JP2014106733A - 触覚提示装置の電極基板、触覚提示装置及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚を通じて感覚器に電流を印加する触覚提示装置として機能し、触覚情報と視覚情報を統合的に提示することのできる表示装置を提供する。
【解決手段】触覚提示装置の電極基板10は、光透過性の基板層1と、基板層1及び触覚提示を受ける対象の表皮の間に位置する、電極2と、基板層1及び表皮の間に位置し、電極2と電気的に接続可能な配線4を備える、配線層と、配線4及び表皮の間に位置する、光透過性の絶縁層3と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は触覚提示装置の電極基板、並びにこれを備える触覚提示装置及び表示装置に関する。
電気触覚提示装置(触覚提示装置)は、皮膚等に触覚等を提示する装置である。特許文献1には指先の皮膚に接触した電極から皮膚内又は皮下の感覚神経を刺激するものが開示されている。かかる触覚提示装置は、例えば、2次元マトリクス状に配置した電極により、皮膚を通じて感覚器に電流を印加する。かかる電極のうち、刺激したい場所の電極を電流源、その他の電極をグランドとする。
これにより、皮膚内に電流源電極からグランド電極に向う電流経路を形成して感覚神経末端の受容器を刺激する。電極に電流源とグランドのいずれかを接続するかは、例えばスイッチング回路の切り替えにより行う。かかる方法により、指先の皮膚に触覚を提示する。
特許文献2には、額の皮膚に触覚を提示する装置が開示されている。かかる装置は画像を触覚情報に変換して、例えば、目の不自由な使用者が視覚情報を間接的に把握するためのディスプレイとして動作する。
特許第4360497号公報 特許第5057068号公報 特許第3929881号公報
特許文献1に記載の触覚提示装置は、触覚情報の空間解像度に優れたものである。しかしながら、かかる装置は触覚の提示のみ行うため、視覚情報と統合的に提示することができない。また、特許文献2に記載の装置は、視覚情報を触覚情報に変換するものであるため、例えば指先で振れたものの触覚情報と統合して提示することができない。
特許文献3には、皮膚の接した面に、視覚情報を提示する装置が開示されている。かかる装置では、皮膚への電流印加ではなく、電極表面に生じる静電吸引力を利用して皮膚の接するスライダーに摩擦力を生じ、操作者にスライダーを通じて触感を提示する。しかしながら、スライダーが動かなければ触感が提示できない。また、装置の電極の構造が複雑であり大面積化が難しい。
本発明は、皮膚を通じて感覚器に電流を印加する触覚提示装置として機能し、触覚情報と視覚情報を統合的に提示することのできる表示装置を提供することを目的とする。またかかる表示装置のための電極基板及び触覚提示装置を提供することを目的とする。
本発明の触覚提示装置の電極基板は、光透過性の基板層と、前記基板層及び触覚提示を受ける対象の表皮の間に位置する、電極と、前記基板層及び前記表皮の間に位置し、前記電極と電気的に接続可能な配線を備える、配線層と、前記配線及び前記表皮の間に位置する、光透過性の絶縁層と、を備える。
触覚提示する面における、前記電極及び前記表皮の間の抵抗値が3.5MΩ/mmより小さいことが好ましい。複数の前記電極はアレイ状に配列することが好ましい。隣り合う電極列と電極列との間の、電極中心間距離が2.0〜3.0mmであることが好ましい。
前記配線層及び前記電極を、前記基板層の表面に積層してなることが好ましい。前記電極は、前記配線層及び前記表皮の間に位置することが好ましい。前記電極の、前記表皮の側の面が露出していることが好ましい。前記電極の、前記表皮の側の面を被覆する、光透過性の高抵抗層をさらに備えることが好ましい。前記電極及び/又は前記配線は光透過性を有することが好ましい。前記配線は長いものほど、線幅が大きいことが好ましい。
本発明の触覚提示装置は、前記電極基板と、前記配線に電気的に接続可能な電源部と、を備える。前記配線の一線当たりの配線抵抗値は20kΩ以下である。前記電源部は、前記電極基板に300〜350Vの電圧及び4.5〜5.5mAの電流を印加する。
本発明の表示装置は、前記基板層と前記配線層との間に位置する、インデックスマッチング層をさらに備える、前記電極基板と、前記表皮の側に、表示面を有する表示部と、を備える。前記電極基板は、前記表示面と前記表皮との間に位置する。
本発明により、皮膚を通じて感覚器に電流を印加する触覚提示装置として機能し、触覚情報と視覚情報を統合的に提示することのできる表示装置、並びにかかる表示装置のための電極基板及び触覚提示装置を提供することができる。
第1実施形態に係る電極基板の構成を示す模式図である。 第1実施形態に係る電極基板の構成を示す平面図である。 図2AのIIB断面を示す断面図である。 第2実施形態に係る電極基板の構成を示す平面図である。 図3AのIIIB断面を示す断面図である。 第3実施形態に係る電極基板の配線の構成を示す平面図及び正面図である。 第4実施形態に係る表示装置の構成を示す模式図である。 実施例に係る電極基板の配線を示す平面図である。 実施例に係る電極基板の配線を示す部分平面図である。
[第1実施形態]
<電極基板の概要>
図1に示すように、本実施形態の触覚提示装置では、図示した方向より、ヒトの手の指の腹を電極基板10に押しつけて、電極基板上の電極2と接触させる。触覚提示装置は、指の腹と接触した部位の電極2より、指の腹に電流を印加して触覚を提示する。
なお、図1の模式図では、電極基板10が図中の上下方向に拡大して描かれている。例えば、絶縁層3は、電極2と指の腹との接触を阻害するような高さを有するものではない。また指の大きさは電極の間隔に比べ、やや小さめに描かれている。
以下の各実施形態では、触覚提示を受ける対象として、ヒトの手の指の腹を想定する。以下、指の腹を単に指という。実施形態の触覚提示装置若しくはその電極基板、又は表示装置は、指の皮膚の表皮と接するものとする。
図1中、本実施形態の触覚提示装置の電極基板10は、基板層1、電極2、絶縁層3、配線4(配線層)を備える。基板層1は光透過性の材料からなる基板である。基板層1の材料としては、光透過性及び加工性の観点からガラス又は樹脂が好ましい。樹脂としては、PET(Polyethylene terephthalate;ポリエチレンテレフタラート)樹脂、PEN(Polyethylene naphthalate;ポリエチレンナフタレート)、PC(Polycarbonate;ポリカーボネート)、又は透明PI(Polyimide;ポリイミド)等が、好ましい。
本実施形態において、光透過性があるとは、好ましくは70%、より好ましくは80%、特に好ましくは90%の光を、特に図中の電極基板の下方から、上方に透過することを示す。また、さらに図中の電極基板の上方から、下方に光を透過してもよい。
複数の電極2は略同一面上に複数備えられている。略同一面とは、指で触れた場合に連続する面として認識できる程度に、各電極面の図中の上面の高さが揃っていることを示す。複数の電極2の各電極面は同一平面上にあってもよい。
電極2は、光の透過を阻害しないことが好ましい。光の透過を阻害しないとは、例えばその物自体が光透過性を有することをいう。または、その物自体は光透過性を有しなくとも、その物が十分に細い、又は密度が小さいため、周囲の物を透過する光の進路を妨げないものもこれに含む。
電極2は基板層1、及び触覚提示を受ける対象の表皮の間に位置する。触覚提示する面における、電極2及び表皮の間の抵抗値は、好ましくは3.5MΩ/mmより小さく、さらに好ましくは40kΩ/mm以下である。電極2の、表皮側の面は露出していることが特に好ましい。かかる構成とすることで、指に所定の電流を印加することができる。
絶縁層3は光透過性の材料からなる層である。絶縁層3は配線4及び表皮の間に位置し、配線4と表皮の間を絶縁する。ただし、本実施形態では、絶縁層3を含む絶縁部材は、電極2及び表皮の間の少なくとも一部には、位置していない。なお、絶縁層3は150nm程度の厚さしかないため、電極2の厚さと大きく違わない。このため、絶縁層3は表皮が電極2に接触するのを物理的に阻害することがほとんどない。
絶縁層3は、配線4の表皮側の面を被覆することが好ましい。かかる構成により、少なくとも配線4の図中の上方側で配線4と他の部材との間を絶縁できる。さらに後述する図2Aにも示すように絶縁層3が電極2の上面の外周を覆うことが好ましい。かかる構成により電極2と配線4との間も絶縁できる。
なお、ここで絶縁部材とは、例えば、3.5MΩ以上の絶縁抵抗値を有するものをいう。かかる絶縁部材で電極が覆われた場合、350Vの電圧がかかった場合に、電極と表皮との間に流れる電流が0.1mA以下となる。本実施形態で、除外される絶縁部材は特定の材料からなるものではない。このため、上記は一般に絶縁体として知られる材料を必ず除外すべきことを指す旨ではない。
配線4は、基板層1と表皮との間に位置する。配線4は、光の透過を阻害しないことが好ましい。配線4は、上記複数の電極2に接続可能である。少なくとも一部の電極2、及び少なくとも一部の配線4は、一対一で電気的に接続可能である。かかる構成により電極ごとにマルチプレックスに駆動することができる。配線4が集合して配線層を構成する。
以上の構成により、電極基板10は全体として光透過性を有するので、後述する第4実施形態のような、触覚情報と視覚情報を統合的に提示することのできる触覚提示装置(表示装置)に好適に使用することができる。
<電極基板の詳細>
図2Aに詳細に示すように、電極基板10では、複数の電極2が正方形格子のアレイ状に配列する。電極を有する面が、かかる広がりを有し、かつ複数の電極2がマルチプレックスに駆動することにより、電極基板10を備える触覚提示装置はマルチプレックスに触覚を提示することができる。例えば、二本の指が、電極基板の別々の場所に接触したとしても、双方の指に別々の触覚を提示することができる。
電極2は縦方向に複数個、好ましくは8〜9個集まって電極列13を成している。図2Aでは、電極列13が9個の電極2を有する例を示している。図中の上方にある他の電極2は図示を省略している。隣り合う2つ電極列13の間の、電極中心間距離は、好ましくは2.0〜3.0mmであり、特に好ましくは2.0〜2.5mmである。また、電極列13内の各電極2の電極中心間距離は、好ましくは2.0〜3.0mmであり、特に好ましくは2.0〜2.5mmである。電極中心間距離がかかる範囲にあることで、指に対して滑らかな触覚提示が可能となる。
図2Bに示すように、電極基板10は電極2、及び配線4からなる配線層を、基板層1の表面に積層してなる導体層11を備える。電極2は、四角形又は円形等の所定の形状を有するパッドからなることが好ましい。パッド形状とすることによって、表皮との電気的な接続を確実にすることができる。
かかるパッドは、ITO、ZnO、及びAgナノワイヤからなる群から選ばれる一以上の導体材料を有することが好ましい。かかる導体材料を選択することで電極2は、好ましい光透過性を得ることができる。
また、所定の形状としては、面積0.5〜1.5mmの実質的に四角形の形状が好ましい。さらに一辺の長さが0.5〜1.5mmである実質的に四角形の形状が好ましい。また所定の形状としては、一辺の長さが好ましくは0.5〜1.5mm、特に好ましくは1mmである実質的に正方形の形状を選択できる。かかる形状は、ITOを初めとする導体材料で電極2を形成するのに適している。
触覚提示装置に対する皮膚抵抗値は電極2のパッドサイズで調整できる。例えば、パッドサイズ1mmで皮膚抵抗値は50〜60kΩになる。このとき、後述するように5mAの電流を通電する場合、皮膚部分で300V(=60kΩ×5mA)程度電圧降下する。さらに電源電圧350Vとする場合、配線抵抗で許容される電圧降下は50Vとなるため、配線抵抗10kΩ(=50V/5mA)以下にすることが好ましい。後述する標準刺激電流を基準として、パッドサイズ等を設定することが望ましい。
配線4は、電極2との接続端と、その反対側の端部である外部接続端12を備える。かかる配線4は、ITO、ZnO、及びAgナノワイヤからなる群から選ばれる一以上の導体材料を有することが好ましい。かかる導体材料を選択することで配線4は、好ましい光透過性を得ることができる。
配線4のパターンは、図2Aに示すように、電極列13として一列に配線すべき電極2の個数と一対一で対応する配線数、及び配線可能な電極列13の間の幅によって決定できる。図中、電極列13の各電極2に対応する配線数は9本である。また図中の一番下方の電極2の間を通る配線数は8本である。配線4が通るべき電極間の幅は1.0〜2.0mmである。配線幅は0.1mm程度であることが好ましい。また、上記導体材料で配線を形成する場合、配線の厚みは20〜30μmであることが好ましい。
上記導体材料は銅やアルミに比べ抵抗値が大きい。また、複数の電極を備えることから、配線の形状も上記のとおり制限を受ける。かかる配線を形成する場合、配線抵抗値が、指に印加すべき電圧に与える影響を無視できない。このため、配線抵抗値を踏まえて配線形状を適切に設計する必要がある。
電極2との接続端から、外部接続端12までの配線抵抗値は、所定値以下であることが好ましい。かかる所定値は以下のようにして求めることができる。まず、本実施形態の触覚提示装置において標準刺激電流は好ましくは2〜10mAであり、より好ましくは5mA以下である。この値は、指に流れることで受容器を刺激するのに十分な電流として、実験的に求められたものである。パッドサイズ1mmに対して皮膚抵抗値は50〜60kΩである。このため、人間の指の皮膚に電流を通電するには、電圧降下量250〜300(=50〜60kΩ×5mA)Vに相当する電圧印加が必要である。
本実施形態の触覚提示装置において、電極基板10と接続すべき電源部の出力電圧は300〜350V程度であることが好ましい。かかる電圧が皮膚に印加すべき電圧よりも低いと、触覚提示装置は触覚提示を正しくできない場合がある。このため、電源部の出力電圧を指への印加電圧より高めに設定する。本実施の形態では電源部の電圧を350Vとする。
電源部の出力電圧と、指への印加電圧の差は50〜100V程度となる。この差は、先に述べた配線抵抗値を有する配線に起因する電圧の降下を表す。かかる電圧降下は、触覚提示を実現するため許容可能な電圧降下すなわち、配線部許容電圧降下より小さいことが好ましい。配線部許容電圧降下は好ましくは100Vであり、特に好ましくは50Vである。電圧降下は小さいほど、電源部の電圧は小さくすることができる。また、電圧降下が小さいほど、指への印加に必要な電圧を確保することが容易となる。
先に述べたとおり、標準刺激電流は5mAであるから、配線部許容電圧降下の条件を満たすために、配線4の一線当たりの配線抵抗値は20kΩ以下であることが好ましく、10kΩ以下であることが特に好ましい。かかる配線抵抗値を満たすため、上述のとおり、適切な配線形状を選択することができる。配線抵抗値がかかる範囲にあることで、5mAの標準刺激電流を指に印加することができる。
絶縁層3の材料としては、SiO、SiN、又はJSR製「NN901」等が好ましい。かかる材料からなることで、絶縁層3は配線4と表皮との間の絶縁を確保することができる。電極2を介さず、配線4と表皮との間で流れる電流の許容値、すなわち配線−皮膚間許容電流は、0.1mAである。かかる値以上の電流が流れると、適切に触覚提示できない場合がある。上述の電源部電圧350Vより、かかる許容電流を充足するためには、絶縁抵抗値は3.5MΩ以上であることが必要である。
上述のとおり、線幅0.1mmとし、また手の指の腹が電極基板に触れる長さを約10mmとした場合、配線と皮膚との間の短絡する可能性のある領域の面積は、約1mmである。このため、絶縁層3の単位面積当たりの絶縁抵抗値は、3.5MΩ/mm以上であることが好ましい。かかる単位面積当たりの絶縁抵抗値を備えるように、絶縁層3は適切な厚みを有するものとすることができる。
絶縁層3が配線−皮膚間の電流を抑制し、かつ上述のとおり、電極2がアレイ状に配置されることで、電極基板10を有する触覚提示装置は、電極2からの電流刺激のみによって高い解像度の触覚提示を行うことできる。
<電極基板の製造>
図2Bに示すように、ガラスの基板を基板層1とし、ITO膜を積層して、電極2及び配線4を形成する。電極2及び配線4のパターンは上記及び図2Aに示すとおりである。次に、図2Bに示すように、電極2の上面の一部を残してSiOを積層して、絶縁層3を形成する。絶縁層3の形成領域は上記及び図2Aに示すとおりである。本実施形態の製造方法では、電極2及び配線4を有する導体層11を一度に形成できるので、生産効率が向上する。
<触覚提示装置>
本実施形態の触覚提示装置は、電極基板10と、外部接続端12に電気的に接続可能な電源部と、を備える。上述のとおり電源部は、電極基板10に350V以上の電圧を印加する。また、上述のとおり電源部は、5mAの電流を、電極基板を通じて指に印加する。また、上述のとおり、電極2を介さず、配線4と表皮との間で流れる電流は0.1mA以下である。
本実施の形態の触覚提示装置は、まず、使用者の指が触れた場所を特定する。触覚提示装置は、電極の間の抵抗値の変化を検出することで、かかる場所にある電極を特定する。次に、触覚提示装置は、かかる場所を、触覚を提示すべき場所として決定する。
電極2は陽極又はグランドをなす。触覚を提示すべき場所、すなわち指と接触している場所の電極2は陽極をなす。その他の電極はグランドをなす。かかる陽極とグランドの切り替えはスイッチング回路等により実現できる。また、触覚提示装置は、触覚提示を受ける対象者、すなわち使用者と、電極2以外の部位を通じて電気的に接続可能である。
[第2実施形態]
第2実施形態では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同等の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。以下の第3実施形態以降についても同様とする。
図3A及びBに示すように、電極基板20中、配線4からなる配線層の上方には絶縁層3が位置している。絶縁層3の上方にはパッド形状の電極2が位置している。図3Aに示すように電極2のパッド面の中心にはビア導体8が備わっている。ビア導体8を設けることで、電極2を配線4と異なる層に設けることができる。ビア導体8は電極2と絶縁層3とを貫通し、配線4の電極側接続端に接続している。ビア導体8は光透過性のある電極2に比べて十分小さいため、電極基板20全体の光透過性に影響を及ぼさない。このため、ビア導体8をタングステン等の光透過性に乏しい材料で形成することもできる。かかる材料を用いた場合、層間の優れた導通を確保することができる。
絶縁層3の上方には、電極2の上方の表面の一部を残して、レジスト9が位置している。レジスト9は光透過性であり、その材料は絶縁層3と同様でもよい。図3Bに示すように、電極2は、配線4及び表皮の間に位置する。このため、パット形状の電極2の図中の下層に配線4を設置することができる。
このように配線4の設置可能な領域が拡大することで、配線数を増やすことができる。上述のとおり配線4は配線抵抗値による配線幅の制限と、電極列13の列間の幅の制限とを受けているので、配線数に上限がある。第2実施形態ではかかる配線数の上限を引きあげることができる。
電極列13の列間に配置可能な配線数の増加は電極数の増加をもたらす。電極2の間隔は皮膚中の受容器の間隔によって決まるため、電極数を増やすことは、電極基板の大きさを拡大することに貢献する。
[第3実施形態]
図4に示すように、第3実施形態の電極基板は、配線4にかわり、配線34を備えている。配線34は、電極との接続端と、その反対側の端部までの長さが、長いものほど、線幅が大きい。このため、配線34は各々、上記所定の配線抵抗値以下でありながら、電極間の配線スペースを効率的に利用できる。
また、配線幅は配線34の各配線の長さに応じて、各配線の配線抵抗値が同等となるように、選択することができる。各配線の配線抵抗値が同等となることで、各々の電極2より、指に印加する電圧のバラつきを減らすことができる。
[第4実施形態]
<表示装置>
本発明の第4実施形態は上述の電極基板を備える表示装置である。図5に示すように、表示装置40は電極基板41と表示部42とを備える。電極基板41は、基板層1、電極2、絶縁層3、配線4(配線層)、高抵抗層5、インデックスマッチング層6、表示部42を備える。
表示装置40は表示部42で視覚情報としての画像を表示し、同時に、不図示の電源部と接続した電極基板41を通じて触覚情報を提示する触覚提示装置として機能する。すなわち不図示の制御部と組み合わされることで、表示装置40は触覚情報と視覚情報を統合的に提示することのできる統合提示装置として機能する。
制御部は電極基板41で提示すべき触覚情報と、表示部42に表示する視覚情報の対応付けを行う。制御部は表示部42に表示される画像上の位置に合わせて、これと重なっており、かつ指が接している電極基板41上の部位に触覚を提示する命令を、電極基板41と接続する電源部に送る。
表示部42としては、いかなる表示デバイスであってもよい。例えば液晶やAMOLED(Active−matrix organic light−emitting diode;アクティブマトリクス式有機発光ダイオード)等の表示デバイスを使用することができる。
表示部42は表示面14及び表示基板7を備える。表示部42は基板層1の下方に位置する。表示面14は表示部42の表皮側の表面に位置する。このため、基板層1は表示面14のカバーパネルとしても機能することができる。かかる構成により、電極基板41と表示部42とを一体的に形成し、表示装置40とすることができる。基板層1の構成材料を上述のPET等の樹脂とし、表示部42として例えばAMOLED等を備えることで、表示装置40は、柔軟性を有し、任意の形状に折り曲げられるものとなる。
高抵抗層5は、電極2の表皮側の面を被覆する。高抵抗層5は光透過性であり、その材料は絶縁層3と同様でもよい。高抵抗層5が光透過性を有することで、表示装置40の表示部に表示される画像の視認性が向上する。
高抵抗層5は電極2が剥き出しの状態にならないようにする。このため、高抵抗層5は電極2と表皮との間の短絡を抑制する。高抵抗層5は絶縁層3と接することで、かかる短絡をさらに抑制する。これにより表示装置40の安全性をより高めることができる。
高抵抗層5の単位面積当たりの抵抗値は5〜40kΩ/mmであることが好ましい。高抵抗層5がかかる抵抗値を有することで、表示装置40と接触した指の皮膚内の痛点への電流集中を緩和できる。また、電源部の出力電圧の大幅な増加を伴うことなく、標準刺激電流の5mAを確保することができる。このため、使用者が使用中に痛みを感じる場合を減らすことができる。
インデックスマッチング層6は、基板層1と配線4及び電極との間に、位置する。インデックスマッチング層6は、その上方にある各層の構成の反射率に特異的な構造を有することで、それら反射率の違いを吸収する。すなわち、インデックスマッチング層6は、絶縁層3のみ積層している部位、電極2及び高抵抗層5が積層している部位、配線4及び絶縁層3が積層している部位、等の反射率の違いを吸収する。
これにより、インデックスマッチング層6は、電極基板41全体が一様な反射率を有するようにする。かかる構成により、表示部42に表示される画像が、電極基板41の各部材によって、見えにくくなることが防止される。
<表示装置の使用>
表示装置40を使用する使用者は表示部42された内容を視覚的に認識しつつ、表示された内容に対応する、触覚情報を受け取ることができる。例えば、表示部42に衣服の画像を内容とする視覚情報を表示する。そして表示面14上に表示された衣服の部位ごとに対応した触感を、電極基板41上に触覚情報として提示する。これにより、使用者は視覚情報だけでは得られなかった、衣服の材質感やさわり心地といった触覚情報を、視覚情報に対応付けた形で同時に得ることができる。
[各実施形態の変形]
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、第4実施形態で、電極基板に設けたインデックスマッチング層、高抵抗層は第1〜3の実施形態の電極基板にも同様に設けることができる。また、第4実施形態で、電極基板に設けたインデックスマッチング層、高抵抗層は省略することもできる。
本実施形態中、電極基板の電極は正方形格子のアレイ状に配列したが、正三角形格子や正六角形格子のアレイ状に配列してもよく、また同心円上に等間隔に配置してもよい。またアレイの縦及び横の方向を、電極基板の縦及び横の方向と一致させたが、かかる方向には任意の角度を与えてもよい。例えば正方形格子を45度回転させて、ひし形の格子状のアレイとしてもよい。
本実施形態では手の指の腹に触覚提示する場合を示したが、手のひらやその他の体の部分であってもよく。また、感覚神経のある場所であれば特に用途は制限されないため、皮膚の無い鼻腔や口腔内の表面であってもよい。また、本実施形態では対象をヒトとしたが、皮膚が露出していれば動物であってもよい。手の指の腹以外の部位を対象とする場合、かかる部位で触覚・圧覚等を担う受容器が皮膚内等で並んでいる間隔に応じて、電極中心間距離を適宜設定できる。
また、本実施形態では、電極基板を、視覚情報の表示装置と組み合わせて表示装置とした。これに対し、実施形態の変形では、視覚情報を提示できるものであれば、例えば印刷物であってもよい。例えば印刷物の上に電極基板を載置することで、使用者は印刷された内容を視覚的に認識しつつ、印刷された内容に対応する、触覚情報を受け取ることができる。例えば、木目の写真を内容とする印刷物であれば、かかる木目の触感を対応する触覚情報として提示することがきる。
かかる場合は電極基板を備える触覚提示装置に、印刷物の内容を入力する入力部を備えることが好ましい。かかる構成により使用者が見ようとする印刷物の内容に適した触覚情報を提示することができる。
本実施形態では抵抗変化によって、使用者の指の接触した場所を特定し、かかる場所を、触覚を提示すべき場所として決定する。実施の形態の変形として、電極基板への使用者の指の接触による、電極の間の静電容量の変化によって、指の触れた場所を特定し、触覚を提示すべき場所として決定してもよい。かかる場合には、電極が上述の高抵抗層によって覆われていることが好ましい。
以下、第1実施形態にかかる導体層を中心に実施例を説明する。図6中、電極基板の備える導体層21は、ガラス基板上にITOをパターニングして作製した。導体層21は、図中の横方向に並ぶ8個の電極2からなる左右の電極列13を有するものとした。電極2の形状は1mm四方の正方形のパッド状とした。電極2の間隔は電極中心間距離が3.0mmとなるようにした。
左右の電極列13は図中の縦方向に32列並ぶことで、左右の電極アレイ23を成すものとした。電極列13の間隔は電極中心間距離が3.0mmとなるようにした。左右の電極アレイ23が組み合わさり、導体層21の電極層を成すものとした。
各々の配線4は対応する各々の電極2と接続し、電極列13の間を通るように、左右の外部接続端12まで延ばした。外部接続端12は外部接続端子22と接続した。外部接続端子22は不図示の電源部と電気的に接続した。
図7は図6の左側の電極アレイ23を拡大したものである。外部接続端子22は十分な接続面積を確保するため、配線4の配線幅よりも大きい幅を有するものとした。このため、外部接続端12近傍で配線4は折れ曲がるものとした。
以上、本発明は、上記実施形態又は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
1 基板層 2 電極
3 絶縁層 4 配線
5 高抵抗層 6 インデックスマッチング層
7 表示基板 8 ビア導体
9 レジスト 10 電極基板
11 導体層 12 外部接続端
13 電極列 14 表示面
20 電極基板 21 導体層
22 外部接続端子 23 電極アレイ
34 配線 40 表示装置
41 電極基板 42 表示部

Claims (10)

  1. 光透過性の基板層と、
    前記基板層及び触覚提示を受ける対象の表皮の間に位置する、電極と、
    前記基板層及び前記表皮の間に位置し、前記電極と電気的に接続可能な配線を備える、配線層と、
    前記配線及び前記表皮の間に位置する、光透過性の絶縁層と、
    を備える触覚提示装置の電極基板。
  2. 触覚提示する面における、前記電極及び前記表皮の間の抵抗値が3.5MΩ/mmより小さく、
    複数の前記電極はアレイ状に配列し、
    隣り合う電極列と電極列との間の、電極中心間距離が2.0〜3.0mmである、
    請求項1に記載の電極基板。
  3. 前記配線層及び前記電極を、前記基板層の表面に積層してなる、請求項1又は2に記載の電極基板。
  4. 前記電極は、前記配線層及び前記表皮の間に位置する、請求項1又は2に記載の電極基板。
  5. 前記電極の、前記表皮の側の面が露出している、請求項1〜4のいずれかに記載の電極基板。
  6. 前記電極の、前記表皮の側の面を被覆する、光透過性の高抵抗層をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の電極基板。
  7. 前記電極及び/又は前記配線は光透過性を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の電極基板。
  8. 前記配線は長いものほど、線幅が大きい、請求項1〜7のいずれかに記載の電極基板。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の電極基板と、
    前記配線に電気的に接続可能な電源部と、を備え、
    前記配線の一線当たりの配線抵抗値は20kΩ以下であり、
    前記電源部は、前記電極基板に300〜350Vの電圧及び2〜10mAの電流を印加する、
    触覚提示装置。
  10. 前記基板層と前記配線層との間に位置する、インデックスマッチング層をさらに備える、請求項1〜8のいずれかに記載の電極基板と、
    前記表皮の側に、表示面を有する表示部と、を備え、
    前記電極基板は、前記表示面と前記表皮との間に位置する、
    表示装置。
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