以下、本発明の遊技機キャリー1を具体化した一実施形態を図面に基づき説明する。図1,図2に示されるように、遊技機キャリー1は、『遊技機』であるパチンコ機10と、パチンコ機10を搬送するキャリー本体101とを備えている。
(1)パチンコ機10全体の概略構成
図1,図2には、パチンコ機10の機表側が略示されている。このパチンコ機10は、機体を構成する縦長方形状の中枠12を備えている。中枠12の前面側には、前枠14が横開き状態で開閉可能に組み付けられている。前枠14は、中央部に窓口14aを有するとともに、窓口14aの下方に上球皿15が一体的に組み付けられた構造を有している。上球皿15は、パチンコ機10の前面側に向けて突出しており、遊技球A1(図7等参照)を貯留する『貯留部』としての機能を有している。また、前枠14の裏面側には、機内部に配置された遊技盤13(図3参照)を透視保護するためのガラス(図示略)が組み付けられている。
前枠14の前面には、窓口14aを包囲する枠状の飾り部材14bが装着され、飾り部材14bの裏側にはランプ装置(図示略)が設けられている。ランプ装置は、図示しない発光体(発光ダイオードなど)を備えている。このランプ装置では、パチンコ機10の各種遊技の演出態様(大当り、リーチなど)に応じて点灯(点滅)・消灯などの発光装飾が行われるようになっている。
図1,図2に示されるように、前枠14の左上部には左スピーカ17aが配設され、前枠14の右上部には右スピーカ17bが配設されている。左スピーカ17a及び右スピーカ17bは、各種音声を出力して音声演出を行うためのものである。左スピーカ17a及び右スピーカ17bは前枠14の裏面側に装着されている。
さらに、中枠12の前面側において前枠14の下方には、下球皿18が開閉可能に組み付けられている。下球皿18は、パチンコ機10の前面側に向けて突出しており、上球皿15に貯まった遊技球A1が多くなったときに上球皿15から移されてくる遊技球A1を貯留するようになっている。下球皿18の右方には、打球発射装置(図示略)を構成する操作ハンドル19が装着されている。なお、遊技者が操作ハンドル19を回動操作すると、上球皿15に貯留された遊技球A1は、打球発射装置によって発射されて遊技盤13の遊技盤面13a上に導かれるようになる。また、下球皿18と操作ハンドル19との間には、各種音声を出力して音声演出を行う下スピーカ17cが配設されている。なお、下スピーカ17cは中枠12に装着されている。
(2)遊技盤13の構成
図3に示される遊技盤13は、ベニヤ板などの木製基板の表面に樹脂製のセルを貼付することによって略矩形板状に形成されている。遊技盤13の遊技盤面13aには、遊技球A1が流下可能な遊技領域32を区画する内レール33a及び外レール33bが略円形状に敷設されている。内レール33aと外レール33bとの間に生じる発射経路には、操作ハンドル19を操作した際に発射された遊技球A1が通過するようになっている。そして、発射経路を通過した遊技球A1は、発射経路の終端部から遊技領域32に進入し、遊技領域32内を流下するようになっている。
また、遊技盤面13aの略中央部には、開口部50aを有する枠状のセンター役物50が装着されている。なお、遊技盤13の裏側には、図柄表示装置60(図5参照)が着脱自在に取り付けられるようになっている。図柄表示装置60の表示画面は、センター役物50の開口部50aを介して遊技盤13の前面側から視認可能となっている。この図柄表示装置60では、変動表示(または画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われるようになっている。そして、図柄表示装置60では、表示演出に関連して、複数種類の演出図柄を3列で変動させる図柄組み合わせゲームが表示されるようになっている。なお、本実施形態の図柄表示装置60は液晶式であるが、ドットマトリクス式、エレクトロルミネッセンス素子式、7セグメント式の図柄表示装置であってもよい。
図3に示されるように、遊技盤面13a上におけるセンター役物50の下方位置には、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な『入賞装置』である始動入賞装置51が配設されている。始動入賞装置51には、始動入賞口51aが形成されるとともに、一対の羽根部材51bからなる普通電動役物が一体的に構成されている。一対の羽根部材51bは、普通電動役物ソレノイドSOL1(図4参照)の励磁作用により開閉するようになっている。また、始動入賞装置51の奥方には、始動入賞口51aに入球した遊技球A1を検知する『入賞スイッチ』である始動口スイッチSE1(図3,図4参照)が設けられている。始動口スイッチSE1は、始動入賞装置51に入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。一方、始動口スイッチSE1は、遊技球A1を検知していないときにオフ状態となり、入賞信号を出力しなくなる。なお、入賞信号が出力された場合には、特別図柄表示装置61による図柄変動ゲームが行われるとともに、図柄表示装置60による図柄組み合わせゲームが行われるようになっている。
図3に示されるように、遊技盤面13a上における始動入賞装置51の下方には、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な『入賞装置』である大入賞装置52が配設されている。大入賞装置52の奥方には、入賞した遊技球A1を検知するカウントスイッチSE2(図3,図4参照)が設けられている。カウントスイッチSE2は、大入賞装置52に入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。また、大入賞装置52の大入賞口扉52aは、大入賞口ソレノイドSOL2(図4参照)の励磁作用により、遊技球A1を受け入れない閉鎖状態、及び、遊技球A1を受け入れやすい開放状態に切替可能になっている。本実施形態において、大入賞口扉52aの「閉鎖状態」とは、大入賞口扉52aが完全に閉じている状態をいい、大入賞口扉52aの「開放状態」とは、大入賞口扉52aが完全に開いた状態をいう。
図3に示されるように、遊技盤面13a上におけるセンター役物50の左側領域には、遊技球A1の通過を検知する機能を有するゲート53が設けられている。ゲート53は、上下方向に開口しており、遊技領域32内を流下する遊技球A1が上方から通過可能になっている。ゲート53の奥方には、通過した遊技球A1を検知するゲートスイッチSE3(図3,図4参照)が設けられている。なお、ゲートスイッチSE3にて遊技球A1が検知された場合に乱数を取得し、取得した乱数が所定の乱数値であるか否かを判定した結果に基づいて普通電動役物ソレノイドSOL1が駆動される。このような判定(当り判定)によって一対の羽根部材51bが開放されるため、始動入賞装置51に遊技球A1が入賞しやすくなる。
また、センター役物50の右下方には、可視表示部を備えた特別図柄表示装置61が配設されている。特別図柄表示装置61では、始動入賞装置51への遊技球A1の入賞を契機として、複数種類の特別図柄(本実施形態では、「0」〜「9」の10種類の図柄)を変動させる図柄変動ゲームが実行され、該図柄変動ゲームの結果として、大当り及びハズレの表示結果が表示されるようになっている。例えば、図柄変動ゲームの結果が大当りとなる場合、図柄変動ゲームの終了時に、特別図柄として「0」〜「9」の10通りの数字を示す図柄が表示される。一方、図柄変動ゲームの結果がハズレとなる場合、図柄変動ゲームの終了時に、特別図柄としてハズレを示す「−」の図柄が表示される。
さらに、本実施形態では、特別図柄表示装置61での図柄変動ゲームに合わせて、図柄表示装置60による図柄組み合わせゲームが行われる。具体的には、図柄変動ゲームの開始とほぼ同時に図柄組み合わせゲームが開始され、図柄変動ゲームの終了(大当りまたはハズレの表示結果が表示)とほぼ同時に図柄組み合わせゲームの結果が表示されるようになっている。
図3に示されるように、遊技盤面13aにおいて始動入賞装置51の左方には、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な『入賞装置』である一般入賞装置58a〜58cが配設されている。一般入賞装置58a〜58cの奥方には、入賞した遊技球A1を検知する左下入賞口スイッチSE4(図4参照)が設けられている。左下入賞口スイッチSE4は、一般入賞装置58a〜58cに入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。即ち、一般入賞装置58a〜58cでは、1つの左下入賞口スイッチSE4で遊技球A1の入賞を検知している。さらに、遊技盤面13aにおいて始動入賞装置51の右上方にも、遊技盤面13a上を流下する遊技球A1が入賞可能な『入賞装置』である一般入賞装置58dが配設されている。一般入賞装置58dの奥方には、入賞した遊技球A1を検知する右下入賞口スイッチSE5(図4参照)が設けられている。右下入賞口スイッチSE5は、一般入賞装置58dに入賞した遊技球A1を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。
図3に示されるように、遊技領域32内は風車34が配設され、遊技領域32の略全域には複数の遊技釘35が植設されている。風車34及び遊技釘35は、遊技領域32内を流下する遊技球A1の方向を変更するとともに、各入賞装置51,52,58a〜58cに向けて遊技球A1を誘導可能となっている。また、遊技領域32の最下部には、いずれの入賞装置51,52,58a〜58dにも入賞しなかった遊技球A1を回収するためのアウト口57が配設されている。
(3)パチンコ機10の電気的構成
図4,図5に示されるように、このパチンコ機10は、主制御基板21、統括制御基板22、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24を備えている。『制御基板』である主制御基板21には統括制御基板22が電気的に接続され、統括制御基板22には、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24が電気的に接続されている。
また、パチンコ機10は、主制御基板21に電気的に接続されるリモコン中継基板25と、リモコン中継基板25に電気的に接続される遊技盤入出力信号中継基板26とを備えている。リモコン中継基板25には、始動口スイッチSE1及び下スピーカ17cが電気的に接続されている。また、遊技盤入出力信号中継基板26には、カウントスイッチSE2、ゲートスイッチSE3、左下入賞口スイッチSE4及び右下入賞口スイッチSE5が電気的に接続されている。さらに、遊技盤入出力信号中継基板26には、普通電動役物ソレノイドSOL1及び大入賞口ソレノイドSOL2が電気的に接続されている。
また、図5に示されるように、パチンコ機10は発射制御基板27を備えている。発射制御基板27は、操作ハンドル19の操作状態を検知し、それに基づいて遊技球A1の発射強度を制御する役割を果たしている。
なお、遊技機キャリー1としてではなく実機として用いられるパチンコ機は、上記の制御基板21〜24,26,27に加えて、払出制御基板や球払出装置を備えている。払出制御基板は、主制御基板21に電気的に接続されており、主制御基板21からの払い出し指示に基づいて球払出装置による遊技球A1の払い出しを制御するためのものである。しかし、本実施形態の遊技機キャリー1では、入賞装置51,52,58a〜58dへの遊技球A1の入賞を契機として入賞信号が出力されたとしても、入賞信号を遊技球A1の払い出しの契機とはしていないため、遊技球A1が払い出されることはない。よって、遊技機キャリー1が備える本実施形態のパチンコ機10では、払出制御基板及び球払出装置が省略されるようになっている。なお、入賞信号に含まれる入賞に関する情報の一部は、入賞情報信号(演出表示用の信号)として統括制御基板22を介して表示制御基板23に出力される。そして、表示制御基板23の表示制御CPUは、入力された入賞情報信号が示す情報に基づいて、図柄変動ゲーム後の大当り遊技状態中に賞球数を図柄表示装置60に表示させる制御を行う。
(3−1)主制御基板21の電気的構成
図4に示される主制御基板21は、パチンコ機10全体を制御するメインCPU(図示略)を備えている。メインCPUには、メインROM(図示略)及びメインRAM(図示略)が電気的に接続されている。メインCPUは、図柄変動ゲームに係る各種抽選に用いる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、リーチ判定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期ごとに更新している。そして、メインCPUは、更新後の値をメインRAMの乱数記憶領域に設定して更新前の値を書き換えている。
次に、メインCPUが実行する図柄変動ゲームに係る各種処理を説明する。メインCPUは、図柄変動ゲームの結果が大当りとなるか否かを判定する処理、図柄変動ゲーム中に実行される演出の演出内容を決定する処理、及び、決定した演出内容に基づいて演出を実行させる処理を行う。
詳述すると、メインCPUは、始動入賞装置51への遊技球A1の入賞(始動口スイッチSE1からの入賞信号の入力)を契機として、所定の周期ごとに更新される大当り判定用乱数の値及び大当り図柄用乱数の値をメインRAMから取得し、それらの値をメインRAMの乱数記憶領域に格納(記憶)する。そして、メインCPUは、図柄変動ゲームの開始直前に、メインRAMの乱数記憶領域に格納されている大当り判定用乱数の値とメインROMに記憶されている大当り判定値とを比較して、図柄変動ゲームの当否を判定する大当り判定(大当り抽選)を行う。なお、本実施形態では、大当り判定用乱数の採りうる数値を0〜946(全947通りの整数)としている。そして、メインCPUは、大当り判定用乱数の採りうる数値の中からあらかじめ定めた3個の大当り判定値を用いて、大当りの抽選確率を947分の3(=315.7分の1)として大当り判定を行う。
大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、メインCPUは大当りを決定する。大当りの決定がなされると、メインCPUは、メインRAMの乱数記憶領域に記憶された大当り図柄用乱数の値に基づいて、「0」〜「9」のいずれか1つを示す特別図柄を決定する。そして、メインCPUは、決定した特別図柄に対応したデータを、次回の図柄変動ゲームに係る処理を行うまでの間、メインRAMに記憶する。
一方、大当り判定の判定結果が否定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが不一致)の場合、メインCPUはハズレを決定する。そして、メインCPUは、ハズレを示す「−」の図柄を特別図柄として決定する。さらに、メインCPUは、決定した特別図柄に対応したデータを、次回の図柄変動ゲームに係る処理を行うまでの間、メインRAMに記憶する。
そして、メインCPUは、メインRAMから読み出したリーチ判定用乱数の値とメインROMに記憶されているリーチ判定値とを比較してハズレリーチを実行するか否かのリーチ判定を行う。なお、リーチ判定値は、リーチ判定用乱数の採りうる数値の中からあらかじめ定めた値である。そして、リーチ判定の判定結果が肯定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが一致)の場合、メインCPUはハズレリーチを決定する。また、リーチ判定の判定結果が否定(リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値とが不一致)の場合、メインCPUはハズレ(リーチを伴わないハズレ)を決定する。
また、メインCPUは、各入賞装置51,52,58a〜58dへの遊技球A1の入賞(各スイッチSE1,SE2,SE4,SE5からの入賞信号の入力)を契機として、各入賞信号に対応する賞球数(本実施形態では、3個、5個、10個のいずれか)をメインROMから取得する。そして、メインCPUは、各入賞信号に対応する賞球数の合計(賞球総数)をメインRAMに記憶する。また、メインCPUは、スイッチSE1,SE2,SE4,SE5から入賞信号が入力される度に、入力された入賞信号に対応する賞球数をメインRAMに記憶されている賞球総数に加算し、更新後の賞球総数とする。
なお、実機として用いられるパチンコ機では、メインCPUが、各入賞装置51,52,58a〜58dへの遊技球A1の入賞を契機として、払出制御基板に対して賞球制御信号を出力するようになっている。そして、払出制御基板は、賞球制御信号の入力を契機として、球払出装置に対して駆動制御信号を出力し、球払出装置による賞球の払い出しを開始させるようになっている。しかし、上述のように、本実施形態の遊技機キャリー1では、払出制御基板及び球払出装置が省略されているため、払出制御基板に対する賞球制御信号の出力や、球払出装置による賞球の払い出しが実行されることはない。即ち、本実施形態では、入賞装置51,52,58a〜58dへの遊技球A1の入賞が賞球の払い出しの実行契機となることはない。なお、入賞信号に含まれる入賞に関する情報の一部は、入賞情報信号として統括制御基板22を介して表示制御基板23に出力される。そして、表示制御基板23の表示制御CPUは、入力された入賞情報信号が示す情報に基づいて、図柄変動ゲーム後の大当り遊技状態中に賞球数を図柄表示装置60に表示させる制御を行う。
(3−2)統括制御基板22の電気的構成
図5に示されるように、統括制御基板22は統括制御CPU(図示略)を備えており、統括制御CPUには統括ROM(図示略)及び統括RAM(図示略)が接続されている。統括RAMには、遊技演出の決定に用いる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
なお、統括制御CPUは、メインCPUから入力された各種コマンドに基づいて、図柄組み合わせゲームの終了時に図柄表示装置60に停止表示される演出図柄を生成するようになっている。そして、統括制御CPUは、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24に遊技演出の実行を指示する指示コマンドを、表示制御基板23の表示制御CPU、及び、音声・ランプ制御基板24の音声・ランプ制御CPUに出力するようになっている。これにより、表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24が実行する遊技演出の具体的な内容が、統括制御基板22によって統括的に制御される。
(3−3)表示制御基板23の電気的構成
図5に示されるように、表示制御基板23は表示制御CPU(図示略)を備えており、表示制御CPUには表示ROM(図示略)及び表示RAM(図示略)が接続されている。表示ROMには、図柄組み合わせゲームが行われる際に用いられる表示演出データが記憶されている。表示演出データとは、表示制御CPUが、図柄表示装置60の表示内容(図柄変動など)を制御するための情報である。また、表示RAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
そして、統括制御CPUから指示コマンドが入力されると、表示制御CPUは、表示ROMに記憶されている表示演出データを図柄信号に変換し、図柄表示装置60に出力する。その結果、図柄表示装置60は、図柄信号に基づき所定の表示(図柄組み合わせゲームなど)を行うことができるようになる。
(3−4)音声・ランプ制御基板24の電気的構成
図5に示されるように、音声・ランプ制御基板24は音声・ランプ制御CPUを備えており、音声・ランプ制御CPUには音声・ランプROM(図示略)及び音声・ランプRAM(図示略)が接続されている。音声・ランプROMには、図柄組み合わせゲームが行われる際に用いられる発光演出データ及び音声演出データが記憶されている。発光演出データとは、音声・ランプ制御CPUが、ランプ装置の発光出力態様を制御するための情報である。音声演出データとは、音声・ランプ制御CPUが、スピーカ17a〜17cの音声出力態様(効果音の種類、言語音声の種類、音声出力時間など)を制御するための情報である。また、音声・ランプRAMには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
そして、統括制御CPUから指示コマンドが入力されると、音声・ランプ制御CPUは、音声・ランプROMに記憶されている発光演出データを発光制御信号に変換し、ランプ装置に出力する。その結果、ランプ装置は、発光制御信号に基づき所定の発光動作(点灯、点滅など)を行うことができるようになる。また、音声・ランプ制御CPUは、音声・ランプROMに記憶されている音声演出データを音声信号に変換し、スピーカ17a〜17cに出力する。その結果、スピーカ17a〜17cは、音声信号に基づき所定の出力動作(音声の出力)を行うことができるようになる。
(4)循環部材71の構成
図2,図6〜図9に示されるように、パチンコ機10を構成する中枠12は、遊技盤13が取付けられる遊技盤取付部(図示略)の下方に循環部材71を備えている。循環部材71には、打球発射装置などの各種部材が設置されるようになっている。また、循環部材71は、中枠下部本体72、裏板81、セット盤73及び循環部材サブユニット91を備えている。中枠下部本体72には、中枠下部本体72を貫通して上球皿15側に開口する遊技球排出口74(図9(b)参照)が設けられている。
(4−1)裏板81の構成
図7,図9,図10に示されるように、裏板81を構成する裏板本体82の上端部中央には、アウト口57から回収された遊技球A1を受ける遊技球受け部83が形成されている。遊技球受け部83は、上面から見て矩形状をなしており、裏板本体82から中枠下部本体72側に突出するとともに、裏板本体82からアウト口57側に突出している。即ち、遊技球受け部83は、アウト口57側に突出することにより、遊技球A1を下球皿18に案内する球通路(図12に示す案内通路183及び回収通路184に相当)を塞ぐようになっている。なお、遊技球受け部83の突出量は、遊技球A1の直径よりもやや大きく設定されている。また、裏板本体82の上部には、遊技球回収レール84が傾斜した状態(右下がり)で設けられている。遊技球回収レール84は、略帯状をなし、遊技球受け部83の下方において中枠下部本体72の長手方向に沿って延びている。遊技球回収レール84は、循環部材サブユニット91側に行くに従って徐々に低くなっており、遊技球回収レール84の下端部は、遊技球排出口74の近傍に位置している。遊技球回収レール84は、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1、及び、アウト口57から回収された遊技球A1を循環部材サブユニット91側に案内するようになっている。また、遊技球回収レール84は、裏板本体82の表面からセット盤73側に垂直方向(遊技球受け部83の突出方向とは反対方向)に突出している。遊技球回収レール84の突出量(幅)は、遊技球A1の直径よりもやや大きく設定されている。
(4−2)セット盤73の構成
図6〜図9に示されるように、セット盤73は、裏板81の全体を覆うように構成されている。セット盤73は、裏面が遊技球回収レール84の先端面に当接するとともに、上端部が遊技球回収レール84の上面よりも上方に突出している(図9(a)参照)。また、セット盤73には、循環部材サブユニット91を取り付けるための取付孔75(図9(b)参照)が設けられている。取付孔75内には、遊技球排出口74が露出するとともに、遊技球回収レール84の下端部(下流部分)が露出するようになっている。
(4−3)循環部材サブユニット91の構成
図6〜図11に示されるように、循環部材サブユニット91は、一部が取付孔75内に挿入されることにより、セット盤73に取り付けられるようになっている。循環部材サブユニット91は、ユニット本体92及び側板93によって略箱状に形成されており、内部に第1空間94と第2空間95とが区画形成されている。第1空間94には、遊技球回収レール84を通過した遊技球A1が流入するとともに、流入した遊技球A1の向きを中枠下部本体72側に変更して遊技球排出口74内に案内するようになっている。即ち、遊技球回収レール84及び第1空間94によって、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1、及び、アウト口57から回収された遊技球A1を上球皿15に戻すための循環経路70が構成される。また、第1空間94は、側板93と、ユニット本体92を構成する側壁92a、上壁92b、第1前壁92c及び第1底壁92dとによって構成され、中枠下部本体72側にて開口する略矩形箱状をなしている。第1底壁92dの上面は、中枠下部本体72側に行くに従って低くなる傾斜面となっている。また、側壁92aには、遊技球回収レール84の上側空間に連通する略矩形状の連通孔96が設けられている。さらに、側壁92aには、張出部96の開口端部から遊技球回収レール84側に突出する略矩形状の張出片97が設けられている。
図9〜図11に示されるように、第2空間95は、側板93と、ユニット本体92を構成する側壁92a、上壁92b、第1前壁92c、第1底壁92d、第2前壁92e及び第2底壁92fによって構成され、中枠下部本体72側にて開口する形状をなしている。第2空間95は、遊技球回収レール84の上側空間や第1空間94に連通していないため、遊技球A1が流入しないようになっている。
よって、図10に示されるように、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1は、入賞信号に基づいた賞球の払い出しとは無関係に、遊技球回収レール84に導かれる。また、アウト口57から回収された遊技球A1は、遊技球受け部83上に落下した後、遊技球回収レール84上に落下する。そして、遊技球回収レール84に導かれた遊技球A1は、遊技球回収レール84上を転動し、連通孔96を介して循環部材サブユニット91内の主面94に流入する。第1空間94に流入した遊技球A1は、第1底壁92d上を転動した後に、中枠下部本体72側の遊技球排出口74を介して上球皿15に流入する。
なお、図12に示されるように、実機として用いられるパチンコ機では、裏板181に、上球皿に入らなかった遊技球A2を下球皿に案内する案内通路183と、打球発射装置から発射したものの遊技領域に到達せずに流下する遊技球A2(ファール球)を回収して下球皿に案内する回収通路184が設けられている。また、裏板181には、裏板本体182から中枠下部本体72側に突出する遊技球受け部83は設けられていない。なお、アウト口から回収された遊技球A2や、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A2は、案内通路183及び回収通路184とは別の経路を通ってパチンコ機の裏側に導かれるため、上球皿に回収されることはない。
(5)キャリー本体101の構成
図1,図2,図13に示されるように、キャリー本体101は、台車141、固定板142及び外枠部材143を備えている。台車141及び固定板142は、4箇所に設けられたバックル状の留め具144によって互いに脱着可能に構成されている。台車141の底面における四隅には、キャスター102が取り付けられている。また、固定板142は、外枠部材143を直立状態で支持するようになっている。外枠部材143は、パチンコ機10の外郭をなす縦長方形の枠状をなしている。外枠部材143の開口前面側には、パチンコ機10側の構成である中枠12が、開閉及び着脱自在に組み付けられるようになっている。また、外枠部材143には、保護カバー104が後方から取り付けられている。その結果、保護カバー104によってパチンコ機10の機裏側が保護されるようになる。なお、保護カバー104は、略矩形板状をなす底壁104aと、底壁104aの外周縁から前方に突出する3つの周壁104b,104c,104dとからなっている。また、保護カバー104の上端部(周壁104b)には、折り畳み可能な把手103が取り付けられ、キャリー本体101の側部(周壁104d)には、同じく折り畳み可能な取っ手105が取り付けられている。把手103及び取っ手105は、遊技機キャリー1の搬送に用いられるようになっている。
図1,図2,図4,図13に示されるように、固定板142上において外枠部材143の表側となる箇所には、電源コードケース116が取り付けられている。この電源コードケース116内には、遊技機キャリー1の外部電源(家庭用電源)に接続可能な電源コード111が収納されている。また、固定板142上において外枠部材143の裏側となる箇所には、電源パネル118が取り付けられている。電源パネル118には、電源コード111に接続される主電源スイッチ112が取り付けられている。主電源スイッチ112は、オン位置に操作されることにより、パチンコ機10側の主制御基板21などに電源を供給する機能を有している。また、主電源スイッチ112は、オフ位置に操作されることにより、主制御基板21などへの電源供給を遮断する機能を有している。さらに、固定板142上において外枠部材143の裏側となる箇所には、電源タップ113が取り付けられている。電源タップ113には、主電源スイッチ112から延びる電源コード114と、スイッチングレギュレーター119から延びる電源コード115とが差し込まれている。
図1,図2,図4,図13に示されるように、固定板142上において外枠部材143の表側となる箇所には、送受信ユニット131が取り付けられている。送受信ユニット131は、パチンコ機10及びキャリー本体101とは別体に設けられたリモートコントローラ(図示略)との間で無線での通信を行うようになっている。送受信ユニット131は、リモコン受信基板ユニット132及びリモコン送信機133によって構成されている。
また、電源タップ113には、電源アダプタとしての機能を有する電源トランス121が差し込まれている。電源トランス121は、電源タップ113、電源コード114、主電源スイッチ112及び電源コード111を介して、外部電源に電気的に接続可能となっている。電源トランス121は、電源コード111が外部電源に接続され、かつ、主電源スイッチ112がオン位置に操作された際に、外部電源の電源電圧(100Vの交流電圧)を24Vの交流電圧に変換する機能を有している。
図1,図2,図4,図13に示されるように、リモコン受信基板ユニット132内にはリモコン受信基板122が収容されている。リモコン受信基板122は、電源コード124を介して電源トランス121に電気的に接続されるとともに、リモコン中継基板25を介して主制御基板21に電気的に接続されている。リモコン受信基板122は、リモートコントローラからの操作信号を受信するとともに、受信した操作信号をリモコン中継基板25を介して主制御基板21に出力するようになっている。従って、リモコン中継基板25は、リモコン受信基板122から入力される信号と始動口スイッチSE1からの入賞信号とに基づいた制御を行うようになっている。
さらに、固定板142上において外枠部材143の裏側となる箇所には、電源ボックスユニット117が取り付けられている。電源ボックスユニット117内には電源基板123が収容されている。電源基板123は、スイッチングレギュレーター119を介してリモコン受信基板122に電気的に接続されている。それとともに、電源基板123は、スイッチングレギュレーター119、電源コード115、電源タップ113、電源コード114、主電源スイッチ112及び電源コード111を介して、外部電源に電気的に接続されている。さらに、電源基板123は、電源トランス121によって変換した電源電圧に基づいて、各基板21〜27の動作に必要な駆動電圧を生成する役割を果たしている。電源基板123は、主制御基板21及び発射制御基板27に電気的に接続されており、生成した駆動電圧を主制御基板21及び発射制御基板27に供給するようになっている。
ところで、リモートコントローラは、リモコン受信基板122(及び主制御基板21)に対して操作信号を出力することにより、各種の表示態様(表示モード)で図柄表示装置60での表示を行うようになっている。詳述すると、リモートコントローラには、図柄表示装置60の表示内容を説明するための表示内容説明装置が設けられている。本実施形態の表示内容説明装置は、3桁の数字が表示可能な7セグメント式の表示装置である。なお、表示内容説明装置に表示される番号(例えば、「表示内容3」を示す「3」)は、図柄表示装置60の表示内容の種類(例えば、ハズレ演出、ハズレリーチ演出、大当り演出など)を示している。
また、本実施形態の表示モードは、全表示内容紹介モード、リーチ紹介モード、オートモード及び試打ちモードの4種類である。全表示内容紹介モードは、図柄表示装置60にて実行される全ての表示内容を紹介可能なモードである。リーチ紹介モードは、リーチ演出を伴う表示内容の全てを順番に紹介するモードである。オートモードは、図柄表示装置60にて実行されうる表示内容を無作為に紹介するランダム紹介モードである。試打ちモードは、顧客が試射を行う際に用いられるモードであり、図柄表示装置60にて実行されうる表示内容を実際のパチンコ機(実機)で遊技を行う場合と同等の表示内容にするモードである。
さらに、リモートコントローラには、複数の切換スイッチが設けられている。切換スイッチは、全表示内容紹介モード、リーチ紹介モード、オートモード及び試打ちモードのいずれかを決定するために、手動操作されるようになっている。また、切換スイッチは、図柄表示装置60の表示内容を別の表示内容に移行させるために、手動操作されるようになっている。さらに、一部の切換スイッチは、演出モードを、確変モード(確率変動状態が付与されるモード)、時短モード(確率変動状態が付与されるモード)及び背景モードA〜Cのいずれかに変更するために手動操作されるモード変更手段となっている。切換スイッチは、手動操作されているときにオン状態となり、操作信号をリモコン受信基板122及びリモコン中継基板25を介して主制御基板21のメインCPUに出力するようになっている。
次に、リモートコントローラからの操作信号を契機としてメインCPUが実行する各種処理を説明する。メインCPUは、リモートコントローラから入力された操作信号に基づき、図柄変動ゲームにおける遊技演出の演出内容を特定するための変動パターンを決定する処理を行う。
例えば、リモートコントローラから全表示内容紹介モードの実行を指示する操作信号が入力された場合、メインCPUは、表示モードを全表示内容紹介モードに変更する。そして、見たい表示内容に該当するコマンド番号を示す操作信号がリモートコントローラから入力されると、メインCPUは、操作信号が示すコマンド番号に基づいて変動パターンを決定する。即ち、全表示内容紹介モードでは、メインCPUが、始動入賞装置51への遊技球A1の入賞を契機として変動パターンを決定するのではなく、リモートコントローラから入力された情報に基づいて変動パターンを決定する。
また、リモートコントローラからリーチ紹介モードの実行を指示する操作信号が入力された場合、メインCPUは、メインROMに記憶されているリーチ紹介モード用のリーチ紹介モードデータを選択して、メインRAMの記憶領域に記憶させる。そして、メインCPUは、選択したリーチ紹介モードデータに基づいて変動パターンを決定する。ここで、本実施形態のリーチ紹介モードは、シナリオに従って、ノーマルリーチ→スーパーリーチA→スーパーリーチB→プレミアムリーチ→ノーマルリーチ→…の順にリーチを循環させながら紹介するモードである。なお、リーチ紹介モードの代わりに、他のモードを実行させるようにしてもよい。例えば、シナリオに従って、背景モードA→背景モードB→背景モードC→確変モード→時短モード→背景モードA→…の順に紹介するモードを実行させるようにしてもよい。また、シナリオに従って、大当りパターン1→大当りパターン2→大当りパターン3→大当りパターン1→…の順に紹介するモードを実行させるようにしてもよい。なお、大当りパターン1〜3は、大当り遊技状態中のラウンド演出の表示内容を示すパターンである。
また、リモートコントローラからオートモードの実行を指示する操作信号が入力された場合、メインCPUは、表示モードをオートモードに変更する。この場合、リモコン中継基板25は、始動入賞装置51に遊技球A1が入賞したか否かにかかわらず、遊技球A1の入賞を示す入賞情報を生成し、生成した入賞信号を主制御基板21に出力する。そして、メインCPUは上述した大当り判定を行う。そして、大当り判定の判定結果が肯定の場合、メインCPUは、メインRAMから変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づき、大当り演出用の変動パターンを決定する。一方、大当り判定の判定結果が否定の場合、メインCPUは上述したリーチ判定を行う。リーチ判定の判定結果が肯定の場合、メインCPUは、メインRAMから変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づき、ハズレリーチ演出用の変動パターンを決定する。一方、リーチ判定の判定結果が否定の場合、メインCPUは、メインRAMから変動パターン振分乱数の値を読み出し、該値に基づき、ハズレ演出用の変動パターンを決定する。即ち、オートモードでは、遊技球A1を発射しなくても、リモートコントローラから入力された情報に基づいて自動で変動パターンを決定する。
さらに、リモートコントローラから試打ちモードの実行を指示する操作信号が入力された場合、メインCPUは、表示モードを試打ちモードに変更する。なお、本実施形態の試打ちモードは、通常モード及びデモモードの2種類のモードに設定可能となっている。通常モードとは、遊技店に設置されているパチンコ機と同じ状態で遊技(試射)を行うことが可能なモードである。デモモードとは、顧客に大当りに関する演出を体感させやすくするために、大当りの抽選確率を高確率に設定した試打ちモードである。
そして、メインCPUは、始動入賞装置51への遊技球A1の入賞(始動口スイッチSE1からの入賞信号の入力)を契機として大当り判定を行う。例えば、通常モードである場合、メインCPUは、大当り判定用乱数の採りうる数値の中からあらかじめ定めた3個の大当り判定値を用いて、大当りの抽選確率を947分の3(=315.7分の1)として大当り判定を行う。一方、デモモードである場合、大当り判定用乱数の採りうる数値の中からあらかじめ定めた15個の大当り判定値を用いて、大当りの抽選確率を947分の15(≒63.1分の1)として大当り判定を行う。そして、大当り判定の判定結果が肯定の場合、メインCPUは、メインRAMから読み出した変動パターン振分乱数の値に基づき、大当り演出用の変動パターンを決定する。一方、大当り判定の判定結果が否定の場合、メインCPUはリーチ判定を行う。リーチ判定の判定結果が肯定の場合、メインCPUは、メインRAMから読み出した変動パターン振分乱数の値に基づき、ハズレリーチ演出用の変動パターンを決定する。一方、リーチ判定の判定結果が否定の場合、メインCPUは、メインRAMから読み出した変動パターン振分乱数の値に基づき、ハズレ演出用の変動パターンを決定する。
また、リモートコントローラから演出モードの変更を指示する操作信号が入力された場合、メインCPUは、演出モードを、確変モード、時短モード及び背景モードA〜Cのいずれかに変更する。
その後、各モードに応じて変動パターンを決定したメインCPUは、統括制御基板22の統括制御CPUに対して所定のコマンドを出力する。その結果、出力されたコマンドに対応する表示モードで、図柄表示装置60での表示が実行される。
次に、遊技機キャリー1の使用方法を説明する。
遊技機キャリー1を搬送する場合、営業担当者は、把手103や取っ手105を把持して遊技機キャリー1を搬送する。そして、商品説明を行うにあたり、営業担当者は、遊技機キャリー1を床等に設置して電源を接続し、主電源スイッチ112をオン位置に操作する。
なお、本実施形態では、遊技機キャリー1の外部電源として、一般に普及している家庭用電源を用いているため、顧客店舗に出向いた際に外部電源を容易に確保できる。また、キャリー本体101には電源トランス121が設けられているため、電源トランスを別途用意しなくても、パチンコ機10に電源を供給することができる。従って、遊技機キャリー1を用いて商品説明を行うことが容易になる。
また、リモートコントローラを紛失してしまうことが考えられる。この場合、リモコン受信基板ユニット132に設けられたスイッチ(図示略)を「通常時」から「緊急時」に切り替えるとともに、主電源スイッチ112をオン位置に操作すれば、電源コード111、主電源スイッチ112、電源コード114、電源タップ113、電源コード115及びスイッチングレギュレーター119を介して、電源基板123に電源が供給されるようになる。その結果、電源基板123から主制御基板21に対して確実に駆動電圧を供給できるため、緊急時においても、パチンコ機10に電源を確実に供給することができる。
次に、リモートコントローラの切換スイッチを操作して図柄表示装置60の表示内容を選択すると、選択された表示内容を示す操作信号が、リモコン受信基板122及びリモコン中継基板25を介して主制御基板21(メインCPU)に出力される。そして、主制御基板21は、操作信号が示す選択された表示内容に基づいて、統括制御基板22に遊技演出の実行を指示するための各種信号を出力する。さらに、統括制御基板22は、主制御基板21から入力された各種信号を表示制御基板23及び音声・ランプ制御基板24に出力する。表示制御基板23は、統括制御基板22から入力された各種信号に基づいて表示演出の演出実行を指示する。また、音声・ランプ制御基板24は、統括制御基板22から入力された各種信号に基づいて音声演出及び発光演出の演出実行を指示する。その結果、図柄表示装置60による図柄変動が開始されるとともに、スピーカ17a〜17cから音声が出力され、ランプ装置が発光するため、営業担当者は、遊技演出の説明を開始することができる。
また、リモートコントローラの切換スイッチの操作によって試打ちモードが選択された場合に顧客が試射を行うと、打球発射装置によって上球皿15から発射された遊技球A1は、遊技盤面13a上を流下して入賞装置51,52,58a〜58dやアウト口57に入球する。この場合、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1は、遊技球回収レール84に導かれる。また、アウト口57に入球した遊技球A1は、遊技球受け部83上に落下した後、遊技球回収レール84上に落下する。そして、遊技球回収レール84に導かれた遊技球A1は、遊技球回収レール84上を転動し、連通孔96を介して循環部材サブユニット91内の主面94に流入する。第1空間94に流入した遊技球A1は、第1底壁92d上を転動した後に、中枠下部本体72側の遊技球排出口74を通過して上球皿15に戻される。その結果、営業担当者が新たに遊技球A1を上球皿15に入れなくても、顧客は、上球皿15に戻された遊技球A1を用いて試射を継続することができる。なお、遊技球A1が始動入賞装置51に入賞した場合には、遊技球A1の入賞が図柄変動ゲームを開始させる契機となり、実際のパチンコ機(実機)で遊技を行う場合と同等の抽選判定を行うことが可能となる。また、本実施形態では、大当りの抽選確率や、演出モード(本実施形態では、確変モード、時短モード及び背景モードA〜C)についても、リモートコントローラの切換スイッチの操作で変更・設定することが可能である。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の遊技機キャリー1によれば、打球発射装置によって上球皿15から発射された遊技球A1は、遊技盤面13a上を流下して入賞装置51,52,58a〜58dやアウト口57に入球した後、循環部材71によって上球皿15に戻されて、再び打球発射装置によって発射されるようになる。その結果、上球皿15から発射された遊技球A1が上球皿15とは別の場所に導かれることがなくなることから、上球皿15に貯留されている遊技球A1が減らなくなるため、少量の遊技球A1で試射を行うことができる。換言すると、多量の遊技球A1を持参しなくても済むため、搬送の負担を軽減しながら、パチンコ機10を用いた臨場感のある営業・販売活動を効果的に行うことができる。
(2)本実施形態では、入賞装置51,52,58a〜58dへの遊技球A1の入賞を契機として入賞信号が出力されたとしても、入賞信号は、図柄変動ゲーム等を開始させる契機となるだけであって、賞球の払い出しの契機とはならないため、賞球が払い出されることはない。よって、主制御基板21からの払い出し指示に基づいて賞球の払い出しを制御する払出制御基板や、払出制御基板からの駆動制御信号に基づいて賞球の払い出しを開始する球払出装置等が省略可能となる。その結果、遊技機キャリー1を構成する部品点数を減少させることができるため、遊技機キャリー1の軽量化が可能となる。
しかも、払出制御基板や球払出装置を省略することにより、賞球の払い出しに用いられる遊技球A1を準備しなくても済むようになるため、少量の遊技球A1で確実に試射を行うことができる。ゆえに、持参する遊技球A1の数をより確実に減らすことができるため、搬送の負担をよりいっそう軽減することができる。
仮に、遊技機キャリー1ではなく、実際のパチンコ機(実機)を用いて営業・販売活動を行う場合、1回の大当りで1200〜2000個の遊技球A1が払い出されることを鑑みれば、パチンコ機が常時備えるべき遊技球A1の数は、10000個程度に達すると想定される。この場合、営業担当者は、55kg(=55000g)分の遊技球A1(1個当たり5.5g)を持参する必要があるため、搬送の負担はかなり大きいものとなる。一方、本実施形態の遊技機キャリー1を用いれば、パチンコ機10が備えるべき遊技球A1の数は200〜300個程度で済むようになる。この場合、営業担当者は、1.1kg(1100g)〜1.65kg(1650g)分の遊技球A1を持参するだけで済むため、搬送の負担は大きく低減されるようになる。
(3)本実施形態では、リモートコントローラからの操作信号を受信するリモコン受信基板122が、サブ制御基板(統括制御基板22、表示制御基板23、音声・ランプ制御基板24)に電気的に接続されるのではなく、始動口スイッチSE1からの入賞信号が入力される主制御基板21に電気的に接続されている。従って、主制御基板21には、入賞信号に加えて操作信号が入力されるようになるため、主制御基板21のメインCPUは、入賞信号に基づいた制御よりも、操作信号に基づいた制御を優先的に行うことができる。その結果、リモートコントローラの操作を有効に機能させることができる。
なお、本実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の循環部材71は、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1、及び、アウト口57から回収された遊技球A1の両方を上球皿15に戻すようになっていた。しかし、循環部材は、アウト口57から回収された遊技球A1のみを上球皿15に戻すようになっていてもよいし、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1のみを上球皿15に戻すようになっていてもよい。この場合、上球皿15から発射された遊技球A1の全てではなく、入賞装置51,52,58a〜58dに入賞した遊技球A1のみ、または、アウト口57から回収された遊技球A1のみが上球皿15とは別の場所に導かれるようになる。その結果、上球皿15に貯留されている遊技球A1が減りにくくなるため、この場合も、少量の遊技球A1で試射を行うことが可能になる。
・上記実施形態では、キャリー本体101に、パチンコ機10の外枠となる外枠部材143が設けられ、外枠部材143に、外枠を有しないパチンコ機10が取り付けられるようになっていた。しかし、キャリー本体101から外枠部材143を省略するとともに、キャリー本体101に対して、外枠を有する一般的な構成のパチンコ機10を取り付けるようにしてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)遊技盤面上に配設され、前記遊技盤面上を流下する遊技球が入賞可能な複数の入賞装置と、前記遊技盤面の最下部に配設され、前記入賞装置に入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口とを備える遊技盤を有し、かつ、遊技球を貯留する貯留部が前面側に突出する遊技機と、前記遊技機を搬送するキャリー本体とを備える遊技機キャリーであって、前記貯留部に貯留された遊技球は、打球発射装置によって発射されて前記遊技盤面上に導かれるようになっており、前記遊技機は、前記入賞装置に入賞した遊技球、及び、前記アウト口から回収された遊技球のうち、少なくとも一方を前記貯留部に戻すための循環経路を有する循環部材を備えることを特徴とする遊技機キャリー。
(2)上記手段1において、前記複数の入賞装置は、遊技球の入賞を契機として、複数種類の図柄を変動させる図柄変動ゲームの開始条件を付与する始動入賞装置を備え、前記遊技機は、前記始動入賞装置に入賞した遊技球を検知したことを契機として入賞信号を出力する入賞スイッチと、前記入賞スイッチから出力された前記入賞信号に基づいて前記図柄変動ゲームの結果が大当りとなるか否かを判定する処理、前記図柄変動ゲーム中に実行される演出の演出内容を決定する処理、及び、決定した演出内容に基づいて前記演出を実行させる処理を行う制御基板と、打球発射装置を構成する操作ハンドルの操作状態を検知し、それに基づいて遊技球の発射強度を制御する発射制御基板とを備え、前記入賞装置に入賞した遊技球は、前記循環部材によって前記貯留部に導かれ、演出表示用の信号を出力する契機となるものの、前記入賞信号に基づいた賞球の払い出しの契機とはならないことを特徴とする遊技機キャリー。
(3)上記手段1乃至5のいずれか1つにおいて、前記循環部材は、遊技球を前記貯留部側に排出するための遊技球排出口を有する中枠下部本体と、裏板本体の上部において前記中枠下部本体の長手方向に沿って延設され、前記入賞装置に入賞した遊技球、及び、前記アウト口から回収された遊技球を前記遊技球排出口側に案内する遊技球回収レールを有する裏板と、前記遊技球回収レールを通過した遊技球が流入するとともに、流入した遊技球の向きを前記中枠下部本体側に変更して前記遊技球排出口内に案内する循環部材サブユニットとを備えることを特徴とする遊技機キャリー。
(4)技術的思想(3)において、前記裏板本体の上端部中央に、前記アウト口から回収された遊技球を受けて前記遊技球回収レール上に導く遊技球受け部が形成されていることを特徴とする遊技機キャリー。
(5)技術的思想(3)または(4)において、前記遊技球回収レールは、前記循環部材サブユニット側に行くに従って徐々に低くなっており、前記遊技球回収レールの下端部は、前記遊技球排出口の近傍に位置していることを特徴とする遊技機キャリー。
(6)技術的思想(3)乃至(5)のいずれか1つにおいて、前記循環部材サブユニットに、前記遊技球回収レールを通過した遊技球が流入するとともに、流入した遊技球の向きを前記中枠下部本体側に変更して前記遊技球排出口内に案内する空間が区画形成され、前記空間を構成する底壁の上面は、前記中枠下部本体側に行くに従って低くなる傾斜面であり、前記遊技球回収レール及び前記空間によって、前記循環経路が構成されることを特徴とする遊技機キャリー。