JP2014094285A - 形状安定乳房インプラントサイザーおよびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】乳房インプラント用のインプラント可能なサイザーを提供する。
【解決手段】乳房インプラント用のインプラント可能なサイザーは、前方から見たとき、円形、又は、長軸を水平方向に短軸を垂直方向に向けた楕円形の輪郭を有する。この輪郭は、平坦な後方壁と球形の隆起を有する前方壁とによって形成されている。球形の隆起は、下方にずれて薄い上部と該薄い上部よりも厚い下部を形成している。後方壁は、前方壁の周縁に沿って連続的に且つ該周縁から内方に向けて突出する周囲のリムと、リムに囲まれた開口を有する。前方壁は該前方壁の背後に中空の空間を形成している。中空の空間は後方壁の前記開口に連通している。
【選択図】図3B
【解決手段】乳房インプラント用のインプラント可能なサイザーは、前方から見たとき、円形、又は、長軸を水平方向に短軸を垂直方向に向けた楕円形の輪郭を有する。この輪郭は、平坦な後方壁と球形の隆起を有する前方壁とによって形成されている。球形の隆起は、下方にずれて薄い上部と該薄い上部よりも厚い下部を形成している。後方壁は、前方壁の周縁に沿って連続的に且つ該周縁から内方に向けて突出する周囲のリムと、リムに囲まれた開口を有する。前方壁は該前方壁の背後に中空の空間を形成している。中空の空間は後方壁の前記開口に連通している。
【選択図】図3B
Description
[関連出願]
本出願は、2007年12月10日に提出された米国特許仮出願第61/012,654号および2008年11月20日に提出された米国特許出願第12/275,111号に基づき優先権を主張し、その出願全体が参照によって本明細書内に組み込まれる。
本出願は、2007年12月10日に提出された米国特許仮出願第61/012,654号および2008年11月20日に提出された米国特許出願第12/275,111号に基づき優先権を主張し、その出願全体が参照によって本明細書内に組み込まれる。
本発明は、乳房インプラント用のサイザー、特に圧縮性が高く、使い捨てできる乳房インプラントサイザーに関する。
埋め込み型プロテーゼは、体内組織を代替または増大させるために一般的に使用される。乳癌の際には、乳腺の一部または全体を除去しなくてはならない場合があり、くぼみとなるその周囲の組織に埋め込み型プロテーゼを埋め込むことが必要である。インプラントは、周囲の組織を支持し、身体の外観を維持するために用いられる。乳房再建手術以外にも、豊胸手術においても乳房内に柔らかいインプラントを入れ、その際組織拡張器または解剖器具を用いてくぼみまたは空洞部の作成、もしくは拡張が事前に行われることもある。これらの手術において、インプラントは患者の乳房内の空洞部に配置される。
ソフトインプラントは通常、比較的薄くかつ非常に柔軟であり、加硫(硬化)シリコンエラストマーからなる外皮またはシェルを含む。シェルは、シリコンジェルまたは生理食塩水のいずれかで満たされている。シェルの充填は、切開部からシェルが挿入される前、または後に行われる。
大きさおよび形状の観点から特定の乳房インプラントを選択するには、外科医の提言と一部には患者の希望を合わせて選択が行われる。しかし医師は、インプラントの大きさおよび形状、切開の位置、ポケット切開、インプラント配置基準について、患者の骨格ならびに希望する外観上の結果を考慮して慎重に判断しなくてはならない。適切なインプラントを決めるために利用可能な道具の1つが、一時的に埋め込み可能であるサイザーである。サイザーは、実際に外科的切開により挿入され、患者の乳房内の空洞部に一時的に配置される。インプラントサイザーにより、医師は同様の大きさおよび形状のインプラントの審美的結果を実際に確認することができ、またインプラントが配置される空洞部の大きさを判断するためにもこれは有用である。このようなサイザーは、一定の容積まで予め充填してあるか、体内で調整されることが可能である。
インプラントサイザーの一種は、生理食塩水で膨らませて調節される。インプラント空洞部またはポケットが作成されると、外科医は膨張していないサイザーをインプラントポケットに配置し、患者が直立姿勢(胸部が完全に直立)になるよう手術台の上半分を上昇させる。次に胸部が不自然でない程度に厚くなってくる程度にまで、サイザーが徐々に膨らまされる。このようにして、豊かでありながら自然な胸部の形を形成する容積が決定される。しかし、この工程は時間がかかり不正確であり、容積が細かく調整可能である生理食塩水が充填されるインプラントに最も適している。この膨張可能であるサイザーは、特定のインプラントに対応するように予め充填されてはいないが、その大きさおよび形状は可変である。
別の種類のインプラントサイザーは、ジェルを充填したインプラントと類似の方法で構成されており、柔らかい外側シリコンシェルを有し、中空の内部にシリコンジェルが充填されている。予め充填されていることによりこのサイザーの膨張は、調節式のものより大幅に早くなる。このような予め充填されているインプラントサイザーにより、外科医は類似のインプラントが埋め込まれた後の見た目および感触を確認することができるが、短所もある。まず、ジェルが充填されるインプラントサイザーは柔らかく、柔軟性があるが、比較的圧縮性がなく、そのため実際に埋め込む際に小さい切開部を通すことが困難になる。次に、ジェルが充填されるインプラントと同様に、形の相対的欠如、またはいうなればスポンジのような状態により、インプラントサイザーを適切な方向へ操作すること、また空洞部内への挿入後の位置決めが妨げられてしまう可能性がある。また、このようなインプラントサイザーを作成する費用も比較的高く、製造業者は赤字で販売せざるを得なくなる。最後に、ジェルが充填されるインプラントは、再利用することが意図されるため、次の使用時まで加圧滅菌器において入念に滅菌処理されなくてはならない。これは時間がかかるだけでなく、洗浄および滅菌処理が製造業者の推奨通り行われなかった場合には、感染源、ならびに患者間の二次感染を発生させる可能性ともなり得る。
したがって、既存のインプラントサイザーの短所を克服するインプラントサイザーが必要とされる。
本発明は、既存の挿入型の乳房インプラントサイザーにおける多数の問題を、変形され、乳房組織内に形成された空洞部内へ挿入された後にその形状を再び取り戻す予形成サイザーにより解決する。インプラントサイザーは、使い捨てであり、医療用発泡材またはエラストマーのような費用効率の高い材料からなることが望ましい。発泡体またはエラストマー材料は、極めて小型な納品形態に圧縮または折り畳まれ、その後、周囲の乳房組織による抑圧に反して弾性的に膨張し元の形状に戻ることが可能である。
本発明の一態様では、乳房インプラント手術におけるインプラントの所望の大きさおよび形状を診断する方法は、始めに乳房組織内の空洞部へ至る切開部を形成して患者の乳房インプラント手術の準備をすることを含む。高圧縮性材料からなる予形成されたインプラントサイザーが設けられ、インプラントサイザーは、対応するインプラントと概ね同じ大きさで非圧縮容積を有する弛緩サイズから、非圧縮容積より小さい挿入容積を有する挿入サイズへ圧縮されることが可能である。外科医は、インプラントサイザーをその弛緩サイズから挿入サイズまで圧縮し、切開部から空洞部へ挿入し、その中で拡張させる。この方法は、インプラントサイザーが挿入された乳房の外見的特徴を観察し、切開部を閉じる前にインプラントサイザーを除去することを含む。
この方法は、インプラントサイザーを非圧縮容積の約80%未満、または約50%未満の挿入容積を有する挿入サイズに圧縮することを含むことが可能である。前記圧縮するステップは、インプラントサイザーを折り畳むことを含み、インプラントサイザーは少なくとも1つの中空部をその後部側に有し、該中空部はインプラントサイザーを折り畳むための折り畳み用凹部を提供する。あるいは、前記圧縮するステップは、インプラントサイザーを細長い形状に巻くことを含む。
別の方法では、まず上述の通りに患者の準備をすることを含む。前方の連続壁部と後方の中空空間とを含む別の予形成された折り畳み式インプラントサイザーが設けられ、これによりインプラントサイザーは対応するインプラントと概ね同じ大きさで折り畳まれていない容積を有する弛緩サイズから、折り畳まれていない容積より小さい挿入容積を有する挿入サイズに折り畳まれることが可能になる。外科医は、インプラントサイザーをその弛緩サイズから挿入サイズに折り畳み、切開部から空洞部へ挿入し、その中で拡張させる。そしてここでも、インプラントサイザーを除去し切開部を閉じる前に、インプラントサイザーが入った乳房の外見的特徴が観察される。折り畳み式成形体は、高圧縮性の材料からなり、好適には少なくともその一部は発泡体である。
本発明の別の態様は、非圧縮実容積の80%未満、場合によっては50%未満まで圧縮可能である高圧縮性材料からなる予形成された非中空構造を備える挿入型乳房インプラントサイザーである。サイザーは、長期間のインプラントには適していない材料からなることが可能である。一実施形態では、高圧縮性材料は、セルフスキニングフォームのような外皮を有する内核を備える。
本発明のさらに別の態様は、予形成され前方の連続壁部と後方の中空空間とを含む折り畳み式成形体を備える挿入型乳房インプラントサイザーである。望ましくは、折り畳み式成形体は高圧縮性材料からなり、少なくともその一部は発泡体である。折り畳み式成形体は、折り畳みを容易にするため折り畳み方向を定める折り畳み用凹部を含むことが可能である。
本発明は、挿入型の乳房インプラントサイザーのセットにも関しており、これは販売用の少なくとも2つの異なる大きさまたは形状を有する予形成された折り畳み式インプラントサイザーを備える。サイザーは、対応するインプラントと概ね同じ大きさで弛緩容積を有する弛緩サイズから、弛緩容積より小さい挿入容積を有する挿入サイズへ折り畳まれることが可能である。このセットにおける各インプラントサイザーは好適には高圧縮性材料からなる。一実施形態では、このセットは1つの基部と複数の異なる大きさの輪郭部とを含み、輪郭部はそれぞれサイザー全体を形成するため基部と連結する。2つの構成部品にそれぞれ一体的に形成され、妨げとならないハンドル部が接続および分離を容易にする。このようなハンドル部は、挿入、位置決め、ならびにポケットからの除去を容易にするために、本明細書において説明するサイザーの実施形態のいずれにおいても使用可能である。
本発明の特徴および長所は、明細書、請求項および添付の図面を参照することによって、より明確に理解できることとなる。
本発明は、乳房組織内の空洞部への挿入がより簡単であり、比較的低コストであるため一回の使用後に使い捨てできる改良された乳房インプラントサイザーを提供する。挿入型サイザーは、乳房組織内に、すなわち外部サイザーとは対照的に内部に挿入されるよう設計されたサイザーである。本発明の乳房インプラントサイザーは、従来のインプラントサイザーとは対照的に圧縮可能または折り畳み可能である。圧縮可能とは、サイザーの容積を外圧により減少させることが可能であるということである。従来の予充填式乳房インプラントサイザーはジェルが充填された袋からなり、これは変形は可能であったものの圧縮は可能ではなかった。ここで圧縮性と非圧縮性の技術的区別を簡単に理解することが必要である。
流体力学では、非圧縮性流れは、分析を容易にするために使用される理想固体または流体の流れ(定容積流)である。実際には、全ての物質はある程度圧縮することが可能である。定容とは、材料特性ではなく、流れに関することである。実際、特定の状況下では圧縮性材料は(ほぼ)非圧縮性流れが可能である。全ての流体は、その最大速度がマッハ0.3未満である場合は非圧縮性(5%以内)挙動を有する。均質の非圧縮性材料は、終始一定密度を有する材料として定義される。したがって、一定密度を有する材料は常に非圧縮性流れに供されるが、その逆は当てはまらない。
厳密に言うと、水は圧縮することが可能であるが、高圧でもわずかにしか圧縮されない。実際の設計では、水は非圧縮性流体として考えられ、その密度は圧力により変化しない。物質の圧縮性は、原子がどれだけ密接に集まっているかによる。空気は、原子間にかなりの距離があり、原子をさらに密集させることが比較的簡単であるため、高い圧縮性を有する。液体の原子はそれよりも大幅に密に集まっており、これらをさらに密集させるためにはかなり大きな圧力を要する。固体もまた極めて大きい圧力の元にわずかに圧縮することが可能である。
したがって、本発明においては非圧縮性材料とは、終始一定の密度を有し、マッハ0.3未満の速度で非圧縮性流れを示す材料である。全ての一定密度の流体は、この非圧縮性材料の定義に該当する。また、非圧縮性材料の容積は、静的圧縮または外圧を受けてある公称容量(たとえば5%)を超えて低減することは不可能である。この点において、現在のジェル充填式インプラントサイザーは非圧縮性であり、これを小さい切開部を通すために外科医は一方の端部を変形させ、サイザーを切開部を通して押し込まなくてはならない。そして、乳房の空洞部内に入るとサイザーは所望の形状に自動的には回復せず、正しい位置に動かされなくてはならない。
一方で、本発明に係る圧縮性材料は高い圧縮性を有し、終始一定の密度ではない材料であり、実容積を低減させるために静的圧縮が可能である材料である。また、本発明の高圧縮性材料は、望ましくは少なくとも約5%、または元の実容積の少なくとも約80%もしくは約80%未満に圧縮して容積を低減させることが可能であり、材料によっては元の実容積の約50%未満に圧縮可能である。さらに、いくつかの実施形態では本発明の材料は、実際のインプラントに相当する元の予形成された形状に生体内で回復可能である。
本発明の乳房インプラントサイザーの典型的な構成材料は、生体適合性ソフトプラスチックおよび/またはポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコンエラストマーのようなエラストマー類を含む。エラストマーとは、弾性的な性質を備えるポリマーである。また、シリコンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームおよびTPEフォームが、本発明の乳房インプラントサイザーの高圧縮性材料のための候補となる。発泡体とは、気体(空気)の気孔を含み非常に低い密度を備える固体であり、軽量および圧縮性が評価される。発泡体はエラストマーから形成されることが可能であるが、エラストマーは多孔質ではない固形材料と見なされるため、「シリコンフォーム」のように単純に発泡体とは表されない。これらの材料の特有の物理的特性(たとえば圧縮性)は、化学組成および形成過程により変えることが可能である。したがって、本発明はこれらの材料、ならびに上述の通り高圧縮性を与えられた材料を包含する。
望ましくは、使用される材料は生体適合性を有し、患者にアレルギーまたはその他の反応を生じさせないものである。しかし、本発明の利点の1つは比較的低い製造コストであり、これによりサイザーは使い捨てにすることが可能になる。この点において、例に挙げた材料は、たとえば非アレルギー性で、一時的に体内に挿入するには安全であるが、長期使用については評価不要である。したがって本発明の一実施形態では、乳房インプラントサイザーは長期的なインプラントには適切ではない材料から作成される。たとえば、多くのPVCおよびポリウレタン材料は認可を得ていない(たとえばFDAより)、または長期インプラントには適切ではない。これらの材料は通常あまり高価ではなく、使い捨てを意図する場合には有効である。
圧縮性がもっぱら材料特性による乳房インプラントサイザーの他にも、本発明は圧縮性材料から作成される、またはこの材料から作成されない折り畳み可能である中空のまたはボウル状のサイザーも包含することを明記しておく。このような中空のサイザーは典型的には、前方の連続壁部と、後方の1つまたは複数の中空部または空洞部とから形成され、中空部によりサイザーが小型化され切開部を通って乳房の空洞部へ入ることが可能であり、ここでサイザーは弾性的に元の形状を取り戻す。たとえば、可撓性を有するが、上述の圧縮性の定義を満たしてはいない特定のポリマーも本発明の折り畳み式中空乳房インプラントサイザーを形成するために使用可能である。上述の通り、広く生体適合エラストマーと分類され、上述の圧縮性の定義に該当しない可撓性材料は、予形成された中空サイザーを折り畳み可能にすることが可能である。
一般に、本発明は予形成された圧縮式または折り畳み式の成形体からなる乳房インプラントサイザーを提供する。この構造は非中空(中空でない)であり、材料およびサイザー全体は圧縮性を有するか、または構造が中空であり、材料が圧縮性もしくは非圧縮性であるが、少なくともサイザーを折り畳み可能にする可撓性を有することが可能である。圧縮性または折り畳み式のいずれの実施形態でも、本発明のサイザーは元の形状に弾性的に展開し戻ることが可能である。さらに、サイザーは乳房組織の空洞部に挿入された後、またはその組織による圧力に反して拡張する十分な弾性を備えている。
本発明の乳房インプラントサイザー用の特に有用な圧縮性材料は、セルフスキニングフォームと呼ばれる。この材料では、乾燥または硬化、あるいは特殊な型の使用により気孔の少ない、または無孔の外層が形成される。乳房インプラントサイザーをセルフスキニングフォーム材料から形成することにより、柔らかい多孔質発泡体の中核部を覆う気孔の少ないまたは無孔の外皮層が作られる。外皮および発泡体中核部が同時に構成されることは、それぞれ別だった工程を1つにまとめることとなるためインプラントサイザーの製造が簡単になる。また、外皮の特性は、たとえば湿らせると非常に滑りやすくなる表面を形成することにより、小さい切開部から乳房へ挿入することを容易にするよう構成可能にする。
図1Aから図1Cを参照し、第1の乳房インプラントサイザー20の例を説明する。図1Aは、サイザー20の好適な涙滴形状の輪郭を側方から示す側面図であり、比較的平坦な後方側22と成形された前方側24とを有する。前方側24は典型的にはやや球状の下側隆起26を含み、薄い上側縁部28へ先細っている。後方22および前方24の断面は円形であるが、わずかに楕円または所望のその他の形状も可能である。典型的には基部の寸法は、後方22または前方24の断面を見て最も大きい寸法が測定される。一部のインプラントと同様にサイザーには円形の基部を有するものもあるが、多くの場合、基部は水平または垂直寸法を有する楕円形である。
乳房インプラントサイザー20の形状は「典型的な」乳房の形を示し、乳房インプラント自体にも一般的に使用されている。したがって、本発明の乳房インプラントサイザーは、乳房インプラントの形状と同様に成形可能であり、丸い基部および半球型断面を有するものも含まれる。実際に、本発明のサイザーは実際のインプラントに対応する形状を有することが望ましく、どれがもっとも望ましい結果をもたらすかを確認するために外科医は異なる輪郭および/または大きさのものを試すことを望むであろう。
乳房インプラントサイザー20は、連続的な、全体として凸状の、または少なくとも中空ではない外面を有する。側面では前方側24の下側隆起部26の上にわずかな凹面または鞍形が見られる。この小さな凹面領域は、側方から見た際に前方側の輪郭の一部をなし、主に側部の輪郭は凸状のままであるため、以下に説明する特定の実施形態の観点での中空部とはみなされない。一平面において凹面を有する輪郭と「中空部」との区別は、水を保持することのできる窪みのない外観であるとしてサイザー20を描写することによって可能である。サイザー20は圧縮可能であり、上に定義したように、主に圧縮性材料から形成されている。一実施形態では、乳房インプラントサイザー20はシリコンまたはポリウレタンのセルフスキニングフォームから形成される。
図2Aから図2Cは、本発明の別の乳房インプラントサイザー30の前方、後方および縦断面図である。サイザー30はここでも、全体として平坦な後方側32と全体として凸状の前方側34とを有する固体構造を備える。前方側34はここでも下側隆起部36と比較的薄い上側部分38とを含む。インプラントサイザー30の外形は、図1Aから図1Cのサイザー20とは少し異なっており、図2Cの縦断面図ではやや三角形であり、起伏が少ない。つまり、前方側34の上部分38に沿ったわずかな凹面がない。また、図2Aおよび図2Bに見られるように、前方および後方の断面がわずかに楕円形であり、垂直方向の寸法が水平方向の寸法より小さくなっている。
また、図2Cの断面図は、多孔質材の内核40と気孔が少ないまたは無孔材による外皮42との構造の例を示している。上述の通り、この構造はセルフスキニングフォームを用いて形成されることが可能である。あるいは、外被または外皮42は、予形成された中核部40の周りに個別に設けられることも可能である。たとえば、成型された、またはブロックから切り出された発泡体中核部が収縮フィルムまたはディップキャストによる外皮内に挿入されるか、またはこれに被覆される。
図3Aおよび図3Bは、本発明の中空乳房インプラントサイザー50の例の後方および断面図である。サイザー50の全体の形状は図1Aから図1Cのサイザー20と似ており、前方側52は下側隆起部54と比較的薄い上側部分56とを有する。全体として非中空である代わりに、サイザー50は、後方側62に開口する空洞部または中空部60を中に有する連続壁部58を備える。連続壁部58は、実質的に一定の厚さを全体として有するが、わずかに拡大している周縁ビードまたはリム64があり、これはサイザー50の後方側62を画定する。図3Bに示されるように、周縁リム64はその下側より上側でやや厚くなっている。しかしこれは一定の厚さになっていてもよい。同様に、リム64は壁部58の残りの部分と同じ厚さであることも可能である。
周縁リム64は全体としてサイザー50の平坦な後方の境界を画定する。図示される型では、リム64がわずかな距離だけ内側へ延伸し、これにより画定され中空部60に続く開口部が最大化される。点線66で示される別の例では、リムはより内側に続いており、開口部はさらに小さくなっている。最終的には、開口部はサイザー50の折り畳みおよび展開時に空気が通るのに十分な大きさであればよい。
上述の通り、連続壁部58は、たとえばセルフスキニング型のシリコンまたはポリウレタンフォームのような圧縮性材料からなることが可能である。あるいは、連続壁部58は、たとえばシリコンエラストマーのような生体適合性固体のように可撓性であるが、非圧縮性の材料(上述の定義の通り)であることが可能である。
可撓性インプラントサイザー50の後方側に設けられる空洞部または中空部60により、サイザーが折り畳まれる、巻かれる、または折られて、乳房空洞部に挿入される際に比較的小さくすることができる。一般に中空部60は折り畳み用凹部を提供し、すなわち外壁部が折り込まれることが可能であるくぼみを提供する。挿入後、連続壁部58の材料の弾性により、サイザー50は元の形状に戻ることが可能である。本発明の材料のその他の重要な特性は、インプラントサイザーが体内に挿入されて元の形状を取り戻すために十分な外側へ向かう弾性圧を周囲の乳房組織に及ぼすことが可能である点である。中空インプラントサイザー50における上述のリム64は、特にこれが厚くされている場合は、体内で元の形状を復元するのを助けるための機能を有する。これもまた、挿入後に所望のサイザー形状を形成するための操作または成形を必要とし、特定の形状となるように外向きの圧力を周囲の組織に及ぼすのに十分な弾性を有していない従来のジェル充填サイザーとは対照的である。
図4Aおよび図4Bは、本発明のさらに別の中空乳房インプラントサイザー70を示しており、これは不均一の壁厚を有する。サイザー70は、起伏のある前方側72と、後方の空洞部または中空部74とを含む。中空部74は、下方向にオフセットしており、インプラントサイザーの上面76のかなり下で終端する。連続壁部78は、空洞部74を包囲する部分と、非中空の上部フランジ80とを含む。
図4Aで後方から見られるように、連続壁部78は下部周辺部に沿って部分円形リム82を含み、フランジ80は実質的に直線の縁部84で開始する。したがって中空部74は全体として半円形の後方断面を有する。使用時には、サイザー70は下方リム82を空洞部74内へ巻きこむことにより小さく圧縮することができ、したがってサイザー70は部分的に折り畳み可能である。
図5Aおよび図5Bは、本発明のさらに別の中空乳房インプラントサイザー90を示している。前述と同様に、サイザーは起伏のある前方側92と、少なくとも1つの中空部96を含む後方側94とを含む。図5Aにおいて後方から最もよく見られるように、中空部96は中央の比較的深い空洞部98と、1組の対向する浅い切り欠き部100とを含む。空洞部98および切り欠き部100の相対的深さが図5Bに示される。図示される実施形態では、切り欠き部100は、垂直中心線で対称となっており、これにより折り畳み方向を決定し、この場合は上下で位置合わせされた折り畳み用凹部となる。したがってインプラントサイザー90はそれ自体、垂直中心線に沿って後方へ折り曲がって折り畳まれるまたは巻かれることが可能である。当然ながら、別の圧縮または挿入形状を容易にするためにその他の切り欠き部100も設けられることが可能であり、図示された構成は一例に過ぎない。
図6から図8は、後方基部と前方の輪郭部分とを有する2つの部分からなる別のインプラントサイザーを示す。2つの部分からなる構成では、1つの基部が複数の輪郭部と接続可能であり、これにより異なるサイザーを評価する際に小さい輪郭部のみを除去および交換するだけでよい。
図6から図8に見られるように、2つの部分からなるサイザー110の一例は、後方の基部112と前方の輪郭部114とを含む。基部112は、前方に延伸するフランジ118が境界となる全体として平坦な後壁部116を有するプレート状の構造を画定する。フランジ118は、基部112の前方側で輪郭部114を受けるポケット120を画定する。特に、輪郭部114は、前方の予形成された表面122と、ポケット120内に密接に嵌合する後方の差込部または突起部124とを備える。複数の異なる大きさの前方の予形成表面122が点線で示されており、これは同じ突起部124を有するため基部112と結合可能である多様な異なる輪郭を示している。輪郭部114は、上述の実施形態のいずれかに係り非中空かつ圧縮可能、または中空かつ折り畳み可能(また圧縮可能でも)あることが可能である。2つの構成部品にそれぞれ一体的に形成される妨げとならないハンドル部130、132により、連結および分離が容易になる。このようなハンドル部は、挿入、配向、およびサイザーのポケットからの除去を容易にするため、ここで説明される本発明のいずれのサイザーにも含まれることが可能である。
2つの構成部品からなるサイザーのセットは、1つの基部112と複数の輪郭部114とを含むことが可能であり、これにより外科医は複数のサイザーで判断する選択肢を有する。始めに、基部114および1つの輪郭部114が挿入され、サイザー110を形成するよう連結される。これらの構成部品は、上述の通り圧縮可能または折り畳み可能であり、ユニットとして挿入可能であるが、個別に挿入されることの方が多い。まず基部112が挿入され、ポケット部の大きさおよび形状を確認する。1つまたは複数の輪郭部114がその後挿入され、所望の膨らみおよび/またはボリュームを確認する。挿入後、基部112は診断中は定位置に残されたままであるが、第1輪郭部114は折り畳まれ除去されて、第2、第3等の輪郭部に交換されることが可能である。基部112は最も大きい寸法を有するため、輪郭部114のみを切開部を通して除去、交換する方が容易である。
図9および図10は、本発明の乳房インプラントサイザーの使用法を示している。図9では、乳房インプラント患者の胴体が、外科医により使用されることが可能であるいくつかの切開部と共に示されている。特に、切開部としては、乳房下部切開140、乳輪縁切開142、腋下切開144を含む。本発明の乳房インプラントサイザーは、最終的なインプラントが入れられるのと同じ切開部から入れられるが、切開部は通常、患者との相談の上で外科医が選択する。したがって本発明のサイザーは、図示される3つの切開部140、142、144のいずれからも、またはこれとは別の切開部からも挿入可能である。
非圧縮容積を有する折り畳まれていない大きさでの乳房インプラントサイザー150が図9に胴体の隣に概略的に示されている。サイザー150は、上述のサイザー構成のいずれか、または本発明の範囲内のその他の構成を表す。矢印は、弛緩サイズから、非圧縮容積より小さい挿入容積の細長い挿入サイズまたは輪郭152への移行を示している。図示される実施形態では、輪郭152はらせん状に巻かれた円筒形であるが、細長い形状に単純に圧縮されるか、折り畳まれる等も可能である。別の実施形態では、サイザー150はファンネルのような器具を用いて、または小さい開口部を有する中空体のような構造用に内部に真空を用いることにより折り畳まれる。
矢印は、インプラントサイザー150の乳房下部切開部140から右胸への挿入を示している。外科医は、圧縮されたサイザー152を希望に応じて一方のまたは両方の胸に挿入することが可能である。図10は、各胸の中の空洞部へのサイザー挿入後の患者を示している。有利には、サイザーは、外科医による操作があるとしてもほとんど行われることなく、挿入後に弾性的に元の形状に戻る。この時点で、外科医は選択されたサイザーの大きさおよび形状が患者に適切であるかを観察および判断することができる。当然ながら、比較的低価格かつ使い捨てのサイザーであれば、外科医が最初のサイザーで満足でない場合は連続して別のサイザーが挿入されることが可能である。
また、異なるサイザーが同時に各胸に挿入され、その外観を相互に比較することも可能である。このように、異なる大きさの本発明の乳房インプラントサイザーのセットが、手術の準備に使用されるためにセットとして販売されることが可能である。サイザーは比較的低コストであるため、このセットもまた比較的低価格であり、各サイズおよび/または輪郭ごとに2つずつ提供されることが可能である。
サイジングの難しさを説明すると、従来の調節式サイザーを使用した調査では、ブラジャーのカップサイズを1段階変更するためには平均189ccの生理食塩水が必要であったが、カップサイズを変える量は一貫したものではなかった。AカップからCカップに上げるためには、全体で391cc、すなわちカップサイズ毎に196cc必要であった。BカップからDカップへの移行は、全体で448cc、すなわちカップサイズ毎に224cc必要であった。最も大きい変化は、AカップからDカップへの増加であったが、これには437cc、すなわちカップ毎に145cc必要であった。したがって、このようなカップサイズ増加の非線形性は公知であり、様々な情報源による規定の流体量は所望の大きさを達成する助けにはなるが、これは正確ではなく、胸壁大きさ、乳房組織および組織膜の大きさのようなその他の要因により差異が生じる可能性がある。また、インプラントの容積に関して、全ての患者にとって自然であると考えられる範囲はあるが、患者によってはそれより小さ目を求める場合もあれば、それよりも大き目に関心がある患者がいる場合もある。
また、そのコストの高さから、従来のジェル充填サイザーは再利用され、滅菌の工程が必要になる。コストの懸念がなく、広い選択の幅を有する予形成サイザーのセットがあることは有利である。望ましくは、本発明は販売されているあらゆる乳房インプラントに対応するサイザーを乳房インプラントメーカーが提供することを可能にする。これによりインプラントのセットに対応するサイザーのセットも比較的低コストで提供可能である。
一実施形態では、本発明の乳房インプラントサイザーが、ここで図示された各種形状およびその他の形状で多数のサイズ、異なる輪郭で提供される。最近では、患者はインプラントのサイズまた輪郭も選択する。輪郭または膨らみには、標準、薄い、中程度、厚い等が含まれる。前方/後方の形状は、丸いか、またはより楕円形であることが可能である。これらの選択に伴い、インプラントの実際の容積の幅はとても広い。たとえば、カリフォルニア州のアーバイン市にあるアラガン社は、厚いタイプのスタイル20型のシリコン充填インプラントを23の異なるインプラント容積、すなわち120から800ccでそれぞれ異なる基部直径のものを提供している。
以上は、市販の様々なサイズおよび形状のインプラントの簡単な説明である。本発明の乳房インプラントサイザーのセットは、アラガン社のスタイル20型等のようなインプラントスタイルの全範囲に対応して提供されるか、またはある特定のスタイルにおいて異なるサイズのサンプリングとして提供されることが可能である。あるいは、外科医がまずおおよそのサイズを見積り、その後複数の異なるスタイルを試すことを可能にするため、異なるスタイルに渡って複数の類似のサイズのものが1つのセットで提供されることが可能である。また、患者との最初の相談に応じて、特別注文のサイザーのセットが外科医により注文されることも可能である。このように、これらのセットを多様に置き換えることが可能であり意図され、全てを列記することは必要でない。
本発明をある程度特定の例で説明および図示したが、本開示は例として挙げているものであり、当業者であれば本発明の請求項に記載される範囲から逸脱することなく、部品の組み合わせおよび配置に多様な変更が加えられることに留意されたい。
Claims (5)
- 乳房インプラント用のインプラント可能なサイザーであって、
前方から見たとき、円形、又は、長軸を水平方向に短軸を垂直方向に向けた楕円形の輪郭を有し、
前記輪郭は、平坦な後方壁と球形の隆起を有する前方壁とによって形成されており、
前記球形の隆起は、下方にずれて薄い上部と該薄い上部よりも厚い下部を形成しており、
前記後方壁は、前記前方壁の周縁に沿って連続的に且つ該周縁から内方に向けて突出する周囲のリムと、前記リムに囲まれた開口を有し、
前記前方壁は該前方壁の背後に中空の空間を形成しており、
前記中空の空間は前記後方壁の前記開口に連通している、サイザー。 - 前記サイザーは、圧縮性材料で作られている、請求項1のサイザー。
- 前記サイザーは、非圧縮性材料で作られている、請求項1のサイザー。
- 前記サイザーは、前記サイザーを左又は右の側方から見たとき、涙形状をしている、請求項1〜3のいずれかのサイザー。
- 前記前方壁は一定の厚みを有する、請求項1〜4のいずれかのサイザー。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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