JP2014111591A - 有機成分を全く含まない、無機化合物の木材保存剤 - Google Patents

有機成分を全く含まない、無機化合物の木材保存剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 無機系の成分のみで構成され、蒸散せず、防腐性が長く持続する無機系の木材保存剤を提供する。
【解決手段】 木材又は発泡ウレタン材に対する塗料の本塗装に先立って前記木材又は前記発泡ウレタン材に対する下塗装として塗布する木材保存剤である。リチウムシリケートを含む主剤と、ソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の木材保存剤である。リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合が、85/15から50/50の範囲であれば防蟻効果、防腐効果を発揮することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、木材又は発泡ウレタン材に防蟻剤、防腐剤、防カビ剤を与える、有機成分を全く含まない、無機化合物の木材保存剤に関するものである。
木造家屋などにおいて腐朽菌による腐蝕やカビによる美観の劣化や疾病の発生が大きな問題として知られている。
最近の住宅は省エネの観点から高気密・高断熱化処理が施されており、使用木材に結露が生じやすい環境であり、十分な乾燥ができない状態が継続されてしまうことも多い。また、近年、地球温暖化傾向が顕著となり、集中豪雨がもたらす水害により木造家屋の基礎部分が覆水してしまう床下浸水などが発生する可能性も高くなってきた。ここで、腐朽菌は自然界のどこにでも存在する菌であるため、木造家屋の木材に結露が生じて水分で覆われてしまったり、木造家屋の基礎部分が雨などで覆水してしまったりすると、腐朽菌やカビが繁殖してしまい、深刻な被害を受けることがあり得る。その後自然乾燥しても一度水分で覆われた木材は十分には乾燥することは難しく、腐朽菌による腐蝕被害、カビによる美観の劣化や疾病の発生のリスクを免れることはできない。
また、木造家屋などにおいてシロアリによる食害も大きな問題である。
シロアリは高温多湿を好むが、生命力が強く、日本、アジア、南北アメリカ、ヨーロッパをはじめ、熱帯から亜寒帯まで広く分布することが知られている。シロアリの食物はセルロース質の木材であり、特に木造家屋の木材も被害に逢いやすい。一度シロアリの食害にあった木材は内部が食い荒らされ、構造的強度が低下し、木造家屋が崩壊する場合もあり得る。
従来技術において、様々な防蟻剤、防腐剤、防カビ剤が開発されているが、大きく大別して有機系製剤と無機系製剤がある。
まず、有機系製剤について述べる。
現在、市場にある防蟻剤、防腐剤、防カビ剤の殆どは有機系製剤である。有機系製剤とは、その成分のほとんどが有機材料から成るものである。
近年様々な防蟻剤、防腐剤、防カビ剤が開発されてきたが、いわゆる有機系が多いものであり、有効成分である防蟻剤、防腐剤、防カビ剤を有機溶剤に溶解させたものが主流を占めている。有機溶剤としては、例えば沸点が200℃以上で有効成分や補助成分に対する溶解力が十分であり、低臭性で人畜に対する安全性が高く環境汚染の少ないものから選ばれる。例えば、蒸留範囲が290〜305℃のフェニルキシリルエタンなどの高沸点芳香族系有機溶剤などが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
木材保存剤は木材表面に塗布したり木材内部に含浸させたりして木材を改質し、防腐性や防カビ性をもたせるものである。古くから用いられている木材保存剤としては、長期間に耐朽性を持続するクレオソート油が知られている(例えば、特許文献2参照)。クレオソート油は、ある程度長期間に耐朽性を持続する木材防腐剤ではあるが、石炭の乾留によって製造される多環芳香族炭化水素を多量に含有するものであるので、発ガン性を有する多環芳香族炭化水素等の有害物質を多量に含むため環境に対して与える悪い影響が問題となっていた。
次に、無機系製剤について述べる。
現在、市場で流通している無機系の防腐剤、防蟻剤として、成分のすべてが無機成分からなる塗料はほとんど存在しない。その理由は、防蟻剤、防腐剤、防カビ剤中の無機成分は伸縮に乏しいため、無機成分のみで木材保存塗料を作製した場合、塗料膜の伸縮に追随性が無く、塗料膜が剥離してしまうからである。そこで、追随性を補完するために成分の一部に有機系素材を配合しているのが実情である。つまり、成分の一部に有機系素材を含む木材保存塗料であり、成分のすべてが無機系素材からなる木材保存塗料はまだ開発されていない。
特開平10−7502号公報 特開平8−25311号公報
従来技術における防蟻剤、防腐剤、防カビ剤の問題は、含有する有機成分の劣化・溶脱・揮散によって製剤としての防蟻剤、防腐剤、防カビ剤が低下してしまう問題である。
防蟻剤、防腐剤、防カビ剤が施用される木造家屋は、外界の環境にさらされており、雨、紫外線、熱などの影響を受ける。有機系成分は外界の影響を受けやすく対候性が大きくないため、蒸散や分解などが進み、経年劣化しやすいため、その寿命は決して長いものではない。また、成分によっては微生物による劣化を受けることもあり、一般的には、5年程度しか効果が持続しないと言われている。
上記特許文献1に示した高沸点芳香族系有機溶剤の中でもフェニルキシリルエタンは、木材に対する浸透性がとりわけ良好なものであるが、やはり、蒸散により臭気を生じるという不具合がある。
また、上記特許文献2に示したクレオソート油は、石炭の乾留によって製造される多環芳香族炭化水素を多量に含有するものであるので、蒸散により発ガン性を有する多環芳香族炭化水素等の有害物質を放出してしまうため健康に与える影響が問題となっていた。
さらに、木材保存剤として多用されているACQ(銅・四級アンモニュウム化合物)では、有機成分の四級アンモニュウム化合物が経年劣化により失われたところに、腐朽菌の一種であるオオウズラタケが付着繁殖した場合、オオウズラタケが出すシュウ酸により、残っている無機材料の銅が犯されてしまう可能性がある。
併せて、ある種の腐朽菌により腐朽された木材には、シロアリを誘引する「道しるべフェロモン」に似た物質を発することが知られており、ほぼ日本全国に分布するヤマトシロアリ等はこのフェロモンに誘引されることが報告されている。即ち、木材の腐朽は蟻害に発展する可能性が大きくなると言える。
これらの問題を解決するには、経年変化による有効成分の揮散がない完全な無機化合物からなる木材保存剤を適切な使用方法で用いることである。
そこで、上記問題に鑑み、本発明は、有機成分を全く含まない製剤であって、防蟻性、防腐性、防カビ性が長く持続でき、環境に負荷を与えることのない無機化合物の木材保存剤を提供することを目的とする。
本発明の木材保存剤は、リチウム化合物に対してナトリウム化合物を配合した有機成分を全く含まない無機化合物の木材保存剤である。
リチウム化合物として、リチウムシリケート、酸化リチウム、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムのいずれかまたはそれらの組み合わせであっても良い。
なお、前記ナトリウム化合物として、ソディウムシリケート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのいずれかまたはそれらの組み合わせであっても良い。
まず、リチウム化合物としてはリチウムシリケートを主成分とする化合物であり、ナトリウム化合物としてはソディウムシリケートを主成分とする化合物である場合について述べる。
まず、リチウムシリケートを含む主剤について述べる。
発明者らは長年の防蟻剤開発、防腐剤開発、防カビ剤開発の試行錯誤と実験を通じて、人体にとっては安全と思われる無機化合物の中から防蟻性、防腐性、防カビ性を備えた成分を検証してきた結果、酸化リチウムにある程度の防蟻効果、防腐効果、防カビ効果が有ることが検証できた。
ここで、酸化リチウムを提供する製剤として、実使用において化学的にも安定し、経済面での負担もある程度低いことから、リチウムシリケートに注目してきた。リチウムシリケートは、酸化リチウムのシリケート塩であり、用途しては金属表面処理、塗料ビヒクルや耐熱バインダー等があげられるアルカリ軽金属化合物である。
[表1]にリチウムシリケートのみの「JIS K 1571−2010試験」の結果を示す。試験は京都大学生存圏研究所居住圏環境共生分野において行った。
[表1]中の値は全て食害の平均値(%)である。「JIS K 1571−2010試験」では3%以下が合格である。
[表1]の結果から判断すると、リチウムシリケート原液は、注入処理を行なった上に耐候操作を行なえば、JIS試験を合格する防蟻性、防腐性、防カビ性を発揮できる物質であることが分かる。即ち、市販のリチウムシリケートには、希釈倍率を考慮しない場合、注入処理では良好な防蟻性、防腐性、防カビ性効果があることが分かった。
ここで、市場で流通しているリチウムシリケート原液は、比較的高価であり、実使用において経済面から現実的な製剤とならないと思われる。
しかし、発明者らは、リチウムシリケートは希釈してしまうと、その防腐性、防蟻性が小さくなってしまうことに気付いた。リチウムシリケートを希釈した場合の防蟻性、防腐性、防カビ性について調べた結果を[表2]に示す。
試験は京都大学生存圏研究所居住圏環境共生分野において行った。試験方法はφ55のろ紙をシャーレに置きリチウムシリケート溶液を0.4ml滴下し、イエシロアリの職アリ30頭を投入し、死虫数をカウントする。試験回数は各3回行った。[表2]中、値は全て平均値である。リチウムシリケート希釈液はリチウムシリケート原液を10倍希釈したものを用いた。
この実験結果から分かるように、製剤としての原価を下げるために希釈倍率を上げると、リチウムシリケートは、極端にその防腐性、防蟻性の結果が悪くなってしまい、無処理のものと殆ど変わりがないレベルにまで低下してしまう。即ち、市販のリチウムシリケートは、実現性のある希釈倍率を考慮した場合、リチウムシリケートの注入処理のみでは良好な防蟻性・防腐性・防カビ性効果を十分には発揮できないことが分かった。
そこで、発明者らは、副剤を配合することによって主剤のリチウムシリケートの希釈による効能低下を抑制することが可能か否かを研究した。副剤を検討するにあたり、無機化合物の中から選定することを前提とした。主剤も無機化合物、副剤も無機化合物とすることで製剤全体が完全な無機化合物製剤とすることができる。
発明者らは、[表1]のJIS試験の結果についても統計処理をし、酸化リチウムと共に二酸化ケイ素の防蟻性・防腐性・防カビ性への寄与率に着目してみると、あくまでも統計処理での結果であるが、二酸化ケイ素の寄与率も無視できないことを発見した。
発明者らは、生体内で重要な働きを左右するソディウムイオンに注目し、製造上取扱いが簡単な酸化ソディウムのシリケート塩である「ソディウムシリケート」を副剤として添加し、試験を繰り返した。ソディウムシリケートは無機化合物として一般的に安全性が確認されており、且つ価格が低いものである。発明者らは鋭意研究する中、実用性から主剤としてのリチウムシリケートの希釈率を大きくした場合でも、副剤としてソディウムシリケートを添加することにより木材保存としての製剤全体の防蟻性・防腐性・防カビ性の低下を抑えることが可能であることを発見した。
ここで、ソディウムシリケート単体では、リチウムシリケートほどのシロアリに対する高い防蟻性、腐朽菌に対する高い防腐性能、カビに対する高い防カビ性を発揮するものではないが、ソディウムシリケートを副剤として配合することにより、希釈して効能が低下するリチウムシリケートを補完して製剤全体の防蟻性・防腐性・防カビ性の低下を抑えることができる。
ソディウムシリケート自体は広く知られた物質であるが、リチウムシリケートを希釈した状態でリチウムシリケートに対してソディウムシリケートを配合することにより、リチウムシリケートの希釈によるシロアリに対する防蟻性、腐朽菌に対する防腐性、カビに対する防カビ性の低下を抑制する効果については公知ではなく、本発明者である吉村剛と堀井三郎の研究により初めて明らかになった。その結果、有機成分を全く含まない無機化合物の木材保存剤を完成させるに至った。
主剤と副剤の配合について述べる。
主剤のリチウムシリケートと副剤のソディウムシリケートの割合については、90:10から50:50の範囲に配合することが好ましい。
製剤の一例としては、主剤のリチウムシリケートと副剤のソディウムシリケートの割合は、75:25の比率に配合したものとする。
また、製剤における酸化リチウムまたは酸化ソディウムの配合が2.5モルから7.5モル、二酸化ケイ素の配合が1.0モルから4.0モルの範囲の配合となるように調製することが好ましい。
なお、調製した製剤の防腐性、防蟻性の効果確認については実施例などにおいて詳述する。
次に、リチウム化合物とナトリウム化合物に関するバリエーションについて述べる。
上記では、リチウム化合物としてリチウムシリケートを用い、ナトリウム化合物としてソディウムシリケートを用いたものを説明したが、シリケート化合物を用いずに、リチウム化合物として、酸化リチウム、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムのいずれかまたはそれらの組み合わせとし、ナトリウム化合物として、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのいずれかまたはそれらの組み合わせとすることができる。
なお、それらリチウム化合物とナトリウム化合物に対してシリカゲルまたはアモルファスシリカを配合することにより、当初からリチウムシリケートとソディウムシリケートを用いて製作した製剤と同様に、防蟻、殺蟻効果、防腐、防カビ効果があることが分かった。
また、製剤成分におけるSiO2成分の働きの一つとして、塗布対象物への接着性があるが、他の物質であっても接着性を与えるものであればSiO2に代えて用いることができる。例えば、アモルファス酸化チタンを配合することができる。
次に、本発明の木材保存剤のバリエーションとして、無機化合物である主剤および副剤に加えて、防腐、防蟻の即効性の高い添加剤を加えた構成も可能である。例えば、添加剤として、四級アンモニュウム化合物またはパーフルオロアルキル化合物の有機化合物の成分を少量配合するバリエーションを発見した。この四級アンモニュウム化合物またはパーフルオロアルキル化合物は有機化合物である。有機化合物は即効性があり、腐朽菌やシロアリの忌避効果が高く、特に塗布直後から腐朽菌の付着がなく、シロアリの食害も生じずに高い忌避性を発揮する。つまり、忌避効果のみに着目すれば有機化合物は高い効能を発揮するメリットがある。しかし、有機化合物は、人体、環境に影響を与える可能性があり、高濃度のものを大量に使用することは好ましくない。また、有機化合物は分解しやすく経時的に劣化してゆくというデメリットがある。その一方、無機化合物は、人体、環境に影響を与えるおそれが小さく、分解しにくく経時的に劣化する問題が少ないというメリットがある。従来技術の無機化合物製剤では、腐朽菌やシロアリの忌避効果が高いものが開発されていなかったが、上記したように、本発明の木材保存剤でありながら腐朽菌やシロアリの忌避効果が高い無機化合物製剤であるが、さらに、忌避効果の即効性を付与するため、少量の有機化合物成分を添加剤として配合するものである。この添加剤の配合により、添加剤である有機化合物由来の即効性の高い忌避性を発揮するとともに、主剤および副剤である無機化合物由来の永続性のある忌避性を発揮することができる。
なお、上記の添加剤は、四級アンモニュウム化合物またはパーフルオロアルキル化合物の有機化合物を、主剤および副剤の無機化合物製剤に添加する形であるが、木材に対して別々に施用することが可能である。
主剤および副剤の無機化合物の成分を下剤として木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させて防腐性および防蟻性の永続性を付与する一方、四級アンモニュウム化合物またはパーフルオロアルキル化合物の有機化合物の成分を表面剤として木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布して防腐性および防蟻性の即効性を付与するものである。このように、木材又は発泡ウレタン材へ下剤と表面剤に分けて施用することにより、防腐性および防蟻性の即効性と永続性とを兼ね備えた木材保存剤を得ることができる。
本発明の木材保存剤は液状のものであり扱いやすい。例えば、材料としての木材の状態であっても施用することができる。例えば、切り出して木材貯留場にある木材に施用しておくこともできる。また、木材を建築資材に製材した状態の木材に施用しておくこともできる。さらに、建築済みの木造家屋に施用することも可能である。
木材のpHに関しては、本発明の木材保存剤を施用した箇所のpHが中性からアルカリ性を示す範囲となるように使用することが好ましい。もともと木材は一部を除きpH3〜5の酸性値を示すが、本発明の木材保存剤を塗布することにより施用箇所のpHがpH9前後に改質され、従来は問題となっていた鉄製の釘、ねじ、金具等を錆びにくくできるという副次的効果もある。
次に、本発明の木材保存方法は、リチウムシリケートを含む主剤と、ソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の成分を木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させて防腐性および防蟻性の永続性を付与する木材保存方法である。
また、本発明の木材保存方法は、リチウムシリケートを含む主剤と、ソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の成分を下剤として木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させて防腐性および防蟻性の永続性を付与し、四級アンモニュウム化合物またはパーフルオロアルキル化合物の有機化合物の成分を表面剤として前記木材又は前記発泡ウレタン材の表面に塗布して防腐性および防蟻性の即効性を付与することを特徴とする木材保存方法である。
なお、本発明の木材保存剤は、無機製剤であるため木材表面への定着性や木材表面下への含浸性は十分に発揮されるものの、やはり風雨に晒されると徐々に溶脱してゆくおそれがある。そのため、本発明の木材保存剤は、本塗装用の塗料塗布の下地に下塗りする木材保存剤として利用することが好ましい。つまり、本塗装に先立って本発明の木材保存剤を木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布または表面下に含浸させて下地塗装を行い、乾燥後、本塗装用の塗料を用いて本塗装を行う。この本塗装用の塗料は、限定されず、有機系塗料であっても無機系塗料であっても良い。有機系塗料は対候性が大きくないため蒸散や分解などが進み、経年劣化しやすく、一般的には、アクリル系塗料で5年程度、フッ素系塗料でも15年程度しか効果が持続しないと言われているが、下地塗装として本発明の木材保存剤を用いて木材の改質を行っている場合、木材そのものに腐朽は進まず、表面の塗料の経年劣化が進んでくれば、表面の塗料のみ塗り直せば良く、木材自体の保存は長期にわたり可能となる。
本発明の木材保存剤により、有機成分を全く含まない製剤であって、防蟻性、防腐性、防カビ性が長く持続でき、環境に負荷を与えることのない無機化合物の木材保存剤を得ることができる。
本発明の木材保存剤は、シロアリに対する防蟻性、腐朽菌に対する防腐性、カビに対する防カビ性が確保されるとともに、無機系化合物のみからなる製剤であるため木材又は発泡ウレタン材表面への定着性や、表面下への含浸性が十分に確保することができる。また、本発明にかかる無機系化合物からなる木材保存剤によれば、従来の有機系木材保存剤のように蒸散するという問題が発生せず、環境に対して有害物質を放出することもない。
以下、本発明の木材保存剤の実施例を説明する。なお、本発明はこれらの構成例に限定されるものではない。
実施例1として本発明の無機系の木材保存剤100の構成例を示す。
本発明の無機系の木材保存剤は、リチウムシリケートを含む主剤と、ソディウムシリケートを含む副剤を必須成分として含有する。
リチウムシリケートとは、アモルファスシリカと酸化リチウムとの化合物であり、ソディウムシリケートとは、アモルファスシリカと酸化ナトリウムとの化合物である。
まず、主剤について説明する。
主剤であるアモルファスシリカと酸化リチウムとの化合物であるリチウムシリケートとして、無水珪酸(SiO2)と酸化リチウム(Li2O)とを所定条件下で混合反応させてシリケート結合させたものが好適に用いられる。リチウムシリケートは、リチウムと二酸化ケイ素が、Si−O−Liの結合を示すもので、この状態での二酸化ケイ素はアモルファスシリカであって、固形物を含むものではない。
製剤としては、塗布性や膜硬度を考慮すると、使用するリチウムシリケートの濃度は重量比15〜25wt%程度でモル比(SiO2/Li2O)が2〜7.5の範囲のものが特に好ましい。この実施例において特に表示がない場合、モル比(SiO2/Li2O)は2.77とする。
リチウムシリケートは、無機物質でありながらもある程度の接着性がある。また、pHは11前後とアルカリ性を示す。
次に、副剤について説明する。
副剤であるソディウムシリケート(ケイ酸ナトリウム)は多様な用途で広く用いられている化合物である。ソディウムシリケートは一般にNa2O・nSiO2・mH2Oの分子式で表され、Na2OとSiO2のモル比である係数nによって、ソディウムシリケートの物性と用途が異なる。一般にはモル比n=0.5〜4.0の範囲である。モル比nが1以下のものは結晶性珪酸ソーダと呼ばれ、モル比nが1以上の物は非結晶性である。このモル比を連続的に変化させることが可能で、水溶液あるいは結晶粉末として存在する。この実施例では、特に表示がない場合はモル比3.23のものを例に説明する。
ソディウムシリケートの用途としては、一般には、地盤改良剤、石けん・合成洗剤の添加剤、 乾燥剤、ゴム・プラスチックの補強充填剤、農薬の分散剤、塗料のつや消し、合成樹脂の改質、鋳型用砂の硬化剤、濁水の凝集剤等の用途があり、古くから使われてきた。例えば、地盤改良剤としては軟弱地盤の工事における薬液注入工法に用いられる。石けん・合成洗剤の添加剤としては洗剤の自己分解を抑制する用途である。乾燥剤は多孔性の無定型シリカであるシリカゲルという形で提供されることが多い。濁水の凝集剤としてはゼオライトという珪酸ソーダとアルミン酸ソーダ等を用いて合成される結晶性アルミノ珪酸塩の形で使用されることが多い。
このように多様な用途のあるソディウムシリケートであるが、ソディウムシリケートを木材の表面に塗ったり表面下に含浸させたりして、木材をシロアリの食害から防護する木材保存剤、木材を腐朽菌から防護する木材保存剤、木材をカビの繁殖から防護する木材保存剤として用いることはまったく知られておらず、また、従来の用途から容易に想定できるものでもない。
本発明の木材保存剤は、主剤リチウムシリケートに対して、副剤としてソディウムシリケートを配合し、木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させることにより、シロアリの食害防止、腐朽菌の繁殖防止、カビの繁殖による美観の劣化や疾病の発生防止に資するものである。
次に本発明の木材保存剤としての、主剤と副剤の配合について説明する。
本発明者は、主剤であるリチウムシリケート、副剤であるソディウムシリケートがそれぞれ防蟻性、防腐性、防カビ性の効能を持つことを、実験を通じて確かめたが、さらにその配合割合についても研究を重ねてきた結果、好ましい主剤と副剤の配合割合について知見を得た。
以下、実証実験として、シロアリ濾紙試験と腐朽試験を行った。
まず、防蟻性を確認するためのシロアリ濾紙試験について述べる。
[実証実験1:シロアリ濾紙試験]
試験用の製剤として、主剤であるリチウムシリケート、副剤であるソディウムシリケートの割合を様々に調整した製剤を用意した。ここでは、以下の[表3]に示す製剤1、製剤2、製剤4の3パターンを用意した。
製剤1は、リチウムシリケートのみでソディウムシリケートを含まない製剤、製剤2は、リチウムシリケート85%、ソディウムシリケート15%を含む製剤、製剤3は、リチウムシリケート75%、ソディウムシリケート25%を含む製剤、製剤4は、リチウムシリケート65%、ソディウムシリケート35%を含む製剤である。
実験は以下の方法でおこなった。直径55mmの濾紙を予めアルコール消毒したシャーレ底部に置き、製剤1、製剤2、製剤3、製剤4をそれぞれ0.4ml滴下塗布したものを用意した。
なお、比較対象として非イオン水を0.4ml滴下塗布した濾紙(CONTROL)を入れたシャーレも作成した。全てのシャーレにイエシロアリの職蟻もしくは擬職蟻を30頭投入し、シャーレの蓋をした上で、全てのシャーレを予め非イオン水を浸み込ませた脱脂綿を底部に敷いた容器にいれ、温度28℃±2℃、相対湿度60%以上のシロアリ飼育室に置き、時間経過と死中率を調べた。実験は21日間にわたって行われ、シロアリによる濾紙の食害を観察した。実験は京都大学生存圏研究所居住圏環境共生分野において行った。実験は3回にわたって行った。
実験結果を図1から図3に示す。
図1は実験開始から7日経過した状態を示している。図2は実験開始から15日経過した状態を示している。図3は実験開始から21日経過した状態を示している。
各実験において個体差の影響を小さくするため、各製剤とも3つの試験区分を用意して行った。各図において、3つの試験区分それぞれの結果を上から並べて示している。
なお、図1から図3において、実験結果として写真とともに記載されている3つの数字は左から順に“死亡頭数”、“衰弱頭数”、“生存頭数”を示しており、例えば、“30−0−0”は、シャーレ内のシロアリの死亡頭数“30頭”、衰弱頭数“0頭”、生存頭数“0頭”を示している。
図1から図3を見比べることによって、シロアリの食害の経過を観察することができる。
まず、図1を見て7日経過時点での結果を考察する。
まず、無施用のControlのシャーレを見ると、シロアリは全数生存しており、濾紙の食害も多く見られている。つまり、実験環境で7日経過後した状態において、防蟻剤などが施用されない限りシロアリが元気に生存する環境が保たれていることが確認できる。
製剤1を見ると、7日経過後にすべての試験区分において20頭程度のシロアリが死亡している。なお、濾紙の食害は、全体としては少ないものの周囲の部分において見られる。
この結果から、製剤1は7日経過後において多数のシロアリが死亡していることより十分に高い殺蟻性が認められる。食害についても少なく高い防蟻性が発揮されているが、濾紙の周縁は少し食害されてしまうことが分かった。
次に、製剤2を見ると、7日経過後にすべての試験区分において数頭から半数程度のシロアリが死亡している。なお、濾紙の食害は、全体としては少ないものの周囲の部分において見られる。
この結果から、製剤2においても7日経過時点でシロアリが少し死んでいるため、殺蟻性が認められる。しかし、死虫率は製剤1に比べて低下しており、製剤1に比べて同等とまでは言えず殺蟻性は低下していると言える。食害については、コントロールに比べて食害が少なく防蟻性が認められるが、周縁部分は食害されていることから製剤1の防蟻性よりは低下していることが分かった。
次に、製剤3を見ると、7日経過後に既に全頭死亡している試験区分もあり、残り2つの試験区分も半数以上のシロアリが死亡している。また、濾紙の食害は全体のみならず周囲の部分においてもほとんど見られない。
この結果から、製剤3は7日経過後において多数のシロアリが死亡していることから十分に高い殺蟻性が認められる。死虫率も製剤1に比べて若干高くなっており、製剤1よりも殺蟻性が向上していることが確認できる。食害については、周縁部分も含めて濾紙の食害はほとんどなく、もっとも高い防蟻性が発揮されていることが分かった。
次に、製剤4を見ると、7日経過後にすべての試験区分において数頭から半数程度のシロアリが死亡している。なお、濾紙の食害は、全体としては少ないものの周囲の部分において見られる。
この結果から、製剤4においても7日経過時点でシロアリが少し死んでいるため、殺蟻性が認められる。しかし、死虫率は製剤1に比べて低下しており、製剤1に比べて殺蟻性は低下していると言える。食害については、コントロールに比べて食害が少なく防蟻性が認められるが、周縁部分は食害されていることから製剤1の防蟻性よりは低下していることが分かった。
次に、図2を見て15日経過時点での結果を考察する。
まず、無施用のControlのシャーレを見ると、シロアリは全数生存しており、濾紙の食害も多く見られている。つまり、実験環境で15日経過後した状態においても、防蟻剤などが施用されない限りシロアリが元気に生存する環境が保たれていることが確認できる。
次に、製剤1を見ると、15日経過後に2つの試験区分において全頭のシロアリが死亡し、1つの試験区分では少数ながら生存が確認された。7日経過時点に比べて明らかに死亡頭数が増加している。また、食害については、3つの試験区分とも7日経過時点に比べて濾紙の周囲においても食害の進行が少し収まっていることが分かった。
この結果から、製剤1の殺蟻性は15日経過しても十分に維持されており、十分に高い殺蟻性が認められる。また、製剤1の防蟻性も15日経過しても維持されていることが分かった。
次に、製剤2を見ると、15日経過後に1つの試験区分において全頭のシロアリが死亡しているが、2つの試験区分では20頭程度は生存が確認された。7日経過時点に比べて明らかに死亡頭数が増加しているが、製剤1に比べて生存頭数が多い。食害については、3つの試験区分ともコントロールに比べて少ないものの、濾紙の周囲において食害が少し進んでいることが分かった。
この結果から、製剤2の殺蟻性は15日経過しても十分に維持されており、十分な殺蟻性が認められる。しかし、生存頭数は製剤1よりも多いため、製剤1の殺蟻性よりも若干低くなっている。製剤1の防蟻性も15日経過しても維持されていることが分かった。
次に、製剤3を見ると、15日経過後に2つの試験区分において全頭のシロアリが死亡しており、1つの試験区分においてもほとんどのシロアリが死亡していることが確認された。7日経過時点に比べて明らかに死亡頭数が増加しており、製剤1に比べても死亡頭数が多いことが分かった。濾紙の食害については全体のみならず周囲の部分においてもほとんど見られない。
この結果から、製剤3の殺蟻性は、15日経過しても十分に維持されており、十分な殺蟻性が認められる。さらにその殺蟻性は、製剤の中で死亡頭数がもっとも多いため、もっとも高い殺蟻性が発揮されていることが分かる。食害についてもほとんどなく、もっとも優れた防蟻性が発揮されていることが分かった。
次に、製剤4を見ると、すべての試験区分において15日経過後でも半数以上のシロアリが生存している結果となった。7日経過時点に比べて明らかに死亡頭数が増加しているが、製剤1、2、3に比べて生存頭数が多い。食害については、3つの試験区分ともコントロールに比べて少ないものの、濾紙の周囲において食害が少し進んでいることが分かった。
この結果から、製剤4の殺蟻性は15日経過しても維持されており、殺蟻性が認められる。しかし、生存頭数は製剤1、2、3よりも多いため、製剤の中でもっとも殺蟻性が低い。また、食害がコントロールに比べて少ないため、防蟻性は15日経過しても維持されていると言えるが、食害が製剤1、2、3に比べて多く、防蟻性は製剤の中でもっとも低いことが分かった。
次に、図3を見て21日経過時点での結果を考察する。
まず、無施用のControlのシャーレを見ると、シロアリは全数生存しており、濾紙の食害も多く見られている。つまり、実験環境で21日経過後した状態においても、防蟻剤などが施用されない限りシロアリが元気に生存する環境が保たれていることが確認できる。
次に、製剤1を見ると、21日経過後にはすべての試験区分において全頭のシロアリが死亡した。食害については周縁においても収まっていることが分かった。
この結果から、製剤1の殺蟻性は21日経過しても十分に維持されており、十分に高い殺蟻性が認められる。また、製剤1の防蟻性も21日経過しても維持されていることが分かった。
次に、製剤2を見ると、15日経過時点でシロアリが半数以上生存していた2つの試験区分において、21日経過後には全頭死亡した試験区分があり、1つの試験区分でもほとんどのシロアリが死亡していることが分かった。食害については周縁においても収まっていることが分かった。
この結果から、死虫率は製剤1に比べて低いが、シロアリを殺蟻する効果があることが確認できる。製剤2の殺蟻性は21日経過しても十分に維持されており、高い殺蟻性が認められる。また、製剤2の防蟻性も21日経過しても維持されていることが分かった。
次に、製剤3を見ると、15日経過時点で唯一シロアリが半数以上生存していた試験区分においても21日経過後では全頭のシロアリが死亡している。また、濾紙の食害はまったく進んでいないことが分かった。
この結果から、製剤3の殺蟻性は、21日経過しても十分に維持されており、十分な殺蟻性が認められる。さらにその殺蟻性は、製剤の中で死亡頭数がもっとも多いため、もっとも高い殺蟻性が発揮されていることが分かる。食害についてもほとんどなく、もっとも優れた防蟻性が発揮されていることが分かった。
次に、製剤4を見ると、15日経過時点でシロアリが半数以上生存していた2つの試験区分において、21日経過後には全頭死亡した試験区分があり、1つの試験区分でもほとんどのシロアリが死亡していることが分かった。食害については周縁においても収まっていることが分かった。
この結果から、製剤4の殺蟻性は21日経過しても維持されており、殺蟻性が認められる。しかし、生存頭数は製剤1、2、3よりも多いため、製剤の中でもっとも殺蟻性が低い。また、食害がコントロールに比べて少ないため、防蟻性は21日経過しても維持されていると言えるが、食害が製剤1、2、3に比べて多く、防蟻性は製剤の中でもっとも低いことが分かった。
以上の実験結果をまとめると、コントロールに比べて製剤1、2、3、4のいずれも高い殺蟻性・防蟻性を持っていることが確認できたため、リチウムシリケートを含む主剤と、ソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の木材保存剤には殺蟻効果・防蟻効果があることが確認できた。
また、リチウムシリケートとソディウムシリケートとの配合割合については、製剤1、製剤2、製剤3、製剤4の順に、[100/0]、[85/15]、[75/25]、[65/35]であるところ、殺蟻性・防蟻性の高さは、製剤3、製剤1、製剤2、製剤4、コントロールの順である。つまり、リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合は、[100/0](製剤1)から[65/35](製剤4)の前後の範囲であれば、殺蟻性・防蟻性が発揮でき、さらに、リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合が[75/25](製剤3)の前後の範囲であれば特に高い防蟻効果が得られることが分かった。
ここで、製剤における成分の変化の可能性について述べる。
主剤であるリチウムシリケートを構成する酸化リチウムは、その一部が溶液中で水酸化リチウム溶液となったり、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸リチウムに変化して沈殿したりすることが理論上有り得る。しかし、溶液中の酸化リチウムの含有量がごく少量のため、水酸化リチウムや炭酸リチウムへ変化してしまう量も多くないと考えられる。なお、上記の変化により水酸化リチウム、炭酸リチウムが生成したとしても、上記実験で確認したように、リチウムシリケートを含む主剤とソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の木材保存剤における殺蟻効果・防蟻効果について大きな支障を来たすことはないことが分かった。
次に、上記に得た製剤1、2、3、4について、希釈度を代えて防蟻性、殺蟻性を実証した。希釈度の大きい場合でも防蟻性、殺蟻性が発揮できれば、施用のコスト低減が図れるところ、希釈度による効果の違いを検証することは重要である。
以下、表3に示した製剤1、2、3、4のそれぞれについて、1倍希釈溶液、5倍希釈溶液、10倍希釈溶液を製作し、それぞれ同様にJIS試験を行った。
ちなみに、再掲すると、製剤1は、リチウムシリケートのみでソディウムシリケートを含まない製剤、製剤2は、リチウムシリケート85%、ソディウムシリケート15%を含む製剤、製剤3は、リチウムシリケート75%、ソディウムシリケート25%を含む製剤、製剤4は、リチウムシリケート65%、ソディウムシリケート35%を含む製剤である。
実験も同様であるが、再掲すると、直径55mmの濾紙を予めアルコール消毒したシャーレ底部に置き、製剤1、製剤2、製剤3、製剤4をそれぞれ0.4ml滴下塗布したものを用意し、全てのシャーレにイエシロアリの職蟻もしくは擬職蟻を30頭投入し、シャーレの蓋をした上で、全てのシャーレを予め非イオン水を浸み込ませた脱脂綿を底部に敷いた容器にいれ、温度28℃±2℃、相対湿度60%以上のシロアリ飼育室に置き、時間経過と死中率を調べた。実験は短いもので21日間、長いもので32日間にわたって行われ、シロアリによる濾紙の食害を観察した。実験は京都大学生存圏研究所居住圏環境共生分野において行った。実験は3回にわたって行った。
実験結果を図4から図7に示す。
図4(a)は、製剤1(Li2O/SiO2:Na2O/SiO2 100:0)の1倍希釈溶液、5倍希釈溶液、10倍希釈溶液の試験結果後の濾紙の食害状況を示す図である。図4(b)はシロアリの死虫率を示している。
図4に示すように、希釈率が大きくなるにつれ、食害も大きくなり、死虫率も下がってゆく。ここで、10倍希釈になると3週間後の死虫率は20%前後であり、その後も死虫率は上がらないように見受けられる。つまり、製剤1では希釈率が大きくなると防蟻性、殺蟻性が十分には得られないおそれがあることが分かる。
次に、図5(a)は、製剤2(Li2O/SiO2:Na2O/SiO2 85:15)の1倍希釈溶液、5倍希釈溶液、10倍希釈溶液の試験結果後の濾紙の食害状況を示す図である。図5(b)はシロアリの死虫率を示している。
図5に示すように、希釈率が大きくなるにつれ、食害も大きくなり、死虫率も下がってゆく。ここで、10倍希釈になっても3週間後の死虫率は80%程度、4週間後の死虫率は100%である。つまり、製剤2では希釈率が大きくなっても防蟻性、殺蟻性が十分に得られるものであることが分かる。
次に、図6(a)は、製剤3(Li2O/SiO2:Na2O/SiO2 75:25)の1倍希釈溶液、5倍希釈溶液、10倍希釈溶液の試験結果後の濾紙の食害状況を示す図である。図6(b)はシロアリの死虫率を示している。
図6に示すように、希釈率が大きくなるにつれ、食害も大きくなり、死虫率も下がってゆく。ここで、10倍希釈になっても3週間後の死虫率は100%近くである。つまり、製剤3では希釈率が大きくなっても防蟻性、殺蟻性が十分に得られるものであることが分かる。製剤2よりも製剤3の方が防蟻性、殺蟻性が大きいことも分かる。
次に、図7(a)は、製剤4(Li2O/SiO2:Na2O/SiO2 65:35)の1倍希釈溶液、5倍希釈溶液、10倍希釈溶液の試験結果後の濾紙の食害状況を示す図である。図7(b)はシロアリの死虫率を示している。
図7に示すように、希釈率が大きくなるにつれ、食害も大きくなり、死虫率も下がってゆく。ここで、10倍希釈になっても4週間後の死虫率は50%近く、その後も徐々に死虫率が上がって行くことが分かる。つまり、製剤4では希釈率が大きくなっても防蟻性、殺蟻性が十分に得られるものであることが分かる。ただし、製剤3や製剤2に比べて防蟻性、殺蟻性が少し下がっていることが分かる。
以上の図4から図7の考察から、製剤1、2、3、4いずれも希釈率が5倍以下であれば、いずれも十分に防蟻性、殺蟻性が発揮できるが、希釈率が10倍程度になると、リチウムシリケート単独の製剤1では、十分な防蟻性、殺蟻性が発揮できなくなる一方、本発明のリチウム化合物とナトリウム化合物との混合液であれば、製剤2、3、4いずれでも十分に防蟻性、殺蟻性が発揮できることが分かる。なお、防蟻性、殺蟻性の強さは、強い方から製剤3、製剤2、製剤4の順であることが分かる。つまり、リチウムシリケートとソディウムシリケートの混合比が、65:35〜85:15であれば、希釈を大きくしても防蟻性、殺蟻性が発揮でき、特に、75:25あたりの混合比において、防蟻性、殺蟻性の効果が高く維持されていることが分かった。
次に、本発明の無機化合物の木材保存剤の製造方法に関して述べる。
製造において、原料確保の容易性、製造工程の容易性などを考えると、原料として流通量が多いリチウムシリケートとソディウムシリケートと用意し、それらを混合させて製剤を得る製法があるが、他の製法として水酸化リチウムに水酸化ナトリウムを加え、粒子径の小さなシリカゲルまたはコロイダルシリカまたはアモルファスシリカをそれぞれ所定の配合率で混合することにより製造する製法もあり得る。
[実証実験2:培地を利用した腐朽試験]
(試験製剤)
試験に用いる木材保存剤として、配合濃度を変えた試験製剤を作製し、また、その製剤の希釈率を3パターン用意し、培地混釈法により防腐性能の評価試験を行った。
試験用の製剤は、主剤であるリチウムシリケート、副剤であるソディウムシリケートの割合を様々に調整した製剤を用意した。ここでは、以下の[表4]に示す製剤1、製剤3、製剤5の3パターンを用意した。
製剤1は、リチウムシリケートのみでソディウムシリケートを含まない製剤、製剤3は、リチウムシリケート75%、ソディウムシリケート25%を含む製剤、製剤5は、リチウムシリケート50%、ソディウムシリケート50%を含む製剤である。
次に、製剤1、製剤3、製剤5に対する希釈パターンは、希釈倍率1倍、希釈倍率5倍、希釈倍率10倍の3つの溶液を用意した。それぞれの希釈倍率の溶液を用いて実験を行う。
(試験培地)
培地はグルコース1%、ペプトン0.3%、麦芽抽出物1.5%、寒天1.6%のものを作製した。
(腐朽菌種)
試験に用いた腐朽菌の菌種は以下の2種類である。
オオウズラタケ(褐色腐朽菌、Tyromyces palustris、TYP.と略)
カワラタケ (白色腐朽菌、Coriolus versicolor、COV.と略)
(試験方法)
実験方法は以下の方法で行った。
図8は培地を利用した腐朽試験の試験方法を説明する図である。
まず、あらかじめ殺菌処理した直径13mmの濾紙に、製剤1、製剤3、製剤5に関するそれぞれの希釈倍率1倍、5倍、10倍の溶液0.2ml滴下したものを用意する。なお、比較対象実験としてあらかじめ殺菌処理し、非イオン水を0.2ml滴下塗布した濾紙(Control)も用意した。なお、これらの作業は、全てクリーンベンチ内で行った。
シャーレには裏面に種菌の中心通る2本の線を引いて、菌糸の成長を目視しやすいようにした。シャーレは上皿と下皿がはめ込み式のものを使用する。
次に、図8に示したように、直径90mmのシャーレ内に培地を形成し、その培地の中心にこの製剤1、製剤3、製剤5のそれぞれ希釈倍率1倍、5倍、10倍、無施用のコントロールの直径13mmの濾紙を置き、さらに、培地の周囲の3箇所に菌種を植え、はめ込み部分をテープで巻き水分の蒸発を防いた。室内の環境を26℃±2℃、相対湿度70%の暗所に保ち、31日間観察し、時間経過と菌の繁殖具合を調べた。
実験は京都大学生存圏研究所において行った。
(実験結果)
まず、無施用の濾紙(Control)の結果を見る。
図9は無施用の濾紙(Control)に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果、および、無施用の濾紙(Control)に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。上段はカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果、下段はオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示している。
図9に示すように、カワラタケ(COV)の試験結果、オオウズラタケ(TYP)の試験結果のいずれも腐朽菌が繁殖してシャーレの全面を覆っており、濾紙の中にも菌が繁殖していることが分かる。このように、この実験環境において、腐朽菌が繁殖する環境が保たれていることが確認できる。
次に、製剤1を施用した濾紙試験の結果を見る。
図10は製剤1に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果を示す図、図11は製剤1に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。
各図において、上段は製剤1を希釈倍率1倍にて濾紙に施用した場合の結果、中段は製剤1を希釈倍率5倍にて濾紙に施用した場合の結果、下段は製剤1を希釈倍率10倍にて濾紙に施用した場合の結果を示している。
図10に示すように、カワラタケ(COV)に対しては、希釈倍率1倍ではほとんど繁殖させないほど防腐効果を発揮している。希釈倍率5倍でも濾紙に対して繁殖を防御する防腐効果を発揮している。希釈倍率10倍のものについては、写真では濾紙上にも菌が到達しているように見えるが、実際には濾紙の中には菌は繁殖しておらず、希釈倍率10倍でも防腐効果がみられる。
一方、オオウズラタケ(TYP)は繁殖力が強く、製剤1であっても、図11に示すように、菌が周囲に向けて繁殖している。写真では濾紙上にも菌が到達しているように見えるが、実際には濾紙の中には菌は繁殖しておらず、希釈倍率1倍、5倍、10倍でも防腐効果がみられる。
次に、製剤3を施用した濾紙試験の結果を見る。
図12は製剤3に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果を示す図、図11は製剤3に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。
各図において、図10、図11同様、上段は製剤1を希釈倍率1倍にて濾紙に施用した場合の結果、中段は製剤1を希釈倍率5倍にて濾紙に施用した場合の結果、下段は製剤1を希釈倍率10倍にて濾紙に施用した場合の結果を示している。
製剤3は、カワラタケ(COV)に対しては、図12に示すように、希釈倍率1倍ではほとんど繁殖させないほど防腐効果を発揮している。希釈倍率5倍でも濾紙に対して繁殖を防御する防腐効果を発揮している。希釈倍率10倍であっても写真では違いが分かりにくいが、実際には濾紙の中には菌は繁殖しておらず防腐効果がみられる。
一方、オオウズラタケ(TYP)は繁殖力が強く、製剤3であっても、図13に示すように、菌が周囲に向けて繁殖している。写真では濾紙上にも菌が到達しているように見えるが、実際には濾紙の中には菌は繁殖しておらず、希釈倍率1倍、5倍、10倍でも防腐効果がみられる。
次に、製剤5を施用した濾紙試験の結果を見る。
図14は製剤5に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果を示す図、図15は製剤5に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。
各図において、図10、図11同様、上段は製剤1を希釈倍率1倍にて濾紙に施用した場合の結果、中段は製剤1を希釈倍率5倍にて濾紙に施用した場合の結果、下段は製剤1を希釈倍率10倍にて濾紙に施用した場合の結果を示している。
製剤5は、カワラタケ(COV)に対しては、図14に示すように、希釈倍率1倍ではほとんど繁殖させないほど防腐効果を発揮している。希釈倍率5倍でも濾紙に対して繁殖を防御する防腐効果を発揮しているものが2例あるが、一例では濾紙内にも菌が繁殖していた。希釈倍率10倍ではいずれの例も濾紙の中に菌が繁殖していた。この結果、希釈倍率が小さい(濃度が濃い)場合には防腐効果がみられるものの濃度が希釈倍率10倍に薄くなると防腐効果が十分には発揮できない場合が出てくることが分かる。
一方、オオウズラタケ(TYP)は繁殖力が強く、製剤5であっても、図15に示すように、菌が周囲に向けて繁殖しており、希釈倍率10倍ではいずれの例も濾紙の中に菌が繁殖していた。しかし、図10の無施用のコントロールに比べて、図15の製剤5を施用した場合は若干、菌の繁殖が抑えられていることが分かる。
以上の実験結果をまとめると、コントロールに比べて製剤1、3、5のいずれも腐朽菌に対する防腐性を持っていることが確認できる。つまり、本発明にかかるリチウムシリケートを含む主剤とソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の木材保存剤には腐朽菌に対する防腐性があることが確認できた。
また、リチウムシリケートとソディウムシリケートとの配合割合については、製剤1、製剤3、製剤5の順に、[100/0]、[75/25]、[50/50]であるところ、防腐性の高さは、製剤3、製剤1、製剤5、コントロールの順であることが分かった。つまり、リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合は、[100/0](製剤1)から[50/50](製剤4)の前後の範囲であれば、防腐性が発揮でき、さらに、リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合が[75/25](製剤3)の前後の範囲であれば特に高い防腐性が得られることが分かった。つまり、リチウムシリケート75%、ソディウムシリケート25%の前後の配合割合の製剤であればもっとも防腐効果が高く発揮されることが分かった。
なお、防蟻効果の実験結果と防腐効果の実験結果を合わせると、本発明にかかる木材保存剤、つまり、リチウムシリケートを含む主剤とソディウムシリケートを含む副剤を備えた無機化合物の木材保存剤には防蟻効果および防腐効果があることが確認でき、リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合は、85/15(製剤2)から50/50(製剤5)の範囲であれば木材保存剤として利用するには適していることが分かる。特に、リチウムシリケートとソディウムシリケートの割合が75/25(製剤3)の前後の範囲であれば高い防蟻効果および防腐効果が得られることが分かった。
[実証実験3:木片を利用した防カビ試験]
(試験製剤)
試験に用いる木材保存剤として、配合濃度を変えた試験製剤を作製し、また、その製剤の希釈率を4パターン用意し、木材表面に施用することにより防カビ性能の評価試験を行った。
試験用の製剤は、主剤であるリチウムシリケート、副剤であるソディウムシリケートの割合を様々に調整した製剤を用意した。ここでは、以下の[表5]に示す製剤1、製剤3、製剤5の4パターンを用意した。
製剤1から4はそれぞれ、リチウムシリケートとソディウムシリケートの混合比は75:25である。製剤1と製剤2は濾過した溶液である。製剤3と製剤4は濾過していない溶液である。製剤5と製剤6は非イオン水であり、コントロールである。
製剤1から製剤4とも希釈パターンは、希釈倍率1倍の溶液を用意した。
(木材)
20mm(W)?20mm(D)?10mm(H)の杉材
(試験片への塗布)
200g/m2換算で製剤の刷毛塗りを行った。
製剤1を塗布したものは試験片1、製剤2を塗布したものは試験片2、製剤3を塗布したものは試験片3、製剤4を塗布したものは試験片4とする。
(試験体の設置環境)
主容器の底部に脱脂綿を敷き、非イオン水を脱脂綿がつかるぐらいまで非イオン水を入れて各試験片を設置する(図16(a))。
2日間にわたり主容器の蓋を開けたままにし、空気中のカビ菌が各試験片に落下したと考えられる期間を経た後、主容器の蓋を閉めて主容器内の相対湿度を上げる(80〜90%)。
(試験期間)
6カ月
(試験結果)
試験片1から4の上には、接合菌門のクモノスカビ(白色)が、試験片上に落下した箇所に見られるが、軽く布片で拭き取るか、クーラーの冷風が短時間当たると消滅することから内部まで菌糸が進入して定着するには至っておらず、表面上に存在するだけである。また、黒色の長短カビ菌糸が一時的に見られたが、観察期間中に消えてしまったことからそれも菌糸が進入して定着するには至らなかったことが分かる。また、胞子のうは観察されなかった(図16(b))。
一方、コントロールでは、黒色の菌糸が多く見られ(図16(c))、胞子のうも多数見られる(図16(d))。
(考察)
この実験結果から、本発明の製剤を塗布した木材は、コントロールに比べて明らかに防カビ効果が認められることが分かる。表面上に付着したカビも木材内部にまで菌糸が伸びず、木材の劣化が防止できたことが分かる。
次に、本発明の木材保存剤の施用手順について説明する。
図17は木材保存剤の施用手順の流れを示すフローチャートである。
[手順1]下塗り工程
本発明にかかる木材保存剤を木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させる下塗り工程である(図17ステップS1)。塗布の方法は特に限定されないが、製剤の希釈液で充填した貯留タンクに木材を浸漬させる方法でも良く、また、木材に対して製剤を噴霧しても良く、刷毛などで塗っても良い。
[手順2]乾燥工程
下塗り工程の後に木材保存剤を乾燥させる工程である(図17ステップS2)。乾燥に要する時間は特に限定されないが、木材の状態や外気の湿度や温度によって条件が変わる。乾燥時間については本塗装用の塗料が塗装の前提とする木材の状態に落ち着けば良い。
[手順3]本塗装工程
乾燥工程の後に本塗装用の塗料を用いて本塗装を行う工程である(図17ステップS3)。本塗装に用いる塗料は特に限定されず、有機系塗料であっても無機系塗料であっても良い。有機系塗料は対候性が大きくないため蒸散や分解などが進み、経年劣化しやすく、一般的には、アクリル系塗料で5年程度、フッ素系塗料でも15年程度しか効果が持続しないと言われているが、下地塗装として本発明の木材保存剤を用いて木材の改質を行っている場合、木材そのものに腐朽は進まず、表面の塗料の経年劣化が進んでくれば、表面の塗料のみ塗り直せば良く、木材自体の保存は長期にわたり可能となる。
つまり、本発明の木材保存剤はいわゆる本塗装用の塗料ではなく、本塗装に先立って木材や発泡ウレタン材の下塗装用の下塗り剤として使用することが効果的である。
以上、本発明の木材保存剤および木材保存方法の構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明の木材保存剤および木材保存方法は、木材や発泡ウレタン材用の様々な塗料の下塗り剤として適用することができる。
シロアリ濾紙試験において、実験開始から7日経過した状態を示す図である。 シロアリ濾紙試験において、実験開始から15日経過した状態を示す図である。 シロアリ濾紙試験において、実験開始から21日経過した状態を示す図である。 シロアリ濾紙試験において、製剤1に関して希釈倍率を変えて実験した結果を示す図である。 シロアリ濾紙試験において、製剤2に関して希釈倍率を変えて実験した結果を示す図である。 シロアリ濾紙試験において、製剤3に関して希釈倍率を変えて実験した結果を示す図である。 シロアリ濾紙試験において、製剤4に関して希釈倍率を変えて実験した結果を示す図である。 培地を利用した腐朽試験の試験方法を説明する図である。 無施用の濾紙(Control)に関するカワラタケ(COV)およびオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。 製剤1に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果を示す図である。 製剤1に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。 製剤3に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果を示す図である。 製剤3に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。 製剤5に関するカワラタケ(COV)の腐朽試験の結果を示す図である。 製剤5に関するオオウズラタケ(TYP)の腐朽試験の結果を示す図である。 防カビ性の実証実験に関する様子とその結果を示す図である。 木材保存剤の施用手順の流れを示すフローチャートである。

Claims (13)

  1. リチウム化合物とナトリウム化合物を配合した無機化合物の木材保存剤。
  2. 前記リチウム化合物がリチウムシリケートを主成分とする化合物であり、前記ナトリウム化合物がソディウムシリケートを主成分とする化合物である請求項1に記載の無機化合物の木材保存剤。
  3. 前記リチウムシリケートと前記ソディウムシリケートの割合が、85:15から50:50の範囲である請求項2に記載の無機化合物の木材保存剤。
  4. 前記リチウムシリケートと前記ソディウムシリケートの割合が75:25に調製されている請求項2に記載の無機化合物の木材保存剤。
  5. リチウム化合物と、ナトリウム化合物と、シリカゲルまたはアモルファスシリカを配合した無機化合物の木材保存剤。
  6. 前記リチウム化合物が、酸化リチウム、水酸化リチウムまたは炭酸リチウムのいずれかまたはそれらの組み合わせを包含するものである請求項5に記載の無機化合物の木材保存剤。
  7. 前記ナトリウム化合物が、ソディウムシリケート、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのいずれかまたはそれらの組み合わせを包含するものである請求項5または6に記載の無機化合物の木材保存剤。
  8. 前記製剤成分におけるSiO2成分に代えてアモルファス酸化チタンを配合した請求項1乃至7のいずれか1項に記載の無機化合物の木材保存剤。
  9. 四級アンモニュウム化合物またはパーフルオロアルキル化合物の有機化合物の成分を一部に配合し、即効性を持たせた表面剤を備え、
    前記無機化合物の成分を下剤として前記木材又は前記発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させて防蟻性、防腐性、防カビ性の永続性を付与し、
    前記表面剤を前記木材又は前記発泡ウレタン材の表面に塗布して防蟻性、防腐性、防カビ性の即効性を付与したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の無機化合物の木材保存剤。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の木材保存剤を施用した木材。
  11. 請求項1乃至9のいずれかに記載の木材保存剤を施用した木造家屋。
  12. 請求項1乃至9のいずれかに記載の木材保存剤を木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させて防腐性および防蟻性の永続性を付与せしめることを特徴とする木材保存方法。
  13. 請求項9に記載の木材保存剤を木材又は発泡ウレタン材の表面に塗布および内部に含浸させて防腐性および防蟻性の永続性を付与せしめ、請求項8に記載の表面剤を前記木材又は前記発泡ウレタン材の表面に塗布して防蟻性、防腐性、防カビ性の即効性を付与せしめることを特徴とする木材保存方法。
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