JP2014098597A - 陥没の危険性評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波レーダーを使用した陥没の危険性評価方法を提供する。
【解決手段】電磁波レーダーを用い、アスファルト舗装路面等の対象面Rにおける少なくとも所定の単位対象領域の全体にわたり、対象面Rに沿う方向に所定の間隔を空けて、対象面R上側から対象面R下へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を対象面R上側で検出することにより、各反射波検出位置40における反射波データ50を取得し、この取得した反射波データ50に基づき、各反射波検出位置40における強信号部位81に基づき空洞85を探査するとともに、空洞85を検出したときには空洞天面の寸法W及び空洞85天面の深度Pを求め、これら空洞天面の寸法Wが大きいほど、及び空洞85天面の深度Pが浅いほど陥没の危険性が高いものとして、各反射波検出位置40における陥没の危険性を評価する。
【選択図】図13

Description

本発明は、陥没の危険性評価方法に関するものである。
道路や滑走路、港湾におけるエプロン、その他の人や乗り物の通行面等の路面、物置場等における陥没は、表面下に発生する空洞が原因であるため、陥没を未然防止するには地中空洞の有無を探査する必要があり、その探査手法としては、特許文献1〜3に示されるように、電磁波レーダーを車両に搭載して道路を走行する非破壊探査が効率的である。空洞が発見された場合、補修工事として、路面等の表面から空洞に至る注入孔を削孔し、この注入孔から空洞内に固化材を充填することが一般的である。
しかしながら、空洞を発見したとしても、陥没の危険性が殆どないものもあり、そのような空洞まで補修工事を行うことは不経済である。よって、空洞の発見だけでなく、その空洞位置における陥没の危険性まで評価することが望まれているが、具体的手法は提案されていないのが現状である。
特開平5−87945号公報 特開平8−62339号公報 特開2004−301610号公報
そこで、本発明の主たる課題は、電磁波レーダーを使用した陥没の危険性評価方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
電磁波レーダーを用い、対象面における少なくとも所定の単位対象領域の全体にわたり、対象面に沿う方向に所定の間隔を空けて、対象面上側から対象面下へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を対象面上側で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、
この取得した反射波データに基づき、各反射波検出位置における空洞を探査するとともに、空洞を検出したときには空洞天面の寸法及び空洞天面の深度を求め、これら空洞天面の寸法が大きいほど、及び空洞天面の深度が浅いほど陥没の危険性が高いものとして、各反射波検出位置における陥没の危険性を評価する、
ことを特徴とする陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
本発明者は、鋭意研究の結果、空洞天面の寸法及び深度であれば電磁波レーダーにより正確に取得可能であり、かつ陥没の危険性を的確に評価できるとの知見を得て本発明をなしたものである。本発明によれば、空洞を発見するだけでなく、その空洞を原因とした陥没の危険性を評価するため、陥没危険性の高い空洞を先に補修し、陥没危険性の極めて低い空洞は補修しない又は後回しにする等、適切な補修計画を容易に行うことができる。
なお、特許文献2には「立体的に得られた空洞上部の形状から舗装道路の陥没の危険性について順位を付ける」ことを開示しているが、空洞天面の寸法及び深度を指標にすることは開示されていない。
<請求項2記載の発明>
前記空洞天面の平面視形状を楕円近似したときの短辺を前記空洞天面の寸法として前記陥没の危険性を評価する、請求項1記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
陥没は空洞上側の層の崩落により発生するため、前述のとおり空洞天面の寸法が大きいほど陥没が発生し易くなるが、空洞が狭い幅で長く伸びている場合にはいくら長くても陥没の危険性は少ない。よって、本項記載のように空洞天面の形状を楕円近似したときの短辺を指標とするのが好ましい。
<請求項3記載の発明>
前記取得した反射波データに基づき、各反射波検出位置における埋設物を探査するか、又は埋設物の位置を既知としておくとともに、前記空洞を検出するとともにその周囲に埋設物を検出したときか、又は前記空洞を検出するとともにその周囲に既知の埋設物があるときには、陥没の危険性がより高いものとして前記評価を行う、請求項1又は2記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
対象面下に埋設物があると、その周囲に空洞が発生する可能性が高く、また発生した空洞の成長速度、上昇速度が速い。よって、そのような要因を加味して評価を行うことにより、より的確な評価を行うことができる。
<請求項4記載の発明>
対象面の交通量を評価するか又は既知としておくとともに、前記空洞を検出したときには、当該空洞を検出した対象面の交通量が多いほど当該空洞による陥没の危険性がより高いものとして前記陥没の危険性評価を行うか、又は当該空洞を検出した対象面の交通量が多いほど当該空洞による陥没時の影響度がより大きいという影響度評価を前記陥没の危険性評価に付加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
対象面の交通量が多いほど荷重や振動がより多く加わることにより空洞が発生する可能性が高く、また発生した空洞の成長速度、上昇速度が速い。しかも、対象面の交通量が多いほど、陥没発生時の影響度(事故発生の確率が高くなる、渋滞度合がひどくなる等)が大きくなる。よって、そのような要因を加味して陥没の危険性評価を行ったり、影響度評価を付加したりすることにより、より的確な評価を行うことができる。
<請求項5記載の発明>
前記対象面が車道であり、前記空洞を検出したときには、前記車道における前記空洞の検出位置が車両走行の多い位置であるほど陥没の危険性がより高いものとして前記陥没の危険性評価を行うか、又は前記車道における前記空洞の検出位置が車両走行の多い位置であるほど陥没時の影響度がより大きいという影響度評価を前記陥没の危険性評価に付加する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
対象面が車道の場合、車道内における車両走行の多い位置ほど(例えば、路肩内よりも車線内の方が車両走行が多い、車線であっても交差点内の方が車両走行が多い等)、荷重や振動がより多く加わることにより空洞が発生する可能性が高く、また発生した空洞の成長速度、上昇速度が速い。しかも、車道内における車両走行の多い位置ほど、陥没発生時の影響度(事故発生の確率が高くなる、渋滞度合がひどくなる等)が大きくなる。よって、そのような要因を加味して陥没の危険性評価を行ったり、影響度評価を付加したりすることにより、より的確な評価を行うことができる。
<請求項6記載の発明>
前記空洞を検出したとき、前記空洞天面より上側に位置する層の支持力を求め、この支持力が強いほど陥没の危険性がより低いものとして前記陥没の危険性評価を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
空洞の天面の寸法及び深度が同じでも、空洞天面より上側に位置する層の支持力により陥没危険性が変化するため、この支持力を加味して評価を行うことにより、より的確な評価を行うことができる。
<請求項7記載の発明>
探査車両を走行させながら、車幅方向及び走行方向にそれぞれ所定の間隔で車両から対象面下へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を検出することにより、車幅方向及び走行方向ともに10cm以下の間隔で各位置の反射波データを取得する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
このように細かく反射波データを取得することにより、空洞や埋設物等の形状・寸法を高精度に求めることができ、より高精度の評価を行うことができる。それでいて、探査車両で対象面を走行するだけで反射波データを取得でき、二次調査も不要であるため、交通規制不要、交差点も対応可能、緊急時に対応可能等の利点もある。
<請求項8記載の発明>
前記陥没の危険性の評価結果に基づき、地図及び地球表面写真の少なくとも一方上にその位置の陥没の危険性を表示した陥没危険性マップを作成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
(作用効果)
このような陥没危険性マップを作成することにより、調査計画や補修計画における全体像の把握が容易となる。
以上のとおり、本発明によれば、電磁波レーダーを使用した陥没の危険性評価が可能となる。
電磁波レーダーの概略図である。 レーダーシステムのブロック図である。 レーダーシステムのセンサ配列例を示す平面図である。 レーダーシステムのセンサ配列例を示す平面図である。 探査車の概略図である。 レーダーシステムの処理プロセスを示す概略図である。 反射波データの取得概要を示す概略図である。 反射波データの多値化原理を示す説明図である。 走行方向縦断面画像、水平断面画像、及び車幅方向縦断面画像の図である。 空洞の検出原理を示す説明図である。 空洞の例を示す走行方向縦断面画像である。 空洞天面の寸法及び深度の説明図である。 陥没の危険性評価基準を示す図である。 空洞成長要因を示す説明図である。 空洞成長要因を示す説明図である。 空洞成長要因を示す説明図である。 空洞成長要因を示す説明図である。 空洞成長要因(枝管)を有する場合の水平断面画像である。 陥没危険性マップである。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
<対象面>
本発明の対象面Rは、陥没の危険性のある場所の表面であれば特に限定されず、例えば道路や滑走路、港湾におけるエプロン、その他の人や乗り物の通行面等の路面の他、物置場等、あらゆる場所の表面を対象とすることができる。また、対象面Rが舗装面(アスファルト舗装、コンクリート舗装等、舗装の種類を問わない)であるか非舗装面であるかは問わない。
<計測>
本発明は電磁波レーダーを用いて対象面R下の探査を行う。電磁波レーダーとしては、GSSI社(米国)製の各種電磁波レーダーシステム(例えばSIR3000等)、日本無線社製RCレーダー(例えばハンディサーチNJJ-95B等)、アイレック技建社製のコンクリート構造物の鉄筋探査装置(例えばライトエスパー)、コマツエンジニアリング社製のレーダー探査機(例えばアイアンシーカ)等、公知のものを特に限定無く用いることができるが、送受信センサを多数並設したレーダーシステムが高効率・高精度であるため好ましい。以下、具体例について説明する。
図1は電磁波レーダーの概略図である。符号aは電磁波の送受信アンテナおよび送受信回路を一体的にケースに組み込んだセンサa、符号cはn個のセンサaを並列に連結してアレイ状としたアレイアンテナ、符号bはアレイアンテナcを構成する各センサaに対して夫々スイッチングにより機能の切り替えを行い、個々に送受信および信号処理を行うようにするコントロールユニットをそれぞれ示している。なお、アレイアンテナcとコントロールユニットbとによりレーダーシステムkを構成している。
レーダーシステムに用いられるセンサaとしては、ステップ波形によるインパルス発信を用いたものであって、周波数が0.5〜3GHzの中心帯域を持つものが好適であり、特に周波数を1GHz以上として探査を行うと、波長が短いことから深さ方向の分解能が向上する。深さ方向の分解能は特に限定されないが、5cm未満であるのが好ましい。一方、電磁波は周波数が高くなるにつれて、物体中での減衰が激しくなるが、2GHz以下で探査を行えば、ある程度の深度(40cm以上)まで十分な探査を行うことができる。
なお、本発明者の知見によれば、砂地盤では空洞の発生し易い深度は60cm程度までであり、また陥没の危険性を考慮する必要がある深度も60cm程度までである。よって、空洞探査の場合、使用する電磁波の周波数をこの深度範囲に適切な周波数、すなわち中心帯域が1〜2GHzの周波数に限定することで、空洞等の検出精度が向上するだけでなく、不必要な深度の探査を行わないため探査効率及び評価効率が向上するようになる。
コントロールユニットbによりコントロールされた各センサaからは、対象面Rから内部に向けて略垂直に電磁波が発振される。そして、対象面R下からの反射波は各センサaに受信される。各センサaで受信された反射波は、コントロールユニットbを介してアナログ信号からデジタル信号に変換されたデータとしてデータ処理装置に出力される。
レーダーシステムkは、より具体的には図2に示すように構成することができる。すなわち、レーダーシステムkにおけるセンサaは送信部Txと受信部Rxとにより構成され、n個のセンサaへの給電は、例えばコントロールユニットbに設けられた電源電池31により供給され、また該電源電池はコントロールユニットb内の各回路に給電される。
n個のセンサaの送信部への送信指令は、スイッチ切り替え制御回路34が第1切り替えスイッチ34aを順次切り替えることにより、順次送信を行うようになっており、この切替のタイミングはタイミング源発振回路33bで発生した数十MHzのクロックパルスにより行われ、例えばタイミングクロックパルスの周期毎に順次スイッチングされ、数μs後にはアレイアンテナのn個のセンサaを一巡する。
各センサaの送信部Txで発信された電磁波は、測定対象物に対して反射と透過を繰り返し、その内部状況を反射信号としてセンサaの受信部Rxで受信する。受信された反射信号は、同期信号発生回路33からの同期信号に従ってサンプリングされ、低周波の受信信号1〜nに変換されて各センサから出力される。各センサから出力された受信信号は、スイッチ切り替え回路34にて、A/D変換回路35およびバッファ36により信号の処理が行われ、第2切り替えスイッチ34bの切り替えにより順次データ処理装置へ出力される。
図3の(a)は、レーダーシステムkが図1に示す単配列状態を示しており、車幅方向(副走査方向)におけるセンサaの間隔をdとすると、この単配列状態の分解能はdとなる。これに対し、図3の(b)に示すように、n列の単配列のアレイアンテナc1を千鳥状にm行配列することにより、このアレイアンテナc2は、m倍の分解能を得ることができ、これにより水平解像度が決定される。そして、単配列時におけるアレイアンテナc1の分解能dに対し、m行配列するアレイアンテナc2は、d/mの分解能となる。また、図4に示すように、センサaをm行×n列に配列したアレイアンテナc3としても良い。この構成では、アレイアンテナc3を移動させることなく一度にm行×n列の範囲で探査を行える。
探査に際しては、作業員がアンテナを逐次移動させながら測定を行っても良いが、図5に示すように、レーダーシステムkを搭載した自動車等の探査車10で対象面Rを走行しながら、対象面Rにおける調査対象領域の全体にわたり、走行方向に所定の間隔を空けて探査を行うのが望ましい。図5に示す探査車10は、レーダーシステムkの他に、光学式距離計(回転式距離計でも良い)11、対象面Rの状況を撮像するためのカメラ12、GPS装置13を搭載しており、これらの出力信号がデータ処理装置14に入力されるように構成されている。データ収録装置14としては、汎用のコンピュータを用いることができる。図示例では、データ処理装置14等の機器を牽引する構造となっているため、データ処理装置14等の機器を制御するための制御装置15を車両に搭載している。
レーダーシステムkにおけるセンサaの配列方向を副走査方向とし、副走査方向および電磁波の発信方向に対して直交する方向を主走査方向とすると、レーダーシステムkの主走査方向は探査車10の走行方向となっており、走行に伴う移動距離は距離計11からデータ処理装置14に対して入力されるようになっている。
図6は、レーダーシステムkを主走査方向に移動させて得られた情報を処理するプロセスを示している。レーダーシステムkは検査対象である対象面R上に支持され、主走査方向に沿って移動される。その際、コントロールユニットbは、例えばn個のセンサa(1,2,・・・・n)を順に駆動し、副走査方向の各位置における反射波データが主走査方向について時々刻々と出力する。つまり、図7に示すように、反射波データ(強度(振幅)及び深度(時間))42は、主走査方向に所定の反射波検出間隔(走行方向の位置間隔)で、且つ副走査方向に所定の反射波検出間隔(センサ配列間隔)で定まる各検出位置41で取得される。これらの検出間隔は適宜定めることができるが、10cm以下(当然ではあるが0は含まず、0より広い間隔となる)であることが望ましく、例えば1〜5cm程度とすることができる。主走査方向の反射波検出間隔(走行方向の位置間隔)と、副走査方向の反射波検出間隔(センサ配列間隔)とは異ならしめることができ、例えば、前者を1〜5cm程度とし、後者をそれよりも広く、例えば6〜10cm程度とすることができる。
取得される各検出位置40の反射波データ50は、各検出位置40の位置情報と関連付けて、データ処理装置14に内蔵又は接続された図示しない記憶装置に記録される。この際、各検出位置40の位置情報の生データは、主走査方向移動距離及び副走査方向のセンサ配列間隔であるが、必要に応じて三次元座標に変換し、生データと併せて記録することができ、また、反射波データ50は波形データであるが、必要に応じて他のデータとともに記録することができる。
<空洞の検出>
上述の計測により対象面Rにおける調査対象領域の全体にわたり反射波データ50を取得したならば、次いで取得データ50の解析を行い、空洞を検出する。空洞の検出手法は特に限定されず、特許文献3記載の手法も採用することができる他、例えば以下に述べるように対象面R下の画像を作成し、この画像を基に空洞を検出することができる。
すなわち、取得データ50に基づいて、各反射波検出位置40における各深度の反射波強度(振幅)を濃淡で表現した走行方向縦断面画像(図9参照。横軸が走行方向距離、縦軸が深さ。)を作成する。例えば図8に示すように、各反射波検出位置40における各深度の反射波強度を多値化する。多値化は適宜の手法で行うことができるが、例えば反射波強度0を中央値として正側の上限値70及び負側の下限値71をそれぞれ設定し、強度下限値70から強度上限値71までの反射波強度値の範囲を等分で多段階化(3以上であれば良いが、256や65536程度であると後述の可視化画像の作成上も好適)し、各反射波検出位置40における各深度の反射波強度が該当する段数を、その位置の多値化反射波強度とすることができる。また、「深度」は、電磁波の伝播速度と、電磁波の送信から反射波の受信までの時間とから求めることができる。そして、図9に示すように、横軸を走行方向距離とし、縦軸を深さとして、各走行方向位置及び各深度の多値化反射波強度の階調を有する単位画素を二次元的に配列することにより、走行方向縦断面画像80を作成することができる。なお、図9中の各画像の十字線は画像間の対応位置を示すものである。この走行方向縦断面画像80は、車幅方向の全ての反射波検出位置40について作成する他、いずれか一つ(例えば車幅方向中央)又は複数(例えば車幅方向両端部と中央部の三か所等)のみ作成しても良い。走行方向縦断面画像80は、反射波データ50取得のための車両走行中にリアルタイムに作成しても良いし、反射波データ50を取得後にまとめて作成しても良い。また、本発明の知見によると、空洞は60cm以浅に多く、深い位置にある空洞は陥没の原因となり難いため、所定深さ(1.5m等)以浅に限定して走行方向縦断面画像80を作成するのも一つの好ましい形態である。
走行方向縦断面画像80だけでは、空洞判別は困難であるため、例えば図9に示すように任意の深度における反射波強度を濃淡で表現した水平断面画像90や、任意の走行方向位置における車幅方向縦断面画像100を作成し、これら画像80,90,100から総合的に判断することが望ましい。これら水平断面画像90及び車幅方向縦断面画像100は例えば前述の走行方向縦断面画像80と同様の方法により作成することができる。すなわち、水平断面画像90は、各反射波検出位置40における各深度の反射波強度を多値化し、横軸を走行方向距離とし、縦軸を車幅方向距離とし、目的の深さにおける各位置の多値化反射波強度の階調を有する単位画素を二次元的に配列することにより作成することができる。また、車幅方向縦断面画像100は、各反射波検出位置40における各深度の反射波強度を多値化し、横軸を車幅方向距離とし、縦軸を深さとし、目的の走行方向位置における各位置の多値化反射波強度の階調を有する単位画素を二次元的に配列することにより作成することができる。これらの画像90,100を作成する場合、位置が異なる空洞が複数ある場合には、空洞ごとに画像90,100を作成することができる。また、もちろん空洞と異なる任意の位置でも画像90,100を作成することができる。
空洞を探す場合、先ず縦断面画像80,100を用いることが望ましい。例えば縦断面画像80,100では反射波が正極性で周囲よりも強度の強い部位(以下、強信号部位ともいう)、つまり図示例では白い層状の部分の下側に黒い層状の部分が重なる部位81が、空洞である可能性が高い。よって、この強信号部位81を空洞として検出することができる。図10は、通常のアスファルト舗装面下の層構造、反射波極性、及び走行方向縦断面画像80の関係の一例を示した比較図である。この例では、空洞の無い場所では、図10(a)に示すように下層へ向かうに従い比誘電率εrは大きくなり、対象面R及び層間の反射波は負極性(画像では黒から白)を示すのに対して、空洞のある場所では、図10(b)に示すように、空洞部位の比誘電率εrが最も小さくなり、空洞の天面で電磁波が正極性で反射し(画像では白から黒)、空洞天面の形状が現れる。
空洞を探すときには、反射極性及び反射波強度以外に、強信号部位81の形状も参考となる。例えば図11(a)に示すくさび形(又はドーム形)の強信号部位81は、空洞部位に発生するもののうち最も一般的なものである。この形状は、独立空洞がドーム形状を有することが多いことに起因している。これに対し、図11(b)に示す断続的な強信号部位81は多条管の上部やコンクリート版の撤去際における空洞に多く発生するものであり、図11(c)に示す強信号部位81は、構造物脇における圧密沈下に起因する空洞で発生するものである。また、図11(d)に示す強信号部位81は、舗装構造の変化点(打換箇所等)における空隙で発生するものである。よって、強信号部位81の形状と、これらの形状との一致性を評価して、一致する場合には空洞として検出することができる。
このように縦断面画像に基づいて強信号部位81を発見したら、次に強信号部位81における水平断面画像90に基づき、強信号部位81の形状と管等の埋設物の形状との一致性を評価して、一致しない場合にのみ空洞として検出するのも好ましい。これにより、反射極性だけでは区別し難い埋設物と空洞とを判別することができる。特にこのような水平断面画像90を作成する場合、反射波検出を10cm以下という細かい間隔で行うと、管等の埋設物の形状がはっきりと表れるため、空洞と埋設物との違いを見分け易い。また、対象面R下に埋設物があると、その周囲に空洞が発生する可能性が高いため、図18に示すように、埋設物122の強信号部位82に接する又は重なる強信号部位81を検出した場合、空洞85の可能性は極めて高いものと判断することができる。
以上に述べた空洞や埋設物の検出処理は、作業員が目視で行うことができるが、コンピュータ(前述のデータ処理装置14でも良く、別のものでも良い)により取得データを直接情報処理することにより行っても良く、その場合には画像を生成する必要はない。
<陥没危険性の評価>
空洞を検出したときには、図12に示すように、空洞85の天面の寸法W及び天面の深度Pを求める。空洞85の天面の寸法W及び深度Pは、作業員が画像80,90,100の印刷物を定規により計測したり、画像80,90,100の寸法計測位置をコンピュータに入力(指定)してコンピュータにより算出したり、コンピュータにより画像80,90,100を画像解析したりすることにより求めることができる。そして、図13に示すように、これら空洞天面の寸法Wが大きいほど、及び空洞85天面の深度Pが浅いほど陥没の危険性が高いものとして、各反射波検出位置40における陥没の危険性を評価する。このように、空洞85を発見するだけでなく、その空洞85を原因とした陥没の危険性を評価することにより、陥没危険性の高い空洞85を先に補修し、陥没危険性の極めて低い空洞85は補修しない又は後回しにする等、適切な補修計画を容易に行うことができる。
陥没は空洞85上側の層の崩落により発生するため、前述のとおり空洞天面の寸法Wが大きいほど陥没が発生し易くなる。よって、空洞85の天面の寸法Wとしては、天面の面積、長径、短径等適宜定めることができるが、空洞85が狭い幅で長く伸びている場合にはいくら長くても陥没の危険性は少ない。よって、空洞天面の寸法Wとしては、図12(b)に示すように、空洞85天面の形状を楕円近似したときの短辺Wを用いるのが好ましい。楕円近似による短辺の算出手法は特に限定されず、公知の手法を適宜用いることができるが、例えば前述の水平断面画像を作成し、所定の反射強度以上の部分を空洞85と仮定して画像解析によりエッジの座標を検出し、このエッジを最小二乗法等で楕円近似することにより短辺を算出することができる。
空洞85の天面の深度Pも適宜定めることができ、基準位置を対象面Rではなく、アスファルト混合物層の下面等の任意の位置としたり、空洞85の天面における深度計測部位を空洞85の天面の周縁部としたりすることもできるが、反射波データ50から正確に取得できる点で基準位置は対象面Rとすることが望ましく、また陥没との相関の高さの点で空洞85の天面における深度計測部位は空洞85の天面の最上部とするのが好ましい。つまり、図12に示すように、空洞85の天面の深度Pは対象面Rから空洞85の天面の最上部までの深さとするのが最も好ましい。
この評価方法では、空洞85の天面の寸法及び空洞85天面の深度Pの両方を指標にする限り、その重み付けについては適宜定めることができ、例えば図13(a)に示すように、空洞天面の寸法Wを横軸に、空洞85天面の深度Pを縦軸にとり、原点(空洞天面の寸法Wが0、空洞85天面の深度Pが0)を通る所定傾きの直線により複数の陥没危険度の領域に区画し、検出空洞85がその天面寸法及び天面深度によりどの領域に属するかによって、その空洞85に起因する陥没危険性をランク(図示例では危険度の高いものからA,B,Cの順にランクを付ける)や点数等により評価することができる。
また、検出した空洞85の天面寸法が小さくても浅い位置にある場合は陥没の危険性が高く、さらに、空洞85の天面寸法を正確に検出できない場合もあるため、図13(a)に示す評価基準を図13(b)や図13(c)に示す評価基準のように変形し、所定深度以浅のものは天面寸法に関係なく陥没危険性のランクや点数を高く付けるのも好ましい評価手法である。なお、この所定深度は、図示例では20cm程度としているが、これに限定されるものではなく、例えば10〜30cm程度に設定しても良い。
ところで、陥没危険性を評価する上で、空洞85の成長や上昇は極めて重要である。すなわち、対象面R下に存在する空洞85は、周辺環境等によって発生から陥没に至るまでの成長、上昇の速度が異なるため、陥没危険性を評価するにあたり、このような成長要因を加味し、成長要因があるときには陥没の危険性がより高いとして、ランクを上げる又は加点する等により、陥没危険性の評価を行うことが好ましい。例えば、図14(a)に示すタイプの空洞85は、護岸擁壁110や橋台等に破損あるいは隙間111が発生し、地盤100内に海水等が浸入し、海では干満差や波、河川では増水等により、地盤内へ水が流入・流出を繰返し、徐々に土砂が浸食されて形成され、成長・上昇していくものである。なお、符号100はアスファルト混合物層を示し、符号101は路盤層を示し、符号102は路床を含む地盤層を示している。また、図14(b)に示すタイプの空洞85は、地震等や地盤沈下により地下埋設管121,122にずれ・破損が発生(特に下水道の本管121と枝管122との接続)し、集中豪雨時など破損部から土砂が管121,122内に流出して空洞85が発生し、成長・上昇していくものである。これらは土砂の吸出しによる空洞85と分類することができ、急速に成長、上昇するものである。よって、これらの成長要因がある場合には、空洞85の天面寸法及び深度による評価結果を基本として、それよりも危険性が高いものと評価する(例えば、前述の危険度Bのものを次のランクAとしたり、前述の危険度Aのものに成長要因を示す「+」を付けてA+としたりする等)ことができる。
これに対して、図15(a)に示すタイプの空洞85は、構造物130施工時の転圧不足によるゆるみが経年で圧密沈下することにより形成されるか、又は構造物130により地下水の流れが変化して、水みち131が発生し、雨水浸入や地下水変動により、地盤の細粒分が水みちに流出して形成され、成長・上昇していくものである。また、図15(b)に示すタイプの空洞85は、特に電話・電気・CAB等の多条管140周辺や埋設物の輻輳箇所等において、敷設時の転圧不足によるゆるみが存在するときに、経年で圧密沈下することにより形成され、成長・上昇していくものである。図16(a)に示すタイプの空洞85は、埋戻材150に栗石やコンクリートガラ等が混入し、その周りに多数の空隙が存在するときに、経年で圧密沈下することにより形成され、成長・上昇していくものである。図16(b)に示すタイプの空洞85は、シールド管や推進管等の管160の掘削による局部的なゆるみが上方に向かうとき、分散せずに一方向に集中することにより形成され、成長・上昇していくものである。図17(a)に示すタイプの空洞85は、存置物170(仮設土留めや人孔、死管等)周辺に局部的なゆるみが存在ときに、経年で圧密沈下することにより形成され、成長・上昇していくものである。図17(b)に示すタイプの空洞85は、コンクリート版やスラグなどの堅固な層下の路盤・路床が矢印で示すように不等沈下することにより形成され、成長・上昇していくものである。これらは、土砂の圧密沈下による空洞85と分類することができ、ある程度締め固まると成長が止まるものであるが、何も成長要因が無い場合と比較すれば、危険性は高まるものである。よって、これらの成長要因がある場合には、空洞85の天面寸法及び深度による評価結果を基本として、それよりも危険性が高いものと評価する(例えば、前述の危険度Bのものを次のランクAとしたり、前述の危険度Aのものに成長要因を示す「+」を付けてA+としたりする等)ことができる。
さらに、これらの成長要因の種類によって、危険性の程度を異なる評価とすることもできる。例えば、成長要因が「土砂の吸出し」の場合には「土砂の圧密沈下」の場合と比較して成長速度が速く、成長が止まらないため、土砂の圧密沈下よりも危険性を高く評価することができる。成長要因が「土砂の圧密沈下」の場合は、ある程度締め固まると成長が止まるため、危険性の評価を高くしない(基本の評価結果のままとする)こともできる。
また、これらの成長要因には、位置が既知の埋設物(地上から地中に延在する埋設物のように地上で位置を把握できる埋設物を含む)以外に、埋設物121,122,130,140,150,160,170のような予め把握できないものもある。よって、空洞85探査だけでなく、成長要因となる埋設物121,122,130,140,150,160,170についても、前述の走行方向縦断面画像80や水平断面画像を作成・利用して探査し、図18に示すように、空洞85を検出するとともにその周囲に枝管122等の埋設物を検出したときには、成長要因ありとして、陥没の危険性の評価をより高いものとするのは好ましい形態である。位置が既知の埋設物についても同様に、空洞85を検出するとともにその周囲に既知の埋設物があるときには、成長要因ありとして、陥没の危険性の評価をより高いものとするができる。
特に後述するように、同一の反射波検出位置40における反射波データ50の新旧比較に基づき対象面R下の変化をモニタリングする場合には、空洞85の成長及び上昇をモニタリングして、成長速度や上昇を求め、速度が所定値以上のものについては、陥没の危険性の評価をより高いものとするのも好ましい形態である。
また、例えば車道や歩道における交通量等、対象面Rの交通量が多いほど荷重や振動がより多く加わり、対象面Rが車道の場合には、車道内における車両走行の多い位置ほど(例えば、路肩内よりも車線内の方が車両走行が多い、車線であっても交差点内の方が車両走行が多い等)、荷重や振動がより多く加わる。よってこれらの場合、空洞85が発生する可能性が高く、また発生した空洞85の成長速度、上昇速度が速い。しかも、これらの場合ほど、陥没発生時の影響度(事故発生の確率が高くなる、渋滞度合がひどくなる等)が大きくなる。よって、これらの要因を加味して陥没の危険性評価を行ったり、影響度評価を付加したりすることにより、より的確な評価を行うことも提案する。
すなわち、対象面Rの交通量を加味する場合は、対象面Rの交通量を評価するか又は既知としておくとともに、空洞85を検出したときには、当該空洞85を検出した対象面Rの交通量が多いほど当該空洞85による陥没の危険性がより高いものとして陥没の危険性評価を行う(例えば、前述の危険度Bのものを次のランクAとしたり、前述の危険度Aのものに成長要因を示す「+」を付けてA+としたりする等)ことができる。これに代えて、当該空洞85を検出した対象面Rの交通量が多いほど当該空洞85による陥没時の影響度がより大きいという影響度評価を陥没の危険性評価に付加することもできる。例えば、車道の場合、全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)一般交通量調査集計表から、空洞85を検出した道路の混雑度を取得し、下記表1に示す混雑度及び影響度対応表に基づいて、陥没が発生した際の影響度(交通規制による渋滞度合い)をランク付けにより評価することもできる。
また、空洞85の車道内発生位置を加味する場合は、空洞85を検出したときには、車道における空洞85の検出位置が車両走行の多い位置であるほど陥没の危険性がより高いものとして陥没の危険性評価を行う(例えば、前述の危険度Bのものを次のランクAとしたり、前述の危険度Aのものに成長要因を示す「+」を付けてA+としたりする等)ことができる。これに代えて、例えば表2に示すように、車道における空洞85の検出位置が車両走行の多い位置であるほど陥没時の影響度がより大きいという影響度評価を陥没の危険性評価に付加することもできる。
他方、空洞85の天面の寸法及び深度が同じでも、空洞85天面より上側に位置する層の支持力が強いほど陥没危険性は低下する。よって、これを加味して、空洞85天面より上側に位置する層の支持力が強いほど、空洞85の天面寸法及び深度による評価結果を基本として、それよりも危険性が低いものと評価する(例えば、前述の危険度Aのものを次のランクBとしたり、前述の危険度Aのものに危険性低下要因を示す「−」を付けてA−としたりする等)ことができる。例えば、図14等に示すアスファルト舗装面の場合、等値換算係数を支持力とみなして評価することができ、この場合における各層の厚さは、既知の値を採用しても良いし、前述の反射波データ50や走行方向縦断面画像80から作業員が計測したり、コンピュータ(前述のデータ処理装置14でも良く、別のものでも良い)により反射波データ50を直接情報処理する若しくは縦断面画像を画像解析したりすることにより求めることができる。
<モニタリング>
同じ対象面Rについて、1年や半年等、所定の期間を空けて、電磁波レーダーによる対象面R下の探査を繰り返し行い、同一の反射波検出位置40における反射波データ50自体又は反射波データ50を加工して得られる加工データ(例えば前述の走行方向縦断面画像80、車幅方向縦断面画像100、水平断面画像90)の新旧比較に基づき、当該単位対象領域における対象面R下の変化、例えば、空洞85の発生、成長及び上昇をモニタリングすることができる。これにより、例えば空洞85の発生はもちろん、成長や上昇の早い空洞85等と、遅い空洞85等との区別をすることが可能となり、補修の必要性の評価や、補修計画の策定が容易となる。すなわち、対象面R下深くに空洞85を発見した場合、その時点では陥没の危険性が少ないと判断できるが、上昇や成長が早い場合は陥没の危険性が高く、補修の必要性は高いものとなる。よって、上述のように空洞85の発生、成長及び上昇をモニタリングすると、陥没の危険性を評価することもできる。
前述のとおり、対象面R下に埋設物121,122,130,140,150,160,170があると、その周囲に空洞85が発生する可能性が高く、また発生した空洞85の成長速度、上昇速度が比較的に速い。よって、反射波データ50に基づき埋設物を検出したときに、埋設物の検出位置の周辺における反射波データ50の新旧比較に基づき、空洞発生、成長及び上昇をモニタリングすると、空洞モニタリングをより効率的に行うことができる。
また、前述のとおり、例えば車道や歩道における交通量等、対象面Rの交通量が多いほど荷重や振動がより多く加わり、対象面Rが車道の場合には、車道内における車両走行の多い位置ほど(例えば、路肩内よりも車線内の方が車両走行が多い、車線であっても交差点内の方が車両走行が多い等)、荷重や振動がより多く加わる。よってこれらの場合、空洞85が発生する可能性が高く、また発生した空洞85の成長速度、上昇速度が速い。しかも、これらの場合ほど、陥没発生時の影響度(事故発生の確率が高くなる、渋滞度合がひどくなる等)が大きくなる。よって、交通量が所定値以上の対象面Rについてモニタリングしたり、対象面Rが車道路面であるときには車線内(交差点含む)をモニタリングしたりすることにより、空洞モニタリングをより効率的に行うことができる。交通量が所定値以上の対象面Rは、例えば、車道の場合、全国道路・街路交通情勢調査(道路交通センサス)一般交通量調査集計表における交通量や混雑度が所定値以上の道路とすることができる。
データの新旧比較は、前述の走行方向縦断面画像80や水平断面画像を作成する等して、作業員が目視で行うことができるが、コンピュータにより取得データを直接情報処理することにより行っても良く、その場合には画像を生成する必要はない。また、比較の際に、同一位置における新旧の反射波強度の差を取り、その差分強度が所定値以上である部位、又はそれが走行方向や車幅方向に連続する部位を、変化のあった位置として検出しても良い。このために、差分強度による走行方向縦断面画像80や水平断面画像90、車幅方向縦断面画像100を作成することもできる。
<マップ化>
空洞の調査計画や補修計画を立てるためには、陥没の危険性の全体像を地域等のレベルで把握することが望ましい。そこで、前述の陥没の危険性の評価結果に基づき、図19に示すように、地図(航空写真や、地図と航空写真若しくはその他の写真との組み合わせでも良い)200上の道路表示部201等の調査位置に、その位置の陥没の危険性を表示した陥没危険性マップを作成するのも好ましい。表示形態は特に限定されない。例えば、陥没の危険性表示は、その位置に危険性表示マーク202等を付すことができる。また、図示形態のように、道路表示部201の色を調査の済んでいる調査区間と未調査区間とで異ならしめたり、危険度別に危険性表示マーク202の色や模様、形状、大きさを異ならしめたりするのも好ましい。さらに、図示形態のように地域毎に危険度の高さや、未調査・調査済みに応じた色分けや模様分けをするのも好ましい。図示形態は、空洞発見数のみを考慮した表示形態であるが、危険度のみを考慮した表示形態や、空洞数及び危険度の両方を考慮した表示形態、他の要素を加味した表示形態等、適宜の変更が可能である。地域の設定についても、図示形態のように正方形で区画する他、三角形や六角形等の適宜の形状に区画したり、あるいは住所に基づく区画としたりする等、適宜設定することができる。さらにまた、この陥没危険性マップは、防災マップや、浸水マップ、地震時の揺れやすさマップ等の他のマップと統合するのも一つの好ましい形態である。
本発明は、道路や滑走路、港湾におけるエプロン、その他の人や乗り物の通行面等の路面、物置場等、あらゆる場所の陥没の危険性を評価するのに利用でき、対象面が舗装面(アスファルト舗装、コンクリート舗装等、舗装の種類を問わない)であるか非舗装面であるかを問わず利用できるものである。
P…天面の深度、R…対象面、W…空洞天面の寸法、a…センサ、k…電磁波レーダーシステム、10…探査車、11…光学式距離計、12…カメラ、13…GPS装置、14…データ処理装置、15…制御装置、40…反射波検出位置、50…反射波データ、80…走行方向縦断面画像、81…強信号部位、85…空洞、90…水平断面画像、100…車幅方向縦断面画像。

Claims (8)

  1. 電磁波レーダーを用い、対象面における少なくとも所定の単位対象領域の全体にわたり、対象面に沿う方向に所定の間隔を空けて、対象面上側から対象面下へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を対象面上側で検出することにより、各反射波検出位置における反射波データを取得し、
    この取得した反射波データに基づき、各反射波検出位置における空洞を探査するとともに、空洞を検出したときには空洞天面の寸法及び空洞天面の深度を求め、これら空洞天面の寸法が大きいほど、及び空洞天面の深度が浅いほど陥没の危険性が高いものとして、各反射波検出位置における陥没の危険性を評価する、
    ことを特徴とする陥没の危険性評価方法。
  2. 前記空洞天面の平面視形状を楕円近似したときの短辺を前記空洞天面の寸法として前記陥没の危険性を評価する、請求項1記載の陥没の危険性評価方法。
  3. 前記取得した反射波データに基づき、各反射波検出位置における埋設物を探査するか、又は埋設物の位置を既知としておくとともに、前記空洞を検出するとともにその周囲に埋設物を検出したときか、又は前記空洞を検出するとともにその周囲に既知の埋設物があるときには、陥没の危険性がより高いものとして前記評価を行う、請求項1又は2記載の陥没の危険性評価方法。
  4. 対象面の交通量を評価するか又は既知としておくとともに、前記空洞を検出したときには、当該空洞を検出した対象面の交通量が多いほど当該空洞による陥没の危険性がより高いものとして前記陥没の危険性評価を行うか、又は当該空洞を検出した対象面の交通量が多いほど当該空洞による陥没時の影響度がより大きいという影響度評価を前記陥没の危険性評価に付加する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
  5. 前記対象面が車道であり、前記空洞を検出したときには、前記車道における前記空洞の検出位置が車両走行の多い位置であるほど陥没の危険性がより高いものとして前記陥没の危険性評価を行うか、又は前記車道における前記空洞の検出位置が車両走行の多い位置であるほど陥没時の影響度がより大きいという影響度評価を前記陥没の危険性評価に付加する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
  6. 前記空洞を検出したとき、前記空洞天面より上側に位置する層の支持力を求め、この支持力が強いほど陥没の危険性がより低いものとして前記陥没の危険性評価を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
  7. 探査車両を走行させながら、車幅方向及び走行方向にそれぞれ所定の間隔で車両から対象面下へ電磁波を深さ方向に入射させるとともにその反射波を検出することにより、車幅方向及び走行方向ともに10cm以下の間隔で各位置の反射波データを取得する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
  8. 前記陥没の危険性の評価結果に基づき、地図及び地球表面写真の少なくとも一方上にその位置の陥没の危険性を表示した陥没危険性マップを作成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の陥没の危険性評価方法。
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