JP2014109265A - 気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 - Google Patents

気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】強制的に空燃比ばらつき状態を発生させる前の空燃比センサ出力をも利用し、ばらつき異常検出の検出精度を向上する。
【課題手段】空燃比センサの出力変動度合いに相関する第1パラメータを算出し、この第1パラメータに基づき気筒間空燃比ばらつき度合いを表す第2パラメータBの取り得る範囲DB1を決定する。所定の1気筒の空燃比を強制的に変更して第1パラメータを算出し、強制変更前後の第1パラメータの差DX1を算出する。第2パラメータの取り得る範囲DB1と差DX1とに基づき、第2パラメータBと差DXとの関係を表す第1特性LDXB1を決定する。決定された第1特性LDXB1の傾きに基づいて、判定値と、強制変更前に算出された第1パラメータとのいずれか一方を補正する。
【選択図】図10

Description

本発明は、多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置に係り、特に、ある1気筒の空燃比が残部気筒の空燃比に対し比較的大きくずれる異常(インバランス異常)を検出するための装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
一方、多気筒内燃機関においては、通常全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御を行うため、空燃比制御を実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションが悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態(オンボード)で検出することが要請されている。
特開2011−47332号公報
気筒間空燃比ばらつき異常を検出する場合、空燃比センサの出力変動度合いに相関するパラメータを算出し、この算出されたパラメータを所定の判定値と比較してばらつき異常を検出することが考えられる。
そして空燃比センサの出力を利用する場合、実際に設置された空燃比センサの出力特性(ゲイン、応答性等)を考慮することが検出精度を向上する上で有利である。このため特許文献1では、空燃比センサの出力特性が適切か否かを予め判定し、適切でないと判定した場合、インバランス判定すなわちばらつき異常検出を禁止するなどしている。
実際に設置された空燃比センサの出力特性を考慮する場合、特許文献1に開示されているように、敢えて強制的に空燃比ばらつき状態を発生させ、このときの空燃比センサ出力を利用することが考えられる。
しかし、本発明者らの研究結果によれば、強制的に空燃比ばらつき状態を発生させたときの空燃比センサ出力を利用するだけでは不十分であることが判明した。すなわち、強制的に空燃比ばらつき状態を発生させる前の空燃比センサ出力をも利用しなければ、ばらつき異常検出を精度良く行うのが困難であることが判明した。
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創案され、その目的は、強制的に空燃比ばらつき状態を発生させる前の空燃比センサ出力をも利用し、ばらつき異常検出の検出精度を向上することができる気筒間空燃比ばらつき異常検出装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
複数の気筒に共通の排気通路に設置された空燃比センサの出力変動度合いに相関する第1パラメータを算出し、算出された前記第1パラメータを所定の判定値と比較して気筒間空燃比ばらつき異常を検出する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
(A)前記第1パラメータを算出するステップと、
(B)算出された前記第1パラメータに基づき、気筒間空燃比ばらつき度合いを表す第2パラメータの取り得る範囲を決定するステップと、
(C)所定の1気筒の空燃比を強制的に変更して前記第1パラメータを算出するステップと、
(D)強制変更前後の前記第1パラメータの差を算出するステップと、
(E)前記第2パラメータの取り得る範囲と前記差とに基づき、前記第2パラメータと前記差との関係を表す第1特性を決定するステップと、
(F)決定された前記第1特性の傾きに基づいて、前記判定値と、前記ステップ(A)で算出された前記第1パラメータとのいずれか一方を補正するステップと、
を実行するように構成されたことを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記ステップ(E)において、
前記空燃比センサの公差上限品と公差下限品とについて予め定められた前記第1特性を利用し、前記ステップ(D)において算出された前記差と、前記第2パラメータの取り得る範囲のうちの所定値との交点を通る前記第1特性を、公差上限品および公差下限品の前記第1特性から補間して求め、求められた前記第1特性を決定すべき前記第1特性として決定する。
好ましくは、前記第2パラメータの取り得る範囲のうちの所定値が、前記第2パラメータの取り得る範囲のうちばらつき度合いが最小となるような値である。
好ましくは、前記空燃比センサの公差上限品と公差下限品とについて予め定められた前記第1特性が、前記第2パラメータがばらつき度合い大側に変化するにつれ前記差が大きくなるような特性である。
好ましくは、前記公差上限品について予め定められた前記第1特性の傾きが、前記公差下限品について予め定められた前記第1特性の傾きより大きい。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置は、前記ステップ(B)において、
前記空燃比センサの公差上限品と公差下限品とについて予め定められた、前記第1および第2パラメータの関係を表す第2特性を利用し、前記ステップ(A)で算出された前記第1パラメータと、公差上限品および公差下限品の前記第2特性との交点間の前記第2パラメータの範囲を、前記第2パラメータの取り得る範囲として決定する。
好ましくは、前記ステップ(A)および(C)が、前記内燃機関の運転状態に応じて前記第1パラメータを正規化するステップを含む。
本発明によれば、強制的に空燃比ばらつき状態を発生させる前の空燃比センサ出力をも利用し、ばらつき異常検出の検出精度を向上することができるという、優れた効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 気筒間空燃比ばらつき度合いに応じた排気空燃比の変動を示すグラフである。 図3のU部に相当する拡大図である。 様々な場合でインバランス率を比較するための表である。 インバランス率と出力変動パラメータの関係を示すグラフである。 理想状態における強制インバランス実行前後の出力変動パラメータの差を示すグラフである。 実際における強制インバランス実行前後の出力変動パラメータの差を示すグラフである。 インバランス率の取り得る範囲の決定方法を説明するためのグラフである。 インバランス率と前後差の関係を表す特性の決定方法を説明するためのグラフである。 公差上下限品について、強制インバランス実行後の出力変動パラメータの値、ひいては特性線を計算によって求める方法を説明するためのグラフである。 判定値を補正するための補正マップを示す図である。 出力変動パラメータを補正するための補正マップを示す図である。 本実施形態の作用効果を説明するためのグラフである。 出力変動パラメータ算出処理のフローチャートである。 ばらつき異常検出処理のフローチャートである。 変形例における出力変動パラメータ算出処理のフローチャートである。 回転数正規化マップを示す図である。 負荷正規化マップを示す図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略図である。図示されるように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストンを往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態の内燃機関1は自動車に搭載された多気筒内燃機関であり、より具体的には直列4気筒火花点火式内燃機関である。内燃機関1は#1〜#4気筒を備える。但し気筒数、形式等は特に限定されない。
図示しないが、内燃機関1のシリンダヘッドには吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁とが気筒毎に配設されており、各吸気弁および各排気弁はカムシャフトによって開閉させられる。シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒毎に取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管4を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ9が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5(吸入空気量検出装置)と、電子制御式のスロットルバルブ10とが組み込まれている。吸気ポート、枝管4、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒毎に配設されている。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁の開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストンで圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。なおインジェクタは燃焼室3内に燃料を直接噴射するものであってもよい。
一方、各気筒の排気ポートは排気マニフォールド14に接続される。排気マニフォールド14は、その上流部をなす気筒毎の枝管14aと、その下流部をなす排気集合部14bとからなる。排気集合部14bの下流側には排気管6が接続されている。排気ポート、排気マニフォールド14及び排気管6により排気通路が形成される。
また、排気マニフォールド14の排気集合部14bから下流側の排気通路は、複数の気筒である#1〜#4気筒に共通の排気通路を形成する。
排気管6の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒11と下流触媒19が直列に取り付けられている。これら触媒11,19は酸素吸蔵能(O2ストレージ能)を有する。すなわち、触媒11,19は、排気ガスの空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.5)より大きい(リーンな)ときに排気ガス中の過剰酸素を吸蔵し、NOxを還元する。また触媒11,19は、排気ガスの空燃比がストイキより小さい(リッチな)ときに吸蔵酸素を放出し、排気ガス中のHC,COを酸化する。
上流触媒11の上流側及び下流側にそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための第1及び第2の空燃比センサ、即ち触媒前センサ17及び触媒後センサ18が設置されている。これら触媒前センサ17及び触媒後センサ18は、上流触媒11の直前及び直後の位置に設置され、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。このように上流触媒11の上流側の排気合流部に単一の触媒前センサ17が設置されている。本実施形態の場合、触媒前センサ17が本発明にいう「空燃比センサ」に該当する。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御装置または制御ユニットとしての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ16、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望のエンジン出力が得られるように、ROMに格納された各種プログラムに従い、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
スロットルバルブ10にはスロットル開度センサ(図示せず)が設けられ、スロットル開度センサからの信号がECU20に送られる。ECU20は、通常、アクセル開度に応じて定まる目標スロットル開度に、スロットルバルブ10の開度(スロットル開度)をフィードバック制御する。
ECU20は、エアフローメータ5からの信号に基づき、単位時間当たりの吸入空気の量である吸入空気量すなわち吸気流量を検出する。そしてECU20は、検出したアクセル開度、スロットル開度および吸入空気量の少なくとも一つに基づき、エンジン1の負荷を検出する。
ECU20は、クランク角センサ16からのクランクパルス信号に基づき、クランク角自体を検出すると共にエンジン1の回転数を検出する。ここで「回転数」とは単位時間当たりの回転数のことをいい、回転速度と同義である。本実施形態では1分間当たりの回転数rpmのことをいう。
触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ17の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ17は、排気空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキであるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ18は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ18の出力特性を示す。図示するように、排気空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ18の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1V)内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒11及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx,HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
そこで通常運転時、上流触媒11に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比フィードバック制御がECU20により実行される。この空燃比フィードバック制御は、触媒前センサ17によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるような主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ18によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。
なお、このように目標空燃比をストイキとする空燃比フィードバック制御をストイキ制御という。ストイキは基準空燃比をなす。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒、特に1気筒に故障が発生し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生する場合がある。例えば、#1気筒のインジェクタ12が故障し、#1気筒の燃料噴射量が残部の#2〜#4気筒の燃料噴射量よりも多くなり、#1気筒の空燃比が#2〜#4気筒の空燃比より大きくリッチ側にずれる場合等である。このときでも前述のストイキ制御により比較的大きな補正量を与えれば、触媒前センサ17に供給されるトータルガスの空燃比、すなわち各気筒の空燃比の平均値をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#2、#3及び#4気筒がストイキより若干リーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する装置が装備されている。
以下、本実施形態におけるばらつき異常検出の一態様を説明する。
図3に概略的に示すように、排気空燃比はエンジンサイクル(=720°CA)毎に周期的に変動するが、気筒間空燃比ばらつきが発生すると1エンジンサイクル内での排気空燃比の変動が大きくなる。(B)の空燃比線図a,b,cはそれぞればらつき無し、1気筒のみ+20%のインバランス率でリッチずれ、及び1気筒のみ+50%のインバランス率でリッチずれの場合の、触媒前センサ17による検出空燃比A/Fを示す。見られるように、ばらつき度合いが大きくなるほど空燃比変動の振幅が大きくなる。
ここでインバランス率とは、気筒間空燃比のばらつき度合いを表す一つのパラメータ(第2パラメータ)である。即ち、インバランス率とは、全気筒のうちある1気筒のみが残部気筒に対し空燃比ズレを起こしている場合に、その空燃比ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の空燃比がどれくらいの割合で、空燃比ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の空燃比からズレているかを示す値である。本実施形態の場合、インバランス率Bは次式で表される。インバランス率Bが1から離れるほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する空燃比ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
Figure 2014109265
A/Fbはバランス気筒の空燃比、A/Fibはインバランス気筒の空燃比である。便宜上、インバランス率をパーセンテージで表示することもある。この場合インバランス率B(%)は次式で表される。インバランス率B(%)の絶対値が大きくなるほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する空燃比ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
Figure 2014109265
図3から理解されるように、インバランス率B(%)の絶対値が大きいほど、すなわち空燃比ばらつき度合いが大きいほど、触媒前センサ17の出力変動が大きくなる。
よってこの特性を利用し、本実施形態では、触媒前センサ17の出力変動度合いに相関するパラメータ(第1パラメータ)である出力変動パラメータXを算出ないし検出し、この算出された出力変動パラメータXに基づいてばらつき異常を検出する。
以下に出力変動パラメータXの算出方法を説明する。図4は図3のU部に相当する拡大図であり、特に1エンジンサイクル内の触媒前センサ出力の変動を簡略的に示す。触媒前センサ出力としては、触媒前センサ17の出力電圧Vfを空燃比A/Fに換算した値を用いる。但し触媒前センサ17の出力電圧Vfを直接用いることも可能である。
図4(B)に示すように、ECU20は、1エンジンサイクル内において、所定のサンプル周期τ毎に、触媒前センサ出力A/Fの値を取得する。そして今回(n)のタイミングで取得した値A/Fnと、前回(n−1)のタイミングで取得した値A/Fn-1との差(出力差またはセンサ出力差ともいう)ΔA/Fnを次式により求める。この出力差ΔA/Fnは今回のタイミングにおける触媒前センサ出力の微分値と言い換えることができる。
Figure 2014109265
最も単純には、この出力差ΔA/Fn自体が触媒前センサ出力の変動の大きさを表す。そこで所定の1タイミングにおける出力差ΔA/Fnの絶対値を出力変動パラメータとすることができる。但し、本実施形態では精度向上のため、複数の出力差ΔA/Fnの平均値を出力変動パラメータとする。本実施形態では、Mエンジンサイクル分(例えばM=50)の出力差ΔA/Fnを平均化して出力変動パラメータXを算出する。触媒前センサ出力の変動度合いが大きくなるほど出力変動パラメータXは大きくなる。
但し、出力差ΔA/Fnはプラスの場合とマイナスの場合とがあるので、本実施形態ではこれらを区別して算出を行う。算出方法の詳細は後に説明する。但しこの区別を行わないで算出を行うことも可能である。
なお、触媒前センサ出力の変動度合いに相関する如何なる値をも出力変動パラメータとすることができる。例えば、1エンジンサイクル内における触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差(所謂ピークトゥピーク; peak to peak)、または2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値に基づいて、出力変動パラメータを算出することもできる。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど、触媒前センサ出力の最大ピークと最小ピークの差は大きくなり、また2階微分値の最大ピークまたは最小ピークの絶対値も大きくなるからである。
次に、算出された出力変動パラメータXが所定の判定値αと比較され、ばらつき異常の有無が判定される。例えば、算出された出力変動パラメータXが判定値α以上であればばらつき異常あり(異常)、算出された出力変動パラメータXが判定値α未満であればばらつき異常なし(正常)と判定される。なお一般に判定値αは排気エミッションに関するOBD(On-Board Diagnosis)規制値を考慮して設定される。
ところで、前述したように、触媒前センサ出力を利用してばらつき異常検出を行う場合、実際に設置された触媒前センサの出力特性を考慮することが検出精度向上に有利である。この場合、敢えて強制的に空燃比ばらつき状態を発生させ、このときの空燃比センサ出力を利用することが考えられる。
しかし、本発明者らの研究結果によれば、強制的に空燃比ばらつき状態を発生させたときの触媒前センサ出力を利用するだけでは不十分であり、強制的に空燃比ばらつき状態を発生させる前、すなわち成行状態における触媒前センサ出力をも利用しなければ、精度良くばらつき異常検出を行うのが困難であることが判明した。以下、この点について説明する。
図5は主に、成行状態において空燃比ばらつき(インバランス)がない場合とある場合、および強制的な空燃比ばらつき状態を発生させる強制インバランスの実行前後の場合で、インバランス率を比較するための表である。ここで、成行状態と強制インバランス実行前の状態とは同じ意味であり、いずれも通常制御が実行されている状態、すなわちストイキ制御が実行されている状態を意味する。そして強制インバランス実行後の状態とは、ベースとなるストイキ制御が実行されている上でさらに強制インバランスが実行されている状態をいう。
ここで(A)〜(D)に示される燃料量と空燃比の値は全て、ストイキ制御の結果、トータルガスの空燃比がストイキ(14.5)に収束した後の値である。
図5(A)は、成行状態においてインバランスがなく且つ強制インバランス実行前の場合を示す。図から分かるように、全気筒共に、14.5という空気量と1という燃料量が供給され、空燃比はストイキ=14.5となっている。よってインバランス率は14.5/14.5=1.00=0%である。
図5(B)は、成行状態においてインバランスがなく且つ強制インバランス実行後の場合を示す。空気量は全気筒共に14.5であるが、燃料量は#1気筒のみ1.15、他の気筒は0.95であり、空燃比は#1気筒のみ12.61、他の気筒は15.26である。#1気筒の空燃比が他の気筒の空燃比に対し強制的にリッチ側にずらされている。よってインバランス率は15.26/12.61=1.2105=21.05%である。
このような状態が実現されるように強制インバランスもしくは強制インバランス制御が実行される。すなわち、強制インバランスの実行開始時、所定の1気筒、ここでは#1気筒のみの燃料噴射量が強制的に所定量増量され、#1気筒のみの空燃比が強制的にリッチ側にずらされる。この後、ストイキ制御によりトータルガスの空燃比がストイキになるように全気筒の燃料噴射量が一律に減量補正され、最終的に図示の状態に収束する。この最終状態において、強制インバランス実行前と比較したときの燃料量の差は、#1気筒が+0.15、他の気筒は全て−0.05(=−0.15/3)である。各気筒の燃料量の平均値は1であり、トータルガスの空燃比はストイキになっている。
ここでは、インバランスのない成行状態において強制インバランス実行後のインバランス率が強制インバランス実行前のインバランス率より21.05%増加していることから、Bf=1.2105=21.05%のインバランス率相当の強制インバランスが行われていることとなる。このBfを強制インバランス量と称する。
次に、図5(C)は、成行状態においてインバランスがあり且つ強制インバランス実行前の場合を示す。図から分かるように、燃料量は全気筒共に1であるが、空気量に違いが生じており、#1気筒のみ13、他の気筒は15となっている。よって空燃比も#1気筒のみ13、他の気筒は15となっている。よってインバランス率は15/13=1.1538=15.38%である。ストイキ制御の結果、トータルガスの空燃比はストイキとなっている。
このように#1気筒のみがストイキより大きく(0.15)リッチ、他の気筒がストイキより若干(0.5)リーンとなっている。この状態は、#1気筒の空気量ズレ(不足)によって起こり得るものであり、例えば#1気筒において気筒別吸気通路(枝管4、吸気ポート)にデポジット等による詰まりが生じたり、吸気弁の開弁不良が生じたりしたときに起こり得る。
この状態から、前記同様に強制インバランス量Bfの強制インバランスを実行した後の結果が図5(D)に示される。すなわち図5(D)は、成行状態においてインバランスがあり且つ強制インバランス実行後の場合を示す。
空気量は強制インバランス実行前と同様に#1気筒のみ13、他の気筒は15である。燃料量については、強制インバランスおよびストイキ制御の実行の結果、#1気筒のみ1.15、他の気筒は0.95となっている。よって空燃比は#1気筒のみ11.30、他の気筒は15.79となる。インバランス率は15.79/11.30=1.3967=39.67%となる。
ここで注目すべきは、強制インバランス実行後のインバランス率(39.67%)が、強制インバランス実行前のインバランス率(15.38%)に強制インバランス量(21.05%)を加算したときの値(36.43%)にはならないことである。強制インバランス実行後の実際のインバランス率(39.67%)は、加算値(36.43%)よりも、3.29%の誤差分だけ大きくなっている。
図6に示すように、インバランス率Bと出力変動パラメータXとの間には線形且つ一次比例的な関係もしくは特性(第2特性)が存在する。但しこの関係は触媒前センサ17の出力特性(以下、単にセンサ出力特性ともいう)に応じて変化する。図中、LXHは触媒前センサ17の公差上限品の特性もしくは特性線、LXLは触媒前センサ17の公差下限品の特性もしくは特性線を示す。周知のように、公差上限品とは同一入力に対し公差範囲内で最も高い出力を発生するもの、公差下限品とは同一入力に対し公差範囲内で最も低い出力を発生するものをいう。公差上限品の特性線LXHの傾きは公差下限品の特性線LXLの傾きより大きい。
例えば、公差上限品の特性線LXHで考えると、成行状態においてインバランスがない状態(B=B1)から強制インバランス量Bfの強制インバランスを実行してインバランス率をB2とした場合、出力変動パラメータXはX1からX2に変化し、その変化量はX2−X1である。他方、成行状態においてインバランスがある状態(B=B3)から強制インバランス量Bfの強制インバランスを実行してインバランス率をB4とした場合、出力変動パラメータXはX3からX4に変化し、その変化量はX4−X3である。強制インバランス量Bfと特性線LXHの傾きが一定であるため、両変化量は等しい。このような仮定的状態を理想状態という。
しかし、先の例と比べると分かるように、実際には理想状態のようにはならない。成行状態においてインバランスがある状態から見掛け上あるいは制御上同一量の強制インバランスを実行しても、実際には強制インバランス量が、成行状態においてインバランスがないときと同じにならないからである。
同様に、公差下限品の特性線LXLで考えると、成行状態においてインバランスがない状態(B=B1)から強制インバランス量Bfの強制インバランスを実行してインバランス率をB2とした場合、出力変動パラメータXはX1’からX2’に変化し、その変化量はX2’−X1’である。他方、成行状態においてインバランスがある状態(B=B3)から強制インバランス量Bfの強制インバランスを実行してインバランス率をB4とした場合、出力変動パラメータXはX3’からX4’に変化し、その変化量はX4’−X3’である。理想状態だと両変化量は等しくなる筈だが、実際にはそうならない。つまりセンサ出力特性が公差上下限品の間でどのように変化しても実際には理想状態のようにはならないのである。
もし仮に理想状態のようになるとすれば、図7に示すような特性が得られる。ここで縦軸のDXは、強制インバランス実行前後の出力変動パラメータXの変化量すなわち差を表す。前述のX2−X1等がこの差DXに該当する。また横軸のBは、強制インバランス実行前すなわち成行状態でのインバランス率を表す。
図から分かるように、インバランス率Bと、公差上限品の差DXH’との関係を表す特性もしくは特性線LDXH’は、横軸に平行であり、公差上限品の差DXH’はインバランス率Bに拘わらず一定である。同様に、インバランス率Bと公差下限品の差DXL’との関係を表す特性もしくは特性線LDXL’も、横軸に平行であり、公差下限品の差DXL’はインバランス率Bに拘わらず一定である。但し公差上限品の差DXH’は公差下限品の差DXL’より大きい。
しかし、実際には図7に示すような特性は得られない。
一方、本発明者らは、図5の結果から次のことを見出した。すなわち、図5(D)に示す強制インバランス実行後のインバランス率(1.3967)は、図5(C)に示す強制インバランス実行前のインバランス率(1.1538)に、強制インバランス量(1.2105)を乗算したときの値と等しくなる(1.1538×1.2105=1.3967)。
そしてその結果、図7に示すような特性に代わって、図8に示すような特性(第1特性)が得られる。図8から分かるように、インバランス率Bと、公差上限品の差DXHとの関係を表す特性もしくは特性線LDXHは、線形且つ一次比例的な特性であり、インバランス率Bが大きくなるほど差DXHが大きくなる。同様に、インバランス率Bと公差下限品の差DXLとの関係を表す特性もしくは特性線LDXLも、線形且つ一次比例的な特性であり、インバランス率Bが大きくなるほど差DXLが大きくなる。但し、公差上限品の特性線LDXHの傾きは、公差下限品の特性線LDXLの傾きより大きい。センサ出力特性に応じて特性線LDXの傾きが変化し、センサ出力特性が公差上限品側に向かうにつれ、傾きは大きくなる。
そこで本実施形態では、特にこの図8に示すような特性を利用する。当該特性は、強制インバランス実行前の出力変動パラメータXすなわち触媒前センサ出力を利用する。従って当該特性は、強制インバランス実行前の実際の空燃比ばらつき度合いを考慮する。このため本実施形態によれば、ばらつき異常検出の検出精度を向上することができる。
なお、前述の特許文献1の技術は、燃料噴射量強制変更前の空燃比ばらつき状態を考慮していない。より言えば、燃料噴射量の強制変更前には、空燃比ばらつきが起きていないとの前提に立脚している。従って仮にこの前提に反し、燃料噴射量の強制変更前に空燃比が既にばらついていたとすると、空燃比センサの出力特性が適切か否かを正確に判断できない可能性がある。そして空燃比センサの出力特性が不適切であるにも拘わらずばらつき異常検出を実行してしまい、誤検出を招く虞がある。しかし、本実施形態によればこれらの欠点を克服することが可能である。
以下、本実施形態におけるばらつき異常検出の概要を説明する。当該検出は、主にECU20が下記のステップを実行することによって実行される。
(A)出力変動パラメータX1を算出するステップ
このステップでは、前述の方法により、強制インバランス実行前すなわち成行状態での出力変動パラメータの値X1が算出もしくは検出される。
(B)算出された出力変動パラメータX1に基づき、インバランス率の取り得る範囲DB1を決定するステップ
このステップでは、図6に示したようなインバランス率Bと出力変動パラメータXとの関係を利用する。すなわち図9に示すように、まず予め、触媒前センサ17の公差上限品と公差下限品とについて、インバランス率Bと出力変動パラメータXとの関係を表す特性もしくは特性線LXH,LXLを求めておく。この特性もしくは特性線LXH,LXLは、実際の公差上限品と公差下限品とを用い、実機試験等を通じて適合作業によって求められる。求められた特性はECU20に予め記憶される。
そして、ステップ(A)で実際に算出された出力変動パラメータX1と、公差上限品および公差下限品の特性線LXH,LXLとの交点を求める。図9に示すように、二つの交点の座標は(B1,X1)および(B2,X1)である。これら交点間のインバランス率の範囲B1≦B≦B2を、インバランス率の取り得る範囲DB1として決定する。すなわち、実際に算出された出力変動パラメータX1に基づいてインバランス率Bの範囲は限定される。
本実施形態では、実際に設置された触媒前センサ17は正常であり、公差上限品と公差下限品の間のいずれかの出力特性を有するという前提に立脚している。従って、実際にX1という出力変動パラメータが得られた場合、そのときのインバランス率BはB1≦B≦B2の範囲のうちのいずれかの値になる筈である。よってこの範囲を取り得る範囲DB1として決定する。
この取り得る範囲DB1は、成行状態における実際の空燃比ばらつき度合いに応じた範囲であり、実際の空燃比ばらつき度合いが小さければ狭くなり、実際の空燃比ばらつき度合いが大きければ広くなる。いずれにしても、この範囲DB1は、実際に設置された触媒前センサ17の出力特性のばらつきの範囲を表す。
(C)所定の1気筒の空燃比を強制的に変更する強制インバランスを実行し、出力変動パラメータX2を算出するステップ
このステップでは、前述の強制インバランスが実行され、強制インバランス実行後の出力変動パラメータの値X2が算出される。なお強制インバランスの実行後とは強制インバランスの実行中を意味する。強制インバランスの実行時、所定の1気筒(これを強制インバランス気筒という)の燃料噴射量が、強制的もしくはアクティブに、所定の強制インバランス量Bfだけ増量させられる。強制インバランス量Bfは例えば1.1=10%のインバランス率相当とされる。
ここで、強制インバランス気筒は、成行状態でリッチずれインバランスが発生しているかもしくは発生している確率が最も高い1気筒とされる。つまり強制インバランスは、成行状態で空燃比ずれが発生しているかもしくは発生している確率が最も高い1気筒の空燃比ずれ状態をさらに強調するような制御である。よって本実施形態は、そのような1気筒を強制インバランス気筒として選択もしくは特定する機能も有する。
図4に示すように、1エンジンサイクル中において#1、#3、#4、#2気筒の順に点火および燃焼が行われ、これら各気筒の排気空燃比に応じて触媒前センサ出力A/Fが変化する。図中、TDCは圧縮上死点を意味する。図示例は、成行状態において#4気筒にリッチずれインバランスが発生している場合を示す。図示するように、#4気筒の排ガスを触媒前センサ17が受けたときに触媒前センサ出力A/Fが比較的急激にリッチ側に減少し、それ以外のときでは触媒前センサ出力A/Fが比較的緩やかにリーン側に増大している。
よって本実施形態では、触媒前センサ出力A/Fおよび出力差ΔA/Fnと各気筒との対応付けを行い、気筒毎に出力差ΔA/Fnの平均値を求めると共に、この平均値がマイナス側に最も大きい気筒を強制インバランス気筒として特定する。
なお、代替的にもしくは付加的に、リーンずれインバランスが発生しているかもしくは発生している確率が最も高い1気筒を強制インバランス気筒とし、この強制インバランス気筒に対し、燃料噴射量を強制的に所定量減量させて、強制インバランスを実行してもよい。また、強制インバランス気筒の特定方法は公知方法も含め他の方法も可能である。
(D)強制インバランス実行前後の出力変動パラメータの差DX1を算出するステップ
このステップでは、ステップ(A)で算出された出力変動パラメータの値X1と、ステップ(C)で算出された出力変動パラメータの値X2との差DX1=X2−X1が算出される。
(E)インバランス率の取り得る範囲DB1と差DX1とに基づき、インバランス率Bと差DX1との関係を表す特性を決定するステップ
このステップでは、図8に示したようなインバランス率Bと、強制インバランス実行前後の出力変動パラメータの差(前後差という)DXとの関係を利用する。すなわち図10に示すように、まず予め、触媒前センサ17の公差上限品と公差下限品とについて、インバランス率Bと前後差DXとの関係を表す特性もしくは特性線LDXH,LDXLを定めておく。この特性もしくは特性線LDXH,LDXLは、実際の公差上限品と公差下限品とを用い、実際に強制インバランスを実行して、実機試験等を通じて適合作業によって求められる。求められた特性はECU20に予め記憶される。なお、適合段階において実際に強制インバランスを実行せず、計算によって強制インバランス実行後の出力変動パラメータの値、ひいては特性線LDXH,LDXLを求めることも可能である。この方法については後述する。
そして、ステップ(D)で実際に算出された前後差DX1と、ステップ(B)で決定されたインバランス率Bの取り得る範囲DB1とに基づいて、本ステップで決定すべき特性もしくは特性線を決定する。具体的には、インバランス率Bの取り得る範囲DB1のうちの所定値と、実際に算出された前後差DX1との交点を通る特性もしくは特性線を、公差上限品および公差下限品の特性線LDXH,LDXLから補間して求める。そして求められた特性もしくは特性線を、本ステップで決定すべき特性もしくは特性線として決定する。
本実施形態において、インバランス率Bの取り得る範囲DB1のうちの所定値は、その取り得る範囲のうち空燃比ばらつき度合いが最小となるような値、すなわち最小のインバランス率B1とされる。そしてこのインバランス率B1と前後差DX1との交点を通る特性もしくは特性線LDXB1が、公差上限品および公差下限品の特性線LDXH,LDXLから補間して求められる。
図10に示すように、交点の座標は(B1,DX1)である。また公差上限品および公差下限品の特性線LDXH,LDXLの仮想交点はPである。この仮想交点Pを通り、且つ交点(B1,DX1)を通る直線が計算により求められる。そして求まった直線が特性線LDXB1として決定される。この特性線LDXB1が、実際に設置された触媒前センサ17の出力特性に対応したものとされる。
参考までに、インバランス率Bの取り得る範囲DB1のうちの所定値を空燃比ばらつき度合いが最大となるような値、すなわち最大のインバランス率B2としたときの特性もしくは特性線LDXB2を図10に併記する。本ステップで決定すべき特性もしくは特性線は、仮想交点Pを通り、且つ特性線LDXB1から特性線LDXB2までの間の任意のものとすることができる。但し所定値は最小のインバランス率B1とするのが好ましい。その理由は後に説明する。
ここで、適合段階において実際に強制インバランスを実行せず、計算によって強制インバランス実行後の出力変動パラメータの値、ひいては特性線LDXH,LDXLを求める方法を説明する。ここでは図9に示したような既知である特性線LXH,LXLを利用する。例えば、図11に示すように、強制インバランス実行前の公差上限品の特性線LXH上における点(B1,X1)に着目する。この点の状態から強制インバランスを実行したとすると、強制インバランス実行後のインバランス率B2はB2=B1×Bfによって求められる。これによってB2に対応する特性線LXH上の出力変動パラメータの値X2が求められる。この出力変動パラメータの値X2は、強制インバランス実行前のインバランス率B1に対応づけられる。よって点(B1,X2)が、強制インバランス実行前のインバランス率B1に対応した、強制インバランス実行後の出力変動パラメータの値X2を表す1点となる。
これと同様な作業を強制インバランス実行前の別の1点(B3,X3)についても行う。すると、強制インバランス実行前のインバランス率B3に対応した、強制インバランス実行後の出力変動パラメータの値X4を表す別の1点(B3,X4)が求められる。点(B1,X2)と点(B3,X4)とを通る直線を求めれば、これが、インバランス率Bと強制インバランス実行後の出力変動パラメータXとの関係を表す特性線LXH”となる。
特性線LXH”上の値から特性線LXH上の値を減じてなる前後差DXを、各インバランス率Bについて求めることにより、図8および図10に示したような特性線LDXHを求めることができる。
同様の作業を公差下限品の特性線LXLに関しても実行することにより、インバランス率Bと強制インバランス実行後の出力変動パラメータXとの関係を表す特性線LXL”(図示せず)を求め、インバランス率Bと前後差DXとの関係を表す特性線LDXLを求めることができる。
(F)決定された特性LDXB1の傾きに基づいて、判定値αおよび出力変動パラメータXのいずれか一方を補正するステップ
始めに判定値αを補正する方法を説明する。なお判定値αとは、前述したように、ばらつき異常の有無を判定すべく実際に算出された出力変動パラメータXと比較される閾値である。
まずステップ(E)で決定された特性線LDXB1の傾きS(LDXB1)が算出または取得される。なおここでいう傾きとは、図10に示すように、特性線上におけるインバランス率Xの変化量に対する前後差DXの変化量の比をいい、まさに図示の特性線の傾きのことをいう。
そして図12に示したような補正マップに従い、傾きS(LDXB1)に対応した判定値α1が求められ、基準判定値α0が結果的に補正される。基準判定値α0は、実際に設置された触媒前センサ17が公差上限品であるとして予め定められた閾値である。よって基準判定値α0は公差上限品の特性線LDXHの傾きS(LDXH)に対応している。
図12から理解されるように、特性線LDXの傾きSが公差上限品の傾きS(LDXH)に対し小さくなるほど、判定値αも基準判定値α0に対し小さくなる。よって判定値αは、公差上限品を前提として予め定められた基準判定値α0に対し、実際のセンサ出力特性に見合った、より小さい値α1に補正されることとなる。
次に出力変動パラメータXを補正する方法を説明する。この補正に際しては図13に示すような補正マップが用いられる。この補正マップから、傾きS(LDXB1)に対応した補正係数J1が求められる。補正係数J1を出力変動パラメータXに乗じることにより出力変動パラメータXが補正される。補正係数Jの基準値は、実際に設置された触媒前センサ17が公差上限品であるとして予め定められた1という値である。よって補正係数J=1は公差上限品の特性線LDXHの傾きS(LDXH)に対応している。
図13から理解されるように、特性線LDXの傾きSが公差上限品の傾きS(LDXH)から小さくなるほど、補正係数Jは基準値=1から大きくなる。よって出力変動パラメータXは、実際のセンサ出力特性に見合った、より大きい値に補正されることとなる。
なお、これと同様に、判定値αを補正する際に補正係数を求めて基準判定値α0に乗算してもよい。これら補正方法は他の方法も可能である。
(G)補正された判定値α(または出力変動パラメータX)と、補正されてない出力変動パラメータX(または判定値α)とを比較して、ばらつき異常の有無を判定するステップ
このステップについては前述した通りである。実際のセンサ出力特性に合わせて判定値α(または出力変動パラメータX)が補正されているので、ばらつき異常検出を精度良く実行することができる。
以上が本実施形態のばらつき異常検出の概要である。以下に本実施形態の作用効果について追加的に説明を行う。
上述したように、ステップ(B)においてインバランス率の取り得る範囲DB1が決定され(図9参照)、ステップ(E)においてこの範囲DB1に基づいて実際の前後差DX1に対応した特性線LDXB1が決定される(図10参照)。そしてステップ(F)において特性線の傾きS(LDXB1)に基づいて補正後の判定値α1が決定される(図12参照)。
本実施形態では、特性線LDXB1を決定する際、範囲DB1内における最小のインバランス率B1と前後差DX1との交点を通る直線を特性線LDXB1として決定した。すなわち、範囲DB1のうちの所定値を最小のインバランス率B1とした。
こうするのが好ましい理由は次の通りである。最小のインバランス率B1は、図9に示したように公差上限品の特性線LXHに対応する値である。公差上限品とは、同一のインバランス率に対し出力変動パラメータXの値を最も大きくするもの、すなわちばらつき異常側に振れるものである。このように公差上限品に対応させて判定値αを定めるのが適切である。なぜなら、公差下限品に対応させて判定値αを定めると、図10の特性線LDXB2のより小さい傾きに基づいて補正後の判定値αが決定され、補正後の判定値αの値がより小さくなってしまうからである。このとき、実際に公差上限品が取り付けられていれば、本来ばらつき異常がないのにばらつき異常ありと誤判定してしまう可能性がある。こうした誤判定を抑制する上で、最小のインバランス率B1に基づき特性線LDXB1を決定するのは有効である。
図10に示したように、実際の前後差DX1に応じた最大傾きの特性線LDXB1と最小傾きの特性線LDXB2とが分かると、インバランス率の取り得る範囲を実質的にさらに限定することができる。
図14に示すように、適合段階において、触媒前センサが公差上下限品間のどのようなものであっても、ばらつき異常ありと判定したくないインバランス率Xの範囲が存在する。本実施形態ではこれを例えば20%未満とする。この観点からB1=20%と定め、公差上限品の特性線LXH上のB1に対応した出力変動パラメータXの値を基準判定値α0とする。この場合、実際に取り付けられた触媒前センサが公差下限品側にずれると、最大でインバランス率B2まで、ばらつき異常ありと判定できないことになる。本実施形態ではB2を例えば50%とする。結局、B<B1の範囲がセンサ出力特性によらず正確に正常と判定できる範囲、B>B2の範囲がセンサ出力特性によらず正確に異常と判定できる範囲、B1≦B≦B2の範囲DBが、センサ出力特性に応じて正常と異常の判定が異なる範囲すなわちグレーゾーンとなる。
一方、実際の前後差DX1に基づく両特性線LDXB1,LDXB2に対応する、インバランス率Xと出力変動パラメータXとの関係を表す特性線は、公差上下限品の特性線LXH,LXLの間に挟まれたLXB1,LXB2となる。LXB1に基づいて補正後の判定値α1が決定される。補正後の判定値α1と、特性線LXB1,LXB2との交点間のインバランス率の範囲はDB’である。
この範囲DB’はB1≦B≦B2’の範囲であり、最小値はB1で等しいが、最大値は適合時のB2より小さいB2’である。本実施形態においてB2’は例えば30%である。このように範囲DB’は、適合段階で定められた範囲DBより縮小される。この範囲DB’が、実際に取り付けられた触媒前センサに対応したインバランス率Xの取り得る範囲である。よってインバランス率Xの取り得る範囲は適合時よりもさらに限定される。
この場合、センサ出力特性によらず正確に正常と判定できる範囲はB<B1であり、適合時と変わらない。しかし、センサ出力特性によらず正確に異常と判定できる範囲の最小値は、より小さいB2’に変更され、より小さいインバランス率Xから正確に異常と判定できるようになる。そして、センサ出力特性に応じて正常と異常の判定が異なる範囲すなわちグレーゾーンは、より狭いB1≦B≦B2’の範囲に制限され、誤判定が生じる可能性があるインバランス率Xの範囲を縮小することができる。これにより、ばらつき異常検出の検出精度を上げることが可能になる。
次に、本実施形態のばらつき異常検出のより具体的な検出処理について説明する。
まず、本実施形態の基本的処理である出力変動パラメータXの算出処理について説明する。当該算出処理はECU20が図15に示すようなルーチンを所定の演算周期毎に繰り返し実行することによりなされる。
まずステップS101において、今回のサンプル時期ないしタイミングnにおける触媒前センサ出力A/Fnが取得される。そして今回のタイミングにおけるセンサ出力差ΔA/Fnが前式(2)より算出される。ここで触媒前センサ出力A/Fnおよびセンサ出力差ΔA/Fnの両値には、両値をもたらした排ガスの排出先の気筒の番号が対応づけられ、両値と気筒番号とがセットでECU20に記憶される。これは、後に強制インバランス気筒を特定するためである。
次いでステップS102において、今回のタイミングにおけるセンサ出力差ΔA/Fnがゼロより大きいか否かが判断される。
ゼロより大きい場合、すなわち今回タイミングのセンサ出力差(傾き)ΔA/Fnがプラスであり、触媒前センサ出力の増加時の値である場合には、ステップS103で今回のタイミングにおけるプラスのセンサ出力差ΔA/Fnが積算され、その積算値ΣΔA/Fn+が次式(3)より算出される。
Figure 2014109265
そしてステップS104において、プラスのセンサ出力差ΔA/Fnの積算回数C1+の値が1だけ増加(インクリメント)される。
他方、ステップS102において、今回のタイミングにおけるセンサ出力差ΔA/Fnがゼロ以下の場合、すなわち今回タイミングのセンサ出力差(傾き)ΔA/Fnがゼロまたはマイナスであり、触媒前センサ出力の無変化時または減少時の値である場合には、ステップS105で今回のタイミングにおけるマイナスのセンサ出力差ΔA/Fnが積算され、その積算値ΣΔA/Fn-が次式(4)より算出される。
Figure 2014109265
そしてステップS106において、マイナスのセンサ出力差ΔA/Fnの積算回数C1-の値が1だけ増加(インクリメント)される。
次いで、ステップS107において、今回のタイミングにおけるクランク角θが、1エンジンサイクル(0〜720°CA)中の基準クランク角である0°CAであるか否かが判断される。この基準クランク角は、1エンジンサイクル中のセンサ出力差ΔA/Fnの平均値を算出するタイミングを規定する。なお基準クランク角は0°CA以外の値に定めることも可能である。本実施形態の場合、基準クランク角である0°CAは#1気筒の圧縮上死点に等しくされている(図4参照)。
クランク角θが0°CAでない場合、ルーチンが終了される。他方、クランク角θが0°CAである場合、ステップS108において、今回の1エンジンサイクル終了時点におけるセンサ出力差ΔA/Fnの平均値が算出されると共に、この平均値が積算される。まずプラスのセンサ出力差ΔA/Fnについては、プラスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn+が積算回数C1+で除算されてエンジンサイクル毎の平均値Rm+(=(ΣΔA/Fn+)/C1+)が算出される。そしてこの平均値Rm+が、エンジンサイクル毎の平均値の積算値に加算され、平均値Rm+の積算値ΣRm+が求められる。積算値ΣRm+は次式(5)より算出される。
Figure 2014109265
同様に、マイナスのセンサ出力差ΔA/Fnについては、マイナスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn-が積算回数C1-で除算されてエンジンサイクル毎の平均値Rm-(=(ΣΔA/Fn-)/C1-)が算出される。そしてこの平均値Rm-が、エンジンサイクル毎の平均値の積算値に加算され、平均値Rm-の積算値ΣRm-が求められる。積算値ΣRm-は次式(6)より算出される。
Figure 2014109265
次に、ステップS109において、エンジンサイクル毎のプラス平均値Rm+とマイナス平均値Rm-の積算回数C2+、C2-の値が1ずつ増加(インクリメント)される。
この後ステップS110において、プラスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn+とマイナスのセンサ出力差の積算値ΣΔA/Fn-との値がゼロにクリアされる。そしてステップS111において、プラスのセンサ出力差の積算回数C1+とマイナスのセンサ出力差の積算回数C1-との値がゼロにクリアされる。
次いでステップS112において、エンジンサイクル毎のプラス平均値の積算回数C2+が所定のしきい値M+以上に達し、且つエンジンサイクル毎のマイナス平均値の積算回数C2-が所定のしきい値M-以上に達したか否かが判断される。本実施形態においては例えばM+=M-=50とされる。ノーの場合にはルーチンが終了される。
他方、イエスの場合には、ステップS113において、積算値ΣRm+を積算回数C2+で除してなるM+エンジンサイクル中の平均値(ΣRm+)/C2+と、積算値ΣRm-を積算回数C2-で除してなるM-エンジンサイクル中の平均値(ΣRm-)/C2-とが算出される。そしてこれら両平均値に基づき出力変動パラメータXが算出される。
本実施形態では、両平均値の絶対値の平均値が出力変動パラメータXとして算出される。但し他の値も可能であり、例えば両平均値の絶対値のうち大きい方、あるいは両平均値の絶対値の和を出力変動パラメータXとして算出してもよい。こうして出力変動パラメータXが算出されたならばルーチンが終了される。
次に、本実施形態のばらつき異常検出処理について説明する。当該検出処理はECU20が図16のフローチャートに表されるようなアルゴリズムに従って実行される。
まずステップS201において、ばらつき異常検出を実行するのに適した所定の前提条件が成立したか否かが判断される。例えば次の各条件が成立した場合に前提条件が成立する。なお各条件については他の例も可能である。
(1)エンジンの暖機が終了している。
(2)触媒前センサ17および触媒後センサ18が活性化している。
(3)上流触媒11および下流触媒19が活性化している。
(4)エンジンが定常運転中である。
(5)エンジンの回転数Neと負荷KLが所定範囲内にある。
(6)ストイキ制御中である。
前提条件が成立してなければ待機し、前提条件が成立したならばステップS202に進む。ステップS202では、強制インバランス実行前の出力変動パラメータXの値が算出される。この算出は図15に示したルーチンの実行によりなされる。
ステップS203において、図9に示したように、算出された出力変動パラメータXの値に基づいてインバランス率の取り得る範囲DBが決定される。
ステップS204において、強制インバランス気筒が特定される。このとき図15のルーチンのステップS101で取得された、センサ出力差ΔA/Fnと気筒番号との組データが利用される。
例えば、気筒番号毎のセンサ出力差ΔA/Fnの平均値(プラスかマイナスかを問わない)が求められ、この平均値の絶対値が最も大きい気筒が強制インバランス気筒として特定される。図4から理解されるように、成行状態でリッチずれインバランスが発生している#4気筒のセンサ出力差ΔA/Fnの平均値の絶対値は、他の気筒のそれよりも大きい。よってこの方法で強制インバランス気筒を特定することが可能である。
ここで、強制インバランス気筒が成行状態でリッチずれインバランスしているのか(あるいはその可能性があるか)、あるいはリーンずれインバランスしているのかの特定も、併せて実行される。このとき、強制インバランス気筒のセンサ出力差ΔA/Fnの平均値がプラスであればリーンずれインバランス、マイナスであればリッチずれインバランスと特定される。
ステップS205において、強制インバランスが実行される。すなわち強制インバランス気筒に対して燃料噴射量が所定量増量または減量される。このとき、ステップS204で強制インバランス気筒がリッチずれインバランスと特定されていれば、そのリッチずれ状態を強調するように燃料噴射量が増量される。逆に、ステップS204で強制インバランス気筒がリーンずれインバランスと特定されていれば、そのリーンずれ状態を強調するように燃料噴射量が減量される。
ステップS206において、強制インバランス実行後の出力変動パラメータXの値が算出される。この算出は再び、図15に示したルーチンの実行によりなされる。
ステップS207において、強制インバランス実行前後の出力変動パラメータXの差すなわち前後差DXが算出される。この算出は、ステップS206で算出された出力変動パラメータXの値から、ステップS202で算出された出力変動パラメータXの値を減じることによりなされる。
ステップS208において、図10に示したように、算出された前後差DXと、インバランス率の取り得る範囲DBとに基づいて、インバランス率Bと前後差DXとの関係を表す特性線LDX(=LDXB1)が決定される。
ステップS209において、特性線LDX(=LDXB1)の傾きS(=S(LDXB1))が決定される。
ステップS210において、図12に示したように、決定された傾きS(=S(LDXB1))に基づいて、補正後の判定値α(=α1)が決定される。
ステップS211において、ステップS202で算出された強制インバランス実行前の出力変動パラメータXの値が、ステップS210で決定された補正後の判定値αと比較される。
出力変動パラメータXの値が判定値α未満の場合、ステップS212においてばらつき異常なし、すなわち正常と判定される。
出力変動パラメータXの値が判定値α以上の場合、ステップS213においてばらつき異常あり、すなわち異常と判定される。このときにはチェックランプ等の警告装置が起動され、異常の事実がユーザに知らされ、ユーザに対し修理が促される。
次に、本実施形態の変形例を説明する。
強制インバランスの実行前と実行後とで実際のエンジン運転状態が相違し、これに起因して前後差DXの算出精度が低下する虞がある。そしてこれに伴ってばらつき異常検出精度が低下する虞がある。
そこでこの変形例では、このような精度低下を抑制すべく、強制インバランスの実行前後で算出された出力変動パラメータXの値がそれぞれ一定のエンジン運転条件のときの値になるよう、正規化を行う。
これにより、強制インバランスの実行前後で算出された出力変動パラメータXの運転条件が実質的に同じとなり、前後差DXの算出精度、ひいてはばらつき異常検出精度を向上することができる。
図17は、変形例に係る出力変動パラメータ算出処理のフローチャートを示す。当該算出処理は図15に示した算出処理とほぼ同じであり、同一のステップについては符号を300番台に変更するのみで説明を省略する。異なるのは、ステップS108がステップS308Aに置き換えられ、ステップS308Aで正規化処理が行われる点だけである。
ステップS308Aでは、今回のエンジンサイクルで算出されたエンジンサイクル毎の平均値Rm+,Rm-がそれぞれ、当該エンジンサイクル中の平均的なエンジン運転状態、具体的には検出されたエンジン回転数Neとエンジン負荷KLとの平均値に応じて正規化される。そして正規化後の平均値Rm+,Rm-が積算される。
この正規化には図18および図19に示すような所定のマップが用いられる。図18に示す回転数正規化マップにおいて、エンジン回転数Neが所定の正規化回転数であるアイドル回転数Neiのとき回転数正規化係数K1は1であり、エンジン回転数Neが上昇するほど回転数正規化係数K1は大きくなる。検出されたエンジン回転数Neに対応した回転数正規化係数K1がマップから求められ、この回転数正規化係数K1がそれぞれの平均値Rm+,Rm-に乗じられる。これによりエンジン回転数に関する正規化が行われる。
一般にエンジン回転数Neが高いほどセンサ出力差ΔA/Fは小さくなる傾向にある。従って上記のような正規化を行うことにより、任意の回転数で検出された平均値Rm+,Rm-の値をアイドル回転数Neiのときの値になるよう正規化することができる。
同様に、図19に示す負荷正規化マップにおいて、エンジン負荷KLが所定の正規化負荷であるアイドル負荷KLiのとき負荷正規化係数K2は1であり、エンジン負荷KLが増大するほど負荷正規化係数K2は小さくなる。検出されたエンジン負荷KLに対応した負荷正規化係数K2がマップから求められ、この負荷正規化係数K2がそれぞれの平均値Rm+,Rm-に乗じられる。これによりエンジン負荷に関する正規化が行われる。
一般にエンジン負荷KLが大きいほどセンサ出力差ΔA/Fは大きくなる傾向にある。従って上記のような正規化を行うことにより、任意の負荷で検出された平均値Rm+,Rm-の値をアイドル負荷KLiのときの値になるよう正規化することができる。
結局、(Rm+×K1×K2)が正規化後のプラス平均値、(Rm-×K1×K2)が正規化後のマイナス平均値として算出され、これら値が積算される。これら積算値に基づき以降のステップを実行することにより、結果的に正規化された出力変動パラメータXの値を得ることができる。
図16のステップS202,S206において、正規化された出力変動パラメータXの値が算出されるので、ステップS207においてこれら値を用いて算出される前後差DXの値も一定の運転条件下の値に揃うこととなる。よって前後差DXの算出精度を向上でき、ばらつき異常検出精度を向上することができる。
なお本実施例では正規化係数K1,K2を乗じて正規化を行ったが、加算等により正規化を行ってもよい。またステップS301で得られる個々のセンサ出力差ΔA/Fnや、ステップS313で最終的に得られる出力変動パラメータXの値等に対し正規化を行ってもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば上記の数値は例示であり、種々の変更が可能である。また上記の説明において、リッチずれインバランスとリーンずれインバランスの一方についてしか説明していない箇所があるが、一方への説明が他方へも適用可能であることが当業者によって理解されるであろう。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
2 インジェクタ
6 排気管
11 上流触媒
14 排気マニフォールド
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
19 下流触媒
20 電子制御ユニット(ECU)
X 出力変動パラメータ
α 判定値
B インバランス率
DB インバランス率の取り得る範囲
DX 前後差
LDX インバランス率と前後差との関係を表す特性
S 傾き
K1 回転数正規化係数
K2 負荷正規化係数

Claims (7)

  1. 複数の気筒に共通の排気通路に設置された空燃比センサの出力変動度合いに相関する第1パラメータを算出し、算出された前記第1パラメータを所定の判定値と比較して気筒間空燃比ばらつき異常を検出する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
    (A)前記第1パラメータを算出するステップと、
    (B)算出された前記第1パラメータに基づき、気筒間空燃比ばらつき度合いを表す第2パラメータの取り得る範囲を決定するステップと、
    (C)所定の1気筒の空燃比を強制的に変更して前記第1パラメータを算出するステップと、
    (D)強制変更前後の前記第1パラメータの差を算出するステップと、
    (E)前記第2パラメータの取り得る範囲と前記差とに基づき、前記第2パラメータと前記差との関係を表す第1特性を決定するステップと、
    (F)決定された前記第1特性の傾きに基づいて、前記判定値と、前記ステップ(A)で算出された前記第1パラメータとのいずれか一方を補正するステップと、
    を実行するように構成されたことを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  2. 前記ステップ(E)において、
    前記空燃比センサの公差上限品と公差下限品とについて予め定められた前記第1特性を利用し、前記ステップ(D)において算出された前記差と、前記第2パラメータの取り得る範囲のうちの所定値との交点を通る前記第1特性を、公差上限品および公差下限品の前記第1特性から補間して求め、求められた前記第1特性を決定すべき前記第1特性として決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  3. 前記第2パラメータの取り得る範囲のうちの所定値が、前記第2パラメータの取り得る範囲のうちばらつき度合いが最小となるような値である
    ことを特徴とする請求項2に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  4. 前記空燃比センサの公差上限品と公差下限品とについて予め定められた前記第1特性が、前記第2パラメータがばらつき度合い大側に変化するにつれ前記差が大きくなるような特性である
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  5. 前記公差上限品について予め定められた前記第1特性の傾きが、前記公差下限品について予め定められた前記第1特性の傾きより大きい
    ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  6. 前記ステップ(B)において、
    前記空燃比センサの公差上限品と公差下限品とについて予め定められた、前記第1および第2パラメータの関係を表す第2特性を利用し、前記ステップ(A)で算出された前記第1パラメータと、公差上限品および公差下限品の前記第2特性との交点間の前記第2パラメータの範囲を、前記第2パラメータの取り得る範囲として決定する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  7. 前記ステップ(A)および(C)が、前記内燃機関の運転状態に応じて前記第1パラメータを正規化するステップを含む
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
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