JP2014093739A - 集音装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】計測対象機器の外部において、当該計測対象機器の動作音をより正確に集音することができる集音装置を提供する。
【解決手段】集音装置20は、集音機能を有するマイク21と、弾性体からなりマイク21を支持する本体部22と、を備え、本体部22は、筒状に形成されて、その内側に、当該筒状の一方の開口部221Aにマイクの集音機能を有する部分21Aが向くようにマイク21を支持するマイク支持部221と、マイク支持部221の一方の開口部221A側に設けられる第1の側面部222Aを有し、当該第1の側面部222Aにより当該一方の開口部221Aと繋がる開口端222Bが形成される遮音部222と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、特に計測対象の機器の動作音を機器外部において集音する集音装置に関する。
従来から、機器の動作音を解析することによって機器の故障予知保全を行う技術として、例えば真空ポンプの一種であるドライポンプ(回転式ポンプ)の故障予知保全を行う技術が知られている(下記特許文献1,2参照)。下記特許文献1には、機器の動作音(機械振動と音響ノイズ信号)についてスペクトル解析を行うことで、ドライポンプの機械的な故障を診断することが示されている。
特表2008−524493号公報 特表2008−524492号公報
このような音響解析により機器の劣化及び故障等を正確に診断する際には、診断対象の機器が発する動作音をできるだけ正確に計測する必要がある。しかしながら、通常の集音マイク等を診断対象の機器に近づけて集音するだけでは、例えば診断対象の機器が工場等に設置されていると、診断対象の機器以外の機器等が発する騒音を集音してしまい、診断対象の機器の動作音の特徴を適切に捉えることができず、診断対象の機器の劣化及び故障等を正確に診断できないという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、計測対象機器の外部において、当該計測対象機器の動作音をより正確に集音することができる集音装置を提供することを目的とする。
本発明に係る集音装置は、集音機能を有するマイクと、弾性体からなりマイクを支持する本体部と、を備え、本体部は、筒状に形成されて、その内側に、当該筒状の一方の開口部にマイクの集音機能を有する部分が向くようにマイクを支持するマイク支持部と、マイク支持部の一方の開口部側に設けられる第1の側面部を有し、当該第1の側面部により当該一方の開口部と繋がる開口端が形成される遮音部と、を有する。
本発明に係る集音装置によれば、マイクによる集音の際の本体部側面からの騒音の影響を、遮音部によって抑制することができる。また、遮音部の開口端を計測対象機器の計側面に接触させて計測対象機器の動作音を集音する場合には、当該計側面からマイクの集音機能を有する部分までの距離を一定に保つと共に、遮音部による騒音の影響の抑制の効果をより高められる。以上により、この集音装置では、計測対象機器の外部において、周囲の騒音の影響を抑制し、当該計測対象機器の動作音をより正確に集音することができる。
上記集音装置では、遮音部の開口端の大きさは、上記一方の開口部の大きさよりも大きく形成されてもよい。この構成によれば、遮音部の開口端を計測対象機器の計側面に接触させて計測対象機器の動作音を集音する際に、集音装置を計側面に対して安定して設置することができる。また、遮音部の開口端がマイク支持部の開口部よりも大きい(広がっている)ため、マイクの集音効率を向上させることが期待できる。
上記集音装置では、上記開口端が計測対象機器の計側面に接触した状態で、第1の側面部とマイクと計側面とで囲まれる第1の閉空間が形成され、上記開口端が計測対象機器の計側面に接触した状態で、第1の側面部が第1の閉空間側に押し込まれることにより、当該第1の閉空間内の圧力が減圧され、第1の側面部が吸盤として機能してもよい。この構成によれば、遮音部の開口端を計測対象機器の計側面に接触させて計測対象機器の動作音を集音する際に、押し込まれた第1の側面部が元の状態に戻ろうとする反発力(弾性力)と、第1の閉空間内の圧力と第1の側面部の周囲の圧力(大気圧)との気圧差によって生じる第1の側面部を第1の閉空間側に押し込む力と、がつりあった状態となる。これにより、第1の側面部が計側面に対して吸着した状態(第1の側面部が吸盤として機能している状態)となり、計側面に対する集音装置の位置を固定することができる。すなわち、集音装置を計側面に対してより安定して設置することができる。
上記集音装置では、本体部は、第1の側面部を囲むように設けられる第2の側面部を更に有し、上記開口端が計測対象機器の計側面に接触した状態で、第1の側面部と第2の側面部と計側面と、で囲まれる第2の閉空間が形成され、第2の側面部が第2の閉空間側に押し込まれることにより、当該第2の閉空間内の圧力が減圧され、第2の側面部が吸盤として機能してもよい。この構成によれば、遮音部の開口端を計測対象機器の計側面に接触させて計測対象機器の動作音を集音する際に、第2の側面部が元の状態に戻ろうとする反発力(弾性力)と、第2の閉空間内の圧力と第2の側面部の周囲の圧力(大気圧)との気圧差によって生じる第2の側面部を第2の閉空間側に押し込む力と、がつりあった状態となる。これにより、第2の側面部が計側面に対して吸着した状態(第2の側面部が吸盤として機能している状態)となり、計側面に対する集音装置の位置を固定することができる。さらにこの状態において、第1の閉空間の圧力は減圧されずに維持される。したがって、集音装置を計側面に対してより安定して設置することができると共に、減圧によるマイクの集音感度の低下を抑制できる。
上記集音装置では、マイクは、計測対象機器の計側面に設けられたコード情報を光学的に読み取り、読み取った結果に応じた出力を行うコード読み取り手段を有してもよい。この構成によれば、例えば、コード読み取り手段がコード情報を適切に読み取れたか否かを示す情報を出力することにより、当該情報に基づいて集音装置の計測位置及び計測方向等が適切か否か等を判定することが可能となる。これにより、繰り返し計測(集音)を行う際の計測位置の違いによる影響の誤差をなくすことができる。
本発明によれば、計測対象機器の外部において、当該計測対象機器の動作音をより正確に集音することができる。
本発明の一実施形態に係る集音装置を用いた冷凍機状態判定システムの構成を示す図である。 クライオポンプの冷凍機構として用いられる冷凍機の一部を含む概略図である。 本発明の一実施形態に係る集音装置の第1の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る集音装置の第2の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る集音装置の第3の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る集音装置の第4の例を示す図である。 音響信号の例を示す図である。 連続ウェーブレット変換の数値計算の概要を示す図である。 連続ウェーブレット変換により得られる周波数特性の例を示す図である。 連続ウェーブレット変換による解析結果の概念図である。 特定の周波数における音響特徴データの例を示す図である。 特定の周波数における冷凍サイクル1周期分の音響特徴データの例を示す図である。 教師データの例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る集音装置を用いた冷凍機状態判定装置の動作を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る集音装置を用いた冷凍機状態判定システムの一実施形態の構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る冷凍機状態判定システム1は、例えばクライオポンプ等の冷凍機構として用いられる冷凍機(計測対象機器)10と、冷凍機10の動作音を集音し、集音した動作音の音響信号を後述する冷凍機状態判定装置30に入力する集音装置20と、集音装置20から入力された音響信号に基づいて冷凍機10の状態(例えば正常状態及び部材の摩耗状態等)を判定する冷凍機状態判定装置30とを備えている。
まず、冷凍機10について説明する。冷凍機10は、例えばGifford−McMahonサイクル冷凍機(G−Mサイクル冷凍機)及び改良ソルベイサイクル冷凍機等の極低温冷凍機である。このような冷凍機10は、例えばスパッタ装置等の半導体製造装置に使用されるクライオポンプ(真空ポンプ)等の内部の冷凍機構として用いられる。冷凍機10は、例えばヘリウム等の冷媒の加圧と減圧を繰り返すことにより冷媒を冷却し、寒冷を発生させる。このような動作により、例えば冷媒をシールしている部材(シールリング)、及び冷凍機構を駆動するためのモーターの回転軸を支持するベアリング等の摩耗が生じる。このような冷凍機10の部品の摩耗について、図2を用いて簡単に説明する。図2は、クライオポンプの冷凍機構として用いられる冷凍機10の一部を含む概略図である。このような冷凍機10の作動原理は従来の仕組みに基づくため、ここでは冷凍機10の詳細な作動原理についての説明は省略し、冷凍機10を構成する部材が摩耗する例について簡単に説明する。
図2に示すように、冷凍機10では、モーターのモーターローター11が回転軸12を中心に回転運動する。この回転運動は、クランクシャフト15を介してスコッチヨーク17及びディスプレーサー18等を往復させる往復運動に変換される。ディスプレーサー18がシリンダ19内を往復運動することにより、ヘリウム等の冷媒のシリンダ19への吸気(冷媒の吸気工程)及びシリンダ19からの排気(冷媒の排気工程)が繰り返し行われる。以下、この繰り返し1回分において冷凍機10を構成する部材により行われる一連の動作を「冷凍サイクル」という。
ここで、ディスプレーサー18の摺動抵抗が例えば5kgf(重量キログラム)であるとすると、ディスプレーサー18がシリンダ19内を往復運動する際、シリンダ19内とクランクシャフト15を収容するクランクケース(不図示)との圧力差によってスコッチヨーク17に加わる応力はおよそ5kgfとなる。そのため、クランクシャフト15及び回転軸12を支えるベアリング14等には、ディスプレーサー18の上下方向に最大で10kgf(5〜10kgf)程度の応力が加わることになる。この応力は、ディスプレーサー18の往復運動中の位置によって変化するため、1回の冷凍サイクルの間(例えば約1秒間)に、最大10kgf程度の繰り返し応力が発生することになる。この繰り返し応力によって、ベアリング14と、ベアリング14の支持部材であるハウジング13とに摩耗が生じる場合がある。通常、ベアリング14とハウジング13との嵌合における公差は微小であるため、ベアリング14及びハウジング13の摩耗は、たとえ微小なものであっても、冷凍機10の異常動作の原因となり得る。同様に、ディスプレーサー18の往復運動によって、冷媒をシールしているシールリング16にも摩耗が生じることがあり、摩耗部分から冷媒が漏れ出てしまう場合がある。これについても、冷凍機10の異常動作の原因となり得る。
冷凍機10は、このような冷媒の漏れ及び部材の摩耗(劣化)等が生じていると、音響信号の特定の周波数において異常音、即ち正常な冷凍機10の動作音とは異なる音響の特徴(信号強度の時間変化の特徴)を有する動作音を生じる。本発明に係る冷凍機状態判定装置30は、冷凍機10の動作音から特定の周波数における音響の特徴を抽出し、冷凍機10の分解及び稼働停止等を伴うことなく、当該音響の特徴に基づいて冷凍機10の状態(例えば冷媒の漏れ量及び特定の部材の摩耗度を示す状態等)を判定するものである。
続いて、冷凍機状態判定システム1が上述の冷凍機10の状態を判定するために備える構成(集音装置20及び冷凍機状態判定装置30)について説明する。
集音装置20は、冷凍機10の外部において、当該冷凍機10の動作音を集音する。本実施形態においては、集音装置20は、集音した動作音の音響信号を取得し、取得した音響信号を後述する音響信号取得部31に入力する。ここで、集音装置20は、アナログ信号である動作音を、例えばWAVE形式ファイル等の音声ファイル形式のデジタル信号に変換することで、音響信号をデジタル信号として取得するものとする。音響信号の具体的な記録フォーマットは、冷凍機状態判定装置30による判定に用いる周波数帯域、及び冷凍機状態判定装置30に設けられたCPU及びメモリ等のコンピュータ資源による計算時間等を考慮して自由に選択してよい。記録フォーマットとしては、例えば、アナログ信号をデジタルデータに変換する方式の一つであるリニアPCM(Linear Pulse Code Modulation)と呼ばれるフォーマットがあり、サンプリングレート(例えば96kHz)及び量子化ビット数(例えば16ビット)等が設定される。
図3〜図6は、集音装置20の具体的な例(第1の例〜第4の例)を示す図である。以下、これらの図を参照して、集音装置20の各例の構成及び効果について説明する。
(第1の例)
図3は、第1の例に係る集音装置20Aの構成を示す図である。図3(a)は、マイクの集音機能を有する部分(集音面)の中心を通り且つ当該集音面と垂直となる平面で切った集音装置20Aの断面図である。図3(b)は、図3(a)の集音装置20Aを図の左側から見た際の集音装置20Aの形状を示す図である。図3に示すように、集音装置20Aは、集音機能を有するマイク21と、弾性体からなりマイク21を支持する本体部22と、を備える。
マイク21は、集音部分21(マイクの集音機能を有する部分)A、マイク21の動作を制御する部品等を格納するマイク胴部21B、及び集音した動作音データの伝送等を行うマイクケーブル21C等を備える。マイク21としては、例えば市販のICレコーダ及び集音マイク等を用いることができる。集音部分21は、例えば、集音機能を備える機器が設けられ、集音する音を入力する部分である。図3(a)に示すように、集音部分21は、マイク胴部21Bの一方の端部に設けられ、マイクケーブル21Cは、マイク胴部21Bの他方の端部に設けられる。
本体部22は、マイク支持部221と、遮音部222とを有する。マイク支持部221は、例えば図3(b)に示すような筒状(例えば円筒状)に形成され、その内側に、当該円筒状の一方の開口部221Aにマイク21の集音機能を有する部分21Aが向くようにマイク21を支持する。マイク支持部221に対する集音部分21Aの位置は、図3(a)に示すように開口部221Aと集音部分21Aとが隣接するように設けられる。ただし、集音部分21Aは、マイク支持部221に埋没する(円筒状の部分内に収まる)ように設けられてもよく、逆に、マイク支持部221の先から突出する(円筒状の開口部221A側の外側に出る)ように設けられてもよい。マイク支持部221に対する集音部分21Aの位置は、計側面からの距離及び集音効率等を考慮して自由に定めることができる。また、マイク支持部221は、マイク支持部221の内側側面にマイク胴部21Bを密着させてマイク21を支持し、マイク支持部221とマイク21との間に隙間を生じさせないことにより、集音時の密閉性を向上させている。ただし、マイク支持部221がマイク21を支持する方法はこの方法に限定されるものではなく、例えば、マイク支持部221は、柱状の支持部材等を介してマイク21を支持してもよい。
遮音部222は、マイク支持部221の一方の開口部221A側に設けられる第1の側面部222Aを有し、第1の側面部222Aにより一方の開口部221Aと繋がる開口端222Bとが形成される。第1の側面部222Aの形状は、特定の形状に限定されないが、集音部分21Aが計測対象機器の動作音を集音できるように、開口端222Bを計測対象機器の計側面に接触させた状態で、第1の側面部222Aに囲まれた空間が一定以上の容積を確保でき且つ開口端222Bを形成するように構成される。なお、図3に示す例では、第1の側面部222Aは、開口部221Aから開口端222Bに向かって開口が広がるように略半球状に形成されている。すなわち、遮音部222の開口端222Bの大きさは、マイク支持部221の一方の開口部221Aの大きさよりも大きく形成されている。このような構成とすることで、遮音部222の開口端222Bを計測対象の冷凍機10の計側面に接触させて冷凍機10の動作音を集音する際に、集音装置20を計側面に対して安定して設置することができる。また、遮音部222の開口端222Bがマイク支持部221の一方の開口部221Aよりも大きい(広がっている)ため、マイク21の集音効率を向上させることが期待できる。
マイク支持部221と遮音部222とは、図3に示すように同一素材(例えばゴム及びシリコン樹脂等)で一体形成されることが好ましい。これにより、集音の際の密閉性を向上させることが期待できる。
集音装置20Aによれば、マイク21による集音の際の本体部22の側面からの騒音の影響を、遮音部222によって抑制することができる。また、遮音部222の開口端222Bを計測対象の冷凍機10の計側面に接触させて冷凍機10の動作音を集音する場合には、当該計側面からマイク21の集音機能を有する部分21Aまでの距離を一定に保つと共に、遮音部222による騒音の影響の抑制の効果をより高められる。これにより、マイク21によって計測対象の冷凍機10の動作音を安定して精度よく集音でき、計測対象の冷凍機10の状態を後述する状態判定部34により精度よく判定することができる。
また、本体部22を形成する弾性体として、共振しにくい弾性体(例えばゴム及びシリコン樹脂等の柔軟な材質の部材)を採用することで、本体22の共振による不要な音の発生を抑制できる。また、本体部22を形成する弾性体は、遮音部222の開口端222Bを計測対象の冷凍機10の計側面に密着させて密閉性を発揮できるように押し付けても大きく変形しないような硬度であることが好ましい。これにより、本体部22を変形させることなく、本体部22を上記計側面に押し付けて外部の騒音の遮音性を高めることができる。また、このように密着させることにより、計測対象の冷凍機10から集音装置20に直接伝搬してくる振動を音響信号として収集することができる。ここで、集音装置20を密着させる計側面は、測定(集音)の精度及び音響の特徴を検出することを考慮し、計測に適した位置(冷凍機10の特定の箇所)を選択することが好ましい。このような適切な位置は、例えば、判定したい冷凍機10の状態、冷凍機10の構造、あるいは過去の測定結果から経験的に得られた情報等、種々の観点により特定することが可能である。
(第2の例)
図4は、第2の例に係る集音装置20Bの構成を示す図である。以下、集音装置20Bについて集音装置20Aと主に相違する点について説明する。集音装置20Bでは、開口端222Bが計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触した状態で、開口端222Bと計側面10Aとが密着するように、開口端222Bは、全ての部分が同時に計側面10Aと接触(密着)する形状、即ち計側面10Aの形状に沿う形状とされる。また、マイク支持部221は、マイク支持部221の内側側面にマイク胴部21Bを密着させてマイク21を支持する。これにより、開口端222Bが計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触した状態で、少なくとも第1の側面部222Aとマイク21と計側面10Aとで囲まれ、集音部分21Aがマイク支持部221に埋没するように設けられている場合にはマイク支持部221によっても囲まれる、第1の閉空間S2が形成される。
また、第1の側面部222A及び開口端222Bは、吸盤としての機能を発揮するように構成される。具体的には、第1の側面部222Aは、上記開口端222Bが計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触した状態で、第1の閉空間S2側に押し込まれることができる形状(例えば、図4に示すような半球状等)とされる。また、第1の側面部222Aは、押し込まれて変形可能な程度の柔軟性と、押し込まれた後に元の状態に戻ろうとする反発力を生じる程度の弾性とを併せ持つ素材により形成される。開口端222Bは、上述のように、全ての部分が同時に計側面10Aと接触(密着)する形状、即ち計側面10Aの形状に沿う形状とされる。
次に、第1の側面部222A及び開口端222Bが上記のような構成とされることで、吸盤としての機能を発揮する仕組みについて概説する。遮音部222の開口端222Bを計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触させて冷凍機10の動作音を集音する際に、第1の側面部222Aが第1の閉空間S2側に押し込まれる(例えば人の手により押し込まれる)と、第1の側面部222Aには、元の状態に戻ろうとする反発力(弾性力)が、第1の閉空間S2から第1の側面部222Aの周囲の外部空間S1への方向に生じる。この反発力により、第1の閉空間S2の空気量が一定のまま第1の側面部222Aが外部空間S1側に膨らみ、第1の空間S2の容積が増加するため、第1の閉空間S2内は減圧される。そして、第1の閉空間S2内の圧力P2と外部空間S1の圧力P1(大気圧)との間に気圧差(P1−P2(P1>P2))が生じ、当該気圧差により第1の側面部222Aを外部空間S1側から第1の閉空間S2側に押し込む力(押し込み力)が生じる。
このように生じた反発力と押し込み力とがつりあった状態となることにより、第1の側面部222A及び開口端222Bが計側面10Aに対して吸着した状態(第1の側面部222A及び開口端222Bが吸盤として機能している状態)となり、計側面10Aに対する集音装置20Bの位置を固定することができる。すなわち、集音装置20Bを計側面10Aに対してより安定して設置することができる。また、集音時に作業者が集音装置20Bを手で保持する必要がなくなるため、作業性が改善される。
(第3の例)
図5は、第3の例に係る集音装置20Cの構成を示す図である。図5(a)は、マイクの集音機能を有する部分(集音面)の中心を通り且つ当該集音面と垂直となる平面で切った集音装置20Cの断面図である。図5(b)は、図5(a)の集音装置20Cを図の左側から見た際の集音装置20Cの形状を示す図である。図5に示すように、集音装置20Cでは、第1の側面部222Aは、マイク支持部221とほぼ同一の大きさの径を有し、マイク支持部221の開口部221Aと接続される円筒形状の部材として形成される。また、集音装置20Cは、第2の例に係る集音装置20Bにおける第1の側面部222Aと同一の構成を、第2の側面部223Aとして備える。すなわち、集音装置20Cでは、第1の側面部222Aが第2の側面部223Aの内側に囲まれるように形成される(図5(b)参照)。
ここで、第1の側面部222Aの開口端222Bと、第2の側面部223Aの端部223Bとは、これらを計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触した状態で、同時に計側面10Aと接触(密着)する形状、即ちこれらの部分が計側面10Aの形状に沿う形状とされる。これにより、開口端222B及び端部223Bが計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触した状態で、少なくとも第1の側面部222Aと第2の側面部223Aと計側面10Aとで囲まれ、第2の側面部223Aが上記一方の端部223Bとは異なる端部においてマイク支持部221と接続している場合にはマイク支持部221によっても囲まれる、第2の閉空間S3が形成される。
また、第2の側面部223A及び一方の端部223Bは、吸盤としての機能を発揮するように構成される。第2の側面部223A及び端部223Bの具体的な構成は、上述の第2の例に係る集音装置20Bの第1の側面部222A及び開口端222Bの構成と同様であるため、説明を省略する。
次に、第2の側面部223A及び端部223Bが上記のような構成とされることで、吸盤としての機能を発揮する仕組みについて概説する。遮音部222の開口端222Bを計測対象の冷凍機10の計側面10Aに接触させて冷凍機10の動作音を集音する際に、第2の側面部223Aが第2の閉空間S3側に押し込まれる(例えば人の手により押し込まれる)と、第2の側面部223Aには、元の状態に戻ろうとする反発力(弾性力)が、第2の閉空間S3から第2の側面部223Aの周囲の外部空間S1への方向に生じる。この反発力により、第2の閉空間S3の空気量が一定のまま第2の側面部223Aが外部空間S1側に膨らみ、第2の空間S3の容積が増加するため、第2の閉空間S3内は減圧される。そして、第2の閉空間S3内の圧力P3と外部空間S1の圧力(大気圧)との間に気圧差(P1−P3(P1>P3))が生じ、当該気圧差により第2の側面部223Aを外部空間S1側から第2の閉空間S3側に押し込む力(押し込み力)が生じる。
このように生じた反発力と押し込み力とがつりあった状態となることにより、第2の側面部223A及び端部223Bが計側面10Aに対して吸着した状態(第2の側面部223A及び端部223Bが吸盤として機能している状態)となり、計側面10Aに対する集音装置20Cの位置を固定することができる。さらにこの状態において、第1の閉空間S2の圧力は減圧されずに維持される。したがって、集音装置20Cを計側面10Aに対してより安定して設置することができると共に、マイク21による集音の感度が第1の閉空間S2内の圧力が減圧されることによって低下することを抑制できる。また、第2の例に係る集音装置20Bと同様に、集音時に作業者が集音装置20Cを手で保持する必要がなくなるため、作業性が改善される。
(第4の例)
図6は、第4の例に係る集音装置20Dの構成を示す図である。以下、集音装置20Dについて集音装置20Aと主に相違する点について説明する。集音装置20Dでは、マイク21は、計測対象の冷凍機10の計側面10Aに設けられたコード情報Cを光学的に読み取り、読み取った結果に応じた出力を行うコード読み取り手段を有する。ここで、コード情報Cは、例えばバーコード等の1次元コード及び2次元コード等である。コード情報Cは、例えばこれらの1次元コード及び2次元コード等が印刷されたステッカー等により実現され、例えば冷凍機10の計測に適した計側面10Aの位置に予め貼付されている。コード読み取り手段は、例えば1次元コードリーダ及び2次元コードリーダ等の光学式コードリーダである。コード読み取り手段は、例えばマイク21の集音機能を有する部分21A(集音面)等に設けられる小型式の光学式コードリーダにより実現される。コード読み取り手段による出力内容及び出力先等については、以下に、具体例により説明する。
集音装置20Dでは、コード読み取り手段は、例えばコード情報Cを適切に読み取れているか否かを示す情報(例えば、適切に読み取れている場合には「1」を出力し、適切に読み取れていない場合には「0」を出力する1ビットのフラグ情報等)を後述する冷凍機状態判定装置30に出力する。冷凍機状態判定装置30は、コード読み取り手段から取得したフラグ情報に基づいて、例えば冷凍機状態判定装置30に設けられた液晶モニタ等に出力結果を表示する(例えば、フラグ情報が「1」の場合には「読み取り位置:OK」等のテキストを表示する)。これにより、集音装置20Dの設置を行う作業員は、液晶モニタに表示された情報を見ながら、集音装置20Dの計測位置を適切に決定することができるため、繰り返し計測(集音)を行う際の計測位置の違いによる影響の誤差をなくすことができる。すなわち、毎回の計測において同一個所で正確に測定(集音)することができる。
また、集音装置20Dに、例えばランプを点灯させる装置及び音声を出力する装置等(不図示)を設けて、コード読み取り手段は、これらの装置に上述のフラグ情報を出力するようにしてもよい。このようにすることで、上記装置等によって、フラグ情報に応じたランプ(例えばフラグ情報が「1」の場合には青色、「0」の場合には赤色)を点灯させたり、フラグ情報に応じた音声(例えばフラグ情報が「0」の場合には「位置が合っていません。」という音声)を出力させたりすることができる。このような方法によっても、作業員は、集音装置20Dの計測位置を適切に決定することができ、冷凍機状態判定装置30に設けられた液晶モニタ等に出力結果を表示する場合と同様の効果を得ることができる。
また、コード情報Cには、計測対象の冷凍機10の機器情報(例えば識別情報等)を格納しておくことも可能である。この場合、コード読み取り手段が当該情報を読み取り、当該情報を集音装置20Dにより集音された動作音のデータ(計測データ)を記録管理する装置等に出力することで、当該装置が計測データと機器情報とを関連付けて記録することが可能となる。これにより、計測データを整理して記録する処理を自動化でき、計測データの整理作業を容易とすることができる。
なお、このように計測対象の冷凍機10に貼付されているコード情報を読み取って機器情報等を取得する方法は、必ずしも集音装置20Dのコード読み取り手段によって行う必要はない。例えば、冷凍機状態判定装置30に接続されたカメラ及びカメラ機能を有する携帯電話等によって行っても、同様の効果を得ることができる。
以上述べたような集音装置20は、高い遮音性を有する構造となっており、判定対象の冷凍機10に密着させることにより冷凍機10の動作音を精度良く集音することができる。また、このような集音装置20は、専用の計測機として製作された振動センサ(加速度ピックアップ)よりも安価であり、製作費用等を抑制することができる。また、計測対象である冷凍機10に非接触で計測できるため設置が容易であるという利点もある。
冷凍機状態判定装置30は、図1に示すように、音響信号取得部31と、音響特徴データ抽出部32と、教師データ保持部33と、状態判定部34と、判定結果出力部35と、を備えている。
まず、冷凍機状態判定装置30のハードウェア構成の一例について説明する。冷凍機状態判定装置30は、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPUと、ROM及びRAMで構成される主記憶部と、ハードディスクメモリなどで構成される補助記憶部と、データ通信を行う通信制御部と、液晶モニタなどで構成される出力部と、入力デバイスであるキーボード及びマウス等で構成される操作部と、CD−ROMやDVDなどの記録媒体を読み取る記録媒体読取部とを備える。
図1に示す冷凍機状態判定装置30の各機能は、CPUの制御の下で、主記憶部に所定のソフトウェアプログラムを読み込ませて実行することにより実現される。その際、CPUは、ソフトウェアプログラムの処理手順に従い、主記憶部及び補助記憶部におけるデータの読み出し及び書き込み動作を制御し、操作部、出力部及び通信制御部の動作を制御する。
続いて、冷凍機状態判定装置30の各機能について説明する。音響信号取得部31は、冷凍機10の動作音の信号の大きさの時系列データである音響信号を取得する音響信号取得手段である。音響信号取得部31は、例えば集音装置20からの入力により音響信号を得ることができる。この音響信号は、上述の通り、集音装置20が冷凍機10の動作音(アナログ信号)を所定のサンプリングレート及び量子化ビット数でデジタル化(標本化及び量子化)することにより取得したデジタル信号である。したがって、音響信号の「信号の大きさ」は、冷凍機10の動作音の信号の大きさ(振幅)を量子化ビット数に応じて量子化することにより得られた段階的(離散的)な値(量子数)で示される。図7に、音響信号取得部31が取得する音響信号の例を示す。図7において、横軸は時間(秒)、縦軸は信号の大きさ(量子数)を示す。音響信号取得部31は、取得した音響信号を音響特徴データ抽出部32に出力する。
音響特徴データ抽出部32は、音響信号取得部31から音響信号を取得し、当該音響信号から予め定められた特定の周波数成分の信号強度の時系列データである音響特徴データを抽出する音響特徴データ抽出手段である。音響特徴データは、音響信号の特定の周波数成分についての音響の特徴(信号強度の時間変化の特徴)を示すものである。ここで、音響特徴データの抽出対象とする特定の周波数は、例えば、具体的に判定したい冷凍機10の状態に応じて予め定められる。例えば、シールリング16の摩耗により生じる冷媒の漏れ量(リーク量)を判定したい場合には、冷媒の漏えい音(リーク音)の音響の特徴において各状態間で差異が生じやすい周波数を特定の周波数として予め定めておくことができる。また、例えば、ベアリング14の摩耗度を判定したい場合には、摩耗したベアリング14から生じる音響の特徴において各状態間で差異が生じやすい周波数を特定の周波数として予め定めておくことができる。
具体的には、音響特徴データ抽出部32は、音響信号取得部31から入力された音響信号を入力として、例えば短時間フーリエ変換(Short−time Fourier Transform)及び連続ウェーブレット変換(Continuous Wavelet Transform)等による解析を行うことにより、予め定められた周波数成分に対する音響特徴データを抽出する。
図9は、連続ウェーブレット変換の数値計算の概要を示す図である。図8を用いて、音響特徴データ抽出部32が数値計算によって連続ウェーブレット変換を行う場合の流れについて概説する。音響特徴データ抽出部32は、例えば高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)等の計算アルゴリズムを用いて、予め設定されたサンプリング周波数(例えば128Hz)で取得された解析信号(音響信号)をフーリエ変換することにより、例えば図9に示すような周波数成分毎の信号強度を示す情報(周波数特性)を得る。図9において、横軸は周波数(Hz)、縦軸は信号強度(デシベル:dB)を示す。このように、フーリエ変換によって、時間領域情報(時間に対する音響信号の大きさを示す情報)から周波数特性が得られるが、時間情報は失われてしまうため、特定の周波数成分の信号強度の時間変化の情報を得ることはできない。
そこで、音響特徴データ抽出部32は、冷凍機状態判定装置30に予め記憶された基本ウェーブレット(例えばモルレーウェーブレット等)のスケール(時間軸方向の幅)を特定の大きさに設定して、フーリエ変換により得られた周波数特性と、基本ウェーブレットの周波数特性との一致度を検出(畳み込みを計算)する。なお、基本ウェーブレットのスケールの設定は、具体的には、ウェーブレットを表現するウェーブレット関数におけるスケールに関するパラメータ(スケール値)を設定することにより行うことができる。ここで、スケール値が1の場合のウェーブレットが基本ウェーブレットである。スケール値を1より大きく設定する(例えば「32」等に設定する)ことで基本ウェーブレットのスケールを拡大することができ、1より小さく設定することで基本ウェーブレットのスケールを縮小することができる。
上記処理により、フーリエ変換によって得られた周波数特性から、基本ウェーブレットのスケールに対応した周波数成分のみの周波数特性を示す情報を抽出することができる。即ち、基本ウェーブレットのスケールに対応した周波数成分以外の周波数特性を示す情報を除去(フィルタリング)できる。続いて、音響特徴データ抽出部32は、このように抽出された周波数特性を示す情報に対して逆フーリエ変換を行い、時間領域情報に戻すことによって、基本ウェーブレットのスケールに対応する周波数成分(特定の周波数)についての信号強度の時系列データを得ることができる。
図10は、連続ウェーブレット変換によって得られる情報を示す概念図である。また、図11は、連続ウェーブレット変換による解析結果として抽出される特定の周波数成分の信号強度の時系列データを示す図である。上述のように、フーリエ変換により図9に示すような周波数特性を求めただけでは、特定の周波数成分の信号強度の時間変化を示す情報は得られない。これに対して、音響特徴データ抽出部32は、上述のように基本ウェーブレットのスケールを任意の大きさに設定することで、図10に示すように任意の周波数成分の信号強度の時間変化を示す情報を得ることができる。即ち、音響特徴データ抽出部32は、基本ウェーブレットのスケールを特定の大きさに設定して上述の解析を行うことにより、図11に示すような特定の周波数成分の信号強度の時系列データ(音響特徴データ)を抽出することができる。
ここで、音響特徴データ抽出部32は、音響特徴データの信号強度について時間軸方向に移動平均処理を行ってもよい。移動平均処理とは、例えば、ある計測時刻t1における信号強度の値を、当該計測時刻t1から所定時間範囲内における所定数(例えば1000個)の音響特徴データの信号強度の平均値に置き換える処理である。このような処理を行うことにより、音響特徴データからノイズ(音響特徴データが示す波形が細かく変化するギザギザ形状)を除去し、音響特徴データの本質的な特徴を示す概形を得ることができる。これにより、後述する状態判定部34による判定の精度を向上させることが期待できる。
ここで、冷凍機10は、冷凍サイクルを予め決定された周期(図11に示す周期T)で繰り返す。したがって、音響特徴データの波形は、周期T毎に、互いに類似する波形(波形W1,W2,W3)が繰り返される形状になるものと想定される。そこで、音響特徴データ抽出部32は、予め音響特徴データ抽出部32に設定された周期Tに基づいて音響特徴データを加工してもよい。例えば、音響特徴データ抽出部32は、周期Tの間隔で音響特徴データを区切り、このようにして区切られた音響特徴データの各波形(図11に示す波形W1,W2,W3)の平均波形を状態判定部34による判定対象の音響特徴データとしてもよい。これにより、状態判定部34は、上記の平均波形(即ち、外乱の影響が低減された、冷凍サイクル1周期分における平均的な音響特徴データ)に基づいてより精度高く判定処理を行うことができる。
なお、音響信号取得部31が複数回に分けて取得した各音響信号から、音響特徴データ抽出部32が音響特徴データを抽出する場合において、抽出された複数の音響特徴データから上記のような1つの平均波形を判定対象の音響データとして得たい場合がある。その場合、各音響特徴データにおける区切り位置は、冷凍サイクルにおいて同一の動作が行われるタイミングに合わせなければ正しい平均波形を得ることができない。そこで、このような場合に、音響特徴データ抽出部32が音響特徴データを適切な区切り位置で区切る方法の一例を以下に示す。
図12の例では、周期Tで区切った各周期において、音響特徴データ中に、パルス的な音響成分(他の波形部分と比較して信号強度が急峻な変化をする波形部分)であるパルス部分P1,P2と、パルス部分P1とパルス部分P2との間に形成される非パルス部分とが、繰り返し現れている。ここで、例えば冷凍サイクルにおける冷媒のシリンダ19への吸気工程及び冷媒のシリンダ19からの排気工程において特徴的な音(例えば信号強度が大きい音)が発生することが事前に判明している場合等には、音響特徴データのパルス部分P1,P2が発生する計測時刻が、これらの工程に対応する時刻であると想定される。すなわち、音響特徴データ抽出部32は、例えばK−平均法等の手法を用いて音響特徴データのパルス部分P1,P2等の位置を検出することにより、音響特徴データの計測時刻と冷凍サイクル中の特定動作(特定の工程)のタイミングとの対応関係を特定し、複数の音響特徴データを冷凍サイクルにおいて同一の動作が行われるタイミングで適切に区切ることができる。
教師データ保持部33は、冷凍機10の所定の状態毎に関連付けられ、音響特徴データに対応する教師データを保持する教師データ保持手段である。例えば、教師データ保持部33は、予め故障品サンプルの動作音を計測することにより得られた冷凍機10の各状態に対応する計測データを教師データとして保持する。より具体的には、教師データ保持部33は、例えば、冷凍機10において具体的に判定したい状態に応じて予め定められた特定の周波数について、冷凍サイクル1周期分の平均的な計測データ(音響特徴データ抽出部32により抽出される音響特徴データに対応するデータ)を所定の状態(例えば正常状態、冷媒の漏れ量、及び特定の部材の摩耗度を示す状態等)毎に教師データとして保持することができる。
図13は、冷凍機10のシールリング16の摩耗により生じた冷媒の漏れ(リーク)の度合い(正常(リークなし)、リーク小、リーク中、リーク大)に応じた状態毎の、特定の周波数(周波数A、周波数B、周波数C)における冷凍サイクル1周期分の平均的な計測データを示す。ここで、上記特定の周波数は、シールリング16の摩耗により生じた冷媒の漏れ(リーク)の度合いを判定するのに適した周波数(即ち、各状態間で音響の特徴に差異が生じやすい周波数)として、予め定められた周波数の例である。いずれの計測データも、横軸は時間を示し、縦軸は信号強度を示す。教師データ保持部33は、例えば図14に示す12個の計測データを、冷凍機10のシールリング16の摩耗により生じた冷媒の漏れ(リーク)に関する状態を判定するための教師データとして保持することができる。
状態判定部34は、音響特徴データに基づいて冷凍機10の状態を判定する状態判定手段である。具体的には、例えばシールリング16の摩耗状態を判定する場合には、状態判定部34は、シールリング16の摩耗状態の判定に適した周波数として予め定められた特定の周波数についての音響特徴データを音響特徴データ抽出部32から取得する。また、状態判定部34は、教師データ保持部33から、当該特定の周波数及び各状態に関連付けられた一以上の教師データを取得する。状態判定部34は、このようにして取得した音響特徴データと教師データとを比較することにより、音響特徴データが示す冷凍機10の状態を判定する。
状態判定部34による判定について、図13を用いて具体的に説明する。状態判定部34は、例えば周波数Aについての音響特徴データと、図13の最上段に示す4つの教師データ(周波数Aに対応する各状態に関連付けられた教師データ)のそれぞれと比較する。ここで、状態判定部34は、例えば、K−平均法、EMアルゴリズム、マハラノビス距離等を用いた従来のクラスタリング解析手法を用いることにより、音響特徴データと教師データとの比較を行うことができる。状態判定部34は、このような比較により、音響特徴データと最も近い教師データ(音響特徴データが所属する教師データ)を算出する。状態判定部34は、このようにして算出された最も近い教師データに関連付けられた状態を冷凍機10の状態であると判定する。
状態判定部34は、複数の周波数(上記例の場合は、周波数Aだけでなく、周波数B及び周波数Cを含む3つの周波数)それぞれについて、上述の判定を実施することにより、判定精度を向上させることができる。例えば、状態判定部34は、各周波数について音響特徴データと教師データとの比較を行うことで冷凍機10の状態を判定し、最も多く判定された状態を冷凍機10の状態であると判定することができる。例えば上記例において、周波数A、周波数B、及び周波数Cについての判定結果が「リーク小」、「正常」、及び「正常」であった場合には、状態判定部34は、最も多く判定された「正常」を冷凍機10の状態であると判定する。
また、状態判定部34は、上述のクラスタリング解析を行う際には、例えば音響特徴データにおいて冷媒の吸気又は排気を開始した際(吸気と排気の切替時)に現れやすいパルス部分(図11に示すP1,P2参照)とそれ以外(冷媒の吸気及び排気の切替の間)のときに現れやすい非パルス部分とを判別し、それぞれについて個別に判定してもよい。具体的には、状態判定部34は、例えば上述のK−平均法等の手法を用いて音響特徴データのパルス部分の位置を検出し、パルス部分を形成する一定幅を持つ時間範囲と非パルス部分を形成する時間範囲とを特定する。そして、例えば冷凍機10の各状態間でパルス部分の形状(例えば、信号強度の変化の割合、及び信号強度の最大値等)に差異が生じやすいことが予め判明している場合には、状態判定部34は、パルス部分の時間範囲についてのみ、音響特徴データと教師データとを比較することができる。それとは逆に、冷凍機10の各状態間で非パルス部分の形状(例えば、信号強度の振幅回数、及び信号強度の平均値等)に差異が生じやすいことが予め判明している場合には、状態判定部34は、非パルス部分の時間範囲についてのみ、音響特徴データと教師データとを比較することができる。これにより、状態判定部34は、状態間で差異が生じやすい部分に着目して冷凍機10の状態をより精度よく判定することができる。なお、ある特定の周波数について、冷凍機10の各状態間でパルス部分及び非パルス部分のいずれに音響特徴データの差異が生じやすいかについては、例えば予め教師データ保持部33が保持している教師データを参照すること等により推定することができる。
状態判定部34は、上記のように判定した冷凍機10の状態を示す情報(状態判定結果)を判定結果出力部35に出力する。
判定結果出力部35は、状態判定部34から状態判定結果を取得し、当該状態判定結果を出力する判定結果出力手段である。判定結果出力部35は、例えば冷凍機状態判定装置30が備える液晶モニタなどで構成される出力部に状態判定結果を出力する。
次に、図14を用いて、冷凍機状態判定装置30を含む冷凍機状態判定システム1の動作を説明する。
まず、集音装置20は、アナログ信号である冷凍機10の動作音を集音し、集音した動作音をデジタル信号に変換することで、音響信号をデジタル信号として取得する(ステップS1)。次に、音響信号取得部31は、集音装置20から音響信号(冷凍機10の動作音の信号の大きさの時系列データ)を取得する(ステップS2、音響信号取得ステップ)。次に、音響特徴データ抽出部32は、音響信号取得部31から音響信号を取得し、具体的に判定したい内容(例えば冷媒の漏れ量及び特定の部材の摩耗度を示す状態等)に応じて予め定められた周波数成分の信号強度の時系列データ(音響特徴データ)を、例えば短時間フーリエ変換及び連続ウェーブレット変換等の解析を行うことにより、上記音響信号から抽出する(ステップS3、音響特徴データ抽出ステップ)。
続いて、状態判定部34は、音響特徴データ抽出部32から音響特徴データを取得し、当該音響特徴データに基づいて冷凍機10の状態を判定する(ステップS4、状態判定ステップ)。具体的には、状態判定部34は、例えば従来のクラスタリング解析手法等により、上記音響特徴データと、教師データ保持部33が予め保持する教師データとを比較することによって、冷凍機10の状態を判定し、状態判定結果を判定結果出力部35に出力する。最後に、判定結果出力部35が、状態判定部34から状態判定結果を取得し、例えば冷凍機状態判定装置30が備える液晶モニタなどで構成される出力部に当該状態判定結果を出力する(ステップS5、判定結果出力ステップ)。
以上のように、本実施形態に係る冷凍機状態判定システム1では、集音装置20により、計測対象の冷凍機10の外部において、周囲の騒音の影響を抑制し、冷凍機10の動作音をより正確に集音できる。そして、冷凍機状態判定装置30が、集音装置20が集音した動作音に基づいて冷凍機10の状態をより高い精度で判定することができる。また、このように冷凍機状態判定装置30では、集音装置20により集音された冷凍機10の動作音を解析することにより、専用の振動センサ(加速度ピックアップ)を用いることなく、安価かつ容易に冷凍機10の状態を判定することができる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形が可能である。
例えば、本実施形態では、集音装置20が、計測対象機器を冷凍機10とする冷凍機状態判定システム1に用いられる例について説明したが、必ずしも計測対象機器を冷凍機10とする必要はなく、冷凍機状態判定装置30を備える必要はない。集音装置20は、冷凍機状態判定システム1に用いられてもよいし、その他の計測対象機器を対象とした任意の判定システムに用いられてもよい。すなわち、集音装置20は、計測対象機器の動作音を用いる任意のシステムに用いられてもよい。
10…冷凍機(計測対象機器)、20(20A〜20D)…集音装置、21…マイク、21A…集音面(マイクの集音機能を有する部分)、21B…マイク胴部、21C…マイクケーブル、22…本体部、221…マイク支持部、221A…開口部、222…遮音部、222A…第1の側面部、222B…開口端、223A…第2の側面部、30…冷凍機状態判定装置、31…音響信号取得部、32…音響特徴データ抽出部、33…状態判定部、34…教師データ保持部、35…判定結果出力部。

Claims (5)

  1. 集音機能を有するマイクと、
    弾性体からなり前記マイクを支持する本体部と、を備え、
    前記本体部は、
    筒状に形成されて、その内側に、当該筒状の一方の開口部に前記マイクの集音機能を有する部分が向くように前記マイクを支持するマイク支持部と、
    前記マイク支持部の前記一方の開口部側に設けられる第1の側面部を有し、当該第1の側面部により当該一方の開口部と繋がる開口端が形成される遮音部と、を有する、
    集音装置。
  2. 前記遮音部の開口端の大きさは、前記一方の開口部の大きさよりも大きく形成される、
    請求項1記載の集音装置。
  3. 前記開口端が計測対象機器の計側面に接触した状態で、前記第1の側面部と前記マイクと前記計側面とで囲まれる第1の閉空間が形成され、
    前記開口端が前記計測対象機器の計側面に接触した状態で、前記第1の側面部が前記第1の閉空間側に押し込まれることにより、当該第1の閉空間内の圧力が減圧され、前記第1の側面部が吸盤として機能する、
    請求項1又は2記載の集音装置。
  4. 前記本体部は、前記第1の側面部を囲むように設けられる第2の側面部を更に有し、
    前記開口端が計測対象機器の計側面に接触した状態で、前記第1の側面部と前記第2の側面部と前記計側面とで囲まれる第2の閉空間が形成され、前記第2の側面部が前記第2の閉空間側に押し込まれることにより、当該第2の閉空間内の圧力が減圧され、前記第2の側面部が吸盤として機能する、
    請求項1又は2記載の集音装置。
  5. 前記マイクは、計測対象機器の計側面に設けられたコード情報を光学的に読み取り、読み取った結果に応じた出力を行うコード読み取り手段を有する、
    請求項1〜4の何れか一項記載の集音装置。
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