JP2014108955A - 3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びそれを含有してなる医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】次の一般式(I)、
で示される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩、及びそれを含有してなる排尿障害の治療及び/又は予防のための医薬組成物。
【選択図】なし
Description
平滑筋ではカルモジュリンにCa2+が結合すると、ミオシン軽鎖のリン酸化が起こり、ミオシン頭部の運動によりアクチン・ミオシン相互の収縮が起こる。一方、リン酸化されているミオシンがホスファターゼにより脱リン酸化されると、平滑筋は弛緩する。
この様に横紋筋と平滑筋の収縮機構は異なる。また、平滑筋は交感神経と副交感神経の二重支配によりコントロールされている。さらに膀胱体部平滑筋ではこれに分布するコリン受容体の一つであるムスカリン受容体刺激により収縮が起こる。
排尿は主として副交感神経が関与し、膀胱体部平滑筋に分布するコリン受容体の一つであるムスカリン受容体を刺激し、膀胱体部を収縮させ行われる。
このように蓄尿と排尿は交感神経、副交感神経の働きと膀胱体部平滑筋、膀胱頸部平滑筋などの筋収縮ならびに筋弛緩により微妙に調節されているが、この調節が障害されると種々の排尿障害がおこる。
排尿障害には頻尿、残尿、尿失禁、膀胱の不随意の収縮による過活動膀胱などがある。中でも過活動膀胱は一般的によく見られる症状で、日本においては過活動膀胱の潜在患者はおよそ830万人と推定されている。
また、過活動膀胱治療剤としては、ニコランジル(特許文献1参照)、インドール誘導体(特許文献2参照)、ベンゾピラジン誘導体(特許文献3参照)などのカリウムチャネル開口剤を用いるもの、アミノチアゾリル酢酸アニリド誘導体(特許文献4参照)、ベンゾジオキシンカルボン酸誘導体(特許文献5参照)、アミノアルキルインドール誘導体(特許文献6参照)、ヒドロキシメチルピロリジン誘導体(特許文献7参照)などのβ3アドレナリン受容体刺激剤を用いるもの、PDE9阻害剤を用いるもの(特許文献8及び9参照)、ジアゼパムを用いるもの(特許文献10参照)、インドリルピペリジン誘導体を用いるもの(特許文献11参照)、三環式化合物を用いるもの(特許文献12参照)なども報告されている。
本発明者は、一般式[I]で表される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体について各種の薬理作用について検討してきた。その結果、これらの化合物が、特に低用量で膀胱平滑筋を弛緩させ、尿回数を減らし、一回尿量を増やす作用を有する薬剤として有用であることを見出した。
即ち、本発明は、次の一般式[I]、
R2は、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はR1及びR3と一緒になって隣接する炭素原子と共に置換基を有してもよいアリール環を形成してもよく、
R3は、水素原子を表すか、又はR1及びR2と一緒になって隣接する炭素原子と共に置換基を有してもよいアリール環を形成してもよく、
R4は、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1から10のアルコキシ基を表し、
R5は、1つ又は2つ以上の置換基を有してもよいアリール基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表す。)
で示される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩に関する。
より詳細には、本発明は次の[1]から[25]に関する。
[2]前記一般式[I]におけるR5が、置換基を有してもよいジフェニルメチル基である前記[1]に記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
[3]前記一般式[I]におけるR1が、水酸基である、前記[1]又は[2]に記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。[4]前記一般式[I]におけるR2が、置換基を有してもよいアリール基である、前記[1]から[3]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
[5]前記一般式[I]におけるR3が、水素原子である、前記[1]から[4]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
[6]前記一般式[I]におけるR4が、水素原子又は水酸基である、前記[1]から[5]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
[7]前記一般式[I]におけるR1が水酸基であり、R2が置換基を有してもよいアリール基であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子又は水酸基であり、R5が置換基を有してもよいジフェニルメチル基である、前記[1]から[6]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
[8]前記一般式[I]で表される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体が、下記の、
[9]前記一般式[I]で表される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体が、下記の、
[10]前記一般式[I]で表される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体の薬学的に許容される塩が、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、及び蓚酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩からなる群から選ばれる塩である、前記[1]から[9]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
[12]前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容しうる塩から選ばれる少なくとも1種、及び製薬学的に許容される担体を含有してなる平滑筋の収縮を改善するための医薬組成物。
[13]平滑筋が、膀胱平滑筋、肺動脈の平滑筋、気管の平滑筋、気管支平滑筋、消化管の平滑筋、又は子宮の平滑筋である、前記[12]に記載の医薬組成物。
[14]平滑筋の収縮を改善するための医薬組成物が、膀胱、気管支、肺動脈、消化管、又は子宮における平滑筋弛緩障害の治療及び/又は予防のものである、前記[12]又は[13]に記載の医薬組成物。
[16]前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも1種、及び製薬学的に許容される担体を含有してなる排尿障害の治療及び/又は予防のための医薬組成物。
[17]排尿障害が、過活動膀胱、尿意切迫感、頻尿、又は尿失禁である前記[16]に記載の医薬組成物。
[18]尿失禁が、切迫性尿失禁、反射性尿失禁、又は腹圧性尿失禁である、前記[17]に記載の医薬組成物。
[19]前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容される塩から選ばれる少なくとも1種、及び製薬学的に許容される担体を含有してなる過活動膀胱の治療及び/又は予防のための医薬組成物。
[21]前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容しうる塩から選ばれる少なくとも1種を含有してなる有効成分の有効量を、排尿障害の治療及び/又は予防を必要とする患者に投与することからなる、排尿障害を治療及び/又は予防する方法。
[22]前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容しうる塩から選ばれる少なくとも1種を含有してなる有効成分の有効量を、過活動膀胱の治療及び/又は予防を必要とする患者に投与することからなる、過活動膀胱を治療及び/又は予防する方法。
[23]平滑筋の収縮を治療及び/又は予防するための医薬組成物の有効成分として使用するための、前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容しうる塩。
[24]排尿障害を治療及び/又は予防するための医薬組成物の有効成分として使用するための前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容しうる塩。
[25]過活動膀胱を治療及び/又は予防するための医薬組成物の有効成分として使用するための前記[1]から[10]のいずれかに記載の3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体及びその薬学的に許容しうる塩。
また、本発明の一般式[I]で表される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩のなかのいくつかの化合物は、心拍を増加させず、血圧を増加させ、心筋の収縮・弛緩機能を促進することが知られており、心筋などの横紋筋の収縮・弛緩機能の改善剤としても有用である。
R2は、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はR1及びR3と一緒になって隣接する炭素原子と共に置換基を有してもよいアリール環を形成してもよく、
R3は、水素原子を表すか、又はR1及びR2と一緒になって隣接する炭素原子と共に置換基を有してもよいアリール環を形成してもよく、
R4は、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1から10のアルコキシ基を表し、
R5は、1つ又は2つ以上の置換基を有してもよいアリール基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表す。)
で示される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩に関する。
本発明における炭素数1から10のアルキル基としては、炭素数1から10、好ましくは炭素数1から5、より好ましくは炭素数1から3の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。本発明の好ましい炭素数1から5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
本発明における炭素数1から10のアルコキシ基としては、炭素数1から10、好ましくは炭素数1から5、より好ましくは炭素数1又は2の前記したアルキル基で構成されるアルコキシ基が挙げられる。本発明の好ましい炭素数1から10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
本発明における置換基を有してもよいアリール基とは、前記したアリール基に1つ又は2つ以上の置換基が置換していてもよいアリール基である。このような置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1から10のアルキル基、及びハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1から10のアルコキシ基からなる群から選ばれる置換基が挙げられる。
本発明における「1つ又は2つ以上の置換基を有してもよいアリール基で置換された炭素数1から10のアルキル基」としては、1つ又は2つ以上の前記した「置換基を有してもよいアリール基」で置換された、前記した「炭素数1から10のアルキル基」が挙げられる。ここにおけるアリール基の置換基としては前記したものが挙げられる。本発明における好ましい「1つ又は2つ以上の置換基を有してもよいアリール基で置換された炭素数1から10のアルキル基」としては、例えば、ベンジル基、4−フルオロベンジル基、ジフェニルメチル基、ビス(4−フルオロフェニル)メチル基、ビス(4−クロロフェニル)メチル基などが挙げられる。
得られた4−置換−1−(3−置換プロピル)ピペラジン誘導体に置換ピペリジン誘導体を、塩基の存在下又は不存在下で反応させることにより目的の化合物を製造することができる。いずれも公知の置換反応の反応条件により適宜行うことができる。
本発明の一般式[I]におけるR4が水酸基の化合物については、4−置換ピペラジン誘導体とエピハロヒドリンを、塩基の存在下で反応させることにより4−置換−1−(エポキシメチル)ピペラジン誘導体とする。ハロゲン原子としては臭素又は塩素が挙げられ、塩基としては炭酸カリウムなどの炭酸塩やアミン類が挙げられる。
得られたエポキシ体を、単離してもよいが、単離することなく置換ピペリジン誘導体と反応させてエポキシ基を開環させることにより目的の化合物を製造することができる。
本発明の一般式[I]におけるR4がハロゲン又はアルコキシ基の化合物は、前記で得られたヒドロキシ体を公知の方法で処理することにより誘導することができる。
また、本発明の一般式[I]で表される化合物は、不斉炭素原子を有する場合があるが、この場合には、ラセミ体でもよいが、好ましくは光学活性体が挙げられる。光学分割は、公知の方法、例えば光学活性なカラムを用いた方法により光学分割することもできる。また、反応によっては立体選択的な反応とすることにより、光学活性体を直接製造することもできる。
本発明の一般式[I]で表される化合物は、水和物のような溶媒和物として使用することもできる。また、本発明の一般式[I]で表される化合物に結晶多形がある場合には、それらの多形の中の好ましい結晶形を用いることもできる。
本発明の医薬組成物を経口投与のための製剤とする場合には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤等の剤形が可能である。このような剤形においては、一つ又はそれ以上の活性物質(有効成分)が、少なくとも一つの不活性な製薬学的に許容される担体、例えば希釈剤、分散剤又は吸着剤等、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微晶性セルロース、澱粉、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は無水ケイ酸末等と混合され、常法にしたがって製剤化することができる。
錠剤又は丸剤に調製する場合は、必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシメチルセルロースフタレート等の胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで皮膜してもよいし、二以上の層で皮膜してもよい。さらに、ゼラチン又はエチルセルロースのような物質のカプセルにしてもよい。
経口投与のための液体組成物にする場合は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶解剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等の剤形が可能である。用いる希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油又は乳化剤等がある。また、この組成物は希釈剤以外に浸潤剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤、芳香剤又は防腐剤等のような補助剤を混合させてもよい。
水溶性の溶液剤にする場合、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールあるいはオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類等を用いてもよい。また、可溶化剤として、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、蔗糖脂肪酸エステル等の界面活性剤(混合ミセル形成)、又はレシチンあるいは水添レシチン(リポソーム形成)等も用いられる。また、植物油等の非水溶性の溶解剤と、レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等からなるエマルジョン製剤にすることもできる。
本発明の化合物[2]である1−〔4−(ジフェニルメチル)ピペラジニル〕−3−〔4−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニル)−ピペリジニル〕プロパンを次の反応経路にしたがって製造した。
1H−NMR(CDCl3、400MHz)δ:
1.9(2H, m), 2.35(10H, m), 3.45(2H, t), 4.15(1H, s), 7.2(10H, m)
上記(1)で製造した1−(ジフェニルメチル)−3−クロロプロパン(9.0g)と、4−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニル)−ピペリジン(2.0eq.)をDMF(2.0v/w)に溶解し、80℃で6時間加熱還流した。放冷後濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、100g)にて精製し、目的の1−〔4−(ジフェニルメチル)ピペラジニル〕−3−〔4−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニル)−ピペリジニル〕プロパンを白色固体(収量8.3g、総収率60.1%)として得た。
IR νmax(cm−1)KBr:
3166, 2946, 2809, 1596, 1492, 1450, 1143, 758, 706
1H−NMR(CDCl3、400MHz)δ:
1.60-1.70(4H, m), 1.90-2.20(3H, m), 2.30-2.70(14H, m), 2.80-2.90(2H, D), 4.20(1H, s), 7.10-7.50(14H, m)
C31H38N3OCl として実測値503(M+)
本発明の化合物[3]である1−〔4−(ジフェニルメチル)ピペラジニル〕−3−〔4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)−ピペリジニル〕−2−プロパノールを次の反応経路にしたがって製造した。
1−(ジフェニルメチル)ピペラジン(22.0g)をアセトン(20v/w)に溶かし、炭酸カリウム(1.5eq.)及びエピブロモヒドリン(2.0eq.)を加え、3.5時間加熱還流した。反応で生成した塩を濾別後、濾液を減圧濃縮した。1−(ジフェニルメチル)−4−(1−(2,3−エポキシ)プロピル)ピペラジンの粗生成物を得た。
2.27-2.74(12H, m), 3.06(1H, m), 4.21(1H, s), 7.15(2H, t), 7.23(4H, t), 7.39(4H, d)
上記(1)で製造した1−(ジフェニルメチル)−4−(1−(2,3−エポキシ)プロピル)ピペラジン(14.0g)と、4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)−ピペリジン(13.0g)をDMF(140mL)に溶解し、100℃で3時間加熱還流した。放冷後濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、100g)にて精製し、目的の1−〔4−(ジフェニルメチル)ピペラジニル〕−3−〔4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)−ピペリジニル〕−2−プロパノール15.7gを白色固体(総収率69.0%)として得た。
3438, 2942, 2815, 1639, 1492, 1451, 1137, 1007, 816, 746, 706
1H−NMR(CDCl3、400MHz)δ:
1.64-2.85(21H, m), 2.33(3H, s), 3.89(2H, m), 4.21(1H, s), 7.15-7.42(14H)
「方法」
ラット膀胱平滑筋を10×2mmの切片にし、37℃、95%O2:5%CO2の気相下にてクレブス・ヘンゼライト液で平衡化した。自動給排水式オーガンバスシステム(AD Instruments社製)のチャンパー内に切片をつるし、1gの張力になるように調整した。
クレブス・ヘンゼライト液を3回交換し洗浄後、カルバコール10−8〜10−3Mによる累積投与を行い、化合物[2]をそれぞれ0(対照)、3、及び10μM投与した際の収縮率をPower Lab data acquisition systemを用いて解析した。各群n=3で行った。
ラット膀胱平滑筋において、被検薬化合物[2]は濃度依存的にカルバコール収縮を抑制した(図1参照)。10−3Mカルバコールの最大収縮に対し3μM、10μMを投与した化合物[2]はそれぞれ13.9%、57.0%抑制した。このことから化合物[2]はカルバコールによる膀胱平滑筋収縮を抑制することが明らかとなった(図1)。
ウイスターラット(週齢6週、n=4)を用いウレタン0.6g/kgを腹腔内投与し、さらに0.6g/kgで筋肉内投与を行い、全身麻酔を行った。右大腿静脈に薬物注入用のカテーテルを挿入した。下腹部を切開し、膀胱に2Fのカテーテルを挿入し、約37.0℃に温めた生理食塩水を1時間あたり4mlで膀胱内に持続的に注入した。また、カテーテルに圧トランスジューサーを接続し、膀胱内圧を測定した。一定頻度の膀胱収縮が得られた後に、化合物[3]を1.0mg/kgで5分間(200μg/kg/分)右大腿静脈から注入し、注入前後の膀胱内圧、排尿回数、各尿量を測定した。一定頻度の膀胱収縮を得られないラットは除外した。
その結果、図2に示すように化合物[3]を注入後、排尿回数は減少した。また、図3に示すように、注入前後の20分間あたりの排尿総量(図3左側参照)は有意に増加し、排尿回数(図3右側参照)は有意に減少した(n=4)。図3中の*印は、p<0.05で有意差があったことを示す。
また、これらの試験例は膀胱平滑筋に作用したと考えられることから、気管支、消化管、子宮などの平滑筋にも同様に作用すると考えられる。
Claims (5)
- 次の一般式[I]
R2は、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はR1及びR3と一緒になって隣接する炭素原子と共に置換基を有してもよいアリール環を形成してもよく、
R3は、水素原子を表すか、又はR1及びR2と一緒になって隣接する炭素原子と共に置換基を有してもよいアリール環を形成してもよく、
R4は、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1から10のアルコキシ基を表し、
R5は、1つ又は2つ以上の置換基を有してもよいアリール基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表す。)
で示される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩、及び製薬学的に許容される担体を含有してなる排尿障害の治療及び/又は予防のための医薬組成物。 - 一般式[I]におけるR1が水酸基であり、R2が置換基を有してもよいアリール基であり、R3が水素原子であり、R4が水素原子又は水酸基であり、R5が置換基を有してもよいジフェニルメチル基である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 一般式[I]で表される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体が、1−〔4−(ジフェニルメチル)ピペラジニル〕−3−〔4−ヒドロキシ−4−(4−クロロフェニル)−ピペリジニル〕プロパン、又は1−〔4−(ジフェニルメチル)ピペラジニル〕−3−〔4−ヒドロキシ−4−(4−メチルフェニル)−ピペリジニル〕−2−プロパノールである、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- 排尿障害が、過活動膀胱、尿意切迫感、頻尿、又は尿失禁である、請求項1から3のいずれかに記載の医薬組成物。
- 次の一般式[I]
R2は、置換基を有してもよいアリール基を表し、
R3は、水素原子を表し、
R4は、水素原子、炭素数1から10のアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1から10のアルコキシ基を表し、
R5は、1つ又は2つ以上の置換基を有してもよいアリール基で置換された炭素数1から10のアルキル基を表す。ただし、R1及びR4が水酸基で、R2が4−クロロフェニル基で、R5がジフェニルメチル基である場合を除く。)
で示される3−ピペラジニル−1−ピペリジニル−プロパン誘導体又はその薬学的に許容しうる塩。
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2012
- 2012-12-04 JP JP2012264935A patent/JP6021616B2/ja active Active
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