JP2014105324A - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料と、水と、剪断減粘性付与剤と、N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体と、炭素数4以上のグリコールを主骨格とするグリコールエーテルを含有するボールペン用水性インキ組成物。前記ボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
【選択図】なし
Description
しかしながら、前記剪断減粘性を有する水性インキでは、特に着色剤として顔料を用いた際に座摩耗を生じ易くなったり、経時によって顔料の凝集を生じることがあった。
しかし、前記共重合体を配合したインキは水性媒体への溶解性が高いため、形成された筆跡の耐水性に乏しいものであった。
更に、前記グリコールエーテルの沸点が170℃以上であることを要件とする。
更には、前記いずれかのボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペンを要件とする。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、更には熱変色性組成物、光変色性組成物、香料等を直接又はマイクロカプセル化したカプセル顔料等を例示できる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔHB=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができ、酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記共重合体に用いられるN−ビニルピロリドン誘導体として、具体的には、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−5−エチルピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチルピロリドン、N−ビニル−5,5−ジエチルピロリドン、N−ビニル−5−メチル−5−エチルピロリドン等が挙げられる。
前記アルケン化合物としては、炭素数2〜6の化合物が挙げられ、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン等を例示できる。
前記共重合体の分子量は特に限定されるものではないが、好ましくは1000〜10000の分子量を有するものが用いられる。また、前記共重合体は、インキ中に複数種類を併用して添加することもできる。
前記共重合体を添加することで、剪断減粘性インキ中で顔料が凝集することを長期に亘って抑制できるとともに、長距離筆記に伴う座摩耗の発生を防止できるものとなる。更に、紙面へのインキ固着性を向上させることもできる。
炭素数4以上のグリコールを主骨格とするグリコールエーテルは、下記に示す従来汎用の水溶性有機溶剤とは異なり、前記共重合体を溶解することがないため、インキ中においても相互に不溶状態で存在し、筆記時に被膜効果を発現する。そのため、筆跡に水が付着した場合には、筆跡の水溶性部分(共重合体)を保護することで耐水性を付与すると推測される。
主骨格となるグリコールとしては、炭素数4以上のものが用いられるが、水性媒体中において不溶状態で長期的に安定して存在する点から炭素数8以上のものが特に好ましい。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
アスコルビン酸類、エリソルビン酸類、α−トコフェロール、カテキン類、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、α−リポ酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、亜硫酸塩、スルホキシル酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、二酸化チオ尿素等を添加して化学的に気泡を除去することもできる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来から汎用のものが適用でき、例えば、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する構造や、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する構造が例示できる。更に、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用のインキ逆流防止体が密接している構造のボールペンが例示できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等が適用でき、直径0.1mm〜2.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
出没機構の操作方法としては、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、軸筒後端部や軸筒側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、軸筒後部に回転部を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成、或いは、軸筒に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペン(レフィル交換式)であってもよい。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。また、顔料の粒子径はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定してその数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出した値である。
(1)山陽色素(株)製、商品名:サンダイスーパーブラックC、顔料分30%
(2)カーボンブラック10部、N−ビニルピロリドンと1−ブテンの共重合体10部、水80部をボールミルで1時間攪拌混合した分散液
(3)山陽色素(株)製、商品名:サンダイスーパーレッドBS、顔料分32%
(4)(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物/壁膜=2.6/1.0、黒色から無色に色変化する)
(5)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(6)アーチ・ケミカルズ・ジャパン社製、商品名:プロキセルXL−2
(7)三晶(株)製、商品名:レオザン
(8)花王(株)製、商品名:TW−S106SV
(9)和光純薬(株)製、商品名:ハイビスワコー105
(10)商品名:エコーガムRD
(11)N−ビニルピロリドンと1−ブテンの共重合体
(12)N−ビニルピロリドンと1−ペンテンの共重合体
(13)炭素数4のグリコールを主骨格とするエーテル、沸点:188.9℃
(14)炭素数6のグリコールを主骨格とするエーテル、沸点:271.2℃
(15)炭素数8のグリコールを主骨格とするエーテル、沸点:275.0℃
(16)炭素数4以上のグリコールを主骨格とするエーテル、沸点:264〜294℃
(17)炭素数2のグリコールを主骨格とするエーテル、沸点:124.5℃
水に増粘剤以外の成分を添加し、混合攪拌した後に増粘剤を添加して、20℃でディスパーにて6000rpmで1時間攪拌し、濾過することで各インキを調製した。
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例及び比較例のインキ組成物を直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒(キャップ式)に組み込み、試料ボールペンを作製した。
前記試料ボールペンを用いて以下の試験を行った。
各試料ボールペンを用いて、室温にて旧JIS P3201筆記用紙Aに手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した。その後、前記筆記用紙を蒸留水中に1時間浸漬し、取り出して乾燥させた際の筆跡の状態を目視により確認した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
耐水性試験
○:初期の筆跡から変化なし。
×:筆跡に滲みが見られる。
Claims (3)
- 顔料と、水と、剪断減粘性付与剤と、N−ビニルピロリドン或いはその誘導体とアルケン化合物の共重合体と、炭素数4以上のグリコールを主骨格とするグリコールエーテルを含有するボールペン用水性インキ組成物。
- 前記グリコールエーテルの沸点が170℃以上である請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
- 前記請求項1又は2に記載のボールペン用水性インキ組成物を内蔵したボールペン。
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