JP2014103710A - 差動チャージポンプ回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流源のばらつきがあっても、出力電流特性に生じるオフセットを抑えることができるようにする。
【解決手段】UPPとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるUP2PをトランジスタM1,M8に出力するORゲート2と、DNPとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるDN2PをトランジスタM4,M5に出力するORゲート3とからなる加算回路1と、UPNとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるUP2NをトランジスタM2,M7に出力するORゲート5と、DNNとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるDN2NをトランジスタM3,M6に出力するORゲート6とからなる加算回路4とを設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、例えば、アップ信号とダウン信号の信号レベルに応じた電流を出力する差動チャージポンプ回路に関するものである。
チャージポンプ回路は、入力されるアップ信号(以下、「UP信号」と称する)とダウン信号(以下、「DN信号」と称する)の信号レベルに応じて出力電流を変化させて、出力端子に接続される容量の充放電を制御する回路である。
例えば、位相同期回路であるPLL(phase locked loop)では、位相周波数比較回路の出力であるパルス信号から、ループフィルタに入力される電流信号に変換する箇所で使用される。
チャージポンプ回路の用途によっては差動出力が必要な場合があり、このような場合には、差動チャージポンプ回路が使用される。
図5は以下の非特許文献に開示されている従来の差動チャージポンプ回路を示す構成図である。
この差動チャージポンプ回路は、トランジスタM1とトランジスタM2からなる差動対と、トランジスタM3とトランジスタM4からなる差動対と、全て同じ値の電流I1〜I4を出力する4つの電流源とから構成されている。
この差動チャージポンプ回路の入力信号であるUP信号とDN信号は共に差動であり(UP信号におけるUPPとUPNが差動、DN信号におけるDNPとDNNが差動)、2つの差動対に入力される。
図5の差動チャージポンプ回路では、UP信号とDN信号の信号レベルに応じてトランジスタM1〜M4のオンオフを制御して電流経路を切り替えることにより、正相出力端子OUTP及び逆相出力端子OUTNの出力電流Ioutを制御している。
ここで、正相出力端子OUTPから外部に流れ出す電流をI(OUTP)、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出す電流をI(OUTN)で表すと、I(OUTP)=−I(OUTN)となる。
図5の差動チャージポンプ回路の動作は以下の通りである。
例えば、UP信号の信号レベルが“High”であって、DN信号の信号レベルが“Low”である場合、即ち、UPPの信号レベルがHレベル、UPNの信号レベルがLレベル、DNPの信号レベルがLレベル、DNNの信号レベルがHレベルである場合、トランジスタM1,M3がオン、トランジスタM2,M4がオフになる。
これにより、トランジスタM2とトランジスタM4には電流が流れないため、I4の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
また、トランジスタM1,M3に電流が流れるため、I3−I1−I2の電流が、逆相出力端子OUTNに出力される。なお、I3−I1−I2の電流は負の値であるため、外部から逆相出力端子OUTNに電流が流れ込むようになる。
したがって、この場合には、出力電流Iout(=I(OUTP)=−I(OUTN))は正の値となる。
逆に、UP信号の信号レベルが“Low”であって、DN信号の信号レベルが“High”である場合、即ち、UPPの信号レベルがLレベル、UPNの信号レベルがHレベル、DNPの信号レベルがHレベル、DNNの信号レベルがLレベルである場合、トランジスタM1,M3がオフ、トランジスタM2,M4がオンになる。
これにより、トランジスタM2,M4に電流が流れるため、I4−I1−I2の電流が、正相出力端子OUTPに出力される。なお、I4−I1−I2の電流は負の値であるため、外部から正相出力端子OUTPに電流が流れ込むようになる。
また、トランジスタM1とトランジスタM3には電流が流れないため、I3の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
したがって、この場合には、出力電流Iout(=I(OUTP)=−I(OUTN))は負の値となる。
また、UP信号及びDN信号の信号レベルが共に“Low”である場合、即ち、UPPの信号レベルがLレベル、UPNの信号レベルがHレベル、DNPの信号レベルがLレベル、DNNの信号レベルがHレベルである場合、トランジスタM2,M3がオン、トランジスタM1,M4がオフになる。
これにより、トランジスタM2に電流が流れるため、I4−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。ただし、I4−I1は零であるため、正相出力端子OUTPには電流が流れない。
また、トランジスタM3に電流が流れるため、I3−I2の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。ただし、I3−I2の電流は零であるため、逆相出力端子OUTNには電流が流れない。
また、UP信号及びDN信号の信号レベルが共に“High”である場合、即ち、UPPの信号レベルがHレベル、UPNの信号レベルがLレベル、DNPの信号レベルがHレベル、DNNの信号レベルがLレベルである場合、トランジスタM1,M4がオン、トランジスタM2,M3がオフになる。
これにより、トランジスタM4に電流が流れるため、I4−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。ただし、I4−I2は零であるため、正相出力端子OUTPには電流が流れない。
また、トランジスタM1に電流が流れるため、I3−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。ただし、I3−I1の電流は零であるため、逆相出力端子OUTNには電流が流れない。
上記の動作結果より、UP信号の信号レベルが“High”になる時間がTuで、DN信号の信号レベルが“Low”になる時間がTdであるとすると、出力電流Ioutの時間平均は、Tu−Tdに比例する値になる。
図5の差動チャージポンプ回路は、4つの電流源を備えているが、半導体の製造ばらつきなどが原因で、4つの電流源から出力される電流I1〜I4の値が等しくならない場合がある。
4つの電流源から出力される電流I1〜I4の値が等しくならない場合、出力電流特性にオフセットが生じる問題が発生する。
以下、この問題の原理を説明する。
まず、電流源から出力される電流I1〜I4の値を以下の式で定義する。
I1=I×(1−α)
I2=I×(1+α)
I3=I×(1−β)
I4=I×(1+β)
図5には図示していないが、通常、差動チャージポンプ回路にはコモンモードフィードバック(CMFB)回路が付加されており、このCMFB回路によって、出力端子のコモン電位が一定になるように調整されている。
このため、I1+I2=I3+I4の関係が成り立ち、I1〜I4の電流ばらつきはαとβの2つの変数で表現することができる。
αは出力電流I1の電流源と出力電流I2の電流源との相対的なばらつきを示し、βは出力電流I3の電流源と出力電流I4の電流源との相対的なばらつきを示している。
ここで、図6はUP信号とDN信号における信号レベルの変化例を示す説明図である。
図6の例では、UP信号のパルス幅をTu、DN信号のパルス幅をTd、周期1を想定している。
この場合、図6における区間A,B,Cの出力電流Ioutは、下記のようになる。
[区間A]
Iout=I(OUTP)=−(OUTN)
=I×(−α+β)
[区間B]
Iout=I(OUTP)=−(OUTN)
=I×(1+β)
[区間C]
Iout=I(OUTP)=−(OUTN)
=I×(α+β)
各区間A,B,Cの時間幅を考慮すると、平均出力電流Iout_avは以下の通りとなる。
Iout_av=I×{Tu−Td+α(1−Tu−Td)+ β}
以上より、4つの電流源にばらつきがない場合(α=β=0)、出力電流Ioutが(Tu−Td)に比例するが、ばらつきの影響でαとβが0でない場合、出力電流特性にオフセットが生じることが分かる。
図7は入力信号の(Tu−Td)に対する出力電流Ioutの関係を示す説明図である。
電流源I1〜I4のばらつきにより、出力電流Ioutがゼロになるポイントが、(Tu−Td)がゼロになるポイントからずれることになる。
この特性は、出力電流値から(Tu−Td)の値を推測する際の誤差の原因となる。また、この差動チャージポンプ回路をPLLの位相比較器出力に用いた場合、位相ロックのポイントがずれて、PLLの出力信号の位相にばらつきが生じることになる。
John Rogers,Calvin Plett,Foster Dai著"Integrated Circuit Design for High-Speed Frequency Synthesis",ARTECH HOUSE,2006
従来の差動チャージポンプ回路は以上のように構成されているので、半導体の製造ばらつきなどが原因で、4つの電流源から出力される電流I1〜I4の値が等しくならない場合、出力電流特性にオフセットが生じてしまう課題があった。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、電流源のばらつきがあっても、出力電流特性に生じるオフセットを抑えることができる差動チャージポンプ回路を得ることを目的とする。
この発明に係る差動チャージポンプ回路は、アップ信号とクロック信号を加算するとともに、ダウン信号とクロック信号を加算する加算回路と、加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第1の差動対と、加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第2の差動対と、加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第3の差動対と、加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第4の差動対とを備え、第1及び第2の差動対と接続されているシンク電流供給手段が、正相出力端子及び逆相出力端子にシンク電流を供給し、第3及び第4の差動対と接続されているソース電流供給手段が、正相出力端子及び逆相出力端子にソース電流を供給するようにしたものである。
この発明によれば、アップ信号とクロック信号を加算するとともに、ダウン信号とクロック信号を加算する加算回路と、加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第1の差動対と、加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第2の差動対と、加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第3の差動対と、加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタのドレインが第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第4の差動対とを備え、第1及び第2の差動対と接続されているシンク電流供給手段が、正相出力端子及び逆相出力端子にシンク電流を供給し、第3及び第4の差動対と接続されているソース電流供給手段が、正相出力端子及び逆相出力端子にソース電流を供給するように構成したので、電流源のばらつきがあっても、出力電流特性に生じるオフセットを抑えることができる効果がある。
この発明の実施の形態1による差動チャージポンプ回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による差動チャージポンプ回路の動作タイミングを示すタイミングチャートである。 この発明の実施の形態2による差動チャージポンプ回路を示す構成図である。 この発明の実施の形態3による差動チャージポンプ回路を示す構成図である。 非特許文献に開示されている従来の差動チャージポンプ回路を示す構成図である。 UP信号とDN信号における信号レベルの変化例を示す説明図である。 入力信号の(Tu−Td)に対する出力電流Ioutの関係を示す説明図である。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による差動チャージポンプ回路を示す構成図である。
図1において、加算回路1はORゲート2,3から構成されており、UP信号(アップ信号)とCLK信号(クロック信号)を加算するとともに、DN信号(ダウン信号)とCLK信号を加算する回路である。
ORゲート2は差動のUP信号におけるUPPとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるUP2PをトランジスタM1,M8に出力する論理素子である。
ORゲート3は差動のDN信号におけるDNPとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるDN2PをトランジスタM4,M5に出力する論理素子である。
加算回路4はORゲート5,6から構成されており、UP信号とCLK信号を加算するとともに、DN信号とCLK信号を加算する回路である。
ORゲート5は差動のUP信号におけるUPNとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるUP2NをトランジスタM2,M7に出力する論理素子である。
ORゲート6は差動のDN信号におけるDNNとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるDN2NをトランジスタM3,M6に出力する論理素子である。
差動対11は加算回路1のORゲート2から出力されたUP2Pの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM1と、加算回路4のORゲート5から出力されたUP2Nの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM2とから構成されており、そのトランジスタM1のドレインが逆相出力端子OUTNと接続され、そのトランジスタM2のドレインが正相出力端子OUTPと接続されている。なお、差動対11は第1の差動対を構成している。
差動対12は加算回路4のORゲート6から出力されたDN2Nの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM3と、加算回路1のORゲート3から出力されたUN2Pの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM4とから構成されており、そのトランジスタM3のドレインが逆相出力端子OUTNと接続され、そのトランジスタM4のドレインが正相出力端子OUTPと接続されている。なお、差動対12は第2の差動対を構成している。
シンク電流供給回路13は差動対11,12と接続されており、正相出力端子OUTP及び逆相出力端子OUTNにシンク電流を供給する回路である。なお、シンク電流供給回路13はシンク電流供給手段を構成している。
電流源14は差動対11におけるトランジスタM1,M2の共通のソースと接続されており、電流I1を出力する第1の電流源である。
電流源15は差動対12におけるトランジスタM3,M4の共通のソースと接続されており、電流I2を出力する第2の電流源である。
差動対17は加算回路1のORゲート3から出力されたDN2Nの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM5と、加算回路4のORゲート6から出力されたDN2Pの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM6とから構成されており、そのトランジスタM5のドレインがトランジスタM1,M3のドレイン及び逆相出力端子OUTNと接続され、そのトランジスタM6のドレインがトランジスタM2,M4のドレイン及び正相出力端子OUTPと接続されている。なお、差動対17は第3の差動対を構成している。
差動対18は加算回路4のORゲート5から出力されたUP2Pの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM7と、加算回路1のORゲート2から出力されたUP2Nの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM8とから構成されており、そのトランジスタM7のドレインがトランジスタM1,M3のドレイン及び逆相出力端子OUTNと接続され、そのトランジスタM8のドレインがトランジスタM2,M4のドレイン及び正相出力端子OUTPと接続されている。なお、差動対18は第4の差動対を構成している。
ソース電流供給回路16は差動対11,12と接続されており、正相出力端子OUTP及び逆相出力端子OUTNにソース電流を供給する回路である。なお、ソース電流供給回路16はソース電流供給手段を構成している。
電流源19は差動対17におけるトランジスタM5,M6の共通のソースと接続されており、電流I3を出力する第3の電流源である。
電流源20は差動対18におけるトランジスタM7,M8の共通のソースと接続されており、電流I4を出力する第4の電流源である。
次に動作について説明する。
図2はこの発明の実施の形態1による差動チャージポンプ回路の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
ここでは、CLK信号として、UP信号/DN信号と同じ周期で、デューティ比がUP信号/DN信号の50%である信号を用いるものとする。
また、CLK信号が“High”となる期間と、UP信号/DN信号が“High”となる期間とが重ならないように、CLK信号のタイミングが調節されているものとする。
電流源14,15,19,20から出力される電流I1,I2,I3,I4の値を以下の式で定義する。
I1=I×(1−α)
I2=I×(1+α)
I3=I×(1−β)
I4=I×(1+β)
αは電流源14と電流源15の相対的なばらつきを示し、βは電流源19と電流源20の相対的なばらつきを示している。
図2における区間A,B,C,D,Eの出力電流Ioutは、下記のようになる。
[区間A]
区間Aでは、UP信号の信号レベルが“High”、DN信号の信号レベルが“High”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Hレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Lレベル
DN2N → Lレベル
したがって、トランジスタM1〜M8のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → ON
トランジスタM2 → OFF
トランジスタM3 → OFF
トランジスタM4 → ON
トランジスタM5 → ON
トランジスタM6 → OFF
トランジスタM7 → OFF
トランジスタM8 → ON
これにより、トランジスタM4,M8に電流が流れるため、I4−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I2
=I×(1+β)−I×(1+α)
=I×(−α+β)
また、トランジスタM1,M5に電流が流れるため、I3−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I1
=I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(α−β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(−α+β)
[区間B]
区間Bでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“High”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Lレベル
したがって、トランジスタM1〜M8のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → OFF
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → OFF
トランジスタM4 → ON
トランジスタM5 → ON
トランジスタM6 → OFF
トランジスタM7 → ON
トランジスタM8 → OFF
これにより、トランジスタM6,M8には電流が流れず、トランジスタM2,M4には電流が流れるため、−I2−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=−I2−I1
=−I×(1+α)−I×(1−α)
=−2I
また、トランジスタM1,M3には電流が流れず、トランジスタM5,M7には電流が流れるため、I3+I4の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3+I4
=I×(1−β)+I×(1+β)
=2I
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=−2I
[区間C]
区間Cでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Lレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM1〜M8のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → OFF
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → ON
トランジスタM4 → OFF
トランジスタM5 → OFF
トランジスタM6 → ON
トランジスタM7 → ON
トランジスタM8 → OFF
これにより、トランジスタM2,M6に電流が流れるため、I3−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I3−I1
=I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(α−β)
また、トランジスタM3,M7に電流が流れるため、I4−I2の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I4−I2
=I×(1+β)−I×(1+α)
=I×(−α+β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(α−β)
[区間D]
区間Dでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“High”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Hレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM1〜M8のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → ON
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → ON
トランジスタM4 → ON
トランジスタM5 → ON
トランジスタM6 → ON
トランジスタM7 → ON
トランジスタM8 → ON
これにより、トランジスタM2,M4とトランジスタM6,M8に電流が流れるため、I3+I4−I2−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I3+I4−I2−I1
=I×(1−β)+I×(1+β)−I×(1+α)−I×(1−
α)
=0
また、トランジスタM2,M4とトランジスタM6,M8に電流が流れるため、I3+I4−I2−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I3+I4−I2−I1
=I×(1−β)+I×(1+β)−I×(1+α)−I×(1−
α)
=0
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=0
[区間E]
区間Eでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Lレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM1〜M8のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → OFF
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → ON
トランジスタM4 → OFF
トランジスタM5 → OFF
トランジスタM6 → ON
トランジスタM7 → ON
トランジスタM8 → OFF
これにより、トランジスタM2,M6に電流が流れるため、I3−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I3−I1
=I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(α−β)
また、トランジスタM3,M7に電流が流れるため、I4−I2の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I4−I2
=I×(1+β)−I×(1+α)
=I×(−α+β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(α−β)
各区間A,B,C,D,Eの時間幅を考慮すると、平均出力電流Iout_avは以下の通りとなる。
Iout_av=I×{2×(Tu−Td)−(Tu+Td)×(α−β)}
よって、Iout_avを(Tu−Td)の関数として見ると、(Tu+Td)が1より十分に小さい場合は、電流源のばらつきα,βに起因するオフセット項が小さくなり、ほぼIout_avと(Tu−Td)が比例の関係になることが分かる。
つまり、UP信号とDN信号のパルス幅が小さいという条件下では、電流源のばらつきα,βの影響をほぼ消去できるといえる。
例えば、図1の差動チャージポンプ回路をPLLに適用した場合、位相同期時にはUP信号とDN信号のパルス幅はほぼ0になるため、十分に出力電流のオフセット抑圧効果を得ることができる。
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、差動のUP信号におけるUPPとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるUP2PをトランジスタM1,M7に出力するORゲート2と、差動のDN信号におけるDNPとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるDN2PをトランジスタM4,M6に出力するORゲート3とからなる加算回路1と、差動のUP信号におけるUPNとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるUP2NをトランジスタM2,M8に出力するORゲート5と、差動のDN信号におけるDNNとCLK信号の論理和を求め、その論理結果であるDN2NをトランジスタM3,M5に出力するORゲート6とからなる加算回路4とを設けるように構成したので、電流源のばらつきα,βがあっても、オフセットの発生を抑えることができる効果を奏する。
この実施の形態1では、UP信号の時間幅がTu、DN信号の時間幅がTdである例を示したが(Tu<Td)、UP信号の時間幅Tuが図2のTdに相当する時間(区間A,Bの間、Hレベル)であって、DN信号の時間幅Tdが図2のTuに相当する時間(区間Aの間、Hレベル)であってもよい(Tu>Td)。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による差動チャージポンプ回路を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
ソース電流供給回路30は差動対11,12、正相出力端子OUTP及び逆相出力端子OUTNと接続されており、正相出力端子OUTP及び逆相出力端子OUTNにソース電流を供給する回路である。なお、ソース電流供給回路30はソース電流供給手段を構成している。
次に動作について説明する。
差動チャージポンプ回路の動作タイミングは、上記実施の形態1と同様に、図2のタイミングチャートが示す動作タイミングであるとして説明する。
図2における区間A,B,C,D,Eの出力電流Ioutは、下記のようになる。
[区間A]
区間Aでは、UP信号の信号レベルが“High”、DN信号の信号レベルが“High”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Hレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Lレベル
DN2N → Lレベル
したがって、トランジスタM1〜M4のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → ON
トランジスタM2 → OFF
トランジスタM3 → OFF
トランジスタM4 → ON
これにより、トランジスタM4に電流が流れるため、I4−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I2
=I×(1+β)−I×(1+α)
=I×(−α+β)
また、トランジスタM1に電流が流れるため、I3−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I1
=I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(α−β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(−α+β)
[区間B]
区間Bでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“High”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Lレベル
したがって、トランジスタM1〜M4のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → OFF
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → OFF
トランジスタM4 → ON
これにより、トランジスタM2,M4に電流が流れるため、I4−I2−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I2−I1
=I×(1+β)−I×(1+α)−I×(1−α)
=I×(−1+β)
また、トランジスタM1,M3には電流が流れないため、I3の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3
=I×(1−β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(−1+β)
[区間C]
区間Cでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Lレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM1〜M4のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → OFF
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → ON
トランジスタM4 → OFF
これにより、トランジスタM2に電流が流れるため、I4−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I1
=I×(1+β)−I×(1−α)
=I×(α+β)
また、トランジスタM3に電流が流れるため、I3−I2の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I2
=I×(1−β)−I×(1+α)
=I×(−α−β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(α+β)
[区間D]
区間Dでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“High”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Hレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM1〜M4のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → ON
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → ON
トランジスタM4 → ON
これにより、トランジスタM2,M4に電流が流れるため、I4−I2−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I2−I1
=I×(1+β)−I×(1+α)−I×(1−α)
=I×(−1+β)
また、トランジスタM1,M3に電流が流れるため、I3−I2−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I3−I2−I1
=I×(1−β)−I×(1+α)−I×(1−α)
=I×(−1−β)
[区間E]
区間Eでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Lレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM1〜M4のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM1 → OFF
トランジスタM2 → ON
トランジスタM3 → ON
トランジスタM4 → OFF
これにより、トランジスタM2に電流が流れるため、I4−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I1
=I×(1+β)−I×(1−α)
=I×(α+β)
また、トランジスタM3に電流が流れるため、I3−I2の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I2
=I×(1−β)−I×(1+α)
=I×(−α−β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(α+β)
各区間A,B,C,D,Eの時間幅を考慮すると、平均出力電流Iout_avは以下の通りとなる。
Iout_av=I×{(Tu−Td)−(Tu+Td)α+β}
よって、電流源19と電流源20の相対的なばらつきβに依存して、出力電流特性にオフセットが生じることが分かる。
しかし、電流源14と電流源15の相対的なばらつきαについては、(Tu+Td)が1より十分に小さい場合、出力オフセットへの影響は小さくなる。
したがって、電流源19と電流源20の相対的なばらつきβが小さな回路に対しては、図3の差動チャージポンプ回路が出力オフセットの抑圧に対して有効であることが分かる。
図3の差動チャージポンプ回路では、図1の差動チャージポンプ回路と比べて、トランジスタの縦積み段数が減るため、電源電圧に対する制限が緩くなるというメリットが得られる。
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による差動チャージポンプ回路を示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
差動対41は加算回路1のORゲート3から出力されたDN2Nの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM9と、加算回路4のORゲート6から出力されたDN2Pの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM10とから構成されており、そのトランジスタM9のドレインが逆相出力端子OUTN及び電流源14と接続され、そのトランジスタM10のドレインが正相出力端子OUTP及び電流源15と接続されている。なお、差動対41は第1の差動対を構成している。
差動対42は加算回路4のORゲート5から出力されたUP2Pの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM11と、加算回路1のORゲート2から出力されたUP2Nの信号レベルに応じてオンオフ(ON/OFF)するトランジスタM12とから構成されており、そのトランジスタM11のドレインが逆相出力端子OUTN及び電流源14と接続され、そのトランジスタM12のドレインが正相出力端子OUTP及び電流源15と接続されている。なお、差動対42は第2の差動対を構成している。
次に動作について説明する。
差動チャージポンプ回路の動作タイミングは、上記実施の形態1と同様に、図2のタイミングチャートが示す動作タイミングであるとして説明する。
図2における区間A,B,C,D,Eの出力電流Ioutは、下記のようになる。
[区間A]
区間Aでは、UP信号の信号レベルが“High”、DN信号の信号レベルが“High”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Hレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Lレベル
DN2N → Lレベル
したがって、トランジスタM9〜M12のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM9 → ON
トランジスタM10 → OFF
トランジスタM11 → OFF
トランジスタM12 → ON
これにより、トランジスタM12に電流が流れるため、I4−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I2
=I×(1+β)−I×(1+α)
=I×(−α+β)
また、トランジスタM9に電流が流れるため、I3−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I1
=I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(α−β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=I×(−α+β)
[区間B]
区間Bでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“High”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Lレベル
したがって、トランジスタM9〜M12のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM9 → ON
トランジスタM10 → OFF
トランジスタM11 → ON
トランジスタM12 → OFF
これにより、トランジスタM10,M12には電流が流れないため、−I2の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=−I2
=−I×(1+α)
また、トランジスタM9,M11に電流が流れるため、I4+I3−I1の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4+I3−I1
=I×(1+β)+I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(1+α)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=−I×(1+α)
[区間C]
区間Cでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Lレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM9〜M12のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM9 → OFF
トランジスタM10 → ON
トランジスタM11 → ON
トランジスタM12 → OFF
これにより、トランジスタM10に電流が流れるため、I3−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I2
=I×(1−β)−I×(1+α)
=−I×(α+β)
また、トランジスタM11に電流が流れるため、I4−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I1
=I×(1+β)−I×(1−α)
=I×(α+β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=−I×(α+β)
[区間D]
区間Dでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“High”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Hレベル
DN2P → Hレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM9〜M12のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM9 → ON
トランジスタM10 → ON
トランジスタM11 → ON
トランジスタM12 → ON
これにより、トランジスタM10,M12に電流が流れるため、I4+I3−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4+I3−I2
=I×(1+β)+I×(1−β)−I×(1+α)
=I×(1−α)
また、トランジスタM9,M11に電流が流れるため、I4+I3−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4+I3−I1
=I×(1+β)+I×(1−β)−I×(1−α)
=I×(1+α)
[区間E]
区間Eでは、UP信号の信号レベルが“Low”、DN信号の信号レベルが“Low”、CLK信号の信号レベルが“Low”である。
この場合、加算回路1のORゲート2,3及び加算回路4のORゲート5,6から出力されるUP2P,DN2P,UP2N,DN2Nの信号レベルは以下のようになる。
UP2P → Lレベル
DN2P → Lレベル
UP2N → Hレベル
DN2N → Hレベル
したがって、トランジスタM9〜M12のオンオフ状態は、以下のようになる。
トランジスタM9 → OFF
トランジスタM10 → ON
トランジスタM11 → ON
トランジスタM12 → OFF
これにより、トランジスタM10に電流が流れるため、I3−I2の電流が、正相出力端子OUTPから外部に流れ出すようになる。
I(OUTN)=I3−I2
=I×(1−β)−I×(1+α)
=−I×(α+β)
また、トランジスタM11に電流が流れるため、I4−I1の電流が、逆相出力端子OUTNから外部に流れ出すようになる。
I(OUTP)=I4−I1
=I×(1+β)−I×(1−α)
=I×(α+β)
したがって、この場合、出力電流Ioutは下記のようになる。
Iout=I(OUTP)=−I(OUTN)
=−I×(α+β)
各区間A,B,C,D,Eの時間幅を考慮すると、平均出力電流Iout_avは以下の通りとなる。
Iout_av=I×{(Tu−Td)+α+(Tu+Td)β}
よって、電流源14と電流源15の相対的なばらつきαに依存して、出力電流特性にオフセットが生じることが分かる。
しかし、電流源19と電流源20の相対的なばらつきβについては、(Tu+Td)が1より十分に小さい場合、出力オフセットへの影響は小さくなる。
したがって、電流源14と電流源15の相対的なばらつきαが小さな回路に対しては、図4の差動チャージポンプ回路が出力オフセットの抑圧に対して有効であることが分かる。
図4の差動チャージポンプ回路では、図1の差動チャージポンプ回路と比べて、トランジスタの縦積み段数が減るため、電源電圧に対する制限が緩くなるというメリットが得られる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 加算回路、2,3 ORゲート、4 加算回路、5,6 ORゲート、11 差動対(第1の差動対)、12 差動対(第2の差動対)、13 シンク電流供給回路(シンク電流供給手段)、14 電流源(第1の電流源)、15 電流源(第2の電流源)、16 ソース電流供給回路(ソース電流供給手段)、17 差動対(第3の差動対)、18 差動対(第4の差動対)、19 電流源(第3の電流源)、20 電流源(第4の電流源)、30 ソース電流供給回路(ソース電流供給手段)、41 差動対(第1の差動対)、42 差動対(第2の差動対)、M1〜M12 トランジスタ、OUTP 正相出力端子、OUTN 逆相出力端子。

Claims (7)

  1. アップ信号とクロック信号を加算するとともに、ダウン信号と上記クロック信号を加算する加算回路と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第1の差動対と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが上記逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが上記正相出力端子と接続されている第2の差動対と、
    上記第1及び第2の差動対と接続されており、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子にシンク電流を供給するシンク電流供給手段と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタのドレインが上記第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタのドレインが上記第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第3の差動対と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタのドレインが上記第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び上記逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタのドレインが上記第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び上記正相出力端子と接続されている第4の差動対と、
    上記第3及び第4の差動対と接続されており、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子にソース電流を供給するソース電流供給手段と
    を備えた差動チャージポンプ回路。
  2. シンク電流供給手段は、
    第1の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第1の電流源と、
    第2の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第2の電流源とから構成されており、
    ソース電流供給手段は、
    第3の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第3の電流源と、
    第4の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第4の電流源とから構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の差動チャージポンプ回路。
  3. アップ信号とクロック信号を加算するとともに、ダウン信号と上記クロック信号を加算する加算回路と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第1の差動対と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが上記逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが上記正相出力端子と接続されている第2の差動対と、
    上記第1及び第2の差動対と接続されており、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子にシンク電流を供給するシンク電流供給手段と、
    上記第1及び第2の差動対と接続されており、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子にソース電流を供給するソース電流供給手段と
    を備えた差動チャージポンプ回路。
  4. シンク電流供給手段は、
    第1の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第1の電流源と、
    第2の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第2の電流源とから構成されており、
    ソース電流供給手段は、
    上記第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続されている第3の電流源と、
    上記第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第4の電流源とから構成されている
    ことを特徴とする請求項3記載の差動チャージポンプ回路。
  5. アップ信号とクロック信号を加算するとともに、ダウン信号と上記クロック信号を加算する加算回路と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたダウン信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが正相出力端子と接続されている第1の差動対と、
    上記加算回路によりクロック信号が加算されたアップ信号の信号レベルに応じてオンオフする2つのトランジスタから構成されており、一方のトランジスタが上記逆相出力端子と接続され、他方のトランジスタが上記正相出力端子と接続されている第2の差動対と、
    上記第1及び第2の差動対、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子と接続されており、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子にシンク電流を供給するシンク電流供給手段と、
    上記第1及び第2の差動対と接続されており、上記正相出力端子及び上記逆相出力端子にソース電流を供給するソース電流供給手段と
    を備えた差動チャージポンプ回路。
  6. シンク電流供給手段は、
    第1及び第2の差動対における一方のトランジスタのドレイン及び逆相出力端子と接続されている第1の電流源と、
    上記第1及び第2の差動対における他方のトランジスタのドレイン及び正相出力端子と接続されている第2の電流源とから構成されており、
    ソース電流供給手段は、
    上記第1の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第3の電流源と、
    上記第2の差動対における2つのトランジスタの共通のソースと接続されている第4の電流源とから構成されている
    ことを特徴とする請求項5記載の差動チャージポンプ回路。
  7. アップ信号又はダウン信号と同じ周期を有し、デューティ比が上記アップ信号又は上記ダウン信号の50%であるクロック信号が用いられることを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の差動チャージポンプ回路。
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