JP2014101880A - タービン動翼シュラウド構成およびタービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法 - Google Patents

タービン動翼シュラウド構成およびタービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タービン動翼シュラウドの接触面の間の隙間を縮小させることで、シュラウドの早期の相互の噛み合いを実現させるシュラウド構成を提供する。
【解決手段】タービン動翼シュラウド構成は、先端シュラウド50の接触領域54を含んでおり、この場合接触領域54は、隣接する先端シュラウド50に近接近している。また、接触領域54に近接して配置された負の熱膨張材60も含まれており、接触領域54は、タービンシステムの始動状況および停止状況において第1のボリュームをなし、タービンシステムの定常状況において第2のボリュームをなす、第2のボリュームは、第1のボリュームより小さい。
【選択図】図4

Description

本明細書に開示される主題は、タービンシステムに関し、より詳細にはタービン動翼シュラウド構成、およびタービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法に関する。
タービンシステムは、圧縮機段およびタービン段などのいくつかの回転する構成要素または組立体を利用しており、これらは例えば、タービンが作動する際、高速で回転する。一般に特定の段は、中心ハブから半径方向外向きに延在する複数の自由に動くブレードを含んでいる。一部のブレードは、段における振動を制限し、密閉を実現することで、システム全体の効率を高めるシュラウドを含んでいる。シュラウドは典型的には、ブレードの先端部、ブレードの中央部またはブレードの中央部と先端部の両方に位置決めされる。シュラウドは、自由に動くブレードが相互に噛み合うことで、作動中に一体式に回転する1つの部材を形成するように設計されている。
自由に動くブレードが回転する前は、シュラウドの接触面の間には隙間がある。この隙間の間隔によって、タービンシステムの始動時にどのくらい早くシュラウドの噛み合いが生じるかが決まる。隙間が大きすぎると、非効率になり噛み合う速度が遅くなり、これにより例えば共鳴が生じる可能性がある。隙間が小さすぎると、タービンシステムの高速運転において望ましくない結果が生じることになる。このような結果には、減衰効率およびフラッタマージンの低下、ならびに例えば接触するシュラウド同士の間での力の伝達が大きくなることによりタービン動翼に課されるストレスが高くなることなどが含まれる。したがって、隙間を有利に縮小させて早期の相互の噛み合いを実現させることで潜在的な低速の航空力学問題に対処するための現行の努力は、定常状態での運転状況において生じる先端シュラウド寿命に対する好ましくない作用によって軽減されてしまっている。
米国特許第7824763号明細書
本発明の一態様によると、タービンシステムのためのタービン動翼シュラウド構成は、先端シュラウドの接触領域を含んでおり、この場合接触領域は隣接する先端シュラウドに近接近している。また接触領域に近接して配置された負の熱膨張材も含まれており、接触領域は、タービンシステムの始動状況および停止状況において第1のボリュームをなし、タービンシステムの定常状況において第2のボリュームをなし、この場合第2のボリュームは第1のボリュームより小さい。
本発明の別の態様によると、タービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法が提供される。方法は、負の熱膨張材を接触領域に近接するように付着させることによって、先端シュラウドと隣接する先端シュラウドの接触領域の間に配置された隙間を縮小するステップを含む。また、始動運転状況および停止運転状況において、先端シュラウドの接触領域を隣接する先端シュラウドに係合させるステップも含まれている。さらに、負の熱膨張材が収縮する際に温度が上昇した運転状況において接触領域のボリュームを縮小するステップが含まれ、ボリュームを縮小するステップによって、先端シュラウドの接触力を低下させ、定常状態の運転状況においてストレスを緩和させる。
このようなおよび他の利点および特徴は、以下の記載を図面と併用することによってより明らかになるであろう。
この主題は、本発明としてみなされており、明細書の終わりで請求項において詳細に指摘され明白に主張されている。本発明の前述のおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併用することで明らかである。
タービンシステムの概略図である。 タービンシステムのタービン段の部分斜視図である。 接触領域を有するタービン動翼シュラウド構成の頂面図である。 図3の接触領域の拡大した頂面図である。 1つの組成物を含む接触領域の概略図である。 複数の組成物の層の概略図である。 タービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法を示すフロー図である。
この詳細な記載は、一例として図面を参照して、利点および特徴と共に本発明の実施形態を説明している。
図1を参照すると、タービンシステムが、ガスタービンエンジンの形態で示されており、これは本発明の一例の実施形態に従って構築されており、全体的に10で示されている。タービンシステム10は、圧縮機12と、環状多筒形の配列で構成された複数の燃焼器組立体を含んでおり、その1つが14で示されている。示されるように、燃焼器組立体14は、エンドカバー組立体16を含んでおり、これは燃焼チャンバ18を密閉し、少なくとも部分的にこれを画定している。エンドカバー組立体16によって複数のノズル20〜22が支持されており、これらは燃焼チャンバ18へと延びている。ノズル20〜22は、共通の燃料入り口(図示せず)から燃料を受け取り、圧縮機12から圧縮された空気を受け取る。燃料と圧縮された空気は燃焼チャンバ18へと通過し、点火されて高温で高圧の燃焼生成物または空気流を形成し、これはタービン24を駆動するのに使用される。タービン24は、複数の段26〜28を含んでおり、これらは圧縮機/タービンシャフト30(ロータとも称される)を介して圧縮機12に作動可能に接続されている。
作動中、空気が圧縮機12へと流れ込み、圧縮されて高圧のガスになる。高圧ガスは、燃焼器組立体14に供給され、燃焼チャンバ18内で、例えばプロセスガスおよび/または合成ガス(合成ガス)などの燃料と混合される。燃料/空気または可燃性混合物が燃えて高圧で高温の燃焼ガス流を形成する。あるいは燃焼器組立体14は、これに限定するものではないが天然ガスおよび/または燃料油を含む燃料を燃焼させる場合もある。いずれの場合においても、燃焼器組立体14は、燃焼ガス流をタービン24に流し、タービンが、熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換する。
この時点で、複数の段26〜28のそれぞれが同様に形成されることを理解すべきであり、よって本発明の一例の実施形態によって構築された段26を記載する図2を参照し、残りの段、すなわち段27および28が対応する構造を有することを理解されたい。また本発明は、圧縮機12または摩耗および/または衝撃抵抗面を必要とする他の回転組立体において複数の段を利用する場合もあることを理解されたい。いずれの場合においても、段26は、エーロフォイル32などの複数の回転部材を含むように示されており、これはそれぞれ、軸方向の中心線35を有する中心ハブ34から半径方向外向きに延在している。エーロフォイル32は、中心ハブ34の軸方向の中心線35を中心として回転可能であり、基部36と先端部38を含む。
先端シュラウド50は、エーロフォイル32の先端部38を覆っている。先端シュラウド50は、隣接する回転部材にある先端シュラウドを受ける、またはそれと入れ子式に重なるように設計されることで、段26の周りに円周方向に延在する連続するリングを形成する。連続するリングは、段26の頂部(別個に表示されてはいない)にわたるガス路の空気の漏れを抑える外側の流路の境界を形成することで、段の効率およびタービン全体の性能を向上させる。示される例示の実施形態において、高速または運転速度において、隣接するエーロフォイル同士は、タービン24の作動によって生じる遠心力と熱負荷により、各々のそれぞれのエーロフォイルの先端シュラウド50を介して相互に噛み合う。
次に図3および図4を参照すると、先端シュラウド50がより詳細に示されており、隣接する先端シュラウド52と近接近している。先端シュラウド50は、タービンシステム10の稼働中、隣接する先端シュラウド52に係合するように構成された接触領域54を含む。具体的には接触領域54は、隣接する先端シュラウド52の隣接する接触領域56に係合する。先端シュラウド50と、隣接する先端シュラウド52の間、より詳細には接触領域54と隣接する接触領域56の間には隙間58がある。隙間58は、タービンシステム10が始動する前に生じている。隙間58は、タービンシステム10が稼働し、エーロフォイル32が回転する際、先端シュラウド50と隣接する先端シュラウド52が望ましい形で早期に相互に噛み合うことに基づいて寸法的に選択される。先端シュラウド50と隣接する先端シュラウド52の相互に噛み合った後、この動作環境が温度を上昇させることで、タービン24内のほとんどの構成要素の熱膨張が生じることになる。
既に接触している構成要素の潜在的な膨張によって課されるストレスを緩和させるために、接触領域54と隣接する接触領域56の少なくとも一方、ただし典型的には接触領域54と隣接する接触領域56の両方が、負の熱膨張材60を含んでいる。負の熱膨張材60は、熱膨張の負の係数を有することによって形成されることで、熱膨張材は、膨張作用というより上昇した温度に曝されることに反応して収縮する。熱膨張の負の係数を有するいずれの材料も接触領域54および隣接する接触領域56に含めるのに好適であり得ることを理解すべきである。このような材料の例には、ジルコン、タングステン酸ジルコニウムおよびA2(MO43化合物が含まれる。接触領域54および隣接する接触領域56の少なくとも一部を負の熱膨張材60によって形成することにより、有利には隙間58を寸法的に縮小することで、先端シュラウド50と隣接する先端シュラウド52が早期に相互に噛み合い易くし、また先端シュラウド50と隣接する先端シュラウド52間の相互作用に関連する接触力を緩和させることで、先端シュラウド50、隣接する先端シュラウド52およびそこに装着されたエーロフォイル32の様々な部分に課されるストレスを緩和させることができる。ストレスの緩和は、相互の噛み合いを維持し、負の熱膨張材60を収縮させることによって実現する。換言すると、接触領域54は、タービンシステム10の始動状況において第1のボリュームをなし、タービンシステム10の定常状態の運転状況においてこれより小さい第2のボリュームをなす。
次に図5および図6を参照すると、接触領域54が概略的により詳細に示されている。先端シュラウド50は、接触領域54で覆われた、またはそれと一体式に形成された基部の金属領域62を含む。接触領域54は、典型的にはわずかな負の熱膨張材60と、わずかな耐摩耗材とを含む1つまたは複数の組成物の層で形成されている。上記で指摘したように、接触領域54は、単独の組成物の層(図5)を含む、または複数の組成物の層(図6)を含む場合がある。複数の組成物の層72を有する一実施形態では、複数の組成物の層72内に異なる体積および/または重量分率の負の熱膨張材60が存在する可能性があり、例えば示されるように第1の層64、第2の層68および第3の層70などが存在し得る。一実施形態において、負の熱膨張材60の分率は、基部金属領域62から離れるのに対して各々の層において徐々に増大する。具体的には第1の層64は、第2の層68と比べて、より低い分率の負の熱膨張材60を含む可能性があり、第2の層68は、第3の層70と比べてより低い分率を有する可能性がある。負の熱膨張材60を含む部分が、基部金属領域62から次第に移行することで、先端シュラウド50の接触領域54と、基部金属領域62間の境界面における熱の衝突を緩和させる。複数の組成物の層72の各々は、互いに厚さが異なる場合があり、およそ0%からおよそ100%の範囲の分率で負の熱膨張材60を含む可能性があることを理解されたい。
接触領域54は、単独の層であっても複数の組成物の層72であっても、多くの応用工程で付着される、あるいは先端シュラウド50と一体式の場合がある。このような工程の例には、蝋付け、溶接、レーザクラッディング、冷温噴霧およびプラズマ移行アーク(PTA)工程が含まれる。上記の列記は単なる例示であり、多くの他の好適な応用工程を制限することを意図するものではない。
図7のフロー図に示されるように、かつ図1〜6を参照して、タービン動翼と隣接タービン動翼100との相互作用を調節する方法もまた提供されている。タービンシステム10、ならびに先端シュラウド50および接触領域54は既に記載されているため、特有の構造上の構成要素をさらに詳細に記載する必要はない。タービン動翼と隣接タービン動翼100との相互作用を調節する方法は、負の熱膨張材を接触領域に近接するように付着させることによって、先端シュラウドと隣接する先端シュラウドの接触領域の間にある隙間を縮小するステップを含む102。接触領域が、始動運転状況において隣接する先端シュラウドと係合する104。接触領域のボリュームは、負の熱膨張材が収縮する際の温度が上昇した運転状況において縮小する106。
本発明を限られた数の実施形態のみに関連して詳細に記載してきたが、本発明はこのような開示される実施形態に限定されるものではないことを容易に理解すべきである。むしろ本発明は、これまで記載されていないが、本発明の精神および範囲に見合った任意の数の変形形態、代替形態、代用形態または等価な構成を組み込むように修正することができる。これに加えて、本発明の種々の実施形態を記載してきたが、本発明の態様は、記載される実施形態の一部のみを含むことができるものと理解すべきではない。したがって本発明は、前述の記載によって制限されるものと理解すべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるものである。
10 タービンシステム
12 圧縮機
14 燃焼器組立体
16 エンドカバー組立体
18 燃焼チャンバ
20〜22 複数のノズル
24 タービン
26〜28 複数の段
30 ロータ
32 エーロフォイル
34 中心ハブ
35 軸方向の中心線
36 基部
38 頂部
50 先端シュラウド
52 隣接する先端シュラウド
54 接触領域
56 隣接する接触領域
58 隙間
60 負の熱膨張材
62 基部金属領域
64 第1の層
68 第2の層
70 第3の層
72 複数の組成物の層
100 タービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法
102 負の熱膨張材を接触領域に近接するように付着させることによって、先端シュラウドと隣接する先端シュラウドの接触領域の間にある隙間を縮小するステップ
104 接触領域が、始動運転状況において隣接する先端シュラウドと係合する。
106 接触領域のボリュームは、負の熱膨張材が収縮する際の温度が上昇した運転状況において縮小する。

Claims (20)

  1. タービンシステムのためのタービン動翼シュラウド構成であって、
    隣接する先端シュラウドに近接近している先端シュラウドの接触領域と、
    前記接触領域に近接して配置された負の熱膨張材であって、前記接触領域が、前記タービンシステムの始動状況および停止状況において第1のボリュームをなし、前記タービンシステムの定常状況において第2のボリュームをなし、第2のボリュームが第1のボリュームより小さい負の熱膨張材とを備えるタービン動翼シュラウド構成。
  2. 前記負の熱膨張材が、ジルコン、タングステン酸ジルコニウムおよびA2(MO43化合物の少なくとも1つを含む、請求項1記載のタービン動翼シュラウド構成。
  3. 前記隣接する先端シュラウドの隣接する接触領域をさらに備える、請求項1記載のタービン動翼シュラウド構成。
  4. 前記隣接する接触領域が負の熱膨張材を備える、請求項3記載のタービン動翼シュラウド構成。
  5. 前記接触領域が、前記負の熱膨張材と耐摩耗材の1つの組成物を含む、請求項1記載のタービン動翼シュラウド構成。
  6. 前記組成物が、前記先端シュラウドの基部金属上に配置された1つの層を備える、請求項5記載のタービン動翼シュラウド構成。
  7. 前記組成物が、前記先端シュラウドの基部金属上に配置された複数の層を備える、請求項5記載のタービン動翼シュラウド構成。
  8. 前記複数の層の各々が、異なる体積分率の前記負の熱膨張材を含む、請求項7記載のタービン動翼シュラウド構成。
  9. 前記組成物が、前記先端シュラウドに蝋付けされる、請求項5記載のタービン動翼シュラウド構成。
  10. 前記組成物が、前記先端シュラウドに溶接される、請求項5記載のタービン動翼シュラウド構成。
  11. タービン動翼と隣接タービン動翼との相互作用を調節する方法であって、
    負の熱膨張材を接触領域に近接するように付着させることによって、先端シュラウドと隣接する先端シュラウドの接触領域の間に配置された隙間を縮小するステップと、
    始動運転状況および停止運転状況において、前記先端シュラウドの接触領域を前記隣接する先端シュラウドに係合させるステップと、
    前記負の熱膨張材が収縮する際に温度が上昇した運転状況において前記接触領域のボリュームを縮小するステップであって、前記ボリュームを縮小するステップによって、前記タービン動翼先端シュラウドの接触力を低下させ、定常状態の運転状況においてストレスを緩和させるステップとを含む方法。
  12. 前記負の熱膨張材を前記隣接する先端シュラウドの隣接する接触領域に近接するように付着させるステップをさらに含む、請求項11記載の方法。
  13. 前記接触領域に近接するように組成物を形成するステップをさらに含み、前記組成物が、前記負の熱膨張材と耐摩耗材とを含む、請求項11記載の方法。
  14. 前記接触領域に近接するように複数の前記組成物の層を形成するステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
  15. 前記複数の層の各々が、異なる体積分率の前記負の熱膨張材を含む、請求項14記載の方法。
  16. 前記組成物が、前記先端シュラウドに蝋付けされる、請求項13記載の方法。
  17. 前記組成物が、前記先端シュラウドに溶接される、請求項13記載の方法。
  18. 前記組成物が、前記先端シュラウドにレーザクラッディングされる、請求項13記載の方法。
  19. 前記組成物が、前記先端シュラウドに冷温噴霧される、請求項13記載の方法。
  20. 前記組成物が、プラズマ移行アーク工程において付着される、請求項13記載の方法。
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