JP2014109315A - 車両の電動制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常ブレーキ機能と駐車ブレーキ機能とを兼ね備える電動制動装置において、部品点数が増加されることなく、小型化され得るものを提供する。
【解決手段】電気モータMTRの回転動力が入力部材INPに入力され、減速機GSK、シャフト部材SFT、及び、ねじ部材NJBを介して、押圧部材PSNに伝達される。押圧部材PSNは、摩擦部材MSBを回転部材KTBに押し付け、車輪に制動トルクを発生させる。ここで、減速機GSKは、少なくとも2つの異なる回転軸Jin、Jsfをもって、入力部材INPの回転動力を減速する。入力部材INPには、ラチェット歯車RCHが固定されていて、これがソレノイドSOLの咬合つめTsuとかみ合うことによって、押圧部材PSNが回転部材KTBから離れる方向に相当する入力部材INPの回転が拘束される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気モータによって車輪に制動トルクを発生させる車両の電動制動装置に係わり、特に車両の停止状態を維持する駐車ブレーキ機能を備える電動制動装置に関する。
特許文献1には、電気モータを利用する電動制動装置において、「電動ブレーキとしての本来的な機能を損なうことなく駐車ブレーキとしての機能を十分に発揮させる」ことを目的として、「モータのロータの周面につめ車を設け、ロータの周りに配置した揺動アームにねじりばねにより一方向へ付勢された係合つめを設け、揺動アームを引張ばねにより常時はつめ車側へ付勢する。駐車ブレーキ作動時には、ロータの制動方向への回転により制動力を発生すると同時にモータへの通電を遮断することにより、係合つめとつめ車との係合によりロータの戻りを規制する。」ことが記載されている。この具体的な構成として、「モータの回転を直線運動に変換してピストンに伝えるボールランプ機構(回転−直動変換機構)と、モータの回転を減速してボールランプ機構に伝える差動減速機構と、ブレーキパッドの摩耗に応じてピストンの位置を変更してパッド摩耗を補償するパッド摩耗補償機構と、駐車ブレーキを確立する駐車ブレーキロック機構とが配設される。」旨が記載されている。
特開2003−42199号公報
特許文献1に記載される電動制動装置では、電気モータ、差動減速機構、回転・直動変換機構、及び、ピストンが一列に配置される、所謂、同軸構成(同軸レイアウト)が採用されている。さらに、回転・直動変換機構として、ボールランプ機構が用いられる。このような電動制動装置は、従来の液圧制動装置に電気モータ等の新たな部品が追加される。また、ボールランプ機構を採用する場合には、パッド摩耗を補償するパッド摩耗補償機構も必要となる。新規部品が追加される電動制動装置では、全体の重量バランスを適正化するため(即ち、重心位置を適正にするため)、軸方向の長さを短縮することが要求される。このため、同軸構成では、減速機構の減速比が大きく設定されることに制約があり、一般的に、大トルク・低速回転型の電気モータが採用される。
特許文献1に記載される電動制動装置では、つめ車(ラチェット歯車ともいう。)がモータのロータ外周面に一体で形成され、駐車ブレーキは、つめ車に係合つめがかみ合うことによって機能する。そして、このかみ合いは、揺動アームを介したソレノイド機構によって行われている。上記の電動制動装置の構成(同軸レイアウト)では、ブレーキパッド側から力を受ける場合に、モータ部に作用するトルクが大きいので、強度確保のため、つめ車が相対的に大きくされる必要がある。つめ車が大径化されると係合つめとのかみ合いに或る程度のストロークが必要となるが、このストロークが大きくなるとソレノイドの吸引力は小さくなる。このため、揺動アームが利用されて、ソレノイドのストロークが増幅されて、係合つめがつめ車にかみ合わされている。しかしながら、揺動アーム等の付加的な部品を設ける必要があるため、部品点数が増加するとともに、その可動領域(揺動アームが作動し得る空間)を確保することも必要となってくる。
以下、この点について、図6を参照しながら詳細に説明する。図6(a)には、つめ車のつめ形状が示されている。つめ車(ラチェット歯車)に掛けつめをかみ合わせ逆転止めをする機構は、つめブレーキ(ラチェット機構ともいう。)と称呼されている。つめブレーキについては、ある範囲の設計値が推奨されている。例えば、「機械設計便覧(1978年1月30日に日刊工業新聞社から発行)」には、「つめ数は普通6〜25、つめ部分の寸法は、h=0.35t、e=0.5t(ここで、hはつめの高さ、tはつめ車のつめのピッチ、eはつめの根元の厚さ)」等が記載されている。ここからも分かるように、つめ車の直径が大きくなると、つめのピッチが大きくなり、つめの高さが増加する。このため、つめ車が大径化される場合には、つめとつめ車との咬合に必要なつめの移動量が増加する。
図6(b)には、ソレノイドにおけるストロークと吸引力との関係が示されている。ストローク(移動量)が増加すると、吸引力は急減する。このため、掛けつめの所定移動量を確保するためには、「てこ」を利用してストロークが増大される。この結果、揺動アーム等の付加的な部品が必要となってくる。
本発明は、上記の問題点に対処するためになされたものであり、その目的は、通常ブレーキ機能と駐車ブレーキ機能とを兼ね備える電動制動装置において、部品点数が増加されることなく、小型化され得るものを提供することにある。
本発明に係る車両の制動制御装置は、車両の車輪(WHL)に固定された回転部材(KTB)に摩擦部材(MSB)を押し付けて押圧力(Fba)を発生させる押圧部材(PSN)と、前記押圧力(Fba)を発生させる動力源である電気モータ(MTR)と、前記電気モータ(MTR)からの回転動力が入力される入力部材(INP)と、前記入力部材(INP)の回転動力を減速してシャフト部材(SFT)に伝達し、少なくとも2つの異なる回転軸(Jin、Jsf)をもつ減速機(GSK)と、前記減速機(GSK)から伝達される前記シャフト部材(SFT)の回転動力を前記押圧力(Fba)に変換するねじ部材(NJB)と、前記入力部材(INP)に固定されるラチェット歯車(RCH)と、前記ラチェット歯車(RCH)とかみ合うことができる咬合つめ(Tsu)をもち、前記咬合つめ(Tsu)を前記ラチェット歯車(RCH)にかみ合わせることで前記押圧部材(PSN)が前記回転部材(KTB)から離れる方向に相当する前記入力部材(INP)の回転を拘束するソレノイド(SOL)と、前記電気モータ(MTR)、及び、前記ソレノイド(SOL)を制御して前記車両の停止状態を維持する制御手段(CTL)と、を備える。
これによれば、減速機GSKが少なくとも異なる2つの回転軸(Jin、Jsf)をもって構成される。即ち、電気モータMTR等の回転軸Jinとシャフト部材SFT等の回転軸Jsfとが、平行、且つ、所定軸間距離Lj(ゼロより大きい値)をもって構成される。さらに、回転・直動変換機構として、「ねじ」が採用される。電気モータMTR等と、シャフト部材SFT等とが並行して配置され得るとともに、摩擦部材MSBの摩耗補償機構が不要とされ得る。このため、電動制動装置の軸方向のレイアウトに余裕が生じ、減速機GSKの減速比が十分に確保され得る。この結果、駐車ブレーキ作動時に、摩擦部材MSBからの押圧力を受け、これを保持するラチェット歯車RCHが小径化され得る。この小径化にともない、ラチェット歯車RCHのつめ高さが低くされ得るため、ソレノイドSOLのストローク量が小さくでき、咬合つめが揺動アームを介することなく、ラチェット歯車RCHに直接かみ合わされ得る。具体的には、ソレノイドSOLのプランジャ端に設けられた咬合つめ部Tsuが、ラチェット歯車RCHに、直にかみ合わされる。したがって、通常ブレーキ機能と駐車ブレーキ機能とを兼ね備える電動制動装置において、部品点数が増加されることなく、小型化され得る。
本発明の実施形態に係る電動制動装置の概略構成図である。 図1に示した制動手段(ブレーキアクチュエータ)の構成を説明するための部分断面図である。 図2に示した拘束機構(駐車ブレーキ用ロック機構)の第1の実施形態を説明するための構成図である。 図2に示した拘束機構(駐車ブレーキ用ロック機構)の第2の実施形態を説明するための構成図である。 図2に示したオルダム継手を説明するための概略構成図である。 従来の電動制動装置の問題点を説明するための図である。
以下、本発明に係る車両の電動制動装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<本発明に係る車両の電動制動装置の全体構成>
図1に示すように、車両の電動制動装置を備える車両には、制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BP、加速操作部材(例えば、アクセルペダル)AP、制動手段(ブレーキアクチュエータ)BRK、電子制御ユニットECU、及び、蓄電池BATにて構成される。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速するために操作する部材である。加速操作部材(例えば、アクセルペダル)APは、運転者が車両を加速するために操作する部材である。制動手段(ブレーキアクチュエータ)BRKは、車輪WHLの制動トルクを調整して車輪WHLに制動力を発生させる。電子制御ユニットECUは、その内部にBRKを制御するための制御手段(制御アルゴリズム)CTLがプログラムされており、これに基づいてBRKを制御する。蓄電池BATは、BRK、ECU等に電力を供給する電源である。
また、この車両には、制動操作量取得手段BPA、加速操作量取得手段APA、車速取得手段VXA、及び、駐車ブレーキ用スイッチMSWが備えられる。
制動操作量取得手段BPAは、運転者による制動操作部材BPの操作量(制動操作量)Bpaを取得(検出)する。制動操作量取得手段BPAとして、マスタシリンダ(図示せず)の圧力を検出するセンサ(圧力センサ)、制動操作部材BPの操作力、及び/又は、変位量を検出するセンサ(ブレーキペダル踏力センサ、ブレーキペダルストロークセンサ)が採用される。したがって、制動操作量Bpaは、マスタシリンダ圧、ブレーキペダル踏力、及び、ブレーキペダルストロークのうちの少なくとも何れか1つに基づいて演算される。
加速操作量取得手段APAは、運転者による加速操作部材APの操作量(加速操作量)Apaを取得(検出)する。加速操作量取得手段APAとして、エンジンのスロットル開度を検出するセンサ(スロットル開度センサ)、加速操作部材APの操作力、及び/又は、変位量を検出するセンサ(アクセルペダル踏力センサ、アクセルペダルストロークセンサ)が採用される。したがって、加速操作量Apaは、スロットル開度、アクセルペダル踏力、及び、アクセルペダルストロークのうちの少なくとも何れか1つに基づいて演算される。
車速取得手段VXAは、車両の速度(車速)Vxaを取得(検出)する。車速Vxaは、車輪速度取得手段VWAの検出信号(車輪速度)Vwa、及び、公知の方法に基づいて演算され得る。例えば、各車輪の回転速度のうちで最速のものが車両速度Vxaとして演算され得る。
駐車ブレーキ用スイッチMSWは、運転者によって操作されるマニュアルスイッチであり、スイッチMSWのON/OFFの信号Mswを出力する。運転者は、車両の停止状態を維持する駐車ブレーキの作動又は解除を、スイッチMSWの操作によって指示する。具体的には、スイッチMswのON状態で駐車ブレーキの作動が指示され、MswのOFF状態で駐車ブレーキの解除が指示される。
制動操作量Bpa、加速操作量Apa、車両速度Vxa、及び、駐車ブレーキ用スイッチ信号Mswは、電子制御ユニットECUに入力される。なお、Bpa、Apa、Vxa、及び、Mswは他の電子制御ユニットにて演算、又は、取得され、その演算値(信号)が通信バスを介して、ECUに送信され得る。
〔制動手段(ブレーキアクチュエータ)BRK〕
制動手段BRKは、ブレーキキャリパ(浮動型キャリパ)CPR、回転部材KTB、摩擦部材MSB、電気モータMTR、モータ駆動回路DRV、入力部材INP、減速機GSK、シャフト部材SFT、ねじ部材NJB、押圧部材(ブレーキピストン)PSN、通電量取得手段IMA、位置取得手段MKA、押圧力取得手段FBA、及び、駐車ブレーキ用ロック機構LOKにて構成されている。
例えば、回転部材KTBはブレーキディスク、摩擦部材MSBはブレーキパッド、電気モータMTRは、ブラシモータ、又は、ブラシレスモータである。
入力部材INPは、電気モータMTRの出力軸に接続され、MTRの動力を減速機GSKに入力(伝達)する。減速機GSKは、電気モータMTRの回転出力(トルク)を減速して、シャフト部材SFTに伝達する。ここで、減速機GSKは少なくとも異なる2つの回転軸で構成されていて、入力部材INPの軸Jinと、シャフト部材SFTの軸Jsfとが、互いに平行で、別個の回転軸となっている。減速機GSKとしては、歯車伝達機構(平歯車、はすば歯車等)、巻き掛け伝達機構(ベルト、チェーン等)、及び、摩擦伝達機構のうちの少なくとも1つが用いられ得る。例えば、減速機GSKに歯車伝達機構が採用される場合には、入力部材INPに小径の歯車が固定され、シャフト部材SFTに大径(小径よりもピッチ径が大きく、歯数が多い)の歯車が固定されて、電気モータMTRの回転動力が減速される。
シャフト部材SFTは、減速機GSKから伝達された動力をねじ部材NJBに伝達する。ねじ部材NJBは、ボルト(おねじ)及びナット(めねじ)にて構成され、シャフト部材SFTからの回転動力(回転運動)を直線動力(直線運動)に変換し、押圧部材PSNに伝達する。ねじ部材NJBは、回転・直動変換機構であり、「滑り」によって動力伝達が行われる滑りねじ(台形ねじ等)によって構成されている。また、ねじ部材NJBには、「転がり」によって動力伝達が行われる転がりねじ(ボールねじ等)が採用され得る。
押圧部材PSNは、ねじ部材NJBによって伝達される直線動力(推力、押圧力)によって摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSBを回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTBに押し付ける。即ち、ねじ部材NJBから伝達される動力によって、押圧部材PSNが回転部材KTBの方向に前進又は後退され、摩擦部材MSBの回転部材KTBに対する押圧力Fbaが調整される。
モータ駆動回路DRVは、制御手段CTLから指令される目標通電量(目標値)Imtに基づいて、電気モータMTRへの通電量(最終的には電流値)を制御する。具体的には、モータ駆動回路DRVには、スイッチング素子(パワートランジスタであって、例えば、MOS−FET)が用いられたブリッジ回路が構成され、目標通電量Imtに基づいてスイッチング素子が駆動され、電気モータMTRの出力(出力トルク)が制御される。即ち、スイッチング素子の通電/非通電の状態が切り替えられることによって、電気モータMTRの回転方向と出力トルクとが調整される。ここで、電気モータの回転方向は、正転方向が、摩擦部材MSBが回転部材KTBに近づいていく方向(押圧力が増加し、制動トルクが増加する方向)に相当し、逆転方向が、摩擦部材MSBが回転部材KTBから離れていく方向(押圧力が減少し、制動トルクが減少する方向)に相当する。
通電量取得手段(例えば、電流センサ)IMAは、実際の通電量(例えば、実際に電気モータMTRに流れる電流)Imaを検出するために、モータ駆動回路DRVに設けられている。位置取得手段(例えば、角度センサ)MKAは、MTRのロータの位置(例えば、回転角)Mkaを検出するために、電気モータMTRに設けられている。押圧力取得手段(例えば、押圧力センサ)FBAは、摩擦部材MSBが回転部材KTBを実際に押す力(押圧力の実際値)Fbaを検出するために、シャフト部材SFTに設けられている。
駐車ブレーキ用ロック機構LOKは、車両の停止状態を維持するブレーキ機能(所謂、駐車ブレーキ)のため、電気モータMTRの逆転方向の回転(PSNがKTBから離れる方向に相当する回転)をロック(拘束)する。駐車ブレーキ用ロック機構LOKは、ラチェット歯車RCH、ソレノイドSOL、及び、ソレノイド駆動回路DRSにて構成されている。
ラチェット歯車RCH(つめ歯車ともいう。)では、一般的な歯車とは異なり、歯が方向性をもって傾けられている。ソレノイドSOLは、ソレノイド駆動回路DRSによって駆動される。ソレノイドSOLのプランジャPlnの先端には、咬合つめ(掛けつめともいう。)Tsuが設けられている。ソレノイドSOLによって、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとの咬合(RCHのロック状態)、又は、非咬合(RCHのフリー状態)が制御される。咬合つめTsuがラチェット歯車RCHとかみ合うこと(ロック状態にされること)によって、ラチェット機構(回転動作方向を一方に制限する機構)が形成される。ラチェット歯車RCHが適する方向(電気モータの正転方向)に回転される場合には、咬合つめTsuは容易に歯を乗り越え、ラチェット歯車RCHは回転され得る。しかし、ラチェット歯車RCHが逆方向(電気モータの逆転方向)に回転される場合には、咬合つめTsuが歯に食い込むため、ラチェット歯車RCHは回転され得ない。なお、ソレノイド駆動回路DRSは、制御手段CTLからの指令値Spkに基づいて、ソレノイドSOLへの通電、又は、非通電を制御する。
以上のような構成の制動手段BRKによれば、電気モータMTRの出力(動力)は、先ず、入力部材INPに伝達される。そして、回転動力は、少なくとも2つの回転軸で構成される減速機GSKを介して、シャフト部材SFTに伝達される。回転・直動変換機構であるねじ部材NJBによって、シャフト部材SFTの回転動力(トルク)は直線動力(推力)に変換され、押圧部材PSNに伝達される。これにより、押圧部材(ブレーキピストン)PSNが回転部材(ブレーキディスク)KTBに向かって前進し、摩擦部材(ブレーキパッド)MSBが回転部材KTBに向かって押圧される。回転部材KTBは車輪WHLに固定されているため、摩擦部材MSBと回転部材KTBとの間に摩擦力が発生し、車輪WHLに制動力が発生し、通常ブレーキとして機能する。
また、マニュアルスイッチMSW等によって駐車ブレーキの作動が指示される場合には、電気モータMTRが駆動されて、押圧力Fbaが第1所定値fb1を超過するまで摩擦部材MSBが回転部材KTBに押し付けられる。押圧力Fbaが第1所定値fb1を越えた後に、ソレノイドSOLに通電が行われ、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとがかみ合わされる。そして、電気モータMTRへの通電が減少されて、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとの咬合が確認された後に、ソレノイドSOLへの通電が解除される。なお、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとの咬合確認は、MTRの位置(回転角)Mkaに基づいて行われ得る。具体的には、電気モータMTRへの通電が減少されると、回転角Mkaは中立位置(MSBがKTBに接触を開始する位置に相当し、MTRのゼロ点位置)に向けて減少を開始するが、Mkaが逆転方向に変化しなくなることで咬合が確認され得る。
MSW等によって駐車ブレーキの解除が指示される場合には、押圧力Fbaが第2所定値fb2(fb1よりも大きい値)を超過するまで、電気モータMTRが駆動される。これにより、ソレノイドSOLの咬合つめTsuがラチェット歯車RCHの歯を乗り越えるため、駐車ブレーキが解除される。ソレノイドSOLには、咬合つめTsuを咬合解除位置に戻す弾性体(ばね)Sprが内蔵されているため、駐車ブレーキ解除時にはソレノイドSOLには通電されない。電気モータMTR、及び、ソレノイドSOLを介して、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとの咬合状態、又は、非咬合状態が切り替えられることで、制動手段BRKは駐車ブレーキとしても機能する。
〔制御手段CTL〕
制御手段CTLは、目標押圧力演算ブロックFBT、指示通電量演算ブロックIST、押圧力フィードバック制御ブロックIPT、駐車ブレーキ制御ブロックIPK、及び、通電量調整演算ブロックIMTにて構成される。制御手段(制御プログラム)CTLは、電子制御ユニットECU内にプログラムされている。
目標押圧力演算ブロックFBTでは、制動操作量Bpa、及び、予め設定された目標押圧力演算特性(演算マップ)CHfbに基づいて、各車輪WHLの目標押圧力Fbtが演算される。Fbtは、電動制動手段BRKにおいて、摩擦部材(ブレーキパッド)MSBが回転部材(ブレーキディスク)KTBを押す押圧力の目標値である。
指示通電量演算ブロックISTでは、予め設定された指示通電量の演算特性(演算マップ)CHs1、CHs2、及び、目標押圧力Fbtに基づいて、指示通電量Istが演算される。Istは、電動制動手段BRKの電気モータMTRを駆動し、目標押圧力Fbtを達成するための、電気モータMTRへの通電量の目標値である。Istの演算マップは、電動制動手段BRKのヒステリシスを考慮して、2つの特性CHs1、CHs2で構成される。特性CHs1は押圧力を増加する場合に対応し、特性CHs2は押圧力を減少する場合に対応する。そのため、特性CHs2に比較して、特性CHs1は相対的に大きい指示通電量Istを出力するように設定されている。
ここで、通電量とは、電気モータMTRの出力トルクを制御するための状態量(変数)である。電気モータMTRは電流に概ね比例するトルクを出力するため、通電量の目標値として電気モータMTRの電流目標値が用いられ得る。また、電気モータMTRへの供給電圧を増加すれば、結果として電流が増加されるため、目標通電量として供給電圧値が用いられ得る。さらに、パルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)におけるデューティ比によって供給電圧値が調整され得るため、このデューティ比が通電量として用いられ得る。
押圧力フィードバック制御ブロックIPTでは、目標押圧力(目標値)Fbt、及び、実押圧力(実際値)Fbaに基づいて、押圧力フィードバック通電量Iptが演算される。指示通電量Istは目標押圧力Fbtに相当する値として演算されるが、電動制動手段BRKの効率変動により目標押圧力Fbtと実押圧力Fbaとの間に誤差(定常的な誤差)が生じる場合がある。押圧力フィードバック通電量Iptは、目標押圧力Fbtと実押圧力Fbaとの偏差(押圧力偏差)ΔFb、及び、演算特性(演算マップ)CHpに基づいて演算され、上記の誤差を減少するように決定される。なお、実押圧力Fbaは、後述する押圧力取得手段FBAによって取得(検出)される。
通電量調整演算ブロックIMTは、電気モータMTRへの最終的な目標値である目標通電量Imtを演算する。指示通電量Istが押圧力フィードバック通電量Iptによって調整され、目標通電量Imtが演算される。具体的には、通電量調整演算ブロックIMTは、指示通電量Istに対してフィードバック通電量Iptを加え、目標通電量Imtとして演算する。目標通電量Imtは、電気モータMTRの出力を制御するための最終的な通電量の目標値であり、FBAの検出結果(Fba)に基づいて演算される。そして、目標通電量Imtの符号(値の正負)に基づいて電気モータMTRの回転方向(押圧力が増加する正転方向、又は、押圧力が減少する逆転方向)が決定され、目標通電量Imtの大きさに基づいて電気モータMTRの出力が制御される。
以上、制御手段CTLにおける通常ブレーキ機能の制御アルゴリズムについて説明した。次に、制御手段CTLにおける駐車ブレーキ機能の制御アルゴリズムについて説明する。
駐車ブレーキ制御ブロックIPKでは、車両の停止状態を維持する駐車ブレーキ(パーキングブレーキともいう。)についての制御が実行される。具体的には、駐車ブレーキを作動させる咬合制御、及び、駐車ブレーキを解除する解除制御が実行される。駐車ブレーキ制御ブロックIPKは、駐車ブレーキの作動開始(咬合)、及び、解除を判定する咬合・解除判定ブロックHNTと、咬合制御、及び、解除制御を実行する咬合・解除制御ブロックKKSとで構成される。駐車ブレーキ制御ブロックIPKには、マニュアルスイッチ信号Msw、車両速度Vxa、加速操作量Apa、押圧力(FBAの検出値)Fba、及び、電気モータの位置(回転角)(MKAの検出値)Mkaが入力される。そして、IPKからは、駐車ブレーキ時目標通電量Ipk、及び、ソレノイド指令信号Spkが出力される。
咬合・解除判定ブロックHNTでは、駐車ブレーキの作動の要否、及び、解除の要否が判定される。夫々の要否判定には、マニュアルモードと、自動モードとがある。マニュアルモードでは、運転者の駐車ブレーキ用のマニュアルスイッチMSWの操作(操作信号Msw)に基づいて、夫々の要否が判定される。スイッチMSWのオフ(OFF)状態(駐車ブレーキが非作動状態)で、MSWのオン(ON)状態を示す信号が送信された時点で、駐車ブレーキの作動を開始する信号(制御フラグであって、咬合指示信号)FLkgがHNTから出力される。また、MSWのオン(ON)状態にあるときに、MSWのオフ(OFF)状態を示す信号が送信された時点で、駐車ブレーキを解除する信号(制御フラグであって、解除指示信号)FLkjがHNTから出力される。
咬合・解除判定ブロックHNTの自動モードでは、運転者のスイッチMSWの操作には依らず、加速操作部材(アクセルペダル)APの操作に連動して、自動で駐車ブレーキの作動・解除が判定される。自動モードでは、車両速度Vxa、及び、加速操作量Apaに基づいて、駐車ブレーキの作動の要否、及び、解除の要否が判定される。車両の走行中(Vxaがゼロではない状態)には、駐車ブレーキの解除状態が判定されている。車両が停止すると(Vxaがゼロになった時点で)、駐車ブレーキの作動開始が判定される。そして、運転者が加速操作部材APを操作し、加速操作量Apaが所定値ap1を超過したときに、駐車ブレーキの解除が判定される。マニュアルモードと同様に、駐車ブレーキの作動開始が判定された時点で咬合指示信号FLkgが出力され、駐車ブレーキの解除が判定された時点で解除指示信号FLkjが出力される。
咬合・解除制御ブロックKKSでは、咬合・解除判定ブロックHNTから送信される指示信号FLkg、FLkj、押圧力Fba、及び、回転角Mkaに基づいて、駐車ブレーキを作動させる咬合制御、及び、駐車ブレーキを解除する解除制御が実行される。咬合制御では、咬合指令FLkg、及び、押圧力Fbaに基づいて、予め設定された演算マップに基づいて、徐々に(予め設定された所定変化量で)駐車ブレーキ時目標通電量Ipkが増加される。ここで、Ipkは、駐車ブレーキ制御における電気モータMTRの通電量の目標値である。目標通電量Ipkの増加にともなって押圧力Fbaが増加される。そして、押圧力Fbaが所定値fb1を超過した時点で、ソレノイドSOLへの通電を指示するソレノイド指令信号Spkが出力される。指令信号Spkが指示された所定時間tpkの後に、Ipkは緩やかにゼロにまで減少される。そして、Ipkが減少するにともなって、電気モータの位置MkaがMTRの逆転方向に変化するが、その変化が生じなくなった時点(即ち、咬合つめTsuがラチェット歯車RCHと完全にかみ合った時点)で、ソレノイド指令信号Spkの出力が停止される。
咬合制御では、駐車ブレーキ時目標通電量Ipkによって電気モータMTRが駆動され、摩擦部材MSBが回転部材KTBに値fb1以上に押圧力で押し付けられている状態で、指令信号SpkによってソレノイドSOLが駆動され、ソレノイドSOLの先端部に設けられた咬合つめTsuがラチェット歯車RCHの方向(以下、咬合方向という。)に移動され、RCHにかみ合わされる。その後、Ipkが減少されて、電気モータMTRの回転動力は減少するが、ラチェット機構によって摩擦部材MSBが回転部材KTBに押し付けられた状態が維持されるため、駐車ブレーキの作動状態が継続される。
解除制御では、解除指令FLkj、及び、押圧力Fbaに基づいて、予め設定された演算マップに基づいて、徐々に(予め設定された所定の変化量をもって)駐車ブレーキ時の目標通電量Ipkが増加される。Ipkの増加にともなって押圧力Fbaが増加されるが、押圧力Fbaが所定値fb2を超過するまで電気モータMTRへの通電が継続される。ここで、所定値fb2は、所定値fb1よりも所定値(正の値)fbxだけ大きい値である。摩擦部材MSBの位置は、ラチェット機構によって、押圧力が概ねfb1となる位置でロックされている。押圧力の増加に相当する回転方向は、ラチェット機構によって拘束されない方向であるため、押圧力がfb1よりも大きくなった場合には、咬合つめTsuはラチェット歯車RCHの歯を既に乗り越えている。このため、所定値fb1よりも所定値fbxだけ大きい所定値fb2まで、押圧力Fbaが増加されるように、電気モータMTRが制御される。なお、値fbxは、制動手段BRKの効率変動等に基づいて予め設定される固定値である。ソレノイドSOLには、咬合つめTsuに対して咬合方向とは逆方向(以下、解除方向という。)に力を加える弾性体(例えば、戻しばね)Sprが設けられているため、ラチェット歯車RCHの歯を乗り越えた時点で咬合状態は解消され、駐車ブレーキは解除される。
駐車ブレーキ時の目標通電量Ipkは、通電量調整演算ブロックIMTに送信され、通常ブレーキ時の通電量の目標値(Ist等)との調整が行われる。また、ソレノイド指令信号Spkは、ソレノイド駆動回路DRSに送信される。ソレノイド駆動回路DRSでは、指令信号Spkに基づいて、ソレノイドSOLへの通電又は非通電が実行される。具体的には、Spkが送信されている場合には、ソレノイドSOLへの通電が行われる(予め決定されている通電量が供給される)。一方、Spkが送信されていない場合には、ソレノイドSOLへの通電が行われない(通電量がゼロとされる)。
<制動手段BRKの構成>
制動手段(ブレーキアクチュエータ)BRKの実施形態について、図2を参照して説明する。制動手段BRKは、ブレーキキャリパCPR、押圧部材(ブレーキピストン)PSN、電気モータMTR、オルダム継手OLD、入力部材INP、減速機GSK、シャフト部材(出力軸部材)SFT、ねじ部材(回転・直動変換機構)NJB、及び、押圧力取得手段(押圧力センサ)FBA等にて構成されている。
ブレーキキャリパCPRは、浮動型キャリパであり、2つの摩擦部材(ブレーキパッド)MSBを介して、回転部材(ブレーキディスク)KTBを挟み込むように構成されている。後述する押圧部材PSNが、キャリパCPR内でスライドされ、回転部材KTBに向けて前進されることによって、摩擦部材MSBが回転部材KTBに押圧される。このときの押圧力によって、摩擦部材MSBと回転部材KTBとの間で摩擦力が発生し、車輪に制動トルクが加えられる。
電気モータMTRは、キャリパCPRに固定され、摩擦部材MSBを回転部材KTBに押圧するための動力源として作動する。電気モータMTRの出力部Motは、オルダム継手OLDを介して、入力部材INPに接続されている。オルダム継手OLDは、電気モータMTRの回転軸(以下、モータ軸という。)Jmtと、入力部材INPの回転軸(以下、入力軸という。)Jinとの偏心を吸収する。入力部材INPは、回転軸部材である。入力部材INPには、駐車ブレーキ用ロック機構LOKのラチェット歯車RCH、及び、減速機GSKの第1小径歯車SKH1が固定されている。
駐車ブレーキ用ロック機構LOKは、ソレノイドSOL、及び、ラチェット歯車RCHにて構成されている。ソレノイドSOLは、キャリパCPRに固定され、固定コイルColと、可動鉄心(プランジャ)Plnから構成される。プランジャPlnの先端には咬合つめTsuが形成され、固定コイルColに電流を流したときに、プランジャPlnを固定コイルCol内に引き込む力(吸引力)が利用され、咬合つめTsuがラチェット歯車RCHにかみ合わされる。ラチェット歯車RCHは、入力部材INPに固定され、咬合つめTsuとかみ合うことによって、電気モータMTRの逆転方向への回転運動をロックする。即ち、押圧部材PSN(即ち、摩擦部材MSB)が回転部材KTBから離れる方向の動きが拘束され、電気モータMTRの回転動力が停止された場合(MTRへの通電が行われない場合)であっても、押圧力の発生が継続される。換言すれば、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとがかみ合うことによって、駐車ブレーキ機能が発揮される。
減速機GSKは、第1小径歯車SKH1、第1大径歯車DKH1、中間軸部材CHU、第2小径歯車SKH2、及び、第2大径歯車DKH2にて構成されている。減速機GSKは、入力部材INPの動力の回転速度を減じて、シャフト部材SFTに出力する機構であり、シャフト部材SFTの出力動力として、減速比に比例した回転力(トルク)が得られる。例えば、減速機GSKには、2段の減速機が利用され、第1段減速が第1小径歯車SKH1と第1大径歯車DKH1とによって行われ、第2段減速が第2小径歯車SKH2と第2大径歯車DKH2とによって行われる。
第1小径歯車SKH1は、入力部材INPに固定され、INPと一体となって回転される。また、第1大径歯車DKH1は、中間軸部材CHUに固定され、CHUと一体となって回転される。SKH1(INP)の軸受け、及び、DKH1(CHU)の軸受けは、キャリパCPRに固定されている。そして、SKH1とDKH1とは、互いの歯がかみ合っている。第1大径歯車DKH1のピッチ円直径は、第1小径歯車SKH1のピッチ円直径よりも大きく、第1大径歯車DKH1の歯数は、第1小径歯車SKH1の歯数よりも多い。即ち、第1小径歯車SKH1の動力が減速されて、第1大径歯車DKH1から出力される。
第2小径歯車SKH2は中間軸部材CHUに固定され、CHUと一体となって回転される。また、第2大径歯車DKH2は、シャフト部材SFTに固定され、SFTと一体となって回転される。SKH2(CHU)の軸受け、及び、DKH2(SFT)の軸受けは、キャリパCPRに固定されている。そして、SKH2とDKH2とは、互いの歯がかみ合っている。第2大径歯車DKH2のピッチ円直径は、第2小径歯車SKH2のピッチ円直径よりも大きく、第2大径歯車DKH2の歯数は、第2小径歯車SKH2の歯数よりも多い。即ち、第2小径歯車SKH2の動力が減速されて、第2大径歯車DKH2から出力される。したがって、入力部材INPから伝達される回転動力は、第1小径歯車SKH1から減速機GSKに入力され、2段で減速されて、第2大径歯車DKH2からシャフト部材SFTに出力される。減速機GSKとして、1段の減速機が用いられ得る。この場合、入力部材INPからの動力は、第1小径歯車SKH1に入力され、SKH1及びDKH1によって減速されて、シャフト部材SFTから出力される。
シャフト部材SFTは、回転軸部材であって、減速機GSKから伝達された回転動力をねじ部材NJBに伝達する。シャフト部材SFTには、自在継手機構UNVが設けられ、SFTの回転軸(以下、シャフト軸という。)Jsfと押圧部材PSNの押圧軸(以下、ピストン軸という。)Jpsとの偏心を吸収する。浮動型キャリパCPRの撓み、摩擦部材MSBの偏摩耗等によってシャフト部材SFTの揺動(首振り)が生じ、2つの軸(Jsf、Jps)には偏心(軸ズレ)が発生し得る。自在継手機構UNVは、所謂、ユニバーサルジョイントであり、接続された2つの軸(Jsf、Jps)が必ずしも一直線上にあることを必要とせず、2つの軸間の相対的な角度を吸収して動力を伝達し得る。
シャフト部材SFTの回転動力は、ねじ部材NJBに伝達され、回転動力から直線動力に変換される。即ち、ねじ部材NJBは、回転・直動変換機構であって、ボルト部Bltとナット部Nutとで構成される。ボルト部Bltは、シャフト部材SFTに固定され、SFTと一体となって回転駆動される。ボルト部Bltには、おねじ(外側ねじともいう。)Onjが設けられ、ナット部Nutのめねじ(内側ねじともいう。)Mnjと螺合されている。めねじMnjをもつナットNutは、押圧部材PSNに固定されている。したがって、シャフト部材SFTから伝達された回転動力(トルク)は、ねじ部材NJB(おねじOnjとめねじMnj)を介して、押圧部材PSNの直線動力(推力)として伝達される。以上の構成では、SFTにBltが固定され、PSNにNutが固定されるが、シャフト部材SFTにナット部(めねじMnj)Nutが固定され、押圧部材PSNにボルト部(おねじOnj)Bltが固定され、MnjとOnjとが螺合され得る。
ねじ部材NJBに、台形ねじ等の滑りねじが採用された場合について説明したが、滑りねじに代えて、ボールねじ等の転がりねじが採用され得る。この構成では、ナット部Nutが、「ボール溝付きナット」に、ボルト部Bltが「(ボール溝付き)ねじシャフト」に夫々、置き換えられる。そして、複数のボールが、Nut及びBltのボール溝に配置されて、回転運動が直線運動に変換される。
押圧部材(ピストン)PSNは、回転部材KTBに摩擦部材MSBを押し付けて摩擦力を発生させる。ブレーキキャリパCPRに対する押圧部材PSNの動きは、キー部材KYB及びキー溝KYMによって制限されている。ブレーキキャリパCPRには、シャフト部材SFTの回転軸Jsf(シャフト軸Jsf)方向に延びるように、キー溝KYMが形成されている。そして、押圧部材PSNに固定されたキー部材KYBは、キー溝KYMに嵌合される。このため、押圧部材PSNは、シャフト軸Jsfまわりの回転運動が制限され、シャフト軸方向(キー溝KYM方向)の直線運動は許容される。
シャフト部材SFTとキャリパCPRとの間には、押圧力取得手段(押圧力センサ)FBAが設けられ、押圧部材PSNが摩擦部材MSBを押す力(押圧力)Fbaの反力(反作用)が検出される。押圧力取得手段FBAにて取得(検出)された押圧力Fbaは、電子制御ユニットECUに送信される。ここで、押圧力取得手段FBAはキャリパCRPに固定されている。また、入力部材INP、中間軸部材CHU、及び、シャフト部材SFTの夫々の軸受けもキャリパCPRに固定されている。さらに、電気モータMTR、及び、ソレノイドSOLも、キャリパCPRに固定されている。
以上の構成のBRKによれば、電気モータMTRの回転動力(仕事率であって、単位時間当たりの仕事量)は、JmtとJinとの軸ズレ(偏心)を吸収するオルダム継手OLDを介して、入力部材INPに伝達される。そして、入力部材INPの回転動力は、Jin及びJsfの2つの回転軸をもつ2軸構成(中間軸部材CHUを含めると3軸構成)の減速機GSKを介して、シャフト部材SFTに伝達される。ここで、減速機GSKの減速比を値Rgとすると、入力部材INPの回転力(トルク)はRg倍されてシャフト部材SFTの回転力とされ、入力部材INPの回転速度はRg分の1とされてシャフト部材SFTの回転速度とされる。シャフト部材SFTの回転動力は、ねじ部材NJBで直線動力に変換され、押圧部材PSNに伝達される。押圧部材PSNは摩擦部材MSBを回転部材KTBに対して押し付け、車輪WHLに制動トルクが発生される。
ここで、減速機GSKは、少なくとも2つの異なる回転軸をもつ、所謂、2軸構成である。換言すれば、減速機GSKにおいては、入力軸と出力軸とが平行であり、2つの軸間の距離Ljが「0」よりも大きく設定されている(Ljは「0」ではない所定値)。このため、制動手段BRKの入力部位(MTR、INP等)と出力部位(PSN、NJB、SFT等)とを並べて配置することが可能となり、軸方向のレイアウトの自由度が増加する。その結果、減速機GSKの減速比が、相対的に大きく設定され得る。さらに、減速機GSKにおいて、中間軸部材CHUを設け、2段で減速することによって、より大きい減速比が得られるとともに、軸間距離Ljが短縮され得る。
摩擦部材MSBが摩耗するにつれて、押圧部材PSNが回転部材KTBに近づけられていく必要が生じる。回転・直動変換機構に「ねじ」が採用されるため、PSN位置の変化を補償するための特殊な機構が必要とされなくなる(即ち、摩耗補償機構が不要となる)。これは、ねじ部材NJBにおけるボルト部Bltとナット部Nutとの相対的な位置変化によって、上記の摩耗に起因する位置変化が吸収されるためである。これにより、更に、軸方向のレイアウトの自由度が増す。
また、以上の構成の制動手段BRKによれば、駐車ブレーキは、電気モータMTRの出力部近傍に設けられた駐車ブレーキ用ロック機構LOKによって構成される。具体的には、入力部材INPにラチェット歯車RCHが固定され、ソレノイドSOLの咬合つめTsuがかみ合わされて、摩擦部材MBSが回転部材KTBに押し付けられた状態が維持される。
駐車ブレーキでは、押圧部材PSNの動きが固定(ロック)されることが必要となる。この場合の力の伝達経路は、通常ブレーキ(走行中の車両を減速するためのブレーキ機能)の場合とは逆になる。摩擦部材MSBから押圧部材PSNに作用する力(押圧力)は、ねじ部材NJBを介して、シャフト部材SFTに回転力として伝えられる。シャフト部材SFTの回転力は、減速機GSKを介して、入力部材INPの回転力として伝達される。この場合、減速機GSKは増速機として作用するため、シャフト部材SFTの回転力は、減速比Rg分の1となって、入力部材INPに伝達される。したがって、上記の2軸で構成された減速機GSKによって、減速比Rgが大きく設定されているため、駐車ブレーキ用ロック機構LOKにて負担する回転力は減少され得る。駐車ブレーキ用ロック機構LOKのラチェット歯車RCHの歯形状(特に、つめ高さ)が小さくでき、ソレノイドSOLのストローク量が然程必要とはされなくなる。この結果、揺動アーム等が用いられることなく、ソレノイドSOLにて直接、咬合つめTsuがラチェット歯車RCHにかみ合わされ、駐車ブレーキとして機能し得る。
<駐車ブレーキ用ロック機構LOKの第1の実施形態>
図3を参照して、駐車ブレーキ用ロック機構LOKの第1の実施形態について説明する。駐車ブレーキ用ロック機構LOKは、ソレノイドSOL、ラチェット歯車RCH、及び、支持部材SPTにて構成される。ロック機構LOKは、ラチェット機構(つめブレーキ)として構成され、一方向の回転(実線矢印で示す方向であって、押圧力が増加する方向)を許容するが、他方向の回転(破線矢印で示す方向であって、押圧力が減少する方向)を拘束する。
ソレノイドSOLは、ソレノイド駆動回路DRSによって駆動され、咬合つめTsuをラチェット歯車RCHに咬合させて、入力部材INPの回転を阻止する。ここで、ソレノイド駆動回路DRSは、制御手段CTLからの指令値Spkに基づいて制御される。ソレノイドSOL(特に、ソレノイドケースCas)が、キャリパCRPに固定されている。ソレノイドSOLは、固定コイルColと、可動鉄心(プランジャ)Plnから構成されている。ソレノイドSOLでは、固定コイルColに通電された(電流が流された)ときの、プランジャPlnが固定コイルCol内に引き込まれる力(吸引力)が利用され、Plnのラチェット歯車RCH方向(白抜き矢印の方向)への運動が得られる。通電が停止された(電流が流れなくなった)ときには、弾性体(例えば、ばね)Sprが発生する弾性力(ばね力)が利用されて、プランジャPlnが、固定コイルCol内から引き出され、プレートPltがケースCasに当接する位置まで戻される。
プランジャPlnの端部には咬合つめTsuが形成されている。ソレノイドSOLが通電されると咬合つめTsuがラチェット歯車RCHに向かう方向(以下、咬合方向という。)に移動される。咬合つめTsuには、高さ(長さ)Ltsの突起(凸部)が設けられ、この突起部分が、ラチェット歯車RCHとかみ合わされる。
ラチェット歯車RCHは、入力部材INPに固定され、INPと一体となって回転する。ラチェット歯車RCHには、のこぎり状の歯が形成され、この「のこ歯」形状によって、回転に対する方向性が生じ得る。ラチェットの歯形は、高さ(長さ)Lrcのオーバハング部(ひさしのように突き出た部分)をもち、この部分が利用されて、咬合つめTsuの突起部(高さLts)とかみ合わされる。なお、形状寸法においては、長さLtsは、長さLrcよりも短い。ラチェット歯車RCHと咬合つめTsuとがかみ合うと、押圧部材PSN(即ち、摩擦部材MSB)が回転部材KTBから離れる方向(Fbaが減少する方向)に相当する入力部材INPの回転(破線矢印で示す時計まわりの回転)がロックされる。即ち、電気モータMTRの逆転が防止される。
キャリパCPRに固定された支持部材SPTが、咬合つめTsuの突起部とは反対側(背面側)に設けられる。咬合つめTsuは、支持部材SPTと当接しており、これと摺動が可能である(滑って移動することができる)。入力部材INPがロックされた場合、咬合つめTsuには押圧力Fbaによる力が作用し、曲げモーメントが作用する。咬合つめTsuは支持部材SPTによって支えられるため、咬合つめTsu(又は、Pln)の屈曲変形が抑制され得る。この結果、十分な強度が確保されるとともに、円滑な咬合つめTsuの動きが維持され得る。
制動手段BRKは、異なる2軸を備える減速機GSKによって減速されるため、相対的に大きい減速比をもつ。駐車ブレーキ用ロック機構LOKが入力部材INPに設けられ、相対的に小さい回転力で入力部材INPがロックされ得る。このため、小径のラチェット歯車RCHが利用され、つめ高さh(図6を参照)が低くされ得る。この結果、ソレノイドSOLのストローク量が小さくでき、咬合つめが揺動アームを介することなく、ソレノイドSOLによって直接的にラチェット歯車RCHにかみ合わされ得る。また、入力部材INPがロックされるときには、咬合つめTsuはラチェット歯車RCHから押圧力相当の力を受けるが、咬合つめTsuの背後に設けられた支持部材SPTによって、Tsu及びPlnの曲げが抑制され得る。
<駐車ブレーキ用ロック機構LOKの第2の実施形態>
駐車ブレーキ用ロック機構LOKの第2の実施形態について、図3に対応した図4を参照して説明する。なお、図4において、ラチェット歯車RCH、及び、入力部材INPは省略され、図3に示す部材と同一機能の構成部材には同一符号が付され、その説明は省略されている。
駐車ブレーキ用ロック機構LOKの第2の実施形態では、プランジャPlnと咬合つめTsuとが異なる部材として分割されている。さらに、キャリパCPRに固定されたガイド部材GUIが設けられ、GUIは咬合つめTsuを取り囲むように形成され、GUIとTsuとは摺接している。ガイド部材GUIによって、咬合つめTsuの咬合方向(RCHにかみ合う方向)への移動が導かれる。減速機GSKの2軸構成等によってラチェット歯車RCHが小型化されるため、ラチェット歯車RCHと咬合つめTsuとの咬合には位置精度が要求される。ラチェット歯車RCH(即ち、INP)の軸受けとガイド部材GUIとが、相互の位置関係において高い精度でキャリパCPRに固定され、咬合つめTsuがガイド部材GUIに沿って咬合方向に摺動される。このため、駐車ブレーキの作動時には、咬合つめTsuはガイド部材GUIの案内面を滑って移動し、ラチェット歯車RCHと確実にかみ合わされる。駐車ブレーキが解除される場合には、咬合つめTsuは弾性体(ばね)SPGによって、解除方向(咬合方向の逆方向)に滑り移動して戻される。
また、ガイド部材GUIによって、上記の支持部材SPTの効果と同様の効果も得られる。駐車ブレーキ作動時には、咬合つめTsuには、ラチェット歯車RCHから押圧力相当の力が作用するが、この力によって生じる咬合つめTsuの曲げ変形は、ガイド部材GUIによって抑制され得る。第2の実施形態では、咬合つめTsuはプランジャPlnと分離されているが、同一部材として構成され得る。この場合においても、ガイド部材GUIによって同様の効果が得られる。
<オルダム継手OLDの構成>
図5を参照して、オルダム継手OLDについて説明する。オルダム継手OLDは、ディスクの突起(キー)とスライダの溝(キー溝)との嵌合が滑ることによって、動力を伝達する継手であり、入力ディスクHbm、スライダ(中間ディスク)Sld、及び、出力ディスクHbiにて構成される。即ち、ディスクの突起が、スライダの溝に沿って滑ることによって、軸心が異なる2つの軸(モータ軸Jmtと入力軸Jin)の偏心が吸収されて、回転動力(回転運動)が伝達される。
図5(a)に示すように、オルダム継手OLDは、電気モータMTRと入力部材INPとの間に設けられる。オルダム継手OLDの入力ディスクHbmが、電気モータMTRの出力部Motに固定される。入力ディスクHbmのモータ出力部Motと接続される面の反対側の面には、キー(突起)が設けられている。そして、入力ディスクHbmのキーにかみ合うように、スライダSldにはキー溝(窪み)が設けられる。スライダSldのキー溝が設けられる面の反対側の面には、このキー溝とは垂直に、別個のキー溝が設けられる。出力ディスクHbiには、スライダSldのキー溝(窪み)とかみ合うように、キー(突起)が設けられる。そのキーをもつ面の裏側面が、入力部材INPに固定されている。即ち、入力ディスクHbmの突起と、出力ディスクHbiの突起とが垂直に交わるように、Hbm、Sld、及び、Hbiが、キー及びキー溝を介して、かみ合わされている。オルダム継手OLDでは、Hbm及びHbiのキーが、スライダSldのキー溝に沿って滑ることでMTRの出力部Motの軸(モータ軸Jmt)と入力部材INPの軸(入力軸Jin)との間の偏心が吸収される。
オルダム継手OLDに、比較的大きなトルクが負荷されると、Hbm及びHbiのキー、Sldのキー溝が変形、或いは、磨耗し、バックラッシュ(回転運動方向における機械要素間の接触面の隙間)が増大することが生じ得る。図5(b)は、入力ディスクHbmとスライダSldとの嵌合部の断面図である。変形・摩耗等が生じていない場合には、キー及びキー溝は破線Newにてはめ合わされている。しかしながら、変形・摩耗等によってバックラッシュが生じると、オルダム継手OLDの回転方向において、無効回転角(例えば、モータ出力部Motが回転しても入力部材INPが回転しない角度)が発生する。ラチェット歯車によって電気モータの逆転が拘束(ロック)されることによって、駐車ブレーキは機能する。しかし、ラチェット歯車が、電気モータの出力軸に設けられる場合、ラチェット歯車は上記の無効回転角によって回転されるため、保持されるべき押圧力が減少される。したがって、オルダム継手OLDは、ラチェット歯車RCHが固定される入力部材INPと、電気モータMTRの出力部Motとの間に配置される。即ち、駐車ブレーキ作動時には、押圧力Fbaは、減速機GSKを介して、ラチェット歯車RCHに伝えられるが、オルダム継手OLDが電気モータMTRと入力部材INPとの間に設けられているため、オルダム継手OLDの変形・摩耗等によって生じる無効回転角の影響が及ばず、押圧力Fbaの減少(MSBの緩み)が回避され得る。
<作用・効果>
次に、本発明の作用・効果について説明する。浮動型キャリパを用いる電動制動装置では、電気モータ、回転・直動変換機構、減速機等が、回転部材(ブレーキディスク)に対して一方側(車体の内側)に偏って設けられる。このような電動制動装置では、軸方向に長くとなると、装置全体の重量バランスが取れなくなり、路面からの振動入力に対して性能、信頼性の低下が懸念される。このため、軸方向への延長が困難であり、減速比等の制約が存在する。
本発明に係わる電動制動装置では、減速機GSKが少なくとも異なる2つの回転軸をもって構成される。即ち、電気モータMTR等の回転軸Jmt(即ち、Jin)と押圧部材PSN等の軸Jps(即ち、Jsf)とが、平行、且つ、所定の軸間距離Lj(≠0)をもって構成される。さらに、回転・直動変換機構に「ねじ機構」が用いられる。このため、MTR等と、押圧部材PSN等とが並行して配置されるとともに、摩擦部材MSBの摩耗補償機構が不要とされ、軸方向のレイアウトに余裕が生じ得る。この結果、減速機GSKの減速比が十分に確保され、駐車ブレーキ機能を構成するラチェット歯車RCHが小径化され得る。そして、ラチェット歯車RCHにおいて、つめ高さが低くされ得るため、ソレノイドSOLのストローク量が小さくでき、咬合つめが揺動アームを介することなく、直接的にラチェット歯車RCHにかみ合わされ得る。電動制動手段が以上のように構成されるため、通常ブレーキ機能と駐車ブレーキ機能とを兼ね備えるとともに、部品点数が増加されることなく、そのサイズが小型化され得る。
電動制動装置BRKの構成において、2つの軸間の偏心(即ち、軸ズレ)を吸収するオルダム継手OLDを備え、オルダム継手OLDは、電気モータMTRと入力部材INPとの間に設けられる。
オルダム継手OLDには、キー及びキー溝の変形・摩耗によって無効回転角が生じる場合(入力軸が回転しても出力軸が回転しない場合)がある。例えば、特許文献1に記載されるように、ラチェット歯車が電気モータに固定され(具体的には、電気モータのロータにラチェット歯車が設けられている。)、電気モータの出力部と、減速機との間にオルダム継手が設けられると、ラチェット歯車がロックされた時点の押圧力が、上記の無効回転角によって減少される。しかしながら、ラチェット歯車RCHが入力部材INPに固定され、オルダム継手OLDが、電気モータMTRの入力部Motと入力部材INPとの間に設けられることによって、オルダム継手OLDの無効回転角が生じた場合であっても、駐車ブレーキに必要な押圧力が確実に保持され得る。
電動制動装置BRKの構成において、ソレノイドSOLに設けられた咬合つめTsuの背後に、咬合つめTsuと摺動可能な支持部材SPTを備え、支持部材SPTはソレノイドSOLを固定するキャリパ部材CPRに固定される。即ち、咬合つめTsuは支持部材SPTに沿って、ラチェット歯車RCHに向けて滑って移動され得る。
ラチェット歯車RCHと咬合つめTsuとがかみ合っている場合には、咬合つめTsuには押圧力Fbaに相当する力が作用している。咬合つめTsuの背面側(SOLのプランジャにおいてTsuが形成されている面に対して反対側)に、支持部材SPTが設けられることによって、咬合つめTsuの曲げ変形が抑制され、滑らかな咬合つめTsuの移動が確保され得る。
電動制動装置BRKの構成において、ソレノイドSOLに設けられた咬合つめTsuの周囲に、咬合つめTsuと摺動可能なガイド部材GUIを備え、ガイド部材GUIはソレノイドSOLを固定するキャリパ部材CPRに固定される。即ち、咬合つめTsuはガイド部材GUIに取り囲まれて、GUIに沿って、ラチェット歯車RCHに向けて滑って移動され得る。
ラチェット歯車RCHが小径化されると、RCHと咬合つめTsuとの咬合において、高い位置精度が求められる。ラチェット歯車RCHは入力部材INPを介してキャリパCPRに固定されているため、キャリパCPRに固定されるガイド部材GUIによって、ラチェット歯車RCHと咬合つめTsuとが高精度で位置決めされ得る。この結果、咬合つめTsuとラチェット歯車RCHとのかみ合わせが確実に行われ得る。
BRK…制動手段、ECU…電子制御ユニット、CTL…制御手段、MTR…電気モータ、INP…入力部材、GSK…減速機、SFT…シャフト部材、NJB…ねじ部材、PSN…押圧部材、MSB…摩擦部材、KTB…回転部材、LOK…駐車ブレーキ用ロック機構、SOL…ソレノイド、RCH…ラチェット歯車、Tsu…咬合つめ、Jin…入力部材の回転軸、Jsf…シャフト部材の回転軸、OLD…オルダム継手、Mot…電気モータの出力部、SPT…支持部材、GUI…ガイド部材

Claims (1)

  1. 車両の車輪に固定された回転部材に摩擦部材を押し付けて押圧力を発生させる押圧部材と、
    前記押圧力を発生させる動力源である電気モータと、
    前記電気モータからの回転動力が入力される入力部材と、
    前記入力部材の回転動力を減速してシャフト部材に伝達し、少なくとも2つの異なる回転軸にて構成される減速機と、
    前記減速機から伝達される前記シャフト部材の回転動力を前記押圧力に変換するねじ部材と、
    前記入力部材に固定されるラチェット歯車と、
    前記ラチェット歯車とかみ合うことができる咬合つめをもち、前記咬合つめを前記ラチェット歯車にかみ合わせることによって前記押圧部材が前記回転部材から離れる方向に相当する前記入力部材の回転を拘束するソレノイドと、
    前記電気モータ、及び、前記ソレノイドを制御して前記車両の停止状態を維持する制御手段と、を備える、車両の電動制動装置。
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