JP2014093376A - 薄膜光電変換装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率の光電変換デバイスを低価格で作製することができる製造方法を提供する。
【解決手段】基板1は表面に凹凸構造2を有し、透明電極層3は光電変換ユニット側表面に、二乗平均平方根粗さ(Rq)が70nm以上140nm以下の凹凸構造を有し、前記光電変換ユニットは透明電極層3側から順に、光入射側光電変換ユニット4−1と裏面側光電変換ユニット4−2とを有し、裏面側光電変換ユニット4−2は、光入射側光電変換ユニット4−1側から裏面側p型半導体層4−2a、裏面側i型半導体層4−2b、裏面側n型半導体層4−2cをこの順に有する。裏面電極5を形成後に裏面電極5側からレーザー光を照射することにより、裏面側i型半導体層4−2bまで達する分離溝6を形成する工程を有し、前記レーザー光は、波長が340nm以上370nm以下、かつ、パルス幅が5ナノ秒以上20ナノ秒以下の条件で照射される。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の光電変換ユニットを有する薄膜光電変換装置の製造方法に関する。
近年、光電変換装置の低コスト化が求められる中、薄膜化が可能な薄膜光電変換装置に関する研究が精力的になされている。薄膜光電変換装置として、基板の一主面上に透明電極層、pin型半導体層を含む光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有するものが一般的に用いられており、より広範囲の波長の光を吸収し、光閉じ込め効果を向上させるため、光電変換ユニットを非晶質/結晶質などの多接合にすることが行われている。
また光閉じ込め効果を向上させるため、透明電極層をスパッタなどにより形成して、表面に凹凸構造を形成することが一般的になされており、さらなる光閉じ込め効果の向上のために、特許文献1のように、基板と透明電極層の間にナノインプリント法にて凹凸構造を有する凹凸層を形成することもなされている。
一方、薄膜光電変換装置としては、透明電極層、光電変換ユニット、裏面電極などの光電変換層に分離溝を形成して集積化を行った集積型の光電変換装置が一般的に用いられている。例えば基板として大面積のガラス基板を用い、該基板上に製膜した光電変換層に対して集積化を行うことにより、分離溝にて分離された各単位セルが多数直列接続した構造を形成することができ、量産効率を向上させることができる。この際、裏面電極と光入射側電極(透明電極層、集電極など)との接続部を形成するために裏面電極に分離溝を形成する(メタルスクライブともいう)必要がある。
分離溝は、レーザー加工などにより形成され、一般的に低コストの可視光レーザーなどが用いられているが、可視光レーザーは裏面電極により反射されるため、通常、光入射側(すなわち基板の一主面とは反対面側)から照射される。しかしながら例えば表面に凹凸構造を有する透明電極層を用いた場合など光入射側に凹凸構造を有する場合、光入射面からのレーザー照射により、凹凸部分にてレーザー光が散乱され、加工精度が低下し、また加工位置周辺が散乱光により加熱されて変質し、発電効率が低下するといった問題点がある。
これを解決するため、裏面電極側からレーザーを照射して分離溝を形成する検討がなされており、例えば特許文献2、3では、凹凸構造が形成された透明電極層上に光電変換ユニット(トップ層/ボトム層)を有する薄膜光電変換装置に関し、裏面電極側からピコ秒オーダーの短パルスのレーザーを照射して分離溝を形成する旨が記載されている。
特許文献2では、裏面側からレーザー照射してトップ層である非晶質i層まで達する分離溝を形成後、裏面電極を形成し、光入射側からレーザー照射して裏面電極分離溝を形成する旨、また特許文献3には、1ナノ秒未満のピコ秒オーダーでレーザー照射してボトム層である結晶質i層にまで達する溝を形成することで、透明電極層が凹凸を有する場合でも、高い絶縁抵抗を実現、即ちpn間の漏れ電流を抑制でき、発電効率を低下させることなく分離溝を形成出来る旨が開示されている。
特開2011−129288号公報 特開2010−251428号公報 特開2012−38902号公報
特許文献2,3では、基板上に二乗平均平方根粗さ(Rq)≒50nm程度と小さい透明電極層を形成したものを用いているが、この上に非晶質層/結晶質層などのタンデム構造の光電変換ユニットを形成した場合、当該光電変換ユニットへの影響も少ないと考えられる。
一方、凹凸が大きい基板を光入射側に有する光電変換装置においては、光電変換ユニットにも凹凸が形成され(即ち凹凸の影響が及ぶ)、例えば特許文献2のように非晶質層まで達する溝を形成すると、凹凸の影響が大きく、光が散乱してしまうと考えられる。従って、裏面電極形成後に裏面側からレーザー照射する場合であっても、凹凸により太陽電池特性に大きく影響を及ぼされると考えられる。また特許文献3においても凹凸が大きい場合、ボトム層である結晶質層にも凹凸が形成され、裏面側から照射した場合、凹凸による散乱が起こると考えられる。
また特許文献2、3のようにピコ秒オーダーの短パルスのレーザーを用いた場合、非常にコストが高く、実用化が困難といった問題がある。以上のように、これまで凹凸が大きい基板を有する場合のメタルスクライブの条件について何ら検討がなされていなかった。
本発明では、大きな凹凸構造が形成された基板を有する光電変換装置に対して、所定の条件で裏面側からレーザー照射して分離溝を形成することにより、高効率の光電変換デバイスを低価格で作製することを目的とする。
上記課題を解決する為に、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、裏面側から所定の条件にてレーザー照射して分離溝を形成することにより、大きな凹凸構造が形成された基板を有する薄膜光電変換装置を用いた場合も、特性が高い光電変換装置が低コストで作製できることを見出した。
すなわち、本発明は以下に関する。
基板の一主面側に、透明電極層、少なくとも2つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜光電変換装置の製造方法であって、前記基板は、表面に凹凸構造を有し、透明電極層は、前記光電変換ユニット側表面に、二乗平均平方根粗さ(Rq)が70nm以上140nm以下の凹凸構造を有し、前記光電変換ユニットは、前記透明電極層側から順に、光入射側光電変換ユニットと裏面側光電変換ユニットとを有し、前記裏面側光電変換ユニットは、前記光入射側光電変換ユニット側から裏面側p型半導体層、裏面側i型半導体層、裏面側n型半導体層をこの順に有し、前記裏面電極形成後に裏面電極側からレーザーを照射することにより、前記裏面側i型半導体層まで達する分離溝を形成する工程を有し、前記レーザーは、波長が340nm以上370nm以下、かつ、パルス幅が5ナノ秒以上20ナノ秒以下の条件で照射されたものであり、前記裏面側光電変換ユニットの基板側表面と前記分離溝底部の間の厚み(d)が0.2μm以上1.2μm以下である、薄膜光電変換装置の製造方法。
前記基板は、透明基板の一主面側に凹凸層を有し、前記凹凸構造は、前記凹凸層の表面上に形成されたものであることが好ましい。
前記裏面側i型半導体層は、結晶質シリコン系半導体層を有することが好ましい。
また前記の製造方法により作製した薄膜光電変換装置を用いることが好ましい。
本発明によれば、所定のレーザースクライブ法により裏面電極側から厚みを制御して分離溝を形成することにより、高低差の大きな凹凸構造が存在する薄膜光電変換装置においても凹凸による光の散乱を抑制できるため、光電変換装置特性の劣化を防止することができる。その結果、光電変換装置特性のうち、特に短絡電流を向上させることが可能となる。また上記のように厚みを制御することなどにより、ナノ秒オーダーのパルスのレーザーを用いた場合であっても精度良く分離溝を形成できるため、低コストで高効率な薄膜光電変換装置を作製することが可能となる。
本発明の一実施形態における薄膜光電変換装置の断面概略図である。 本発明の一実施形態における薄膜光電変換装置の分離溝の断面拡大図である。 本発明の一実施形態における薄膜光電変換装置の分離溝の断面概略図である。 本発明の一実施形態における集積型薄膜光電変換装置の断面概略図である。
本発明は、基板の一主面側に、透明電極層、少なくとも2つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜光電変換装置の製造方法であって、前記基板は、表面に凹凸構造を有し、透明電極層は、前記光電変換ユニット側表面に、二乗平均平方根粗さ(Rq)が70nm以上140nm以下の凹凸構造を有し、前記光電変換ユニットは、前記透明電極層側から順に、光入射側光電変換ユニットと裏面側光電変換ユニットとを有し、前記裏面側光電変換ユニットは、前記光入射側光電変換ユニット側から裏面側p型半導体層、裏面側i型半導体層、裏面側n型半導体層をこの順に有し、前記裏面電極形成後に裏面電極側からレーザーを照射することにより、前記裏面側i型半導体層まで達する分離溝を形成する工程を有し、前記レーザーは、波長が340nm以上370nm以下、かつ、パルス幅が5ナノ秒以上20ナノ秒以下の条件で照射されたものであり、前記裏面側光電変換ユニットの基板側表面と前記分離溝底部の間の厚み(d)が0.2μm以上1.2μm以下である、薄膜光電変換装置の製造方法に関するものである。
以下、本発明に係る薄膜光電変換装置の代表的な態様を説明する。
図1に本発明の一実施形態に係る薄膜光電変換装置の代表的な模式図を示している。基板10上に、透明電極層3、光電変換ユニット4、裏面電極5が形成されている。
図1においては、基板10として、前記透明基板1の一主面上に凹凸層2を形成したものを用いている。なお、本発明においては、図1のように、基板の一主面側と反対面側(下側)を光入射側、裏面電極側(上側)を裏面側ともいう。
本発明においては、前記透明基板1を含み、表面に凹凸構造を有する基板10を用いる。基板10は、前記透明基板1の一主面上に凹凸層2を有することが好ましい。この場合、後述のように、凹凸層2により、基板10の表面に凹凸構造を形成することができる。なお、透明基板1自体の表面に凹凸構造を形成しても良い。
上記透明基板1については、紫外〜赤外の波長範囲で透明であり、且つ耐熱性に優れるという観点からガラス基板などを使用することが好ましい。ガラス基板としては無アルカリガラスやソーダライムガラスなどが挙げられるが、特にこれらの種類に限定されるものではない。
上記透明基板1上に凹凸層2を形成する方法としては、特に限定されないが、インプリント技術がもっとも簡便でパタニングの再現性が高い方法として使用できる。インプリント技術は、所望するパターンの反転パターンをモールドに作製し、モールドのパターンを基板に転写することで基板上にパターンを形成する方法であり、モールドのパターンをナノメートルレベルの微細にすることで、ナノ凹凸構造の形成が可能である。
また透明基板とモールドの温度を設定することで、透明基板として熱可塑性樹脂などの低融点材料やガラスなどの高融点材料を用いた場合にも凹凸構造を形成することができる。モールドの材質は、特に限定されないが、熱による劣化や変形が少なく、複数回のインプリントに耐えられる材質のものが好ましく、例えばシリコンやニッケル、モリブデンなどの金属材料も使用可能である。光で硬化する場合には高透過性ガラスのモールドを使用することで対応することが可能となる。
モールドを形成する方法としては、例えば、単結晶シリコン基板をアルカリ処理して該基板に凹凸構造を作ることにより作製することが出来る。モールドには公知の離型剤を用いて表面処理することで、パターン形成時の不良が低減し、凹凸構造を精度よく転写可能であり、また複数回使用時のモールドの耐久性が向上する。
上記モールドには、一般的な凹凸構造を有するものを使用することができ、例えばピラミッド型や逆ピラミッド型、円柱型やライン&スペース型などがあるが、本発明においてはいずれの形状でも使用できる。
凹凸層2の屈折率は、500nmの波長で測定される値として1.55〜2.25が好ましく、1.60〜2.05の範囲にあることがより好ましい。このような特性に加えて、耐熱性と広い波長領域での高い透明性の観点から無機材料を主成分として構成されることが好ましい。中でも、酸化アルミニウム・酸化マグネシウム・酸化珪素・酸化チタンの中から1種類以上選択した材料を有することがより好ましい。
凹凸層2を形成するための材料としては、特に限定されないが、各金属の有機金属化合物を用いることで容易に形成できるため、好ましい。有機金属化合物としては例えば各種カップリング剤があり、その高分子状化合物でも構わない。このような高分子状化合物としてはシロキサン結合を主鎖とする化合物などが代表例として挙げられる。
透明基板1と透明電極層3の間に、透明基板1と透明電極層3の中間的な値の屈折率を有する凹凸層2を設けることで、透明基板1/凹凸層2、および凹凸層2/透明電極層3の各界面で、光の反射を抑制することが可能となる。さらに凹凸形状が存在することで、界面での光の全反射を抑制することができるため、結果として光線透過率の向上が可能となる。屈折率の測定は特に限定はないが、例えば分光エリプソメーターを用いて測定することが出来る。
凹凸層2の材料を透明基板1上に配置する方法としては、例えば塗布などが挙げられ、塗布はスピンコートやディッピング、ロールコート、スプレーコートなど任意の手法が可能である。このとき、無溶媒で塗布することが好ましいが、溶媒を用いる場合には高級アルコールなどの室温での揮発性が低いものなどを好ましく用いることができる。これにより、塗布液を塗布した直後の乾燥を防ぐことができる。
塗布後は溶媒を除去する為の予備加熱を、溶媒の沸点±20℃で行うことが好ましい。この範囲とすることにより、材料の酸化・硬化の促進を防ぐことができ、インプリントし易くなる。また溶媒を容易に除去できるため、パターンの消滅などを抑制することができる。なお、材料塗布後の予備加熱は省略することもできる。
上記のような塗布液を基板上に塗布した後、その上にモールドをのせて、上述したように加熱・加圧することにより、モールド表面の凹凸構造を塗布材料に転写し、凹凸層2を形成することができる。インプリント後は大気中で200℃〜500℃で焼成することができる。このように焼成を行うことにより、凹凸層の硬化と溶媒の除去を充分に行うことが可能となる。
本発明における凹凸層は、光散乱性を向上させる観点から、表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)が、80nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましい。また250nm以下が好ましく、190nm以下がより好ましい。上記範囲とすることにより、後述するように、透明電極層のRqを容易に所定の範囲にすることが可能となる。
表面の二乗平均平方根粗さは、例えばAFMなどにより測定することが出来る。他にはSEM等の断面画像を座標化して計算することでも算出することができ、これらの値はAFMでの測定結果と概ね一致するものである。
凹凸層3は、表面の凹凸構造の高低差が100〜1000nmが好ましく、300〜800nmがより好ましい。また凸部の頂点間距離が500〜1500nmであることが好ましい。上記範囲とすることで光電変換装置の電気伝導特性を良好に保ったまま所望の光散乱特性を得ることが期待できる。またこの上に形成する透明電極層の表面凹凸構造を大きくすることが出来る。
本発明においては、前記基板10の一主面上に透明電極層3が形成される。透明電極層3は、光電変換ユニット4側の表面のRqが70nm〜140nmを満たす。この範囲とすることにより高い光散乱性が期待できる。中でも太陽電池の構成層間の短絡電流を抑制する観点から、130nm以下が好ましく、120nm以下がより好ましく、110nm以下が特に好ましい。
凹凸層2上に設けられる透明電極層3は、350〜1500nmの波長領域において高い透明性を示し、且つ導電性のものであれば制限なく使用可能であるが、光電変換装置の作製時にかかる熱履歴の観点から、酸化物を用いることが好ましく、特には酸化亜鉛を主成分とする透明導電性酸化物や、酸化インジウム、インジウム−錫複合酸化物、インジウム−モリブデン複合酸化物、インジウム−チタン複合酸化物などが使用できる。ここで「主成分とする」とは、透明電極層3にある成分を50%より多く含むことを意味し、70%以上含むことが好ましく、90%以上含むことがより好ましい。
透明電極層3は、膜厚が150〜2000nmであることが好ましい。この範囲の膜厚とすることで、導電性と透明性に優れた透明導電層を形成することができる。中でも透明電極層での抵抗損を抑制する観点から700nm以上がより好ましく、透明電極層での光吸収をより抑える観点から、1500nm以下が好ましい。また、本発明における膜厚とは、特に断りの無い限り、凹凸を有する場合、凹凸斜面に対して垂直方向における膜厚を意味する。
透明電極層3の形成方法としては、導電性の観点から化学的気相堆積法(CVD)や物理的気相堆積法(PVD)などの気相堆積法が好ましい。具体的にはCVDであれば、気化した有機金属化合物と水や酸素との反応による有機金属CVD(MOCVD)やプラズマCVDがある。PVDであれば、透明電極材料をアルゴンイオンでスパッタするマグネトロンスパッタリングやパルスレーザ堆積や反応性イオン蒸着などがあるが、生産性の観点からマグネトロンスパッタリングが好ましい。
マグネトロンスパッタリングにより製膜することで、凹凸層2の形状を光電変換ユニットにそのまま反映させることが可能となる。すなわち、透明電極層3の表面に、凹凸層2のRq、凹凸高さ、または凸部間の距離などをある程度反映させた凹凸構造を容易に形成することが可能となり、その上に形成する光電変換ユニット4に反映させることができる。これは、マグネトロンスパッタリング法がプロセスの性質上凹凸層の全ての面から均一に成長させることが可能であり、従って、凹凸形状をそのままトレースできる為である。
また、透明電極層3として、結晶性や配向性が異なる複数の層を積層することで、凹凸層2上にさらに微細な凹凸を形成してもよい。デバイス設計に拠るが、これにより凹凸層2のみよりもさらに広い波長領域において光学特性の向上が予想される。
ここで、本発明における光電変換装置は、少なくとも2つ以上の光電変換ユニットを含み、透明電極層側から光入射側光電変換ユニットと、p型半導体層,i型半導体層,n型半導体層をこの順に含む裏面側光電変換ユニットと、をこの順に有する。この際、2つ以上の異なる光電変換ユニットより形成することが好ましい。「2つ以上の異なる光電変換ユニット」とは、バンドギャップが異なる2つ以上の光電変換ユニットを意味し、通常、i型半導体層のバンドギャップを意味する。これにより広い波長領域の光を吸収することが可能となる。
本発明において前記裏面側光電変換ユニットは、前記光電変換ユニットの裏面電極側表面に形成される。この際、裏面側光電変換ユニットは、裏面電極に接するように形成されることが好ましい。また裏面側光電変換ユニットは、結晶質光電変換ユニットであることが好ましく、i型半導体層として、結晶質シリコン系半導体層を用いることが好ましく、i型微結晶シリコン(μc−Si)層を用いることがより好ましい。
光電変換ユニット4としては、具体的には、p−i−n接合からなるシリコン半導体積層構造体を用い、このような光電変換ユニットを2層以上、直列接続となるように配置して構成することが好ましい。
各々の半導体層は、プラズマCVD法により好適に作製することができる。プラズマCVD法とは、シランガスをシリコン材料と用い、プラズマエネルギーを利用してシリコンを形成する方法であり、p型層やn型層の製膜には、それぞれジボランやホスフィンなどのガスを適量添加することで可能となる。
上記のように2つ以上の光電変換ユニットを直列接続する場合には、ワイドバンドギャップの光入射側光電変換ユニット4−1を光入射側に配置し、その上にナローバンドギャップの裏面側光電変換ユニット4−2を配置することが好ましい。光電変換ユニット4としては、非単結晶シリコンを用いることが好ましく、中でも多結晶シリコンや非晶質シリコンを好ましく用いることができる。この際、p/i/nで結晶構造が異なっても構わない。なお、非晶質あるいは結晶質のシリコン系材料としては、半導体を構成する主要元素としてシリコンのみを用いる場合だけでなく、炭素、酸素、窒素、ゲルマニウムなどの元素をも含む合金材料であってもよい。
この場合、例えば、光入射側光電変換ユニット4−1として非晶質シリコンからなる光電変換ユニットを、裏面側光電変換ユニット4−2として微結晶シリコンからなる光電変換ユニットを配置することができる。上記光入射側光電変換ユニット4−1や裏面側光電変換ユニット4−2以外に、例えば光入射側光電変換ユニットと裏面側光電変換ユニットの間に、さらに1つ以上の光電変換ユニットを配置してもかまわない。
これら複数の光電変換ユニット間には、透明中間層を形成し、光の反射と透過を選択的に行う層を設けることができる。これにより、上記の例では光入射側光電変換ユニット4−1に取り込まれる光をより多くすることができ、さらに透過した光で裏面側光電変換ユニット4−2の発電に寄与することができる。なお本発明における「結晶質」は、多結晶及び微結晶を包含する。また、用語「結晶質」及び「微結晶」は、部分的に非晶質を含むものをも意味するものとする。
透明電極層3と光電変換ユニット4の間には、電気的なコンタクトの改善を目的とした層を設けることができる。この層としては、光電変換ユニットよりもバンドギャップの広い半導体層を用いると、透明電極層と光電変換層の界面付近での電子−正孔の再結合を抑制できる。その結果、光電変換層で生成した電子−正孔を電極に効率よく取り出すことが可能となり、結果として変換効率を向上することが可能となり好ましい。この様な半導体としては例えばp型シリコンカーバイドなどが挙げられる。
こうして設けられた光電変換ユニット4上に裏面電極5を形成する。裏面電極5は、例えば図2に示すように、透明導電性酸化物層5−1と裏面金属電極層5−2の2層を設けることができるが、さらに他の層を設けて、2層以上の層で形成することもできる。
本発明においては、前記光電変換ユニット4の裏面側(光入射側と反対側)に裏面電極5を形成する。裏面電極としては、透明導電性酸化物層5−1と裏面金属電極層5−2をこの順に有することが好ましい。
透明導電性酸化物層5−1は、光電変換ユニット4を形成するシリコンと、裏面金属電極層5−2を形成する金属原子の相互拡散を抑制する為に用いられる。また光の干渉を起こすことで、任意の波長の光を強めて、光電変換装置特性を向上させるために用いられる。透明導電性酸化物層5−1としては、例えば酸化インジウムや酸化亜鉛、酸化チタンなどを含有するものを用いることができる。
透明導電性酸化物層5−1は、膜厚を25〜120nmの範囲で設けることが好ましい。さらには30〜85nmの範囲が光学的に好ましい。この範囲の膜厚とすることで、光学的な効果や、導電性・コストの面で好ましいだけでなく、裏面金属電極層5−2に用いる金属原子と、光電変換ユニット4を形成するシリコン原子との原子拡散を抑制するバリア層の役割を果たすことができるため好ましい。
裏面金属電極層5−2は、充分に導電性が高く、且つ光電変換ユニット4を通過してきた光を反射して、再び光電変換ユニット4に入れるために、反射率が高いものが好ましい。このような材料として例えば銀やアルミニウムなどが挙げられる。
裏面金属電極層5−2の膜厚は、裏面まで到達した光を反射して再度光電変換ユニットへ送り返す効果を有効に機能させる観点から、150nm以上が好ましく、200以上nmがより好ましい。また、裏面金属電極層に使用する金属コストを抑制する観点から300nm以下が好ましい。
ここで、図3,4に示すように、薄膜光電変換装置としては、一般的に透明電極層3、光電変換ユニット4、および裏面電極5が、透明電極層分離溝31,光電変換ユニット分離溝41,裏面電極51によって、複数の光電変換セルに分離された集積型薄膜光電変換装置が好ましく用いられる。図4においては、透明電極層分離溝31a,31b、光電変換ユニット分離溝41a,41b、裏面電極分離溝51a,51bにより複数の光電変換セル7a,7b(単位セルともいう)に分離されている。
透明電極層分離溝31や光電変換ユニット分離溝41は、通常、裏面電極形成前にレーザースクライブやメカニカルスクライブ等により形成される。裏面電極分離溝51(分離溝ともいう)は、裏面電極形成後に形成される。この際、本発明では大きな凹凸構造を有する基板を用いているため、光入射側からレーザー照射すると、光の拡散が生じ、太陽電池特性が低下してしまう。
そこで、本発明においては光入射面とは反対側である裏面側を照射面としてレーザーを照射し、裏面電極を含む薄膜光電変換装置の一部を除去するメタルスクライブを行うことにより裏面電極分離溝51(分離溝ともいう)を形成する。ここで「分離溝」とは特に断りの無い限り、裏面電極分離溝を意味するものとする。
この際、分離溝51は、裏面側光電変換ユニットにおける裏面側i型半導体層に達するように形成される。本発明においては、図2に示すように、前記裏面側光電変換ユニットの基板側表面と前記分離溝底部の間の厚み(d)が0.2μm以上1.2μm以下である。
ここで、本発明のように高低差の大きな凹凸構造を有する光電変換装置においては、レーザー光を照射した際、凹凸構造付近への影響が大きい。しかしながら上記のように裏面側光電変換ユニットの厚みを調整して分離溝を形成することにより、高低差の大きな凹凸構造を有する光電変換装置を用いた場合であっても、分離溝形成部分における凹凸構造の影響が小さくなるため、凹凸構造における光の散乱を抑制でき、裏面電極を電気的に有効に分離することが可能となる。
また、高低差の大きな凹凸構造を有する場合に生じうる分離溝部分での短絡を抑制効果も期待できる。さらに、従来のような光入射側からの照射では問題となっていた分離溝形成位置からガラス面までに存在する透明電極層や光入射側光電変換ユニットなどへのダメージを抑制しながら、分離溝を形成できることができる。中でも加工のばらつきの影響による歩留まりの低下を抑制する観点から、dは0.3μm以上1.0μm以下が好ましく、0.5μm以上0.7μm以下がより好ましい。
ここで「裏面側光電変換ユニットの基板側表面」とは、裏面側p型半導体層の光入射側表面を意味する。また「分離溝底部」とは、裏面電極分離溝の溝の深さを意味し、底部が平坦で無い場合は、深さが最も深い部分を意味する。またdは、図2に示すように、前記裏面側光電変換ユニットの基板側表面と前記分離溝底部の間の厚みを意味する。裏面側光電変換ユニットの基板側表面が凹凸構造を有する場合、裏面側光電変換ユニットの基板側表面は、ある幅における凹部と凸部の中央値となる平面を意味し、dは当該中央値と分離溝底部の間の厚みを意味するものとする。このような中央値は、どのように測定してもよいが、例えば基板面に対して垂直に切り出した断面をSEMまたはTEMで観察し、基板面に垂直な方向の距離として測定することが可能であり、例として幅30μmの断面観察結果から中央値を算出することができる。
上記分離溝の厚み、即ち溝の深さは、裏面側光電変換ユニットの厚みにより適宜調整すればよい。裏面側光電変換ユニットの厚みは、1〜3μm程度が好ましく用いられるため、分離溝の深さとしては、0.5〜2μm程度が好ましい。なお、上記のようにdを調整することにより、後述するように、比較的パルス幅の大きいナノ秒オーダーのレーザーを用いた場合であっても容易に分離溝を形成することができる。
前記分離溝は、レーザーを照射することにより、形成することができる。この際、レーザーとしては、波長340nm以上370nm以下のものを用いる。このような波長のレーザーを用いることにより、裏面電極での反射を抑えて分離溝を形成することができる。上記を満たすレーザーとしては、YVO4の第三高調波などが挙げられる。
この際、パルス条件としては、5ナノ秒以上20ナノ秒以下が好ましい。これによりピコ秒などのさらに短パルスのレーザーを使用する場合と比較して、低コストで容易に分離溝を形成することが可能となる。加工に要する時間の短縮、またレーザー掃引速度の抑制によるコスト低減の観点から、レーザーの加工点における照射パワーは0.1W〜2Wが好ましく、0.2W〜1Wがより好ましく、0.2W〜0.7Wがさらに好ましい。
前記分離溝の幅は、光電変換装置の発電に寄与する発電領域の面積を出来る限り大きくする、すなわち発電に寄与しない分離溝部分の面積を低く抑え、また電気的に有効な分離溝を形成することができる観点から、30μm以上100μmが好ましい。
以上のように分離溝を形成することにより、裏面電極の一部を周囲の裏面電極から電気的に切り離すことができる。分離溝の深さはレーザーの照射時の掃引速度を変えることや、レーザーの照射パワーを調節することにより、適宜変更することができる。
切り離した領域(非光電変換部ともいう)に対してさらにレーザースクライブを行った後、図1に示すように、配線部材を半田付けすることにより光入射面側の透明電極層3と電気的に接続し、薄膜光電変換装置を作製することができる。
すなわち半田付けにより光入射側配線部材8−1と透明電極層3、また裏面側配線部材8−2と裏面金属電極層5−2を接続することで、配線部材を通して発電した電力を取り出すことが可能となる。
上記のようにして、本発明における薄膜光電変換装置を作製することができる。
以下に、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
白板ガラスからなる透明基板1の一主面上に、ナノインプリント法により表面に凹凸構造を有する凹凸層2を形成して基板10を形成した。具体的にはシロキサン結合を主鎖とするゾル・ゲル材料をスピンコート法により塗布し、ホットプレート上で加熱することにより残溶媒量を調整、その後凹凸構造を形成したシリコン製の母型を材料塗布面に押し当てて母型の凹凸構造を転写し、オーブンで焼成することにより透明基板上に凹凸層を形成した。形成した凹凸層表面を原子間力顕微鏡(AFM、パシフィックnanotech社製nano―R)により観察したところ、二乗平均平方根粗さ(Rq)は150nmであった。なお、AFM観察は局所的な凹凸の影響を排除するために5μm角のサイズで実施した。
続いて0.9μmの膜厚を有するSnO2からなる透明電極層3を熱CVD法により形成した。透明電極層3上に、光入射側光電変換ユニットとしての非晶質シリコン薄膜光電変換ユニット4−1、裏面側光電変換ユニットとしての微結晶シリコン薄膜光電変換ユニット4−2をこの順序で形成した。具体的には、光入射側光電変換ユニット4−1、裏面側光電変換ユニット4−2のそれぞれについて、光入射側または裏面側p、i、n型半導体層として、各々p型層、ノンドープの光電変換層、およびn型層を、この順序でプラズマCVD法によって形成した。この際、透明電極層3表面のRqは80nmであった。
光入射側光電変換ユニット4−1に含まれるノンドープの非晶質シリコン光電変換層(光入射側i型半導体層)は、200℃の基板温度のもとでRFプラズマCVD法によって堆積し、その膜厚は250nmとした。また、裏面側光電変換ユニット4−2に含まれるノンドープの微結晶シリコン光電変換層(裏面側i型半導体層)は180℃の下地温度のもとでRFプラズマCVD法によって堆積し、その膜厚は2.0μmとした。
なお、本発明においては、実施例あるいは比較例における薄膜の膜厚は、ガラス基板上に同条件にて製膜された薄膜の膜厚を、分光エリプソメトリー(商品名M2000、ジェー・エー・ウーラム社製)にて測定することにより求められた製膜速度から算出された値である。
光電変換ユニット4を形成後、透明導電性酸化物層5―1として、スパッタ法にてZnO層5―1を90nm形成後、同じくスパッタ法にて裏面金属電極層5―2として金属電極であるAg層5―2を250nm形成し、金属電極を含む裏面電極5を形成した。
裏面電極5形成後、レーザー加工機(Trumpf製TruMark6330)によりYVO4の第三高調波レーザ(波長355nm)を裏面電極側から照射し、裏面電極および裏面側光電変換ユニットの一部が除去された深さ1.5μm、すなわち裏面側光電変換ユニットの膜厚d=0.5μmの分離溝51を形成し、発電領域が1cm2になるように加工を行った。使用したレーザーのパルス幅は9ナノ秒であった。レーザーの照射条件は、パルス周波数30kHz、加工点におけるパワー0.3Wとし、レーザーの掃引速度は500mm/sとした。
最後に、図1に示すように光入射面側配線部材8−1を半田づけすることにより透明電極層3と電気的に接続し、また裏面側配線部材8−2を裏面金属電極層5−2と電気的に接続した。以上のようにして多接合型薄膜光電変換装置を作成した。
(実施例2)
実施例2では、ナノインプリント時において実施例1と異なる母型を使用した以外は、実施例1と同条件で薄膜光電変換装置を作製した。その結果、凹凸層のRqが180nm、透明電極層のRqが120nmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(実施例3)
実施例3では、分離溝の深さが1.7μm、すなわち裏面側光電変換ユニットの膜厚d=0.3μmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(比較例1)
比較例1では、インプリント時に実施例1と異なる母型を使用した結果、凹凸層のRqが20nm、透明電極層のRqが40nmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(比較例2)
比較例2では、インプリント時に実施例1と異なる母型を使用した以外は、実施例1と同条件で薄膜光電変換装置を作製した。その結果、凹凸層のRqが50nm、透明電極層のRqが60nmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(比較例3)
比較例3では、インプリント時に実施例1と異なる母型を使用した結果、凹凸層のRqが200nm、透明電極層のRqが150nmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(比較例4)
比較例4では、分離溝の深さが0.5μm、すなわち裏面側光電変換ユニットの膜厚d=1.5μmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(比較例5)
比較例5では、分離溝の深さが0.7μm、すなわち裏面側光電変換ユニットの膜厚d=1.3μmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
(比較例6)
比較例6では、分離溝の深さが2μm、すなわち裏面側光電変換ユニットの膜厚d=0.0μmである点においてのみ実施例1と異なっていた。
表1に実施例と比較例の光電変換装置特性の測定結果を示す。
実施例1,2と比較例1,2を比較すると、透明電極層のRqが40nm,60nmと小さい比較例1,2に対し、Rqが80nm,120nmと大きい実施例1,2では、短絡電流(Isc)が増加し、それに伴い太陽電池特性も向上した。これは、実施例1,2では、光閉じ込め効率が向上したためと考えられる。
一方、実施例1,2と比較例3を比較すると、実施例1,2は、透明電極層のRqが150nmと非常に大きい比較例3と比べてIscは少し増加し、FFは大きく増加した。これは、Rqを所定の大きさとすることにより、出力が最大となる条件付近での電流特性や、電圧特性が良好となるためと考えられる。
以上より、透明電極層のRqは、70nm〜140nm程度が良いと考えられる。また実施例1と2との比較より、実施例1の方が実施例2よりも変換効率が向上していることから、70〜100nm程度がより良いと考えられる。
また実施例1,2、比較例3〜6では、凹凸層と透明電極層のRqに相関が見られ、凹凸層のRqよりも透明電極層のRqの方が小さくなった。これは透明電極層が製膜される際、凹んだ領域は尖った領域より相対的に速く膜が成長するため、製膜が進むに従って凹凸層表面の高低差を減少させるためと考えられる。一方、比較例1,2では凹凸層のRqよりも透明電極層のRqが大きくなったが、これは比較例1,2のように凹凸層のRqが小さい場合には、透明電極層で成長するSnO2の結晶により形成される高低差が凹凸層のRqを上回ったためと考えられる。
実施例1,3と比較例4〜6を比較すると、d=0.0μmである比較例6に比べて、d=0.3μm,0.5μmである実施例3、1では、Voc、Isc、FFが大きくなり、それに伴い変換効率が3%程度向上した。これは、分離溝の形成により、d=0.0μmである比較例6では、その下に形成された光入射側光電変換ユニットまで影響が及んで抵抗発電層や透明電極層の電気伝導性が低下して抵抗損が増加し、その結果発電効率が低下したためと考えられる。
一方、d=0.5μm(実施例1)→1.3μm(比較例5)、1.5μm(比較例4)と増加させるにつれて、Vocの低下はないものの、IscやFFが低下し、変換効率が低下した。これは、分離溝の形成が不十分で裏面側光電変換ユニット内を解して陽極電極から陰極電極へ電流が流れる、リーク路が形成されたためと考えられる。以上より、d=0.2μm〜1.2μmが好ましいと考えられる。
以上のようにして所定のレーザーを用いて所定の条件にて分離溝を形成することにより、光閉じ込め効率を向上させた薄膜光電変換装置を作製できることがわかった。
1 透明基板
2 凹凸層
10 基板
3 透明電極層
4 光電変換ユニット
4−1 光入射側光電変換ユニット
4−2 裏面側光電変換ユニット
4−2a 裏面側p型半導体層
4−2b 裏面側i型半導体層
4−2c 裏面側n型半導体層
5 裏面電極
5−1 透明導電性酸化物層
5−2 裏面金属電極層
51 分離溝
7 はんだ
8−1 光入射面側配線部材
8−2 裏面側配線部材

Claims (4)

  1. 基板の一主面側に、透明電極層、少なくとも2つ以上の光電変換ユニット、裏面電極をこの順に有する薄膜光電変換装置の製造方法であって、
    前記基板は、表面に凹凸構造を有し、
    透明電極層は、前記光電変換ユニット側表面に、二乗平均平方根粗さ(Rq)が70nm以上140nm以下の凹凸構造を有し、
    前記光電変換ユニットは、前記透明電極層側から順に、光入射側光電変換ユニットと裏面側光電変換ユニットとを有し、
    前記裏面側光電変換ユニットは、前記光入射側光電変換ユニット側から裏面側p型半導体層、裏面側i型半導体層、裏面側n型半導体層をこの順に有し、
    前記裏面電極形成後に裏面電極側からレーザーを照射することにより、前記裏面側i型半導体層まで達する分離溝を形成する工程を有し、
    前記レーザーは、波長が340nm以上370nm以下、かつ、パルス幅が5ナノ秒以上20ナノ秒以下の条件で照射されたものであり、
    前記裏面側光電変換ユニットの基板側表面と前記分離溝底部の間の厚み(d)が0.2μm以上1.2μm以下である、薄膜光電変換装置の製造方法。
  2. 前記基板は、透明基板の一主面側に凹凸層を有し、
    前記凹凸構造は、前記凹凸層の表面上に形成されたものである、請求項1に記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  3. 前記裏面側i型半導体層は、結晶質シリコン系半導体層を有する、請求項1または2に記載の薄膜光電変換装置の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により作製した薄膜光電変換装置。
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