以下に、本発明による洗浄機を図面を参照して説明する。本発明による洗浄機10は、主として医療用器具を洗浄するためのものであり、医療用器具(被洗浄物)を収容する洗浄槽20と、この洗浄槽20内に洗浄水を供給する洗浄水供給管28、29と、洗浄槽20内に洗剤を供給する洗剤供給装置39と、洗浄槽20内の洗浄水が所定水位Lであることを検出するフロートスイッチ(水位センサ)37と、洗浄槽20内に収容した医療用器具に洗浄水を噴射する洗浄ノズル24、25と、洗浄槽20内の洗浄水を洗浄ノズル24、25に送出する洗浄ポンプ27と、洗浄槽20内の洗浄水を排出する排水ポンプ34と、洗浄水供給管28、29から洗浄槽20内に所定水位Lの洗浄水を供給する給水処理と、供給された洗浄水に洗剤供給装置39から洗剤を供給してこの洗剤を含んだ洗浄水を洗浄ポンプ27により洗浄ノズル24、25から医療用器具に噴射して洗浄する洗浄処理と、洗浄に用いた洗浄水を排水ポンプ34により排水する排水処理とからなる洗浄工程を実行するよう制御する制御装置40とを備えている。而して、この洗浄機10においては、洗浄水供給管28、29は、給水弁28aを備えた給水管28と給湯弁29aを備えた給湯管29とから構成され、洗浄槽20内に設けられて洗浄水の温度を検出する温度センサ21をさらに備え、制御装置40は、給水処理を実行するときに、給湯管29から洗浄槽20内に所定水位Lの湯を供給するように給湯弁29aを開閉制御し、温度センサ21による検出温度が所定温度として50℃より高いときには、洗浄ポンプ27を駆動させながら温度センサ21による検出温度が50℃以下となるまで給水管28から洗浄槽20内に水を供給するように給水弁28aを開閉制御する第1制御手段を備えたことを特徴とするものである。以下に、この洗浄機10について詳述する。
図1に示すように、この洗浄機10は、箱状のハウジング11内に洗浄槽20を備えており、洗浄槽20の下部には洗浄水を貯えるタンク部20aが一体的に設けられている。洗浄槽20のタンク部20aの底部には、洗浄水の温度を検出する温度センサ21が設けられている。洗浄槽20の前面には医療用器具を収容する図示しないラックを出し入れする扉22が設けられており、扉22は図示しないヒンジにより下端を中心に回転可能に洗浄槽20に支持されている。また、洗浄槽20の上部には、扉22の上部と対向する位置に扉22の開閉状態を検出するドアスイッチ23が設けられており、ドアスイッチ23は扉22が開いた状態でオフとなり、扉22が閉じた状態でオンとなる。
洗浄槽20の上面及び下面には洗浄水を噴射する洗浄ノズル24、25が回転可能に支持されている。これら洗浄ノズル24、25には洗浄槽20の下部に設けられたタンク部20aから導出した循環パイプ26が接続されており、循環パイプ26には洗浄ポンプ27が介装されている。洗浄ノズル24、25は洗浄ポンプ27を作動させることでタンク部20aから循環パイプ26を介して循環供給される洗浄水を回転しながら洗浄槽20内に収容した医療用器具に向けて噴射する。なお、医療用器具に噴射された洗浄水は落下してタンク部20aに還流する。
洗浄槽20の後壁上部には洗浄水を供給するための供給口20bが1つ設けられており、この供給口20bには洗浄水供給管を構成する給水管28と給湯管29とが管状のジョイント部材31を介して接続されている。給水管28は、例えば水道等の給水源から供給される水を給水弁28aを介して洗浄槽20内に供給するものである。給湯管29は、外部に設けた給湯器30から供給される湯を給湯弁29aを介して洗浄槽20内に供給するものである。なお、給湯器30は例えば水道等の給水源から供給される水を加熱して給湯管29に湯として送出するものである。なお、本実施形態においては、給水管28から供給される水の温度は最大30℃を想定し、給湯管29から供給される湯の温度は最大70℃を想定したものである。
ジョイント部材31はゴム製の円管状の継手部材よりなり、前端側が供給口20bに接続され、後端側の下部には給水管28と給湯管29とを接続する流入管部31a、31bが前後方向に並んで一体的に形成されている。ジョイント部材31には、軸線方向に延びて管内を軸線方向と直交する方向で上下2つの通路P1、P2に液密に分ける仕切部31cが一体的に形成されており、仕切部31cは供給口20bから洗浄槽20内に突出する位置まで延出している。仕切部31cにより分けられた各通路P1、P2はそれぞれ流入管部31a、31bに連通されている。給水管28から通路P1に流入した水は通路P2に流入して給湯管29からの湯と混ざることなく供給口20bから洗浄槽20内に送られる。また、給湯管29から通路P2に流入した湯は通路P1に流入して給水管28からの水と混ざることなく供給口20bから洗浄槽20内に送られる。また、ジョイント部材31の仕切部31aは供給口20bから洗浄槽20内に突出する位置まで延出しているので、通路P1またはP2から洗浄槽20内に送出される水または湯が供給口20b近傍から通路P2またはP1に流入することなく洗浄槽20を落下することになる。
また、洗浄槽20の供給口20bの前側には供給口20bから送出される洗浄水を水平方向から下方に案内する案内部材32が設けられている。図2に示すように、この案内部材32は、下面に開口部32aを備えた略箱形状をしており、供給口20bから洗浄槽20内に向けて水平方向に勢いよく放出される湯または水をその前板にあてることで下方のタンク部20aに落下させるものである。なお、案内部材32は、下面に開口部32aを備えた略箱形状のものに限られるものでなく、供給口20bから下方に湾曲させた管状部材を用いても同様の作用効果を得ることができる。
洗浄槽20のタンク部20aには、その底面に形成した排水口20cに排水管33が接続されており、排水管33には排水ポンプ34が介装されている。排水ポンプ34はその作動によりタンク部20aの洗浄水を排水管33を通して機外に排出する。また、タンク部20aの排水口20cの上側には排水補助板35が隙間を開けて設けられている。図3に示すように、排水補助板35は、排水口20cの周囲に表面張力で盛り上がって残る洗浄水を排水口20cに導くものであり、円形の排水口20cの上側に設けられてこれより大きな大きさをした正方形の板部35aと、この板部35aの各角部から下方に延びる脚部35bとからなる。排水補助板35は、排水口20cの周囲に突設した4つの係止突起20dを板部35aの各角部に形成した係止孔部35cに挿入して位置決めされている。この実施形態では、排水口20cの直径は3cmで、排水補助板35は板部35aの一辺の長さが6cmで、脚部35bの長さが7mmとなっている。
また、洗浄槽20のタンク部20aには水位検出タンク36が接続されており、水位検出タンク36内にはフロートスイッチ(水位センサ)37が収容されている。フロートスイッチ37は洗浄槽20のタンク部20aの洗浄水が洗浄に必要な所定水位L以上であること検出するものであり、所定水位L以上となればオンとなり、所定水位Lより低ければオフとなる。本実施形態では、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなったときの水量は5Lとなっている。また、洗浄槽20内にはオーバーフロー管38が設けられており、このオーバーフロー管38は、上記の所定水位Lより高い水位に設定された上限水位以上の洗浄水を排水するものである。なお、本実施形態では、タンク部20aが上限水位となったときの水量は7Lとなっている。
洗浄槽20には、洗剤を供給する洗剤供給装置39が設けられている。洗剤供給装置39は、洗剤を貯えた図示しない洗剤タンクを着脱可能に装着し、洗剤タンク内の洗剤を洗浄槽20内に供給するものである。この洗浄機10ではアルカリ性洗剤またはプロテアーゼ等の酵素を含んだ酵素入り洗剤が用いられ、これら洗剤を貯えた洗剤タンクを交換することでアルカリ性洗剤と酵素入り洗剤を選択的に使用可能となっている。なお、酵素入り洗剤は、プロテアーゼ等の酵素が失活しない温度として50℃以下での使用が適している。
この洗浄機10は制御装置40を備えており、図4に示すように、この制御装置40には温度センサ21、ドアスイッチ23、洗浄ポンプ27、給水弁28a、給湯弁29a、排水ポンプ34、フロートスイッチ37及び洗剤供給装置39が接続されている。制御装置40はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、温度センサ21の検出温度、ドアスイッチ23、フロートスイッチ37からのオンオフ信号及びタイマの計時に基づいて、洗浄ポンプ27、給水弁28a、給湯弁29a、排水ポンプ34及び洗剤供給装置39の作動を制御して下記に示す各洗浄プログラムを実行する。RAMは各洗浄プログラムを実行するのに必要な変数、後述する単位時間当たりの給水流量、給湯流量及び排水流量を一時的に記憶するものであり、ROMは各洗浄プログラムを記憶するものである。制御装置40は、ハウジング11のフロントパネルに設けられた操作パネル41に接続されており、この操作パネル41を操作することでアルカリ性洗剤を用いた洗浄プログラムまたは酵素入り洗剤を用いた洗浄プログラムを選択可能となっている。また、操作パネル41は、洗浄プログラムが終了するまでの残り時間及びエラーを表示する表示部41aを備えている。
また、この洗浄機10の洗浄プログラムは、通常モードでのアルカリ性洗剤コース、給水管28からの単位時間当たりの給水流量と給湯管29からの単位時間当たりの給湯流量を測定しながら洗浄をする測定モードでのアルカリ性洗剤コース、通常モードでの酵素入り洗剤コース、給水管28と給湯管29からの単位時間当たりの各流量及び排水ポンプ34による単位時間当たりの排水流量を測定しながら洗浄をする測定モードでの酵素入り洗剤コースの各洗浄プログラムよりなる。また、各洗浄プログラムは、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程を実行するものであり、これら各洗浄工程は、給水処理、洗浄処理及び排水処理よりなる。また、本実施形態では、制御装置40は、各コースの通常モードの洗浄プログラムを実行しているなかで、10回に1回の割合で各コースの測定モードの洗浄プログラムを実行するように設定されている。
制御装置40は、酵素入り洗剤コースによる洗浄プログラムでの本洗浄工程の給水処理を実行するときに、給湯管29から洗浄槽20内に所定水位Lの湯を供給するように給湯弁29aを開閉制御し、温度センサ21による検出温度が所定温度として50℃より高いときには、洗浄ポンプ27を駆動させながら温度センサ21による検出温度が所定温度として50℃以下となるまで給水管28から洗浄槽20内に水を供給するように給水弁28aを開閉制御する第1制御手段と、アルカリ性洗剤コースによる洗浄プログラムでの本洗浄工程の給水処理を実行するときに、給湯管29から洗浄槽20内に所定水位Lの湯を供給するように給湯弁29aを開閉制御する第2制御手段とを備えている。
制御装置40は、洗浄槽20のタンク部20aが空の状態から給水管28によりタンク部20aに送出される水がフロートスイッチ37により所定水位Lを検出するまでの給水時間からその単位時間当たりの流量を算出してRAMに記憶する給水流量算出手段を備えている。また、制御装置40は、洗浄槽20のタンク部20aが空の状態から給湯管29によりタンク部20aに送出される湯がフロートスイッチ37により所定水位Lを検出するまでの給湯時間からその単位時間当たりの流量を算出してRAMに記憶する給湯流量算出手段を備えている。また、制御装置40は、洗浄槽20のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lであるときに排水ポンプ34を所定時間として10秒間駆動させて排水し、排水後に給湯弁29aを開弁させて再びフロートスイッチ37により所定水位Lを検出するまで給湯管29から湯をタンク部20aに供給したときの給湯時間とRAMに記憶された給湯流量とから排水ポンプ34を所定時間として10秒間駆動させたときの排水量を算出し、算出した排水量から排水ポンプ34による単位時間当たりの排水流量を算出してRAMに記憶する排水流量算出手段を備えている。なお、制御装置40は、排水流量算出手段を実行するときに、給湯管29からの給湯に代えて給水管28からの給水によって排水流量を算出することも可能である。
制御装置40は、各洗浄プログラムが完了するまでの時間を算出して完了するまでの残り時間を表示部41aに表示するように制御している。各洗浄プログラムは、上述したように、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程を実行し、各洗浄工程は、給水(給湯)処理、洗浄処理及び排水処理よりなる。各洗浄工程の給水(給湯)処理に要する時間はフロートスイッチ37により所定水位Lを検出するまでの時間となり、給水管28または給湯管29の流量によって一定となっていない。そこで、制御装置40は、各洗浄工程の給水(給湯)処理に要する時間をRAMに記憶された給水流量及び/または給湯流量から洗浄水の給水(給湯)時間を算出している。また、各洗浄工程の洗浄処理及び排水処理に要する時間は、予め設定された時間となっている。各洗浄工程が完了するまでの時間は、上記のRAMに記憶された給水流量及び/または給湯流量から算出された洗浄水の給水(給湯)時間と予め設定された洗浄処理と排水処理に要する時間とを加算した時間であり、各洗浄プログラムが完了するまでの時間は各洗浄工程に要する時間を加算した時間である。
次に、上記のように構成した洗浄機10の作動を図5〜9に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この説明においては、上述した給水流量算出手段によって算出された給水管28からの単位時間当たりの給水流量(以後、単に、給水流量ともいう)、給湯流量算出手段によって算出された給湯管29からの単位時間当たりの給湯流量(以後、単に、給湯流量ともいう)及び排水流量算出手段によって算出された排水ポンプ34の単位時間当たりの排水流量(以後、単に、排水流量ともいう)がRAMに記憶された状態で説明する。
図5に示すように、ステップ101において、制御装置40は、操作パネル41により設定された洗浄コースがアルカリ性洗剤コースか否かを判定し、アルカリ性洗剤コースに設定されていれば、「YES」と判定してステップ102に進める。ステップ102において、制御装置40は、洗浄回数をカウントする変数n=9、すなわち洗浄プログラムが9回実行されているか否かを判定し、n=9でなければ「NO」と判定して後述するステップ200で規定された通常モードのアルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムを実行する。通常モードでのアルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムが完了すると、制御装置40は、ステップ103において、洗浄回数をカウントする変数nを1つ加算してステップ108に進める。これに対し、洗浄回数をカウントする変数n=9であれば、制御装置40は、ステップ102において、「YES」と判定して後述するステップ300で規定された測定モードでのアルカリ性洗剤コースを実行する。測定モードでのアルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムが完了すると、制御装置40は、ステップ104において、洗浄回数をカウントする変数nを0にクリアしてステップ108に進める。
また、操作パネル41により設定された洗浄コースが酵素入り洗剤コースであるときには、ステップ101において、制御装置40は、「NO」と判定してステップ105に進める。ステップ105において、制御装置40は、変数n=9であるか否かを判定し、n=9でなければ「NO」と判定して後述するステップ400で規定された通常モードの酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムを実行する。通常モードでの酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムが完了すると、制御装置40は、ステップ106において、洗浄回数をカウントする変数nを1つ加算してステップ108に進める。これに対し、変数n=9であれば、制御装置40は、ステップ105において、「YES」と判定して後述するステップ500で規定された測定モードでの酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムを実行する。測定モードでの酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムが完了すると、制御装置40は、ステップ107において、洗浄回数をカウントする変数nを0にクリアしてステップ108に進める。なお、各洗浄プログラムが正常に終了したときには、制御装置40は、操作パネル41の表示部41aに洗浄プログラムが終了するまでの残り時間である「0」を表示させ、各洗浄プログラムが正常に終了していないときには、制御装置40は、表示部41aにエラーを表示させている。
制御装置40は、ステップ108において、扉22が開けられてドアスイッチ23からオフ信号が入力されたか否かの判定を実行する。制御装置40は、ドアスイッチ23からオフ信号が入力されるまで「NO」の判定を繰り返し実行しているなかで、扉22が開けられてドアスイッチ23からオフ信号が入力されると、「YES」と判定してステップ109に進める。制御装置40は、ステップ109において、ステップ200、300、400または500で実行された各洗浄プログラムが正常に終了したか否かを判定し、各洗浄プログラムが正常に終了していれば「YES」と判定し、ステップ110において、電源をオフさせて終了する。このように、各洗浄プログラムが正常に終了していても、扉22を開けるまで電源がオフされないので、扉22が閉まった状態であっても洗浄槽20内の医療用器具が洗浄前か洗浄後であるかすぐにわかる。これに対し、制御装置40は、各洗浄プログラムが正常に終了していなければ「NO」と判定し、電源をオフさせずに操作パネル41の表示部41aにエラーを引き続き表示させる。このように、洗浄プログラムが正常に終了せずにエラーが表示されているときに、エラーの表示に気づかずに扉22を開けて医療用器具を取り出しても、引き続きエラーが表示されるために、その後、エラーの表示を見て洗浄プログラムが正常に終了していないことに気づくことができる。
次に、各モードにおけるアルカリ性洗剤コースと酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。図6に示すように、通常モードでのアルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムでは、制御装置40は、ステップ201において、RAMに記憶された給水流量と給湯流量とを用いて、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程よりなる洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出して操作パネル41の表示部41aに表示する。
次に、制御装置40は、ステップ202〜206による予洗浄工程を実行する。この予洗浄工程では、制御装置40は、ステップ202において、給水弁28aと給湯弁29aとを開弁させる。これにより、給水管28と給湯管29とからの水と湯とが洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、予洗浄工程での給水処理が開始される。このとき、制御装置40は、給水管28からの給水量と給湯管29からの給湯量が等比率(所定の割合)となるように、給水弁28aと給湯弁29aとの作動を制御する。具体的には、制御装置40は、RAMに記憶された給水流量と給湯流量とに基づいて、流量の多い方の給水弁28aまたは給湯弁29aの開弁時間を短くするように制御する。これにより、給水管28からの水が想定された最大の温度である30℃で、給湯管29からの湯が想定された最大の温度である70℃であっても、予洗浄工程の洗浄水の温度は血液やタンパク質が凝固しない温度として50℃以下となる。
次に、制御装置40は、ステップ203において、ステップ202によって実行している給水及び給湯によって洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ203において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ204に進める。制御装置40は、ステップ204において、給水弁28aと給湯弁29aとを閉弁させて給水処理を終了する。
次に、制御装置40は、ステップ205において、予洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ27を1分間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ206において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。このとき、排水補助板35により、排水時におけるエア噛みを防いで排水音を小さくできるとともに、タンク部20aに残る洗浄水を少なくして、以後の本洗浄工程による洗浄水が汚れるのを防ぐことができる。
ステップ202〜206による予洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ221〜226により本洗浄工程を実行する。この本洗浄工程では、制御装置40は、ステップ221において、給湯弁29aを開弁させる。これにより、給湯管29からの湯が洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、本洗浄工程での給湯処理が開始される。制御装置40は、ステップ222において、フロートスイッチ37による検出に基づいて洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ222において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ223に進める。制御装置40は、ステップ223において、給湯弁29aを閉弁させて給湯処理を終了する。
次に、制御装置40は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ224において、洗剤供給装置39により洗浄槽20内にアルカリ性洗剤を供給させ、ステップ225において、洗浄ポンプ27を2分間駆動させる。これにより、タンク部20a内のアルカリ性洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ226において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。このとき、排水補助板35により、タンク部20aに残る洗浄水を少なくでき、以後の濯ぎ洗浄工程による洗浄水が汚れるのを防ぐことができる。
ステップ221〜226による本洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ241〜246により濯ぎ洗浄工程を2回実行する。この濯ぎ洗浄工程では、制御装置40は、ステップ241において、給湯弁29aを開弁させる。これにより、給湯管29からの湯が洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、濯ぎ洗浄工程での給湯処理が開始される。制御装置40は、ステップ242において、フロートスイッチ37による検出に基づいて洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ242において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ243に進める。制御装置40は、ステップ243において、給湯弁29aを閉弁させて給水処理を終了する
次に、制御装置40は、ステップ244において、濯ぎ洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ27を15秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して、洗剤を含んだ洗浄水を洗い落とす。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ245において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。制御装置40は、ステップ246において、濯ぎ洗浄工程を2回実行したか否かを判定し、2回実行していないときには「NO」と判定して、上述したステップ241〜245における処理を実行する。濯ぎ洗浄工程を2回実行したら、制御装置40は、ステップ246において、「YES」と判定して通常モードでのアルカリ性洗剤コースによる洗浄プログラムを終了する。
次に、測定モードでのアルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。この測定モードでは洗浄プログラムを実行しているときに、制御装置40は給水流量算出手段と給湯流量算出手段とにより給水流量と給湯流量とを算出してRAMに記憶する。
図7に示すように、制御装置40は、ステップ301において、RAMに記憶された給水流量と給湯流量とを用いて、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程よりなる洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出して操作パネル41の表示部41aに表示する。
次に、制御装置40は、ステップ302〜307による予洗浄工程を実行する。測定モードでのアルカリ性洗剤コースでは、制御装置40は、予洗浄工程で給水流量算出手段を実行する。そのために、測定モードでは、予洗浄工程での洗浄力が低下するが、予洗浄工程での洗浄水に給水管28からの水のみを用いて洗浄する。詳述すると、この予洗浄工程では、先ず制御装置40は、ステップ302において、給水弁28aを開弁させるとともにタイマによる計時を開始する。これにより、給水管28からの水が洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、予洗浄工程での給水処理が開始される。
制御装置40は、ステップ303において、洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ303において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ304に進める。制御装置40は、ステップ304において、給水弁28aを閉弁させるとともにタイマによる計時を終えて給水処理を終了する。制御装置40は、ステップ305において、計時した給水時間から給水管28による単位時間当たりの給水流量を算出してRAMに新たに記憶する。
次に、制御装置40は、ステップ306において、予洗浄工程での洗浄処理として洗浄ポンプ27を1分間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながら洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ307において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。
ステップ302〜307による予洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ321〜327により本洗浄工程を実行する。測定モードでのアルカリ性洗剤コースでは、制御装置40はこの本洗浄工程で給湯流量算出手段を実行する。詳述すると、この本洗浄工程では、制御装置40は、ステップ321において、給湯弁29aを開弁させるとともにタイマによる計時を開始する。これにより、給湯管29からの湯が洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、本洗浄工程での給湯処理が開始される。制御装置40は、ステップ322において、フロートスイッチ37による検出に基づいて洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ322において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ323に進める。制御装置40は、ステップ323において、給湯弁29aを閉弁させるとともにタイマによる計時を終了する。制御装置40は、ステップ324において、計時した給湯時間から給湯管29による単位時間当たりの給湯流量を算出してRAMに新たに記憶する。
次に、制御装置40は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ325において、洗剤供給装置39により洗浄槽20内にアルカリ性洗剤を供給させ、ステップ326において、洗浄ポンプ27を2分間駆動させる。これにより、タンク部20a内のアルカリ性洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ327において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。
ステップ321〜327による本洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ341〜346により濯ぎ洗浄工程を2回実行して測定モードでのアルカリ性洗剤コースによる洗浄プログラムを終了する。この濯ぎ洗浄工程は、上述したステップ241〜246により説明した通常モードでのアルカリ洗浄コースの洗浄プログラムの濯ぎ洗浄工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
次に、各モードにおける酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムの特徴は、主として本洗浄工程の洗浄水の温度を酵素が失活しない温度して50℃以下となるように制御したものである。先ず、通常モードでの酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムでは、図8に示すように、制御装置40は、ステップ401において、RAMに記憶された給水流量と給湯流量とを用いて、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程よりなる洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出して操作パネル41の表示部41aに表示する。
次に、制御装置40は、ステップ402〜406により予洗浄工程を実行する。この予洗浄工程は、上述したステップ202〜206により説明した通常モードでのアルカリ洗浄コースの洗浄プログラムの予洗浄工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
ステップ402〜406による予洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ421〜432により本洗浄工程を実行する。この本洗浄工程では、制御装置40は、ステップ421において、給湯弁29aを開弁させる。これにより、給湯管29からの湯が洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、本洗浄工程での給湯処理が開始される。制御装置40は、ステップ422において、フロートスイッチ37による検出に基づいて洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ422において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ423に進める。制御装置40は、ステップ423において、給湯弁29aを閉弁させる。
洗剤供給装置39から供給される洗剤に含まれる酵素がタンク部20aの洗浄水によって失活しないように、制御装置40は、ステップ424において、洗浄ポンプ27を駆動させ、ステップ425において、温度センサ21の検出温度が50℃以下であるか否かの判定をする。制御装置40は、このステップ425における判定において、温度センサ21の検出温度が50℃以下であれば「YES」と判定してステップ430に進め、温度センサ21の検出温度が50℃より高ければ「NO」と判定して、ステップ426〜429において、洗剤に含まれる酵素が失活しない温度まで洗浄水の温度を下げるように制御する。詳述すると、制御装置40は、ステップ426において、給水弁28aを開弁させ、タイマによる計時を開始する。これにより、タンク部20a内の洗浄水は、洗浄ノズル24、25から医療用器具に噴射されながら、給水管28からの給水により徐々に温度が低下していく。このように、洗浄ポンプ27を駆動させながら給水管28により給水をすることで、タンク部20a内の洗浄水の温度を均一にして温度センサ21による正確な温度の検出を可能にすることができ、また、洗剤に含まれる酵素が予洗浄処理によって熱を持った医療用器具や洗浄槽20の内壁により失活しないようにしている。
制御装置40は、ステップ427において、温度センサ21による検出温度が50℃以下となっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ427において、温度センサ21による検出温度が50℃以下となるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、給水により温度センサ21による検出温度が50℃以下となると「YES」と判定してステップ428に進める。制御装置40は、ステップ428において、給水弁28aを閉弁させるとともにタイマによる計時を終了する。制御装置40は、ステップ429において、計時した給水時間とRAMに記憶された給水流量とから給水量を算出し、オーバーフロー管38により排水されるまでの水量(本実施形態では上限水位である7Lから所定水位Lである5Lを除した値である2L)を上限として加えた給水量と同量の洗浄水を排水するようにRAMに記憶された排水流量から排水ポンプ34の排水時間を算出し、算出した排水時間だけ排水ポンプ34を駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は、常に所定水位Lとなるように制御され、酵素入り洗剤を加えたときの洗剤の濃度を一定とすることができる。
制御装置40は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ430において、洗剤供給装置39により洗浄槽20内に酵素入り洗剤を供給させ、ステップ431において、洗浄ポンプ27を5分間駆動させる。これにより、タンク部20a内の酵素入り洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。なお、この酵素入り洗剤コースでは、洗剤に含まれる酵素が十分に機能できるように、アルカリ性洗剤コースより長い洗浄時間に設定されている。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ432において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。
ステップ421〜432による本洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ441〜446により濯ぎ洗浄工程を2回実行して通常モードでの酵素入り洗剤コースによる洗浄プログラムを終了する。この濯ぎ洗浄工程は、上述したステップ241〜246により説明した通常モードでのアルカリ性洗浄コースの洗浄プログラムの濯ぎ洗浄工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
次に、測定モードでの酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムについて説明する。この測定モードでは洗浄プログラムを実行しているときに、制御装置40は給水流量算出手段、給湯流量算出手段及び排水流量算出手段により単位時間当たりの給水流量、給湯流量及び排水流量を算出してRAMに記憶する。
図9に示すように、制御装置40は、ステップ501において、RAMに記憶された給水流量と給湯流量とを用いて、予洗浄工程、本洗浄工程及び2回の濯ぎ洗浄工程よりなる洗浄プログラムが完了するまでの残り時間を算出して操作パネル41の表示部41aに表示する。
次に、制御装置40は、ステップ502〜507による予洗浄工程を実行する。測定モードでの酵素入り洗剤コースでは、制御装置40はこの予洗浄工程で給水流量算出手段を実行する。この予洗浄工程は、上述したステップ302〜307により説明した測定モードでのアルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムの予洗浄工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
ステップ502〜507による予洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ521〜538により本洗浄工程を実行する。測定モードでの酵素入り洗剤コースでは、制御装置40はこの本洗浄工程で給湯流量算出手段と排水流量算出手段を実行する。詳述すると、この本洗浄工程では、制御装置40は、ステップ521において、給湯弁29aを開弁させるとともにタイマによる計時を開始する。これにより、給湯管29からの湯が洗浄槽20のタンク部20aに送出されて、本洗浄工程での給湯処理が開始される。制御装置40は、ステップ522において、フロートスイッチ37による検出に基づいて洗浄槽20内のタンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ522において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ523に進める。制御装置40は、ステップ523において、給湯弁29aを閉弁させるとともにタイマによる計時を終了する。制御装置40は、ステップ524において、計時した給湯時間から給湯管29による単位時間当たりの給湯流量を算出してRAMに新たに記憶する。
次に、制御装置40は、ステップ525において、排水ポンプ34を10秒間駆動させる。このステップ525の処理後、制御装置40は、ステップ526において、再び給湯弁29aを開弁させるとともにタイマによる計時を開始する。制御装置40は、ステップ527において、フロートスイッチ37による検出に基づいて洗浄槽20内のタンク部20aが再び所定水位Lとなっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ527において、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、タンク部20aの洗浄水が所定水位Lとなってフロートスイッチ37からオン信号が入力されると「YES」と判定してステップ528に進める。制御装置40は、ステップ528において、給湯弁29aを閉弁させるとともにタイマによる計時を終了する。制御装置40は、ステップ529において、この計時した給湯時間にRAMに記憶された給湯流量を乗じてステップ525で実行した排水量を算出し、この排水量を排水時間の10秒で除することで排水ポンプ34の単位時間当たりの排水流量を算出してRAMに新たに記憶する。
次に、洗剤供給装置39から供給される洗剤に含まれる酵素がタンク部20aの洗浄水によって失活しないように、制御装置40は、ステップ530において、洗浄ポンプ27を駆動させ、ステップ531において、温度センサ21の検出温度が50℃以下であるか否かの判定をする。制御装置40は、このステップ531における判定において、温度センサ21の検出温度が50℃以下であるか否かの判定をし、温度センサ21の検出温度が50℃以下であれば「YES」と判定してステップ536に進め、温度センサ21の検出温度が50℃より高ければ「NO」と判定して、ステップ532〜535において、洗剤に含まれる酵素が失活しない温度まで洗浄水の温度を下げるように制御する。詳述すると、制御装置40は、ステップ532において、給水弁28aを開弁させ、タイマによる計時を開始する。これにより、タンク部20a内の洗浄水は、洗浄ノズル24、25から医療用器具に噴射されながら、給水管28からの給水により徐々に温度が低下していく。このように、洗浄ポンプ27を駆動させながら給水管28により給水をすることで、タンク部20a内の洗浄水の温度を均一にして温度センサ21による正確な温度の検出を可能にすることができる。
制御装置40は、ステップ533において、温度センサ21による検出温度が50℃以下となっているか否かを判定する。制御装置40は、ステップ533において、温度センサ21による検出温度が50℃以下となるまで「NO」と繰り返し判定しているなかで、給水により温度センサ21による検出温度が50℃以下となると「YES」と判定してステップ534に進める。制御装置40は、ステップ534において、給水弁28aを閉弁させるとともにタイマによる計時を終了する。制御装置40は、ステップ535において、計時した給水時間とRAMに記憶された給水流量とから給水量を算出し、オーバーフロー管38により排水されるまでの水量(本実施形態では上限水位である7Lから所定水位Lである5Lを除した値である2L)を上限として加えた給水量と同量の洗浄水を排水するようにRAMに記憶された排水流量から排水ポンプ34の排水時間を算出し、算出した排水時間だけ排水ポンプ34を駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は、常に所定水位Lとなるように制御され、酵素入り洗剤を加えたときの洗剤の濃度を一定とすることができる。
制御装置40は、本洗浄工程での洗浄処理として、ステップ536において、洗剤供給装置39により洗浄槽20内に酵素入り洗剤を供給させ、ステップ537において、洗浄ポンプ27を5分間駆動させる。これにより、タンク部20a内の酵素入り洗剤を含んだ洗浄水は循環パイプ26を介して洗浄ノズル24、25に圧送され、洗浄ノズル24、25は回転しながらこの洗浄水を医療用器具に噴射して洗浄する。なお、この酵素入り洗剤コースでは、洗剤に含まれる酵素が十分に機能できるように、アルカリ性洗剤コースより長い洗浄時間に設定されている。この洗浄処理後、制御装置40は、ステップ538において、排水処理として排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させる。これにより、タンク部20a内の洗浄水は排水管33を通って機外に排出される。
ステップ521〜538による本洗浄工程が完了すると、制御装置40は、ステップ541〜546により濯ぎ洗浄工程を2回実行して測定モードでの酵素入り洗剤コースによる洗浄プログラムを終了する。この濯ぎ洗浄工程は、上述したステップ241〜246により説明した通常モードでのアルカリ性洗浄コースの洗浄プログラムの濯ぎ洗浄工程と同様であるので詳細な説明は省略する。
上記のように構成した洗浄機10においては、制御装置40は、酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムで、本洗浄工程の給水処理を実行するときに、給湯管29から洗浄槽20内に所定水位Lの湯を供給するように給湯弁29aを開閉制御し、温度センサ21による検出温度が所定温度として50℃より高いときには、洗浄ポンプ27を駆動させながら温度センサ21による検出温度が所定温度として50℃以下となるまで給水管28から洗浄槽20内に水を供給するように給水弁28aを開閉制御する第1制御手段を備えている。これにより、洗浄水の温度を酵素が失活しない温度とすることができ、洗剤に含まれる酵素の機能を十分発揮させることができる。また、洗浄ポンプ27を駆動させながら給水管28から給水するようにしているので、温度センサ21は洗浄槽20内の洗浄水の正確な温度を検出することが可能となり、また、洗剤に含まれる酵素が予洗浄処理によって熱を持った医療用器具や洗浄槽20の内壁により失活しないようになる。また、この洗浄機10では、給水管28からの給水と給湯管29からの給湯により、洗浄水の温度を所定温度として50℃以下となるようにしているので、水道からの給水した洗浄水にヒータを用いて加熱したときと比べて洗浄時間を短くすることができる。
また、この洗浄機10においては、制御装置40は、第1制御手段を実行したときに洗浄槽20内に加えられた給水量をその給水時間とRAMに記憶された給水流量とから算出し、算出した給水量と同量の洗浄水を排水するように排水ポンプ34の作動を制御している。これにより、洗剤供給装置39から供給される洗剤の濃度が低くなるのを防ぐことができる。また、制御装置40は、オーバーフロー管38による上限水位と所定水位Lの間の水量を上限として給水量と同量の洗浄水を排水するように排水ポンプ34の作動を制御しているので、洗浄水がオーバーフロー管38から排水されていても排水ポンプ34による排水後の水位を所定水位Lとすることができ、洗浄水が過剰に排水されるのを防ぐことができる。
また、この洗浄機10においては、制御装置40は、酵素入り洗剤コースの洗浄プログラムを実行するときに第1制御手段による給水処理をして、洗浄水の温度を酵素入り洗剤に適した温度にさせ、アルカリ性洗剤コースの洗浄プログラムを実行するときに第2制御手段による給水処理をして、洗浄水の温度を洗浄力の高い温度にさせている。これにより、1台の洗浄機10でこれら各洗剤に対応した洗浄水の温度にすることができ、ユーザが使用する洗剤に応じて洗浄水の温度を使い分けることができる。
本実施形態においては、各洗浄プログラムの各洗浄工程を実行しているときに、排水処理として5Lの洗浄水を排水するために排水ポンプ34を所定時間として30秒間駆動させているが、本発明はこれに限られるものでなく、排水処理としてRAMに記憶された排水流量を用いて所定水位Lとなっている5Lの洗浄水を排水する排水時間を算出し、排水ポンプ34をその算出した排水時間駆動させてもよく、このようにすれば、排水ポンプ34の排水能力に応じて過不足のない排水時間とすることができる。