JP2014103139A - 伝導冷却超電導マグネットおよびその製造方法 - Google Patents

伝導冷却超電導マグネットおよびその製造方法 Download PDF

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Shoichi Yokoyama
彰一 横山
Hajime Tamura
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Abstract

【課題】絶縁性樹脂部のボイド内の空気が超電導コイルの外部に放出されることを抑制する。
【解決手段】真空容器110と、真空容器110内において真空容器110と所定の間隔を置いて位置する輻射シールド120と、輻射シールド120内に位置する巻枠140とを備える。また、巻枠140に巻き回された超電導線160、および、この超電導線160の周囲を覆ってこの超電導線160同士の間を埋めた絶縁性樹脂部170を含む超電導コイル1と、超電導コイル1および輻射シールド120を伝導で冷却する冷凍機130と、超電導コイル1の周囲の少なくとも外周部を覆って巻枠140との間において超電導コイル1を封止する樹脂封止部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、伝導冷却超電導マグネットおよびその製造方法に関する。
超電導コイルの外周にステンレス箔からなる補強層を設けた超電導マグネットの構成を開示した先行文献として、特開昭58―71606号公報(特許文献1)がある。
特許文献1に記載された超電導マグネットにおいては、鋼製ボビンに化合物超電導線を巻き回し、エポキシ樹脂などの含浸材を化合物超電導線の線間および層間に含浸して硬化させている。その後、巻き回した化合物超電導線の外周にNbTi合金超電導線を巻き回し、その外周にステンレス箔からなる補強層を設けている。
特開昭58―71606号公報
超電導線の線間および層間にエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を含浸硬化させて超電導線と一体に固化させることにより作製した超電導コイルにおいては、絶縁性樹脂部内に空気のボイドが存在する。超電導コイルは、極低温まで冷却され、また、強磁場を発生する。そのため、超電導コイルには、熱応力および電磁力が作用する。この熱応力または電磁力によって、絶縁性樹脂部に割れまたは剥離が発生することがある。
絶縁性樹脂部の割れまたは剥離が超電導コイルの表面まで達すると、ボイド内の空気が超電導コイルの外部に放出される。すると、超電導コイルの真空冷却が不十分となって超電導状態を維持できなくなる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、絶縁性樹脂部のボイド内の空気が超電導コイルの外部に放出されることを抑制できる、伝導冷却超電導マグネットおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に基づく伝導冷却超電導マグネットは、真空容器と、真空容器内において真空容器と所定の間隔を置いて位置する輻射シールドと、輻射シールド内に位置する巻枠とを備える。また、伝導冷却超電導マグネットは、巻枠に巻き回された超電導線、および、この超電導線の周囲を覆ってこの超電導線同士の間を埋めた絶縁性樹脂部を含む超電導コイルと、超電導コイルおよび輻射シールドを伝導で冷却する冷凍機と、超電導コイルの周囲の少なくとも外周部を覆って巻枠との間において超電導コイルを封止する樹脂封止部とを備える。
本発明によれば、絶縁性樹脂部のボイド内の空気が超電導コイルの外部に放出されることを抑制できる。
本発明の実施形態1に係る伝導冷却超電導マグネットの構成を示す断面図である。 図1の伝導冷却超電導マグネットを矢印IIから見た図である。 図1のIII部を拡大して示す図である。 超電導線に液晶の絶縁性樹脂を塗布した状態を示す断面図である。 図1のV部において絶縁性樹脂部に割れおよび剥離が生じた状態を示す断面図である。 窒素の蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。 本実施形態の第1変形例に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。 本実施形態の第2変形例に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。 本実施形態の第3変形例に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態5に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態1に係る伝導冷却超電導マグネットおよびその製造方法について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る伝導冷却超電導マグネットの構成を示す断面図である。図2は、図1の伝導冷却超電導マグネットを矢印IIから見た図である。図3は、図1のIII部を拡大して示す図である。
図1,2に示すように、本発明の実施形態1に係る伝導冷却超電導マグネット100においては、直方体状の外形を有する真空容器110内に、真空容器110と所定の間隔を置いて直方体状の外形を有する輻射シールド120が配置されている。真空容器110は、真空容器110の内部と外部とを真空断熱している。
輻射シールド120は、外部からの熱輻射による熱が後述する超電導コイル1に侵入することを防止している。本実施形態においては、輻射シールド120はアルミニウムから形成されているが、輻射シールド120の材料はこれに限られず、熱伝導性のよい材料であればよい。
輻射シールド120内に、巻枠140が固定されている。巻枠140は、筒状の巻軸141と、巻軸141の両端に連結された円板状の端板142とから構成されている。巻軸141の軸方向と2つの端板142とは直交している。巻軸141と端板142との連結部分は、隙間が生じないように連結されている。
本実施形態においては、巻軸141の軸方向が鉛直方向となるように、巻枠140が配置されている。ただし、巻枠140の向きはこれに限られず、巻軸141の軸方向が水平方向となるように、巻枠140が配置されていてもよい。また、巻枠140はステンレス鋼から形成されているが、巻枠140の材料はこれに限られない。さらに、巻枠140に電気絶縁処理が施されていてもよい。なお、巻枠140に貫通して設けられている図示しないねじ孔などは、超電導コイル1の組み立て後にエポキシ樹脂などで封止されている。
巻枠140は、真空容器110の内面と一方の端板142の上面とを繋ぐ断熱性支持部材150によって吊り下げられている。断熱性支持部材150は、輻射シールド120を貫通している。
巻枠140の巻軸141に、超電導線160が巻き回されている。超電導線160は、ニオブチタン合金からなる。ただし、超電導線160の材料は、ニオブチタン合金に限られず、たとえば、ニオブ錫合金などでもよい。
超電導線160の巻き始め端側161は、真空容器110の外側に引き出されている。真空容器110には、超電導線160の巻き始め端側161を引き出しつつ気密性を維持する引出口111が設けられている。超電導線160の巻き始め端側161は、輻射シールド120、一方の端板142および後述する熱伝導部材190を貫通している。
また、超電導線160の巻き終り端側162は、真空容器110の外側に引き出されている。真空容器110には、超電導線160の巻き終り端側162を引き出しつつ気密性を維持する引出口112が設けられている。超電導線160の巻き終り端側162は、輻射シールド120、一方の端板142および後述する熱伝導部材190を貫通している。
超電導線160は、絶縁性樹脂部170によって、周囲を覆われて超電導線160同士の間を埋められている。絶縁性樹脂部170においては、エポキシ樹脂などの絶縁性樹脂が硬化して一体になっている。一体に固化した超電導線160と絶縁性樹脂部170とから、超電導コイル1が構成されている。
伝導冷却超電導マグネット100は、冷凍機130を備えている。冷凍機130は、2段の冷却部を有している。冷凍機130の第1段部131は、輻射シールド120と接触している。冷凍機130の第2段部132は、銅などからなる熱伝導部材190および巻枠140を介して超電導コイル1と間接的に接触している。
図1,2に示すように、熱伝導部材190は、巻枠140における一方の端板142の上面および他方の端板142の下面と、冷凍機130の第2段部132とに接するように設けられている。熱伝導部材190の端板142と接する部分は、平面視において、端板142の形状と略同等の円形である。
本実施形態においては、図1,3に示すように、超電導コイル1の外周部が、樹脂封止部で覆われている。樹脂封止部は、超電導コイル1に樹脂フィルム180が接着剤181,182によって貼り付けられることにより構成されている。本実施形態においては、樹脂フィルム180はポリエステルからなるが、樹脂フィルム180の材料はこれに限られず、ポリエチレンテレフタレートまたはポリイミドなどの低温で破壊しにくい封止樹脂であればよい。
接着剤181,182は、低温でも接着強度が強く割れにくいエポキシ系の接着剤である。具体的には、日東シンコー製のニトフィックス(登録商標)、Emerson&Cuming製のSTYCAST2850、または、ナガセケムテックス製のXN1244などを接着剤181,182として用いることができる。
接着剤181は、超電導コイル1の外周面に一様に塗布されている。接着剤182は、樹脂フィルム180と端板142との間を塞ぐように、接着剤181の外側に塗り足されている。
樹脂封止部は、一方の端板142と他方の端板142との間を塞ぐように設けられている。よって、超電導コイル1は、巻枠140の巻軸141と2つの端板142と樹脂封止部とによって囲まれている。すなわち、樹脂封止部と巻枠140との間において超電導コイル1が封止されている。
以下、伝導冷却超電導マグネットの製造方法について説明する。
一般的に、超電導コイルを製作する際、巻枠に巻き回した超電導線を一体化する。特に、超電導コイルを真空中に配置する伝導冷却超電導マグネットにおいては、超電導線同士の間の冷却を促進するために、超電導線同士の間にエポキシ樹脂などの絶縁性樹脂を充填して超電導線を一体化する。
この絶縁性樹脂を充填する従来の方法として、真空含浸方式がある。真空含浸方式においては、まず、真空装置内に配置された浸漬用容器内に液状の絶縁性樹脂を投入する。真空装置内を真空引きしつつ、巻枠に巻き回された超電導線を浸漬用容器内に浸漬する。その状態で、真空装置内を大気雰囲気に開放する。その結果、大気圧によって、超電導線同士の間に液状の絶縁性樹脂が浸透して充填される。
本実施形態に係る伝導冷却超電導マグネットの製造方法においては、真空含浸方式ではなく塗り巻き方式によって絶縁性樹脂を充填する。
塗り巻き方式においては、超電導線160を巻枠140に巻き回す直前に、超電導線160の表面に液状の絶縁性樹脂を塗布する。図4は、超電導線に液晶の絶縁性樹脂を塗布した状態を示す断面図である。図4に示すように絶縁性樹脂部170となる液状の絶縁性樹脂を塗布した超電導線160を、巻枠140に巻き回す。
塗り巻き方式は、真空含浸方式とは異なり、真空含浸装置を必要としないため、簡易に絶縁性樹脂を充填することができるとともに、大型の超電導コイルの作製にも対応できる。また、真空含浸方式においては、浸漬用容器を満たす量の絶縁性樹脂が必要であるが、塗り巻き方式においては、充填に必要な量だけの絶縁性樹脂を用意すればよいため、塗り巻き方式の方が真空含浸方式より絶縁性樹脂を効率よく利用できる。
さらに、真空含浸方式においては、超電導線160同士の間の狭い隙間に絶縁性樹脂を浸透させるために、粘度の低い絶縁性樹脂を使用しなくてはならない。絶縁性樹脂の熱伝導率、接着強度および線膨張係数を改善するために用いる粉末添加剤(フィラー)を絶縁性樹脂に添加すると、絶縁性樹脂の粘度が増加するため、真空含浸方式では粉末添加剤の添加が制限されて絶縁性樹脂の特性改善を十分に行うことができない。
一方、塗り巻き方式においては、絶縁性樹脂の粘度の影響をほとんど受けないため、粉末添加剤を用いて、絶縁性樹脂の特性改善を十分に行うことができる。その結果、好適な絶縁性樹脂部170を得ることができる。
塗り巻き方式にて超電導線160を巻き回した後、絶縁性樹脂を加熱して硬化させて超電導線160と一体に固化させることにより超電導コイル1を形成する。これにより形成された絶縁性樹脂部170は、巻枠140とも接着している。
その後、超電導コイル1外周部に接着剤181を塗布して封止樹脂である樹脂フィルム180を貼り付ける。さらに、接着剤182を塗布することにより、樹脂フィルム180および接着剤181,182からなる樹脂封止部と巻枠140とによって超電導コイル1を封止する。
以下、伝導冷却超電導マグネット100において磁場を発生させる際の動作について説明する。
まず、超電導コイル1を超電導状態にするために、真空容器110内を減圧して真空引きする。その後、冷凍機130を稼動させる。輻射シールド120は、冷凍機130の第1段の冷却部により約60Kまで冷却される。超電導コイル1は、冷凍機130の第2段の冷却部により、最終的に4K以下の温度まで冷却される。
輻射シールド120および超電導コイル1が十分冷却された後、図示しない外部の電源装置から超電導コイル1に電流を流すことにより、強磁場を発生させる。
このように、超電導コイル1は、極低温まで冷却され、また、強磁場を発生する。そのため、超電導コイル1には、熱応力および電磁力が作用する。この熱応力または電磁力によって、絶縁性樹脂部170に割れまたは剥離が発生することがある。
図5は、図1のV部において絶縁性樹脂部に割れおよび剥離が生じた状態を示す断面図である。図5に示すように、絶縁性樹脂部170には、塗り巻き時に絶縁性樹脂中に混入した空気からなるボイド171が多数存在する。
超電導コイル1が極低温まで冷却されて、巻枠140と超電導線160と絶縁性樹脂部170との熱収縮率の差により生じる熱応力が、絶縁性樹脂部170の破壊強度を超えると、絶縁性樹脂部170に亀裂172が発生してボイド171同士が繋がることがある。
また、熱応力が絶縁性樹脂部170の接着力を超えると、巻枠140と絶縁性樹脂部170とが剥離して亀裂173が形成されることがある。この亀裂173は、端板142の表面に沿って進展する。
亀裂172と亀裂173とが繋がると、超電導コイル1内の複数のボイド171内に閉じ込められていた空気10が、超電導コイル1の亀裂172,173を通過して移動可能となる。
この亀裂172,173の発生現象は、超電導コイル1を通電励磁することにより超電導コイル1に作用する電磁力によって増長される。
仮に、亀裂172,173が発生した場合においても、通常運転時において超電導コイル1が約10K以下に冷却されている間は、ボイド171内の空気が固化しているため、亀裂172,173を移動する空気の量は少ない。
図6は、窒素の蒸気圧と温度との関係を示すグラフである。図6においては、縦軸に窒素の蒸気圧、横軸に窒素の温度を示している。
図6に示すように、空気の大部分を占める窒素においては、温度が33Kを超えると、蒸気圧が0.1Paを超える。仮に、真空容器110内の真空度が0.1Paを超えた場合、ガス分子の熱伝導の影響が現れて超電導コイル1の熱負荷が増加し、超電導コイル1の再冷却に支障が出る可能性がある。
ここで、絶縁性樹脂部170のボイド171内の空気10が、真空容器110内の真空度にどの程度影響を及ぼし得るか検討する。たとえば、真空容器110の容積を0.2m3とする。容積が0.02m3である超電導コイル1において、絶縁性樹脂部170の占積率が10%、絶縁性樹脂部170におけるボイド含有率が2%、発生した亀裂172,173によって繋がるボイドの割合を10%とする。
この場合、真空度に影響するボイド171の絶縁性樹脂部170における含有率は0.2%であり、このボイド171に含まれる空気10の体積は、0.02(m3)×0.1×0.002=4×10-63である。ボイド171から真空容器110内に放出される空気10の圧力を1気圧=101325Paとすると、真空容器110内の真空度は、101325×4×10-6÷0.2=2.0Paとなる。
真空容器110内の真空度が低下すると、外部から真空容器110内に侵入する熱量が急増する。仮に、真空度が2.0Paまで低下した場合、冷凍機130の冷凍能力によって超電導コイル1を再び極低温状態まで冷却することは難しい。
そこで、本実施形態に係る伝導冷却超電導マグネット100においては、樹脂封止部を設けている。上記のように、樹脂封止部は、超電導コイル1に樹脂フィルム180が接着剤181,182によって貼り付けられることにより構成されている。
従来の超電導マグネットのようにステンレス箔からなる補強層を設けた場合と、本実施形態の伝導冷却超電導マグネット100のようにポリエステルからなる樹脂フィルム180を貼り付けた場合とを比較すると、極低温状態における熱収縮率は下記の表1に示すとおりである。
Figure 2014103139
表1に示すように、室温から4Kまで冷却した際、超電導コイル1の熱収縮率は−0.52%、SUS304の熱収縮率は−0.30%、ポリエステルの熱収縮率は−0.60%である。
よって、ステンレス箔からなる補強層の熱収縮率に対して、超電導コイル1の熱収縮率は0.22%だけ大きい。ポリエステルからなる樹脂フィルム180の熱収縮率に対して、超電導コイル1の熱収縮率は0.08%だけ小さい。
ステンレス箔からなる補強層のように超電導コイル1に対して熱収縮率に大きな差がある場合、超電導コイル1と補強層との間に大きな熱応力が発生する。この大きな熱応力によって、超電導コイル1と補強層との間に剥離が生じることがある。
一方、樹脂フィルム180のように超電導コイル1に対して熱収縮率の差が小さい場合、超電導コイル1と樹脂フィルム180との間に発生する熱応力は小さい。よって、接着剤181に負荷される熱応力が小さいため、樹脂フィルム180と超電導コイル1との間に剥離が生じにくい。
また、樹脂は金属に比較して弾性係数が小さいため、樹脂フィルム180はステンレス箔からなる補強層より大きな変形能を有する。この変形能の違いによっても、超電導コイル1との間に発生する熱応力は、ステンレス箔からなる補強層に比較して樹脂フィルム180の方が小さくなる。
これらのことから、本実施形態に係る伝導冷却超電導マグネット100のように樹脂フィルム180を含む樹脂封止部を設けることにより、超電導コイル1と樹脂封止部との間に剥離が生ずることを抑制することができる。
その結果、絶縁性樹脂部170内のボイド171から亀裂172,173を通過した空気10の移動を樹脂封止部で遮断して、真空容器110内に空気10が放出されることを抑制できる。
さらに、本実施形態に係る伝導冷却超電導マグネット100においては、樹脂フィルム180と端板142との間に接着剤182を塗布しているため、超電導コイル1と樹脂フィルム180とが剥離することをさらに抑制することができる。また、絶縁性樹脂部170内のボイド171から亀裂172,173を通過した空気10が、樹脂フィルム180と端板142との間から真空容器110内に放出されることを抑制できる。
本実施形態のように樹脂封止部を設けることにより、従来の補強層を設けた場合と比較して、伝導冷却超電導マグネット100の軽量化および低コスト化を図ることができる。
なお、本実施形態においては、液状の絶縁性樹脂を超電導線160に塗布して塗り巻きを行なったが、絶縁性樹脂のプリプレグを周囲に巻き付けた超電導線160を巻枠140に巻き回してもよい。この場合にも、プリプレグを加熱して融解させた後で本硬化させることにより、超電導線160と絶縁性樹脂とを一体に固化させて超電導コイル1を構成することができる。
以下、本実施形態の変形例に係る超電導マグネットについて説明する。図7は、本実施形態の第1変形例に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。図8は、本実施形態の第2変形例に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。
第1変形例および第2変形例の超電導マグネットは、熱伝導部材の形状および配置が実施形態1に係る超電導マグネットとは主に異なる。そのため、他の構成については、説明を繰り返さない。
図7に示すように、本実施形態の第1変形例に係る超電導マグネットにおいては、熱伝導部材191が、巻枠140における一方の端板142の下面および他方の端板142の上面と、冷凍機130の第2段部132とに接するように設けられている。熱伝導部材191の端板142と接する部分は、平面視において、端板142の形状と略同等の円形である。
超電導線160は、熱伝導部材191同士の間において、巻軸141に巻き回されている。樹脂封止部は、一方の熱伝導部材191と他方の熱伝導部材191との間を塞ぐように設けられている。接着剤182は、樹脂フィルム180と熱伝導部材191との間を塞ぐように、接着剤181の外側に塗り足されている。
この場合も、超電導コイル1は、巻枠140の巻軸141と2つの端板142と樹脂封止部とによって囲まれている。すなわち、樹脂封止部と巻枠140との間において超電導コイル1が封止されている。
第1変形例の超電導マグネットにおいては、熱伝導部材191を介して冷凍機130により超電導コイル1を冷却することができる。
図8に示すように、本実施形態の第2変形例に係る超電導マグネットにおいては、熱伝導部材192が、樹脂フィルム180の外周部と、冷凍機130の第2段部132とに接するように設けられている。
第2変形例の超電導マグネットにおいては、熱伝導部材192および樹脂封止部を介して冷凍機130により超電導コイル1を冷却することができる。
図9は、本実施形態の第3変形例に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。第3変形例の超電導マグネットは、樹脂フィルムの形状および配置のみ実施形態1に係る超電導マグネットとは異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
図9に示すように、第3変形例の超電導マグネットにおいては、樹脂フィルム180によって超電導コイル1の外周部および巻枠140の外表面を覆っている。第3変形例の超電導マグネットにおいては、端板142と接着剤181との接着部が樹脂フィルム180によって覆われているため、接着剤182を塗布する必要がない。
このようにした場合にも、絶縁性樹脂部170内のボイド171から亀裂172,173を通過した空気10の移動を樹脂封止部で遮断して、真空容器110内に空気10が放出されることを抑制できる。
以下、本発明の実施形態2に係る超電導マグネットについて説明する。
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。図10においては、図3で示す部分に相当する部分を示している。
図10に示すように、本発明の実施形態2に係る超電導マグネットにおいては、樹脂封止部は、超電導コイル1に樹脂系接着剤183を含浸したガラスクロス184が樹脂系接着剤183によって貼り付けられることにより構成されている。
本実施形態においては、樹脂系接着剤183として、エポキシ系の接着剤を用いている。液状の樹脂系接着剤183をガラスクロス184に含浸させることにより、樹脂系接着剤183とガラスクロス184とを強固に密着させることができる。そのため、実施形態1の樹脂フィルム180と接着剤181との接着力に比較して、樹脂系接着剤183とガラスクロス184との接着力を高くすることができる。
その結果、樹脂封止部での剥離の発生を抑制することができる。本実施形態に係る超電導マグネットにおいては、絶縁性樹脂部170内のボイド171から亀裂172,173を通過した空気10の移動を樹脂封止部でより確実に遮断して、真空容器110内に空気10が放出されることを抑制できる。
なお、樹脂系接着剤183をガラスクロス184に含浸させる際に真空含浸法を用いれば、樹脂系接着剤183内にできたボイド内に空気が存在しないため、真空容器110内の真空度を維持するために好ましい。
以下、本発明の実施形態3に係る超電導マグネットについて説明する。
(実施形態3)
図11は、本発明の実施形態3に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。図11においては、図3で示す部分に相当する部分を示している。
図11に示すように、本発明の実施形態3に係る超電導マグネットにおいては、樹脂封止部は、超電導コイル1にシリコンシーラント185,186が塗布されることにより構成されている。
具体的には、超電導コイル1の外周部にシリコンシーラント185を塗布し、シリコンシーラント185と端板142との接着部を覆うようにシリコンシーラント186をシリコンシーラント185の外側に塗り足している。
シリコンシーラントは、実施形態1の接着剤181として用いたエポキシ系の接着剤と比較して、低温での弾性変形能が大きい。そのため、実施形態1のように樹脂フィルム180を配置しなくても、絶縁性樹脂部170内のボイド171から亀裂172,173を通過した空気10の移動を樹脂封止部で遮断して、真空容器110内に空気10が放出されることを抑制できる。
シリコンシーラント185,186としては、Silicones製のCAF4を用いることができる。
なお、実施形態1の接着剤181,182をシリコンシーラント185,186に置換してもよい。すなわち、本実施形態において、樹脂フィルム180を超電導コイル1の外周部に配置してもよい。
以下、本発明の実施形態4に係る超電導マグネットについて説明する。
(実施形態4)
図12は、本発明の実施形態4に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。
図12に示すように、本発明の実施形態4に係る超電導マグネットにおいては、樹脂封止部は、超電導コイル1に封止樹脂が真空含浸法により成膜されることにより構成されている。
具体的には、巻枠140の外周に金属製の筒143を配置し、超電導コイル1を巻枠140と筒143とで囲む。巻枠140と筒143とで囲まれた空間に、封止樹脂としてエポキシ樹脂を真空含浸して硬化させる。それにより、超電導コイル1の外周部に、樹脂封止部である封止樹脂膜187が形成される。
本実施形態においては、超電導コイル1と封止樹脂膜187との間に界面が存在するため、絶縁性樹脂部170に発生した亀裂172,173と封止樹脂膜187に発生した亀裂が繋がりにくく、真空容器110内に空気10が放出されることを抑制できる。
また、封止樹脂膜187は、真空含浸法で形成されているため、封止樹脂膜187内にできたボイド内に空気が存在せず、真空容器110内の真空度を維持するために好ましい。
以下、本発明の実施形態5に係る超電導マグネットについて説明する。
(実施形態5)
図13は、本発明の実施形態5に係る超電導マグネットの構成の一部を示す断面図である。
図13に示すように、本発明の実施形態5に係る超電導マグネットにおいては、超電導コイル1における超電導線160の引き出し部にハーメチックシール構造をさらに備える。
ハーメチックシール構造は、端板142における超電導線160の引き出し部に設けられている。ハーメチックシール構造は、金属筒144と、金属筒144内に充填された絶縁性の充填部材188と、充填部材188を金属筒144内に閉じ込める口金部189とからなる。
超電導線160の巻き始め端側161および巻き終り端側162がハーメチックシール構造を通過して引き出されることにより、絶縁性樹脂部170内のボイド171から亀裂172,173を通過した空気10の移動をハーメチックシール構造で遮断して、真空容器110内に空気10が放出されることを抑制できる。本実施形態は、実施形態1〜4のいずれか1つと適宜組み合わせ可能である。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 超電導コイル、10 空気、100 伝導冷却超電導マグネット、110 真空容器、111,112 引出口、120 輻射シールド、130 冷凍機、131 第1段部、132 第2段部、140 巻枠、141 巻軸、142 端板、143 筒、144 金属筒、150 断熱性支持部材、160 超電導線、161 巻き始め端側、162 巻き終り端側、170 絶縁性樹脂部、171 ボイド、172,173 亀裂、180 樹脂フィルム、181,182 接着剤、183 樹脂系接着剤、184 ガラスクロス、185,186 シリコンシーラント、187 封止樹脂膜、188 充填部材、189 口金部、190,191,192 熱伝導部材。

Claims (7)

  1. 真空容器と、
    前記真空容器内において前記真空容器と所定の間隔を置いて位置する輻射シールドと、
    前記輻射シールド内に位置する巻枠と、
    前記巻枠に巻き回された超電導線、および、該超電導線の周囲を覆って該超電導線同士の間を埋めた絶縁性樹脂部を含む超電導コイルと、
    前記超電導コイルおよび前記輻射シールドを伝導で冷却する冷凍機と、
    前記超電導コイルの周囲の少なくとも外周部を覆って前記巻枠との間において前記超電導コイルを封止する樹脂封止部とを備える、伝導冷却超電導マグネット。
  2. 前記樹脂封止部は、前記超電導コイルに樹脂フィルムが接着剤によって貼り付けられることにより構成されている、請求項1に記載の伝導冷却超電導マグネット。
  3. 前記樹脂封止部は、前記超電導コイルに樹脂系接着剤を含浸したガラスクロスが該樹脂系接着剤によって貼り付けられることにより構成されている、請求項1に記載の伝導冷却超電導マグネット。
  4. 前記樹脂封止部は、前記超電導コイルにシリコンシーラントが塗布されることにより構成されている、請求項1に記載の伝導冷却超電導マグネット。
  5. 前記樹脂封止部は、前記超電導コイルに封止樹脂が真空含浸法により成膜されることにより構成されている、請求項1に記載の伝導冷却超電導マグネット。
  6. 前記超電導コイルにおける前記超電導線の引き出し部にハーメチックシール構造をさらに備えた、請求項1から5のいずれかに記載の伝導冷却超電導マグネット。
  7. 真空容器内において該真空容器と所定の間隔を置いて位置する輻射シールドの内側に配置された巻枠に、絶縁性樹脂を塗布した超電導線を巻き回す工程と、
    前記超電導線を巻き回す前記工程の後、前記絶縁性樹脂を加熱して硬化させて前記超電導線と一体に固化させることにより超電導コイルを形成する工程と、
    前記超電導コイルの周囲の少なくとも外周部を封止樹脂により覆って、前記巻枠との間において前記超電導コイルを封止する工程と
    を備える、伝導冷却超電導マグネットの製造方法。
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