JP2014095368A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合燃料が用いられるFFV用内燃機関において、内燃機関の運転状態及び混合燃料の燃料特性に応じた制御により、プレイグニッションの発生を抑制する。
【解決手段】この発明が適用される内燃機関は、アルコール燃料と炭化水素系燃料とを含む混合燃料を使用でき、かつ、アルコール濃度が互いに異なる第1燃料と第2燃料とを、任意の割合で混合された燃料が供給されるものである。この内燃機関の機関回転数が基準回転数より大きく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合、第1燃料と第2燃料とのうちアルコール濃度が低い方の燃料のオクタン価が基準値より低い場合には、内燃機関の負荷を現在の負荷よりも低減する。一方、アルコール濃度が低い方の燃料のオクタン価が基準値より高い場合には、アルコール濃度が低い方の燃料の供給割合が、現在の割合よりも高くなるように制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルコールと炭化水素系燃料とが混合された混合燃料を使用可能な内燃機関のための制御装置に関する。
自動車用の内燃機関として、エタノール等のアルコール燃料とガソリン等の炭化水素系燃料が混合した燃料を使用可能なFFV(Flexible Fuel Vehicle)用内燃機関が知られている。炭化水素系燃料とアルコール燃料とでは燃料特性が異なる。このため、例えば、特許文献1では、運転状態に応じて供給する燃料を切り替える技術が提案されている。
具体的に、特許文献1のシステムは、混合燃料中のガソリンとアルコールとを分離する分離器と、アルコールを水素含有改質ガスに改質する改質器とを備える。そして、内燃機関が高速運転状態にある場合には、混合燃料中のガソリンが内燃機関に供給される。内燃機関が低速高負荷状態にある場合には、混合燃料から分離されたアルコールが供給される。内燃機関がアイドリングを含む低速軽負荷状態にある場合には、分離されたアルコールを改質器に通して水素含有改質ガスに改質し、この水素含有改質ガスが内燃機関に供給される。
特公平03−043458号公報 特開2011−169303号公報 特開2007−278298号公報 特開2009−275687号公報 特開2005−139922号公報 特開平03−057878号公報
特許文献1では、ガソリンとアルコールとの吹き分けを行うことが提案されているが、混合燃料のオクタン価が問題とされていない。特許文献1の技術では、高速運転状態のときにはガソリンのみを供給することとしているが、混合燃料中のガソリンのオクタン価が低い場合、プレイグニッション(過早着火)が起きることが考えられる。
また、特許文献1の制御を適用するためには、混合燃料を分離する分離器やアルコールを改質する改質器を必要とする。しかし分離器や改質器等の設置は、システムの縮小化及び低コスト化の観点からは、好ましいものではない。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、混合燃料が用いられるFFV用内燃機関において、内燃機関の運転状態及び混合燃料の燃料特性に応じて適した制御を行うことで、プレイグニッションの発生を抑制するよう改良した内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明に係る内燃機関の制御装置は、アルコール燃料と炭化水素系燃料とを含む混合燃料を使用できる内燃機関の制御装置であって、
第1燃料と、前記第1燃料とは異なるアルコール濃度の第2燃料とを、任意の割合で供給する手段と、
前記内燃機関の機関回転数が基準回転数より大きく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合に、
前記第1燃料と前記第2燃料とのうちアルコール濃度が低い方の燃料のオクタン価が基準値より高い場合には、前記アルコール濃度が低い方の燃料の供給割合が、プレイグニッションの発生が検出又は予見されていない場合の供給割合よりも高くなるように制御する手段と、
を備える。
第2の発明は、第1の発明において、前記内燃機関の機関回転数が基準回転数より大きく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合に、
前記第1燃料と前記第2燃料とのうちアルコール濃度が低い方の燃料のオクタン価が前記基準値より低い場合には、前記内燃機関の負荷を、プレイグニッションの発生が検出又は予見されていない場合の負荷よりも低減する手段を、
更に備える請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記回転数が前記基準回転数より小さく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合に、前記第1燃料と前記第2燃料とのうち、アルコール濃度が高い方の燃料の供給割合が、プレイグニッションの発生が検出又は予見されていない場合の供給割合よりも高くなるように制御する手段を、更に備える。
第1の発明によれば、内燃機関の運転状態が基準回転数より大きい高回転域にある場合に、炭化水素系燃料の濃度が高い燃料のオクタン価が高い場合には、燃料の混合割合を増加させる。これにより、高回転域でのプレイグニッションの発生を抑制することができる。
第2の発明によれば、内燃機関の運転状態が高回転域にある場合に、炭化水素系燃料の濃度が高い燃料のオクタン価が低い場合には、負荷が下げられる。これにより、炭化水素系燃料のオクタン価が低い場合にも、効果的にプレイグニッションの発生を抑制することができる。
第3の発明によれば、内燃機関の運転状態が基準回転数よりも小さい低回転域にある場合、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合には、アルコール濃度の高い燃料の供給割合が高くなるように制御される。アルコール燃料は、炭化水素系燃料に比べ、低回転域においてプレイグニッションを発生させにくい特性を有している。従って、低回転域においては、供給される燃料のアルコール濃度を高めることで、効果的にプレイグニッションの発生を抑制することができる。
本発明の実施の形態におけるシステムの全体構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態において制御装置が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態の制御を行った場合の、運転領域に対する使用燃料の例について説明するための図である。 本発明の実施の形態の制御を行った場合の、運転領域に対する使用燃料の例について説明するための図である。
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。各図において、同一または相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
実施の形態.
図1は、本実施の形態において本発明に係る制御装置が適用される内燃機関の構成を示す図である。本実施の形態に係る内燃機関10は、アルコール(ここではエタノール)と炭化水素系燃料(ここではガソリン)とを混合した燃料を使用できるFFV用内燃機関である。なお、図1では、4つの気筒を有する内燃機関を図示しているが、本発明における内燃機関の気筒数はこれに限られるものではない。
内燃機関10の各気筒の排気ポートには排気マニホールド12が連通され、排気マニホールド12は排気通路14に接続している。排気通路14には触媒16が設置されている。図の簡略化のため、図示を省略するが内燃機関10の吸気ポートには吸気マニホールドが連通し吸気マニホールドは吸気通路に接続している。
内燃機関10は燃料噴射弁用のデリバリパイプ20を備えている。デリバリパイプ20には、各気筒内の吸気ポートに燃料を噴射するための噴射弁22が設置されている。デリバリパイプ20には、第1燃料供給ライン30と第2燃料供給ライン40とが接続されている。
第1燃料供給ライン30は、第1タンク32を有している。第1タンク32には、ガソリンとエタノールとの混合燃料(以下「燃料A」とも称する)が貯蔵される。第1タンク32には燃料供給管34が接続されている。燃料供給管34には、燃料Aをデリバリパイプ20に圧送するためのポンプ36と、第1タンク32からの燃料Aの供給量を調整するための流量調整バルブ38とが設置されている。図示を省略するが、第1タンク32又は燃料供給管34には、燃料Aのエタノール濃度を検出するためのエタノール濃度センサが設置されている。
第2燃料供給ライン40は、第2タンク42を有している。第2タンク42には、ガソリンとエタノールとの混合燃料(以下「燃料B」とも称する)が貯蔵される。第2タンク42には、燃料供給管44が接続されている。燃料供給管44には、燃料Bをデリバリパイプ20に圧送するためのポンプ46と、第2タンク42からの燃料Bの供給量を調整するための流量調整バルブ48とが設置されている。図示を省略するが、第2タンク42又は燃料供給管44には、燃料Bのエタノール濃度を検出するためのエタノール濃度センサが設置されている。
このシステムにおいて、第1タンク32と第2タンク42とは互いに独立している。即ち、第1タンク32と第2タンク42とには、それぞれに成分濃度の異なる混合燃料を給油して、これを貯蔵しておくことができる。デリバリパイプ20に供給される燃料は、燃料A:燃料Bが、0:1〜1:0の任意の割合で混合された燃料となる。燃料の混合割合設定についての詳細な説明は後述する。
このシステムは制御装置としてのECU50を備えている。ECU50は、内燃機関10の運転を制御する制御装置である。ECU50は内燃機関10に設置されたKCS(ノックコントロールシステム)やCPS(筒内圧センサ)、エタノール濃度センサ等を含む各種センサの信号を取り込み処理する。各種センサは内燃機関10及び車両の各所に取り付けられている。ECU50は、取り込んだ各センサの信号を処理して所定の制御プログラムに従って各アクチュエータを操作する。ECU50によって操作されるアクチュエータには、流量調整バルブ38、48のほか、噴射弁22、スロットル弁や点火プラグなども含まれている。ECU50に接続されるアクチュエータやセンサは上記以外にも多数存在するが、本明細書においてはその説明は省略する。
本実施の形態においてECU50により実行される内燃機関10の制御には、所定の条件が成立した場合に、噴射弁22から噴射される混合燃料中の、燃料Aと燃料Bとの混合割合を変更するか、あるいは負荷を低減することでプレイグニッションを抑制する制御が含まれる。以下、燃料Aと燃料Bとの混合割合又は負荷を変更する本実施の形態の制御について説明する。
まず、燃料Aと燃料Bとは互いに成分濃度の異なる燃料であるから、燃料A、Bのエタノール濃度とオクタン価とは互いに異なっている。ここで、エタノールはガソリンに比べてオクタン価が高い。また、特に、エタノールはRON(リサーチオクタン価;Research Octane Number)が高く、MON(モータオクタン価;Motor Octane Number)は低い特性を示す。ここでRONは比較的低回転域でのアンチノック耐性を示す値であり、MONは比較的高回転域でのアンチノック耐性を示す値である。つまり、エタノールは、アンチノック耐性の中でも、特に低回転域におけるアンチノック耐性が高く、低回転域においてプレイグニッションを起こしにくい特性がある。一方、ガソリンはエタノールと比較すると、高回転域側でプレイグニッションを起こしにくい特性を有している。
そこで、本実施の形態では、プレイグニッションが発生した場合、あるいは発生が予見された場合、内燃機関の機関回転数が高回転域か、低回転域のどちらの領域にあるかを判別し、それぞれの回転域に応じた制御を行う。
内燃機関の機関回転数が低回転域にある場合には、現在、噴射している混合燃料よりもエタノール濃度が高くなるようにする。具体的には、プレイグニッションが発生しない状態となるまで、燃料Aと燃料Bとのうち、エタノール濃度が高い方の燃料の混合割合を、段階的に高くする。つまり、プレイグニッションの発生が検出又は予見される状態が続く間、燃料A、Bのうちエタノール濃度の高い方の燃料の混合割合を一定割合ずつ増加させ、他方の燃料の混合割合をその分減少させるように、混合割合を変更していく。上記したようにエタノールは、低回転域でプレイグニッションを起こしにくい。従って、燃料のエタノール濃度の増加によって低回転域側でのプレイグニッションが抑制される。
一方、内燃機関の機関回転数が高回転域側にある場合、プレイグニッション抑制のためには、燃料中のガソリンの濃度を高めることが効果的である。但し、燃料A、Bのガソリンのオクタン価が低い場合、ガソリンの濃度を高めてもプレイグニッションの抑制ができない。そこで、プレイグニッション発生が検出又は予見された場合に、機関回転数が高回転域にあるときには、まず、燃料Aと燃料Bのうち、ガソリン濃度が高い方(つまり、エタノール濃度が低い方)の燃料のRONが、基準値より高いか否かを判定する。
ガソリン濃度が高い方の燃料のRONが基準値より高い場合には、現在、噴射している混合燃料よりもガソリン濃度が高くなるようにする。具体的には、プレイグニッションが発生しない状態となるまで、燃料Aと燃料Bとのうちガソリン濃度が高い燃料の混合割合を段階的に高くする。つまり、低回転域の場合と同じように、プレイグニッションの発生が検出又は予見される状態が続く間、燃料A、Bのうち、ガソリン濃度が高い方の燃料の混合割合を一定割合ずつ増加させ、他方の燃料の混合割合を一定割合ずつ段階的に減少させ、混合割合を変更する。これにより高回転域側でのプレイグニッションが抑制される。
一方、ガソリン濃度が高い方の燃料のRONが基準値よりも低い場合には、プレイグニッション発生の防止のため、内燃機関10に係る負荷を現在よりも小さな負荷にする制御を実行する。ここで、負荷は段階的に小さくなるようにする。つまり、エタノール濃度変更の場合と同様に、プレイグニッション発生が検出又は予見される状態が続く間、一定量ずつ段階的に負荷が引き下げられる。
なお、上記の制御において、現在の内燃機関10の運転状態が、高回転域か低回転域かは、機関回転数が基準回転数より大きいか否かにより判断される。ここで基準回転数は、例えば、エタノールを用いた場合にプレイグニッションが発生しやすくなる回転領域の下限値付近の値に設定することが好ましい。この値は、内燃機関ごとに適宜設定される。また例えば、給油ごとに燃料A、Bの濃度を検出し、それに応じて、基準回転数を設定するものとしてもよい。設定された基準回転数は、ECU50に接続された記憶部に記憶しておく。
また、高回転域側で、負荷を下げるか否かの判断の基準となる基準値は、高回転域でプレイグニッションの発生を抑制できるRONの下限値を求め、この下限値付近に設定することが好ましい。この値は、内燃機関ごとに適宜設定される。また、例えば、給油ごとに燃料A,Bの濃度やオクタン価を検出し、それに応じて設定するものとしてもよい。設定された基準値は、ECU50に接続された記憶部に記憶しておく。
図2は、本発明において実施の形態において制御装置としてのECU50が実行する制御のルーチンについて説明するためのフローチャートである。図2のルーチンは内燃機関10の運転中、一定期間ごとに繰り返し実行されるルーチンである。図2のルーチンでは、まず、プレイグニッションの発生が検出又は予見されたか否かが判別される(S102)。プレイグニッションの発生は、KCSの信号等に基づき検出又は予見される。プレイグニッションの発生が検出又は予見されない場合、今回のルーチンは一旦終了する。
一方、ステップS102においてプレイグニッションの発生が検出又は予見された場合、次に、第1タンク32と第2タンク42との両方から燃料が供給可能な、バイフューエル状態であるか否かが判別される(S104)。第1タンク32と第2タンク42との両方から燃料が供給可能な状態でない場合には、今回のルーチンは終了する。
一方、ステップS104において、第1タンク32と第2タンク42との両方からの燃料が供給可能な状態であることが認められると、次に、現在の内燃機関10の回転数が、基準回転数(ここでは、例えば2800rpm)より大きいか否かが判別される(S106)。
ステップS106において、回転数が基準回転数より大きいことが認められない場合、次に、燃料Aのエタノール濃度と燃料Bのエタノール濃度とが比較される(S108)。ここで燃料A、Bのエタノール濃度は、第1、第2タンク32、42のそれぞれに設置されたエタノール濃度センサ(図示せず)の出力に応じて検出される。
ステップS108における比較の結果、燃料Aのエタノール濃度が、燃料Bのエタノール濃度よりも高い場合、燃料Aの混合割合が一定割合、引き上げられる(S110)。具体的には、第1タンク32からの燃料供給量が所定量増加するように、流量調整バルブ38の開度が制御される。一方、第2タンク42からの燃料供給量が所定量減少するように、流量調整バルブ48の開度が制御される。その後、今回の処理は一旦終了する。
一方、ステップS108における比較の結果、燃料Aのエタノール濃度が、燃料Bのエタノールの濃度より高いことが認められない場合、燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度が同じであるか否かが判別される(S112)。燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度が同じと判別された場合には、今回の処理はこのまま終了する。
ステップS112において燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度が同じであることが認められない場合、燃料Bのエタノール濃度の方が、燃料Aのエタノール濃度よりも高いと判断できる。この場合、燃料Bの混合割合が一定割合、引き上げられる(S114)。具体的には、第1タンク32から燃料供給量を所定量減少するように、流量調整バルブ38の開度が制御される。一方、第2タンク42からの燃料供給量が所定量増加するように、流量調整バルブ48が制御される。その後、今回の処理は一旦終了する。
なお、ステップS110又はS114の処理後、今回のルーチンが終了した後、再び、このルーチンが繰り返され、プレイグニッションの発生が検出又は予見される状態かつ、低回転域の運転状態が継続されている場合には、再びS110又は、S112の処理により、混合割合が変更されることとなる。
ステップS106において、回転数が基準回転数より大きいことが認められた場合、次に、燃料Aのエタノール濃度と燃料Bのエタノール濃度とが比較される(S116)。ステップS116において、燃料Aのエタノール濃度が、燃料Bのエタノール濃度よりも高いことが認められると、次に、燃料Bのオクタン価RON_Bが、基準値以下であるか否かが判別される(S120)。ここで基準値は予め記憶された値である。この判別は、プレイグニッション発生前のKCSの学習値等に基づいて実行される。
ステップS120において燃料Bのオクタン価RON_Bが基準値以下であることが認められると負荷が下げられる(S122)。ここでは、現在の負荷に対し、一定量、負荷が小さくされる。その後、今回の処理が終了する。
一方、ステップS120において、燃料Bのオクタン価RON_Bが基準値以下であることが認められない場合、次に、燃料Bの混合割合が一定割合、引き上げられる(S124)。具体的には、第1タンク32からの燃料供給量を所定量減少するように、流量調整バルブ38の開度が制御される。一方、第2タンク42からの燃料供給量が所定量増加するように、流量調整バルブ48が制御される。その後、今回の処理は一旦終了する。
また、ステップS116において、第1タンクのエタノール濃度が、第2タンク42のエタノール濃度より高いことが認められない場合、次に、燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度が同一であるか否かが判別される(S126)。燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度が同一である場合、次に、ステップS122に進み、負荷が引き下げられる。その後、今回の処理が終了する。
一方、ステップS126において、燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度が異なることが認められる場合、エタノール濃度は燃料Bの方が高く、従ってガソリン濃度は、燃料Aの方が高いと判断できる。この場合、次に、燃料Aのオクタン価RON_Aが、基準値以下であるか否かが判別される(S128)。基準値は、上記同様、予め記憶された値である。この判別は、プレイグニッション発生前のKCSの学習値等に基づいて実行される。
ステップS128において、燃料Aのオクタン価RON_Aが、基準値以下であることが認められた場合、ステップS122に進み、負荷が引き下げられる。これによりプレイグニッションの発生が抑制される。その後、今回の処理は終了する。
一方、ステップS128において、燃料Aのオクタン価RON_Aが基準値以下であることが認められない場合、次に、ステップS110に進み、燃料Aの混合割合が一定割合、引き上げられる(S110)。具体的には、第1タンク32からの燃料供給量を所定量増加するように、流量調整バルブ38の開度が制御される。一方、第2タンク42からの燃料供給量が所定量減少するように、流量調整バルブ48が制御される。その後、今回の処理は一旦終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、低回転域においてプレイグニッションの発生が予測される場合には、エタノールの濃度が高い燃料を増量させることによりプレイグニッションが抑制される。一方、低回転域においてプレイグニッションの発生が予測される場合、ガソリン濃度が高い燃料を増量させるか、あるいは、ガソリン燃料のRONが低い場合には、負荷を低減することで、プレイグニッションの発生が抑制される。このように運転状態に合わせて、2つの異なる濃度、オクタン価の燃料を効果的に使い分け、必要に応じて負荷を低減することで、効果的にプレイグニッションの発生を抑制することができる。
なお、上記の実施の形態においては、気筒ごとにポート噴射弁が1つずつ設置されている構成について説明した。しかし、本発明の噴射弁の設置位置はこれに限られるものではない。例えば、噴射弁は、各気筒内に直接設置される筒内噴射弁であってもよい。
また、本実施の形態では、第1、第2燃料供給ライン30、40が同一の噴射弁のデリバリパイプ20に接続される構成について説明した。しかし本発明の構成はこれに限られるものではない。例えば、気筒ごとに、筒内噴射弁とポート噴射弁の2つの噴射弁を有し、第1燃料供給ライン30、第2燃料供給ライン40が、互いに異なる噴射弁に、デリバリパイプ等を介するなどして接続されるものであってもよい。このような構成の場合、例えば、筒内噴射弁とポート噴射弁との燃料噴射率を、上記のように設定される燃料A、燃料Bの混合割合に応じて制御することで、運転状態に合わせた適正な濃度の混合燃料を供給することができる。また、2つの燃料噴射弁を有する場合にも、噴射弁が設置される位置は、気筒内と吸気ポートとに限られず、適宜他の位置に設置することができる。
また、本実施の形態では、プレイグニッションの発生が予測される場合の制御として、燃料Aと燃料Bの混合割合を、現在の供給割合から一定の割合ずつ段階的に変化させる制御について説明した。しかし、本発明において混合割合の制御は、これに限られるものではない。例えば、プレイグニッションの発生が検出又は予見され、かつ、機関回転数が低回転域にある場合に、アルコール濃度が高い燃料の混合割合が、同じ低回転域でプレイグニッションの発生が検出又は予見されていないときに設定される混合割合よりも、高くなるように変化させるものであってもよい。同様に、プレイグニッションの発生が検出又は予見され、かつ、機関回転数が高回転域にある場合に、燃料A、Bのうちアルコール濃度が低い燃料の混合割合が、同じ高回転域でプレイグニッションの発生が検出又は予見されていない時に設定される混合割合よりも、高くなるように変化させるようにしてもよい。
また、例えば、燃料A,燃料Bの混合割合を、それぞれの運転状態に応じて予め設定された所定の割合に制御するものとしてもよい。具体的には、例えば機関回転数が低回転域にある場合には、アルコール濃度が高い燃料の混合割合が、予め設定された所定の混合割合より低い場合に、設定された混合割合まで上昇するように変化させる。また、機関回転数が高回転域にある場合、かつアルコール濃度が低い燃料のオクタン価が基準値より高い場合に、アルコール濃度が低い燃料の混合割合が予め設定された所定の混合割合よりも低ければ、設定された所定の混合割合まで上昇させるように変化させる。
また、例えばこのような制御において、予め設定する混合割合は固定値とせず、燃料Aと燃料Bとのエタノール濃度を検出し、これに応じて、目標とする混合割合を設定し、この混合割合に変化させるものとしてもよい。また、例えば、プレイグニッションの発生が予測され、混合割合を変化させる場合に、燃料A、Bの一方の供給を停止して他方の燃料のみを供給する、混合割合が1:0(又は0:1)の状態とするものであってもよい。
また、本実施の形態では、第1タンク32、第2タンク42に、ともにエタノール濃度が不明の燃料A、Bが供給される場合について説明した。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、第1タンク32、第2タンク42の少なくとも一方を、ガソリン等の炭化水素系の燃料とし、一方をアルコール燃料としてもよい。また、いずれか一方を炭化水素系燃料とし、一方を、炭化水素系燃料とアルコール燃料との混合燃料としてもよい。
図3、図4は、本実施の形態において、一方のタンクにガソリンが、他方のタンクにエタノールが貯蔵され、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見されて燃料の混合割合を変更する場合には、その割合を1:0(又は0:1)とする制御を行う場合の、燃料の供給例を説明するための図である。
具体的に、図3の例では、第1タンク32内の燃料Aはガソリンであり、RONは95である。一方、第2タンク42内の燃料Bは濃度85%のエタノールである。また、高回転域で負荷を下げるか否かの基準値となるRONは92に設定されている。図3に示される例では、プレイグニッションの発生が検出又は予見される場合に、低回転域では、燃料Bのエタノールのみが使用され、燃料Aのガソリンの供給が停止される。一方、高回転域において、プレイグニッションの発生が検出又は予見される場合、燃料Aのオクタン価が95であるから、燃料Bのエタノールの供給を停止し、燃料Aのガソリンのみを供給する制御が行われる。
また、図4の例では、第1タンク32内の燃料Aはガソリンであり、RONは90である。第2タンク42内の燃料Bは濃度85%のエタノールである。また、負荷を下げるか否かの基準値となるRONは92に設定されている。図4に示される例では、プレイグニッションの発生が検出又は予見される場合に、低回転域では、燃料Bのエタノールのみが使用され、ガソリンの供給は停止される。一方、第1タンク32内のガソリンのRONは90である。従って、高回転域においてプレイグニッションの発生が検出又は予見された場合には、燃料の混合割合を変化させる制御を行わず、負荷を下げる制御が実行される。
なお、図3、図4の例では、第1タンク32、第2タンク42それぞれに、ガソリン、エタノールが供給される場合について説明した。このように第1タンク32、第2タンク42内に給油される燃料の種類が決められている場合には、図2のS108、S112又はS116、S126の燃料A、燃料Bのアルコール濃度の判別処理は不要である。しかし、炭化水素系の燃料、アルコール燃料を、どちらのタンクに入れるかが決められていないものとし、S108又はS116の判別処理を行うものとしてもよい。
また、本実施の形態では、高速時に、燃料のRONが低い場合に、負荷を現在の負荷から段階的に下げる制御を行う場合について説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、負荷が、高回転域において、プレイグニッションが発生していない場合に設定される負荷よりも低くなるように制御するものとしてもよい。ここで例えば、負荷は、予め設定された所定の負荷に下げるように制御するものであってもよい。
また、本実施の形態では、KCSによりプレイグニッションの発生を検出又は予見する場合について説明した。しかし、本発明において、プレイグニッションの発生の検出又は予見は、KCSによるものに限らず、筒内圧センサの出力に基づく筒内圧の変化に応じて検出するものや、イオン電流プローブによりイオン電流を検出し、この検出に基づいてプレイグニッションの検出又は予見を行うものなど、他の手法によりプレイグニッションを検出するものとしてもよい。
また、本実施の形態では、高回転域にある場合に、ガソリン濃度の高い燃料のRONに基づいて、燃料の混合割合を変更するか、負荷を引き下げるかを判断する場合について説明した。しかし、本発明において、混合割合を変更するか負荷を引き下げるかの判断は、RONに基づくものに限られず、MON等、他の手法により検出又は推定されたオクタン価や、あるいはオクタン価と相関を有するパラメータに基づくものであってもよい。
その他についても、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造やステップ等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
10 内燃機関
12 排気マニホールド
14 排気通路
16 触媒
20 デリバリパイプ
22 噴射弁
30 第1燃料供給ライン
32 第1タンク
34 燃料供給管
36 ポンプ
38 流量調整バルブ
40 第2燃料供給ライン
42 第2タンク
44 燃料供給管
46 ポンプ
48 流量調整バルブ

Claims (3)

  1. アルコール燃料と炭化水素系燃料とを含む混合燃料を使用できる内燃機関の制御装置であって、
    第1燃料と、前記第1燃料とは異なるアルコール濃度の第2燃料とを、任意の割合で供給する手段と、
    前記内燃機関の機関回転数が基準回転数より大きく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合に、
    前記第1燃料と前記第2燃料とのうちアルコール濃度が低い方の燃料のオクタン価が基準値より高い場合には、前記アルコール濃度が低い方の燃料の供給割合が、プレイグニッションの発生が検出又は予見されていない場合の供給割合よりも高くなるように制御する手段と、
    を備える内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関の機関回転数が基準回転数より大きく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合に、
    前記第1燃料と前記第2燃料とのうちアルコール濃度が低い方の燃料のオクタン価が前記基準値より低い場合には、前記内燃機関の負荷を、プレイグニッションの発生が検出又は予見されていない場合の負荷よりも低減する手段を、
    更に備える請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記回転数が前記基準回転数より小さく、かつ、プレイグニッションの発生が検出又は予見された場合に、前記第1燃料と前記第2燃料とのうち、アルコール濃度が高い方の燃料の供給割合が、プレイグニッションの発生が検出又は予見されていない場合の供給割合よりも高くなるように制御する手段を、
    更に備える請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
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