JP2014110421A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温環境下のみならず、高温環境下においても駆動電圧の増大やショートの発生が起こりにくく、長期耐久性及び寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】陽極1と陰極2の間に、中間層3を介して積層された複数の発光層4、5を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子である。中間層3は、含窒素複素環化合物を含む第1の層3aと、アルカリ金属からなるアルカリ金属層3bと、含窒素複素環化合物を含む第2の層3cと、電子受容性有機物質からなるホール注入層3dとが陽極1から陰極2へこの順に形成されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、照明光源や液晶表示器用バックライト、フラットパネルディスプレイ等に用いることのできる有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子と称される有機発光素子としては、陽極となる透明電極、ホール輸送層、発光層(有機発光層)、電子注入層、陰極となる電極の順に、透明基板の片側の表面に積層した構成のものが、その一例として知られている。そして、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、電子注入層を介して発光層に注入された電子と、ホール輸送層を介して発光層に注入されたホールとが、発光層内で再結合して発光が起こり、発光層で発光した光は、透明電極及び透明基板を通して取り出される。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、自発光であること、比較的高効率の発光特性を示すこと、各種の色調で発光可能であること等の特徴を有するものである。具体的には、表示装置、例えば、フラットパネルディスプレイ等の発光体として、あるいは光源、例えば、液晶表示機用バックライトや照明としての活用が期待されており、一部では既に実用化されている。
上記のような有機エレクトロルミネッセンス素子は、その輝度と寿命とがトレードオフの関係にある。そのため、より鮮明な画像、あるいは明るい照明光を得るために輝度を増大させても、短寿命にならないような有機エレクトロルミネッセンス素子の開発が盛んに行われている。具体的には、陽極と陰極の間に発光層を複数備え、かつ、各発光層間を電気的に接続した有機エレクトロルミネッセンス素子が提案されている(例えば、特許文献1乃至6等を参照)。
図3はこのような有機エレクトロルミネッセンス素子の構造の一例を示すものである。陽極1となる電極と陰極2となる電極の間に複数の発光層4、5を設けると共に、隣り合う発光層4、5の間に中間層3を介在させた状態で積層し、これを透明な基板10の表面に積層したものである。例えば、陽極1は光透過性の電極として、陰極2は光反射性の電極として形成されている。尚、図3では、発光層の4、5の両側に設けられる電子注入層とホール輸送層とは、図示を省略している。
このものでは、複数層の発光層4、5を中間層3で仕切って電気的に接続することによって、陽極1と陰極2の間に電圧を印加した場合に、複数の発光層4、5があたかも直列的に接続された状態で同時に発光させている。この場合、各発光層4、5からの光が合算されるため、一定電流通電時には従来の有機エレクトロルミネッセンス素子よりも高輝度で発光させるようにし、上記輝度−寿命のトレードオフの問題を改善したものである。
ここで、上記の中間層3の構成として現在知られている一般的なものとしては、例えば、(1)BCP:Cs/V、(2)BCP:Cs/NPD:V、(3)Li錯体とAlのその場反応生成物、(4)Alq:Li/ITO/ホール輸送材料、(5)金属−有機混合層、(6)アルカリ金属およびアルカリ土類金属を含む酸化物、(7)Nドープ層/金属酸化物層/Pドープ層等がある。尚、「:」は2種の材料の混合を表し、「/」は前後の組成物の積層を表す。
特開2003−272860号公報 特開2005−135600号公報 特開2006−332048号公報 特開2006−173550号公報 特開2006−49393号公報 特開2004−281371号公報
しかしながら、上記のような有機エレクトロルミネッセンス素子では、駆動電圧の増大や、好ましくない電圧上昇の発生を招くおそれがあり、また、膜質の悪さによるショートサーキット等の欠陥発生の問題も生じてしまうことがあった。特に、高温環境下では、上記の駆動電圧の増大がさらに起こりやすく、温度環境によっては、性能や品質が大きく低下してしまうおそれがあるものであった。
具体的には、上記(1)に示す系の中間層では、V層の膜質によるショートが発生するため、欠陥が生じる問題が起こるおそれがあった。
また、上記(2)に示す系では、二つの層間で生じる副反応による電圧上昇の問題が生じることがある。すなわち、ルイス酸分子は電子輸送材料とも反応し、また、アルカリ金属はルイス塩基としてホール輸送材料とも反応し、これらの反応によって駆動電圧が増大してしまうことが報告されている(参考文献:高分子学会有機EL研究会 平成17年12月9日講演会 マルチフォトン有機EL照明)。
また、上記(3)に示す系では、その場反応生成物を得るために用いるLi錯体の有機配位子成分が、素子特性に悪影響を与えることがあることが問題となることがあった。
また上記(4)の系では、中間層としてのITOからのホール輸送材料へのホール注入が必ずしも良好でなく、駆動電圧や素子特性の観点で問題となることがあった。さらにITOの比抵抗が小さいために、本来発光することを望まない場所にまでITO面内を電荷が伝わることがあり、意図した発光領域以外の部分からも発光が生じることが問題となる場合もある。
また上記(5)の系では、金属酸化物等の金属化合物を含む金属と有機物を混合して中間層を形成するために、中間層の熱安定性が低下し、特に大電流を通電した際の発熱によって中間層が損傷してしまうおそれがあった。
また、上記(6)の系では、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含有する金属酸化物の中間層としての機能が必ずしも充分ではなかった。そのため、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含有する金属酸化物以外の物質からなる層を積層して用いることが実質的に必要であり、中間層の構造が複雑になり、製作上の問題となることがあった。
上記(7)の系では中間層内におけるPドーパント、Nドーパントの相互拡散を防止するために金属酸化物の拡散防止層を設けることが開示されている。しかし、OLEDの設計の観点から中間層に金属酸化物単体の層を設けることは、OLEDの主材料である有機物よりも高屈折率な成分を設けることになる。この場合、中間部に大きな屈折率段差(0.2以上)が形成されるため、光学的な観点では、前記屈折率段差に由来する光学干渉が大きくなる傾向にあり、光学設計の難易度が増大することになってしまい、効率等の発光特性上望ましくない。
特に、上記(1)〜(7)の系では、高温環境下におかれると、駆動電圧の増大やショートの発生がより起こりやすくなってしまうため、耐久性や寿命等、種々の課題があるものであった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、中間層の改良によって、室温環境下のみならず、高温環境下においても駆動電圧の増大やショートの発生が起こりにくく、長期耐久性及び寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に、中間層を介して積層された複数の発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記中間層は、含窒素複素環化合物を含む第1の層と、アルカリ金属からなるアルカリ金属層と、含窒素複素環化合物を含む第2の層と、電子受容性有機物質からなるホール注入層と、が陽極から陰極へこの順に形成されてなり、前記第2の層の厚みが0.2〜20nmの範囲であることを特徴とする。
また、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記含窒素複素環化合物が、1、10−フェナントロリン部位又は2、2’-ビピリジン部位を1分子内に2以上有していることが好ましい。
また、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記第1の層及び前記第2の層に含まれる前記含窒素複素環化合物が同一であることが好ましい。
また、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記電子受容性有機物質が、1、4、5、8、9、11−Hexaazatriphenylene−Hexacarbonitrileであることが好ましい。
本発明によれば、中間層が特定の層で構成されることによって、室温環境下のみならず、高温環境下においても駆動電圧の増大やショートの発生が起こりにくく、長期耐久性及び寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
本発明の実施の形態の一例を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子の中間層の構成を示す概略断面図である。 本発明の実施の形態の一例を示し、有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成を示す概略断面図である。 従来例の有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称することがある)の中間層3の層の構成を示す概略断面図である。尚、図1では、中間層3以外の構成については図示を省略している。
図2は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示すものであって、有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成を示す概略断面図である。この実施形態の有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも陽極1となる電極と陰極2となる電極の間に複数の発光層4、5及び中間層3を備えて形成されており、いわゆるマルチユニット構造となっている。そして、中間層3は、複数の発光層4、5の間に介在するように配置されている。本実施形態では中間層3は、二つの発光ユニット(発光層4、5)を電気的に直列接続する機能を果たしている。
図1に示すように、中間層3は、第1の層3aと、アルカリ金属層3bと、第2の層3cと、ホール注入層3dとで構成されてなる層である。図1では、陽極1及び陰極2の図示は省略しているが、中間層3は、第1の層3aと、アルカリ金属層3bと、第2の層3cと、ホール注入層3dとがこの順に陽極1から陰極2へ積層されて形成される層である。すなわち、図1では、第1の層3aが陽極1側、ホール注入層3dが陰極2側である。
アルカリ金属層3bは、アルカリ金属のみで構成される層である。アルカリ金属層3bを構成するアルカリ金属としては、Li、K、Na、Cs、Rb、Frが挙げられる。アルカリ金属層3bは、上記のアルカリ金属いずれか1種が単独で形成される層であってもよいし、2種以上が組み合わされて形成された層であってもよい。アルカリ金属は電子供与性の性質を有するものであるので、アルカリ金属層3bは電子を注入させるための機能を果たす層となる。
アルカリ金属層3bの厚みは、特に制限されるものではないが、0.01〜10nmであることが好ましい。アルカリ金属層3bの厚みが上記範囲であれば、有機EL素子の駆動電圧の増大を発生しにくくすることができ、特に、高温環境下においても駆動電圧の増大を抑制することができるようになり、アルカリ金属層3bとしての機能が充分に発揮される。より好ましいアルカリ金属層3bの厚みは、0.1〜5nmである。
第1の層3aは、含窒素複素環化合物を含む材料で形成される層であり、アルカリ金属層3bの陽極1側の面に形成されている。
第1の層3aに含まれる含窒素複素環化合物は、複素環化合物(複素環式化合物あるいはヘテロ環式化合物ともいう)であって、この化合物を構成する原子として窒素原子が含まれる物質である。尚、複素環化合物とは、2種類以上の元素により構成される環式化合物のことをいう。
含窒素複素環化合物としては、1、10−フェナントロリン誘導体が挙げられ、例えば、分子中に1、10−フェナントロリン部位を2以上有する化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、下記[化1]に一般式(1)で示すような化合物が挙げられる。
Figure 2014110421
(式中、R〜Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基及び置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基よりなる群から選ばれた基である。Aは、炭素数1〜10の炭化水素基、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基又は炭素数6〜30の芳香族炭化水素の2価以上の基である。nは2以上の整数である。また、R〜Rはそれぞれ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
ここで、一般式(1)に示される化合物において、R〜Rがいずれも水素原子である場合、1、10−フェナントリル基を2以上有する化合物ということができる。
一般式(1)において、炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基などである。炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ブチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。これらの他、炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキレン基などでもよい。また、炭素数1〜10の炭化水素基の水素原子が他の官能基(例えば、水酸基など)で置換されていてもよい。
また、一般式(1)において、前記置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、1−フルオランテニル基、2−フルオランテニル基、3−フルオランテニル基、8−フルオランテニル基、2−トリフェニレニル基、9,9−ジメチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジブチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−イル基、9,9−ジオクチルフルオレン−2−イル基、9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、o−テルフェニル−3−イル基、o−テルフェニル−4−イル基、4−(1−ナフチル)−1−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、10−メチル−9−アントリル基、4−フェニル−8−フルオランテニル基等が挙げられる。
また、一般式(1)において、置換または無置換の炭素数6〜30のアリール基の場合の置換基としては、アルキル基が挙げられる。この場合のアルキル基としては、上述の炭素数1〜10のアルキル基で説明したものと同様である。
また、一般式(1)において、炭素数6〜30の芳香族炭化水素の2価以上の基の例としては、前記アリール基として挙げた1価の基より水素原子を1つ以上除いて形成される2価以上の基である。例えば、炭素数6〜30の芳香族炭化水素の2価の基であれば、前記アリール基として挙げた1価の基より水素原子を1つ除いて形成される。また、炭素数6〜30の芳香族炭化水素の3価の基であれば、前記アリール基として挙げた1価の基より水素原子を2つ除いて形成される。炭素数6〜30の芳香族炭化水素の2価以上の基の価数の上限は特に限定されるものではないが、例えば4価とすることができる。
一般式(1)において、nは2以上の整数であり、上限は特に限定されるものではないが、例えば4とすることができる。
一般式(1)で表される含窒素複素環化合物の具体例としては、下記の[化2]の(1−1)式で示すDPB{1,4−ビス(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン}、下記の[化3]の(1−2)式で示すm−DPB、下記の[化4]の(1−3)式で示すTPBなどを例示することができる。
Figure 2014110421
Figure 2014110421
Figure 2014110421
また、一般式(1)において、Aは、1、10−フェナントロリンの2位の炭素原子に結合したものであるが、これに限られるものではなく、3〜9位のいずれか一つの炭素原子に結合したものであっても構わない。Aが3〜9位のいずれか一つの炭素原子に結合している場合、この炭素原子にはその他の置換基(すなわち、R〜Rのいずれかの置換基)は結合しておらず、また、2位の炭素原子には、R〜Rのいずれかの置換基が結合していることになる。この一例としては、下記[化5]の一般式(2)で示される化合物が例示される。
Figure 2014110421
上記一般式(2)で示される含窒素複素環化合物では、1、10−フェナントロリン部位の3位の炭素原子にAが、2位の炭素原子にはRが結合しており、その他は一般式(1)と同様である。尚、一般式(2)中のR〜R、A及びnは一般式(1)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
もちろん、含窒素複素環化合物としては、分子中に1、10−フェナントリル基を1つだけ有するような1、10−フェナントロリン誘導体(すなわち、一般式(1)において、nが1である1、10−フェナントロリン誘導体)であっても構わない。このような含窒素複素環化合物としては、BCP(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)やBphen(4,7−Diphenyl−1,10−phenanthroline)、HNBphen(2−(naphthalen−2−yl)−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)、2−NPIP(1−methyl−2−(4−(naphthalen−2−yl)phenyl)−1H−imidazo[4,5−f][1,10]phenanthroline)、1、10−フェナントロリンなどが例示される。
また、含窒素複素環化合物としては上記の他、2、2’-ビピリジン誘導体も挙げられる。例えば、2、2’-ビピリジン部位を1分子内に2以上有して構成されているような2、2’-ビピリジン誘導体を使用することができる。
このような2、2’-ビピリジン誘導体の例としては、[化6]に示すBpy−OXD(1,3−Bis[2−(2,2’−bipyridine−6−yl)−1,3,4−oxadiazo−5−yl]benzene)、[化7]に示すBpy−FOXD(2,7−Bis[2−(2,2’−bipyridine−6−yl)−1,3,4−oxadiazo−5−yl]−9,9−dimethylfluorene)などが挙げられる。これらの2、2’-ビピリジン誘導体は、分子中に2、2’-ビピリジル基を2個有する化合物ということができる。
Figure 2014110421
Figure 2014110421
もちろん、含窒素複素環化合物としては、分子中に2、2’-ビピリジル基を2個以上有する2、2’-ビピリジン誘導体であっても構わないし、2、2’-ビピリジル基を1つだけ有するような2、2’-ビピリジン誘導体であっても構わない。このような含窒素複素環化合物としては、[化8]に示すBP−OXD−Bpy(6,6’−Bis[5−(biphenyl−4−yl)−1,3,4−oxadiazo−2−yl]−2,2’−bipyridyl)、2、2’-ビピリジンなどが挙げられる。
Figure 2014110421
含窒素複素環化合物としては、1、10−フェナントロリン部位及び2、2’-ビピリジン部位の両方を少なくとも1以上有する化合物、例えば、1、10−フェナントリル基及び2、2’-ビピリジル基の両方をそれぞれ少なくとも1以上有する化合物であってもよい。
また、含窒素複素環化合物としては、1、10−フェナントロリン部位及び2、2’-ビピリジン部位以外にも、例えば、2、9−フェナントロリン部位や3、7−フェナントロリン部位や3,3’-ビピリジン部位を有する化合物であってもよい。しかし、後述するように、含窒素複素環化合物がアルカリ金属を配位しやすいという点で、上述のような1、10−フェナントロリン部位や2、2’-ビピリジン部位を有する化合物であることが好ましい。
上記の他、含窒素複素環化合物としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq3)、TAZ(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール)、TPBi(2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)、OXD−7(1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン)などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
第1の層3aは、上記の含窒素複素環化合物のみで形成される層であってもよいし、後述の本発明の効果を阻害しない程度であれば、その他の材料が含まれていてもよい。その他の材料は、例えば、第1の層3aを構成する材料全質量に対して50質量%以内で含まれていてもよい。
第2の層3cは、含窒素複素環化合物を含む材料で形成される層であり、厚みが、0.2〜20nmの範囲で形成される。第2の層3cは、アルカリ金属層3bの陰極2側の面、すなわち、第1の層3aが形成されている面と反対側の面に形成されている。
第2の層3cに含まれる含窒素複素環化合物は、上記の第1の層3aの説明で列挙した含窒素複素環化合物と同様であるので説明を省略する。
第2の層3cは、上記の含窒素複素環化合物のみで形成される層であってもよいし、後述の本発明の効果を阻害しない程度であれば、その他の材料が含まれていてもよい。含窒素複素環化合物以外の材料や含有量は、第1の層3aで説明したその他の材料と同じであるので説明を省略する。
ホール注入層3dは、電子受容性有機物質(ルイス酸ともいう)を含む材料で形成される層であり、第2の層3cの陰極2側の面に形成されている。
電子受容性有機物質は、特に限定されるものではないが、例えば、[化9]で示す構造式で表わされるピラジン誘導体から形成されるものが使用され得る。
Figure 2014110421
(ここで、Arはアリール基を示し、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミン基、又はF、Cl、Br、I若しくはCNを示す。)
さらに、ホール注入層の電子受容性物質が、[化10]で示す構造式で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体であることがより好ましい。
Figure 2014110421
(ここで、Rは水素、炭素数1〜10のアルキル基、アルキルオキシ基、ジアルキルアミン基、又はF、Cl、Br、I若しくはCNを示す。)
このようなヘキサアザトリフェニレン誘導体としては、[化11]で示す構造式で表される1、4、5、8、9、11−Hexaazatriphenylene−Hexacarbonitrileを使用することが特に好ましい。この場合、ホール注入層3dから受け渡される電子をより効率的にアルカリ金属層3bに輸送することができるようになるので、有機EL素子の性能をより向上させることができる。
Figure 2014110421
ホール注入層3dは、上記の電子受容性有機物質のみで形成される層であることが好ましいが、後述の本発明の効果を阻害しない程度であれば、その他の材料が含まれていてもよい。
ホール注入層3dの厚みは、特に限定されるものではないが、0.5〜20nm程度の範囲に設定することが好ましく、この範囲であれば、ホール注入性を適切に確保及び調整することが可能となる。
上記のように第1の層3a、アルカリ金属層3b、第2の層3b及びホール注入層3dで中間層3を形成させるプロセスは特に限定されないが、高精度に膜厚制御が行える真空蒸着法が好ましい。
本発明の有機EL素子は、中間層3が上記のように第1の層3aと、アルカリ金属層3bと、第2の層3cと、ホール注入層3dとからなる層で形成されている。中間層3がこのように構成されていることで、アルカリ金属層3bを形成しているアルカリ金属(例えば、Li)が、第2の層3cに侵入したとしても、第2の層3cに含有される含窒素複素環化合物によって、アルカリ金属を捕捉(トラップ)することができる。これは、Liのようなアルカリ金属が含窒素複素環化合物中の窒素原子に配位するからである。すなわち、含窒素複素環化合物とアルカリ金属との錯体が形成されるからである。
上記のようにアルカリ金属が第2の層3cでトラップされることで、アルカリ金属が、他の層、例えば、ホール注入層3dへ拡散するのを防止しやすくなる。そのため、アルカリ金属層3bのアルカリ金属と、ホール注入層3dとの直接的な反応、並びに駆動にともなうアルカリ金属層3b及びホール注入層3dとの界面の混合や層間の材料の拡散などが抑制される。この結果、長期耐久性および寿命特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
しかも、含窒素複素環化合物はアルカリ金属に対して配位しやすい物質であるので、室温環境下のみならず、高温環境下においてもアルカリ金属をトラップし易くなり、このため、第2の層3cによる拡散防止の機能は、温度環境に依存しにくい。通常、温度が高いほど、物質の拡散性は大きくなるので、高温であれば、拡散防止の機能は低下し易いものであるが、本実施の形態では、そのような拡散防止の機能の低下が起こりにくいものである。従って、本実施の形態の中間層3を導入した有機EL素子では、高温環境下でも駆動電圧の増大を防止し易くなり、長期耐久性や寿命特性がさらに優れる。
特に、含窒素複素環化合物が、分子中に窒素原子を2個以上有する場合は、アルカリ金属に対する配位能力がより高くなるので、上記の効果をさらに高めることが可能になる。含窒素複素環化合物において、特に好ましい分子中に含まれる窒素原子の個数は4個以上である。
さらに、含窒素複素環化合物における少なくとも2つの窒素原子が、分子内で近接した位置、すなわち、2つの窒素原子で一つのアルカリ金属を配位することができる位置関係にあることが好ましい。この場合、アルカリ金属に対する配位能力がより高くなるので、上記の効果をさらに高めることが可能になる。具体的には、上述したような1、10−フェナントロリン部位のように一つの複素環に2つの窒素原子有するものや、2、2’−ビピリジン部位のように、複数の芳香環どうしが結合され、かつ、互いの芳香環中に2つの窒素原子を有しているものが好ましい。また、1、10−フェナントロリン部位(例えば、1、10−フェナントリル基)や2、2’−ビピリジン部位(例えば、2、2’−ビピリジル基)を分子中に2以上(例えば、2個)有している含窒素複素環化合物が特に好ましい(例えば、(1−1)式、(1−2)式、(1−3)式の化合物)。
本実施形態の中間層3では、アルカリ金属層3bを構成する材料がアルカリ金属で構成されており、その他の材料(例えば、電子供与性材料や電子輸送性の有機材料)が含まれていない。このような構成を有することによっても、上記のような高温時における駆動電圧の増大を起こりにくくすることができるようになる。アルカリ金属層3bにアルカリ金属以外の材料が含まれていると、このような材料も拡散するが、第2の層3cでトラップしきれないおそれがあり、このため、ホール注入層3dと第2の層3cとの界面付近やホール注入層3dに拡散しやすくなる。その結果、ホール注入層3dとの直接的な反応などによって、駆動電圧の増大を引き起こすことがある。しかし、本実施形態のように、アルカリ金属層3bを構成する材料がアルカリ金属で構成されていれば、そのようなおそれはより小さくなる
また、第2の層3cの厚みは、上述のように0.2〜20nmの範囲で形成されるため、アルカリ金属を効率的にトラップすることが可能である。より好ましい第2の層3cの厚みは0.5〜5nm、特に好ましい第2の層3cの厚みは2〜5nmである。
また、アルカリ金属層3bの厚みは特に制限されるものではないが、アルカリ金属を拡散しにくくすることや第2の層3cでより確実にトラップさせることを考慮すれば、0.01〜10nmであることが好ましく、0.1〜5nmであれば特に好ましい。
本実施形態では、第1の層3aも含窒素複素環化合物を含む層で形成されているので、この第1の層3aによっても第2の層3c同様、アルカリ金属層3bのアルカリ金属の拡散を防止し易くなる。この場合、第1の層3aは、アルカリ金属が陽極側の層への拡散を防止することができ、上記同様、高温時であっても駆動電圧の増大を発生しにくくすることができるようになる。
第1の層3aの厚みは特に制限されるものではないが、アルカリ金属を拡散しにくくすることや第1の層3aでより確実にトラップさせることを考慮すれば、0.5〜100nmであることが好ましく、5〜100nmであれば特に好ましい。
ここで、第1の層3a及び第2の層3cのそれぞれに含まれる含窒素複素環化合物は、互いに同一の化合物であることが好ましく、また、第1の層3a及び第2の層3cに含窒素複素環化合物以外の材料が含まれる場合、これらの材料も同一であることが好ましい。このような構成の場合、これらを成膜するための蒸着において、蒸着源の切り替え回数が減ることになる。つまり、仮に第1の層3a及び第2の層3cのそれぞれに含まれる含窒素複素環化合物で異なるものであれば、蒸着過程において蒸着源の切り替えを要するものとなってしまう。これに対し、第1の層3a及び第2の層3cのそれぞれに含まれる含窒素複素環化合物が、互いに同一であれば、含窒素複素環化合物を絶えず蒸着することができ、アルカリ金属層3bを一部区間で蒸着する、という手法が取れるものとなる。そのため、例えば、特開2002−348659号公報等で示されるような連続蒸着方式のインライン式成膜プロセスを使用した場合において、制御しやすい中間層構造を形成でき、量産にも適するものとなる。
また、第1の層3a及び第2の層3cのそれぞれに含まれる含窒素複素環化合物を、同一の構造とすることで、第1の層3a側及び第2の層3c側のアルカリ金属のトラップ量を同等にすることが可能となる。このため、陽極1側発光ユニットへのアルカリ金属の拡散と、陰極2側発光ユニットへのアルカリ金属の拡散を同程度にすることができ、一方の発光ユニットの特性低下を防ぎやすくできる。
以下、有機EL素子において、中間層3以外の構成について説明する。
図2に示すように、有機EL素子は、基板10の表面に陽極1を形成し、その上に第一ホール輸送層6、発光層4(第1発光層4)、第一電子輸送層7、上述の中間層3、第二ホール輸送層8、発光層5(第2発光層5)、第二電子輸送層9、及び陰極2をこの順に備えて形成されている。さらに基板10の透明電極1と反対側の面に光取出層12が形成されている。以下、本構造を例として説明するが、この構造はあくまでも一例であり、本発明の趣旨に反しない限り、本構造に限定されるものではない。
基板10は光透過性を有する材料を使用することができる。基板10は無色透明であっても、多少着色されていてもよい。特に、ボトムエミッション型の有機EL素子を製造する場合は、基板10が光透過性を有することが好ましい。基板10は磨りガラス状であってもよい。基板10の材質としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどの透明ガラス;ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等のプラスチックなどが挙げられる。基板10の形状はフィルム状でも板状でもよい。さらに、基板10内に基板母剤と屈折率の異なる粒子、粉体、泡等を含有し、あるいは表面に形状を付与することによって、光拡散効果を有するものも使用可能である。また、基板10を通さずに光を射出させる場合、基板10は必ずしも光透過性を有するものでなくても構わず、素子の発光特性、寿命特性等を損なわない限り、任意の基板10を使うことができる。特に、通電時の素子の発熱による温度上昇を軽減するために、熱伝導性の高い基板10を使うこともできる。
上記陽極1は、発光層中にホールを注入するための電極であり、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が4eV以上のものを用いるのがよい。このような陽極1の材料としては、例えば、金などの金属、CuI、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO、ZnO、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)等、PEDOT、ポリアニリン等の導電性高分子及び任意のアクセプタ等でドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。特に、ボトムエミッション型の有機EL素子を製造する場合、陽極1は光透過性を有することが好ましい。
陽極1は、例えば、これらの電極材料を基板10の表面に真空蒸着法やスパッタリング法、塗布等の方法により薄膜に形成することによって作製することができる。また、発光層における発光を陽極1を透過させて外部に照射するためには、陽極1の光透過率を70%以上にすることが好ましい。さらに、陽極1のシート抵抗は数百Ω/□以下とすることが好ましく、特に好ましくは100Ω/□以下とするものである。ここで、陽極1の膜厚は、陽極1の光透過率、シート抵抗等の特性を上記のように制御するために、材料により異なるが、500nm以下、好ましくは10〜200nmの範囲に設定するのが良い。
陰極2は、発光層中に電子を注入するための電極であり、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物からなる電極材料を用いることが好ましく、仕事関数が5eV以下のものであることが好ましい。このような陰極2の電極材料としては、アルカリ金属、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属等、及びこれらと他の金属との合金、例えば、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/LiF混合物を例として挙げることができる。また、アルミニウム、Al/Al混合物なども使用可能である。さらに、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、あるいは金属酸化物を陰極2の下地として用い、さらに金属等の導電材料を1層以上積層して用いてもよい。例えば、アルカリ金属/Alの積層、アルカリ金属のハロゲン化物/アルカリ土類金属/Alの積層、アルカリ金属の酸化物/Alの積層などが例として挙げられる。また、ITO、IZOなどに代表される透明電極を用い、陰極2側から光を取りだす構成としても良い。また陰極2の界面の有機物層にリチウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属をドープしても良い。
また、上記陰極2は、例えば、これらの電極材料を真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により、薄膜に形成することによって作製することができる。発光層における発光を陽極1側から取り出す場合には、陰極2の光透過率を10%以下にすることが好ましい。また、反対に透明電極を陰極2として陰極2側から発光を取りだす場合(陽極1と陰極2の両電極から光を取り出す場合も含む)すなわち、トップエミッション型の有機EL素子の場合は、陰極2の光透過率を70%以上にすることが好ましい。この場合の陰極2の膜厚は、陰極2の光透過率等の特性を制御するために、材料により異なるが、通常500nm以下、好ましくは100〜200nmの範囲とするのが良い。
第一ホール輸送層6及び第二ホール輸送層8を構成する材料(ホール輸送性材料)は、ホール輸送性を有する化合物の群から適宜選定されるが、電子供与性を有し、また電子供与によりラジカルカチオン化した際にも安定である化合物であることが好ましい。ホール輸送性材料としては、例えば、ポリアニリン、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNBなどを代表例とする、トリアリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、フルオレン誘導体を含むアミン化合物、スターバーストアミン類(m−MTDATA)、TDATA系材料として1−TMATA、2−TNATA、p−PMTDATA、TFATAなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、一般に知られる任意のホール輸送材料が使用される。第一ホール輸送層6及び第二ホール輸送層8は蒸着法などの適宜の方法で形成され得る。
第一電子輸送層7及び第二電子輸送層9を形成するための材料(電子輸送性材料)は、電子を輸送する能力を有し、陰極2からの電子の注入を受け得ると共に発光層に対して優れた電子注入効果を発揮し、さらに第一電子輸送層7及び第二電子輸送層9へのホールの移動を阻害し、かつ薄膜形成能力の優れた化合物であることが好ましい。電子輸送性材料として、Alq3、オキサジアゾール誘導体、スターバーストオキサジアゾール、トリアゾール誘導体、フェニルキノキサリン誘導体、シロール誘導体などが挙げられる。電子輸送性材料の具体例として、フルオレン、バソフェナントロリン、バソクプロイン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、アントラキノジメタン、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等やそれらの化合物、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体などが挙げられる。金属錯体化合物としては、具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリ(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)−4−フェニルフェノラート等が挙げられるが、これらに限定されない。含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール誘導体などが好ましく、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等が挙げられるが、これらに限定されない。電子輸送性材料として、ポリマー有機エレクトロルミネッセンス素子に使用されるポリマー材料も挙げられる。このポリマー材料として、ポリパラフェニレン及びその誘導体、フルオレン及びその誘導体等が挙げられる。第一電子輸送層7及び第二電子輸送層9の厚みに特に制限はないが、例えば、10〜300nmの範囲に形成される。第一電子輸送層7及び第二電子輸送層9は蒸着法などの適宜の方法で形成され得る。
光取出層12は、光拡散性向上のために基板10の陽極1と反対側の面に光散乱性フィルムやマイクロレンズフィルムを積層して形成することができる。
発光層は、図2の実施形態では、複数の発光層4、5からなるものであり、陽極1と陰極2の積層方向に複数の発光層4、5を積層し、隣り合う発光層4、5の間に中間層3が介在されている。上記のように中間層3を介して複数の発光層4、5が積層されて設けられているものであるので、複数層の発光層4、5が中間層3によって電気的に直列に配列された状態で発光するものであり、高輝度で発光させることができるものである。
以下、中間層3に対して陽極1側に位置している発光層を第1発光層4、中間層3に対して陰極2側に位置している発光層を第2発光層5と称することがある。
尚、図2の実施の形態では、中間層3を介して2層の発光層4、5が設けられたものであるが、中間層3を介してをさらに多層に発光層を積層した積層構成であっても良い。この積層数は特に制限されないが、層数が増大すると光学的及び電気的な素子設計の難易度が増大するので、5層以内とすることが好ましい。
第1発光層4及び第2発光層5はそれぞれ、適宜のエレクトロルミネッセンス材料により構成され得る。例えば、赤色の発光材料(波長605〜630nm)、緑色の発光材料(波長540〜560nm)、及び、青色の発光材料(波長440〜460nm)のいずれを用いてもよいし、複数の発光材料を用いてもよい。
図2の実施形態では、第1発光層4を青色発光層4a及び緑色発光層4bの2層で形成させ、第2発光層5を赤色発光層5a及び緑色発光層5bの2層で形成させている。例えば、青色発光層4a及び緑色発光層4bは蛍光発光、赤色発光層5a及び緑色発光層5bはリン光発光として形成することができる。このように、リン光と蛍光とを用いて発光し、特に緑色発光をリン光と蛍光との二種類の発光により生成することにより、発光の際の色度や輝度が調整されて発光バランスが良好になる。そして、電気エネルギーから光への変換効率を向上することができ、また、長期に発光させても輝度や色度の変化を抑制することができる。すなわち、リン光緑色と蛍光緑色との二つの緑色発光層の積層により緑色発光の輝度寿命が延びるため、色度変化が小さくなり寿命を長期化することができるのである。
第1発光層4及び第2発光層5を形成させるための発光材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、Perylene(青)、Quinacridone(緑)、Ir(PPy)(緑)、DCM(赤)などを挙げることができる。その他、発光層4の材料としては、有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として知られる任意の材料が使用可能である。例えばアントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体(Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2、5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ジスチリルアミン誘導体及び各種蛍光色素等、前述の材料系及びその誘導体を始めとするものが挙げられるが、これらに限定するものではない。また、これらの化合物のうちから選択される発光材料を適宜混合して用いることも好ましい。また、前記化合物に代表される蛍光発光を生じる化合物のみならず、スピン多重項からの発光を示す材料系、例えば燐光発光を生じる燐光発光材料、およびそれらからなる部位を分子内の一部に有する化合物も好適に用いることができる。また、これらの材料からなる有機層は、蒸着、転写等の乾式プロセスによって成膜しても良いし、スピンコート、スプレーコート、ダイコート、グラビア印刷等の湿式プロセスによって成膜するものであっても良い。尚、発光層4、5を形成する材料は、互いに同一の材料であっても良いし、異なるものであっても良い。
発光層4、5の厚みは、特に制限されるものではないが、0.5〜20nmであることが好ましい。
上記のように構成される有機EL素子の製造方法は特に制限されるものではなく、公知の製造方法によって製造することができる。
本発明の有機EL素子では、上記のように、中間層の改良によって、室温環境下のみならず、高温環境下においても駆動電圧の増大やショートの発生が起こりにくく構成されているものである。そのため、有機EL素子は、駆動電圧の増大による損傷が生じにくく、結果として長期耐久性及び寿命特性に優れるものであり、照明光源や液晶表示器用バックライト、フラットパネルディスプレイ等の分野に広く用いられ得るものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
厚み150nm、幅5mm、シート抵抗約10Ω/□のITO膜が陽極1として成膜された0.7mm厚のガラス製の基板10を用意した。この基板10は、予め洗剤、イオン交換水、アセトンで各10分間超音波洗浄した後、IPA(イソプロピルアルコール)で蒸気洗浄して乾燥し、さらにUV/O処理を施した。
次に、この基板10を真空蒸着装置にセットし、1×10−4Pa以下の減圧雰囲気下で、基板10に形成された陽極1の表面上に、ホール注入層として、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)とテトラフルオロ−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)の共蒸着体(モル比1:1)を30nmの膜厚で蒸着した。次に、この共蒸着体の上に、第1ホール輸送層6として、α−NPDを30nmの膜厚で蒸着した。
次いで、この第1ホール輸送層6の上に、発光層4として、Alq3にキナクリドンを3質量%共蒸着した層を30nmの膜厚で形成した。次に、この発光層4の上に、第1電子輸送層7としてBCPを単独で60nmの厚みに成膜した。
中間層3は次のように作製した。まず、上記第1電子輸送層7の上に、(1−1)式で示すDPB([化2])を、厚み20nmで成膜することによって、第1の層3aを形成させた。
次に、この第1の層3a上に、Liを、厚み0.7nmで成膜することによって、アルカリ金属層3bを形成させた。
次に、このアルカリ金属層3b上に、(1−1)式で示すDPB([化2])を、厚み3nmで成膜することによって、第2の層3cを形成させた。
さらに、第2の層3cの上に1、4、5、8、9、11−Hexaazatriphenylene−Hexacarbonitrile(HAT−CN6)を厚み10nmで成膜することによって、ホール注入層3dを形成し、中間層3を作製した。
続いて、中間層3の上に、第二ホール輸送層8として、α−NPDを40nmの膜厚で蒸着した後、第二ホール輸送層8の上に、発光層5として、Alq3にキナクリドンを7質量%共蒸着した層を30nmの膜厚で形成した。
次に、この発光層5の上に、第2電子輸送層9としてBCPを単独で40nmの膜厚に成膜し、続いて、BCPとLiのモル比2:1の膜を20nmの膜厚で成膜した。
この後、陰極2となるアルミニウムを0.4nm/sの蒸着速度で、5mm幅、100nm厚に蒸着した。
このようにして発光層4、5の2層構成で、その間に中間層3が設けられた、有機EL素子を得た。
(実施例2)
第1の層3a及び第2の層3cをDPBの代わりにBCP(含窒素複素環化合物)で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(実施例3)
第1の層3a及び第2の層3cをDPBの代わりにBphen(含窒素複素環化合物)で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(実施例4)
第1の層3a及び第2の層3cをDPBの代わりにAlq3(含窒素複素環化合物)で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(実施例5)
第2の層3cをDPBの代わりにBCP(含窒素複素環化合物)で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(実施例6)
第1の層3a及び第2の層3cをDPBの代わりに(1−2)式で示すm−DPB([化3])で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(実施例7)
第2の層3cをDPBの代わりに(1−2)式で示すm−DPB([化3])で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(実施例8)
アルカリ金属層3bをLiの代わりにNaで形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(比較例1)
アルカリ金属層3bをLiの代わりにLiOで形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(比較例2)
第2の層3cを形成させなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(比較例3)
第2の層3cを形成させなかったこと以外は、比較例3と同様の方法で有機EL素子を得た。
(比較例4)
第1の層3a及び第2の層3cをDPBの代わりに[化12]で示す化合物(含窒素複素環化合物以外の化合物であって、窒素原子を含まない化合物)で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
Figure 2014110421
(比較例5)
アルカリ金属層3bをLiの代わりにLiWOで形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
(比較例6)
アルカリ金属層3bをLiの代わりにLiとDPBとの混合層(膜厚比率で10:90)で形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で有機EL素子を得た。
上記実施例及び比較例で得られた有機EL素子に、温度30℃及び80℃において4mA/cmの電流を流したときの駆動電圧の上昇値ΔT(ΔT=(300時間通電試験後の駆動電圧)−(通電試験初期(0時間)の駆動電圧))を測定した。結果を表1に示す。尚、表1には、第1の層3a、アルカリ金属層3b及び第2の層3cで使用した材料も併せて示している。
Figure 2014110421
表1の結果から、アルカリ金属層3bをアルカリ金属で形成し、かつ、含窒素複素環化合物で第1の層3a及び/又は第2の層3cを形成させると、高温環境下での駆動電圧の上昇を抑制できることが明らかである。そして、一般式(1)で示される含窒素複素環化合物で第1の層3a又は第2の層3cを形成させると、高温環境下での駆動電圧の上昇がさらに抑制されていることもわかる。特に、実施例1、6、7、8では高温環境下での駆動電圧の上昇が0.2Vに満たない。これらの結果から、第1の層3aと第2の層3cとの両方を一般式(1)で示される含窒素複素環化合物で形成させると、高温環境下での駆動電圧の上昇を抑制するのに特に好ましいものであることがわかる。
一方、比較例1、3、5、6では、含窒素複素環化合物で第1の層3a、第2の層3cを形成させたとしても、アルカリ金属層3bが金属酸化物や、アルカリ金属とこれ以外の材料との混合材料させたものでは、駆動電圧の上昇が常温、高温共に顕著であった。また、比較例2では、第2の層3cを設けていないので、駆動電圧の上昇が常温、高温共に顕著であった。
1 陽極
2 陰極
3 中間層
3a 第1の層
3b:アルカリ金属層
3c 第2の層
3d ホール注入層
4 発光層(第1発光層)
5 発光層(第2発光層)
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に、中間層を介して積層された複数の発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記中間層は、含窒素複素環化合物を含む第1の層と、アルカリ金属からなるアルカリ金属層と、含窒素複素環化合物を含む第2の層と、電子受容性有機物質からなるホール注入層と、が陽極から陰極へこの順に形成されてなることを特徴とする。
また、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記第2の層の厚みが0.2〜20nmの範囲であることが好ましい
第2の層3cは、含窒素複素環化合物を含む材料で形成される層であり、厚みが、0.2〜20nmの範囲で形成されることが好ましい。第2の層3cは、アルカリ金属層3bの陰極2側の面、すなわち、第1の層3aが形成されている面と反対側の面に形成されている。
本実施形態の中間層3では、アルカリ金属層3bを構成する材料がアルカリ金属で構成されており、その他の材料(例えば、電子供与性材料や電子輸送性の有機材料)が含まれていない。このような構成を有することによっても、上記のような高温時における駆動電圧の増大を起こりにくくすることができるようになる。アルカリ金属層3bにアルカリ金属以外の材料が含まれていると、このような材料も拡散するが、第2の層3cでトラップしきれないおそれがあり、このため、ホール注入層3dと第2の層3cとの界面付近やホール注入層3dに拡散しやすくなる。その結果、ホール注入層3dとの直接的な反応などによって、駆動電圧の増大を引き起こすことがある。しかし、本実施形態のように、アルカリ金属層3bを構成する材料がアルカリ金属で構成されていれば、そのようなおそれはより小さくなる。
また、第2の層3cの厚みは、上述のように好ましくは0.2〜20nmの範囲で形成されるため、アルカリ金属を効率的にトラップすることが可能である。より好ましい第2の層3cの厚みは0.5〜5nm、特に好ましい第2の層3cの厚みは2〜5nmである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極の間に、中間層を介して積層された複数の発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記中間層は、含窒素複素環化合物を含む第1の層と、アルカリ金属からなるアルカリ金属層と、含窒素複素環化合物を含む第2の層と、電子受容性有機物質からなるホール注入層と、が陽極から陰極へこの順に形成されてなり、前記含窒素複素環化合物が、1,10−フェナントロリン部位又は2,2’−ビピリジン部位を1分子内に2以上有していることを特徴とする。
また、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記第2の層の厚みが0.2〜20nmの範囲であることが好ましい。
上記のように第1の層3a、アルカリ金属層3b、第2の層3及びホール注入層3dで中間層3を形成させるプロセスは特に限定されないが、高精度に膜厚制御が行える真空蒸着法が好ましい。
さらに、含窒素複素環化合物における少なくとも2つの窒素原子が、分子内で近接した位置、すなわち、2つの窒素原子で一つのアルカリ金属を配位することができる位置関係にあることが好ましい。この場合、アルカリ金属に対する配位能力がより高くなるので、上記の効果をさらに高めることが可能になる。具体的には、上述したような1、10−フェナントロリン部位のように一つの複素環に2つの窒素原子有するものや、2、2’−ビピリジン部位のように、複数の芳香環どうしが結合され、かつ、互いの芳香環中に2つの窒素原子を有しているものが好ましい。また、1、10−フェナントロリン部位(例えば、1、10−フェナントリル基)や2、2’−ビピリジン部位(例えば、2、2’−ビピリジル基)を分子中に2以上(例えば、2個)有している含窒素複素環化合物が特に好ましい(例えば、(1−1)式、(1−2)式、(1−3)式の化合物)。
本実施形態では、第1の層3aも含窒素複素環化合物を含む層で形成されているので、この第1の層3aによっても第2の層3c同様、アルカリ金属層3bのアルカリ金属の拡散を防止し易くなる。この場合、第1の層3aは、アルカリ金属が陽極側の層への拡散を防止することができ、上記同様、高温時であっても駆動電圧の増大を発生しにくくすることができるようになる。
図2に示すように、有機EL素子は、基板10の表面に陽極1を形成し、その上に第一ホール輸送層6、発光層4(第1発光層4)、第一電子輸送層7、上述の中間層3、第二ホール輸送層8、発光層5(第2発光層5)、第二電子輸送層9、及び陰極2をこの順に備えて形成されている。さらに基板10の極1と反対側の面に光取出層12が形成されている。以下、本構造を例として説明するが、この構造はあくまでも一例であり、本発明の趣旨に反しない限り、本構造に限定されるものではない。
次に、この基板10を真空蒸着装置にセットし、1×10−4Pa以下の減圧雰囲気下で、基板10に形成された陽極1の表面上に、ホール注入層として、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)とテトラフルオロ−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)の共蒸着体(モル比1:1)を30nmの膜厚で蒸着した。次に、この共蒸着体の上に、第ホール輸送層6として、α−NPDを30nmの膜厚で蒸着した。
次いで、この第ホール輸送層6の上に、発光層4として、Alq3にキナクリドンを3質量%共蒸着した層を30nmの膜厚で形成した。次に、この発光層4の上に、第電子輸送層7としてBCPを単独で60nmの厚みに成膜した。
中間層3は次のように作製した。まず、上記第電子輸送層7の上に、(1−1)式で示すDPB([化2])を、厚み20nmで成膜することによって、第1の層3aを形成させた。
次に、この発光層5の上に、第電子輸送層9としてBCPを単独で40nmの膜厚に成膜し、続いて、BCPとLiのモル比2:1の膜を20nmの膜厚で成膜した。
(比較例3)
第2の層3cを形成させなかったこと以外は、比較例と同様の方法で有機EL素子を得た。
一方、比較例1、5、6では、含窒素複素環化合物で第1の層3a、第2の層3cを形成させたとしても、アルカリ金属層3bが金属酸化物や、アルカリ金属とこれ以外の材料との混合材料させたものでは、駆動電圧の上昇が常温、高温共に顕著であった。また、比較例2、3では、第2の層3cを設けていないので、駆動電圧の上昇が常温、高温共に顕著であった。
1 陽極
2 陰極
3 中間層
3a 第1の層
b アルカリ金属層
3c 第2の層
3d ホール注入層
4 発光層(第1発光層)
5 発光層(第2発光層)

Claims (4)

  1. 陽極と陰極の間に、中間層を介して積層された複数の発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記中間層は、含窒素複素環化合物を含む第1の層と、
    アルカリ金属からなるアルカリ金属層と、
    含窒素複素環化合物を含む第2の層と、
    電子受容性有機物質からなるホール注入層と、
    が陽極から陰極へこの順に形成されてなり、
    前記第2の層の厚みが0.2〜20nmの範囲であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記含窒素複素環化合物が、1,10−フェナントロリン部位又は2,2’-ビピリジン部位を1分子内に2以上有していることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第1の層及び前記第2の層に含まれる前記含窒素複素環化合物が同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記電子受容性有機物質が、1,4,5,8,9,11−Hexaazatriphenylene−Hexacarbonitrileであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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