JP2014110255A - 避雷器 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部から荷重が加わった際にFRPに発生する応力が緩和されて機械的強度が向上した避雷器を提供すること。
【解決手段】積層された内部要素2と、内部要素2の積層方向の両側に配置された一対の電極1と、内部要素2の周囲に複数本配置され、それぞれ前記積層方向に延伸する平板状であり、軸方向の中央側から端側に向かって一定の傾斜角度でその幅が増大した後に一定の幅となるダンベル形状の出張り部3aが設けられ、当該出張り部3aが電極1に設けられた電極溝1aにそれぞれ嵌め合わされて固定されたFRPロッド3と、少なくとも内部要素2、電極1、および絶縁ロッド3を一体的に被覆するポリマー材料から成る外皮6とを備える避雷器を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電所又は変電所等において、系統に侵入した異常電圧から電気機器を保護するために用いられる避雷器に関するものである。
酸化亜鉛素子を含む内部要素を直接シリコーンゴム等のポリマーでモールドするタイプのポリマー形避雷器は、酸化亜鉛素子の周りに配置したガラス繊維強化プラスチック(FRP)等の絶縁支持物により機械的強度を付与されている。
一般的に、ガラス繊維が一方向からなるFRPは、引張荷重またはガラス繊維と垂直に作用する曲げ荷重に対しては優れた機械強度を有するが、ガラス繊維と平行方向のせん断荷重に対しては、機械強度が高くない。そのため、ポリマー形避雷器の構造においては、FRPの形状、および酸化亜鉛素子の両端に配置された電極とFRPとの固定方法が重要となる。
特許文献1に記載された従来のポリマー形避雷器では、両端部に概略二等辺三角形状または円形状の幅広部を設けたFRPを、FRPの幅広部と同形状(概略二等辺三角形状または円形状)の溝を設けた電極に嵌め合わせることで、FRPと電極とを固定しており、FRPの幅広部が電極の溝に引っ掛かることで、FRPの抜け落ちが阻止されている。
特開2003−297609号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリマー形避雷器の構造では、避雷器に曲げ荷重が加わった場合は、FRPの幅広部の根元に曲げ応力が発生し、避雷器に引張荷重が加わった場合は、FRPの幅広部にせん断応力が発生する。
そのため、上記従来の構造において、曲げ荷重に対する機械強度を向上させるためには、FRPの厚みを一定とした場合には、FRPの幅を大きくする必要がある。また、引張荷重に対する機械強度を向上させるためには、幅広部の面積を大きくする必要がある。このように、いずれの場合も、FRPおよび電極の大形化に繋がる。また、幅広部の面積を大きくする場合、FRPの加工部分が増加するため経済的でないといった課題も存在する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外部から荷重が加わった際にFRPに発生する応力が緩和されて機械的強度が向上した避雷器を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る避雷器は、積層された非直線抵抗素子と、この非直線抵抗素子の積層方向の両側に配置された一対の電極と、前記非直線抵抗素子の周囲に複数本配置され、それぞれ前記積層方向に延伸する平板状であり、軸方向の中央側から端側に向かって一定の傾斜角度でその幅が増大した後に一定の幅となるダンベル形状の両端部が設けられ、当該両端部が前記一対の電極に設けられた電極溝にそれぞれ嵌め合わされて固定された絶縁ロッドと、少なくとも前記非直線抵抗素子、前記一対の電極、および前記複数本の絶縁ロッドを一体的に被覆するポリマー材料から成る外皮と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、外部から荷重が加わった際にFRPに発生する応力が緩和されて機械的強度が向上した避雷器を提供することができる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態に係る避雷器の縦断面図である。 図2は、図1のA−Aにおける電極1の横断面図である。 図3は、(a)FRPロッド3の上面図、(b)FRPロッド3の側面図である。 図4は、出張り部3aの傾斜角度θ(°)と引張荷重が加わった際の出張り部3aのせん断応力(p.u.)との関係を示したグラフである。 図5は、出張り部3aからFRPロッド3の軸方向中央側の嵌め合い長さdと、曲げ荷重が加わった際の出張り部3aの曲げ応力(p.u.)との関係を示したグラフである。
以下に、本発明に係る避雷器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
図1は、本実施の形態に係る避雷器の縦断面図である。図2は、図1のA−Aにおける電極1の横断面図である。図3は、(a)FRPロッド3の上面図、(b)FRPロッド3の側面図である。以下、図1〜図3を参照して、本実施の形態の避雷器の構成について説明する。
本実施の形態に係る避雷器は、例えば酸化亜鉛素子である非直線抵抗素子が複数層積層されてなる内部要素2と、内部要素2の積層方向の一端面上に配置された押圧ばね5と、内部要素2および押圧ばね5からなる直列体の両端に配置された一対の電極1と、内部要素2の周囲に複数本配置され両端部に設けられたダンベル形状の出張り部3aがそれぞれ電極1に設けられた電極溝1aに嵌め合わされて電極1同士を連結する複数本のFRP(ガラス繊維強化プラスチック)ロッド3と、電極溝1aに嵌め合わされた出張り部3aが電極溝1aから外れないようにする留め板4と、内部要素2、押圧ばね5、電極1、FRPロッド3、および留め板4をシリコーンゴム等のポリマー材料で一体的にモールドする外皮6と、を備えている。なお、図1は、図2のB−Bにおける避雷器の矢視断面図であり、FRPロッド3のうち中央に示したものは実際には内部要素2を挟んで背後に配置されているものであるが、配置構成を明確にすることを目的として、両側の2本とともに示したものである。
FRPロッド3は、内部要素2の積層方向に沿って延伸する平板状の絶縁ロッドであり(図1、図2、図3(a))、両端部は基部3bよりも幅広でかつダンベル形状の出張り部3aを成し、その延伸方向(軸方向)に対して左右対称である(図1、図3(b))。すなわち、出張り部3aは、FRPロッド3の中央側から端側に向かって略一定の傾斜角度θでその幅が増加する第1の部分とこれに続く一定の幅の第2の部分とからなるダンベル形状であり、FRPロッド3の延伸方向に対して左右対称に出張っている。なお、基部3bは、出張り部3aである両端部以外の幅が一定の部分である。
また、傾斜角度θは、後述するように、例えば20°以下の小さな角度とすることが望ましい。また、FRPロッド3の基部3bと出張り部3aとの接続箇所(境界)、および、出張り部3aにおける第1の部分と第2の部分との接続箇所(境界)は、加工上の容易さおよび応力緩和の観点から例えば滑らかに接続されている。FRPロッド3は、出張り部3aを設けることで、電極1からの抜け落ちも防止される。FRPロッド3は、例えば4本配置されている(図2)。
電極1は、少なくとも出張り部3aが嵌め込まれる部分については、断面が例えば四角形状(正方形状)であり、各側面にはそれぞれ電極溝1aが設けられている。電極溝1aは、出張り部3aと略同形状であり、出張り部3aが引掛けるようにして嵌め込まれている。留め板4は、電極溝1aに嵌め合わされた出張り部3aが電極溝1aから外れないようにするものであり、電極1にボルト等により固定されている。なお、FRPロッド3の本数は4本に限定されず、一般に複数本とすることができる。FRPロッド3を例えば3本以上配置するときは、電極1の断面形状はその本数に応じた多角形状とすることができ、各側面に電極溝1aを設けることができる。
また、FRPロッド3の電極1との嵌め合い部分は、FRPロッド3の出張り部3aのみならず、出張り部3aからFRPロッド3の中央側に長さdの部分も含んでいる。すなわち、嵌め合い部分には、基部3bの一部が含まれ、その長さは出張り部3aから基部側に長さdまでの部分である。換言すれば、FRPロッド3の基部3bと出張り部3aとの接続箇所(境界)は、電極1の端面から長さdだけ電極1の内側に位置する。
押圧ばね5は、圧縮された状態で電極1の一方と内部要素2の積層方向の一端面間に配置されている。これにより、内部要素2は押圧ばね5のばね荷重にて固定されるので、衝撃等による内部要素2の位置ずれを防止することができる。
外皮6は、その外周面に複数個のひだを備える。このひだは、内部要素2の積層方向に沿って例えば略等間隔で配置されている。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態では、FRPロッド3の両端部に90°未満の傾斜角度θを有するダンベル形状の出張り部3aを設け、出張り部3aと略同形状の電極溝1aを設けた電極1に出張り部3aを引掛けて固定するようにしている。このような構成により、避雷器に曲げ荷重または引張荷重が加わった際の出張り部3aに付加される応力集中を緩和し、避雷器の機械強度を向上させることができる。
すなわち、本実施の形態では、出張り部3aにFRPロッド3の中央側から端側に向かって略一定の傾斜角度θでその幅が増加する上記第1の部分を設けることにより、上記第2の部分のみを設ける構成に比べて(傾斜角度が直角)、避雷器に引張荷重が加わった際に、出張り部3aに発生するせん断応力の応力集中を緩和させることができる。ここで、傾斜角度θは、例えば20°以下の小角度が望ましい。図4は、出張り部3aの傾斜角度θ(°)と引張荷重が加わった際の出張り部3aのせん断応力(p.u.)との関係を示したグラフである。図4に示すように、例えば、傾斜角度θが20°の場合は、傾斜角度θが45°の場合に比べ、引張荷重によるせん断応力が30%程度小さくなり、傾斜角度θが10°の場合は、傾斜角度θが45°の場合に比べ、引張荷重によるせん断応力が50%程度小さくなる。そのため、本実施の形態では、傾斜角度θを例えば20°以下とすることにより、せん断強度の向上を図ることが可能である。
また、本実施の形態では、FRPロッド3と電極1との嵌め合い部分は、出張り部3aだけではなく、出張り部3aからFRPロッド3の軸方向中央側にわたる基部3bの部分を含むようにしている。ここで、出張り部3aからFRPロッド3の軸方向中央側にわたる基部3bの部分の長さをdとしたときに、この嵌め合い長さdは例えば3mm以上とすることが望ましい。この構造により、出張り部3aのみの嵌め合いに比べ、避雷器に曲げ荷重が加わった際に、出張り部3aに発生する曲げ荷重の応力集中を緩和することができる。図5は、出張り部3aからFRPロッド3の軸方向中央側の嵌め合い長さdと、曲げ荷重が加わった際の出張り部3aの曲げ応力(p.u.)との関係を示したグラフである。例えば、出張り部3aからの嵌め合い長さdを3mmとした場合、嵌め合い長さdを0mm(出張り部3aのみの嵌め合い)の場合に比べ、曲げ応力が60%程度小さくなる。そのため、本実施の形態では、出張り部3aのみで嵌め合う場合のように、FRPロッド3の幅を大きくすることなく、曲げ強度の向上を図ることが可能である。
また、本実施の形態では、出張り部3aをダンベル形状とすることにより、出張り部3aの傾斜角度θを一定としたとき、出張り部3aの形状が二等辺三角形状の場合(特許文献1の図1参照)に比べて、出張り部3aの面積を大きくすることなく、せん断強度の向上を図ることが可能である。
また、本実施の形態では、FRPロッド3と電極1との嵌め合い部分に、出張り部3aからFRPロッド3の軸方向中央側にわたる基部3bの部分を含むようにしていることから、特許文献1の図1のように幅広部のちょうど根元を電極と内部要素との境界に配置する構成に比べて、曲げ強度の向上を図ることが可能である。
また、本実施の形態では、出張り部3aをダンベル形状とすることにより、二等辺三角形状の場合(特許文献1の図1参照)に比べて、出張り部3aの大きさおよび出張り部3aが嵌め合わされる電極1の大きさを小さくすることができるため、コスト低減を図ることができる。さらに、出張り部3aをダンベル形状にすることで、二等辺三角形の場合に比べて、FRPロッド3をより幅の小さい板から加工することができ、加工部分が小さくなり、経済性が向上する。
なお、本実施の形態では、内部要素2の周りにFRPロッド3を配置したが、他の絶縁ロッドを配置する構成も可能である。
本発明は、ポリマー形避雷器として有用である。
1 電極、1a 電極溝、2 内部要素、3 FRPロッド、3a 出張り部、4 留め板、5 押圧ばね、6 外皮。

Claims (5)

  1. 積層された非直線抵抗素子と、
    この非直線抵抗素子の積層方向の両側に配置された一対の電極と、
    前記非直線抵抗素子の周囲に複数本配置され、それぞれ前記積層方向に延伸する平板状であり、軸方向の中央側から端側に向かって一定の傾斜角度でその幅が増大した後に一定の幅となるダンベル形状の両端部が設けられ、当該両端部が前記一対の電極に設けられた電極溝にそれぞれ嵌め合わされて固定された絶縁ロッドと、
    少なくとも前記非直線抵抗素子、前記一対の電極、および前記複数本の絶縁ロッドを一体的に被覆するポリマー材料から成る外皮と、
    を備えることを特徴とする避雷器。
  2. 前記傾斜角度は、20°以下であることを特徴とする請求項1に記載の避雷器。
  3. 前記絶縁ロッドと前記電極溝との嵌め合い部分は、前記端部のみならず、当該端部から前記軸方向の中央側に一定の長さの当該絶縁ロッドの基部の部分を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の避雷器。
  4. 前記一定の長さは、3mm以上であることを特徴とする請求項3に記載の避雷器。
  5. 前記電極は、前記絶縁ロッドの本数に応じた断面多角形状であり、
    前記電極の各側面に前記電極溝が設けられており、
    前記電極溝に嵌め込まれた前記端部が留め板で外れないように固定されていること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の避雷器。
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