JP2014105203A - イネ用低温雄性不稔抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】穂ばらみ期の低温によって誘発されるイネの雄性不稔を抑制するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】穂ばらみ期の低温時にジベレリンと、イネが利用可能な炭素源であるショ糖とを、同時にイネに適用することによって、イネの雄性不稔を効果的に抑制できる。
【選択図】なし
【解決手段】穂ばらみ期の低温時にジベレリンと、イネが利用可能な炭素源であるショ糖とを、同時にイネに適用することによって、イネの雄性不稔を効果的に抑制できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、イネ用低温雄性不稔抑制剤およびイネの低温雄性不稔を抑制する方法に関する。
元来、亜熱帯から熱帯地域を起源とするイネは、明治以来の品種改良によって東北地方や北海道などの冷涼地でも栽培できるようになり、現在ではこれらの冷涼地が日本におけるイネの主要栽培地域となっている。しかし、これらの地域では度々夏の異常低温によって冷害を受け、イネの収量が著しく低下するという問題が発生している。特に東北地方では、約10年に一度の低温偏東風「やませ」の影響により、度重なる冷害に見舞われている。
イネの冷害は、播種してから収穫するまでの様々な生育段階で遭遇する低温によって受ける障害から起こる。イネの冷害は、栄養生長期に遭遇する低温によって生育が遅れる遅延型冷害と、穂ばらみ期をはじめとする生殖生長期に低温によって花器が障害を受ける障害型冷害の2つに大別される。また、これら2つの混合型冷害も甚大な被害を及ぼし得る。
特に、障害型冷害は、穎花形成数の減少、不稔花粉の発生、開花障害などを引き起こすために、受粉・受精が妨げられ不稔籾が多発し、著しい収量低下の原因となっており大変深刻な問題である。中でも、穂ばらみ期(減数分裂期)に20℃に満たない低温に数日間曝されると、花粉形成時およびその後の花粉の発達のために栄養分を供給するタペート細胞(葯壁)が異常に肥大し、花粉数の低下や花粉成熟の不良となり、著しい不稔を生じる。また、幼穂形成期から穂ばらみ期までの期間(前歴期と称される)の低温は、穂ばらみ期に受ける低温障害をより著しいものにする。こうした不稔は、花粉稔性がなくなることから、雄性不稔に分類される。
障害型冷害の対策として、従来から耐冷性品種の交雑育種が行われている。最近では、DNAマーカーや量的遺伝形質座(Quantitative Trait Locus, QTL)解析を駆使した育種(例えば、非特許文献1)のほか、遺伝子工学を利用した育種による耐冷性品種の開発(例えば、特許文献1および2)が行われている。その他にも、深水管理によるイネ植物体の保温、栽植様式や施肥法の改善によるイネの活力向上などによって冷害の被害を軽減させる様々な試みが行われている(例えば、非特許文献2および3)。
また、特許文献3および4に記載されるように、イネ体への薬液の散布によってイネの冷害を防止または軽減する手段も提案されている。しかし、こうした技術によって達成される効果は、無処理の対照と比べて、粒数や平均稔実率などの収量指標において、2倍に満たない増加に留まっている(特許文献3および4)。さらに、特許文献3および4の実施例で使用された品種の耐冷性はいずれも「やや強」〜「中」である。ひとめぼれに代表される「極強」の品種やササニシキに代表される「やや弱」の品種にも適用でき、さらなる低温障害防止効果をもたらす技術開発がさらに求められていると言え、またそうした技術は将来おこりうる異常気象、未曾有の冷夏への備えとして有用と言える。
ジベレリンは、ent−ジベレラン骨格を有する四環性ジテルペンの一種である植物ホルモンとして知られる。ジベレリンは、当初、1920年代に日本人植物病理学者によってイネ馬鹿苗病菌(Gibberella fujikuroi)の培養液から、イネ苗に徒長を誘起する物質として発見された。その後の研究によって、ジベレリンは広く植物によって生成され、生長の制御と分化プロセスにおいて非常に重要であることが示されている。ジベレリンの主な生理作用としては、茎の伸長成長、種子の発芽促進、果実肥大、単為結実の誘起などがあり、実用面においても種無しブドウの生産などによく用いられている(概説について非特許文献4〜6を参照)。
黒木慎.北海道農研研報,195,23-55(2011).
古原洋.北海道米麦改良,第53号,1-4(2009).
後藤英次.北海道米麦改良,第72号,1-8(2011).
Olszewski et al., The Plant Cell, Supplement, S61-S80 (2002).
Mutasa-Goettgens and Hedden, J. Exp. Bot., Vol. 60, p. 1979-1989 (2009).
Weitbrecht et al., J. Exp. Bot., Vol. 62, p. 3289-3309 (2011).
本発明は、穂ばらみ期の低温によって誘発されるイネの雄性不稔を抑制するための組成物および方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、穂ばらみ期の低温時にジベレリンと、イネが利用可能な炭素源であるショ糖とを、同時にイネに適用することによって、イネの雄性不稔を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]ジベレリンと炭素源を含有する、イネ用低温雄性不稔抑制剤。
[2]幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用するための、[1]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[3]田面水添加用の、[1]または[2]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[4]炭素源が糖類である、[1]〜[3]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤。
[5]糖類が二糖である、[4]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[6]二糖がショ糖である、[5]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[7]ジベレリンがジベレリンA3である、[1]〜[6]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤。
[8]イネが穂ばらみ期低温感受性イネ品種である、[1]〜[7]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤。
[9]穂ばらみ期低温感受性イネ品種がササニシキである、[8]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤をイネに適用することを特徴とする、イネの低温雄性不稔を抑制する方法。
[11]低温雄性不稔抑制剤を幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用する、[10]に記載の方法。
[12]低温雄性不稔抑制剤を田面水に投与する、[10]または[11]に記載の方法。
[1]ジベレリンと炭素源を含有する、イネ用低温雄性不稔抑制剤。
[2]幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用するための、[1]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[3]田面水添加用の、[1]または[2]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[4]炭素源が糖類である、[1]〜[3]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤。
[5]糖類が二糖である、[4]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[6]二糖がショ糖である、[5]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[7]ジベレリンがジベレリンA3である、[1]〜[6]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤。
[8]イネが穂ばらみ期低温感受性イネ品種である、[1]〜[7]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤。
[9]穂ばらみ期低温感受性イネ品種がササニシキである、[8]に記載の低温雄性不稔抑制剤。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の低温雄性不稔抑制剤をイネに適用することを特徴とする、イネの低温雄性不稔を抑制する方法。
[11]低温雄性不稔抑制剤を幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用する、[10]に記載の方法。
[12]低温雄性不稔抑制剤を田面水に投与する、[10]または[11]に記載の方法。
本発明により、穂ばらみ期の低温によって誘発されるイネの雄性不稔を効果的に抑制することができ、イネ収量低下を防止することができる。本発明は、特に、穂ばらみ期低温感受性イネ品種において顕著な効果をもたらす。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明の低温雄性不稔抑制剤
本発明の低温雄性不稔抑制剤は、ジベレリンと炭素源を含有する。
本明細書において「ジベレリン」とは、ent−ジベレラン骨格を有する化合物を指し、炭素数19または20のジテルペンである。ジベレリンは、発見順にジベレリンA1(GA1)、ジベレリンA2(GA2)等と命名され、現在100種類以上が知られている。本発明で使用するジベレリンは、本発明の低温雄性不稔抑制剤として使用した際にイネに対して低温雄性不稔を抑制する効果を奏する限り、任意のジベレリン化合物であってよい。公知のジベレリンの誘導体や塩などであってもよい。本発明で使用される好ましいジベレリンは、活性型ジベレリンとして知られるジベレリンA1、ジベレリンA3、ジベレリンA4またはジベレリンA7であり、ジベレリンA3が特に好ましい。しかし、不活性型とされているジベレリンであっても植物体内で活性型に変換されて活性を有する限り、本発明で用いることができる。
本発明の低温雄性不稔抑制剤は、ジベレリンと炭素源を含有する。
本明細書において「ジベレリン」とは、ent−ジベレラン骨格を有する化合物を指し、炭素数19または20のジテルペンである。ジベレリンは、発見順にジベレリンA1(GA1)、ジベレリンA2(GA2)等と命名され、現在100種類以上が知られている。本発明で使用するジベレリンは、本発明の低温雄性不稔抑制剤として使用した際にイネに対して低温雄性不稔を抑制する効果を奏する限り、任意のジベレリン化合物であってよい。公知のジベレリンの誘導体や塩などであってもよい。本発明で使用される好ましいジベレリンは、活性型ジベレリンとして知られるジベレリンA1、ジベレリンA3、ジベレリンA4またはジベレリンA7であり、ジベレリンA3が特に好ましい。しかし、不活性型とされているジベレリンであっても植物体内で活性型に変換されて活性を有する限り、本発明で用いることができる。
本明細書において「炭素源」は、イネがエネルギー源として利用できる物質であれば特に限定しない。炭素源としては、例えば、糖類、糖アルコール類、有機酸およびその塩などがある。糖類としては、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノースなどの単糖、ショ糖(スクロース)、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオースなどの二糖、およびフラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などのオリゴ糖などが挙げられる。糖アルコール類としては、例えばグリセロール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、マルチトールが挙げられる。有機酸としては、例えばフマル酸、クエン酸、ピルビン酸が挙げられる。本発明では、炭素源としては、糖類が好ましく、二糖がより好ましく、特にショ糖が最も好ましい。
本発明の低温雄性不稔抑制剤において(ジベレリン)/(炭素源)の重量比は、好ましくは0.00001〜1、より好ましくは0.0001〜0.1、さらにより好ましくは0.001〜0.01の範囲である。
本発明の低温雄性不稔抑制剤は、上記ジベレリンと炭素源のみを含有するものでもかまわないが、担体をさらに含有してもよい。また、必要に応じて界面活性剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、消泡剤、着色剤などの製剤用補助剤を含有してもよい。本発明の低温雄性不稔抑制剤は、液剤、水溶剤、粉剤、粒剤、乳剤、水和剤、顆粒水和剤などの剤型に、一般的に知られた方法によって適宜製剤化して用いることができる。
本発明で用いられる担体は、本発明の低温雄性不稔抑制剤の有効成分であるジベレリンおよび炭素源を保持し薬効を効率よく引き出して、貯蔵、輸送、取扱いを容易にするために配合される合成または天然の無機または有機物質であり、通常農園芸用薬剤に使用されるものであれば固体または液体のいずれも使用できる。例えば、固体担体としては、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト、珪藻土、白土、タルク、クレー、バーミキュライト、石膏、炭酸カルシウム、非晶質シリカ、硫安、尿素などが挙げられる。液体担体としては、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素類およびナフテン類、n−パラフィン、iso−パラフィン、流動パラフィン、ケロシン、鉱油などのパラフィン系炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒ならびに水などが挙げられる。
さらに、製剤の剤型、投与方法などを考慮して目的に応じてそれぞれ単独に、または組み合わせて次のような補助剤を使用することもできる。通常農園芸用薬剤に乳化、分散、拡展、湿潤などの目的で使用される界面活性剤、例えば、以下に限定されるものではないが、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびフッ素系界面活性剤などの非イオン性界面活性剤;アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールイミン、アルキルホスフェートなどのアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルポリオキシエチレンアルキルアンモニウムクロライド、アルキルN−メチルピリジニウムブロマイド、モノメチル化アンモニウムクロライドなどのカチオン性界面活性剤;ジアルキルジアミノエチルベタイン、アルキルジメチルベンジルベタインなどの両性界面活性剤;などを用いることができる。
結合剤としては、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、CMCナトリウム、ベントナイトなどが挙げられる。崩壊剤としては、CMCナトリウム、クロスカルメロースナトリウムなど、安定剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤やベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の紫外線吸収剤などが挙げられる。pH調整剤としては、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウムなどが用いられ、防腐剤としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンなどの殺菌剤、防カビ剤または抗菌剤などが添加される。増粘剤としては、キサンタンガム、グアーガム、CMCナトリウム、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、モンモリロナイトなどが使用される。消泡剤としてシリコーン系化合物などを必要に応じて使用してもよい。しかし、これらの成分は以上に例示したものに限定されるものではない。
2.本発明の低温雄性不稔抑制剤の使用方法
イネの生育段階における穂ばらみ期(減数分裂期)に低温に遭遇すると、花粉の形成が阻害され、受精することができず、不稔を生じる。また前歴期、すなわち幼穂形成期から穂ばらみ期までの低温は、穂ばらみ期に受ける低温障害をより著しいものにする。本発明で「低温」とは、日平均気温が20℃未満、特に0℃を超えて20℃未満、好ましくは12℃以上19℃以下となる気温条件を意味するものとする。穂ばらみ期の低温による花粉形成不全に起因する不稔を本明細書では「低温雄性不稔」という。この低温雄性不稔を抑制するため、本発明の低温雄性不稔抑制剤は、「穂ばらみ期(減数分裂期)」のイネに適用することが好ましい。本明細書で「穂ばらみ期のイネに適用する」とは、穂ばらみ期のイネに対して薬効を発揮するように低温雄性不稔抑制剤をイネに投与することをいう。品種、栽培条件などによって異なるが、「穂ばらみ期」は出穂より約16日前から約10日前の花粉の形成および発達が起こる時期である。穂ばらみ期において、幼穂長は、典型的には約8cmである。日本の一期作では、穂ばらみ期は7月中旬から8月初旬に当たることが多い。穂ばらみ期に適用するためには、イネに本発明の低温雄性不稔抑制剤を穂ばらみ期当日に投与することができる。また、本発明の低温雄性不稔抑制剤の効果は、1日間〜7日間または14日間程度持続させることができる。このため、穂ばらみ期であることが予想される時期の初日の例えば前日、2日前、3日前、7日前または10日前に投与することもできる。但し、穂ばらみ期の約10日前〜約14日前は、幼穂の分化および形成が起こり一穂籾数(穎花数)が決定する時期(幼穂形成期:出穂より約25日前の幼穂長約1mm〜約2mmの時期)に当たることが多く、本発明の低温雄性不稔抑制剤は、一穂籾数に影響を及ぼすため、この幼穂形成期には適用しないことが望ましい。従って、本発明の低温雄性不稔抑制剤は、幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用するために好適である。幼穂形成期経過後(幼穂長約8mm〜約15mm以降)に1回又は複数回投与して、本発明の低温雄性不稔抑制剤の効果が穂ばらみ期まで持続するようにすることが好ましい。本発明の低温雄性不稔抑制剤は、前歴期に低温が生じた際、または気象予報等で前歴期が低温になることが予測された際に、幼穂形成期経過後、穂ばらみ期の前に投与することも好ましい。その場合、障害型冷害を予防するため、深水管理を並行して行うことも好ましい。深水管理は、典型的には前歴期から行うが、これに限定するものではない。
イネの生育段階における穂ばらみ期(減数分裂期)に低温に遭遇すると、花粉の形成が阻害され、受精することができず、不稔を生じる。また前歴期、すなわち幼穂形成期から穂ばらみ期までの低温は、穂ばらみ期に受ける低温障害をより著しいものにする。本発明で「低温」とは、日平均気温が20℃未満、特に0℃を超えて20℃未満、好ましくは12℃以上19℃以下となる気温条件を意味するものとする。穂ばらみ期の低温による花粉形成不全に起因する不稔を本明細書では「低温雄性不稔」という。この低温雄性不稔を抑制するため、本発明の低温雄性不稔抑制剤は、「穂ばらみ期(減数分裂期)」のイネに適用することが好ましい。本明細書で「穂ばらみ期のイネに適用する」とは、穂ばらみ期のイネに対して薬効を発揮するように低温雄性不稔抑制剤をイネに投与することをいう。品種、栽培条件などによって異なるが、「穂ばらみ期」は出穂より約16日前から約10日前の花粉の形成および発達が起こる時期である。穂ばらみ期において、幼穂長は、典型的には約8cmである。日本の一期作では、穂ばらみ期は7月中旬から8月初旬に当たることが多い。穂ばらみ期に適用するためには、イネに本発明の低温雄性不稔抑制剤を穂ばらみ期当日に投与することができる。また、本発明の低温雄性不稔抑制剤の効果は、1日間〜7日間または14日間程度持続させることができる。このため、穂ばらみ期であることが予想される時期の初日の例えば前日、2日前、3日前、7日前または10日前に投与することもできる。但し、穂ばらみ期の約10日前〜約14日前は、幼穂の分化および形成が起こり一穂籾数(穎花数)が決定する時期(幼穂形成期:出穂より約25日前の幼穂長約1mm〜約2mmの時期)に当たることが多く、本発明の低温雄性不稔抑制剤は、一穂籾数に影響を及ぼすため、この幼穂形成期には適用しないことが望ましい。従って、本発明の低温雄性不稔抑制剤は、幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用するために好適である。幼穂形成期経過後(幼穂長約8mm〜約15mm以降)に1回又は複数回投与して、本発明の低温雄性不稔抑制剤の効果が穂ばらみ期まで持続するようにすることが好ましい。本発明の低温雄性不稔抑制剤は、前歴期に低温が生じた際、または気象予報等で前歴期が低温になることが予測された際に、幼穂形成期経過後、穂ばらみ期の前に投与することも好ましい。その場合、障害型冷害を予防するため、深水管理を並行して行うことも好ましい。深水管理は、典型的には前歴期から行うが、これに限定するものではない。
元来、亜熱帯から熱帯地域を起源とするイネ(Oryza sativa L.)は、基本的に低温に対して感受性の植物である。本発明の低温雄性不稔抑制剤は、イネに用いたときに低温雄性不稔の発生を効果的に低減することができる。本発明の低温雄性不稔抑制剤は、穂ばらみ期低温感受性イネ品種に用いることが好ましい。本明細書において「穂ばらみ期低温感受性イネ品種」とは、穂ばらみ期における低温によって雄性不稔が生じ、大きく収量が低下しやすいイネ品種をいう。穂ばらみ期低温感受性イネ品種の例としては、一般に耐冷性(障害型耐冷性)「やや弱」、「弱」または「極弱」とされているイネ品種、例えば、ササニシキ、トヨニシキ、ササシグレ、ササミノリ、ハツニシキ、豊光などが挙げられるがこれらに限定されない。本発明においては、穂ばらみ期低温感受性イネ品種ササニシキが最も好適である。本発明の低温雄性不稔抑制剤は、一般に耐冷性(障害型耐冷性)「極強」、「強」、「やや強」または「中」とされているイネ品種、例えばコシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、つや姫、きらら397、巴まさり、農林20号、はやゆき、はやこがね、みちこがね、キタヒカリ、アキヒカリなどに用いてもよい。本発明において「耐冷性」とは、穂ばらみ期をはじめとする幼穂発育期の低温により引き起こされる不稔を少なくするか、または不稔とならないイネの能力を言う。上記イネ品種以外の、各耐冷性レベルを有するイネ品種の情報は、公衆に利用可能となっている農業生物資源ジーンバンクのホームページ(http://www.gene.affrc.go.jp/index_j.php)から入手することができる。これらのイネ品種は、例えば独立行政法人農業生物資源研究所 ジーンバンク(日本)から入手することができる。
本発明の低温雄性不稔抑制剤は、イネが生育する栽培媒体、例えば土壌または水に対して投与することが好ましい。植物(例えば葉、茎、穂など)に直接散布することは望ましくない。例えば、圃場の田面水への添加(田面水への滴下、散布、水口処理など)、水耕栽培の水耕液への添加、土壌表面への散布、土壌中への注入などの投与方法を用いることができるが、田面水への投与が特に好ましい。また、剤型や濃度に応じて適切な投与方法を用いることが好ましい。本発明の低温雄性不稔抑制剤の剤型が液剤、水溶剤、水和剤および顆粒水和剤の場合は、本発明の薬剤の適切な希釈水溶液を田面水または土壌に散布することができる。あるいは、薬剤を水で希釈することなく畦畔から容器を振ることにより田面水または土壌に滴下散布してもよく、スプレー装置を用いて畦畔から田面水または土壌に散布してもよい。また、流入水の流れにのせて圃場に水口処理してもよい。本発明の低温雄性不稔抑制剤の剤型が粉剤および粒剤の場合は、田面水または土壌に直接散布することができる。このように本発明の低温雄性不稔抑制剤を土壌に投与することによって、イネの根から有効成分であるジベレリンおよび炭素源が吸収されるが、例えば田面水へ投与する場合は、葉や茎などからも吸収されてもよい。従来、幼穂形成期から穂ばらみ期の冷害対策として、深水管理法が知られている。これは、圃場に3cm〜15cm程度、例えば5cmの深水を保つことによって、イネ体を低温から保護する方法である。本発明の低温雄性不稔抑制剤を田面水へ添加する実施形態では、深水とすることによってイネを低温から保護することもできるためにより一層好ましい。また、この実施形態では、一度田面水へ添加すれば、7日間または14日間そのまま田面水を保持することで、持続的に本発明の薬剤をイネに適用することができるため、手間がかからず好ましい。従って、本発明の低温雄性不稔抑制剤は田面水添加用であることが好適である。
本発明によりイネの低温雄性不稔を抑制するためには、例えば本発明の低温雄性不稔抑制剤を田面水へ添加する場合、田面水中のジベレリン濃度0.00001g/L〜0.1g/Lおよび炭素源濃度0.01g/L〜10g/L、より好ましくは田面水中のジベレリン濃度0.0001g/L〜0.05g/Lおよび炭素源濃度0.1g/L〜2g/Lとなるように投与するのが好ましい。投与量は、剤型や投与方法に応じて適宜変更することができる。
3.本発明の低温雄性不稔抑制剤の効果
イネは夏作物であり、日本の一期作の場合、通常は4月〜5月頃に種まき(播種)を行い、晩夏〜秋に収穫する。発芽後のイネは、幼苗期、分げつ期、幼穂形成期、穂ばらみ期(減数分裂期)、出穂期、開花期、登熟期などの各生育時期を経て結実する。元来は熱帯性作物であるイネは、基本的に低温感受性である。イネは生育中に低温に遭遇することにより様々な障害を生じ、収穫量が大幅に減少する。特に、穂ばらみ期は最も低温に感受性であり、19℃以下の気温条件に遭遇すると花粉形成不全となり、不稔を生じる場合が多い(低温雄性不稔)。
イネは夏作物であり、日本の一期作の場合、通常は4月〜5月頃に種まき(播種)を行い、晩夏〜秋に収穫する。発芽後のイネは、幼苗期、分げつ期、幼穂形成期、穂ばらみ期(減数分裂期)、出穂期、開花期、登熟期などの各生育時期を経て結実する。元来は熱帯性作物であるイネは、基本的に低温感受性である。イネは生育中に低温に遭遇することにより様々な障害を生じ、収穫量が大幅に減少する。特に、穂ばらみ期は最も低温に感受性であり、19℃以下の気温条件に遭遇すると花粉形成不全となり、不稔を生じる場合が多い(低温雄性不稔)。
本発明の低温雄性不稔抑制剤は、イネの穂ばらみ期の低温によって誘発される雄性不稔を抑制することができる。イネの低温雄性不稔は、イネ穂ばらみ期(減数分裂期)の低温によって、花粉母細胞の減数分裂が阻害されることによって生じるが、本発明の低温雄性不稔抑制剤の有効成分であるジベレリンは、花粉母細胞の減数分裂を促進する作用を有すると考えられる。しかし、低温条件下では光合成能力が低下することによってエネルギーが不足し、十分にジベレリンの分裂促進作用が発揮されない。本発明の低温雄性不稔抑制剤のもう一つの有効成分である炭素源は植物のエネルギー源となり、その結果、ジベレリンの分裂促進作用を有効に発揮させることができる。
本発明の低温雄性不稔抑制剤のイネに対する効果は、低温雄性不稔の程度が、該低温雄性不稔抑制剤を適用しないイネと比べて抑制されることによって、確認することができる。
限定するものではないが、本発明における「低温雄性不稔」を評価するために、幼穂形成期経過後から穂ばらみ期において日平均気温が0℃を超えて20℃未満、好ましくは12℃以上19℃以下となる低温に曝露されたイネの種子稔実率を指標に用いることができる。この低温雄性不稔は、標準的な耐冷性試験によって評価することができるが、特に以下のような手順で評価することが好ましい。
まず、4月頃にイネ種籾を播種し、発芽させた後、加温したガラス温室で6.5葉齢程度まで生育させる。その後、無加温(常温)のガラス温室に移し、幼穂形成期直後(幼穂長6mm程度)まで生育させる。幼穂形成期直後(穂につく穎花数がほぼ決定した時期:幼穂長8〜15mm程度)から花粉母細胞の減数分裂期(幼穂長8cm程度)までの二週間にわたって、19℃の気温条件下に置いて生育させる。この低温期間中に、本発明の低温雄性不稔抑制剤をイネに適用することができる。その後再び常温のガラス温室に戻して生育させ、出穂・開花させて種子を形成させた後、種子稔実率を算出する。ここに記載した条件以外については、イネの栽培実験法における通常条件とする。種子稔実率は、主茎の穂を採取し、一穂ごとに結実種子数と不稔種子数を計数して「種子稔実率(%)=結実種子数÷(結実種子数+不稔種子数)×100」として算出する。9〜20穂について調査し、平均と標準誤差を計算した後、平均値に有意差があるかどうかをクラスカル・ウォリスの方法を用いて検定する(有意差p<0.05)。
上記のように低温処理を施す際、同時に本発明の低温雄性不稔抑制剤を適用した場合、該低温雄性不稔抑制剤を適用しない場合と比較して、イネの種子稔実率が統計学的に有意に高い場合、該低温雄性不稔抑制剤はイネの低温雄性不稔を抑制したものと判断できる。本発明の低温雄性不稔抑制剤を適用したイネの上記稔実率は、好ましくは40%〜100%、より好ましくは50%〜80%である。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
植物材料
イネ(Oryza sativa L.)の耐冷性「やや弱」の品種「ササニシキ」(Oryza sativa L. ssp. japonica cv. Sasanishiki)と耐冷性「極強」の品種「ひとめぼれ」(Oryza sativa L. ssp. japonica cv. Hitomebore)を用いた。
イネ(Oryza sativa L.)の耐冷性「やや弱」の品種「ササニシキ」(Oryza sativa L. ssp. japonica cv. Sasanishiki)と耐冷性「極強」の品種「ひとめぼれ」(Oryza sativa L. ssp. japonica cv. Hitomebore)を用いた。
実験方法
イネの栽培および薬品・温度処理実験は、宮城県古川農業試験場(宮城県大崎市古川大崎字富国88)で行った。まず、1/5000a Wagner pot(富士理化工業株式会社)を用いて、1ポットあたり種子12粒を同心円状に播種した。播種後、植物を加温したガラス温室で6.5葉齢程度まで育成した後、無加温のガラス温室に移し、幼穂形成期直後(幼穂長6mm程度)まで育成した。
イネの栽培および薬品・温度処理実験は、宮城県古川農業試験場(宮城県大崎市古川大崎字富国88)で行った。まず、1/5000a Wagner pot(富士理化工業株式会社)を用いて、1ポットあたり種子12粒を同心円状に播種した。播種後、植物を加温したガラス温室で6.5葉齢程度まで育成した後、無加温のガラス温室に移し、幼穂形成期直後(幼穂長6mm程度)まで育成した。
育成したイネに薬品・温度処理を行った。薬品処理は、上記ポットを大型コンテナ(商品名:ジャンボックス#200、三甲株式会社)に入れ、コンテナ内に試薬水溶液を水深が35cmになるように注ぎ入れることによって行った。試薬水溶液は、ジベレリンA3(和光純薬工業株式会社)とスクロース(和光純薬工業株式会社)を用いた、(i)3.46×10−3g/L(=10μM)ジベレリンA3水溶液、(ii)1g/Lスクロース水溶液、(iii)3.46×10−3g/LジベレリンA3+1g/Lスクロース水溶液の3種類とした(1品種あたり3つの薬品処理区)。また、2つのコンテナでは、試薬水溶液の代りに水のみを用いた(1品種あたり2つの無処理区)。なお、コンテナ内の試薬水溶液および無処理区の水は、1週間後に新たに作製したものに交換した。
上記コンテナのうち、3つの薬品処理区と1つの無処理区を低温条件の耐冷性検定水槽内に設置し、1つの無処理区を常温条件の耐冷性検定水槽内に設置した。水槽内に約17℃の冷水を循環させることによって低温条件とした。また、水槽内の水を循環させず常温のままとして常温条件とした。水温を小型防水データロガー(商品名:おんどとりJr.、株式会社ティアンドデイ)を用いて測定したところ、コンテナ内の日平均水温は、低温条件下では約19℃であり、常温条件下では約24℃であった。
この薬品・温度処理実験の設置の様子を図1に模式的に示す。イネ(101)を生育させたポット(102)を入れた大型コンテナ(103)に試薬水溶液または水(105)を入れ、耐冷性検定水槽(104)内に設置し、水槽内の水(106)を約17℃の冷水にして循環させるか(低温条件)、または循環させず常温のままにした(常温条件)。
イネの幼穂形成期直後(穂につく穎花数がほぼ決定した時期:幼穂長8〜15mm程度)から花粉母細胞の減数分裂期(幼穂長8cm程度)になるまでの二週間にわたって各薬品条件および温度条件で処理した。
その後、ポットをコンテナから取り出して、常温のガラス室に移し、イネを湛水条件で登熟終了後まで栽培した。主茎の穂を用いて各品種の種子稔実率を、上述の計算式により決定した。
結果
耐冷性「やや弱」の品種「ササニシキ」の結果を図2Aに示す。薬品処理を行わない場合、種子稔実率は常温条件で93.8%と高い割合であったが、低温条件では8.3%と極めて低かった。しかしながら、低温条件下であっても、ジベレリンA3を処理すると42.6%、スクロースを処理すると23.1%と種子稔実率は高かった。さらに驚くべきことに、ジベレリンA3+スクロースの組み合わせで処理すると65.7%と各単独処理の場合より高い種子稔実率が観察された。つまり、ササニシキではジベレリンまたはスクロースを単独で処理することで低温不稔が抑制されるが、ジベレリンとスクロースを同時に処理することで、さらに低温不稔が抑制されることが明らかとなった。
耐冷性「やや弱」の品種「ササニシキ」の結果を図2Aに示す。薬品処理を行わない場合、種子稔実率は常温条件で93.8%と高い割合であったが、低温条件では8.3%と極めて低かった。しかしながら、低温条件下であっても、ジベレリンA3を処理すると42.6%、スクロースを処理すると23.1%と種子稔実率は高かった。さらに驚くべきことに、ジベレリンA3+スクロースの組み合わせで処理すると65.7%と各単独処理の場合より高い種子稔実率が観察された。つまり、ササニシキではジベレリンまたはスクロースを単独で処理することで低温不稔が抑制されるが、ジベレリンとスクロースを同時に処理することで、さらに低温不稔が抑制されることが明らかとなった。
次に、耐冷性「極強」の品種「ひとめぼれ」の結果を図2Bに示す。薬品処理を行わない場合、種子稔実率は常温条件で91.7%と高い割合であったが、低温条件では51.4%と低かった。低温条件での種子稔実率の比較から、ひとめぼれは、耐冷性がやや弱いササニシキよりは耐冷性が強いことが確認された。さらに、低温条件下でジベレリンA3を処理すると58.9%、スクロースを処理すると50.9%であり、いずれも薬品処理による種子稔実率の統計学的に有意な変化は見られなかった。しかしながら、ジベレリンA3+スクロース同時処理では66.5%と高い種子稔実率が観察され、無処理と比較して統計学的に有意に種子稔実率が高いことが明らかとなった。
以上の結果から、ジベレリンと炭素源を同時に適用することで、品種の耐冷性に関わらず、効果的に低温雄性不稔が抑制されることが明らかとなった。また、耐冷性がやや弱い品種ササニシキにおいても、ジベレリンと炭素源を同時に適用することにより、耐冷性ひとめぼれの同条件と同レベルの種子稔実率が観察されたことから、本発明の方法は、穂ばらみ期の低温に感受性であるイネ品種において特に有効な低温雄性不稔抑制法であることが示された。
本発明の低温雄性不稔抑制剤は、穂ばらみ期に遭遇する低温によるイネの冷害を軽減するために用いることができる。
101 イネ
102 ポット
103 コンテナ
104 耐冷性検定水槽
105 コンテナ内の試薬水溶液または水
106 水槽内の水
102 ポット
103 コンテナ
104 耐冷性検定水槽
105 コンテナ内の試薬水溶液または水
106 水槽内の水
Claims (12)
- ジベレリンと炭素源を含有する、イネ用低温雄性不稔抑制剤。
- 幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用するための、請求項1に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- 田面水添加用の、請求項1または2に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- 炭素源が糖類である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- 糖類が二糖である、請求項4に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- 二糖がショ糖である、請求項5に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- ジベレリンがジベレリンA3である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- イネが穂ばらみ期低温感受性イネ品種である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- 穂ばらみ期低温感受性イネ品種がササニシキである、請求項8に記載の低温雄性不稔抑制剤。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の低温雄性不稔抑制剤をイネに適用することを特徴とする、イネの低温雄性不稔を抑制する方法。
- 低温雄性不稔抑制剤を幼穂形成期経過後の投与により穂ばらみ期のイネに適用する、請求項10に記載の方法。
- 低温雄性不稔抑制剤を田面水に投与する、請求項10または11に記載の方法。
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