送装置34(図1)により搬送される。さらに、結束機30で十字結束された郵便物12は、第2の搬送装置66(図9)によりベルトコンベアー78に搬送される。
結束機28上、結束機30上の郵便物12の配置位置の周囲となる位置には、束となった郵便物12が崩れることを防止するためのつい立となるサイドガイド(不図示)が設けられている。結束機28ではプッシャー22から搬入される方向以外の郵便物12の配置位置の周囲(3面)にサイドガイドを配置することができる。結束機30では、郵便物12の配置位置の周囲(4面)にサイドガイドを配置することができる。また、前述のプッシャー22の幅方向の両側にもサイドガイドが設けられている。
なお、第1の搬送装置34、第2の搬送装置66は、動作時間の短縮のため、郵便物12の持ち上げと同時に水平方向に郵便物12を搬送する場合がある。この場合、サイドガイドのうち郵便物12に干渉するサイドガイドは、各搬送装置が駆動する前に郵便物12と干渉する位置から逃れるように構成されている。もちろん、郵便物12をサイドガイドの高さ以上に持ち上げたのち郵便物12を搬送する場合は、郵便物12とサイドガイドが干渉することはないので、サイドガイドを逃がす構成は不要である。
図1に示すように、第1の搬送装置34は、例えば、本実施形態の区分け処理システム10が導入される部屋の天井に配置され、結束機28と結束機30とを結ぶ線に沿った長手方向を有する第1の水平ロボット36(移動機構)と、第1の水平ロボット36にアーム38を介して取り付けられた第1の垂直ロボット40(移動機構)と、を有する。
第1の水平ロボット36は、第1の垂直ロボット40を、第1の水平ロボット36の長手方向に沿って水平移動させることができる。第1の垂直ロボット40は、アーム38に固定される固定部42と、固定部42に支持されつつ上下方向に可動する可動部44と、を有するものである。可動部44は、駆動機構46(モータ)により上下方向に可動する。なお、アーム38は、第1の水平ロボット36から延出した部材であり、駆動機構46と、後述の第2の水平ロボット68と、の干渉を回避するため湾曲した形状を有している。可動部44の下部には第1のブロック48が取り付けられている。第1のブロック48は、水平に配置された第1の爪部材52を支持するとともに、第1の垂直ロボット40により郵便物12上に押付けられるものである。
図13に、本実施形態の第1のブロックの模式図(側面図、底面図)を示す。図13に示すように、第1のブロック48は、第1の爪部材52を支持するとともに、第1の爪部材52をスライドさせるアクチュエータ(不図示)を収容する筐体である。第1のブロック48は、郵便物12の短手方向の幅に合わせた幅に設計されている。アクチュエータ(不図示)は、第1の爪部材52を、結束機28が結束した結束ヒモ32の長手方向に交差(直交する)する方向、すなわち、平面視で第1のブロック48から露出させる方向と、平面視で第1のブロック48側に引き込む方向(収容する方向)にスライドさせる(図15参照)。なお、アクチュエータの種類は、特に制限はないが、圧縮空気や磁力を駆動源とするもの等が用いられる。
第1の爪部材52は、第1の結束装置28が郵便物12を結束する際に、結束ヒモ32により郵便物12と同時に結束され、結束ヒモ32と郵便物12との間に挟まれるものである(図2参照)。第1の爪部材52は、一対用意され、第1のブロック48の幅方向(郵便物12の短手方向)の中央部を中心としてほぼ線対称で互いに平行となるように、第1のブロック48の下部に接続されている。第1のブロック48の第1の爪部材52が露出する側壁(結束ヒモ32に対向する側壁)には、結束ヒモ32を引っかける引掛け部材54が配置されている。引掛け部材54は、その下部が第1の爪部材52の長手方向の端部から切り込まれた切り込み部56に入り込むように配置されている。
一対の第1の爪部材52の外側の縁辺には切欠き58が形成されている。切欠き58の幅は、結束ヒモ32の幅よりも広くなるように形成されている。これにより、駆動機構46の駆動により可動部44が第1の爪部材52を介して郵便物12を持ち上げた場合に、切欠き58に結束ヒモ32を係止することができる。よって、第1の搬送装置34の搬送中に第1の爪部材52から結束ヒモ32が外れ、郵便物12が落下するのを防止することができる。なお、図においては切欠き58の形状は矩形となっているが、半円形等他の形状であってもよい。
図15に、本実施形態の第1のブロックの動作(繰り出し時、収容時)を表す模式図を示す。図15(繰り出し時、上図)に示すように、結束機28の結束時において、第1のブロック48のアクチュエータ(不図示)により、第1の爪部材52を平面視で第1のブロック48から露出させる方向にスライドさせておく。さらに第1の爪部材52を結束機28に載置された郵便物12上に配置する。この状態で結束機28により郵便物12を結束させると、平面視で第1の爪部材52の第1のブロック48から露出した先端部分が、結束ヒモ32と郵便物12との間に挟まれる(図2参照)。よって、駆動機構46が第1のブロック48(第1の爪部材52)を上昇させると、結束ヒモ32が第1の爪部材52に係止し、これにより駆動機構46が第1の爪部材52を介して郵便物12を持ち上げることなる(図1参照)。
一方、図15(収容時、下図)に示すように、アクチュエータにより、第1の爪部材52を平面視で第1のブロック48側に引き込む方向(収容する方向)にスライドさせる。すると、第1の爪部材52は、結束ヒモ32と郵便物12との間から引き抜かれる。第1の爪部材52がアクチュエータにより第1のブロック48側に引き込まれる動作をしているときに、第1の爪部材52上に配置された結束ヒモ32も、第1の爪部材52との摩擦力により、第1の爪部材52とともに第1のブロック48側に移動する場合がある。しかし、その移動先には引掛け部材54があるため、結束ヒモ32の第1の爪部材52を引き抜く方向側の側面が引掛け部材54に当接する。この状態でさらに第1の爪部材52を第1のブロック48に収容する方向にスライドさせることにより、第1の爪部材52を、結束ヒモ32から分離させることができ、第1の搬送装置34から郵便物12を分離させることができる。
なお、図15(収容時、下図)の動作は、第1の搬送装置34が結束機30に郵便物12を載置したのちに行う動作であるので、結束ヒモ32が切欠き58に嵌め込まれた状態は解除されており、結束ヒモ32と第1の爪部材52との分離は容易に行うことができる。
図13に示すように、第1の爪部材52には、第1のブロック48の幅方向を長手方向とする長穴60が設けられ、この長穴60に止めネジ62を挿通して止めネジ62を第1のブロック48の下部にねじ止めしている。よって、止めネジ62を緩めることにより第1の爪部材52は、第1のブロック48の幅方向にスライドさせ、一対の第1の爪部材52の幅を郵便物12の短軸方向の幅に合わせることができる。これにより、結束ヒモ32による郵便物12へのダメージ(へこみ)を回避することができる。また、駆動機構46が第1の爪部材52により郵便物12を持ち上げた場合に、郵便物12と結束ヒモ32との間に隙間が形成されることがある。しかし、上記構成により、一対の第1の爪部材52の外側部分を郵便物12の短手方向の縁辺付近に配置することが可能であり、この場合、その外側部分と結束ヒモ32との間の隙間は小さくなる(若しくは無くなる)。したがって、切欠き58に結束ヒモ32を確実に嵌め込むことができる。
また、第1のブロック48の下部(第1の爪部材52でもよい)には、第1のブロック48と郵便物12との距離を計測する測距センサー64が取り付けられている。測距センサー64は、例えば、第1のブロック48(第1の爪部材52)と郵便物12との距離が一定の閾値(例えば15mm)以下となったところで検知信号を出力する反射式の光電センサー(光源は、LEDのほかレーザーダイオード等も適用可能)を採用し、駆動機構46は、光電センサーから検知信号が入力されると可動部44(第1のブロック48)の下降速度(駆動機構46のモーターの回転速度)を低下させることができる。これにより、第1のボックス48(第1の爪部材52)と郵便物12との距離が前述の閾値以上であれば、高速で可動部44を下降させることができるため、搬送を高速化できる。また、前述の閾値以下であれば可動部44の下降速度を低下させることができるので、第1のブロック48(第1の爪部材52)及び郵便物12が損傷するおそれを低減することができる。
駆動機構46は、可動部44を介して、第1の爪部材52が郵便物12に接触した後も、そのまま第1のブロック48(第1の爪部材52)を郵便物12に押し付けて郵便物12を圧縮する動作が可能である。この状態で、結束機28が結束ヒモ32を用いて郵便物12及び第1の爪部材52を結束することにより、郵便物12及び第1の爪部材52が強固に結束されるので、郵便物12の結束及び搬送を確実に行うことができる。しかし、第1のブロック48を郵便物12に押し付けている間は、駆動機構46には大きな負担がかかることになる。
そこで、第1のブロック48の下部(郵便物12に当接する位置)には(第1の爪部材52でもよい)、郵便物12からの抗力を検知する力センサー(不図示)が設けられている。また、可動部44と固定部42との間には、可動部44を固定部42に対して固定するストッパ(不図示)が設けられている。ストッパは、例えば、固定部42に固定されるともに、非動作時においては可動部44に対して摺動する部材であり、動作時には可動部44に係止または可動部44を締め付けることにより可動部44を固定部42に対して固定するものである。力センサーは、例えば圧電素子で形成されており、第1のブロック48(力センサー)が郵便物12を圧縮することにより郵便物12から受ける抗力を電気信号(抗力の情報)に変換し、ストッパ及び駆動機構46に出力する。そして、力センサーから出力された抗力の情報が一定の閾値を超えた場合に、ストッパは、可動部44を固定部42に固定する動作を行い、駆動機構46はその動作を停止する。
これにより、第1の爪部材52が郵便物12を結束機28に押し付けた状態を維持しつつ駆動機構46を停止させることができるので、駆動機構46の負担を軽減することができる。なお、駆動機構46の停止とストッパの動作において、ストッパの動作が完了した直後に駆動機構46を停止させるように制御することが望ましい。もちろん、駆動機構46が可動部44を上昇させる方向の動作を行う場合は、それに先立ってストッパの動作を解除する制御が行われる。
また、前述の測距センサー64を用い、駆動機構46に検知信号が入力されると駆動機構46に対する印加電流を一定の値に固定し、駆動機構46が一定の力で第1のブロック48を郵便物12に押付ける状態を維持するようにしてもよい。この場合、駆動機構46の押す力と郵便物12の抗力とが釣り合う位置で第1のブロック48の下降は停止する。
図9に、図2のC矢視図(第2の搬送装置の移動時)を示す。図9に示すように、第2の搬送装置66は、結束機30で結束された郵便物12をベルトコンベアー78に搬送するものである。第2の搬送装置66は、第1の搬送装置34と同様に、本実施形態の区分け処理システム10が導入される部屋の天井に配置され、結束機30とベルトコンベアー78とを結ぶ線に沿った長手方向を有する第2の水平ロボット68(移動機構)と、第2の水平ロボット68に取り付けられた第2の垂直ロボット70(移動機構)と、を有する。なお、第2の垂直ロボット70は、他の構成要素との干渉を回避するためのアーム38を介して第2の水平ロボット68に取り付けられている。
第2の垂直ロボット70は、第1の垂直ロボット40同様に、固定部42、可動部44、駆動手段46を有し、可動部44の先端には第2の爪部材76を有する第2のブロック72が取り付けられている。第2の水平ロボット68は、第1のロボット36との干渉を回避するため、第1の水平ロボット36よりも低い位置(高い位置でもよい)に配置され、結束機30上で互いに交差(直交)している。第2の搬送装置66の動作は、第1の搬送装置34の動作と同様なので、説明を省略する。
図14に、本実施形態の第2のブロックの模式図(側面図、底面図)を示す。第2のブロック72は、第2の爪部材76を支持するとともに、第2の爪部材76を水平方向(第2の爪部材76の長手方向)にスライドさせるアクチュエータ(不図示)を収容する筐体である。第2のブロック72は、その幅が郵便物12の長手方向の幅に合わせて設計されている点が第1のブロック48との相違点であり、その構成・動作は第1のブロック48と共通なので、説明を省略する。また、第2の爪部材76は、結束機30が郵便物12を結束する際に、結束ヒモ32により郵便物12と同時に結束され、結束ヒモ32と郵便物12との間に挟まれるものである(図2参照)。第2の爪部材76の構成は、第1の爪部材52と同様であるので説明を省略する。
図16に本実施形態の区分け処理システムのフローを示す。図16に示すフロー図、図1乃至図12を用いて本実施形態の区分け処理システム10の動作(十字結束ジョブ)について説明する。まず区分け部20の下部のゲートシャッターをオープンする(フロー1、図3)。このとき、第1の搬送装置34は、第1の垂直ロボット40を結束機28の真上となる位置に配置し、第1のブロック48を上昇させておく。プッシャー22で郵便物12を結束機28に搬出し(フロー2、図4)、搬出後、プッシャー22を元の位置に戻す(図5)。第1の搬送装置34において、第1のブロック48内のアクチュエータを駆動させて第1の爪部材52を平面視で第1のブロック48から露出させておく。そして、駆動機構46を駆動させて第1のブロック48を下降させて郵便物12上に配置する。さらに、第1のブロック48を郵便物12に押し付ける(フロー3、図5)。ここで、結束機28が動作し、結束ヒモ32を用いて第1の爪部材52と郵便物12(短手方向)とを同時に結束する(フロー4、図5、図2参照)。
このとき、駆動機構46は、第1のブロック48(第1の爪部材52)と郵便物12との距離が一定の閾値以下となるまでは高速で第1のブロック48を下降させるが、その閾値以下となったところで低速で第1のブロック48を下降させる。また、第1のブロック48(第1の爪部材52)を郵便物12に押し付ける際に、第1のブロック48(駆動機構46)が受ける効力が一定の閾値を超えた場合には、可動部44と固定部42との間に設けられたストッパにより可動部44を固定部42に固定し、駆動機構46を停止させる。これにより、第1のブロック48の高さ位置を固定しつつ第1のブロック48(第1の爪部材52)が郵便物12を圧縮する状態を維持する。
この段階で、第1の爪部材52は郵便物12と結束ヒモ32との間に挟まれている。よって、ストッパを解除したのち駆動機構46を駆動(モータを逆回転)させて第1のブロック48を上昇させることにより、郵便物12(第1の爪部材52を挟み込んだ郵便物12と結束ヒモ32との一体物)を持ち上げる(フロー5、図1)。そして、第1の搬送装置34(第1の水平ロボット36)は郵便物12を結束機30上にまで搬送する(フロー6、図6)。再び駆動機構46を駆動させて第1のブロック48を下降させ、郵便物12を結束機30上に載置し(フロー7、図7)、第1のブロック48内のアクチュエータを動作させて第1の爪部材52を第1のブロック48に収容させて、第1の爪部材52を結束ヒモ32と郵便物12との間から引き抜く(フロー8、図7、図15参照)。これにより郵便物12は、第1の搬送装置34から分離する。一方、第1の搬送装置34においては、第1のブロック48を上昇させたのち第1の垂直ロボット40を結束機28上に戻す(フロー9、図8)。
次に、第2の搬送装置66(第2の垂直ロボット70)を結束機30の真上となる位置に向けて移動させ(フロー10、図9)、予め平面視で第2のブロック72から第2の爪部材76を露出させ、駆動装置46を駆動させて第2のブロック72を下降させ、郵便物12上に第2の爪部材76を配置する。そして、第2のブロック72を郵便物12に押し付ける(フロー11、図10)。ここで、結束機30が動作し、結束ヒモ32を用いて第2の爪部材76と郵便物12(長手方向)とを同時に結束する(フロー12、図10、図2参照)。これにより、郵便物12は、所謂十字結束となっている。
この段階で、第2の爪部材76は、郵便物12と、結束機30が結束した結束ヒモ32と、の間に挟まれている。よって、第2の搬送装置66の駆動機構46を駆動させて第2のブロック72を上昇させて郵便物12(第2の爪部材76を挟み込んだ郵便物12と結束ヒモ32との一体物)を持ち上げ(フロー13、図11)、第2の搬送装置66(第2の水平ロボット68)は郵便物12をベルトコンベアー78上まで搬送する(フロー14)。そして、第2のブロック72のアクチュエータの動作により第2の爪部材76を第2のブロック72に収容させて、第2の爪部材76を郵便物12と結束ヒモ32の間から引き抜いて郵便物12を第2の爪部材76から分離させ、郵便物12をベルトコンベアー78上に投下させる(フロー15、図12)。なお、図14に示すように、第2の爪部材76に形成した切欠き58は、例えば円弧状にしておくことが好適である。これにより、第2の爪部材76において、切欠き58に結束ヒモ32が嵌め込まれた状態であっても、第2のブロック72のアクチュエータの動作により、結束ヒモ32を切欠き58から取り出すことができる。
また、第2のブロック72を下降させて郵便物12をベルトコンベアー78上に載置したのち、第2の爪部材76を引き抜き、第2の爪部材76を引き抜いたのち第2のブロック72を上昇させてもよい。または、郵便物12にダメージを与えない程度のベルトコンベアー78上の高さまで第2のブロック72を下降させて第2の爪部材76の引抜き動作を行ってもよい。ベルトコンベアー78に郵便物12が載置されたのちベルトコンベアー78を動作させて、ベルトコンベアー78の搬送ベルト80を所定の長さだけ移動させ、次の郵便物12のためのスペースを確保し(フロー16)、フロー1に戻ることにより前述の動作を繰り返す。上記フローにおいて、郵便物12を結束機30で結束させているときに、次の郵便物12を結束機28で結束させることができる。
図17に本実施形態の変形例の区分け処理システムのフローを示す。変形例の区分け処理システムにおいては、結束機30、第2の搬送装置66を省略して郵便物12を一文字結束にすることができる(図2参照)。図17に示すフロー(一文字結束ジョブ)は、図16に示すフローの一部を省略したものであるので説明を省略するが、この場合、第1の搬送装置34が、ベルトコンベアー78に郵便物12を搬送することになる。
本実施形態において、2つの結束機を用いて郵便物12を十字結束する旨説明したが、1つの結束機でも郵便物12を十字結束することができる。例えば、図16のフロー4に示すように、結束機28を動作させて、結束ヒモ32を用いて第1の爪部材52と郵便物12(短手方向)を同時に結束する。次に第1のブロック48を上昇させて郵便物12を持ち上げるとともに、鉛直方向を回転軸として第1のブロック48(可動部44)を90度回転させて郵便物12を90度回転させ、再び第1のブロック48を下降させて郵便物12を結束機28に載置し、第1の爪部材52を引き抜く。そして、第1のブロック48を上昇させて90度逆回転させたのち第1の爪部材52を第1のブロック48から繰り出し、第1のブロック48を再び下降させて第1の爪部材52を郵便物12上に配置するとともに第1のブロック48を郵便物12に押付ける。再び結束機28を動作させて、結束ヒモ32を用いて第1の爪部材52と郵便物12(長手方向)を同時に結束する。これにより郵便物12は所謂十字結束されるとともに第1の爪部材52が結束ヒモ32と郵便物12との間に挟まれる。最後に第1の搬送装置34が第1の爪部材52を支持する第1のブロック48を持ち上げることにより郵便物12を持ち上げてベルトコンベアー78に搬送すればよい。なお、本実施形態において、被結束物として郵便物12を挙げたが、搬送装置の適用対象としては、他の書類等にも適用できる。
図18に、本実施形態の割符添付装置の模式図(図2のA矢視図)を示す。図18に示すように、本実施形態の区分け処理システム10を構成する割符添付装置100は、割符102(図22、図27等参照)を出力するプリンター104(出力手段)、割符102を着脱自在に保持する吸着パット130(保持手段)、吸着パット130をプリンター104と第1の結束機28との間で移動させる水平移動装置108と、吸着パット130を昇降移動させる昇降移動装置116と、により構成されている。また、割符添付装置100は、制御部150(図26参照)により全体の動作が制御される。
プリンター104は、区分け処理システム10全体を制御する後述の全体制御部148(図26参照)から郵便番号等の宛名の情報や区分け対象となる郵便物12(図27参照)の枚数の情報等が入力され、これらの情報を割符102に印字して出力するものである。またプリンター104の出力後の割符102を配置するトレー104aには、割符102を検知する出力検知センサー106(第3の検知センサー)が配置されている。出力検知センサー106は、割符102に向けてレーザ光を照射する光源(不図示)と、割符102で反射されたレーザ光を受光する受光器(不図示)により構成される。そして、受光器(不図示)はレーザ光を受光している間、すなわち、プリンター104のトレー104aに割符102が配置されている間は検知信号を制御部150に出力する。
吸着パット130(保持手段)は、吸着ポンプ142(図26参照)に接続され、プリンター104が出力した割符102を吸着し、または吸着した割符102を開放するものである。この吸着パット130は、昇降移動装置116による昇降移動、及び水平移動装置108による水平移動より、プリンター104(トレー104a)と第1の結束機28との間を移動することができる。
図19に、本実施形態の割符添付装置を構成する吸着パット、水平移動装置、昇降移動装置(上昇後)の模式図、図20に、本実施形態の割符添付装置を構成する吸着パット、水平移動装置、昇降移動装置(下降後)の模式図を示す。
水平移動装置108は、水平に回転するアーム112を有し、アーム112の先端に取り付けた吸着パット130を、アーム112の回転動作によりプリンター104(トレー104a)と第1の結束機28との間で移動(図18参照)させるものである。水平移動装置108は、アーム112を回転させる回転軸となる支柱110を有し、この支柱110が水平移動装置108全体を支持している。なお、アーム112は、支柱110から水平方向に延出するとともに途中で斜め下の方向に折れ曲がった形状を有している。
支柱110は、床面から立設した状態で、または区分け処理システム10を収容する建屋に吊された状態で固定されている。支柱110にはアーム112を回転させるアーム回転モータ114が取り付けられ、アーム回転モータ114は制御部150(図26)により回転制御される。なお、吸着パット130をプリンター104と第1の結束機28との間で移動させるときのアーム112の回転角度が任意に設定できる。例えば、プリンター104と第1の結束機28との間に支柱110が配置され、プリンター104(トレー104a)、支柱110、第1の結束機28の順で一列に並ぶ配置の場合、アーム112の回転角度は180度となる。なお、図18等では、割符102の搬送の際にアーム112が180度回転する場合について図示している。
アーム112の先端には昇降移動装置116が取り付けられている。昇降移動装置116は、アーム112の先端に取り付けられ上下方向に伸びる筐体118と、アーム112の回転軸付近に配置された昇降モータ120と、タイミングベルト122(力伝達手段)と、ローラ124,126,128(力伝達手段)と、を有する。筐体118は、アーム112に対して上下方向にスライド可能な構造となっている。タイミングベルト122は、その長手方向の一端122aが筐体118内部の上部に取り付けられ、長手方向の他端122bが筐体118内部の下部に取り付けられている。またアーム112の先端にはローラ124,126が取り付けられている。
タイミングベルト122は、一端122aから下方に向かって伸びるとともにその途中でローラ124に巻きつけられて方向を変えてアーム112に向けて延出し、他端122bから上方に向かって伸びるとともにその途中でローラ126に巻きつけられて方向を変えてアーム112に向けて延出している。そして、タイミングベルト122は、アーム112の長手方向の途中に取り付けられたローラ128に巻きつけられて方向が調整されるとともに、昇降モータ120に巻きつけられている。昇降モータ120は制御部150により回転制御される。
よって、図19に示すように、昇降モータ120がタイミングベルト122の他端122bを引きつける方向に回転(図19では右回りに回転)すると、タイミングベルト122の他端122bが上方に引っ張られるとともに、タイミングベルト122全体がタイミングベルト122の一端122a側に送り出されるため、筐体118は上方に変位する。逆に、図20に示すように、昇降モータ120がタイミングベルト122の一端122aを引きつける方向に回転(図20では左回りに回転)すると、タイミングベルト122の一端122aが下方に引っ張られるとともに、タイミングベルト122全体がタイミングベルト122の他端122b側に送り出されるため、筐体118は下方に変位する。
図21に、本実施形態の割符添付装置を構成する吸着パットの模式図(図19の部分詳細図)、図22に、本実施形態の割符添付装置を構成する吸着パットの模式図(図20の部分詳細図)を示す。また、図23に、図22の右側面からの模式図を示し、図24に、図23に示す状態から割符を引上げた場合の模式図を示す。筐体118の下部には、吸着パット130(真空吸引手段)及び吸着パットセンサー144(検知センサー)が取り付けられている。吸着パット130は、筐体118に固定される固定部132と、割符102を吸着する吸着部136と、固定部132と吸着部136とを連結するバネ138と、吸着部136から上方に延出して固定部132に設けられた貫通孔134を挿通する軸部140と、を有する。
吸着部136は、下端に開口部136aを有する中空の部材であって、その側面には、吸着ポンプ142(図26)に接続されたチューブ(不図示)が取り付けられている。よって、吸着ポンプ142は、吸着部136を吸引して開口部136aに割符102を吸着させることができる。
吸着部136及び軸部140は、バネ138により支持されているが、外力を受けることにより軸部140の長手方向に沿って固定部132に対して相対移動することができる。そして、筐体118の軸部140の長手方向の延長線上には、吸着パットセンサー144(検知センサー)が設けられている。吸着パットセンサー144は、例えば圧電素子等で形成され、軸部140が接触すると(軸部140から一定の圧力を受けると)検知信号を制御部150に出力する。
図23、図24に示すように、本実施形態では、吸着パット130及び吸着パットセンサー144が一対で筐体118に取り付けられ、一対の吸着パット130(軸部140の長手方向)がV字(逆さハの字)を形成するように約10度傾斜させている。これにより、一対の吸着部136の吸着方向(図中の吸着部136にある矢印の向き)が互いに交差(この場合、交差角度は約20度)することになる。なお、一対の吸着パット130は、平面視で、それぞれ吸着部136が割符102の長辺方向の一端付近において割符102の短辺方向に並ぶように配置される(図22参照)。
また、筐体118において、一対の吸着パット130の間となる位置に割符有無センサー146が配置されている。割符有無センサー146は、出力検知センサー106と同様に、割符102に向けてレーザ光を照射する光源(不図示)と、割符102で反射されたレーザ光を受光する受光器(不図示)により構成される。そして、受光器(不図示)は、レーザ光を受光している間は検知信号を制御部150(図26)に出力する。
図19、図21に示すように、吸着パット130が割符102を吸着する前であって、筐体118が上方にあるとき、すなわち吸着パット130がトレー104aから浮いた状態であるときは、吸着部136は、吸着部136及び軸部140の荷重とバネ138の引張力との釣り合いの位置で静止している。このとき、軸部140と吸着パットセンサー144との間には隙間が形成されている。
そして、図20、図22、図23に示すように、筐体118が下方に移動すると、吸着部136が、割符102を介してトレー104aに配置される。そして、筐体118の下降をさらに継続させてバネ138が自然長よりも短くなると、吸着部136が郵便物12等から抗力を受け、バネ138はその抗力により圧縮して吸着部136及び軸部140が固定部132に対して軸部140の長手方向に沿って相対変位し、軸部140が吸着パットセンサー144に接触する。このとき吸着パット130(吸着部136)は、制御部150(図26)の制御により割符102を吸着するが、割符102は、図26に示すように、一方の吸着部136と他方の吸着部136との間の部分がトレー104aから浮き上がる形となる。また、割符有無センサー146は、割符102からレーザ光の反射光を受光するので、検知信号を制御部150に出力することができる。なお、割符102を郵便物12上に配置した場合にも図22、図23に示す配置と同様の配置となる。
そして、吸着パット130が昇降モータ120の回転より持ち上げられると、図24に示すように、バネ138が再び伸長し、吸着部136及び軸部140が固定部132に対して下方に相対移動する。これにより、軸部140が吸着パットセンサー144から離れるため吸着パットセンサー144からの検知信号は途絶えるが、割符有無センサー146が割符102の検知を引き続き行なうことができる。しかし、割符102を郵便物12に搬送する途中で、割符102が吸着パット130から脱落した場合には、割符有無センサー146から制御部150に出力される検知信号が途絶えることになる。
一方、割符102は、図24に示すように、短辺方向において上向きに凸となるアーチ型の曲面を形成している。これにより、割符102は、その長辺方向に張りが得られる(長辺方向の曲げ強度が大きくなる)ので、割符102が移動中に空気により曲げられて吸着パット130から脱落することを低減できる。
また、図25に示すように、一対の吸着パット130は逆さV字型(ハの字型)になるように互いに傾斜させて配置してもよい。この場合、割符102は、短辺方向において下向きに凸となる曲面を形成する。なお、本実施形態において、吸着パット130は一対用いられているが、3つ以上用いても良い。前述の一対の吸着パット130に加えて新たな吸着パットを用いる場合には、図24、図25に示す割符102の曲面に倣ったいずれかの位置(長辺方向で異なる位置も可能)に配置すればよい。なお、本実施形態では、割符102の短辺方向でアーチ型の曲面を形成するように吸着パット130が配置されているが、割符102の長辺方向でアーチ型の曲面を形成するように吸着パット130を配置してもよい。また、割符102が吸着パット130から脱落する虞がない場合には、吸着パット130は一対ではなく、一つでもよい。
ここで、昇降移動装置116は、筐体118がタイミングベルト122により上方(図19)に最後まで移動したときの位置を初期位置としているが、割符102が第1のブロック48に支持された第1の爪部材52よりもやや低い位置となるように設計される。また、水平移動装置108は、アーム112の先端がプリンター104(トレー104a)の上方に配置されるときを初期位置とするが、アーム112を第1の結束機28に向けて回転させたときに、吸着パット130が、平面視で、第1の結束機28に配置された郵便物12の真上となる位置であって、平面視で第1のブロック48及び第1の爪部材52から離間した位置に配置される。また。この場合、割符102(割符102の長辺方向の他方の端部領域)が第1の爪部材52の真下に来るように配置される。
図26に、本実施形態の区分け処理システムの制御ブロック図を示す。図26に示すように、全体制御部148は、区分け処理システム10全体を制御するものであり、PC(パーソナルコンピュータ)にインストールされたアプリケーションである。全体制御部148は、フィーダー14、郵便番号読取装置16、区分け装置18、自動結束装置26、第1の搬送装置34、第2の搬送装置66、ベルトコンベアー78等に接続され、郵便物12を区分けして結束し、搬出するまでの各装置の動作を制御している。
制御部150は、区分け処理システム10の一部である割符添付装置100を制御するものである。制御部150は、例えば、全体制御部148とともにPCにインストールされたアプリケーションである。そして制御部150は、インターフェースを介してアーム回転モータ114、昇降モータ120、吸着ポンプ142、出力検知センサー106、割符有無センサー146、吸着パットセンサー144に接続されている。なお、プリンターは104、インターフェースを介して全体制御部148(制御部150でもよい)に接続されている。
制御部150には、出力検知センサー106からの検知信号、割符有無センサー146からの検知信号、吸着パットセンサー144からの検知信号が入力される。本実施形態では、吸着パットセンサー144が一対用いられているが、両方から検知信号を入力するようにしてもよいし、何れか一方のみから検知信号を入力するようにしてもよい。一方、制御部150は、アーム112を第1の結束機28側に所定角度回転させる正回転信号と、逆にアーム112をプリンター104側に所定角度逆回転させる逆回転信号をアーム回転モータ114に出力する。また、制御部150は、吸着パット130(筐体118)を上方に変位させる上方回転信号と、吸着パット130(筐体118)を下方に変位させる下方回転信号を昇降モータ120に出力する。さらに制御部150は、吸着パット130(吸着部136)に割符102を吸着させるためのオン信号と、吸着パット130(吸着部136)が吸着した割符102を開放するオフ信号を吸着ポンプ142に出力する。
制御部150は、正回転信号によりアーム112が第1の結束機28側に回転したのちにスタインバイ信号を全体制御部148に出力する。全体制御部148は、制御部148からのスタンバイ信号と、後述の区分け装置18からのスタンバイ信号が入力されると、第1のブロック48(第1の垂直ロボット40)による郵便物12に対する押付け動作に係る制御を行なうとともに同期信号を制御部150に出力する。制御部150は、同期信号が入力されると昇降モータ120に対して下方回転信号を出力する。なお、制御部150と全体制御部148は一体であってもよい。
本字実施形態の区分け処理システム(全体制御部148)の動作を説明する。まず、全体制御部148は、フィーダー14に駆動信号を出力して、フィーダー14に郵便物12を遂次的に郵便番号読取装置16に供給させる。また全体制御部148は、郵便番号読取装置16から郵便番号等の宛名の情報を入力するとともに、宛名の情報を入力した回数、すなわち区分けする郵便物12の枚数の情報を生成する。また全体制御部148は区分けとなる宛名の情報(事前データ)が入力されると、区分けのための信号を区分け装置18に出力し、宛先の情報と、宛先の情報に係る郵便物12の枚数の情報をプリンター104に出力する。区分け装置18は、郵便物12の区分けが終了するとスタンバイ信号を全体制御部148に出力する。また全体制御部148は、制御部150からスタンバイ信号が入力されると、第1の結束機28(自動結束装置26)を動作させて郵便物12及び割符102を結束ヒモ32で結束する。
その後、第1の搬送装置34を動作させて、結束後の郵便物12を第2の結束機30に搬送する。そして、第2の結束機30(自動結束装置26)を動作させて結束ヒモ32で郵便物12をさらに結束して所謂十字結束を行う。その後第2の搬送装置66を動作させて結束後の郵便物12をベルトコンベアー78に搬送する。ここで、全体制御部148は、郵便番号読取装置16から区分けとなる郵便番号等の宛名の情報(事前データ)が入力されると、割符添付装置100(制御部150)を起動する。そして、本実施形態の割符添付装置100は、第1の結束機28で郵便物28を結束する際に郵便物12に割符102を添付する。
次に、本実施形態の割符添付装置100(制御部150)の動作について説明する。図27乃至図32に本実施形態の割符添付装置の動作を示し、図33に、本実施形態の割符添付装置の制御フロー(フロー1〜フロー16)を示す。割符添付装置100の動作の説明においては、図26も参照するものとする。まず、全体制御部148(図26)の指令により、割符添付装置100(制御部150)が起動する(フロー1)。また、全体制御部148からプリンター104に宛先の情報(事前データ)と枚数の情報が出力され、図27に示すように、プリンター104がこれらの情報を印字した割符102を出力し(フロー2)、出力検知センサー106が検知信号を制御部150に出力する(フロー3)。また、このとき、制御部150は、出力検知センサー106から入力した検知信号を全体制御部148に出力する。なお、全体制御部148は、宛先の情報等を出力後、一定時間経過しても制御部150から出力検知センサー106由来の検知信号が入力されない場合は、割符102がプリンター104から出力されなかったと判断(エラー1)して、システム全体を停止させる。
図27、図28に示すように、吸着パット130は、プリンター104が出力した割符102の上方となる初期位置に配置されている。制御部150に出力検知センサー106由来の検知信号が入力されると、制御部150は、昇降モータ120(図26)に下方回転信号を出力することにより、図28に示すように、吸着パット130を下降させる。また、制御部150は、吸着ポンプ142(図26)にオン信号を出力して吸着パット130が割符102を吸着可能な状態にする(フロー4)。その後、吸着パット130がプリンター104(トレー104a)に到達すると、吸着パット130の吸着部136が割符102を吸着する(図22、図23参照)。これにより、割符有無センサー146は検知信号を制御部150に出力する。さらに吸着パット130が下降を続けると、吸着パット130のバネ138が圧縮し、軸部140が吸着パットセンサー144に接触することにより(図22、図23参照)、吸着パットセンサー144が検知信号を制御部150に出力する(フロー5)。制御部150は、吸着パットセンサー144由来の検知信号が入力されると下方回転信号を停止して吸着パット130の下降を停止する(フロー6)。
制御部150は、昇降モータ120に上方回転信号を出力して、図29に示すように、割符102(図24参照)を吸着した吸着パット130を所定の高さ(吸着パット130の初期位置)まで上昇させる(フロー7)。なお、制御部150は、吸着パットセンサー144由来の検知信号が入力されたのち、昇降モータ120に上方回転信号を出力する前に、吸着ポンプ142にオン信号を出力して、吸着パット130が割符102を吸着するようにしてもよい。
この吸着パット130の上昇時において、割符有無センサー146からの検知信号が制御部150に入力される状態が継続している(フロー8)。しかし、途中で検知信号が途絶えた場合には、割符102が吸着パット130から脱落したと判断(エラー2)して、制御部150は、上方回転信号を停止させて、吸着パット130の上昇を停止させることができる。一方、区分け装置18では、区分け対象となる郵便物12の束をプッシャー22に載置する。
吸着パット130が割符102を吸着(保持)した状態で所定の高さまで移動すると、制御部150は、図30に示すように、アーム回転モータ114に正回転信号を出力してアーム112を初期位置から所定角度(180度)回転させる(フロー9)。アーム112を所定角度回転させたのち制御部150は、全体制御部148にスタンバイ信号を出力する。一方、区分け装置18では、区分け対象となる郵便物12の束をプッシャー22により第1の結束機28に搬送し、プッシャー22が郵便物12を第1の結束機28に配置したとき(またはプッシャー22を元の位置に戻したとき)に、スタンバイ信号を全体制御部148に出力する。このとき、吸着パット130は、第1の結束機28に配置された郵便物12の真上となる位置に配置され、割符102の一部(割符102の長辺方向の他方の端部領域)が第1の爪部材52の真下となる位置に配置される。なお、アーム112の第1の結束機28側への回転が終了する時間と、郵便物12が第1の結束機28に配置される時間は、同時であってもよいし、互いに前後してもよい。
このアーム112の回転時において、割符有無センサー146からの検知信号が制御部150に入力される状態が継続している(フロー10)。しかし、途中で検知信号が途絶えた場合には、割符102が吸着パット130から脱落したと判断(エラー3)して、制御部150は、正回転信号を停止させ、アーム112の回転を停止させる。
制御部150及び区分け装置18からスタンバイ信号が入力された全体制御部148は、制御部150に同期信号を出力するとともに、図31に示すように、第1の垂直ロボット40を介して第1のブロック48の下降動作と、郵便物12への押付け動作の制御を行なう(フロー11)。制御部150は全体制御部148からの同期信号を受けて昇降モータ120に下降回転信号を出力して吸着パット130を下降させる(フロー12)。ここで、吸着パット130は、第1のブロック48と同時に下降を開始する、または第1のブロック48よりも早く下降を開始するものとする。また、第1のブロック48と吸着パット130の下降速度はほぼ等しい、または吸着パット130のほうが速いものとする。そして、吸着パット130が、第1のブロック48(第1の爪部材52)よりも先に郵便物12に到達し、吸着パットセンサー144が検知信号を出力して制御部150が下方回転信号を一旦停止する(フロー13)。
しかし、その後、第1のブロック48が郵便物12を第1の結束機28に押付けると、郵便物12を圧縮させたときに吸着パット130が郵便物12から離間するので、吸着パットセンサー144からの検知信号が一時的に途絶える。よって、その途絶えている間、制御部150は再び下方回転信号を出力して吸着パット130の下降を継続させることになる。そして、最終的には、第1のブロック48が一定の力で郵便物12を圧縮したときの、第1のブロック48の圧縮力と郵便物12の反発力との釣り合いの位置となる郵便物12の上面に吸着パット130(割符102)が接触し、吸着パット130が郵便物12から一定の抗力を受けることにより吸着パット130の下降が停止する(フロー13)。このとき、割符102は、郵便物12と第1の爪部材52との間に挟まれている。
制御部150は、吸着パットセンサー144由来の検知信号が一定時間継続して入力され続けると、第1のブロック48による郵便物12の圧縮動作は終了したと判断して吸着ポンプ142にオフ信号を出力して割符102を吸着パット130から開放する(フロー14)。その後、制御部150は、昇降モータ120に上方回転信号を出力して吸着パット130を所定の高さにまで引き上げる(フロー15)。これにより、吸着パット130が割符102から離間する。さらに、制御部150は、アーム回転モータ114に逆回転信号を出力してアーム112を所定角度(−180度)回転させ、図32に示すように、吸着パット130をプリンター104が出力する次の割符102の真上となる初期位置に戻す(フロー16)。
一方、全体制御部148は、第1のブロック48で郵便物12及び割符102を第1の結束機28に押付けた状態で第1の結束機28を動作させて郵便物12及び割符102を結束ヒモ32で結束する。その後、第2の結束機30上において、第1のブロック48が第1の爪部材52を結束ヒモ32から引抜く動作を行なっても、割符102が郵便物12と結束ヒモ32の間に挟まれた状態を維持することになる。
上記動作において、エラー1の対応としては、作業者がプリンター104内の割符用紙の紙詰まり等を直した上で、全体制御部148からの指令により制御を再スタートさせることになる。また、エラー2、エラー3の対応としては、作業者が脱落した割符102を拾い上げて吸着パット130に吸着させて制御部150による制御を再開させる、或いは、プリンター104において割符102を再び出力し、制御部150によりアーム112及び吸着パット130を初期位置に戻し、再び割符102を第1の結束機28に搬送する制御を行なうことになる。
本実施形態では、保持手段として吸着パット130を挙げたが、粘着テープのような粘着手段でもよい。この場合、粘着手段がプリンター104に出力された割符102を粘着力により保持する。そして、その後郵便物12上に割符102を配置し、第1の結束機28を動作させて割符102を郵便物12とともに結束させたのちに粘着手段を引き上げて粘着手段を割符102から離間させることができる。
また、本実施形態では、割符添付装置100は、第1の結束機28に配置された郵便物12に割符102を配置する旨説明したが、第2の結束機30に配置された郵便物12に割符102を配置する構成としてもよく、第2の搬送装置66の押し付け動作に同期して吸着パット130を下降させて郵便物12上に割符102を配置できるようにしてもよい。
図34に、他の実施形態の区分け処理システムの模式図を示し、図35に、本実施形態の回転搬送装置を包含する区分け装置等を示す模式図(図34のA矢視図)を示す。本実施形態の区分け処理システム210は、搬送物である郵便物12が流れる順にしたがって、フィーダー214、読取装置216、区分け装置218、自動結束装置260(結束機262、結束機268)、ベルトコンベアー286を有する。また結束機262で結束後の郵便物12を結束機268に搬送する搬送ロボット274(図35)と、結束機268において結束後の郵便物12をベルトコンベアー286に搬送する搬送ロボット(不図示)が備えられている。なお、フィーダー214、読取装置216、区分け装置218は一体であってもよい。
郵便物12は、例えば、封書(ダイレクトメール)であり、封書には、同封物に印刷された郵便番号、住所等の宛名の情報を読取装置216が読み込むため(差出人、配達人、受取人が視認するため)の透明な窓部(不図示)が設けられている。また郵便物12としては、ハガキ(圧着ハガキ)も適用できる。なお、郵便物12は、区分け装置218において区分け可能となるように、郵便番号など区分けの基準となる情報ごとにまとめて並べられた状態でフィーダー214に搭載される。
フィーダー214は、一定の時間間隔で遂次的に郵便物12(封書、ハガキ)を読取装置216に搬送するものである。なお、フィーダー214は、例えば、郵便物12である封書に同封物を封入するインサーター(封入封緘機)の搬出部とすることもできる。
読取装置216は、フィーダー214から遂次的に搬送される郵便物12を区分け装置218側に遂次的に搬送するとともに、郵便番号等の宛先の情報を付属のカメラ(不図示)で郵便物12が新たに搬送されてくるたびに読取り、宛先の情報の変化に基づいて、区分け装置218に信号を出力するものである。郵便物12が封書の場合は、封書に設けられた透明な窓部を通じて内部にある書類に記載された郵便番号等の宛先の情報を読み取る。宛先の情報は、郵便番号のみならず、住所、建物等、より詳細に郵便物12を区分けするための情報とすることが可能である。
区分け装置218は、読取装置216(フィーダー214)から搬送された郵便物12を積み上げるとともに、読取装置216から入力された信号に基づいて郵便物12を区分けして自動結束装置260に搬送するものである。図35に示すように、区分け装置218は、回転搬送装置220、区分け部254、プッシャー256により構成される。
回転搬送装置220は、読取装置216(フィーダー214)から搬送された郵便物12を区分け部254に搬送するものであるが、後述のように所定枚数ごとにその向きを反転させて区分け部254に搬送する。なお、回転搬送装置220は、プッシャー256の配置位置を確保するため読取装置216側に傾斜させて配置されている。
区分け部254は、回転搬送装置220から搬送された郵便物12を積み上げるために収容する箱状の機器であって、読取装置216から信号により郵便物12を区分けするものである。区分け部254の底面にはゲート(不図示)が配置されている。ゲート(不図示)は通常閉じられているが、読取装置216からの信号が入力されるとゲートが開き、区分け部254で積みあがった郵便物12を、区分け部254の真下に配置されたプッシャー256に供給する。
プッシャー256は、読取装置216からの信号により、または付属するセンサー(不図示)が郵便物12を検知した場合に、付属する単軸ロボット258を駆動させて郵便物12を結束機262(自動結束装置260)に搬送し、搬送後もとの位置(区分け部254の真下)に戻る動作をする。
図34に示すように、自動結束装置260は、結束機262、結束機268により構成され、結束バンド266,272を用いて郵便物12に対して所謂十字結束を行なうものである。結束機262は、結束ライン264にしたがって郵便物12に結束バンド266を結束させ、結束機268は、結束ライン270にしたがって郵便物12に結束バンド72を結束させる。結束ライン64と結束ライン70は互いに直交する。
図35に示すように、搬送ロボット274は、水平単軸ロボット276と、垂直単軸ロボット278と、爪駆動部280と、を有する。爪駆動部280は、結束機262上に配置された郵便物12を結束機262に押付けるとともに郵便物12上の結束機262の結束ライン264に重なる位置に爪部材282を繰り出すものである。これにより、郵便物12が爪駆動部280に圧縮された状態で結束機262が郵便物12を結束するが、爪部材282が結束バンド266と郵便物12との間に挟まれることになる。垂直単軸ロボット278は、爪駆動部280を垂直方向に移動させるものである。よって、爪部材282が郵便物12とともに結束された状態で垂直単軸ロボット278により爪駆動部280を上昇させると、結束された郵便物12が爪部材282により持ち上げられることになる。
水平単軸ロボット276は、垂直単軸ロボット278を結束機262の真上となる位置から結束機268の真上となる位置(図34)まで移動させるものである。よって、水平単軸ロボット276が垂直単軸ロボット278を結束機268の真上にまで移動させたのち、垂直単軸ロボット278が爪駆動部280を下降させることにより、結束機262で結束後の郵便物12を結束機268に搬送することができる。さらに、爪駆動部280は、爪部材282を爪駆動部280内に引っ込める動作が可能となっている。これにより、郵便物12が結束機268上に配置されたのち爪部材282を引っ込めることにより、爪部材282が結束バンド266と郵便物12との間から引抜かれ、郵便物12を搬送ロボット274から分離させることができる。
結束機268からベルトコンベアー286に郵便物12を搬送する搬送ロボット(不図示)は、搬送ロボット274と同様の構造である。搬送ロボット(不図示)は、結束機268において爪部材284(図34)を郵便物12とともに結束バンド272に結束させ、爪部材284を移動させることにより郵便物12をベルトコンベアー286に搬送する。
上記構成において、郵便物12は、フィーダー214により読取装置216に搬送されたのち、読み取られた宛先の情報の変化(事前データ)に基づいて区分け装置218で区分けされる。そして、区分けされた郵便物12が自動結束装置260により結束され、結束された郵便物12はベルトコンベアー286に搬送され、その後搬出される。
図36に、郵便物を反転させないで積み上げたときの側面図を示し、図37に、郵便物を一定の周期で反転させて積み上げたときの側面図を示す。例えば、郵便物12が封書の場合、封書の糊代部分が他の部分よりも厚くなっている。また、例えば、郵便物12が圧着ハガキ(用紙を2つに折って互いに圧着させたもの)の場合、用紙を折り曲げた部分が他の部分よりも厚くなっている。このような郵便物12を、その向きを同じ状態にして積み上げると図36のように、郵便物12の束は郵便物12の厚い部分とそれ以外の部分とで高さに差が生じる。そして、郵便物12を積んでいくほど一番上に積まれた郵便物12が傾斜していき、最終的にはバランスが崩れ、積まれた郵便物12が結束前に崩れる場合があり、また崩れないまでも結束機262,268による結束が困難となる場合がある。
よって、図37に示すように、本実施形態の回転搬送装置220では、積み上げ後の郵便物12が傾斜しないように、所定枚数(図37では10枚)ごとに搬送途中で郵便物12の向きを反転させて区分け部254に収容・積み上げができるようにしている。
図38に、本実施形態の回転搬送装置の平面図、図39に、本実施形態の回転搬送装置の側面図、図40に、図39の部分詳細図を示す。本実施形態の回転搬送装置220は、郵便物12の搬送経路に沿って面する上面224を備えた筐体222により外形が形成されている。そして、筐体222の搬送経路となる位置において、読取装置216から区分け部254に向かう方向(搬送方向)で、搬送ベルト226、第1の搬送ローラ228、第2の搬送ローラ234、搬送ベルト238が一列に並んで配置されている。また、搬送ベルト226及び搬送ベルト238の上面、そして第1の搬送ローラ228及び第2の搬送ローラ234の上端は、筐体222の上面224よりもやや上方に露出しており、郵便物12に接触可能な配置となっている。
搬送ベルト226は、読取装置216から搬送された郵便物12を第1の搬送ローラ228に搬送するものである。第1の搬送ローラ228は、搬送ベルト226から搬送された郵便物12を90度回転させ、またはそのまま回転させずに第2の搬送ローラ234に搬送するものである。第2の搬送ローラ234は、第1の搬送ローラ228から搬送された郵便物12を90度回転させ、またはそのまま回転させずに搬送ベルト238に搬送するものである。搬送ベルト238は、第2の搬送ローラ234から搬送された郵便物12を区分け部254に搬送するものである。
ここで、第1の搬送ローラ228及び第2の搬送ローラ234による郵便物12の回転方向は同じである。よって、第1の搬送ローラ228及び第2の搬送ローラ234により郵便物12が回転すると、郵便物12は180度回転した状態で(向きが反転した状態で)区分け部254に搬送される。なお、搬送ベルト226及び搬送ベルト238の回転速度と、第1の搬送ローラ228及び第2の搬送ローラ234の郵便物12を回転させないときの回転速度は、互いに等しくなっており、郵便物12は、ほぼ等速で回転搬送装置220内を移動する。
第1の搬送ローラ228は、搬送方向に向かう方向(搬送ベルト226側)からみて右側となる第1の搬送ローラ228Aと、左側となる第1の搬送ローラ228Bを有する。第1の搬送ローラ228Aと第1の搬送ローラ228Bの回転軸は、郵便物12の搬送方向に対して直交し、互いに同軸となっている。第1の搬送ローラ228Aは、タイミングベルト232を介して第1の駆動モータ230Aからの回転力を受けて回転し、第1の搬送ローラ228Bは、タイミングベルト232を介して第1の駆動モータ230Bからの回転力を受けて回転する。すなわち、第1の搬送ローラ228A、第1の搬送ローラ228Bは、それぞれ独立に回転する。
第2の搬送ローラ234は、搬送方向に向かう方向(搬送ベルト226側)からみて右側となる第2の搬送ローラ234Aと、左側となる第2の搬送ローラ234Bを有する。第2の搬送ローラ234Aは、タイミングベルト232を介して第2の駆動モータ236Aからの回転力を受けて回転し、第2の搬送ローラ234Bは、タイミングベルト232を介して第2の駆動モータ236Bからの回転力を受けて回転する。すなわち、第2の搬送ローラ234A、第2の搬送ローラ234Bは、それぞれ独立に回転する。
第1の駆動モータ230A、第1の駆動モータ230B、第2の駆動モータ236A、第2の駆動モータ236Bは、後述の制御部246(回転制御部)に電気的に接続され、制御部46から入力されるログ情報(回転速度の情報)に基づいて回転速度が制御される。
各搬送ローラ(第1の搬送ローラ228A、第1の搬送ローラ228B、第2の搬送ローラ234A、第2の搬送ローラ234B)の上面224を平面視して上端となる位置には、押付ローラ240が転接している。図40に示すように、押付ローラ240は、例えば筐体222に支持されるとともに、バネ等の付勢手段240aにより各搬送ローラに付勢している。押付ローラ240の付勢方向は、上面224の法線に平行であって上面224に向かう方向であり、各搬送ローラを筐体222内部に押し込む方向に付勢する。また、押付ローラ240と各搬送ローラの回転軸は平行である。よって、各搬送ローラが回転すると、押付ローラ240が各搬送ローラとの摩擦力により回転する。
そして、郵便物12が各搬送ローラに搬送されると、各搬送ローラと押付ローラ240の間に入りこんで(図40)、押付ローラ240が郵便物12の厚みに対応して変位するが、付勢手段240aにより押付ローラ240が郵便物12を各搬送ローラに押付ける。これにより、郵便物12は各搬送ローラと押付ローラ240との間に挟みこまれ、各搬送ローラの回転にしたがって区分け部254側に向けて搬送される。なお、第1の搬送ローラ228Aと第1の搬送ローラ228Bは、郵便物12に同時に転接し、第2の搬送ローラ234Aと第2の搬送ローラ234Bも、郵便物12に同時に転接する。また、本実施形態では、第1の搬送ローラ228と第2の搬送ローラ234との間は、一つの郵便物12に両者が同時に転接しないように、一定の間隔が空けられている。
第1の搬送ローラ228Aと第1の搬送ローラ228Bの間には第1のセンサー242が配置され、第2の搬送ローラ234Aと第2の搬送ローラ234Bとの間には第2のセンサー244が配置されている。第1のセンサー242、第2のセンサー244は、それぞれレーザ光を照射する光源242a,244aと、レーザ光を受光する受光器242b,244bとから構成されている。受光器242bは筐体222中であって、上面224を平面視して第1の搬送ローラ228Aと第1の搬送ローラ228Bの間となる位置に配置されている。光源242aは、上面224を平面視して受光器242bの真上となる位置に配置されている。そして光源242aは受光器に向けてレーザ光を照射する。また、光源242aと受光器242bの取り付け位置は、互いに取り替えても良い。そして、光源244b及び受光器244bも、第2の搬送ローラ234に対して同様の配置となっている。
上記構成により、通常、受光器242bは、光源242aから照射されたレーザ光を受光し、受光器244bは、光源244aから照射されたレーザ光を受光している。しかし、郵便物12が第1の搬送ローラ228A及び第1の搬送ローラ228Bに転接すると、レーザ光が郵便物12により遮られるので、その間受光器242bはレーザ光を受光しない。同様に、郵便物12が第2の搬送ローラ234A及び第2の搬送ローラ234Bに転接すると、レーザ光が郵便物12により遮られるので、その間受光器244bはレーザ光を受光しない。
そこで、第1のセンサー242(受光器242b)は、レーザ光を受光しない期間、すなわち、第1の搬送ローラ228が郵便物12に転接して搬送している間は、郵便物12を検知したことを示す検知信号を後述の制御部246に出力するようになっている。同様に、第2のセンサー244(受光器244b)は、レーザ光を受光しない期間、すなわち、第2の搬送ローラ234が郵便物12に転接して搬送している間は、郵便物12を検知したことを示す検知信号を後述の制御部246に出力するようになっている。よって、第1のセンサー242は、第1の搬送ローラ228に転接された郵便物12がセンシング対象であり、第2のセンサー244は、第2の搬送ローラに転接された郵便物12がセンシング対象となる。
本実施形態では、第1のセンサー242が第1の搬送ローラ228Aと第1の搬送ローラ228Bとの間に配置され、第2のセンサー244が第2の搬送ローラ234Aと第2の搬送ローラ234Bとの間に配置されている。しかし、第1の搬送ローラ228や第2の搬送ローラ234がそれぞれ郵便物12に転接しているときに郵便物12を検知できる配置であれば、第1のセンサー242及び第2のセンサー244は、どのような配置にしてもよい。また、第1のセンサー242及び第2のセンサー244は、郵便物12を非接触で検知するものであるが、郵便物12に対して接触して検知するタイプのものでもよい。さらに、検知信号を出力するセンサーとしては、郵便物12が各搬送ローラと押付ローラ240との間に挟まれるときの押付ローラ240の変位を検知することにより検知信号を出力するような構成も適用できる。
図41に、第1実施形態の回転搬送装置の制御ブロック図を示す。制御部246(回転制御部)は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)にインストールされたアプリケーションであり、回転搬送装置220において、郵便物12を反転して搬送する状態と、郵便物12を非反転で搬送する状態との間で交互に切替制御を行なうものである。制御部246はインターフェースを介して第1のセンサー242、第1の駆動モータ230A、第1の駆動モータ230B、第2のセンサー244、第2の駆動モータ236A、第2の駆動モータ236Bに接続されている。また、記憶部248は、PCに付属するハードディスク等の記憶媒体であり、情報入力部250はPCに付属するキーボードやマウス等である。
カウンター252は、制御部246同様にPCにインストールされたアプリケーションであり、第1のセンサー242、または第2のセンサー244が検知信号を出力した回数をカウントするものである。またカウンター252には、郵便物12の反転(回転)を繰り返すための周期情報が入力される。ここで、周期情報は、郵便物12の反転・非反転を繰り返す周期のことであり、その周期内において郵便物12を搬送する枚数の情報を有している。また周期情報には、その周期内で搬送する枚数のうち、途中で制御状態を切り替えるまでの枚数を表す回転枚数情報を包含している。そして、カウンター252は、検知信号の周期情報に対応する検知回数のうち、回転枚数情報に係る検知回数分に対して郵便物12を回転させるための回転切替信号を制御部246に出力し、残りの検知回数分に対して郵便物12を非反転とするための非回転切替信号を制御部246に出力する。すなわち、制御部246は回転切替信号と非回転切替信号が交互に入力されるたびに、郵便物12の回転制御をオン・オフする切替制御を行なっている。なお、カウンター252は、制御部246と一体であってもよい。
情報入力部250は、作業者のキー操作等により、上述の周期情報を記憶部248及びカウンター252に入力する。また情報入力部250は、郵便物12の回転制御を行なうため、各駆動モータの回転速度の情報や、回転速度制御を一時的に行なうための時間の情報を有するログ情報と、を記憶部248に入力することができる。
本実施形態では、郵便物12を一定数遂次的に反転させて搬送する状態と、その後一定数遂次的に非反転で搬送する状態を繰り返すことになる。なお、反転・非反転の順が逆になってもよい。そして、周期情報により、郵便物12の反転・非反転の周期を任意に調整することができ、回転枚数情報により、回転させる郵便物12の枚数と回転させない郵便物12の枚数を任意に調整することができる。
例えば、周期情報に対応する搬送枚数が2枚とすると、回転(反転)させる搬送枚数が1枚で、回転させない(非反転)とする搬送枚数が1枚となり、この場合は、互いに隣接する郵便物12同士の向きが交互に逆向きになる。また周期情報に対応する搬送枚数が20枚の場合、通常、回転(反転)させる搬送枚数を10枚で、回転させない(非反転)とする搬送枚数を10枚となる(図37参照)が、回転させる搬送枚数を5枚、非回転とした搬送枚数を15枚とすることもできる。また、例えば周期情報に係る搬送枚数を10枚とし、反転させる搬送枚数を1枚(9枚)、非反転とする搬送枚数を9枚(1枚)とすれば、10枚中で1枚だけ向きを反転させた郵便物12が目印となるので、郵便物12の目視によるカウントを容易に行うことができる。
制御部246は、カウンター252から非回転切替信号が入力されている間は、各駆動ローラに対して制御することはない。これにより、各駆動ローラは初期設定された回転速度により回転し、第1の搬送ローラ228、第2の搬送ローラ234はそれぞれ同期回転(同じ回転速度で回転)して、郵便物12を非反転で(回転させずに)区分け部254に搬送する。
一方、制御部246は、カウンター252から回転切替信号が入力されている間は、記憶部248からログ情報を読み出す。そして、各駆動ローラに対してログ情報にしたがって一時的に(一定時間)回転速度の制御を行ない、最終的に郵便物12を反転させて搬送ベルト238(区分け部254)に搬送する。なお、制御部246には、ログ情報に従って制御を行なうための計時手段(不図示)が内蔵され、計時手段(不図示)に基づいてログ情報に係る制御を行なうものとする。
図42に、第1実施形態の回転搬送装置の動作を示す。図42は、結果的に郵便物12を反転(180回転)させて搬送する場合の動作を順に示したものである。ここでは、郵便物12の長辺が郵便物12の搬送方向に平行となるように、郵便物12を搬送する場合について説明する。なお、図42においては、郵便物12上において、第1の搬送ローラ228、及び第2の搬送ローラ234が転接する部分の軌跡12aを記載している。
図42(a)に示すように、搬送ベルト226から第1の搬送ローラ228に郵便物12が搬送され,第1のセンサー242が郵便物12を検知して検知信号(ON)を制御部246に出力する。すると、制御部246は、ログ情報に従って、一定時間、第1の搬送ローラ228A、第1の搬送ローラ228Bの同期回転を継続させて一定距離郵便物12を搬送する。
図42(b)に示すように、一定時間経過後、制御部246は、ログ情報に従って、第1の搬送ローラ228Aの回転速度を、同期回転時の回転速度よりも遅くし、第1の搬送ローラ228Bの回転速度を、同期回転時の回転速度よりも速くする制御を行なう。これにより、第1の搬送ローラ228は非同期回転となり、郵便物12は、郵便物12の第1の搬送ローラ228よりも搬送方向の上流となる部分が第1の搬送ローラ228B側に移動する方向に回転する。
図42(c)に示すように、制御部246は、ログ情報にしたがって、郵便物12が90度回転したところで、第1の搬送ローラ228A及び第1の搬送ローラ228Bの回転速度を元に戻して同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12の回転を停止させた状態で、第1の搬送ローラ228から第2の搬送ローラ234に郵便物12が搬送され、郵便物12が第1の搬送ローラ228から離れることにより検知信号がOFFになる。
図42(d)に示すように、郵便物12が第2の搬送ローラ234に搬送され第2のセンサー244が郵便物12を検知して検知信号(ON)を制御部246に出力する。すると、制御部246は、ログ情報に従って、一定時間、第2の搬送ローラ234A、第2の搬送ローラ234Bの同期回転を継続させて一定距離郵便物12を搬送する。
図42(e)に示すように、一定時間経過後、制御部246は、ログ情報に従って、第2の搬送ローラ234Aの回転速度を、同期回転時の回転速度より遅くし、第2の搬送ローラ234Bの回転速度を、同期回転時の回転速度よりも速くする制御を一定時間行なう。これにより、第2の搬送ローラ234は一定時間非同期回転となり、郵便物12は、郵便物12の第2の搬送ローラ234よりも搬送方向の上流となる部分が第2の搬送ローラ234B側に移動する方向にさらに回転する。
図42(f)に示すように、制御部246は、ログ情報にしたがって、郵便物12が90度回転したところで、第2の搬送ローラ234A及び第2の搬送ローラ234Bの回転速度を元に戻して同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12の回転を停止させた状態で、第2の搬送ローラ234から郵便物12がその向きが反転した状態で搬送ベルト238(区分け部254)に搬送され、第2の搬送ローラ234から郵便物12が離れることにより検知信号がOFFとなる。
図43に、第1実施形態の回転搬送装置の制御のタイミングチャートを示す。図43は、横軸は時間、縦軸は第1の搬送ローラ228及び第2の搬送ローラ234の回転速度の時間変化を示すグラフであり、前述のログ情報に対応するものである。また、図43は、図42と同様に、郵便物12の長辺が郵便物12の搬送方向に平行となるように搬送した場合のグラフである。
図43に示すように、初期状態において第1の搬送ローラ228A、第1の搬送ローラ228B、第2の搬送ローラ234A、第2の搬送ローラ234Bは、いずれも回転速度V0で同期回転している。なお、前述の搬送ベルト226、搬送ベルト238も同じ回転速度で回転しており、回転搬送装置220が郵便物12を非反転で搬送する場合は、搬送ベルト226、第1の搬送ローラ228、第2の搬送ローラ234、搬送ベルト238はこの回転速度を最後まで維持している。
そして、第1のセンサー242が郵便物12を検知し、検知信号(ON)を制御部246に出力してから一定の待ち時間(T1)後に、制御部246は、第1の搬送ローラ228Aの回転速度をV0よりも低いVLとし、第1の搬送ローラ228Bの回転速度をV0よりも高いVHとして、非同期回転となる回転速度制御を行なう。このように、第1の搬送ローラ228Aの回転速度を同期回転のときよりも遅くし、逆に第1の搬送ローラ228Bの回転速度を同期回転のときよりも速くすることにより、郵便物12を小さな曲率半径で回転させることができるので、短時間で回転を終了させることができる。そして、郵便物12を所定角度(本実施形態では90度)回転させるのに必要な時間(TR)だけ上述の回転速度制御を維持し、その後第1の搬送ローラ228A及び第1の搬送ローラ22Bの回転速度をV0に戻して同期回転に戻す制御を行なっている。これにより、回転が停止した状態で郵便物12が第1の搬送ローラ228から第2の搬送ローラ234に搬送される。そして、郵便物12が第1の搬送ローラ228から離れると、第1のセンサー242からの検知信号がOFFになる。
その後、第2のセンサー244が郵便物12を検知し、検知信号(ON)を制御部246に出力してから一定の待ち時間(T2)後に、制御部246は、第2の搬送ローラ234Aの回転速度をVLとし、第2の搬送ローラ234Bの回転速度をVHとして非同期回転となる回転速度制御を一定時間(TR)行ない、その後に同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12がさらに90度回転して結果的に回転搬送装置220により向きが180度面内回転し、且つ回転が停止した状態で郵便物12が第2の搬送ローラ234から搬送ベルト238(区分け部254)に搬送される。そして、郵便物12が第2の搬送ローラ234から離れると、第2のセンサー244からの検知信号がOFFになる。
図42(a)、図42(b)に示すように、第1の搬送ローラ228が郵便物12を回転・搬送する段階では、第1の搬送ローラ228に搬送される郵便物12の長辺と搬送方向が平行となっている。この場合、第1のセンサー242が郵便物12を検知した直後に郵便物12を回転させてしまうと、郵便物12の短辺を中心として長辺がそのまま郵便物12の回転半径を形成することになるので、郵便物12の回転半径が大きくなってしまう。これにより、回転が困難になるとともに郵便物12が回転搬送装置220内の他の部分に干渉する虞がある。よって、第1の搬送ローラ228が郵便物12の長辺方向(長手方向)の中央領域に転接するころまで一定の待ち時間(T1)待って郵便物12の回転制御(第1の搬送ローラ228の回転速度制御)を開始することより、郵便物12の回転半径を小さくしている。
また、図42(d)、図42(e)に示すように、第2の搬送ローラ234が郵便物12を回転・搬送する段階では、郵便物12の短辺と搬送方向が平行となっている。この場合、第2のセンサー244が郵便物12を検知してからある程度時間が経過してから郵便物12の回転制御を始めると、回転途中で第2の搬送ローラ234から郵便物12が外れてしまい、回転が不十分になるばかりか、搬送不能となる。そのため、図43に示すように、第2のセンサー244が郵便物12を検知した直後(一定の待ち時間(T2)後)に郵便物12の回転制御(第2の搬送ローラ234の回転速度制御)を開始している。よって、待ち時間T2は、待ち時間T1よりも短い長さとなっている。
逆に、郵便物12が、その短辺が搬送方向に平行な状態で第1の搬送ローラ228に搬送された場合は、第1のセンサー242が郵便物12を検知してからT2後に郵便物12の回転制御を開始し、第2のセンサー244が郵便物12を検知してからT1後に郵便物12の回転制御を開始する。また、郵便物12が正方形である場合には、第1のセンサー242が郵便物12を検知してから郵便物12の回転制御を始めるまでの待ち時間と、第2のセンサー244が郵便物12を検知してから郵便物12の回転制御を始めるまでの待ち時間は互いに等しくなる。
本実施形態では、郵便物12を、第1の搬送ローラ228で90度回転させ、第2の搬送ローラ234でさらに90度回転させている。しかし、第1の搬送ローラ228による回転と第2の搬送ローラ234による回転により結果的に郵便物12が180度回転(反転)していればよい。そこで、郵便物12を第1の搬送ローラ228で回転させる時間(TR)を、郵便物12が90度回転するときの時間より長くし、逆に郵便物12を第2の搬送ローラ234で回転させる時間(TR)を、郵便物12が90度回転するときの時間より短くし、2回の回転により180度回転できるようにログ情報を生成することもできる。例えば、郵便物12の回転角度が第1の搬送ローラ228では120度となるように制御し、第2の搬送ローラ234では60度となるように制御することもできる。
図44に、第2実施形態の回転搬送装置の平面図を示し、図45に、第2実施形態の回転搬送装置の側面図を示す。本実施形態において、第1実施形態の共通の構成要素には同一番号を付し、必要な場合を除いてその説明を省略する。
第2実施形態の回転搬送装置220Aは、第1実施形態のように搬送ローラを2段階で用いることはなく、第3の搬送ローラ288のみで郵便物12を90度回転させたものと、郵便物12を90度逆回転させたものと、を所定枚数ごとに交互に搬送する。また、郵便物12を検知するセンサーは、第3のセンサー290(第1のセンサー242等と同様の構成)一つのみ用いる。これにより、搬送前の郵便物12の長辺(短辺)と、搬送後の郵便物12の長辺(短辺)は互いに直交する。
本実施形態において、制御部246による制御ブロックは、図41に示す場合とほぼ同様であるが、カウンター252に入力される周期情報は、回転枚数情報と逆回転枚数情報を有するものになる。本実施形態において、カウンター252は、検知信号の周期情報に係る検知回数のうち、回転枚数情報に係る検知回数分において、郵便物12を回転させるための回転切替信号(第1の回転速度制御用)を制御部246に出力し、残りの検知回数分、すなわち逆回転枚数情報に係る検知回数分において郵便物12を逆回転するための逆回転切替信号(第2の回転速度制御用)を制御部246に出力する。
制御部246は、回転切替信号が入力されると第3の搬送ローラ288を介して郵便物12を90度回転させる制御を行ない、逆回転切替信号が入力されると第3の搬送ローラ288を介して郵便物12を90度逆回転させる制御を行なう。これにより、90度回転させた郵便物12と90度逆回転させた郵便物12の向きが互いに逆向きになる。
図46、図47に第2実施形態の回転搬送装置の動作を示す。また図48に、第2実施形態の回転搬送装置の制御のタイミングチャートを示す。図46乃至図48は、郵便物12を交互に逆向きに90度回転して搬送する場合の動作を順に示したものである。ここでは、郵便物12の長辺が郵便物12の搬送方向に平行となる状態で第3の搬送ローラ288に搬送され、その後、短辺が郵便物12の搬送方向に平行になって第3の搬送ローラ288から搬送する場合について説明する。図46、図47では、郵便物12の向き及び回転方向が分かるように記載している。
図46、図48に示すように、第3の搬送ローラ288に郵便物12が搬送されて第3のセンサー290が郵便物12を検知して検知信号(ON)を制御部246に出力する。すると制御部246は、ログ情報に従って、一定の待ち時間(T1)、第3の搬送ローラ288A、第3の搬送ローラ288Bの回転速度V0を維持し、同期回転を継続させて一定距離郵便物12を搬送する。一定の待ち時間(T1)経過後、制御部246は、ログ情報(回転切替信号)に従って、第3の搬送ローラ288Aの回転速度をVLとし、第3の搬送ローラ288Bの回転速度をVHとする第1の回転速度制御を一定時間(TR)行なう。これにより、第3の搬送ローラ288は非同期回転となり、郵便物12は、郵便物12の第3の搬送ローラ288よりも搬送方向の上流となる部分が第3の搬送ローラ288B側に移動する方向に回転する。そして、制御部246は、ログ情報にしたがって、郵便物12が90度回転したところで、第3の搬送ローラ288A及び第3の搬送ローラ288Bの回転速度をV0に戻して同期回転に戻す制御を行なう。これにより、郵便物12の回転を停止させた状態で、第3の搬送ローラ288から搬送ベルト238(区分け部254)に郵便物12が搬送される。そして、郵便物12が第3の搬送ローラ288から離れると第3のセンサー290からの検知信号がOFFとなる。
図47、図48に示すように、第3の搬送ローラ288に次の郵便物12が搬送される場合も前述の同様の制御が行なわれる。しかし、制御部246は、ログ情報(逆回転切替信号)に従って、第3の搬送ローラ288Aの回転速度をVHとし、第3の搬送ローラ288Bの回転速度をVLとする第2の回転速度制御を一定時間(TR)行なう。これにより、郵便物12を、郵便物12の第3の搬送ローラ288よりも搬送方向の上流となる部分が第3の搬送ローラ288A側に移動する方向に回転させて郵便物12を逆回転させる。これにより、区分け部254に積み上げられる郵便物12が交互に互いに逆向きとなる。第2実施形態における第3の搬送ローラ288の回転速度は、第1実施形態と同様の設計が可能である。
なお、本実施形態では、郵便物12を交互に逆向きに90度回転させることにより、互いに隣接する郵便物12の向きが互いに逆向きになるようにしている。しかし、例えば前述同様に、郵便物12を回転させる時間がTRより長い時間と、TRよりも短い時間が交互に来るようにログ情報を生成し、最初の郵便物12の回転角度を120度とし、次の郵便物12の回転角度を逆方向に60度として、結果的に互いに隣接する郵便物12の向きが互いに逆向きになるようにしてもよい。
図49に、第2実施形態の搬送装置の変形例を示す。第2実施形態において、搬送前と搬送後では、郵便物12の向きが90度回転する。そこで、搬送経路を途中で90度折り曲げることにより、搬送経路上での郵便物12の相対的な向きを結果的に変えないようにすることができる。図49では、郵便物12をその向きが分かるように記載している。そこで、変形例においては、搬送ベルト238の後に搬送方向が回転搬送装置220Aと90度で交差する搬送ベルト292を配置している。搬送ベルト292の上面は、搬送ベルト238の上面よりもやや低く(20〜30mm程度)なるように配置されている。
また、搬送ベルト292を支持する筐体294上の回転搬送装置220Aの搬送方向の延長線上であって搬送ベルト292を跨いだ側で搬送ベルト292に隣接した位置には、突き当て板296が配置されている。よって、搬送ベルト238から郵便物12が搬送されると、郵便物12は搬送ベルト292に直接は当接せずに突き当て板296に当接し、そのまま落下して搬送ベルト292上に配置され、搬送ベルト292の搬送方向に従って郵便物12が搬送されることになる。上記動作において、郵便物12は、回転搬送装置220Aに縦長で搬入されて横長で搬送(排出)されるが、搬送ベルト292の搬送方向が回転搬送装置220Aの搬送方向に対して90度で交差しているので郵便物12が縦長で搬送される。
本実施形態では、搬送物として郵便物12を前提として述べてきたが、シート状の搬送物であれば、金属板や木板のような板材、フィルム等のシート状のものなどに適用することができる。また、いずれの実施形態においても、搬送ローラ(第2の搬送ローラ234、第3の搬送ローラ288)による郵便物12の搬送が確実に行えるのであれば搬送ベルト238は省略することができる。また、本実施形態では、同期回転時及び回転速度制御時の回転速度を適切に調整することにより、押付ローラ240により郵便物12を押付ローラ240と搬送ローラの間に挟むことなく、搬送ローラのみで郵便物12の回転制御が可能である。この場合、押付ローラ240を省略することができる。なお、本実施形態では、搬送ローラと押付ローラ240の取り付け位置を互いに取り替えた配置としてもよい。
また、いずれの実施形態でも、郵便物12が所定枚数ごとに向きが反対となる状態で搬送する旨説明した。しかし、本実施形態では、ログ情報を用いて、回転速度制御のオン・オフの切替制御と、回転制御を行なう際の搬送ローラの回転速度(VH,VL)と、回転速度制御を行なう時間(TR)と、待ち時間(T1,T2)と、を調整することにより、郵便物12を任意の角度で回転させ(回転させない場合も含む)、回転後の郵便物12の向きを維持した状態で搬送することが可能である。よって、例えば、郵便物12が所定枚数ごとに向きが90度切り替わるようにすることも可能である。さらに、搬送後の郵便物12の向きを任意に設定できるので、区分け部254の向きを自由に設定することができる。
また、第1実施形態では、搬送経路に沿って搬送ローラが2つ配置されていたが3つ以上配置することも可能である。また、第2実施形態では搬送ローラが搬送経路上に1つ配置されていたが、搬送経路に沿って2つ以上配置することも可能である。そして制御部246は、ログ情報により各搬送ローラを個別に制御することが可能であり、遂次的に搬送される郵便物12を個別に任意の方向に回転させて搬送することができる。また、いずれの実施形態でも、郵便物12が搬送ローラに転接するタイミングが予測できる場合は、センサーによる郵便物12の検知は不要である。そして、上述のタイミングの情報を加えたログ情報により、郵便物12が各搬送ローラに到達する時間に合わせて郵便物12の回転制御(搬送ローラの回転速度制御)を行なうことが可能である。なお、本実施形態の区分け処理システム10(210)において、回転搬送装置220,220Aと、割符添付装置100と、は同時に用いることができる。
以上のことから、本実施形態に係る回転搬送装置220,220Aは、搬送物(郵便物12)の搬送経路上において前記搬送経路に交差する方向に並んで一対で配置され、前記搬送物に転接して当該搬送物を搬送する搬送ローラ(第1の搬送ローラ228、第2の搬送ローラ234)と、前記搬送ローラが前記搬送物に転接している間に、前記一対の搬送ローラの一方の回転速度と他方の回転速度とを互いに異ならせる回転速度制御を一時的に行なう制御部246と、を有し、搬送途中において前記搬送物の回転制御を可能としたことを特徴とする。
上記構成により、搬送途中で搬送物の向きを任意の向きに回転させ、回転後の向きを維持した状態で搬送物を搬送することが可能な回転搬送装置220,220Aとなる。
本実施形態において、前記制御部246は、前記搬送ローラが前記搬送物を所定枚数搬送するたびに前記回転速度制御をオン・オフする切替制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、向きを変えて搬送した搬送物と向きを変えずに搬送した搬送物とを所定枚数ごとに交互に搬送することができる。
本実施形態において、前記搬送ローラは、前記搬送経路上に複数並んで配置されていることを特徴とする。
上記構成により、搬送物を反転させることが可能となる。また、向きを反転させて搬送した搬送物と向きを反転させずに搬送した搬送物とを所定枚数ごとに交互に搬送することができる。このため、搬送後の搬送物を積み上げた場合、搬送物の厚みが不均一であっても、積み上げた搬送物において上に積まれたものほど傾斜していく状態を回避して、搬送物のバランスを取りつつ積み上げることができる。
また搬送物の反転は搬送中に行なうので、搬送物の反転させる動作が搬送物の積み上げる動作に干渉することはない。したがって、不均一な厚みを有する搬送物でも安定的かつ迅速に積み上げて結束可能となるように搬送可能な回転搬送装置220,220Aとなる。なお、この場合、搬送後の搬送物の長辺及び短辺の向きは搬送前と同じとなる。
本実施形態において、前記回転速度制御は、前記搬送ローラの一方の回転速度が他方の回転速度よりも速くなる第1の回転速度制御と、前記搬送ローラの一方の回転速度が他方の回転速度よりも遅くなる第2の回転速度制御と、を包含し、前記制御部246は、前記搬送ローラが前記搬送物を所定枚数搬送するたびに前記第1の回転速度制御と前記第2の回転速度制御との間で切替制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、前述同様の作用効果を有するが、搬送後の搬送物の長辺及び短辺の向きは、搬送前の状態から所定角度回転した状態となる。
本実施形態において、前記制御部246は、前記回転速度制御において、前記搬送ローラのうちの回転速度が遅い方の回転速度が、前記搬送ローラの同期回転時の回転速度よりも遅くなり、且つ前記搬送ローラのうちの回転速度が速い方の回転速度が、前記同期回転時の回転速度よりも速くなるように制御することを特徴とする。
上記構成により、搬送物の回転を小さな曲率半径で容易に行うことができる。
本実施形態において、前記搬送ローラに付勢して転接する押付ローラ240を有し、前記搬送物は、前記搬送ローラと前記押付ローラ240の間に挟まれた状態で前記搬送ローラにより搬送されることを特徴とする。
上記構成により、搬送物の搬送ローラに対するすべりを回避し、搬送物の搬送および回転制御を確実に行なうことができる。
本実施形態において、前記搬送ローラに転接する前記搬送物を検知するセンサー(第1のセンサー242、第2のセンサー244)を有し、前記制御部246は、前記センサーが前記搬送物を検知している間に前記回転速度制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、搬送物が搬送ローラに転接している間に搬送物を確実に回転させることができる。
本実施形態において、前記搬送物の長手方向が搬送方向と平行な状態で前記搬送物が前記搬送ローラに搬送される場合において、前記制御部246は、前記センサーが前記搬送物を検知してから前記搬送ローラが前記搬送物の長手方向の中央領域に転接しているときに前記回転速度制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、搬送物の回転時の回転半径を小さくして搬送物の回転を容易に行うことができる。
本実施形態において、前記センサーは、前記センサーがセンシング対象とする前記搬送物に転接する前記搬送ローラの間となる位置に配置されていることを特徴とする。
上記構成により、搬送物の検知を確実に行うことができる。
本実施形態において、前記センサーが前記搬送物を検知した回数をカウントするとともに前記制御部246が前記切替制御するための周期情報が記憶され、前記周期情報に対応する回数をカウントするたびに前記制御部246に信号を出力するカウンター252が設けられ、前記制御部246は、前記カウンター252からの信号により前記切替制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、周期情報を用いて、搬送物の反転・非反転の周期を任意に調整することができる。
本実施形態において、前記周期情報は、前記搬送物の前記周期情報に対応する枚数のうち、途中で前記搬送物に対する制御状態を切り替えるまでの枚数を表す回転枚数情報を有し、前記制御部246は、前記回転枚数情報に基づいて前記切替制御を行なうことを特徴とする。
上記構成により、回転枚数情報を用いて、回転させる搬送物の枚数と回転させない搬送物(または逆回転させる搬送物)の枚数を任意に調整することができる。
また、本実施形態に係る回転搬送方法は、搬送物(郵便物12)の搬送経路上において前記搬送経路に交差する方向に並んで一対で配置した搬送ローラ(第1の搬送ローラ228、第2の搬送ローラ234)を用いた前記搬送物の回転搬送方法であって、前記搬送ローラが前記搬送物に転接している間に、前記一対の搬送ローラの一方の回転速度と他方の回転速度とを互いに異ならせる回転速度制御を一時的に行なうことにより、搬送途中において前記搬送物の回転制御を行なうことを特徴とする。
上記方法により、搬送途中で搬送物の向きを任意の向きに回転させ、回転後の向きを維持した状態で搬送物を搬送することが可能となる。