JP2014102922A - 採暖用温度制御装置 - Google Patents

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卓志 野村
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Abstract

【課題】正の温度係数を有する金属製の温度検知素線と負の温度係数を有し所定の温度で溶融する高分子感熱層と高分子感熱層に接触する電極素線とが適切に配置され一体化されてなるコード状発熱線を具備する温度制御装置であって、温度検知素線と高分子感熱層との2つの温度情報を持つ信号を用いることにより、温度制御と広範な局部過熱検知を可能とし、経済的にも優れた採暖用温度制御装置を提供する。
【解決手段】温度検知素線4からの温度情報を持つ電気信号によりコード状発熱線1Hの温度を制御するとともに、温度検知素線4からの温度情報を持つ電気信号より変換された温度と高分子感熱層3からの温度情報を持つ電気信号より変換された温度との差分を検知し、その差分が一定の値を超えた場合、発熱素線2への通電を停止し、コード状発熱線1Hに発生した局部過熱を早期に検知して安全性を確保する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気毛布、電気カーペットなどの面状採暖具に用いられる採暖用温度制御装置に関する。
一般に電気毛布、電気カーペットなどの面状採暖具に用いられるコード状発熱線と温度制御装置はよく知られており、特に近年大部分の電気カーペットに普及している1線式コード状発熱線温度制御装置に関し、その構成体である1線式コード状発熱線の構造と温度制御装置の動作には次のようなものがある。
従来既知となっている1線式コード状発熱線の代表的な構造を図3及び図4と表4に示す。
まず、1線式コード状発熱線11H(従来例1)は図3及び表4に示すように、ポリエステル繊維等の繊維束の巻芯1と、巻芯1の外周に銅または銅合金の導体を螺旋状に捻回した発熱素線2と、発熱素線2の外周に固有の融点で溶融する高分子層3aと、高分子層3aの外周にニッケルなどの導体を螺旋状に捻回した温度検知素線4aと、最外周にポリ塩化ビニル樹脂等を押出し成形した絶縁被覆層5とからなっている。
なお、必要に応じて温度検知素線4aと絶縁被覆層5の間にポリエステルテープを螺旋状に捻回し、絶縁被覆層5からの可塑剤移行に対するバリア層が設けられる場合がある。また、発熱素線2と温度検知素線4aが逆配置のものが一部見受けられる。
このような構造のコード状発熱線11Hに於いて、加熱による温度変化が正の温度係数を有するニッケルからなる温度検知素線4aの抵抗値を変化させ、その変化は電気信号に変換されて取り出され温度制御用として使用される。尚、ニッケル線による温度検知素線4aは、抵抗値も温度係数も値は小さいながら精度は高く安定しており、長期間にわたって安定した精度の高い温度制御が実現されている。
高分子層3aは固有の融点を持ち、コード状発熱線11Hが過熱状態になると高分子層3aは溶融し、発熱素線2と温度検知素線4aが接触する所謂線間短絡保護機能として働く。即ち、1線式コード状発熱線11Hに於いては、発熱素線2と温度検知素線4aは短絡検知用電極を兼ねている。
Figure 2014102922
1線式コード状発熱線11Hの温度制御と線間短絡保護の動作は、図5に示すような回路接続で実現される。
温度制御動作は、温度検知素線4aの抵抗変化が抵抗器R1とR2で分圧され、更に抵抗器R5と電解コンデンサC1により平滑され、電圧比較器U1のマイナス端子に入力され、予め設定された温度に相当する基準電圧Vref1と比較され、電圧比較器U1より比較結果が出力され、電力制御スイッチSWの開閉が駆動され発熱素線2への通電が制御される。
ここで符号STBは、低電圧化された安定化電源であり温度制御部に供給される(以下、同様とする)。
線間短絡保護機能の動作は、温度検知素線4aの両端にダイオードD1とD2のアノードが各々接続され、ダイオードD1、D2のカソードはまとめて温度ヒューズ一体形抵抗器RF1の一端に接続され、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1の他端が温度ヒューズF1を介してAC100Vの一端に接続されて構成される。
ここで、温度制御部が破損し制御不能に陥った場合、電力制御スイッチSWがONのままとなる場合があり、発熱素線2への通電が連続となりコード状発熱線11Hの全体が過熱状態になるので、かなり広範囲の部分に於いて高分子層3aが固有の融点で溶融し、発熱素線2と温度検知素線4aが何れかの箇所で接触し、「AC電源N点→発熱素線2→温度検知素線4a→D1又はD2→RF1→F1→AC電源H点」の経路で100mA〜300mAの大きな電流が流れ、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1が加熱され所定時間内に温度ヒューズF1が溶断し電源が遮断され、火災の発生を防止する最終的保護回路が構成される。
次に、1線式コード状発熱線12H(従来例2)は図3及び表4に示すように、ポリエステル繊維等の繊維束の巻芯1と、巻芯1の外周に銅または銅合金の導体を螺旋状に捻回した発熱素線2と、発熱素線2の外周に固有の融点で溶融する高分子感熱層3bと、高分子感熱層3bの外周に銅または銅合金の導体を螺旋状に捻回した電極素線4bと、最外周にポリ塩化ビニル樹脂等を押出し成形した絶縁被覆層5とからなっている。
なお、必要に応じて電極素線4bと絶縁被覆層5の間にポリエステルテープを螺旋状に捻回し、絶縁被覆層5からの可塑剤移行に対するバリア層が設けられる場合がある。また、発熱素線2と電極素線4bが逆配置のものが一部見受けられる。
ここで、高分子感熱層3bの温度に対する電気的特性は、温度上昇に伴い交流インピーダンスが減少する所謂負温度係数サーミスタ特性の形を示し、感度性能を表すB定数は概ね1000Kから11000K程度を示す。尚、高分子感熱層3bの高温側の温度係数は、一般にニッケル線の温度係数の10倍以上である。
このような構造のコード状発熱線12Hに於いて、加熱による温度変化が高分子感熱層3bの交流インピーダンスを変化させ、その変化は電気信号に変換されて取り出され温度制御用として利用される。
高分子感熱層3bは固有の融点を持ち、コード状発熱線12Hが過熱状態になると高分子層3bは溶融し、発熱素線2と電極素線4bが接触する所謂線間短絡保護機能として働く。即ち、1線式コード状発熱線12Hに於いては、発熱素線2と電極素線4bは短絡検知用電極を兼ねている。
1線式コード状発熱線12Hの温度制御と線間短絡保護の動作は、図6に示すような回路接続で実現される。
温度制御動作は、高分子感熱層3bのインピ−ダンス変化が、抵抗器R3、R4で低電圧に分圧され、更にダイオードD3と電解コンデンサC2により平滑され、小さな直流成分として電圧比較器U1のマイナス端子に入力され、予め設定された温度に相当する基準電圧Vref1と比較され、電圧比較器U1より比較結果が出力され、電力制御スイッチSWの開閉が駆動され発熱素線2への通電が制御される。
線間短絡保護機能の動作は、電極素線4bの両端にダイオードD1とD2のアノードが各々接続され、ダイオードD1、D2のカソードはまとめて温度ヒューズ一体形抵抗器RF1の一端に接続され、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1の他端が温度ヒューズF1を介してAC100Vの一端に接続されて構成される。
ここで、温度制御部が破損し制御不能に陥った場合、電力制御スイッチSWがONのままとなる場合があり、発熱素線2への通電が連続となりコード状発熱線12Hの全体が過熱状態になるので、かなり広範囲の部分に於いて高分子感熱層3bが固有の融点で溶融し、発熱素線2と電極素線4bが何れかの箇所で接触し、「AC電源N点→発熱素線2→電極素線4b→D1又はD2→RF1→F1→AC電源H点」の経路で100mA〜300mAの大きな電流が流れ、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1が加熱され所定時間内に温度ヒューズF1が溶断し電源が遮断され、火災の発生を防止する最終的保護回路が構成される。
更に、1線式コード状発熱線制御装置の別の形態として、図4及び表4に示す構造のコード状発熱線13H(従来例3)が開示されている(特許文献8に対応)。
同図に於いて、ポリエステル繊維等の繊維束の巻芯1と、巻芯1の外周に銅または銅合金の導体を螺旋状に捻回した発熱素線2と、発熱素線2の外周に高分子感熱樹脂を押出し成形してなる高分子感熱層3bと、高分子感熱層3bの外周に、絶縁被覆された温度検知素線4cと裸の金属線からなる電極素線4bとの2線条が相互の間隔を設けて一定のピッチで螺旋巻きされ、その外周が絶縁被覆層5で絶縁されてコード状発熱線13Hとされる。なお、電極素線4bは、特許文献8に於いて信号線と呼ばれているものである。
必要に応じて温度検知素線4c及び電極素線4bと絶縁被覆層5の間にポリエステルテープを螺旋状に捻回し、絶縁被覆層5からの可塑剤移行に対するバリア層が設けられる場合がある。また、発熱素線2と温度検知素線4c及び電極素線4bの2線条とが逆に配置されているものがある。
ここで、高分子感熱層3bの温度に対する電気的特性は、温度の上昇に伴い交流インピーダンスが減少する所謂負温度係数サーミスタ特性の形を示し、感度性能を表すB定数は概ね1000Kから10000K程度で、その高温側の温度係数は一般にニッケル線の温度係数の10倍以上大きい。
このような構造のコード状発熱線13Hに於いて、加熱による温度変化が温度検知素線4cの抵抗値と高分子感熱層3bの交流インピーダンスを変化させ、それらの変化が、前者は温度検知素線4cの両端から、後者は発熱素線2と電極素線4bの間から各々電気信号に変換されて取り出され温度制御用と過熱防止用として使用される。
高分子感熱層3bは固有の融点を持ち、コード状発熱線13Hが過熱状態になると高分子感熱層3bは溶融し、発熱素線2と電極素線4bが接触する所謂線間短絡保護機能として働く。即ち、1線式コード状発熱線13Hに於いては、発熱素線2と電極素線4bは短絡検知用電極を兼ねている。
ここで、特許文献8の段落〔0040〕に、前述の1線式コード状発熱線の温度制御について次のような記述がある。
「従って、本発明のヒータ線は絶縁ニッケル線の抵抗温度係数を利用した温度検知機能と熔断,感温層のサーミスタB定数を利用した温度検知機能と熔断機能(回路ヒューズ機能)の三つの機能を有するので、例えば0〜40℃位の温度領域の温度検知は広い温度範囲に渡り抵抗変化率が一定の絶縁ニッケル線に、また40℃近辺より上の温度領域はこの温度範囲でインピーダンス変化率が大きい熔断,感温層に分担させ、両者を併用することにより精度の高い温度制御が可能となる。また局部昇温等による異常時の温度上昇を敏感に捉えることが出来るようになり、更に異常時には熔断,感温層を熔断させることができる。」
上述の内容を一般的な制御回路図に展開すると図7に示すようになり、これに基づき具体的に更に詳しく説明する。
同図に於いて、低温領域では絶縁被覆された温度検知素線4cからの信号は、抵抗器R1及びR2で分圧され、更に抵抗器R5と電解コンデンサC1により平滑され、電圧比較器U1−Aのマイナス端子に入力され、予め設定された低温側の温度に相当する基準電圧Vref1と比較され、電圧比較器U1−Aより比較結果が出力され、電力制御スイッチSWの開閉が駆動され発熱素線2への通電が制御される。
次に、高温領域では高分子感熱層3bからの信号は抵抗器R3及びR4で分圧され、更にダイオードD3と電解コンデンサC2により平滑され、小さな直流成分として電圧比較器U1−Bのマイナス端子に入力され、線間短絡の発生よりずっと手前の予め設定された過熱防止用の温度に相当する基準電圧Vref2と比較され、電圧比較器U1−Bより比較結果が出力され、電力制御スイッチSWの開閉が駆動され発熱素線2への通電が制御される。
このように、図7に示した温度制御装置によれば、絶縁被覆された温度検知素線4cは他の部分と電気的に独立しており、その両端からは純粋な低温側の温度信号のみを検出し正確な温度制御を実現できるとともに、高分子感熱層3bからの温度信号は、発熱素線2と電極素線4bの間から温度検知素線4cの温度信号の混入なく純粋に高温側の高感度温度信号を検出できるので、過熱が進み高分子感熱層3bが溶融し発熱素線2と電極素線4bとが接触する所謂線間短絡の発生よりずっと手前の過熱防止用の設定温度で発熱素線2への通電を遮断し、線間短絡保護回路の安易な作動を予防できるとするのが特許文献8の主目的である。これ以降、前述の加熱防止の動作を単純過熱防止機能と呼ぶ。
尚、電圧比較器U1−AとU1−Bの出力は、一般的にはAND回路を通して電力制御スイッチSWが駆動される。
しかし、単純過熱防止機能を備えても温度制御部自身が故障する場合もあり、その時は高分子感熱層3bが溶融し発熱素線2と電極素線4bの間の線間短絡が発生するので、従来と同様な線間短絡保護回路を設け、火災の発生を防止する最終的保護回路を構成することができる。
線間短絡保護機能は、電極素線4bの両端にダイオードD1とD2のアノードが各々接続され、ダイオードD1、D2のカソードはまとめて温度ヒューズ一体形抵抗器RF1の一端に接続され、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1の他端が温度ヒューズF1を介してAC100Vの一端に接続されて構成される。
ここで、温度制御部が破損し制御不能に陥った場合、電力制御スイッチSWがONのままとなる場合があり、発熱素線2への通電が連続となりコード状発熱線13Hの全体が過熱状態になるので、広範囲の部分に於いて高分子感熱層3bが固有の融点で溶融し、発熱素線2と電極素線4bが何れかの箇所で接触し、「AC電源N点→発熱素線2→電極素線4b→D1又はD2→RF1→F1→AC電源H点」の経路で100mA〜300mAの大きな電流が流れ、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1が加熱され所定時間内に温度ヒューズF1が溶断し電源が遮断され、火災の発生を防止する最終的保護回路が構成される。
このような従来形の電気カーペットの1線式コード状発熱線温度制御装置の温度制御機能と線間短絡保護機能では、高温側でかなり高感度の温度検知と制御を実施しても、コード状発熱線から表皮カバーにかけての局部過熱によるコイン状コゲの発生を防止できていないのが現状である。
上記説明と機能、材料や回路構成が類似するものとして特許文献1〜9が挙げられる。
特開昭48−66480号公報 特開昭52−27594号公報 特開平6−5175号公報 特開平7−216174号公報 特開2004−221443号公報 特開平5−3071号公報 特開平5−306819号公報 特開平6−124771号公報 米国特許第6310332号明細書
近年、電気毛布や電気カーペットに於いて、大面積化とともに視覚や感触の面から生地やカバーが厚手になる一方、単位面積当たりのコード状発熱線の布線密度は少なめにすると云う市場の強いコストダウン要求と長期にわたる経時変化の少ない安定した温度制御の実現と云う2つの要求により、前述のように1線式コード状発熱線制御装置の形態から抜け出せず、局部過熱によるコイン状コゲが孕む発煙、火災発生の危険性に対して有効な保護機能が装備されていないことが大きな問題になっている。
なお、現在市場に於いて1線式コード状発熱線にコイン状の局部過熱が発生すると言われている原因は、次の2つである。それは、
(1)座布団などの断熱材により局部保温・加熱され、ポリエステル巻芯が熱収縮する部分と、局部保温外の熱収縮しない部分との境界で発熱素線に大きな張力が掛かった場合
(2)発熱素線に外部から大きな衝撃や剪断力が掛かった場合
であり、発熱素線の微小部分の金属疲労と脆化から抵抗値の増加が起り、通電による自己加熱が大幅に増加してコイン状のコゲが発生すると推測されている。
以下、前述の背景技術の項で説明した各1線式コード状発熱線と温度制御装置の抱える局部過熱に関する課題を詳しく説明する。
〔1線式コード状発熱線11Hの温度制御装置の場合について〕
図5の温度制御装置に於いて、1線式コード状発熱線11Hの全長をL、局部過熱されている部分の長さと全長L当たりの抵抗値を各々Lh、Rh、局部過熱されていない部分の長さと全長L当たりの抵抗値を各々Ln、Rnとし、温度検知素線4aの両端から見た全長Lの抵抗値がRsで温度制御されている場合、前記両部分の抵抗値は直列接続となるので、次の関係式が成り立つ。
尚、前記抵抗値RhとRnは、発熱素線2の発熱状態を反映したものに他ならない。
Rs=Rn×(Ln/L)+Rh×(Lh/L) ・・・(1)
L=Ln+Lh ・・・(2)
数式(2)を数式(1)に代入し、整理すると
Rs×L=Rn×Ln+Rh×Lh=Rn×(L−Lh)+Rh×Lh・・・(3)
となる。
ここで、Rs、Lはあらゆる条件下で既知の量として捉えることはできるが、Rn、Rh、Lhについては、電気カーペットの温度制御装置がこれらの検知手段を持たないので捉えることはできない。
従って、
(1)数式(3)の関係式は、Rn、Rh、Lhから成る不定方程式であり、局部過熱抵抗Rh(=温度)を一意に検知することはできない。
(2)また、温度制御対象の抵抗Rsは一定値であっても、Rn、Rh、Lhが常に変動と小康状態を繰返す不安定なもので、偶発的には短いLhと大きいRh(=高温)が発生し得ることは数式(3)より明らかであり、コイン状コゲの発生に到る可能性が有り得る。
このように、1線式コード状発熱線11Hを使った温度制御装置では、局部過熱の防止は計算上からも極めて困難であることが明らかである。
〔1線式コード状発熱線12Hの温度制御装置の場合について〕
図6の温度制御装置に於いて、1線式コード状発熱線12Hの全長をL、局部過熱されている部分の長さと全長L当たりのインピーダンスを各々Lh、Zh、局部過熱されていない部分の長さと全長L当たりのインピーダンスを各々Ln、Znとし、発熱素線2と電極素線4bの両端から見た全長LのインピーダンスがZsで温度制御されている場合、前記2つの部分のインピーダンスは並列接続となるので、次の関係式が成り立つ。
1/Zs=1/((L/Ln)×Zn)+1/((L/Lh)×Zh)・・・(4)
数式(2)を数式(4)に代入し整理すると、
L/Zs=Ln/Zn+Lh/Zh=(L−Lh)/Zn+Lh/Zh・・・(5)
となる。
(1)上記の数式(5)は、数式(3)の形とは異なるが、Zn、Zh、Lhから成る不定方程式であり、局部過熱インピーダンスZh(=温度)を一意に検出することはできない。
(2)また、温度制御対象のインピーダンスZsは一定値であっても、Zn、Zh、Lhが常に変動と小康状態を繰返す不安定なもので、偶発的には短いLhと小さいZh(=高温)が発生し得ることは数式(5)より明らかであり、コイン状コゲの発生に到る可能性が有り得る。
(3)但し、Zsの温度係数は、Rsの温度係数よりずっと大きい上に、ZnとZhが並列接続された構成になっているので、特に高温領域に於いては、RsよりZsで温度検知した方が高感度で検知できる筈であるが、数式(5)に見られるように、並列接続ではインピーダンスが長さに反比例して大きくなるため直感的に思うほどの高感度は得られず万全ではない。これは、個別素子による並列接続と分布定数回路を分割した素子群の並列接続との計算上の性質の違いによるものである。
このように、1線式コード状発熱線12Hを使った温度制御装置での局部過熱の防止は計算上からも不確かであることが明らかである。
〔1線式コード状発熱線13Hの温度制御装置の場合について〕
図7の温度制御装置の構成は、1線式コード状発熱線11Hの温度制御装置(図5)と1線式コード状発熱線12Hの温度制御装置(図6)を重ね合わせたものであり、個々の動作は前述と同様である。
又、高温領域であっても高分子感熱層3bからの信号が大きな温度係数を有する特性を生かして、高分子感熱層3bが溶融し発熱素線2と電極素線4b間が短絡するよりずっと手前の過熱状態の温度に相当する基準電圧Vref2を設定し、電力制御スイッチSWの開閉が駆動され発熱素線2への通電を制御する所謂単純過熱防止機能を働かせるように設計することはできる。
しかし、1線式コード状発熱線11H及び12Hの温度制御装置の項で説明したように、局部過熱部とそれ以外の部分のコード状発熱線の長さと温度は、常に変動と小康状態を繰返す不安定なもので、基準電圧Vref2が単純な過熱防止に相当する温度を与えるものとしても、広範な条件に合わせ局部過熱防止のための確実な温度を与えることは極めて困難であり、特許文献8に簡略記述された1線式コード状発熱線13Hの温度制御装置では、複雑化しコスト上昇を招くだけで、広範な局部過熱の防止は非常に困難であることが明らかである。
以上説明したように、従来の1線式コード状発熱線に於いては、数式(3)と数式(5)の拘束により、制御温度が一定の場合、局部過熱部と局部過熱部以外の抵抗値やインピーダンスが常にバランスを保つように動いている。これは、発熱素線2に印加された一定のエネルギーが、局部過熱部と局部過熱部以外で変動と小康状態を繰り返しながらエネルギー・バランスと保とうとしている現象であり、避けることはできない。このような現象の下に於いて、温度検知素線4a,4cや高分子感熱層3bの両端から局部過熱と云う部分現象の信号を安定して確実に検出することは従来技術では不可能に近い。
又、市場に於けるコイン状コゲの発生時に、局部過熱により高分子層3a、高分子感熱層3bが溶融し、温度ヒューズF1を溶断する所謂線間短絡保護機能が働かない事例が見られ、重要な問題となっているが、その理由は次のように推測されている。
コイン状コゲの局部過熱部は小さくかなりの高温になるが、総発熱量としては少ない上に発熱素線2からの放熱も大きく、一定量の高分子層3a、高分子感熱層3bの温度を溶融するまでは上昇させられないが、軟化させる程度は可能である。この軟化により、発熱素線2と温度検知素線4a、4cや電極素線4bとの間隔が狭くなり、高分子層3a、高分子感熱層3bのリーク電流が増加し自己加熱が増加する。
このように、保温による局部過熱に加え、高分子層3a、高分子感熱層3bの電流による自己加熱も長時間続くようになると、高分子層3a、高分子感熱層3bの酸化分解、即ち炭化を招く。この炭化は抵抗体の生成であり、温度ヒューズF1を溶断できる大きな電流を阻害し、温度ヒューズF1が溶断しないまま局部過熱による炭化ばかりが増進し、コイン状のコゲの発生に到ってしまうと推測されている。
このように、小さなコイン状コゲについては、線間短絡保護機能が働かない場合があると云う極めて重大な欠点が明らかになってきた。
本発明の目的は、少なくとも金属製温度検知素線と高分子感熱層を具備する1線式コード状発熱線の温度制御装置であって、温度検知素線で温度制御しながら、温度検知素線と高分子感熱層との2つの温度信号で局部過熱を検知する巧妙な温度制御と温度検知装置を構成することにより、精度が高く安定した温度制御機能と局部過熱検知機能を得ることができ、経済的にも優れた採暖用温度制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明による請求項1記載の採暖用温度制御装置は、所定のピッチで螺旋状に捻回された金属製の発熱素線、正の温度係数を有する金属製の温度検知素線、負の温度係数を有し所定の温度で溶融する高分子感熱層および前記高分子感熱層に接触する電極素線が配置され一体化されてなるコード状発熱線を具備する温度制御装置であって、前記温度検知素線からの温度情報を持つ電気信号によりコード状発熱線の温度を制御するとともに、前記温度検知素線からの電気信号と前記高分子感熱層からの温度情報を持つ電気信号の差分を検知し、前記差分が一定の値を超えた場合、前記発熱素線への通電を停止し、前記コード状発熱線に発生した局部過熱を検知して安全性を確保することを特徴とする。
本発明による請求項2記載の採暖用温度制御装置は、請求項1記載の発明において前記温度検知素線の温度を制御する電気信号である温度制御信号から得られる制御温度をts、前記高分子感熱層の温度を監視する電気信号である温度監視用信号から得られる監視温度をtdとし、制御温度tsと監視温度tdの差分が、回路部品,回路調整の誤差分,温度制御のオーバーシュートまたは長時間ドリフト等の誤差分を含む任意の判定温度Δtと比較され、下記の数式が成立したとき、td領域を局部過熱と判定することを特徴とする。
td − ts ≧ Δt
本発明による請求項3記載の採暖用温度制御装置は、請求項2記載の発明において前記温度検知素線からの電気信号を制御温度に変換するテーブルと、前記高分子感熱層からの電気信号を監視温度に変換するテーブルとを備え、前記2つのテーブルを参照して制御温度tsと監視温度tdの差分を求めることを特徴とする。
以下、本発明の構成につき詳細に説明する。
本発明の採暖用温度制御装置の説明に用いられる1線式コード状発熱線1Hは、本願発明者等により既に特許出願されている特願2011−283349の図1にも示すように、
「巻芯の外周に所定のピッチで螺旋巻きされ両端に交流が印加される発熱素線、前記発熱素線上に密着配置され所定の温度で溶融する高分子層、前記高分子層の外周に少なくとも1条の絶縁糸と導体である温度検知素線と短絡検知素線とが交互に配置され、それらが引き揃えて螺旋巻きされた線条群、及び前記線条群を絶縁する被覆層を具備した1線式コード状発熱線」
の構造が好適であるが、必要に応じ従来からのコード状発熱線の材料について、
・図5に示すコード状発熱線11Hに於いて、高分子層を高分子感熱層に替えた構造
・図6に示すコード状発熱線12Hに於いて、電極素線を温度検知素線に替えた構造
・図7に示すコード状発熱線13Hの構造
などであっても、「発熱素線と温度検知素線と高分子感熱層と前記高分子感熱層に接触する電極素線とが適切に配置され一体化されてなるコード状発熱線」となるので、必要に応じどれを用いても構わないし、それらの構造に限定されるものでもない。
ここで、本発明の図2に示すコード状発熱線1Hの温度検知に関する機能は、図4に示すコード状発熱線13Hの温度検知に関する機能と類似性は高いが、経済的に優れた図2に示すコード状発熱線1Hの構造を用いて説明する。
尚、前述の特願2011−283349中にある「短絡検知素線」、「高分子層」と云う呼称を、本発明に於いてはそれぞれ「過熱検知素線」、「高分子感熱層」と云う呼称に変更している。
本発明の採暖用温度制御装置に用いられるコード状発熱線の芯線は、ポリエステル繊維束、ポリイミド繊維束、ガラス繊維束などであるが、耐熱性、柔軟性及びコストの面からポリエステル繊維束が好適であり、用途に応じて耐熱性、柔軟性に優れた繊維束であれば特に限定されないし、また多種繊維の混合束であってもよい。
本発明の採暖用温度制御装置のコード状発熱線に用いられる所定のピッチで螺旋巻きされた発熱素線は、材質として純銅線や銅と錫の合金線、または銅と銀の合金線などがあり、形状は丸線状や薄板状にすることも可能であり、それらは単線のままであったり、撚線にされたり、または多条に引き揃えられて螺旋巻きされるが、所定の寸法で所定の抵抗値を得るために、材質や形状の選択は何ら限定されるものではない。
ここで、発熱素線は、高分子感熱層に密着する構造を取りながら発熱のために電流を流す導体であるが、高分子感熱層が溶融する線間短絡時に過熱検知素線と短絡する一方の電極として働くことも担う。
本発明の採暖用温度制御装置のコード状発熱線に用いられる表面が絶縁されていない温度検知素線と過熱検知素線は、少なくとも1条の絶縁糸とともに高分子感熱層の外周に交互に配置され引き揃えて螺旋巻きされ、上部の絶縁被覆層で強固に固定される上に、前記絶縁糸の太さが前記温度検知素線及び過熱検知素線の直径に対し適切に制限されるので、コード状発熱線が屈曲ストレスを受けても絶縁被覆されていない温度検知素線と過熱検知素線同士が接触しないようになっている。
本発明の採暖用温度制御装置のコード状発熱線に用いられる高分子感熱層は、電気毛布や電気カーペットなどの製品の表面温度やコード状発熱線の耐熱温度から見て、高分子感熱層の溶融温度は130℃以上190℃以下のポリアミド樹脂、好ましくは150℃〜170℃で比較的急峻な溶融特性を示すポリアミド樹脂とポリアミド・エラストマーとの混和物に導電性物質を増強配合し、温度上昇に伴い電気的インピーダンスが減少する所謂負温度係数サーミスタ特性を持たせたものが好適である。
本発明の採暖用温度制御装置のコード状発熱線に用いられる温度検知素線は、正の温度係数を有する金属線であれば特に限定されないが、金属の中では温度係数が比較的高めで、温度に対する抵抗特性が直線的であり、伸線加工や巻線加工などの機械的ストレスを受けても抵抗値や温度係数が安定であり、再現性に優れ経時変化の少ないニッケル線が好適である。
本発明の採暖用温度制御装置のコード状発熱線に用いられる過熱検知素線は、発熱素線と対を成し高分子感熱層の電極素線として働くものであるが、材質として純銅線や銅と錫の合金線、または銅と銀の合金線などがあり、他の線と多条に引き揃えられて螺旋巻きされる場合があるので、形状は丸線状が好ましい。
少なくとも1条の絶縁糸と温度検知素線と過熱検知素線からなる線条群の外周に密着して電気絶縁性が高く、しなやかで且つ安価な塩化ビニル樹脂などの絶縁被覆層が押出し成形などにより形成され、コード状発熱線となる。
本発明の採暖用温度制御装置は、温度制御を司る数式(3)と制御温度を監視する数式(5)の関数の形が異なるので、両者の検知量に差分が発生するのは当然であり、この差分の大きさによって局部過熱を検出するものである。従って、従来の温度制御のように単純な比較制御であれば、図7に示すアナログ・コンパレータを用いた温度制御回路でも可能であるが、本発明では2つの温度(温度検知素線と高分子感熱層からの温度)に関する電気信号から温度への変換計算と前記2つの温度との差分の計算が必要であり、アナログ・デバイスのみでは複雑になるので、本発明に用いる演算処理等の電子デバイスは、ワンチップ・マイコンが好適である。
〔制御手順1〕
コード状発熱線1Hの発熱素線2と温度検知素線4が図1に示す回路に接続され、次のように温度制御が行われる。
(1)発熱素線2の加熱による温度上昇は、プラス0.44%/deg程度の温度係数を有するニッケルからなる温度検知素線4の抵抗値の増加となり、その変化は抵抗器R1、R2、R5、電解コンデンサC1により平滑された温度制御用電圧(以下、制御電圧ともいう)Vsに変換され、ワンチップ・マイコンU1のA/D変換入力端子であるA/D1端子へ複数回入力される。この複数の入力値は、マイコンU1内部の演算等処理装置(以下、MPUと略す)で平均値が計算され、ノイズ除去されてからVsとしてレジスタ或いはRAMに記憶されるとともに、制御電圧Vsに相当する制御温度tsに変換されレジスタ或いはRAMに記憶される。
(2)制御電圧Vsから制御温度tsへの変換は、予め必要な精度のVs−ts変換テーブルを作成しメイン・メモリに記憶させておき、Vsの平均値が計算されるたびに前記Vs−ts変換テーブルを参照して制御温度tsを求め、乗算を省略して高速化をはかるのが一般的であり経済的である。尚、テーブル化に必要な精度は、直線補間が有効な間隔を選ぶことが好ましい。
(3)一方、予め温度制御のために設定された基準電圧Vref1はマイコンU1の別のA/D変換入力端子であるA/D2端子へ複数回入力され、MPUにて平均値が計算され、ノイズ除去されてからVref1としてレジスタやRAMに記憶される。
(4)制御電圧Vsと基準電圧Vref1がMPUにて比較され、その比較結果のフラッグXsがレジスタやRAMに記憶される。
ここでは説明上分かり易く、制御温度tsが低く発熱素線2に通電するVs<Vref1の場合、フラッグXsを1とする。
〔制御手順2〕
コード状発熱線1Hの過熱検知素線6が図1に示す回路に接続され、高分子感熱層3によって、次のように温度監視が行われる。
(1)発熱素線2の加熱による温度上昇は、マイナス1〜10%/deg程度の負の温度係数を有し高分子サーミスタとして働く高分子感熱層3のインピ−ダンスの減少となり、その変化は発熱素線2と過熱検知素線6の一対の電極の間から取り出され、抵抗器R3、R4、ダイオードD3、電解コンデンサC2により直流の監視用電圧(以下、監視電圧ともいう)Vdに変換され、マイコンU1のA/D変換入力端子であるA/D3端子へ複数回入力され、MPUにて平均値が計算され、ノイズ除去されてから発熱素線2の温度を監視した値Vdとしてレジスタ或いはRAMに記憶されるとともに、監視電圧Vdに相当する監視温度tdに変換されレジスタ或いはRAMに記憶される。
(2)監視電圧Vdから監視温度tdへの変換は、予め必要な精度のVd−td変換テーブルを作成しメイン・メモリに記憶させておき、Vdの平均値が計算されるたびにVd−td変換テーブルを参照し、監視温度tdを求め、乗算を省略して高速化をはかるのが一般的であり経済的である。尚、テーブル化に必要な精度は、直線補間が有効な間隔を選ぶことが好ましい。
〔制御手順3〕
〔制御手順1〕と〔制御手順2〕で得られた結果から、次のように局部過熱の判定が行われる。
(1)〔制御手順1〕で得られた制御温度tsと〔制御手順2〕で得られた監視温度tdとの差がMPUにて計算され、その差分と判定値Δtが比較され、td−ts≧Δtの場合を局部過熱として、その比較結果のフラッグXdがレジスタやRAMに記憶される。
ここでは分かり易く、局部過熱でないtd−ts<Δtの場合、フラッグXdを1とする。
(2)尚、前述の比較動作は、制御電圧Vsと基準電圧Vref1の平衡状態が連続し、安定的に温度制御が行われている状態に於ける制御温度tsと監視温度tdの差分に対する判定値Δtとの比較であるとともに、判定値Δtは、回路部品や回路調整のばらつき、及び温度制御のオーバーシュートや長時間ドリフト等の誤差分をも含む値である。
〔制御手順4〕
〔制御手順1〕と〔制御手順3〕で得られた結果から、MPUにて次のような論理処理と出力制御が行われる。
(1)〔制御手順1〕で得られたフラッグXsと、〔制御手順3〕で得られたフラッグXdの論理積が取られ、その結果がマイコンU1のPORT1より出力される。
(2)尚、フラッグ条件に於いては、
(フラッグXs)∧(フラッグXd)=1
の場合のみ、PORT1より駆動信号1が出力される。
(3)PORT1からの駆動信号(0/1)は、トランジスタやホトカプラなどからなる駆動回路部へ送られ、リレーやトライアックなどの電力制御スイッチSWをオン・オフする。前記条件に於いては、PORT1からの駆動信号が1の場合、電力制御スイッチがオンとなる。
尚、コード状発熱線1Hに於ける線間短絡保護機能は、コード状発熱線13Hの場合と同様であり、万一温度制御部が破損し制御不能に陥った場合は、発熱素線2への通電を制御する電力制御スイッチSWがオンのままとなる場合があり、このような場合は発熱素線2への通電が連続となり全体が過熱状態になるので、かなりの広範囲の部分に於いて高分子感熱層3が固有の融点で溶融し、発熱素線2と過熱検知素線6が何れかの箇所で接触し、ダイオードD1とD2、温度ヒューズ一体形抵抗器RF1、温度ヒューズF1から構成される所謂線間短絡保護機能が働き、大もとの電源を非復帰の形で遮断し、異常過熱による火災などを防止する。
次に、前述の〔制御手順1〕から〔制御手順4〕によって、局部過熱が制御温度tsと監視温度tdとの差分により検出できること、及び局部過熱の条件や範囲を知り得ることを計算によって示す。
温度検知素線4による温度制御と高分子感熱層3による温度監視の計算に於いては、実際の動作とは異なり、始めに制御温度tsと局部過熱温度thを既知のパラメータとして決め、局部過熱部の長さLhに対する監視温度tdを計算する。ここで、コード状発熱線1Hの全長Lを34m、制御温度tsを各々30℃、40℃、60℃、局部過熱温度thを各々70℃、80℃、100℃として計算する。
尚、本発明によるコード状発熱線1Hの温度検知素線4の温度と抵抗値の特性を表5に、高分子感熱層3の温度と交流インピーダンスの特性を表6に示す。又、これらの数値は、全長L=34m当たりの値である。
Figure 2014102922
Figure 2014102922
〔計算手順1〕
(1)任意の抵抗値Rxと温度txとの関係は、金属製の温度検知素線4の温度と抵抗に関する一般式、
Rx=Ro×{1+α×(tx−20)} ・・・(6)
により計算する。ここで、tx、Rxは任意の温度とその時の抵抗値、Roは20℃の抵抗値で1068オームとし、αはニッケル線の温度係数で0.44%/degとする。
(2)制御温度tsから全長Lの抵抗値Rsを、局部過熱温度thからその時の全長L当たりの抵抗値Rhを数式(6)により計算する。
(3)局部過熱部の長さLhを変数とし、局部過熱部以外の全長L当たりの抵抗値Rnを数式(3)によって計算し、それを数式(6)により温度tnに変換して表7に示す。
〔計算手順2〕
局部過熱部以外の温度tnが判明したので、これを高分子感熱層3で測定した場合、当該部分のインピーダンスも容易に計算でき、高分子感熱層3の全体のインピーダンスとその温度を計算することができる。
(1)高分子感熱層3の温度とインピーダンスとの関係は、負特性サーミスタの一般式、 Zx=Zo×EXP{B×(1/(tx+273.15)−1/(to+273.15)}・・・(7)
により計算する。ここで、tx、Zxは任意の温度とその時のインピーダンス、to,Zoは基点温度とその時のインピーダンス、Bは定数であり、表6の各温度間の値は数式(7)にて補間する。
(2)高分子感熱層3の局部過熱部の長さLhと温度thは既知なので、局部過熱部の全長L当たりのインピーダンスZhを数式(7)により計算する。
(3)前記〔計算手順1〕で局部過熱部以外の温度tnが判明したので、この部分の高分子感熱層3の全長L当たりのインピーダンスZnを数式(7)により計算する。
(4)ZnとZh及びLnとLhを用いて、数式(5)により全長Lにわたる合成インピーダンスZsを計算し、次にZsをインピーダンスZdと呼称を変更する。
(5)ここでZdは、温度監視値として高分子感熱層3の全長Lで検知されたインピーダンスであり、これを数式(7)により監視温度tdに変換し、表7に示す。
Figure 2014102922
〔計算結果〕
表7によれば、次のようなことが判る。
(1)温度検知素線4により、全体的に見て或る温度tsに制御されていても、局部過熱があれば高分子感熱層3による監視温度tdは、制御温度tsより高目の温度を示すことが明らかである。表7の監視結果の欄に、td−ts≧4℃となる監視温度tdを斜体数字で示した。
(2)局部過熱の検知可能条件は、制御温度ts、局部過熱部の温度th、長さLhによって変わり一定ではない。
(3)表7に於いて、Δt=4℃、局部過熱温度thをパラメータとし、制御温度tsに対して検知可能な長さLhを計算すると、表8のようになる。このようにすれば、局部過熱部の長さがどの程度で、その温度がどの程度であれば検知可能であるか、計算上明らかにすることができる。
Figure 2014102922
(4)例えば、表8に於いて、制御温度tsが30℃で局部過熱温度thが100℃の欄に注目する。ここで室温を20℃とし、発熱素線2に点状の欠陥があり局部過熱が発生し得る状態で電源を投入した場合、長さLn=33.9638mの局部過熱部以外の温度tnが室温20℃から制御温度30℃になるより早く、Lh=3.62cmと云う非常に小さな局部過熱部の温度thが20℃から100℃に上昇できる可能性は極めて高い。このような場合、温度制御装置は局部過熱と判断し、発熱素線2への通電をオフ出来ることが可能な計算結果である。
(5)上記動作を広く捉えれば、本発明による温度制御装置は、任意の制御温度tsに於ける温度上昇の過渡状態であっても、表7の斜体数字で示した範囲に抵触すれば、極めて小さく短い局部過熱部をも検知できる大きな可能性を示しており、従来にない極めて優れた機能を有するものである。
(6)又、発熱素線2の局部過熱部とそれ以外の部分の温度と長さは、常に変動と小康状態を繰返す不安定な量であるとともに、それらの値は制御温度パラメータによっても変わるが、それらの変動要因をすべてまとめ、Δtと云う温度に一元化したことにより、広範囲にわたり極めて簡単に局部過熱を検知できるようになったことが計算により示された。
本発明による採暖用温度制御装置によれば、
所定のピッチで螺旋状に捻回された金属製の発熱素線、正の温度係数を有する金属製の温度検知素線、負の温度係数を有し所定の温度で溶融する高分子感熱層および高分子感熱層に接触する電極素線が適切に配置され一体化されてなるコード状発熱線を具備する温度制御装置であって、
温度検知素線からの温度信号によりコード状発熱線の温度を制御するとともに、温度検知素線からの温度信号と高分子感熱層からの温度信号の差分を検知し、この差分が一定の値を超えた場合、発熱素線への通電を停止し、コード状発熱線に発生した局部過熱を早期に検知して安全性を確保する採暖用温度制御装置を提供することができる。
また、本発明による採暖用温度制御装置によれば、
温度検知素線の温度制御用信号から得られる制御温度をts、高分子感熱層の温度監視用信号から得られる監視温度をtdとし、制御温度tsと監視温度tdの差分が、回路部品や回路調整の誤差分と温度制御のオーバーシュートや長時間ドリフト等の誤差分を含む任意の判定温度Δtと比較され、td − ts ≧ Δtの関係にあるtd領域を局部過熱と判定することにより、高い精度で局部過熱を検知することができる。
本発明による採暖用温度制御装置の回路部分の実施の形態を示す回路図である。 本発明による採暖用温度制御装置に用いるコード状発熱線の実施の形態を示す図で、発熱線の一部を省略して示した構造図である。 1線式の従来例1と1線式の従来例2のコード状発熱線の一例を示す図で、発熱線の一部を省略して示した構造図である。 1線式の従来例3のコード状発熱線の一例を示す図で、発熱線の一部を省略して示した構造図である。 1線式の従来例1のコード状発熱線の回路部分の一例を示す回路図である。 1線式の従来例2のコード状発熱線の回路部分の一例を示す回路図である。 1線式の従来例3のコード状発熱線の回路部分の一例を示す回路図である。
以下、図面などを参照して本発明による採暖用温度制御装置の実施の形態を更に詳しく説明する。なお、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の内容に限定されるものではない。
図2は、本発明の実施形態にかかるコード状発熱線1Hの一方端を示すもので、絶縁被覆層及び高分子感熱層などを一部省略して示した図である。
このコード状発熱線1Hは、ガラス繊維またはポリエステル繊維等の繊維束の巻芯1と、巻芯1の外周に銅または銅合金の導体を螺旋状に捻回した発熱素線2と、発熱素線2の外周に高分子樹脂を押出し成形してなる高分子感熱層3と、高分子感熱層3の外周に引き揃えて螺旋巻きされている温度検知素線4と過熱検知素線6及び両素線間に配置された少なくとも1条の絶縁糸7と、最外周にポリ塩化ビニル等を押出し成形した絶縁被覆層5とから構成されている。
ここで、高分子感熱層3はポリアミド樹脂の中でも吸水率の小さいナイロン12単独、またはナイロン12とポリアミド・エラストマーの混和物が好ましく、この混和物にポリエチレン・グリコールやポリエチレン・オキサイド等を添加したり、別途導電剤を添加したりして、高分子感熱層3の軟化点や融点を下げてもよいし、単位長当たりのインピーダンスの大きさや温度に対するインピーダンスの傾き(B定数)などを自由に変えても構わない。これらの材料をニーダー、または多軸押出機にて混練し、混和物としてのペレットが得られる。尚、これらの材料は一度に投入され混練される場合もあるが、順次投入され、複数回にわたり混練される場合もある。
この混和物ペレットは押出機により押出され、高分子感熱層3が形成される。
高分子感熱層3の外周には、表面が絶縁されていない温度検知素線4と過熱検知素線6が、両素線間に配置され少なくとも1条の絶縁糸7とともに引き揃えて螺旋巻きされているが、絶縁糸7は螺旋巻き時に互いに乗り越える可能性がないような太さのものが選択される。
過熱検知素線6は、発熱素線2と対を成し、高分子感熱層3の電極素線として働くものである。
絶縁被覆層5のポリ塩化ビニル樹脂混和物に含まれる可塑剤が高分子感熱層3へ移行するのを防止するため、絶縁糸7、温度検知素線4、過熱検知素線6からなる線条群と絶縁被覆層5の間にポリエステルテープを螺旋状に捻回したバリア層を設けてもよい。
図2に示したコード状発熱線1Hの実施形態に関する各部の材料や条件の詳細を表1に示すとともに、コード状発熱線11H、12H、13Hの諸データについても併記する。温度検知素線4と高分子感熱層3の温度に対する抵抗やインピーダンスの特性は、表5、及び表6に示された値を基準として使用する。
Figure 2014102922
図1は、本発明の実施形態にかかる温度制御装置の回路図であり、コード状発熱線1Hは、34mの長さに切断され1畳用の電気カーペットに組込まれ、その端末は温度制御回路の所定の端子に接続される。
同図のワンチップ・マイコンU1は一般的な市販品の78K0Sシリーズ(ルネサス・エレクトロニクス製)、TLCS−870シリーズ(東芝製)、PIC16Fシリーズ(マイクロ・チップス製)などが使われる。
図1の温度制御動作に好適な回路定数は各々、抵抗R1=1.5KΩF、R2=470ΩF、R3=180KΩF、R4=6.2KΩF、電解コンデンサC1=C2=10μF(16V)、D1,D2,D3は整流ダイオード1N4004、RF1=180Ω(3W)、F1=10A(250V)である。電力スイッチSWは電流容量15Aのリレーであり、温度制御部の電源電圧はVcc=5Vである。
ワンチップ・マイコンU1には、〔制御手順1〕から〔制御手順4〕の項で説明した仕様のプログラムが組込まれている。温度検知素線4と高分子感熱層3から得られる電気信号Vs、Vd、及びそれらの変換温度ts、tdは、予め計算によりVs−ts及びVd−td変換テーブルが用意され、メイン・メモリに書き込まれる。各変換テーブルに載せる温度範囲は概ね0℃〜120℃が必要であり、その温度間隔は30℃〜100℃の間は0.2℃刻み、それ以外の範囲はVsもVdも飽和傾向になるので、0.5℃〜3℃刻み程度とした。
尚、Vs−ts及びVd−td変換テーブルは計算値を書き込むので高分解能化できるが、ワンチップ・マイコンU1に内臓のA/D変換器は10ビット分解能程度が一般的であり、実際の入力電圧Vsと監視電圧VdのA/D変換値を計算値による変換テーブルの間隔に合うほど高分解能化できない。この点はよく知られているように、A/D変換の繰返し入力処理とディザリング処理によって分解能を高めるのが一般的である。
又、本実施例に於けるΔtは、〔計算手順1〕と〔計算手順2〕の説明と同じく4℃とした。
図5、図6及び図7に示す従来例1、2、及び3の温度制御回路図に於いて、温度制御動作に好適な回路定数を選んだ。各従来例に共通する回路定数は、R1=1.5KΩF、R2=470ΩF、R3=180KΩF、R4=6.2KΩF、C1=C2=10μF(16V)、D1,D2,D3は整流ダイオード1N4004、RF1=180Ω(3W)、F1=10A(250V)である。電力スイッチSWは電流容量15Aのリレーであり、温度制御部の電源電圧はVcc=5Vである。
〔局部過熱試験〕
本局部過熱試験に供されるコード発熱線1H、11H、12H、13Hと接続される温度制御回路、図1、図5、図6、図7の組合せを表1に併記する。
本試験に於けるワンチップ・マイコンU1はインサーキット・エミュレータによる動作とし、そのプログラム中にテスト・モードを設け、キー入力によって通常運転モードと切り換える。
テスト・モードの場合、その内容は前述の〔制御手順2〕の温度監視動作と〔制御手順3〕の局部過熱の判定は行わず、〔制御手順1〕の温度制御のみ行うものとする。
このようにして準備された電気カーペットは、室温20℃の部屋の畳の上に風が当らないように設置され、局部過熱の試験に供される。
局部過熱試験の詳細は次の通りである。
(1)電気カーペットの中央部と中央部から外れた箇所のコード状発熱線1Hの表面に各々熱電対を貼り付け、モニター用温度測定器に接続される。
(2)電気カーペットの中央部に座布団のような種々の断熱材を置き保温状態を作る。断熱剤は、30cm□、50cm□、100cm□の大きさのものを乗せ替えて試験する。尚、断熱材の大きさはコード状発熱線の長さでは、各々2m、6m、24mに相当する。
(3)各断熱材の上には各々当寸大の種々の重りを乗せて試験する場合がある。
(4)試験は、表2に示すように制御温度tsが30℃、40℃、60℃となるべきVref1電圧を与え、テスト・モードで温度制御を開始し、電力スイッチSWが安定的にオン・オフする状態までテスト・モード運転を継続し、各制御温度tsの安定化を図る。
(5)テスト・モード運転中に、断熱材の下部に設置した熱電対の局部過熱温度thが、表2に示す70℃、80℃、100℃で安定するように断熱材の材質や厚さ、重りを変える。
(6)目的とする制御温度tsと局部過熱温度thで小康状態が得られた頃合を見計らい、キー入力によってプログラムを通常運転モードに切り換える。
(7)通常運転モードに於いて、温度制御装置の電力スイッチがオフになるかを確認し、その結果を表2に示す。
従来例1、2、3の局部過熱試験の場合は、本実施例とは異なり局部過熱対象部分を良好な断熱材で覆い、局部過熱が十分増進する状態にして動作させ、電力スイッチSWが安定的にオン・オフになるとともに、局部過熱温度thの小康状態が得られた頃合を見計らい、局部過熱温度thを測定した。その結果を表3に示す。
尚、従来例3に於ける単純過熱防止の設定温度は、高分子感熱層3bの全長にわたる両端のインピーダンスから見て100℃相当に設定した。
Figure 2014102922
Figure 2014102922
各測定結果についての評価はつぎの通りである。
〔従来例による局部過熱試験の評価〕
表3のデータにより、次のようなことが明らかになった。
(1)従来例1では、
(a)局部過熱の長さが短くなるほど、及び制御温度が高いほど局部過熱温度も高くなり、市場に於いて発生しているコイン状コゲの現象と合致し、又物理的観点からも矛盾しない結果が得られ、試験の適正さが確認できた。
(b)局部過熱の長さが点状欠陥のようにごく短い場合、例えば1〜3cmの場合、数式(3)による計算から局部過熱温度は非常に高くなるが、表3の測定データからもその傾向は容易に推測でき、コイン状コゲの発生を抑止できない市場の状態をよく説明できる。
(c)局部過熱部の長さが24mと長く、制御温度が40℃以下の場合は、局部過熱と看做されそうな温度上昇は発生しないが、これは全長34mの1畳用電気カーペットからすれば、線長24mは約1m□のかなり大きな面積なので、十分な保温をしても数式(3)の抵抗に係わるバランスにより、局部過熱と看做されそうな温度上昇が発生し難いか、発生してもコゲが発生するほど高温にならないためである。
(2)従来例2では、
(a)高分子感熱層を使った温度制御にもかかわらず、特に重要な局部過熱部の長さが2mと短い場合に、局部過熱温度の抑制効果が小さいと云う結果であった。従来例2の高分子感熱層は、大きな負の温度係数を有する微小な感温素子の並列接続で構成されているにも拘らず意外な現象であるが、この理由は、局部過熱部のインピーダンスが長さに反比例して大きくなるためであり、従来例2の高分子感熱層の温度係数では短い局部過熱部の高感度検知は困難であるし、現在この温度係数を大幅に上回る高分子感熱層の材料が見当たらないのも事実である。従って、高分子感熱層が大きな温度係数の威力を発揮できるのは、局部過熱が目立たない大きくて均一な温度分布の場合であることが明確になった。
(b)制御温度が低く、局部過熱の長さがコイン状のように短く、局部過熱の温度が100℃を遥かに超える高温の状態が発生した場合、従来例2の温度制御装置の方が、従来例1の温度制御装置より局部過熱温度の抑制作用が大きいことが、数式(3)及び数式(5)から計算されたが、表3の測定データからもその傾向は見られ、市場に於けるコイン状コゲの発生率を説明できる。
(3)従来例3では、
(a)高分子感熱層による単純過熱防止の温度を100℃に設定したが、何れの制御温度に於いても、局部過熱の長さが2mの場合、局部過熱の抑制効果が十分に大きいとはいえない結果となっており、従来例2と同様なインピーダンス構成のため、局部過熱の高感度検知は困難であることが明らかになった。
(b)制御温度が低く、局部過熱の長さがコイン状のように短く、局部過熱の温度が100℃を遥かに超える高温の状態が発生した場合、従来例3の単純過熱防止の回路部は、従来例2の温度制御装置と同じ働きとなるので、局部過熱温度の抑止効果は上記の説明と同様である。
このように従来例1、2、及び3では、数式(3)や数式(5)による計算値及び表3の測定データから、局部過熱部の長さが長い場合は、局部過熱と看做されそうな温度上昇が発生し難いか、発生してもコゲが発生するほど高温にならないが、局部過熱部が短い場合は、コゲの発生する条件の存在が明らかになり、計算結果をよく説明している。
〔本実施例による局部過熱試験の評価〕
表2のデータより、Δt=4℃の場合、次のようなことが明らかになった。同表に於いて、○印は局部過熱が検知可能であった条件、×印は検知不可能であった条件である。
(a)局部過熱の長さが比較的短く、局部過熱の温度が100℃程度と低くても局部過熱を検知できた。これは従来例1、2、及び3の結果と反対の結果であり、従来例1、2、及び3の非常に重要な欠点を解決できた。この理由は、局部過熱の検知と判定にΔtと云う指標を用いたためである。
(b)本発明の温度制御は従来例1と同じであり、表7や表8による計算値及び表3の従来例の測定データから、局部過熱部の長さが24mなどと長い場合、局部過熱と看做されそうな温度上昇が発生しないか、或いは発生してもコゲが発生するほど高温にならないのは前述の通りである。
(c)制御温度が60℃と高く、局部過熱温度が70℃と低い場合は、局部過熱と言い難いので検知できないが、コゲや発煙発生などの可能性は殆どないのは当然である。
(d)上述の説明はΔt=4℃の場合であるが、Δtを異なる値に設定したり、環境条件により可変にしたりすれば、様々な条件に適合した局部過熱検知と温度制御が可能になるのは明らかである。
(e)このように本発明の温度制御は従来例1と同じであり、局部過熱部の長さが長く、局部過熱温度が低い場合はコゲの発生は心配ないが、局部過熱部が短い場合は、Δtと云う指標の導入により局部過熱の検知と判定の確実性を向上させ、従来例1、2及び3に見られる局部過熱を検知できないと云う欠点を解消し、コイン状コゲの発生する条件を著しく抑制できることが明らかになった。
以上説明したように本発明によれば、少なくとも金属製の温度検知素線と高分子感熱層を具備する1線式コード状発熱線の温度制御装置に於いて、温度検知素線からの温度情報を持つ電気信号によりコード状発熱線の温度を制御するとともに、温度検知素線からの電気信号より変換された温度と高分子感熱層からの温度情報を持つ電気信号より変換された温度の差分を検知し、この差分が一定の値を超えた場合、コード状発熱線に発生した局部過熱を早期に判定して発熱素線への通電を停止し、コイン状コゲなどの発生を広範な環境条件下で抑制し、高い安全性を確保することができるとともに、ハードウェアは従来形を踏襲しながら、ソフトウェアの拡充を主体にして実現できる経済的にも優れた採暖用温度制御装置を提供することができる。
電気毛布、電気カーペットなどの面状採暖具に用いられる採暖用温度制御装置である。
1 巻芯
1H コード状発熱線
2 発熱素線
3 高分子感熱層
4 温度検知素線
5 絶縁被覆層
6 過熱検知素線
7 絶縁糸

Claims (3)

  1. 所定のピッチで螺旋状に捻回された金属製の発熱素線、正の温度係数を有する金属製の温度検知素線、負の温度係数を有し所定の温度で溶融する高分子感熱層および前記高分子感熱層に接触する電極素線が配置され一体化されてなるコード状発熱線を具備する温度制御装置であって、
    前記温度検知素線からの温度情報を持つ電気信号によりコード状発熱線の温度を制御するとともに、前記温度検知素線からの電気信号と前記高分子感熱層からの温度情報を持つ電気信号の差分を検知し、前記差分が一定の値を超えた場合、前記発熱素線への通電を停止し、前記コード状発熱線に発生した局部過熱を検知して安全性を確保することを特徴とする採暖用温度制御装置。
  2. 請求項1記載の温度制御装置において、
    前記温度検知素線の温度を制御する電気信号である温度制御信号から得られる制御温度をts、前記高分子感熱層の温度を監視する電気信号である温度監視用信号から得られる監視温度をtdとし、
    制御温度tsと監視温度tdの差分が、回路部品,回路調整の誤差分,温度制御のオーバーシュートまたは長時間ドリフト等の誤差分を含む任意の判定温度Δtと比較され、
    下記の数式が成立したとき、td領域を局部過熱と判定することを特徴とする採暖用温度制御装置。
    td − ts ≧ Δt
  3. 請求項2記載の温度制御装置において、
    前記温度検知素線からの電気信号を制御温度に変換するテーブルと、
    前記高分子感熱層からの電気信号を監視温度に変換するテーブルと、
    を備え、
    前記2つのテーブルを参照して制御温度tsと監視温度tdの差分を求めることを特徴とする採暖用温度制御装置。
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