JP2014105193A - 脂肪族第3級アミンの製造方法 - Google Patents

脂肪族第3級アミンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素数2以上のアルデヒド化合物を使用した場合であっても、高収率で経済的に脂肪族第3級アミンを製造する方法を提供する。
【解決手段】触媒、有機溶媒及び水素含有化合物の存在下、分子内に少なくとも1つの第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有するアミン化合物と、炭素数2以上のアルデヒド化合物とを反応させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族第3級アミンの製造方法に関する。
脂肪族第3級アミンは、ウレタン発泡触媒、界面活性剤、帯電防止剤、ガソリン添加剤、殺菌剤等、種々の用途を持つ有用な化合物として知られている。
従来、脂肪族第3級アミンの製造方法としては、例えば、アミド化合物の還元反応、ニトリル化合物の還元後、アルキル化する方法や、遷移金属を用いた方法が用いられてきた(例えば特許文献1、2、非特許文献1、2)。しかしながら、これらの方法では、過酷な反応条件や高価な遷移金属触媒を使用することが問題となっていた。
このため、本件出願人は、貴金属触媒の存在下、分子内に2個以上のアミノ基を有するアミン化合物に対し、水を添加した後で、1MPa(ゲージ圧)以上の水素圧下、ホルムアルデヒドを添加する方法について既に特許出願している(特許文献3参照)。
しかしながら、この方法は、炭素数2以上のアルデヒド化合物(例えば、アセトアルデヒド等)を用いた場合には、収率が未だ満足できるものではなかった。
特開2009−62328号公報 特開2001−213850号公報 特開2000−159731号公報
Andrushko,Natalia et.al,ChemCatChem,2(6),640,2010 Marsella,John,A,Journal of Organic Chemistry,52(3),467, 1987
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、炭素数2以上のアルデヒド化合物を使用した場合であっても、高収率で経済的に脂肪族第3級アミンを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、炭素数2以上のアルデヒド化合物を使用した場合には、反応初期に反応系内に過剰に存在する水が、脂肪族第3級アミンを高収率で製造することを阻害することを見出した。
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの脂肪族第3級アミンの製造方法である。
[1]触媒、有機溶媒及び水素含有化合物の存在下、分子内に少なくとも1つの第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有するアミン化合物(A)と、炭素数2以上のアルデヒド化合物(B)とを反応させる脂肪族第3級アミンの製造方法。
[2]アミン化合物(A)が、炭素数1〜20のモノアミン化合物、炭素数1〜20のジアミン化合物、及び炭素数1〜20のポリアルキレンポリアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[3]アミン化合物(A)が、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ジアミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、ジメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ビス(テトラメチレン)トリアミン、テトラアミノメタン、トリメチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びそれらの構造異性体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[4]アルデヒド化合物(B)が、炭素数2〜10の脂肪族アルデヒドであることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[5]アルデヒド化合物(B)が、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、及びそれらの構造異性体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[6]触媒が、貴金属触媒であることを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[7]貴金属触媒が、Pd、Pt、Rh及びRuからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする上記[6]に記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[8]触媒が、担体に担持されていることを特徴とする上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[9]担体が、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、ゼオライト、及び珪藻土からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[8]記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[10]水素含有化合物が、水素、アンモニア、ヒドラジン、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウム、及び水素化ホウ素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]乃至[9]のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
[11]有機溶媒が、炭素数5〜10の脂肪族炭化水素、炭素数1〜10の脂肪族アルコール、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数4〜10の酸素含有炭化水素、炭素数4〜10の窒素含有炭化水素、炭素数6〜20の酸素含有芳香族炭化水素、及び炭素数6〜20の窒素含有芳香族炭化水素の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
本発明、炭素数2以上のアルデヒド化合物を使用した場合であっても、高収率で経済的に脂肪族第3級アミンを製造することができるため、産業的に極めて有用である。
本発明は、触媒、有機溶媒及び水素含有化合物の存在下、分子内に少なくとも1つの第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有するアミン化合物(A)と、炭素数2以上のアルデヒド化合物(B)とを反応させる脂肪族第3級アミンの製造方法である。
本発明において、アミン化合物(A)としては、特に限定するものではないが、例えば、炭素数1〜20のモノアミン化合物、炭素数1〜20のジアミン化合物、及び炭素数1〜20のポリアルキレンポリアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらのアミン化合物を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任煮に変えることができる。
炭素数1〜20のモノアミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、又はそれらの構造異性体等が挙げられる。これらのモノアミン化合物を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
炭素数1〜20のジアミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ジアミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、又はそれらの構造異性体等が挙げられる。これらのジアミン化合物を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
炭素数1〜20のポリアルキレンポリアミン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ジメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ビス(テトラメチレン)トリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、テトラアミノメタン、トリメチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又はそれらの構造異性体等が挙げられる。これらのポリアルキレンポリアミン化合物を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明において、好ましいアミン化合物(A)は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンであり、さらに好ましくはエチレンジアミンである。
本発明において、アルデヒド化合物(B)としては、特に限定するものではないが、例えば、炭素数2〜10の脂肪族アルデヒドが挙げられる。
炭素数2〜10の脂肪族アルデヒドとしては、特に限定するものではないが、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、又はそれらの構造異性体等が挙げられる。これらの脂肪族アルデヒドを2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明において、アルデヒド(B)としては、アセトアルデヒドが特に好ましい。
本発明において、触媒としては、例えば、貴金属触媒、ラネー触媒等が挙げられ、特に限定するものではないが、貴金属触媒が好ましく使用される。
本発明において、貴金属触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、Pd、Pt、Rh及びRuからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有することが好ましい。これらの金属を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。好ましくはPdである。
本発明において、ラネー触媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ラネーNi、ラネーCu、及びラネーCoからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらを2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。また、ラネー触媒に、さらにFe、Cr、Mo、及びMnからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含有させてもよい。
本発明において、触媒は、担体に担持されていることが好ましい。
担体としては、特に限定するものではないが、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。これらの担体を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明において、好ましい担体は、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライトであり、さらに好ましくは活性炭である。
本発明において、活性炭の原材料、合成法、表面積、細孔径等は公知のものを使用することができる。
本発明において、活性炭の形状は特に限定されず、例えば、粉末、破砕状、ペレット、ビーズ、繊維状、ハニカム状等、公知の形状のものを使用することができる。
本発明において、ゼオライトとは、一般式:M2/nO・AlSiOO(式中、MはNa、K、Ca、Ba等の金属を表し、nは陽イオンMの原子価を表す。また、yは2以上の数を表し、zは0以上の数を表す。)で示される結晶性アルミノシリケートをいう。
ゼオライトとしては、天然品及び合成品として多種多様なものが知られており、例えば、AFI構造、ATO構造、BEA構造、CON構造、FAU構造、EMT構造、GME構造、LTL構造、MOR構造、MTW構造、OFF構造等、AEL構造、EUO構造、FER構造、HEU構造、MEL構造、MFI構造、NES構造、TON構造、WEI構造等を有するものが挙げられる。
本発明において、ゼオライトに従来公知の方法で前処理を実施してもよい。例えば、ゼオライトをプロトンでイオン交換した、プロトン型ゼオライトを使用することができる。
本発明において、ゼオライトのSiO/Al(モル比)は特に限定されない。
本発明において、ゼオライトの形状としては、特に限定するものではないが、例えば、粉末、破砕状、ペレット、ビーズ等、公知の形状のものを用いることができる。
本発明において、これらのゼオライトを2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明において、貴金属触媒としては、活性炭に担持されたPd触媒が特に好ましい。
本発明において、触媒の使用量は、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との反応(還元アルキル化反応)が進行する程度の量でよく、特に限定されない。貴金属触媒は、反応終了後、反応液と分離、回収して再利用することができる。
本発明において、水素含有化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、水素、アンモニア、ヒドラジン、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。これらの水素含有化合物を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明において、好ましい水素含有化合物は、水素、アンモニア、ヒドラジンであり、より好ましくは水素、アンモニアであり、さらに好ましくは水素である。
本発明において、水素含有化合物として水素を用いる場合、反応の圧力としては特に限定するものではないが、例えば、水素圧力は0.1〜20MPaの範囲で実施することが好ましい。0.1MPaより水素圧力が低い場合、還元アルキル化反応の効率が悪くなり、経済的ではない。また、20MPaより高い場合、必要以上に高い圧力をかけることになり経済的ではない。好ましくは1〜18MPaの範囲であり、さらに好ましくは2.0〜15MPaの範囲である。
本発明において、有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、炭素数5〜10の脂肪族炭化水素、炭素数1〜10の脂肪族アルコール、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数4〜10の酸素含有炭化水素、炭素数4〜10の窒素含有炭化水素、炭素数6〜20の酸素含有芳香族炭化水素、炭素数6〜20の窒素含有芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒を2種以上組み合わせる場合、その種類及び比率は任意に変えることができる。
本発明において、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との反応は、非水系で開始することが好ましい。ただし、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の少量であれば、水存在下での反応を実施しても差し支えない。
本発明において、有機溶媒の添加量、添加方法、添加条件としては、特に制限するものではないが、例えば、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)の反応前に、アミン化合物(A)へ添加してもよく、アルデヒド化合物(B)に添加してもよく、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)の反応が激しく起こることがないように添加してもよい。2種以上の有機溶媒を組み合わせる場合、溶媒を予め混合してもよく、それぞれの有機溶媒をそれぞれ反応器へ添加してもよい。
炭素数5〜20の脂肪族炭化水素としては、特に限定するものではないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、又はそれらの構造異性体等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素を2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。
炭素数1〜10の脂肪族アルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、又はそれらの構造異性体等が挙げられる。これらの脂肪族アルコールを2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。これらのうち、好ましくはメタノール、エタノールであり、より好ましくはエタノールである。
炭素数6〜20の芳香族炭化水素としては、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素を2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。
炭素数4〜10の酸素含有炭化水素としては、特に限定するものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの酸素含有炭化水素を2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。
炭素数4〜10の窒素含有炭化水素としては、ピリジンなどが例示できるがその限りではない。炭素数4〜10の窒素含有炭化水素を2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。
炭素数6〜20の酸素含有芳香族炭化水素としては、特に限定するものではないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、又はその構造異性体等が挙げられる。これらの酸素含有芳香族炭化水素を2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。
炭素数6〜20の窒素含有芳香族炭化水素としては、特に限定するものではないが、例えば、アニリン、o−フェニレンジアミン、又はその構造異性体、1,3,5−トリアミノベンゼン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−メチルアニリン、m−メチルアニリン、p−メチルアニリン等が挙げられる。これらの窒素含有芳香族炭化水素を2種以上組み合わせる場合、その種類、比率は任意に変えることができる。
本発明において、好ましい有機溶媒は、炭素数1〜10の脂肪族アルコールである。
本発明において、還元アルキル化反応は、回分式、半回分式、又は固定床のいずれの方法によって実施してもよい。使用する反応器は、例えば、槽型、管型等のいずれの形状でもよい。
本発明において、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)を混合する場合、アミン化合物(A)にアルデヒド化合物(B)を加えても、アルデヒド化合物(B)にアミン化合物(A)を加えても、いかなる方法でもよい。好ましくはアミン化合物(A)にアルデヒド化合物(B)を加える方法である。加える方法は滴下など公知の方法を使用することができ、連続的でもよく、半連続式でもよいが特に限定されない。また、アミン化合物(A)にアルデヒド化合物(B)を加える場合や、アルデヒド化合物(B)にアミン化合物(A)を加える場合、加える化合物の添加時間は特に限定されないが、例えば1時間〜10時間の範囲で実施すればよい。1時間より短い場合、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)が激しく反応し、副反応を起こして目的物の収率が低下するおそれがある。また、10時間より長い場合、添加時間が長時間となり経済的ではない。
本発明において、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との比率は、特に限定するものではないが、アミン化合物(A)に対する上記したアルデヒド化合物(B)が当モルから、上記したアミン化合物(A)中のアミノ基に含まれるプロトンに対してアルデヒド化合物(B)が当モルの範囲で反応させることが好ましい。アミン化合物(A)に対して上記したアルデヒド化合物(B)が当モルより少ない場合、原料のアミン化合物(A)が残り、目的物の収率が低くなるおそれがある。アミン化合物(A)中のアミノ基に含まれるプロトンに対して上記したアルデヒド化合物(B)が当モルより多い場合、過剰量のアルデヒド化合物(B)が目的物を着色させる原因となり、品質に影響するおそれがある。
本発明においては、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との反応を非水系で開始することが肝要である。したがって、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との反応は、非水系の溶媒(例えば、上記した有機溶媒)中で、水を添加することなく、反応を開始することが好ましい。
なお、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)を反応させて脂肪族第3級アミンを製造する際に反応途中で水が生成するが、この水は反応初期に存在する水とは異なり、生成する脂肪族第3級アミンの収率を著しく変化させるものではないため、反応系中から除去してもよく、除去しなくてもよい。生成した水を除去する場合、例えば、無機塩の無水物、モレキュラーシーブ等の乾燥剤を用いて除去することができる。
貴金属触媒は、例えば、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)を混合する前に、アミン化合物(A)又はアルデヒド化合物(B)に添加するか、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)を混合する前の反応器に添加するか、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)の混合途中に添加することが好ましい。2種以上の貴金属触媒を組み合わせる場合、これらを添加する前に予め混合してもよく、それぞれの貴金属触媒をそれぞれ添加してもよい。
本発明において、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させる温度は特に限定するものではないが、例えば、50℃〜200℃の範囲で反応を実施することが好ましい。50℃より低温の場合、還元アルキル化反応の効率が悪くなり経済的ではない。また、200℃より高温の場合、副反応が起こり、目的物が低収率となり経済的ではない。より好ましくは60℃〜180℃であり、さらに好ましくは80℃〜150℃である。
本発明においては、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを任意の比率で混合した後で、反応を完結させるために反応温度を任意に変えることもできる。その場合の反応温度としては、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させる温度と同じでも異なっていてもよく、特に限定するものではないが、例えば、50℃〜200℃の範囲で反応を実施することが好ましい。50℃より低温の場合、還元アルキル化反応の効率が悪くなり経済的ではない。また、200℃より高温の場合、副反応が起こり、目的物が低収率となり経済的ではない。より好ましくは60℃〜180℃の範囲であり、さらに好ましくは80℃〜150℃の範囲である。反応を完結させるためには、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)を反応させる温度より高くすることが好ましい。
本発明において、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させる反応時間としては、特に限定するものではないが、例えば、1時間〜10時間の範囲で反応を実施することが好ましい。1時間より短い場合、アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)の反応が十分に進行しないおそれがある。また、反応時間を10時間より長くしても、それ以上の反応の進行は望めない場合がある。
アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)を反応させた後の反応液から、貴金属触媒を分離する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ろ過、デカンテーション等の固体と液体とを分離する一般的な方法を用いることができる。また、蒸留等、公知の方法により、貴金属触媒と反応液を分離することもできる。
アミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させ、貴金属触媒を分離した後の反応液から、有機溶媒と脂肪族第3級アミンを分離する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、蒸留等の公知の方法を用いることができる。分離した有機溶媒は再びアミン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との反応の溶媒として用いることができ、廃棄することがないため、経済的である。
以下、本発明を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
(脂肪族第3級アミンの測定)
ガスクロマトグラフ分析には、ガスクロマトグラフGC−2014(島津製作所製)を用い、生成した脂肪族第3級アミンを測定した。カラムにはDB−5(アジレント・テクノロジー社製)、検出器にはFIDを用いた。
実施例1(テトラエチルエチレンジアミンの合成).
1Lのオートクレーブにエチレンジアミン50g(0.83モル)、パラジウム炭素5.0g、エタノール100gを入れ、系内を窒素置換、水素置換し、水素で圧力が3.0MPaとなるように加圧し、オートクレーブを110℃に加熱した。アセトアルデヒド(90%水溶液)163gをエタノールで希釈して、45%アセトアルデヒド/エタノール溶液とし、圧入ポンプを用いてオートクレーブ内に4時間で滴下した。滴下中、圧力が3.0MPaとなるように調整した。滴下終了後、圧力が3.0MPaとなるように調整しながらさらに2時間反応させた。反応終了後、冷却、脱圧して反応液を回収した。触媒をろ別して得られた反応液中のテトラエチルエチレンジアミンの収率は85%であり、反応液は無色の液体であった。
実施例2〜実施例9、比較例1〜比較例2.
表1に記載のアミン化合物、アルデヒド化合物、溶媒、触媒を用い、実施例1と同様の方法で反応を実施した。これらの結果を表1に併せて示す。
Figure 2014105193
本発明の方法により製造された脂肪族第3級アミンは、例えば、ウレタン発泡触媒、界面活性剤、帯電防止剤、ガソリン添加剤、殺菌剤として用いられる。

Claims (11)

  1. 触媒、有機溶媒及び水素含有化合物の存在下、分子内に少なくとも1つの第一級アミノ基又は第二級アミノ基を有するアミン化合物(A)と、炭素数2以上のアルデヒド化合物(B)とを反応させる脂肪族第3級アミンの製造方法。
  2. アミン化合物(A)が、炭素数1〜20のモノアミン化合物、炭素数1〜20のジアミン化合物、及び炭素数1〜20のポリアルキレンポリアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  3. アミン化合物(A)が、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、ジアミノメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ピペラジン、ジメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、ビス(テトラメチレン)トリアミン、テトラアミノメタン、トリメチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びそれらの構造異性体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  4. アルデヒド化合物(B)が、炭素数2〜10の脂肪族アルデヒドであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  5. アルデヒド化合物(B)が、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、及びそれらの構造異性体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  6. 触媒が、貴金属触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  7. 貴金属触媒が、Pd、Pt、Rh及びRuからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項6に記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  8. 触媒が、担体に担持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  9. 担体が、活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、ゼオライト、及び珪藻土からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項8に記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  10. 水素含有化合物が、水素、アンモニア、ヒドラジン、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウム、及び水素化ホウ素ナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
  11. 有機溶媒が、炭素数5〜10の脂肪族炭化水素、炭素数1〜10の脂肪族アルコール、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数4〜10の酸素含有炭化水素、炭素数4〜10の窒素含有炭化水素、炭素数6〜20の酸素含有芳香族炭化水素、及び炭素数6〜20の窒素含有芳香族炭化水素の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の脂肪族第3級アミンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111433396A (zh) * 2017-11-21 2020-07-17 旭化成株式会社 聚氨酯弹性纤维和其卷纱体

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