本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡単な構造であるにもかかわらず、装飾部品が有する貫通孔の良否を短時間で確実に判別することができる遊技機用部品検査器具を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技機の遊技盤に固定される台板の所定箇所に複数の貫通孔が形成された装飾部品を検査対象とし、前記複数の貫通孔の良否を判別するために用いられる遊技機用部品検査器具であって、検査対象とする前記装飾部品の前記台板と同形状をなし、前記複数の貫通孔と同位置にそれらと同径の複数の孔が形成されたベース部材と、複数の棒状部材とを備え、前記複数の孔に前記複数の棒状部材の基端側が挿通固定されるとともに、前記棒状部材の先端側が前記ベース部材から垂直に突設されていることを特徴とする遊技機用部品検査器具をその要旨とする。
従って、請求項1に記載の発明によると、部品検査器具に対して、検査対象となる装飾部品をそれと同じ向きで重ねて配置し、装飾部品が有する複数の貫通孔に複数の棒状部材を挿通させるようにする。このとき、複数の棒状部材が複数の貫通孔に完全に挿通され、部品検査器具のベース部材と装飾部品の台板とが平行な状態となれば、複数の貫通孔に何も異常がなく全て良好であると判別することができる。一方、複数の棒状部材が複数の貫通孔に完全には挿通されず、ベース部材に対して台板が傾いた状態となれば、複数の貫通孔のうちのいずれかに何らかの異常があるため良好ではないと判別することができる。よって、本発明の部品検査器具によれば、装飾部品が有する貫通孔の良否を、目視のみで検査する場合に比べて短時間で確実に判別することができる。また、本発明の部品検査器具は、基本的にベース部材と複数の棒状部材を備えるものにすぎないため、比較的簡単な構造とすることができる。
前記装飾部品としては、遊技盤に固定される台板に何らかの装飾が施されているとともに、その台板を貫通する複数の貫通孔が形成されているものが該当する。装飾の種類としては例えば塗装やめっき処理などが挙げられる。貫通孔の数は複数であれば特に限定されないが、例えば10個以上の貫通孔を有するもの、特には20個以上の貫通孔を有するものが、本発明の部品検査器具の好適な検査対象となる。複数の貫通孔の径は特に限定されないが、例えば5mmφ以下の貫通孔を有するもの、特には4mmφ以下の貫通孔を有するものが、本発明の部品検査器具の好適な検査対象となる。なお、複数の貫通孔の径は必ずしも全て同じでなくてもよく、異なっていてもよい。
また、装飾部品における貫通孔の用途は特に限定されないが、例えばLED視認用の貫通孔であってもよいほか、台板自体を遊技盤にビス止めするための部品固定用の貫通孔や、台板に対して別の小部品などを取り付けるための小部品取付用の貫通孔などであってもよい。
本発明のベース部材としては、検査対象とする前記装飾部品の前記台板と同形状をなし、前記複数の貫通孔と同位置にそれらと同径の複数の孔が形成されたものであれば材質などを問わず広く使用可能であるが、検査対象とする装飾部品の台板そのものをベース部材として流用することが好適である。即ち、台板そのものであれば、基本的に同形状をなし、複数の貫通孔と同位置にそれらと同径の複数の孔が形成されているため、別途作製する必要がなく経済的だからである。また、ベース部材用の台板の形状等を参照しながら装飾部品の台板の向きを合わせて重ねることができるため、部品検査器具に対して装飾部品を重ねる作業を間違えずに正確に行うことができるからである。
棒状部材としては特に限定されず、複数の孔に挿通可能な細長い形状を有するものであれば、材質などを問わず選択することができるが、強度の点から例えば金属棒材などがよく、具体例としては遊技釘を流用することが好適である。遊技釘は適度かつ均一な長さ、太さ、強度を備えていることに加え、それほど高価な材料ではないため部品検査器具の製作費を抑えることができるからである。複数の孔には複数の棒状部材の基端側が挿通固定されるが、ホットボンド等の接合材を用いて挿通箇所を補強することが好ましい。
ベース部材は、特に何も支持固定しなくてもよいが、例えば別体として構成された土台部材に支持固定することが好適である。土台部材があると、部品検査器具を安定的に設置することが可能となるため、作業者が検査作業を容易に行うことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記部品検査器具を構成する前記ベース部材は、前記ベース部材よりも面積が大きい平板状の土台部材に支持固定されることをその要旨とする。
従って、請求項2に記載の発明によると、ベース部材よりも面積が大きい平板状の土台部材に部品検査器具が支持固定されることで、部品検査器具をいっそう安定的に設置することが可能となり、作業者が検査作業をより容易に行うことができるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記土台部材は、前記遊技盤を構成する盤面部材であり、前記装飾部品は、検査対象とする前記装飾部品が前記盤面部材において本来固定される位置と同位置に固定されることをその要旨とする。
従って、請求項3に記載の発明によると、遊技盤を構成するいわゆるベニヤ等の盤面部材は、平板状であってベース部材よりも通常は面積が十分に大きいことから、部品検査器具を支持固定するための土台部材として好適な部材である。そして、このような盤面部材に部品検査器具を支持固定した際には、装飾部品の固定位置が実機での固定位置と同じになる。よって、例えば装飾部品が複数種類あるような場合でも、作業者は装飾部品の固定位置を感覚的にかつ正確に把握することができる。なお、1つの共通の盤面部材における複数の異なる箇所に部品検査器具を支持固定し、各々の部品検査器具を用いて複数種類の装飾部品を検査するようにしてもよい。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3において、前記土台部材には、前記装飾部品との接触に基づいて前記複数の貫通孔の良否を報知する報知手段を構成する報知用スイッチが配設されていることをその要旨とする。
従って、請求項4に記載の発明によると、部品検査器具に対して装飾部品を重ねて配置し、複数の貫通孔に複数の棒状部材を挿通させた場合において、報知用スイッチが装飾部品の台板と接触したときには、報知手段による所定の報知が行われ、作業者は複数の貫通孔に何も異常がなく全て良好であると判別可能となる。一方、複数の棒状部材が複数の貫通孔に完全には挿通されず、台板に傾き等が生じて報知用スイッチが装飾部品の台板と接触しないときには、報知手段により別の報知が行われるか、あるいは報知自体が行われなくなる。それにより、作業者は複数の貫通孔のうちのいずれかに何らかの異常があるため良好ではないと判別可能となる。よって、本発明の部品検査器具によれば、装飾部品が有する貫通孔の良否を、目視のみで検査する場合に比べてより確実に判別することができる。
ここで、装飾部品の台板との接触・非接触状態を検知する報知用スイッチとしては、例えば近接スイッチをはじめとして、市販されている各種のスイッチ(超音波センサ、光センサ、磁気センサなど)を使用することが可能である。装飾部品の表面にめっき処理等が施されていて、接触により電気が流れるようなものである場合には、これらのもの以外に、例えば下記の導通治具などを使用することが可能である。
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記装飾部品は、表面の少なくとも一部にめっき処理が施された樹脂成形品であり、前記報知用スイッチは、前記装飾部品のめっき処理部位に接触可能な状態で前記土台部材にて離間配置された複数の導通治具であり、前記報知手段は、前記複数の導通治具がともに前記めっき処理部位に接触して導通状態となったときに前記複数の貫通孔が良好である旨を報知することをその要旨とする。
従って、請求項5に記載の発明によると、部品検査器具に対して装飾部品を重ねて配置し、複数の貫通孔に複数の棒状部材を挿通させた場合において、複数の導通治具が全て装飾部品の台板と接触したときには、めっきを介して各導通治具が導通状態となる。このとき、報知手段による所定の報知が行われ、作業者は複数の貫通孔に何も異常がなく全て良好であると判別可能となる。一方、複数の棒状部材が複数の貫通孔に完全には挿通されず、台板に傾き等が生じて複数の導通治具の少なくとも一部が装飾部品の台板と接触しないときには、各導通治具が導通状態とはならない。このとき、報知手段により別の報知が行われるか、あるいは報知自体が行われなくなる。それにより、作業者は複数の貫通孔のうちのいずれかに何らかの異常があるため良好ではないと判別可能となる。よって、本発明の部品検査器具によれば、装飾部品が有する貫通孔の良否を、目視のみで検査する場合に比べてよりいっそう確実に判別することができる。
報知手段としては、例えばLEDの光やディスプレイ装置の画像等のように視覚に訴えて報知するもの、ブザーやスピーカから音を出すことで聴覚に訴えて報知するもの、振動を発生することで触覚に訴えて報知するもの等を適宜採用することができる。
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、比較的簡単な構造であるにもかかわらず、装飾部品が有する貫通孔の良否を短時間で確実に判別することができる遊技機用部品検査器具を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態の遊技機用部品検査器具を図1〜図8に基づき説明する。
図1,図2には、パチンコ機(遊技機)における遊技盤11が示されている。本実施形態の遊技盤11は、いわゆるベニヤと呼ばれる木製の盤面部材12の表面に樹脂製のセルを貼付することによって略矩形板状に形成されている。なお、遊技盤11は、例えばアクリル樹脂製の盤面部材12を用いて形成されたものであってもよい。遊技盤11の遊技盤面13には、遊技球が流下可能な遊技領域14を区画する内レール15及び外レール16が略円形状に敷設されている。内レール15と外レール16との間に生じる発射経路には、操作ハンドルを操作した際に発射された遊技球が通過するようになっている。そして、発射経路を通過した遊技球は、発射経路の終端部から遊技領域14に進入し、遊技領域14内を流下するようになっている。
また、遊技盤面13の略中央部には、開口部17を有する枠状のセンター役物18(装飾部材)が装着されている。なお、遊技盤11の裏側には、図示しない液晶式の図柄表示装置が着脱自在に取り付けられるようになっている。図柄表示装置の表示画面は、センター役物18の開口部17を介して遊技盤11の前面側から視認可能となる。この図柄表示装置では、変動表示(または画像表示)に基づく遊技演出(表示演出)が行われる。そして、この図柄表示装置では、表示演出に関連して、複数種類の演出図柄を3列で変動させる図柄組み合わせゲームが表示されるようになっている。図柄表示装置は、上記の液晶式のほか、ドットマトリクス式、エレクトロルミネッセンス素子式、7セグメント式などであってもよい。
図1,図2に示されるように、遊技盤面13上におけるセンター役物18の下方位置には、遊技盤面13上を流下する遊技球が入賞可能な始動入賞装置21が配設されている。装飾部品の一種でもある始動入賞装置21には、始動入賞口22が形成されるとともに、一対の羽根部材23からなる普通電動役物が一体的に構成されている。一対の羽根部材23は、普通電動役物ソレノイドの励磁作用により開閉するようになっている。また、始動入賞装置21の奥方には、始動入賞口22に入球した遊技球を検知する入賞スイッチ(図示略)が設けられている。なお、入賞信号が出力された場合には、特別図柄表示装置による図柄変動ゲームが行われるとともに、図柄表示装置による図柄組み合わせゲームが行われるようになっている。
遊技盤面13上における始動入賞装置21の下方には、遊技盤面13上を流下する遊技球が入賞可能な大入賞装置25が配設されている。装飾部品の一種でもある大入賞装置25の奥方には、入賞した遊技球を検知するカウントスイッチ(図示略)が設けられている。カウントスイッチは、大入賞装置25に入賞した遊技球を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。また、大入賞装置25の大入賞口扉26は、大入賞口ソレノイドの励磁作用により、遊技球を受け入れない閉鎖状態、及び、遊技球を受け入れやすい開放状態に切替可能になっている。本実施形態において、大入賞口扉26の「閉鎖状態」とは、大入賞口扉26が完全に閉じている状態をいい、大入賞口扉26の「開放状態」とは、大入賞口扉26が完全に開いた状態をいう。
始動入賞装置21の左方かつ遊技盤面13よりも奥側の位置には、図2に示されるように、多数のLED36が実装されたサイドランプ基板37が配設されている。そして、このサイドランプ基板37の手前側には、図1に示されるように、装飾部品の一種であるサイドランプ飾り41が配設されている。このサイドランプ飾り41は、遊技盤面13上を流下する遊技球が入賞可能な一般入賞装置42a〜42cを備えている。一般入賞装置42a〜42cの奥方には、入賞した遊技球を検知する左下入賞口スイッチ(図示略)が設けられている。左下入賞口スイッチは、一般入賞装置42a〜42cに入賞した遊技球を検知したことを契機として、オン状態となり、入賞信号を出力するようになっている。
遊技領域14内には風車31が配設され、遊技領域14の略全域には複数の遊技釘32が植設されている。風車31及び遊技釘32は、遊技領域14内を流下する遊技球の方向を変更するとともに、各入賞装置に向けて遊技球を誘導可能となっている。また、遊技領域14の最下部には、いずれの入賞装置にも入賞しなかった遊技球を回収するためのアウト口33が配設されている。
次に、本実施形態における検査対象である装飾部品としてのサイドランプ飾り41の構造について説明する。
図1〜図3に示されるように、本実施形態のサイドランプ飾り41を構成する台板43は、平板状かつ細長い形状に形成された樹脂成形品である。この台板43の表面及び裏面のほぼ全域には装飾のためにめっき処理が施され、これによりめっき処理部位48が形成されている。本実施形態において、めっき処理部位48は銀色を呈しており、かつ導電性を有している。台板43には表面及び裏面を貫通する部品取付用の開口部46が形成され、その開口部46には同じく樹脂成形品である装飾板47が取り付けられている。台板43における所定の3箇所には、遊技球を表面側から裏面側に誘導するための遊技球通過孔51がそれぞれ形成されている。台板43の表面側かつ各々遊技球通過孔51の周囲には遊技球通路となる凸部52が一体的に突設され、かつその先端にはカバー部材53が設けられ、これにより上述した一般入賞装置42a〜42cが構成されている。
台板43において開口部46を挟んで各遊技球通過孔51の反対側となる位置には、多数のLED視認用の貫通孔44が形成されている。図2に示されるように、これらの貫通孔44は、サイドランプ飾り41の奥側に位置する各LED36の位置に対応して配置されている。従って、各LED36の発光演出時には、それらの貫通孔44を介して各LED36の光が視認できるようになっている。なお、本実施形態では、サイドランプ基板37におけるLED36の数が28個であるため、LED視認用の貫通孔44の数もそれに合わせて28個となっている。また、貫通孔44の径は約4mmφとなっている。なお、台板43の裏面側には、これらの貫通孔44を包囲するような壁部50が一体的に突設されている。
図3等に示されるように、台板43の外周部における離間した4箇所には、LED視認用の貫通孔44よりも小径の貫通孔45が形成されている。これらの貫通孔45は、台板43自体を遊技盤11の遊技盤面13にビス止めするための部品固定用の貫通孔45である。また、台板43の裏面側において各貫通孔45の近傍には、台板43を遊技盤面13に位置決めする際に用いる位置決め突起49がそれぞれ設けられている。
次に、本実施形態における部品検査器具61の構造について説明する。
本実施形態の部品検査器具61は、台板43に多数のLED視認用の貫通孔44が形成された上記サイドランプ飾り41を検査対象とし、各貫通孔44の良否を判別するために用いられるものでる。図4,図5,図6に示されるように、部品検査器具61を構成するベース部材63は、検査対象とする上記サイドランプ飾り41の台板43と基本的に同形状をなしている。ベース部材63においてLED視認用の貫通孔44と同位置には、それらと同径の複数の孔64が同じ数だけ形成されている。本実施形態のベース部材63では、台板43と共通の構成について同一の部材番号を付してある。
この部品検査器具61は、複数の棒状部材として複数本の遊技釘62を備えている。これらの遊技釘62はベース部材63の裏面側から各孔64に挿通され、その基端側がベース部材63に対して固定されている。ベース部材63の表面側において各遊技釘62が挿通された箇所は、ホットボンドB1等の接合材(いわゆるホットメルト型接着剤)で被覆されることにより補強されている。その結果、各遊技釘62の先端側は、ベース部材63の表面側にて垂直に突設された状態となっている。ベース部材63の表面側には凸部52が存在するものの各遊技釘62の突出量のほうが大きくなっている。
図5等に示されるように、本実施形態の部品検査器具61は、別体として構成された土台部材としての樹脂板71に支持固定されている。この樹脂板71は、ベース部材63よりも面積が3〜5倍程度大きい矩形平板状の部材であり、その中央部にはベース部材63の裏面側に突設された壁部50を逃がすための逃がし孔72が形成されている。逃がし孔72の開口縁付近において、各貫通孔45に対応した位置にはネジ孔73が設けられ、各位置決め突起49に対応した位置には位置決め凹部74が設けられている。樹脂板71上に部品検査器具61を支持した状態で、貫通孔45及びネジ孔73を介してネジ75を挿通することにより(図6等参照)、部品検査器具61が樹脂板71に対して固定されている。
図5,図6に示されるように、土台部材である樹脂板71の上面における離間した2箇所には、治具支持体78が取り付けられている。報知用スイッチである一対の導通治具76は、それら治具支持体78を介して水平かつ同じ高さに支持固定されている。一対の導通治具76の端子部77は逃がし孔72の方向を向いており、その先端はベース部材63の外形線よりも内側に到っている。従って、一対の端子部77は、検査時においてサイドランプ飾り41の裏面外周部にあるめっき処理部位48に接触可能な状態となっている。また、一対の導通治具76は、細長い形状をなすサイドランプ飾り41の長手方向に離れた両端部に対応して配置されている。
図6等にて概略的に示されるように、本実施形態では、一対の導通治具76、直流電源である乾電池81、ブザー82、発光手段であるLED83、図示しないリレー等により報知手段が構成されている。図面作成の便宜上、図6等では一本の配線によりこれらを直列接続した状態で表現したが、実際には従来公知のリレー回路が構成されている。つまり、通常は非導通状態である一対の導通治具76間が導通状態になると、OFF状態であったリレーがON状態に切り替わり、当該リレーに接続されたブザー82及びLED83に電気が流れてそれらが作動するような回路構成となっている。即ち、この報知手段では、ブザー82の発するブザー音とLED83が発する光とにより、一対の導通治具76間が導通している旨が報知され、ひいては各LED視認用の貫通孔44が良好である旨が報知されるようになっている。
続いて、本実施形態の部品検査器具61を用いた検査方法について説明する。
サイドランプ飾り41の検査をする場合、まず、水平に設置された部品検査器具61の上方に、検査対象となるサイドランプ飾り41を移動させる(図6参照)。このとき、両端子部77はどこにも接触しておらず、一対の導通治具76間は非導通状態となっている。次に、部品検査器具61のベース部材63と、サイドランプ飾り41の台板43とが平行かつ同じ向きになるように位置調整し、部品検査器具6に対してサイドランプ飾り41を重ねるようにして配置する(図7参照)。その際、サイドランプ飾り41が有する複数の貫通孔44に複数の遊技釘62を挿通させるようにする。
図7に示されるように、各遊技釘62が各貫通孔44に完全に挿通可能である場合には、台板43の裏面側に一対の導通治具76の端子部77がともに接触し、台板43がその高さ位置に止まる。その結果、部品検査器具61のベース部材63とサイドランプ飾り41の台板43とが平行な状態に保持されるとともに、めっきを介して一対の導通治具76間が導通状態となる。このとき、報知手段のブザー82がブザー音を発するとともにLED83が発光するため、作業者は音と光とによる報知に基づいて、各LED視認用の貫通孔44が良好であると判別することができる。
図8に示されるように、製造時の成形不良により、貫通孔44の開口にバリ85が残っていたり、あるいは孔自体が塞がっていたりする場合には、各遊技釘62が各貫通孔44に完全には挿通されなくなる。このとき、サイドランプ飾り41の台板43に傾きが生じて、台板43の裏面が端子部77の高さ位置まで到らないで止まってしまうことがある。すると、台板43の裏面側にいずれかの導通治具76の端子部77が接触できなくなり、一対の導通治具76間が非導通状態を維持したままとなる。よって、報知手段のブザー82及びLED83が作動せず、作業者はこの事実に基づいて、各LED視認用の貫通孔44のいずれかに何らかの異常があり、良好なものではないと判別することができる。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の部品検査器具61では、部品検査器具61に対して、検査対象となるサイドランプ飾り61をそれと同じ向きで重ねて配置し、各貫通孔44に遊技釘62を挿通させる、という単純な方法で検査を行うことを特徴としている。それにも関わらず、サイドランプ飾り61が有する貫通孔44の良否を、目視のみで検査する場合に比べて短時間で確実に判別することができる。ちなみに、径が4mmφの貫通孔44を20〜30個程度有するサイドランプ飾り61を例にすると、従来の目視検査では検査時間が数十秒必要であったが、本実施形態によれば数秒で足りる。ゆえに、検査時間の大幅な短縮を図ることができ、生産性の向上につながる。また、本実施形態の部品検査器具61は、基本的にベース部材63と複数の遊技釘62を備えるものにすぎないため、比較的簡単な構造とすることができ、コスト高を回避することができる。
(2)本実施形態では、部品検査器具61を構成するベース部材63は、ベース部材63よりも面積が大きい樹脂板71上に支持固定されている。従って、何も支持体がないときに比べて部品検査器具61をいっそう安定的にかつ水平に設置することが可能となる。ゆえに、作業者が検査作業をより容易に行うことができるようになる。
(3)本実施形態では、表面の少なくとも一部にめっき処理が施された樹脂成形品であるサイドランプ飾り41を検査対象としているため、報知用スイッチとして導通治具76を選択することができる。従って、一対の導通治具76を用いて報知手段を構成することが可能となり、両導通治具76間の導通・非導通によって貫通孔44の良否を確実に報知することができる。よって、本実施形態の報知手段によれば、貫通孔44の良否を、目視のみで検査する場合に比べてよりいっそう確実に判別することができる。しかも、このような報知手段があれば、視覚及び聴覚の両方を通じて貫通孔44の良否を把握できるため、作業者の熟練度の如何を問わず、誰が行っても同レベルの結果を確実に得ることができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、土台部材として図5等に示したような樹脂板71を使用したが、樹脂板71のみに限定されず、金属板、ガラス板、木板などといった板材を使用してもよい。また、これらの板材の大きさや平面視形状などは特に限定されず任意に変更することが可能である。
・上記実施形態のような樹脂板71に代えて、例えば遊技盤11を構成する盤面部材12を土台部材として流用してもよい。この場合において、部品検査器具61は、装飾部品であるサイドランプ飾り41が当該盤面部材12において本来固定される位置と同位置に固定されることが望ましい。具体的にいうと、部品検査器具61は、図1,図2の遊技盤11において最下部かつ左方寄りの位置、つまり始動入賞装置21が固定されるべき位置の左方位置に固定されることがよい。なお、混同を避けるために盤面部材12上には、部品検査器具61のみを固定し、それ以外の部品を非固定としておくことが好ましい。
・上記実施形態では、サイドランプ飾り41を検査対象としたがこれとは異なる装飾部品を検査対象としてもよい。
・上記実施形態では、ブザー82及びLED83を用いて報知手段を構成したが、これら以外の部品を用いて構成してもよい。また、報知手段の電源として乾電池(直流電源)を用いたが、交流電源を用いてもよい。
・上記実施形態では、棒状部材として遊技釘62を用いて部品検査器具61を構成したが、遊技釘62以外の金属棒材を用いてもよく、あるいは金属以外の材料からなる棒材を用いてもよい。
・上記実施形態では、部品検査器具61のベース部材63をネジ75にて樹脂板71に固定していたが、別の方法(例えば接着剤による接着等)にて固定してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至4のいずれか1項において、前記装飾部品は、表面の少なくとも一部にめっき処理が施された樹脂成形品であること。
(2)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記装飾部品は、サイドランプ基板の手前側に配置されるサイドランプ飾りであり、前記複数の貫通孔は、前記サイドランプ基板に実装された複数のLEDに対応して形成されたLED視認用の貫通孔を含むこと。
(3)請求項1乃至5のいずれか1項において、検査対象となる前記複数の貫通孔の数は10個以上であり、径は5mmφ以下であること。
(4)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記棒状部材は金属棒材であること。
(5)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記棒状部材は遊技釘であること。
(6)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記棒状部材は遊技釘であり、前記ベース部材としての台板の裏面側から前記孔に挿通固定されていること。
(7)請求項1乃至5のいずれか1項において、前記棒状部材は遊技釘であり、前記ベース部材としての台板の裏面側から前記孔に挿通固定されるとともに、前記ベース部材の上面側にてホットボンドで前記ベース部材の前記孔に接着固定されていること。