以下に、本発明による洗浄装置を図面を参照して説明する。本発明による洗浄装置10は、主として医療用器具を洗浄するためのものである。図1に示したように、洗浄装置10は、ラックAに入れた医療用器具等の被洗浄物を収容して下部に洗浄水を貯える貯水部21を有した洗浄槽20と、給水源である水道から送出される水の洗浄水を貯水部21に供給する給水手段28と、給湯源である給湯器30から湯の洗浄水を貯水部21に供給する給湯手段29と、熱湯の洗浄水を貯水部21に供給する熱湯供給装置40とを備えている。
洗浄槽20は、前面に扉12を設けたハウジング11内に収容されており、下部に洗浄水を貯える貯水部21を一体的に有している。洗浄槽20の下面は貯水部21側に向けて下方に傾斜しており、洗浄槽20内の洗浄水は貯水部21に流入するようになっている。洗浄槽20の貯水部21の下部には温度センサ22が設けられており、温度センサ22は主として洗浄水の温度を検出するものである。また、貯水部21の下部にはヒータ23が設けられており、ヒータ23は貯水部21の洗浄水を加熱するものである。
洗浄槽20の上面と下面には医療用器具に洗浄水を噴射する洗浄ノズル24,25が回転可能に支持されており、これら洗浄ノズル24,25には貯水部21から導出した循環パイプ26が接続されている。循環パイプ26には貯水部21の洗浄水を洗浄ノズル24,25に送出する洗浄ポンプ27が介装されている。洗浄ポンプ27を作動させると、貯水部21内の洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24,25に送られ、洗浄ノズル24,25は洗浄水の噴出反力により回転しながら洗浄水を医療用器具に向けて噴射する。なお、医療用器具に噴射された洗浄水は落下して貯水部21に還流する。
洗浄槽20の後壁上部には洗浄水を供給するための給水口と給湯口とが形成されており、給水口には洗浄水供給手段を構成する給水手段28が接続され、給湯口には洗浄水供給手段を構成する給湯手段29が接続されている。給水手段28は給水管28aと、給水管28aに介装した給水弁28bとからなる。給水管28aの導入端部は水道等の給水源に接続され、導出端部は給水口に接続されている。給水口には給水管28aから供給される水を下方に案内するエルボ管28cが接続されており、エルボ管28cは給水口から水平方向に放出される水が前方にある医療用器具に直接当たるのを防ぐ機能を有している。エルボ管28cの下側にはエルボ管28cから放出された水を洗浄槽20の下部に案内するガイド28dが設けられている。ガイド28dは上端及び下端が開口して水平方向の断面が洗浄槽20の後壁側に開いたコ字形状をしており、エルボ管28cの下側から洗浄槽20の下部まで延出している。ガイド28dの上部は上端が前方に拡がった取水口が形成されている。給水弁28bを開放すると、給水源の水は給水管28a、エルボ管28c及びガイド28dを通って洗浄槽20の貯水部21に供給される。
給湯手段29は給湯管29aと、給湯管29aに介装した給湯弁29bとからなる。給湯管29aの導入端部は給湯器30等の給湯源に接続され、導出端部は給湯口に接続されている。給湯口には給湯管29aから供給される湯を下方に案内するエルボ管29cが接続されており、エルボ管29cは給湯口から水平方向に放出される湯が前方にある医療用器具に直接当たるのを防ぐ機能を有している。エルボ管29cの下側にはエルボ管29cから放出された水を洗浄槽20の下部に案内するガイド29dが設けられている。ガイド29dは上端及び下端が開口して水平方向の断面が洗浄槽20の後壁側に開いたコ字形形状をしており、エルボ管29cの下側から洗浄槽20の下部まで延出している。ガイド29dの上部は上端が前方に拡がった取水口が形成されている。給湯弁29bを開放すると、給湯器30の湯は給湯管29a、エルボ管29c及びガイド29dを通って洗浄槽20の貯水部21に供給される。
図1に示したように、貯水部21の底面には排水口21aが形成され、排水口21aには排水手段31が接続されている。排水手段31は排水口21aに接続された排水管31aと、排水管31aに介装した排水ポンプ31bとからなる。排水ポンプ31bを作動させると、貯水部21の洗浄水は排水管31aを通って洗浄装置10の外部に排出される。
貯水部21には排水ポンプ31bより上流側の排水管31aを介して2つの水位検出タンク32,33が接続されており、各水位検出タンク32,33にはフロートスイッチ(水位センサ)32a,33aが収容されている。フロートスイッチ32aは貯水部21の洗浄水が洗浄に必要な洗浄水位(所定水位)L1以上であることを検出するものであり、洗浄水位L1以上になればオンとなり、洗浄水位L1より低ければオフとなる。フロートスイッチ33aは貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1よりも高い異常水位L2以上であることを検出すあるものであり、異常水位L2以上になればオンとなり、異常水位L2より低ければオフとなる。なお、異常水位L2は洗浄槽20内に収容した医療用器具より少し下側の位置の水位であり、洗浄槽20に収容した医療用器具が洗浄水に漬からないことを目的とした水位である。なお、本実施形態においては、洗浄水位L1であるときの水量は6Lであり、異常水位L2であるときの水量は8Lと設定されている。
洗浄槽20には洗剤供給装置34が接続されている。洗剤供給装置34は洗剤を貯えた洗剤タンクDから洗浄槽20に洗剤を送出する洗剤供給管34aと、洗剤供給管34aに介装された洗剤供給ポンプ34bとを備えている。洗剤供給ポンプ34bを作動させると、洗剤タンクD内の洗剤が洗剤供給管34aを通って洗浄槽20内に供給される。洗剤タンクDに収容されている洗剤は、非酵素系洗剤としてアルカリ洗剤またはプロテアーゼ等の酵素を含んだ酵素入り洗剤である。なお、酵素入り洗剤は、プロテアーゼ等の酵素が失活しない温度として50℃以下での使用が適している。洗剤タンクDを付け替えることで、洗浄槽20にアルカリ洗剤または酵素入り洗剤を選択的に使用できる。なお、非酵素系洗剤はアルカリ洗剤に限られるものでなく、中性、酸性の洗剤であってもよい。
洗浄槽20の天井壁には排気口20aが形成されており、排気口20aには洗浄槽20から排出される排気をハウジング11外に排出する排気管35が設けられている。
洗浄槽20には洗浄水供給手段を構成する熱湯供給装置40が接続されている。熱湯供給装置40は、給湯器30等の給湯源から送出される湯を加熱した熱湯を貯水部21に供給するものである。熱湯供給装置40は給湯器30から熱湯タンク41に送出される湯をヒータ44により予め加熱して熱湯とし、給湯器30から熱湯タンク41に送出される湯により溢出する熱湯の洗浄水を貯水部21に供給する。熱湯タンク41の上部には給湯器30等の給湯源から導出された給湯管42が接続されており、給湯管42には給湯弁42aが介装されている。給湯弁42aを開放すると、給湯器30の湯は給湯管42を通って熱湯タンク41に供給される。
熱湯タンク41内には給湯管42から供給された湯を下部に案内するガイド筒43が設けられている。熱湯タンク41内にはヒータ44が設けられており、ヒータ44は給湯管42から熱湯タンク41内に供給された湯を熱湯となるように加熱するものである。熱湯タンク41内には温度センサ45が設けられており、温度センサ45は熱湯タンク41内の湯の温度を検出するものである。熱湯タンク41内にはオーバーフロー管46が設けられており、このオーバーフロー管46の下端は洗浄槽20の下部に接続されている。給湯管42から湯をオーバーフロー管46の上端を超えるように熱湯タンク41内に供給すると、熱湯タンク41内の熱湯がオーバーフロー管46の上端開口46aから溢出して貯水部21に供給される。
この洗浄装置10は制御装置50を備えており、図2に示したように、この制御装置50には温度センサ22、ヒータ23、洗浄ポンプ27、給水弁28b、給湯弁29b、排水ポンプ31b、フロートスイッチ32a,33a、洗剤供給ポンプ34b、給湯弁42a、ヒータ44及び温度センサ45が接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、温度センサ22及び45の検出温度、フロートスイッチ32a,33aからのオンオフ信号及びタイマの計時に基づいて、ヒータ23、洗浄ポンプ27、給水弁28b、給湯弁29b、排水ポンプ31b、洗剤供給ポンプ34b、給湯弁42a及びヒータ44の作動を制御して下記に示す洗浄プログラムを実行する。RAMは洗浄プログラムを実行するのに必要な変数等を一時的に記憶するものであり、ROMは洗浄プログラムを記憶するものである。
制御装置50は洗浄ポンプ27の回転数を制御する洗浄ポンプ制御部51を有しており、制御装置50は洗浄ポンプ制御部51により洗浄ポンプ27の回転数を制御して洗浄ポンプ27から洗浄ノズル24,25の洗浄水の供給流量を制御する。洗浄ポンプ制御部51は、洗浄ポンプ27を定格出力(通常運転の最大出力)で回転させたときと比べて2段階(20%、50%)に回転数を低下させるように制御する。洗浄ポンプ制御部51はこの実施形態ではトライアックを用いて洗浄ポンプ27のモータの通電時間を制御して洗浄ポンプ27の回転数を制御しているが、インバータ制御や位相制御等の他の制御手段を用いて洗浄ポンプ27の回転数を制御してもよい。
制御装置50は排水ポンプ31bの回転数を制御する排水ポンプ制御部52を有しており、制御装置50は排水ポンプ制御部52により排水ポンプ31bの回転数を定格出力より低く制御して排水ポンプ31bの排水流量を制御する。排水ポンプ制御部52はこの実施形態ではトライアックを用いて排水ポンプ31bのモータの通電時間を制御して排水ポンプ31bの回転数を制御しているが、インバータ制御や位相制御等の他の制御手段を用いて排水ポンプ31bの回転数を制御してもよい。
制御装置50は、ハウジング11のフロントパネルに設けた図3に示した操作パネル60に接続されている。この操作パネル60の「洗剤交換」ボタンは洗剤タンクDを取り替えたときに操作するボタンである。なお、この「洗剤交換」ボタンによりアルカリ洗剤を用いた洗浄プログラムまたは酵素入り洗剤を用いた洗浄プログラムを選択可能としてもよい。また、操作パネル60の「コース」ボタンを操作することで、各洗剤を用いた洗浄プログラムにおいて、予洗浄工程、本洗浄工程、濯ぎ洗浄工程及び熱湯消毒工程よりなる熱湯消毒工程を含んだ洗浄プログラムと、予洗浄工程、本洗浄工程及び濯ぎ洗浄工程よりなる熱湯消毒工程を含まない洗浄プログラムとを選択可能となっている。なお、操作パネル60の「コース」ボタンを操作したときに、本洗浄工程の洗浄時間の長さの異なる洗浄プログラムも選択可能となっている。
次に、この洗浄装置10において、洗浄プログラムを実行する前の待機状態のプログラムについて説明する。なお、熱湯タンク41内には水または湯が残っている状態となっている状態で説明する。洗浄装置10の主電源をオンさせると、図4に示したように、制御装置50は、ステップ101において、操作パネル60の「運転」スイッチがオンされたか否かを判定し、「運転」スイッチがオンされれば「YES」と判定してステップ102に進める。制御装置50は、ステップ102において、洗浄プログラムのコースの入力をする。なお、この洗浄プログラムのコースは、直前に実行した洗浄プログラムがあればそのコースが入力され、操作パネル60の「コース」スイッチにより洗浄プログラムのコースの入力されればそのコースが入力される。
次に、制御装置50は、ステップ103において、熱湯タンク41の温度センサ45により湯の温度が72℃以下か否かを判定し、72℃以下であればステップ104に進めて、熱湯タンク41用のヒータ44を通電させて熱湯タンク41内の湯を加熱させる。これに対し、熱湯タンク41の温度センサ45により湯の温度が72℃より高ければ、制御装置50は、ステップ103において「NO」と判定してステップ105に進める。
制御装置50は、ステップ105において、熱湯タンク41の温度センサ45により湯の温度が75℃以上か否かを判定し、75℃以上であればステップ106に進めて、熱湯タンク41用のヒータ44の通電を停止させる。これに対し、熱湯タンク41の温度センサ45により湯の温度が75℃より低ければ、制御装置50は、ステップ105において「NO」と判定してステップ107に進める。
制御装置50は、ステップ107において、ステップ102により入力された洗浄プログラムのコースが熱湯消毒工程を含む洗浄プログラムであるか否かを判定し、洗浄プログラムが熱湯消毒工程を含まなければ「NO」と判定してステップ108に進める。制御装置50は、ステップ108において、操作パネル60の表示ディスプレイ61に洗浄プログラムのコースを表示する。操作パネル60の表示ディスプレイ61に洗浄プログラムのコースが表示されているときは、洗浄プログラムを実行可能な状態である。制御装置50は、ステップ109において、洗浄プログラムの予約の有無を示すフラグF1が予約があることを示す「1」であるか否かを判定し、洗浄プログラムの予約のない状態を示す「0」であれば、「NO」と判定してステップ110に進める。制御装置50は、ステップ110において、操作パネル60の「スタート」スイッチがオンされたか否かを判定し、「スタート」スイッチがオンされれば「YES」と判定し、ステップ115において後述する洗浄プログラムを実行する。制御装置50は、ステップ115による洗浄プログラムを実行した後は、ステップ116において、洗浄プログラムの予約の有無を示すフラグF1を予約のないことを示す「0」に戻す。
ステップ102において入力された洗浄プログラムが熱湯消毒工程を含むコースであれば、制御装置50は、ステップ107において「YES」と判定してステップ111に進める。制御装置50は、ステップ111において、熱湯タンク41の温度センサ45により湯の温度が70℃以下か否かを判定し、湯の温度が70℃より高ければ「NO」と判定して上述したステップ108に進める。
これに対し、熱湯タンク41内の湯の温度が70℃以下であれば、制御装置50は、ステップ111において「YES」と判定し、ステップ112に進める。制御装置50は、ステップ112において、操作パネル60の表示ディスプレイ61に「ON」と表示する。この表示ディスプレイ61の「ON」の表示は洗浄プログラムの熱湯消毒工程を実行するまでに熱湯タンク41内の湯の温度を93℃まで上昇させることができない70℃以下であるために、洗浄プログラムを直ちに実行することができないことを示している。
次に、制御装置50は、ステップ113において、操作パネル60の「スタート」スイッチがオンされたか否かを判定し、「スタート」スイッチがオンされれば「YES」と判定してステップ114に進める。制御装置50は、ステップ114において、洗浄プログラムの予約の有無を示すフラグF1を反転させる。すなわち、洗浄プログラムの予約を示すフラグF1が予約のないことを示す「0」であれば予約のあることを示す「1」に変え、予約のあることを示す「1」であれば予約のないことを示す「0」に変える。このように、直ちに洗浄プログラムを実行させることができなくても、洗浄プログラムの予約を受け付けることが可能であり、また一度受け付けた予約も取り消すことが可能である。なお、制御装置50は、洗浄プログラムの予約のある状態では、操作パネル60の表示ディスプレイ61の「ON」の表示の後ろに「.」を点滅表示させて洗浄プログラムの予約があることを表示させてもよい。
上記の処理を実行しているときに、熱湯タンク41内の温度が70℃より高くなると、制御装置50は、ステップ111において「NO」と判定してステップ108に進める。制御装置50は、ステップ108において、操作パネル60の表示ディスプレイ61の「ON」の表示を洗浄プログラムのコースの表示に変更する。制御装置50は、ステップ109において、洗浄プログラムの予約がされていることを示すフラグF1が「1」であるか否かを判定し、ステップ114にてフラグF1を「1」にしていれば「YES」と判定してステップ115に進める。制御装置50は、ステップ115において後述する洗浄プログラムを実行する。制御装置50は、ステップ115による洗浄プログラムを実行した後は、ステップ116において、洗浄プログラムの予約の有無を示すフラグF1を予約のないことを示す「0」に戻す。なお、熱湯タンク41の湯は洗浄プログラムを開始させてから熱湯消毒工程の給湯処理が終了までは、温度センサ45による検出温度が熱湯消毒に適した温度として93℃以上となるようにヒータ44に通電させ、熱湯タンク41内の湯が熱湯となるように加熱させている。
次に、この洗浄装置10の洗浄プログラムの一例として、アルカリ洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。以下に説明するアルカリ洗剤コースの洗浄プログラムは、予洗浄工程、本洗浄工程、濯ぎ洗浄工程及び熱湯消毒工程(洗浄工程)よりなる熱湯消毒工程を含む洗浄プログラムである。なお、熱湯消毒工程を含まない洗浄プログラムは以下に説明する熱湯消毒工程を含む洗浄プログラムにおいて、熱湯消毒工程を省略したものであるが、熱湯消毒工程に代えて濯ぎ洗浄工程を実行することで濯ぎ洗浄工程を2回実行するものであってもよい。また、洗浄プログラムは、通常モードの洗浄プログラムと、給水流量と給湯流量及び排水流量を測定する測定モードの洗浄プログラムとがあり、測定モードの洗浄プログラムは所定回数として50回に1回の割合で実行される。
以下に、アルカリ洗剤コースの洗浄プログラムの通常モードについて説明する。図5〜図8に示したように、制御装置50は、先ずステップ201〜207により予洗浄工程を実行させる。予洗浄工程は、高温の洗浄水を用いる本洗浄工程の前に、血液やタンパク質が凝固しない50℃以下(洗浄力が低下しないように50℃以下のできるだけ高い温度)の洗浄水を用いて血液やタンパク質の汚れを予め落としておく洗浄工程である。
先ず、洗浄槽20内に直前の洗浄プログラムの熱湯消毒工程を実行した後での余熱が残っているかを判定するために、制御装置50は、ステップ201において、洗浄槽20用の温度センサ22による検出温度が43℃以上か否かを判定する。洗浄槽20内の温度が直前の洗浄プログラムの熱湯消毒工程の余熱により43℃以上であれば、制御装置50は、ステップ201において「YES」と判定してステップ202に進める。制御装置50は、ステップ202において、給水弁28bを開放させると、給水源の水は給水管28aを通って洗浄槽20の貯水部21に送出される。これに対し、洗浄槽20内の温度が43℃より低ければ、制御装置50は、ステップ201において「NO」と判定してステップ203に進める。制御装置50は、ステップ203において、給水弁28bと洗浄槽20用の給湯弁29bとを開放させると、給水源及び給湯器30の水及び湯は給水管28a及び給湯管29aを通って洗浄槽20の貯水部21に送出される。なお、後述する給水流量算出手段により算出した給水流量と、給湯流量算出手段により算出した給湯流量とを用いて、例えば給水量と給湯量とが同量となるように給水弁28bと給湯弁29bとの開閉作動を制御してもよい。このように、予洗浄工程では、貯水部21の洗浄水の温度が所定温度として50℃以上にならないように、給水源の水と給湯器30の湯を供給するようにしており、洗浄槽20の内部に直前に実行した洗浄プログラムの熱湯消毒工程の余熱が残っているときには、給湯器30の湯を供給することなく給水源の水だけを供給するようにして、貯水部21の洗浄水の温度が50℃以上とならないようにした。
制御装置50は、ステップ204において、フロートスイッチ32aの検出により貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となったか否かを判定する。制御装置50は、ステップ204において、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ205に進める。制御装置50は、ステップ205において、ステップ202にて給水弁28bのみを開放させていれば給水弁28bを閉止させ、ステップ203にて給水弁28bと給湯弁29bとを開放させていれば給水弁28bと給湯弁29bとを閉止させて給水処理を終了させる。
次に、制御装置50は、ステップ206において、予洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ27を1分間作動させる。なお、制御装置50は、予洗浄工程では、洗浄ポンプ27を定格出力(通常の最大出力)で作動させる。貯水部21内の洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24,25に圧送され、洗浄ノズル24,25は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。この洗浄処理後、制御装置50は、ステップ207において、後述するステップ400の排水処理を実行して貯水部21の洗浄水を排水する。
ステップ201〜207による予洗浄工程が終了すると、制御装置50は、ステップ211〜227により本洗浄工程を実行させる。この本洗浄工程では、制御装置50は、ステップ211において、洗浄槽20用の給湯弁29bを開放させるとともに、排水ポンプ31bを間欠的に作動させる。給湯管29a内に残留していた温度の低い湯は給湯器30から送出される湯により洗浄槽20の貯水部21に送出され、間欠的に作動される排水ポンプ31bにより排水される。給湯管29a内に残留する温度の低い湯がなくなる所定時間経過後、制御装置50は、ステップ212において、排水ポンプ31bの作動を停止させると、給湯器30から給湯管29aを通る湯が洗浄槽20の貯水部21に貯められ、貯水部21の水位が徐々に上昇する。貯水部21の洗浄水がアルカリ洗剤を用いた洗浄で洗浄力を高く発揮させることができる所定の設定温度として65℃以上となるように、制御装置50は、ステップ213において、温度センサ22の検出温度が設定温度として65℃以上であるか否かを判定し、設定温度である65℃以上でなければ「NO」と判定してステップ214に進める。制御装置50は、ステップ214において、ヒータ23に通電させて洗浄水を加熱する。次に、制御装置50は、ステップ216において、フロートスイッチ32aによる検出により貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となったか否かを判定する。貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となっていなければ、制御装置50はステップ213に戻す。
貯水部21の洗浄水が給湯中に設定温度である65℃以上になると、制御装置50は、ステップ213において、「YES」と判定してステップ215に進め、ステップ215において、ヒータ23への通電を停止させる。ステップ213〜216の処理を実行させているときに、貯水部21の洗浄水の水位が洗浄水位L1になってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されると、制御装置50は「YES」と判定してステップ217に進める。制御装置50は、ステップ217において、洗浄槽20用の給湯弁29bを閉止させて給湯処理を終了させる。
次に、制御装置50は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ218において、洗剤供給ポンプ34bを作動させて洗浄槽20内にアルカリ洗剤を供給させ、ステップ219において、洗浄ポンプ制御部51により洗浄ポンプ27の回転数を定格出力(通常運転の最大回転数)から50%に低下させて10秒間作動させる。貯水部21内の洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプを介して洗浄ノズル24,25に送られ、洗浄ノズル24,25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に弱い勢いで噴射する。このとき、洗浄ポンプ27の回転数を低下させて作動させているので、洗浄槽20内の温度の急激な上昇を抑制でき、その結果、洗浄槽20内の圧力が急激に上昇しないようになり、排気口20aから洗浄槽20内の空気が勢いよく排出されない。これにより、洗浄槽20内にて洗浄ノズル24,25によって噴射された洗浄水が排気口20aから外部に飛び散らない。
次に、制御装置50は、ステップ220において、洗浄ポンプ27を定格出力で作動させる。これにより、貯水部21内のアルカリ洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24,25に圧送され、洗浄ノズル24,25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。また、制御装置50は、ステップ221において、温度センサ22の検出温度が設定温度として65℃以上であるか否かを判定し、設定温度である65℃以上でなければ「NO」と判定してステップ222に進める。制御装置50は、ステップ222において、ヒータ23に通電させて洗浄水を加熱する。次に、制御装置50は、ステップ225において、計時開始から所定時間として3分経過したか否かを判定し、計時開始から3分経過していなければ、制御装置50は「NO」と判定してステップ221に戻す。
貯水部21の洗浄水が給湯中に65℃以上になると、制御装置50は、ステップ221において、「YES」と判定してステップ223に進め、ステップ223において、ヒータ23への通電を停止させる。制御装置50は、ステップ224において、洗浄時間の計時を開始する。ステップ221〜225の処理を実行させているときに、計時を開始してから所定時間として3分経過すると、制御装置50は「YES」と判定してステップ226に進める。制御装置50は、ステップ226において、洗浄ポンプ27の作動を停止させる。なお、このときヒータ23に通電させている状態であれば、制御装置50は、ヒータ23の通電を併せて停止させる。
この洗浄処理後、制御装置50は、ステップ227において、後述するステップ400の排水処理を実行して貯水部21の洗浄水を排水する。
ステップ211〜227による本洗浄工程が終了すると、制御装置50は、ステップ231〜235により濯ぎ洗浄工程を実行させる。この濯ぎ洗浄工程では、制御装置50は、ステップ231において、洗浄槽20用の給湯弁29bを開放させて、濯ぎ洗浄工程での給湯処理を開始させる。給湯器30の湯は給湯管29aを通って洗浄槽20の貯水部21に送出される。制御装置50は、ステップ232において、フロートスイッチ32aの検出により洗浄槽20内の貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となったか否かを判定する。制御装置50は、ステップ232において、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ233に進める。制御装置50は、ステップ233において、洗浄槽20用の給湯弁29bを閉止させて給湯処理を終了させる。
次に、制御装置50は、ステップ234において、濯ぎ洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ27を定格出力で15秒間作動させる。貯水部21内の洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24,25に圧送され、洗浄ノズル24,25は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して、洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す。この洗浄処理後、制御装置50は、ステップ235において、後述するステップ400の排水処理を実行して貯水部21の洗浄水を排水する。
ステップ231〜235による濯ぎ洗浄工程が終了すると、制御装置50は、ステップ241〜256により熱湯消毒工程を実行させる。この熱湯消毒工程では、制御装置50は、ステップ241において、熱湯タンク41用の給湯弁42aを開放させて、熱湯消毒工程での熱湯の供給処理を開始させる。給湯器30の湯は給湯管42を通って熱湯タンク41内に送出され、熱湯タンク41内の熱湯は供給された湯によりオーバーフロー管46から溢出することで貯水部21に送出される。制御装置50は、ステップ242において、フロートスイッチ32aの検出により貯水部21の熱湯が洗浄水位L1となったか否かを判定する。制御装置50は、ステップ242において、貯水部21の熱湯が洗浄水位L1となるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、貯水部21の熱湯が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ243に進める。制御装置50は、ステップ243において、熱湯タンク41用の給湯弁42aを閉止させて熱湯の供給処理を終了させる。
熱湯消毒洗浄処理では、制御装置50は、ステップ244において、洗浄ポンプ制御部51により洗浄ポンプ27の回転数を定格出力(通常運転の最大回転数)から20%に低下させて20秒間作動させる。次に、制御装置50は、ステップ245において、洗浄ポンプ制御部51により洗浄ポンプ27の回転数を定格出力(通常運転の最大回転数)から50%に低下させて40秒間作動させる。貯水部21内の熱湯の洗浄水は循環パイプを介して洗浄ノズル24,25に送られ、洗浄ノズル24,25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に弱い勢いで噴射する。このとき、洗浄ポンプ27の回転数を低下させて作動させているので、洗浄槽20内の温度の急激な上昇を抑制でき、その結果、洗浄槽20内の圧力が急激に上昇しないようになり、排気口20aから洗浄槽20内の空気が勢いよく排出されない。これにより、洗浄槽20内にて洗浄ノズル24,25によって噴射された洗浄水が排気口20aから外部に飛び散らない。
制御装置50は、ステップ246において、洗浄ポンプ27を定格出力で作動させる。貯水部21内の熱湯は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24,25に圧送され、洗浄ノズル24,25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。
制御装置50は、ステップ247において、タイマにより熱湯消毒時間の計時を開始する。次に、制御装置50は、ステップ248において、洗浄槽20用の温度センサ22による検出温度が81℃以下か否かを判定する。貯水部21の熱湯が81℃以下であれば、制御装置50は、ステップ248において「YES」と判定してステップ249に進める。制御装置50は、ステップ249において、洗浄槽20用のヒータ23に通電させて貯水部21の熱湯を加熱する。これに対し、貯水部21内の熱湯が81℃より高ければ、制御装置50はステップ248にて「NO」と判定してステップ250に進める。
制御装置50は、ステップ250において、洗浄槽20用の温度センサ22による検出温度が83℃以上か否かを判定する。貯水部21の熱湯が83℃以上であれば、制御装置50は、ステップ250において「YES」と判定してステップ251に進める。制御装置50は、ステップ251において、洗浄槽20用のヒータ23の通電を停止させる。これに対し、貯水部21内の熱湯が83℃より低ければ、制御装置50はステップ250にて「NO」と判定してステップ252に進める。
制御装置50は、ステップ252において、洗浄槽20用の温度センサ22による検出温度が消毒に適した温度範囲の80℃以上か否かを判定する。貯水部21内の熱湯の温度が80℃以上であれば、消毒に適した温度であるので、制御装置50は、ステップ252において、「YES」と判定してステップ253に進める。これに対し、貯水部の熱湯が洗浄槽20の内壁または医療用器具と熱交換して温度が低下し、貯水部21内の熱湯が80℃より低くなっていれば、制御装置50は、ステップ252において「NO」と判定し、ステップ247に戻す。このように、貯水部21内の熱湯が80℃より低くなれば、ステップ247に戻されて、熱湯消毒時間の計時が新たに開始される。
ステップ252の処理後、制御装置50は、ステップ253において、ステップ247にて計時開始した熱湯消毒時間が10分経過したか否かを判定する。熱湯消毒時間が10分経過していなければ、制御装置50は、ステップ253において「NO」と判定してステップ248に戻す。
貯水部21内の熱湯が80℃以上に維持された状態で、ステップ247から計時を開始させた熱湯消毒時間が10分経過すると、制御装置50は、ステップ253において「YES」と判定して、ステップ254に進める。制御装置50は、ステップ254において、洗浄槽20用のヒータ23の通電を停止させ、ステップ255において、洗浄ポンプ27の作動を停止させる。このように、医療用器具は80℃以上に維持された熱湯を10分間、洗浄ノズル24,25から噴射されることによって熱湯消毒される。この熱湯洗浄処理後、制御装置50は、ステップ256において、後述するステップ400の排水処理を実行して貯水部21の洗浄水を排水する。
次に、測定モードの洗浄プログラムについて説明する。測定モードの洗浄プログラムについては、上述した通常モードの洗浄プログラムと異なる点について説明する。先ず、水道等の給水源から給水管28aにより貯水部21に供給する水の流量を算出する給水流量算出手段は、予洗浄工程において、給水弁28bのみを開放して給水管28aから貯水部21に給水をし、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されるまでの時間を計測する。給水管28aからの単位時間当たりの給水流量は、貯水部21の洗浄水位L1の洗浄水(6L)を供給するのに要した時間(t1)を用いて算出される(給水流量(L/s)=6(L)/t1(s))。
給湯器30等の給湯源から給湯管29aにより貯水部21に供給する湯の流量を算出する給湯流量算出手段は、本洗浄工程において、給湯弁29bを開放して給湯管29aから貯水部21に給湯をし、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されまでの時間を計測する。給湯管29aからの単位時間当たりの給湯流量は、貯水部21の洗浄水位L1の洗浄水(6L)を供給するのに要した時間(t2)を用いて算出される(給水流量(L/s)=6(L)/t2(s))。
排水ポンプ31bの作動により貯水部21から排水管31aを通って排出される排水の流量を算出する排水流量算出手段は、予洗浄工程または本洗浄工程において、貯水部21に洗浄水位L1まで供給された洗浄水を排水ポンプ31bを所定時間(t3)作動させて排水し、再び給水弁28bまたは給湯弁29bを開放して給水または給湯をし、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されまでの時間(t4)を計測する。先ず、上述した給水流量算出手段または給湯流量算出手段により算出した流量(f)に再び洗浄水位L1となるまで時間(t4)を乗じて排水量を算出し(排水量D=f(L/s)×t4(s))、排水ポンプ31bを作動させたときの排水流量は算出した排水量Dを排水ポンプ31bを作動させた所定時間(t3)で除することで算出する(排水流量(L/s)=排水量D(L)/t3(s))。
次に、この洗浄装置10の酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。この酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムは、上述したアルカリ洗剤コースの洗浄プログラムと同様に、予洗浄工程、本洗浄工程、濯ぎ洗浄工程及び熱湯消毒工程(洗浄工程)よりなる熱湯消毒工程を含む洗浄プログラムと、予洗浄工程、本洗浄工程、1回以上の濯ぎ洗浄工程よりなる熱湯消毒工程を含まない洗浄プログラムとの2種類がある。また、酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムにおいても、通常モードの洗浄プログラムと、給水流量と給湯流量及び排水流量を測定する測定モードの洗浄プログラムとがあり、測定モードの洗浄プログラムは所定回数として50回に1回の割合で実行される。給水流量、給湯流量及び排水流量を算出する各算出手段は上記のアルカリ洗剤コースでの説明と同様である。なお、給湯流量算出手段を実行するために、本洗浄工程の洗浄水の供給処理をするときに、はじめに給湯だけをして給湯流量を算出し、その後、所定量の湯を排出してから給水することで50℃以下の洗浄水にしてもよい。
酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムは、主として本洗浄工程の洗浄水の温度が洗剤に含まれる酵素が失活しない温度として50℃以下(洗浄力が低下しないように50℃以下のできるだけ高い温度)となるように制御されたものであり、他の洗浄工程はアルカリ洗剤コースの洗浄工程と同じである。以下に、酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムの本洗浄工程について説明する。
予洗浄工程では、給水及び給湯後の水と湯とからなる洗浄水の温度を温度センサ22により検出して制御装置50のRAMに記憶しておく。予洗浄工程後の本洗浄工程では、図9に示したように、制御装置50は、ステップ311において、洗浄槽20用の給湯弁29bを開放させるとともに、排水ポンプ31bを間欠的に作動させる。給湯管29a内に残留していた温度の低い湯は給湯器30から送出される湯により洗浄槽20の貯水部21に送出され、間欠的に作動される排水ポンプ31bにより排水される。給湯管29a内に残留する温度の低い湯がなくなる所定時間経過後、制御装置50は、ステップ312において、温度センサ22により貯水部21に送出された湯の温度を検出してRAMに記憶する。
制御装置50は、ステップ313において、排水ポンプ31bの作動を停止させるとともに、給水を継続しながら貯水部21内の洗浄水の温度が50℃以下となるように給水弁28bを所定時間開放させる。給水弁28bの開放時間は以下のように算出する。制御装置50は、上述した給水流量算出手段により算出した給水流量と、給湯流量算出手段により算出した給湯流量と、予洗浄工程で記憶した水と湯とからなる洗浄水の温度と、ステップ312において記憶した湯の温度とから、給水源から送出される水の温度を算出する。次に、給水管28aから送出される水の給水流量と温度と、給湯管29aから送出される湯の給湯流量と温度とから、洗浄水の温度が50℃以下となるような給水量を算出する。算出した給水量を給水流量で除することで給水弁28bの開放時間が求められる。給水源から給水管28aを通る水と給湯器30から給湯管29aを通る湯とが洗浄槽20の貯水部21に貯められ、貯水部21の水位が徐々に上昇する。制御装置50は、ステップ314において、フロートスイッチ32aによる検出により貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となったか否かを判定し、貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となれば「YES」と判定してステップ315に進める。制御装置50は、ステップ215において、洗浄槽20用の給湯弁29bを閉止させて給湯処理を終了させる。
次に、制御装置50は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ316において、洗剤供給ポンプ34bを作動させて洗浄槽20内に酵素入り洗剤を供給させる。制御装置50は、ステップ317において、洗浄ポンプ27を定格出力で作動させる。これにより、貯水部21内の洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24,25に圧送され、洗浄ノズル24,25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。制御装置50は、ステップ318において、洗浄を開始してから所定時間として3分経過したか否かを判定し、洗浄を開始してから所定時間として3分経過すると「YES」と判定してステップ319に進める。制御装置50は、ステップ319において、洗浄ポンプ27の作動を停止させる。この洗浄処理後、制御装置50は、ステップ320において、後述するステップ400の排水処理を実行して貯水部21の洗浄水を排水する。
なお、この実施形態では、本洗浄工程での給湯弁29bを開放している時間(給湯時間)は給水弁28bを開放している時間(給水時間)より長いため、ステップ313にて給水弁28bを所定時間開放させ、洗浄水位L1を検出後にステップ315にて給湯弁29bを閉止させた。例えば、給湯器30の設定温度が高いときに、給水時間を給湯時間より長くする必要があれば、洗浄水の温度が50℃以下となるように給湯量を算出し、ステップ313にて給湯弁29bを所定時間開放させ、洗浄水位L1を検出後にステップ315にて給水弁28bを閉止させてもよい。このように、貯水部21内の洗浄水の温度が洗剤に含まれる酵素が失活しない温度として50℃以下(洗浄力が低下しないように50℃以下のできるだけ高い温度)となるように、給湯と給水とを並行して行い、洗浄水の温度が50℃以下となるように予め算出した給水量または給湯量に応じて給水弁28bまたは給湯弁29bを先に閉止し、その後、洗浄水位L1となると給湯弁29bまたは給水弁28bを閉止するようにした。これにより、洗浄水位L1まで給湯または給水した後で、50℃以下となるように排水と給水または給湯を実行したときと比して、洗浄水位L1となるまで給水及び給湯時間を短くすることができ、また、給水または給湯を追加しないことで余分な水または湯の使用を抑制することができる。
上記のように構成した洗浄装置10においては、洗浄プログラムの予洗浄工程を実行するときに、直前に実行した洗浄プログラムの熱湯消毒工程で用いた熱湯の洗浄水によって、洗浄槽20内に余熱が残っていることがある。この状態で、給水弁28bと洗浄槽20用の給湯弁29bとを開放させ、給水源及び給湯器30の水及び湯を給水管28a及び給湯管29aにより貯水部21に供給したときに、貯水部21の洗浄水が洗浄槽20内の余熱により50℃以上となり、医療用器具に付着した血液やタンパク質の汚れが凝固し、汚れが医療用器具にこびり付くおそれがある。そのため、この洗浄装置10においては、予洗浄工程を実行するときに、洗浄槽20用の温度センサ22による検出温度が所定温度として43℃以上か否かを判定し、洗浄槽20内の温度が直前の洗浄プログラムの熱湯消毒工程の余熱により43℃以上であれば、給湯弁29bを開放することなく給水弁28bのみを開放させ、給水源の水を給水管28aにより洗浄槽20の貯水部21に送出した。これにより、洗浄槽20の貯水部21の洗浄水の温度が洗浄槽20の余熱により必要以上に高温とならず、医療用器具に付着した血液やタンパク質の汚れが凝固してこびり付くのを防ぐことができる。
上記の実施形態においては、洗浄槽20内の温度センサ22による検出温度が所定温度として43℃以上であるときに、給湯弁29bを開放することなく給水弁28bのみを開放させ、給水源の水を給水管28aにより洗浄槽20の貯水部21に送出した。この洗浄装置10においては、洗浄プログラムの終了後に実行した洗浄プログラムの洗浄コースをRAMに記憶し、ステップ201にて実行した洗浄槽20内の温度センサ22による検出温度が所定温度として43℃以上であるか否かの判定に代えて、直前に実行した洗浄プログラムが最後の洗浄工程に所定温度(80℃)以上の高温の洗浄水を用いた熱湯消毒工程(洗浄工程)を実行する洗浄プログラムであるか否かを判定し、直前に実行した洗浄プログラムが最後の洗浄工程に所定温度(80℃)以上の高温の洗浄水を用いる熱湯消毒工程(洗浄工程)を実行する洗浄プログラムであれば、給湯弁29bを開放することなく給水弁28bのみを開放させ、給水源の水を給水管28aにより洗浄槽20の貯水部21に送出させてもよい。このようにしたときにも、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
また、同様に、洗浄プログラムの終了後に実行した洗浄プログラムの洗浄コースをRAMに記憶し、ステップ201にて実行した洗浄槽20内の温度センサ22による検出温度が所定温度として43℃以上であるか否かの判定に代えて、直前に実行した洗浄プログラムが最後の洗浄工程に所定温度(80℃)以上の高温の洗浄水を用いた熱湯消毒工程(洗浄工程)を実行する洗浄プログラムであり、この洗浄プログラムが終了してから所定時間として20分経過したか否かを判定し、20分経過していなければ給湯弁29bを開放することなく給水弁28bのみを開放させ、給水源の水を給水管28aを通して洗浄槽20の貯水部21に送出させてもよい。このようにしたときにも、上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
なお、これらの判定は、最後の洗浄工程が熱湯消毒工程であることに限られるものでなく、最後の洗浄工程が高温の洗浄水を用いた洗浄工程、例えば高温の濯ぎ水用の洗浄水を用いた洗浄工程であってもよい。また、最後の洗浄工程の排水処理後に洗浄槽20内をヒータにより加熱して医療用器具等の被洗浄物を乾燥させる乾燥処理を実行したか否か、乾燥処理を実行してから所定時間経過したか否かにより、予洗浄工程の給水を上記のように変更してもよい。
上記の洗浄装置10においては、設置した建物の給湯器30の湯の設定温度は50℃〜60℃程度に設定されていることが多い。給湯器30の湯の温度が50℃〜60℃であれば、本洗浄工程を開始したときにアルカリ洗剤の洗浄力を高く発揮させることができる。しかし、洗浄装置10の設置場所によっては、給湯器30の湯の設定温度が40℃程度またはそれ以下となることがある。この場合には、熱湯供給装置40の熱湯を本洗浄の洗浄水として用いることで本洗浄工程のアルカリ洗剤の洗浄力を高く発揮させることができる。熱湯供給装置の熱湯を本洗浄工程の洗浄水として供給するときの洗浄プログラムを図10に示したフローチャートにより説明する。なお、図10に示したフローチャートでは、主として上述した給湯器30の湯を洗浄水に用いた洗浄プログラムと異なる点について説明する。
ステップ211において、洗浄槽20用の給湯弁29bを開放させるとともに、排水ポンプ31bを間欠的に作動させる。給湯管29a内に残留していた温度の低い湯は給湯器30から送出される湯により洗浄槽20の貯水部21に送出され、間欠的に作動される排水ポンプ31bにより排水される。給湯管29a内に残留する温度の低い湯がなくなる所定時間経過後、制御装置50は、ステップ212Aにおいて、排水ポンプ31bの作動を停止させ、給湯弁29bを閉止させさせるとともに、熱湯タンク41用の給湯弁42aを開放させる。給湯器30から給湯管42を通る湯が熱湯タンク41内に送出され、熱湯タンク41内の熱湯は供給された湯によりオーバーフロー管46から溢出することで貯水部21に供給され、貯水部21の水位が徐々に上昇する。貯水部21の洗浄水がアルカリ洗剤を用いた洗浄で洗浄力を高く発揮させることができる所定の設定温度として65℃以上となるように、制御装置50は、ステップ213において、温度センサ22の検出温度が設定温度である65℃以上であるか否かを判定し、設定温度である65℃より低ければ「NO」と判定してステップ214に進める。制御装置50は、ステップ214において、ヒータ23に通電させて洗浄水を加熱する。次に、制御装置50は、ステップ216において、フロートスイッチ32aによる検出により貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となったか否かを判定する。貯水部21の洗浄水が洗浄水位L1となっていなければ、制御装置50はステップ213に戻す。
貯水部21の洗浄水が給湯中に設定温度である65℃以上になると、制御装置50は、ステップ213において、「YES」と判定してステップ215に進め、ステップ215において、ヒータ23への通電を停止させる。ステップ213〜216の処理を実行させているときに、貯水部21の洗浄水の水位が洗浄水位L1になってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されると、制御装置50は「YES」と判定してステップ217に進める。制御装置50は、ステップ217において、熱湯タンク41用の給湯弁42aを閉止させて熱湯の給湯処理を終了させる。ステップ218以後の処理は上述した洗浄プログラムと同様であるので省略する。
このように、アルカリ洗剤の洗浄プログラムの本洗浄工程で、熱湯供給装置40から熱湯を供給することで、アルカリ洗剤の洗浄力を高くして洗浄することができる。また、本洗浄工程の洗浄処理では洗浄水の温度が設定温度である65℃以上となると洗浄時間の計時を開始しているが、洗浄水に熱湯供給装置40から供給された熱湯を用いたことで、65℃になるまでの時間を短縮でき、洗浄時間を短くすることができた。なお、アルカリ洗剤の洗浄プログラムの本洗浄工程で、熱湯供給装置40から貯水部21に熱湯を供給する制御は、給湯器30の湯の設定温度が低いときに、操作パネル60の各種操作スイッチを操作して切り替えるようにしてもよい。
また、熱湯供給装置40の熱湯を本洗浄工程の洗浄水として用いたときには、熱湯タンク41内の熱湯の温度が低下する。熱湯タンク41内の熱湯が熱湯消毒工程の給湯処理をするときまでに熱湯消毒に適した所定温度として93℃まで上昇できるように、熱湯タンク41内の熱湯の使用量を制限した方が熱湯消毒工程の熱湯の温度の低下を抑えることができ、洗浄時間が長くなるのを防ぐことができる。この実施形態では、8.5Lの熱湯を貯えた熱湯タンク41の1.5Lの熱湯を本洗浄工程で用いても、熱湯タンク41内の熱湯を熱湯消毒工程の給湯処理をするときまでに93℃まで上昇させることができる。
熱湯の使用を制限したときの本洗浄工程の給湯処理のフローチャートを図11に示す。制御装置50は、ステップ211において、洗浄槽20用の給湯弁29bを開放させるとともに、排水ポンプ31bを間欠的に作動させる。給湯管29a内に残留していた温度の低い湯は給湯器30から送出される湯により洗浄槽20の貯水部21に送出され、間欠的に作動される排水ポンプ31bにより排水される。給湯管29a内に残留する温度の低い湯がなくなる所定時間経過後、制御装置50は、ステップ212において、排水ポンプ31bの作動を停止させると、給湯器30から給湯管29aを通る湯が洗浄槽20の貯水部21に貯められ、貯水部21の水位が徐々に上昇する。制御装置50は、ステップ212B−1において、給料流量算出手段により算出された給湯流量から算出した給湯量が4.5Lとなったか否かを判定し、貯水部21の給湯量が4.5Lとなっていなければ「NO」と判定してステップ213に進める。制御装置50は、前述したようにステップ213〜216において、洗浄水位L1となるまで設定温度である65℃より低いとヒータ23に通電させて洗浄水を加熱し、65℃以上となるとヒータ23の通電を停止させる。
貯水部21の給湯中に、貯水部21の給湯量が4.5Lとなると、制御装置50は、ステップ212B−1において「YES」と判定してステップ212B−2に進める。制御装置50は、ステップ212B−2において、温度センサ22による検出温度が所定温度として55℃以上であるか否かを判定する。貯水部21の洗浄水の温度が55℃以上であれば、アルカリ洗剤の洗浄力が低下するおそれがなく、洗浄水に熱湯供給装置40の熱湯を用いる必要がない。この場合には、制御装置50はステップ212B−2において、「YES」と判定してステップ213に進める。
これに対し、貯水部21の洗浄水の温度が55℃より低ければ、制御装置50は、212B−2において「NO」と判定してステップ212B−3に進める。制御装置50は、ステップ212B−3において、洗浄槽20用の給湯弁29bを閉止させるとともに、熱湯タンク41用の給湯弁42aを開放させる。給湯器30から給湯管29aを通って貯水部21に供給される給湯が停止し、給湯器30から給湯管42を通る湯が熱湯タンク41内に送出され、熱湯タンク41内の熱湯は供給された湯によりオーバーフロー管46から溢出することで貯水部21に供給される。このようにして、貯水部21内の洗浄水の温度が所定温度として55℃より低いときには、洗浄水の一部に熱湯供給装置40から熱湯を供給するようにしている。
給湯管29aからの給湯または熱湯供給装置40からの熱湯の供給により、貯水部21の水位が洗浄水位L1となってフロートスイッチ32aからオン信号が入力されると、制御装置50はステップ216において「YES」と判定してステップ217に進める。制御装置50は、ステップ217において、給湯を終了させる。すなわち、給湯器30の湯を給湯管29aから貯水部21に送出しているときには給湯弁29bを閉止させ、熱湯供給装置40の熱湯を貯水部21に送出しているときには給湯弁42aを閉止させる。
このように実施したときにも、上述したアルカリ洗剤の洗浄力を高くする作用効果と、洗浄時間を短くする作用効果を得ることができる。さらに、本洗浄工程の給湯処理の終了後に、熱湯タンク41内に残る熱湯が熱湯消毒工程の給湯処理までに熱湯消毒に適した所定温度として93℃まで上昇させることができるように、本洗浄工程で供給する熱湯の量を制限したので、熱湯消毒工程を実行するまでに、熱湯タンク41内の熱湯の温度が熱湯消毒に適した温度まで上昇させることができ、洗浄時間が長くなるのを防ぐことができる。
上記の洗浄装置10においては、本洗浄工程の洗浄水の設定温度(65℃)は直前の予洗浄工程の洗浄水の設定温度(50℃以下)より高く設定されている。同様に、熱湯消毒工程の洗浄水の設定温度(80〜83℃)は直前のすすぐ洗浄工程の洗浄水の設定温度(約50〜60℃)より高く設定されている。本洗浄工程または熱湯消毒工程において、貯水部21の洗浄水を循環パイプを介して洗浄ノズル24,25に送り、洗浄ノズル24,25から洗浄水を医療用器具に向けて噴射すると、洗浄槽20内の温度が急激に高くなり、洗浄槽20内の圧力も急激に上昇する。洗浄槽20内の圧力が急激に上昇すると、洗浄槽20の空気が排気口20aから勢いよく排出され、洗浄ノズル24,25から噴射された洗浄水が排気口20aから勢いよく排出される排気とともに洗浄装置10の外部に飛び散るおそれがあった。洗浄装置10の外部に高温の洗浄水が飛び散ると、高温の洗浄水が周囲の作業者にかかることや、飛び散った洗浄水により洗浄装置10の周囲が汚れるおそれがあった。
そのために、洗浄ポンプ27を定格出力で作動させて洗浄する前に、本洗浄工程では、洗浄ポンプ制御部51により洗浄ポンプ27の回転数を定格出力(通常運転の最大回転数)から50%に低下させて10秒間作動させ、熱湯消毒工程では、洗浄ポンプ制御部51により洗浄ポンプ27の回転数を定格出力(通常運転の最大回転数)から20%に低下させて20秒間作動させ、次に50%に低下させて40秒間作動させた。これにより、洗浄槽20内の温度が急激に上昇せず、洗浄槽20内の圧力の急激な上昇を抑えることができる。これにより、洗浄プログラムを実行したときに、洗浄槽20の排気口20aから洗浄装置10の外部に高温の洗浄水が飛び散らないようになる。
上記の洗浄装置10の洗浄プログラムにおいては、各洗浄工程の排水処理は図12の400に示すフローチャートに従って実行している。図12に示したように、制御装置50は、ステップ401において、貯水部21から排水する洗浄水が排水に適した温度であるかを判定するために、温度センサ22の検出温度が60℃以上であるか否かを判定する。予洗浄工程、濯ぎ洗浄工程のように、貯水部21の洗浄水の温度が60℃より低いときには、外部の排水経路が洗浄水の熱によって破損するおそれがないので、この場合には制御装置50は、ステップ401において「NO」と判定し、ステップ408において排水ポンプ31bを30秒間作動させて洗浄水を排水する。
これに対し、本洗浄工程、熱湯消毒工程の各洗浄処理を実行した後のように貯水部21の洗浄水が60℃以上の高温であるときには、外部の排水経路が洗浄水の熱によって破損するおそれがある。本洗浄工程、熱湯消毒工程の各洗浄処理直後のように、貯水部21の洗浄水の温度が60℃以上であれば、制御装置50は、ステップ401において「YES」と判定してステップ402〜407にて排水冷却処理を実行する。制御装置50は、ステップ402において、給水弁28bを開放して給水管28aから貯水部21に水を供給する。このとき、給水管28aから洗浄槽20に送出された水はエルボ管28cとガイド28dとを通って洗浄槽20の下部に案内され、洗浄槽20の下部に案内された水は洗浄槽20の下面の貯水部21側への傾斜により貯水部21にゆっくりと流れ落ちていく。貯水部21に流れ落ちた水は熱湯との比重の差により貯水部21の下部に溜まる。これにより、貯水部21の洗浄水は上部の温度が高く下部の温度が低くなる。
制御装置50は、ステップ403において、フロートスイッチ33aによる検出により貯水部21の洗浄水が異常水位L2となったか否かを判定する。貯水部21の洗浄水が異常水位L2となっていなければ、制御装置50はステップ402に戻す。洗浄槽20内の洗浄水が異常水位L2となると、制御装置50は、ステップ403において「YES」と判定し、ステップ404に進める。給水管28aからの給水を継続した状態で、制御装置50は、ステップ404において、排水ポンプ31bを所定時間作動させて、洗浄水位L1から異常水位L2まで追加した水量(2L)と同量の洗浄水を排水させる。なお、排水ポンプ31bの作動時間は追加した水量(2L)に後述する排水流量算出手段により算出した排水流量を除して算出する。このとき、貯水部21から排水管31aを通過する排水は、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水である。また、排水ポンプ31bを作動させている間にも給水管28aからの給水を継続しているので、給水は貯水部21の上部の洗浄水と少しずつ混ざりながら下部に流れていくので、排水管31aには貯水部21の上部の高温の洗浄水が流入しにくくなっている。
排水ポンプ31bを所定時間作動させることで異常水位L2まで追加した水量(2L)を排出させた後で、制御装置50は、ステップ405において、継続している給水により再びフロートスイッチ33aによる検出により貯水部21の洗浄水が異常水位L2となったか否かを判定する。洗浄槽20内の洗浄水が異常水位L2となると、制御装置50は、ステップ405において「YES」と判定し、ステップ406に進める。制御装置は、ステップ406において、給水を継続した状態で排水ポンプ31bを30秒間作動させる。排水ポンプ31bにより排水をしているときにも給水を継続しているので、貯水部21の上部の洗浄水の温度も徐々に低下する。制御装置50は、ステップ264において、給水弁28bを閉止させて冷却のための給水を終了する。このように、洗浄槽20の容量を大きくすることなく継続して4L以上の冷却のための水を供給しているので、残る洗浄水も十分に冷却されている。この排水冷却処理の後、制御装置50は、ステップ408において、排水処理として排水ポンプ31bを30秒間作動させ、貯水部21に残る洗浄水を排水する。
このように、本洗浄工程では65℃以上の洗浄水により洗浄処理をした後、また、熱湯消毒工程(洗浄工程)では80℃以上の熱湯の洗浄水(高温の洗浄水)を用いて洗浄する熱湯消毒洗浄処理をした後で、高温の洗浄水をそのまま排水すると、洗浄装置10を設置した建物の排水経路が洗浄水の熱によって破損するおそれがある。特に、この洗浄装置10の洗浄プログラムでは、最後の熱湯消毒工程の洗浄水に80℃〜83℃の熱湯を用いているため、大量の水を追加しなければ、貯水部21の洗浄水の全部を排水に適した温度まで低下させることができない。この洗浄装置10では、貯水部21の洗浄に適した洗浄水位L1であるときの水量は6Lであり、洗浄槽20に収容した医療用器具が洗浄水に漬からない状態の異常水位L2であるときの水量は8Lであり、追加できる水の量は2Lと限られている。熱湯消毒洗浄処理をしたときの80℃の洗浄水6Lに、冷却のために25℃の水を2Lを追加しても、洗浄水の温度は66℃までしか低下させることができず、この洗浄水を排水すると排水経路の一例として約60℃の耐熱温度の塩化ビニル製の排水管が破損するおそれがあった。これに対応するには、洗浄槽20の容量を大きくして大量の冷却の水を受容できるようにしなければ、洗浄水の温度をさらに低下させることができない。
そこで、この洗浄装置10の洗浄プログラムでは、各洗浄工程で洗浄処理をした後の排水処理をするときに、洗浄水の温度が所定温度として60℃以上であるときに上述した排水冷却処理を実行している。この排水冷却処理は、熱湯消毒洗浄処理後に、給水弁28bを開放して給水管28aから貯水部21に水を供給する。給水管28aから洗浄槽20に送出された水はエルボ管28cとガイド28dとを通って洗浄槽20の下部に案内され、洗浄槽20の下部に案内された水は洗浄槽20の下面の貯水部21側への傾斜により貯水部21にゆっくりと流れ落ちていく。貯水部21に流れ落ちた水は高温の洗浄水と少し混ざるものの、その比重の差により貯水部21の下部に溜まる。これにより、貯水部21の洗浄水は上部の温度が高く下部の温度が低くなる。
フロートスイッチ33aによって異常水位L2を検出することで、追加できる最大量の2Lの水を供給後に、給水を継続しながら排水ポンプ31bを作動させると、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水が排水管31aを通って外部に排出される。また、このとき、給水を継続していることで、貯水部21の上部の温度の高い洗浄水が排水の勢いで排水口21a排出されることなく、継続される給水と少しずつ混ざりながら排出されるので、貯水部21の上部の温度の高い洗浄水が直接、排水管31aを通って外部に排出されない。
排水流量算出手段により算出した排水流量から、冷却のために追加した2Lの水と同量の排水量を排水する排水時間を算出し、排水ポンプ31bをこの排水時間作動させてから停止させ、フロートスイッチ33aにより再び異常水位L2を検出するまで給水を継続する。この給水によっても、貯水部21に流れ落ちた水は高温の洗浄水と少し混ざるものの、その比重の差により貯水部21の下部に溜まる。これにより、貯水部21の洗浄水は上部の温度が高く下部の温度が低くなる。追加できる最大量の2Lの水を供給後に、給水を継続しながら排水ポンプ31bを作動させることで、上述したのと同様に、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水が排水管31aを通って外部に排出され、その後、貯水部21の上部の温度の高い洗浄水が排水の勢いで排水口21a排出されることなく、継続される給水と少しずつ混ざりながら排出される。
このように、洗浄装置10の洗浄プログラムにおいて、各洗浄工程の排水処理にて実行する排水冷却処理は、高温の洗浄水に冷却のために水を追加し、これらを撹拌して全体の温度を低下させたときと比べて、洗浄槽の容量を大きくすることなく、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水から排水し、上部の温度の高い洗浄水を継続した給水とともに少しずつ排水できるので、高温の洗浄水が洗浄装置10を設置した建物の排水経路を熱によって破損するおそれがない。
また、上記の洗浄装置10において、熱湯消毒工程の排水冷却処理を図13の400Aのフローチャートに示すように制御してもよい。なお、図12に示した排水冷却処理と異なる点について以下に説明する。ステップ402による給水により洗浄槽20内の洗浄水が異常水位L2となると、制御装置50は、ステップ403において「YES」と判定し、ステップ404Aに進める。給水管28aからの給水を継続した状態で、制御装置50は、排水ポンプ制御部52により排水ポンプ31bの排出流量を給水管28aからの給水流量と実質的に同量とした状態で、排水ポンプ31bの回転数を定格出力より下げて排水流量を抑えるように排水させる。
排水ポンプ31bの作動により、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水が排水管31aを通って外部に排出される。排水ポンプ31bは継続している給水の流量と実質的に同量となるように制御されているので、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水が排水された後には、貯水部21の上部の温度の高い洗浄水が継続される給水と少しずつ混ざりながら排出され、貯水部21の上部の温度の高い洗浄水が直接、排水管31aを通って外部に排出されない。なお、排水ポンプ31bの排水流量は給水管28aからの給水流量と同じ流量が望ましいが、これに限られるものでなく、貯水部21の洗浄水が少しずつ減少するものであってもよい。この場合には、排水ポンプ31bの排水流量が給水流量より、例えば20%程度まで多くても、貯水部21内の上部の高温の洗浄水が徐々に温度が低くなって排水されるようになる。
制御装置50は、ステップ405Aにおいて、温度センサ22により検出される貯水部21内の洗浄水の温度が50℃以下となったか否かを判定し、50℃以下となっていれば「YES」と判定しステップ406に進める。なお、このステップ405Aにおける貯水部21内の洗浄水の温度の判定に代えて、排水ポンプ31bの作動時間または排水量に基づいて排水ポンプ31bの作動を停止させてもよい。ステップ406〜407の処理は上述した図12に示した排水冷却処理と同様であるので省略する。
このような排水冷却処理を実行したときにも、貯水部21の下部の温度の低い洗浄水から排水し、上部の温度の高い洗浄水を継続した給水とともに少しずつ排水できるので、上述した作用効果と同様に、高温の洗浄水が洗浄装置10を設置した建物の排水経路を熱によって破損するおそれがない。
また、各洗浄工程の排水処理では、洗浄水を用いて洗浄する洗浄処理をした後で、洗浄水の温度が60℃以上であるときに排水処理にて排水冷却処理を実行するようにした。これにより、各洗浄工程では、高温の洗浄水により洗浄したときには、洗浄水を確実に冷却して排水でき、また、高温でない洗浄水により洗浄したときには、無駄に排水冷却処理をしないようにして節水及び省エネルギーとすることができる。
上記のように構成した洗浄装置10においては、本洗浄工程の給湯処理後の洗浄処理を開始するときに、貯水部21の洗浄水が60℃になるようにヒータ23により加熱しながら洗浄ポンプ27を作動させているが、貯水部21の洗浄水が60℃になるまで洗浄ポンプ27を作動させないようにするのが好ましい。このようにしたときには、貯水部21の洗浄水の温度を早く高くすることができる。また、本洗浄工程の洗浄処理を開始して、貯水部21の洗浄水が60℃になるまで洗浄ポンプ27を作動させないようにしたときには、操作パネル60の表示ディスプレイ61に作動中であることを表示させることで、ユーザが故障していないことに気付くことができる。
上記の実施形態においては、被洗浄用器具として医療用器具について説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、食器等の器具を洗浄するものであってもよい。
上記の実施形態においては、洗浄水等の種々の温度(設定温度を含む)等の条件は一例としての記載であり、これらの温度等に限定されるものでない。