JP2014089815A - 放射線発生ユニット及び放射線撮影システム - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線発生管から発生し得る放電を抑制した放射線発生ユニットを提供する。
【解決手段】電子放出源14を備えた陰極11と、電子放出源14から放出される電子の照射を受けて放射線を発生するターゲット17を備えた陽極12と、絶縁性の筒状部材13cを有する真空容器13と、を有する放射線発生管10と、放射線発生管10の温度を検出する測温手段(温度センサー30)と、放射線発生管10の動作状態を出力する動作判定手段64と、前記測温手段により得られた温度測定値と、動作判定手段64により得られた動作状態と、に基づいて放射線発生管10を加熱する加熱手段(ヒーター20)と、を備えることを特徴とする、放射線発生ユニット1。
【選択図】図1
【解決手段】電子放出源14を備えた陰極11と、電子放出源14から放出される電子の照射を受けて放射線を発生するターゲット17を備えた陽極12と、絶縁性の筒状部材13cを有する真空容器13と、を有する放射線発生管10と、放射線発生管10の温度を検出する測温手段(温度センサー30)と、放射線発生管10の動作状態を出力する動作判定手段64と、前記測温手段により得られた温度測定値と、動作判定手段64により得られた動作状態と、に基づいて放射線発生管10を加熱する加熱手段(ヒーター20)と、を備えることを特徴とする、放射線発生ユニット1。
【選択図】図1
Description
本発明は、放射線発生ユニット及びこの放射線発生ユニットを備えた放射線撮影システムに関する。
一般に、放射線発生管は、電子源を備えた陰極(カソード)と、ターゲットを備えた陽極(アノード)と、これら電極を収納する絶縁性の真空容器と、から構成される。陰極から放出される電子は、陰極と陽極との間に印加される高い電圧により加速されて陽極に衝突する。すると、陽極からX線等の放射線が発生する。放射線発生管は、陽極から発生したX線等の放射線を出力するための機器である。
ところで、電子が陽極に衝突した際には、放射線の他に散乱電子や二次電子が発生する。ここで上記衝突によって発生した散乱電子や二次電子の一部は、絶縁性の真空容器の内面に捕捉される。そして真空容器のうち散乱電子や二次電子を捕捉した部分については、負の電荷が蓄積されていく。ただ、真空容器の材料や表面形状、電子の入射角度等によっては、二次電子の放出係数が1以上となる場合がある。係る場合においては、散乱電子や二次電子を捕捉した部分については正の電荷が蓄積されていく。このようにして、放射線発生管を構成する真空容器の内面には負に帯電した部分、ほとんど帯電しない部分又は正に帯電した部分が形成される。そしてそれらの部分間に生じる電位差が所定のレベル以上に達すると、なだれ状の電子移動、即ち、放電が生じる場合があった。
従来、放射線発生管を構成する真空容器としてガラスが多く用いられてきたが、ガラスよりも機械的強度が優れていることを理由としてセラミックスが用いられることもある。しかし、一般にセラミックスはガラスと比較すると導電率が低いため、電荷の移動が生じ難く帯電が生じやすい。従って、セラミックス製の真空容器を有する放射線発生管においては、放電が比較的発生しやすいという課題があった。
上記課題を解決する方法として、特許文献1に開示されている方法が提案されている。具体的には、セラミックス製の真空容器を有する放射線発生管において、真空容器の内面に釉薬を施す技術が提案されている。特許文献1によれば、釉薬の表面に微細金属粒子を微小間隔で散在させるか、または低導電性の釉薬を施すことで真空容器の内面における帯電を抑制し、放電を抑制することを可能にしている。
しかし、円筒形状の(セラミックス製の)真空容器の内面に、内面の抵抗率が所定の範囲内となるように釉薬を塗布したり、微細金属粒子を散在させたりすることは製造上困難であった。特に、放射線発生管の小型化が近年になって要求されるようになり、真空容器の内径が小さくなる傾向にある。そうすると、釉薬の塗布がよりいっそう困難になり帯電を抑制し得る放射線発生管の製造がより困難となっていた。このため特許文献1にて提案されている方法により釉薬を塗布しようとすると、釉薬の厚みが薄い箇所や微細金属粒子の密度が低い箇所等の帯電しやすい箇所が部分的に形成されることとなり、結局のところ放電が生じる場合があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされるものであり、その目的は、放射線発生管から発生し得る放電を抑制した放射線発生ユニットを提供することである。
本発明の放射線発生ユニットは、電子放出源を備えた陰極と、
前記電子放出源から放出される電子の照射を受けて放射線を発生するターゲットを備えた陽極と、
絶縁性の筒状部材を有する真空容器と、を有する放射線発生管と、
前記放射線発生管の温度を検出する測温手段と、
前記放射線発生管の動作状態を出力する動作判定手段と、
前記測温手段により得られた温度測定値と、前記動作判定手段により得られた動作状態と、に基づいて前記放射線発生管を加熱する加熱手段と、を備えることを特徴とする。
前記電子放出源から放出される電子の照射を受けて放射線を発生するターゲットを備えた陽極と、
絶縁性の筒状部材を有する真空容器と、を有する放射線発生管と、
前記放射線発生管の温度を検出する測温手段と、
前記放射線発生管の動作状態を出力する動作判定手段と、
前記測温手段により得られた温度測定値と、前記動作判定手段により得られた動作状態と、に基づいて前記放射線発生管を加熱する加熱手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、放射線発生管から発生し得る放電を抑制した放射線発生ユニットを提供することができる。
即ち、本発明に係る放射線発生ユニットは、放射線発生管の温度を検出する測温手段を備えている。また本発明に係る放射線発生ユニットは、測温手段を用いて測定された放射線発生管の温度が所定の温度よりも低い場合には、加熱手段を用いて放射線発生管を加熱することができる。そして放射線発生管を加熱することで、放射線発生管を構成する絶縁性の真空容器の内面の抵抗率を所望の抵抗率以下に下げることができる。以上に説明した方法で真空容器の内面の抵抗率を下げることで、真空容器内面の帯電を抑制し当該帯電に起因する放電を抑制することができる。
また本発明に係る放射線発生ユニットは、動作判定手段を備えているため、放射線発生管の動作状態に応じて放射線発生管の加熱を適宜行うことができるため、不要な加熱による無駄な電力消費を回避することができる。
よって、本発明によれば、比較的容易な手段で放電の発生を抑制した、信頼性の高い放射線発生ユニットを提供することができる。
本発明の放射線発生ユニットは、放射線発生管と、測温手段と、動作判定手段と、加熱手段と、を備える。
本発明の放射線発生ユニットにおいて、放射線発生管は、電子放出源を備えた陰極と、電子放出源から放出される電子の照射を受けて放射線を発生するターゲットを備えた陽極と、絶縁性の筒状部材を有する真空容器と、を有する部材である。本発明の放射線発生ユニットにおいて、測温手段とは、放射線発生管の温度を検出する手段である。本発明の放射線発生ユニットにおいて、動作判定手段は、放射線発生管の動作状態を出力する手段である。本発明の放射線発生ユニットにおいて、加熱手段は、測温手段により得られた温度測定値と、動作判定手段により得られた動作状態と、に基づいて放射線発生管を適宜加熱する手段である。
以下、図面を適宜参照しながら本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。尚、図面にて特に図示されていなかったり、又は以下の説明にて説明されなかったりする部分に関しては、当該技術分野の周知技術又は公知技術を適用することができる。
〔放射線発生ユニット〕
図1は、本発明の放射線発生ユニットにおける第1の実施形態を示す模式図である。図1の放射線発生ユニット1は、放射線発生管10と、加熱手段であるヒーター20と、測温手段である温度センサー30と、高圧回路基板40と、を有している。尚、放射線発生管10、ヒーター20、温度センサー30及び高圧回路基板40は、全て収納容器50に収納されている。尚、図1の放射線発生ユニット1には収納容器50の外部に制御系(図1においては、不図示)を備えているが、この制御系については、後述する。
図1は、本発明の放射線発生ユニットにおける第1の実施形態を示す模式図である。図1の放射線発生ユニット1は、放射線発生管10と、加熱手段であるヒーター20と、測温手段である温度センサー30と、高圧回路基板40と、を有している。尚、放射線発生管10、ヒーター20、温度センサー30及び高圧回路基板40は、全て収納容器50に収納されている。尚、図1の放射線発生ユニット1には収納容器50の外部に制御系(図1においては、不図示)を備えているが、この制御系については、後述する。
図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10は、陰極11と、陽極12と、真空容器13と、を有する。
図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する陰極11は、電子放出源14を備えている。電子放出源14としては、タングステンフィラメント、含浸型カソードのような熱陰極又はカーボンナノチューブ等の冷陰極を用いることができる。尚、図1の放射線発生ユニット1において、電子放出源14の近傍には、陰極11側から見て引出し電極15とレンズ電極16とがこの順で設けられている。ここで引出し電極15は、電子放出源14から放出される電子の方向及び速度を制御するために設けられる部材であって、具体的には、一対の電極間から電界を発生させることによって電子放出源14から放出される電子の方向及び速度を制御する。またレンズ電極16は、放出された電子を一定の領域に収束させるために設けられる。レンズ電極16によって収束された電子は、陽極12側に設けられるターゲット17に到達する。尚、ターゲット17の機能については、後述する。
図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する陽極12は、ターゲット17と、ターゲット17を真空容器13内で支持するための支持基板18と、ターゲット17及び支持基板18の周囲を取り囲む放射線遮蔽部材19と、を有する。
ターゲット17は、支持基板18の電子放出源14側の面に設置されている。そして電子放出源14から放出される電子がターゲット17と衝突した際にターゲット17から放射線が発生する。ターゲット17にて発生した放射線は、支持基板18を透過した後、放射線発生管10の外部に放出される。
ターゲット17の構成材料は、融点が高く、かつ電子放出源14から放出される電子を受け取ったときに効率よく放射線が発生する材料が好ましい。例えば、タングステン、タンタル、モリブデン等の金属材料、これら金属材料を複数種類組み合わせた合金等を用いることができる。ターゲット17の厚みは、1μm乃至20μmが望ましい。
支持基板18の構成材料は、ターゲット17を支持できる強度を有し、ターゲット17にて発生した放射線の吸収率が少なく、かつターゲット17にて発生した熱をすばやく外部へ放出できる熱伝導率の高い材料が好ましい。例えば、ダイヤモンド、炭化シリコン、窒化シリコン、窒化アルミニウム等を用いることができる。
放射線遮蔽部材19は、必ずしも設ける必要はないが、ターゲット17から放出された放射線のうち不要な放射線を遮って外部に放出させない場合に設けられる。図1の放射線発生ユニット1において、電子放出源14から放出された電子は、電子の通り路である放射線遮蔽部材19の内周に囲まれる空間を通過してターゲット17に到達する。ここで電子を受け取ったターゲット17から放射線が発生するが、ターゲット17から発生する放射線のうち電子放出源14側に向って散乱した放射線は不要なものとなる。このとき電子放出源14側に向って散乱した放射線は、放射線遮蔽部材19で遮蔽される。
またターゲット17にて発生した放射線のうちターゲット17及び支持基板18を透過した放射線は、放射線遮蔽部材19の内壁に囲まれている空間(放射線の通り路)を通過するが、このとき不要な放射線は放射線遮蔽部材19にて遮蔽される。放射線遮蔽部材19の構成材料は、放射線の吸収率が高く、かつ熱伝導率の高いものが好ましい。例えば、タングステン、タンタル等の金属材料を用いることができる。
図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する真空容器13は、蓋部材である第一金属部材13a及び第二金属部材13bと、第一金属部材13aと第二金属部材13bとの間に配置される筒状部材13cとから構成される。
ここで第一金属部材13aは、陰極11側に設けられる蓋部材であり、陰極11と電気的に接続しているが、本発明においては、第一金属部材13aそのものを陰極としてもよい。また第二金属部材13bは、陽極12側に設けられる蓋部材であり、陽極12と電気的に接続しているが、本発明においては、第二金属部材13bそのものを陽極としてもよい。
一方、筒状部材13cは絶縁性の部材であるが、陰極11と陽極12との間に印加される高い電圧に対して十分な耐圧性を有し、かつ機械的強度に優れた材料から構成されていることが好ましい。筒状部材13cの構成材料として、好ましくは、酸化アルミニウム等のセラミックスである。
二種類の蓋部材(13a、13b)と筒状部材13cとからなる真空容器13により、放射線発生管10の内部は真空に保たれている。放射線発生管10の内部の真空度は、10-4Pa乃至10-8Pa程度である。ここで放射線発生管10には、上述した真空度を実現し維持するために排気管(不図示)を設けてもよい。つまり排気管を設けると、例えば、この排気管を通じて放射線発生管10の内部を排気した後、この排気管の一部を封止することで、放射線発生管10の内部を真空にすることができる。また放射線発生管10の内部には、上述した真空度を維持するためにゲッター(不図示)を適宜配置してもよい。
図1の放射線発生ユニット1において、放射線発生管10を構成する筒状部材13cの外面上には、加熱手段となるヒーター20が設けられている。ヒーター20として、例えば、抵抗加熱ヒーター、赤外線ヒーター等を用いることができる。
図1の放射線発生ユニット1において、筒状部材13cの外面上であって、ヒーター20の近傍には、放射線発生管10の、特に、筒状部材13cの内面温度を測定するための測温手段となる温度センサー30が設けられている。図1の放射線発生ユニット1に使用される温度センサー30としては、公知のものを使用することができる。
図1の放射線発生ユニット1において、ヒーター20(加熱手段)及び温度センサー30(測温手段)を併設するのは、筒状部材13cの内面温度が所定の温度以上になるように加熱制御するためである。ただし、本発明においては、必ずしも筒状部材13cの内面温度を直接測定したり、筒状部材13cの内面を直接加熱したりする必要はない。つまり、図1に示されるように、ヒーター20(加熱手段)及び温度センサー30(測温手段)は、より設置が容易な場所、具体的には、放射線発生管10の外面上もしくはその近傍に設置すればよい。好ましくは、図1に示されるように、筒状部材13cの外面上又はその近傍に設ける。図1に示されるように、二種類の蓋部材(13a、13b)の間に設けられる筒状部材13cの外面上又はその近傍に設ける理由は、筒状部材13cの内面において、散乱電子や二次電子による帯電が生じやすいからである。
ただし、本発明において、ヒーター20(加熱手段)及び温度センサー30(測温手段)の設置態様としては、図1に示される態様に限定されるものではない。尚、ヒーター20(加熱手段)及び温度センサー30(測温手段)の他の設置態様については、後述する。
図1の放射線発生ユニット1において、温度センサー30は、収納容器50内に収納されている情報処理回路31に接続されている。ここで情報処理回路31は、温度センサー30が感知した温度情報を電気信号に変換し、変換した電気信号を高圧回路基板40等の他の回路へ送信する機能を有する回路である。
図1の放射線発生ユニット1において、高圧回路基板40は、放射線発生管10を駆動するために用いる回路基板である。図1中の高圧回路基板40は、少なくとも陰極11と陽極12との間に所定の電圧を印加するために必要な制御回路が含まれている。また高圧回路基板40は、他にも、情報処理回路31から送信された筒状部材13cの温度に関する情報に基づいて陰極11と陽極12との間の印加電圧を制御するための回路等も有していてもよい。本発明において、高圧回路基板40は、図1に示されるように、収納容器50の内部に設けてもよいし、収納容器50の外部に設けてもよい。
図1の放射線発生ユニットにおいて、放射線発生管10、ヒーター20、温度センサー30、高圧回路基板40等の部材は、収納容器50の内部に収納されている。ところで、図1の放射線発生ユニットにおいて、収納容器50の内部に放射線発生管10等に部材を収納すると、収納容器50の内部に空間(余空間)には絶縁性液体51が充填されていてもよい。絶縁性液体51としては、鉱油、シリコーン油等の電気絶縁油やフッ素系電気絶縁液体が用いられる。
また収納容器50には、収納容器50の外部に放射線を取り出すための透過窓52が設けられている。放射線発生管10から放出された放射線は、透過窓52を通過して収納容器50の外部に放出される。透過窓52の構成材料としては、ガラス、アルミニウム、ベリリウム、ポリカーボネート等が用いられる。
次に、本発明において、放射線発生管10を構成する筒状部材13cを加熱する理由について説明する。
図2は、図1の放射線発生ユニットにおける曝射時間と筒状部材の内面の温度及び抵抗率との関係を示すグラフである。尚、図2では、基準温度T1における筒状部材の抵抗率をR1としている。また図2において、抵抗率R1は、筒状部材13cの内面における帯電を抑制するために必要な抵抗率の上限である。
ところで、曝射(X線等の放射線の照射)を行うと、筒状部材13cの内面温度は、図2(a)及び(b)に示される傾向を示す。即ち、曝射により筒状部材13cの内面温度が上昇するが、時間が経過するにつれて温度の上昇の度合いが頭打ちになる傾向になる。尚、曝射によって筒状部材13cの内面温度が上昇するのは、曝射時において陽極12で発生する熱が蓋部材(第二金属部材13b)を経由して筒状部材13cに伝導するからである。
ここで曝射前の筒状部材13cの内面の温度(T0)が基準温度T1以上の場合、曝射前の筒状部材13cの内面の抵抗率R0はR1以下になる(図2(a))。この状態から曝射を行うと、筒状部材13cの内面温度(T)の上昇に伴い抵抗率(R)は低下する。これは、曝射前から一定時間曝射を行うまでの時間内において抵抗率が常にR1以下になっていることを意味する。このため、筒状部材13cの内面温度が基準温度T1以上である場合は、筒状部材13cの内面における帯電は起こらない。
一方、曝射前の筒状部材13cの内面の温度(T0)が基準温度T1未満の場合、曝射前の筒状部材13cの内面の抵抗率R0はR1よりも高くなる(図2(b))。このように、曝射前の筒状部材13cの内面の抵抗率R0がR1(帯電を抑制するために必要な抵抗率の上限)よりも高いと筒状部材13cの内面における帯電が発生する。そこで係る場合では、曝射を行う前に、筒状部材13cの内面の温度が少なくとも基準温度T1に達するまでヒーター20を用いて筒状部材13cを加熱する。そうすると、筒状部材13cの内面の抵抗率R0はR1以下となるので、この後で曝射を行う。これにより、図2(b)に示されるように、曝射を行っている間は筒状部材13cの内面の抵抗率R0がR1以下の状態に保たれる。
ここで、図2に示されるR1の値は、放射線発生管10の構造や駆動条件等によって異なるが、好ましくは、概ね5×1010Ω・m乃至1×1012Ω・mの範囲にあり、より好ましくは、1×1011Ω・m乃至8×1011Ω・mの範囲とする。こうすることで、筒状部材13cにおける放電の発生頻度を低減する効果を奏する。
ところで、筒状部材13cにおいて、温度Tと抵抗率Rとの関係は、筒状部材13cの構成材料によって異なる。また筒状部材13cの内面での帯電を抑制するために要求される筒状部材13cの抵抗率の上限値(R1)を満足させるのに必要な温度条件、即ち、基準温度(T1)も材料によって異なる。例えば、一般的な工業用の酸化アルミニウムの場合では、T1は、5℃乃至40℃の範囲である。
尚、図1の放射線発生ユニット1のように、放射線発生管10(を構成する筒状部材13c)の外面部に測温手段(温度センサー30)を設置する場合、測温箇所(複数ある場合は各測温箇所)で測定された温度に基づいて筒状部材13cの設定温度を決める。具体的には、測温箇所で測定された温度と、筒状部材13cの内面温度との関係を予め求めておいた上で、上記関係を考慮しながら筒状部材13cの加熱制御を行う際の設定温度を適宜決定すればよい。
図3は、本発明の放射線発生ユニットにおける第2の実施形態を示す模式図である。図3の放射線発生ユニット2は、図1の放射線発生ユニット1において、ヒーター20及び温度センサー30を、いずれも筒状部材13cの外面上であって陽極12側の蓋部材(第二金属部材13b)の近傍に設けられている。これを除いては、図1の放射線発生ユニット1を同じ構成である。本発明において、温度センサー30は、筒状部材13cの外面上に設けられていれば、詳細な設置位置については特に限定されるものではない。
図4は、本発明の放射線発生ユニットにおける第3の実施形態を示す模式図である。図4の放射線発生ユニット3は、図3の放射線発生ユニット2において、ヒーター20を、収納容器50内であって筒状部材13cから離隔された空間に設けられていることを除いては、図1の放射線発生ユニット1を同じ構成である。本発明において、ヒーター20は、必ずしも筒状部材13cの外面上に設ける必要はなく、図4のように、筒状部材13cの外面から離隔させた状態で筒状部材13cの近傍に設けてもよい。尚、図4の放射線発生ユニット3において、ヒーター20は、収納容器50内に充填されている絶縁性液体51を加熱することになる。絶縁性液体51が加熱されることにより、加熱された絶縁性液体51が有する熱が筒状部材13cに伝導する。これにより筒状部材13cが加熱されることになる。
図5は、本発明の放射線発生ユニットにおける第4の実施形態を示す模式図である。図5の放射線発生ユニット4は、図3の放射線発生ユニット2において、ヒーター20を収納容器50の外面に設けられていることを除いては、図1の放射線発生ユニット1を同じ構成である。本発明において、ヒーター20は、図5のように、必ずしも収納容器50内に収納させる必要はない。尚、図5の放射線発生ユニット4において、ヒーター20は、収納容器50そのものを加熱することになる。すると熱伝導により収納容器50に収納されている絶縁性液体51が加熱され、次いで筒状部材13cが加熱される。
以上より、本発明の放射線発生ユニットは、放射線発生管の温度が所定の温度よりも低い場合において放射線発生管を加熱する加熱手段を備えている。これにより、放射線発生管を構成する絶縁性材料からなる筒状部材の内面の抵抗率を所望の抵抗率以下に下げることができる。そして筒状部材の内面の抵抗率を下げることで筒状部材の内面において帯電を抑制し、帯電に起因する放電を抑制することができる。
次に、本発明の放射線発生ユニットに備わる制御系について説明する。図6は、本発明の放射線発生ユニットに備わる制御系の例を示す模式図である。尚、図6に示される放射線発生ユニットのうち、収納容器50に収まっている部分については、図1の放射線発生ユニット1と同様である。ただし、図1の放射線発生ユニット1に代えて図3乃至図5の放射線発生ユニット(2〜4)を用いてもよい。
図6の放射線発生装置1において、収納容器50内に収納されるヒーター20及び温度センサー30は、温度制御部61に接続される一方で、放射線発生管10に接続されている高圧回路基板40は、電圧制御部62に接続される。図6の放射線発生装置1において、管制御部63は、電圧制御部62及び温度制御部61を制御するための制御部材である。図6の放射線発生装置1において、管制御部63と温度制御部61との間は二種類の配線で接続されている。1つは、管制御部63と温度制御部61とを直接結ぶ配線であり、もう1つは、動作判定手段64を経由して管制御部63と温度制御部61とを結ぶ配線である。
図6の放射線発生装置1において、温度制御部61は、温度センサー30(測温手段)から得られる温度測定値と、動作判定手段64から得られる動作状態に関する電気信号と、に基づいて、ヒーター20(加熱手段)の動作を制御する。
図6の放射線発生装置1において、電圧制御部62は、高圧回路基板40を介して放射線発生管10が有する陽極と陰極との間に印加する電圧を制御する。上述したように、管制御部63は、放射線発生管10の内面の温度を制御する温度制御部61及び放射線発生管10に備える電極に印加する電圧を制御する電圧制御部62を制御する制御部材である。具体的には、温度センサー30にて測定される温度に関する情報に基づいて放射線発生管10の曝射を行うように、電圧制御部62及び高圧回路基板40を介して放射線発生管10に電圧を印加する。
図6の放射線発生装置1において、動作判定手段64は、放射線発生管10の動作状態(起動状態、曝射準備状態、曝射状態、休止状態、停止動作状態等)を判定し、管制御部63又は温度制御部材61に適宜信号を出力する。
次に、図6の放射線発生装置1に備える制御部(61〜64)が行う、放射線発生管10の具体的な制御方法について説明する。図7は、放射線発生管の動作制御の例を示すフローチャート図である。ただし、図7は、動作制御の一例を示すものであって、本発明は、これに制限されるものではない。また図7は、放射線発生管10での曝射の制御に関するフローチャート図でもある。
まず放射線発生装置の電源を入れると装置全体が起動状態となり、各制御部の起動や初期化等が行われる。次に、スタートスイッチを入れると曝射準備状態となり曝射の準備が行われる。曝射の準備は、具体的には、曝射条件に応じた各制御部の設定や、温度等の状態確認が行われる。曝射準備が完了した後、曝射スイッチを入れると放射線発生管10に所定の電圧が印加されることで放射線が曝射される。曝射が開始されると一定時間曝射が行われるが、その後、一旦曝射準備状態を確認するステップを踏んだ後、ひき続き曝射を行うことができるようになる。一方、曝射を一旦休止する場合は、スタートスイッチを切っておく。そうすると放射性発生管10が休止状態となる。ここで休止状態の後で再び曝射を行う場合は、スタートスイッチを入れればよい。スタートスイッチをもう1回入れることで前述の操作が繰り返される。また休止状態の後で放射性発生管10を停止する場合は、停止スイッチを入れておく。そうすると放射線発生管10は停止動作状態となり、停止動作終了後電源が切られる。
図8は、ヒーター(加熱手段)の動作制御の例を示すフローチャート図である。まず温度センサー30(測温手段)により放射線発生管10又はその近傍の所定の場所の温度が測定される。ここで温度センサー30にて測定された温度(測定温度)が設定温度(Tset)以上の場合にはヒーター20(加熱手段)は動作しない。つまり、温度制御部61からヒーター20を加熱するための信号が出力されない。一方、測定温度が設定温度(Tset)未満の場合には、動作判定手段64の出力を確認する。ここで動作判定手段64から得られた動作状態が該当動作状態(例えば、放射線発生管10が起動している状態)の場合には、温度制御部61からヒーター20を加熱するための信号が出力され、この信号に基づいてヒーター20による加熱が行なわれる。ヒーター20の加熱によって温度センサー30にて測定された温度が所定の温度(Tset)に達したところでヒーター20を停止する。一方、動作判定手段64の出力を確認する際に、動作判定手段64から得られた動作状態が該当動作状態ではない場合には、ヒーター20は動作しない(ヒーター20を動作させるための信号が出力されない)。
ところで、温度センサー30にて測定された温度が設定温度Tset未満の場合にはヒーター20による加熱を行ってもよい。ただし、例えば、放射線発生管10が休止状態であったり停止動作状態であったりする場合でヒーター20による加熱を行うと無駄に電力を消費することになり好ましくない。このため、本実施形態においては、動作判定手段64から出力される信号を確認し、所定の動作状態の時にのみヒーター20による加熱を行うように設定する。こうすることで無駄な電力消費を避けることができる。ここでヒーター20による加熱を促す該当動作状態としては、例えば図7に示される曝射準備状態もしくは起動状態及び曝射準備状態とするのが好ましい。
以上より、本発明の放射線発生装置は、放射線発生管の動作状態を判定する動作判定手段を備えているため、放射線発生管の動作状態に応じて放射線発生管の加熱を行うことができる。このため、不要な放射線発生管の加熱による無駄な電力消費を回避することができる。従って、本発明によれば、比較的容易な手段で放射線発生管における放電の発生を抑制した、信頼性の高い放射線発生装置を提供することができる。
〔放射線撮影システム〕
図9は、本発明に係る放射線撮影システムの一例を説明する模式図である。
図9は、本発明に係る放射線撮影システムの一例を説明する模式図である。
図9の放射線撮影システム6において、放射線発生管10は、駆動回路(高圧回路基板40)と共に、本発明の放射線発生ユニット1に収納されている。また放射線発生ユニット1は、所定の位置に放射線の放出窓52が設けられ、この放出窓52部分に設けられた可動絞り53は、放射線発生ユニット1から照射される放射線の照射野の広さを調整する機能を有する。また、可動絞りユニット(不図示)として、放射線の照射野を可視光により模擬表示できる機能が付加されたものを用いることもできる。
システム制御装置71は、放射線発生装置5と、検出器72aと信号処理部72bとからなる放射線検出装置72と、を連携制御する。駆動回路(不図示)は、システム制御装置71による制御の下に、放射線発生管10や放射線発生ユニット1に各種の制御信号を出力する。この制御信号により、放射線発生装置から放出される放射線の放出状態が制御される。放射線発生装置から放出された放射線は、被検体80を透過して検出器72aで検出される。検出器72aは、検出した放射線を画像信号に変換して信号処理部72bに出力する。信号処理部72bは、システム制御装置71による制御の下に、画像信号に所定の信号処理を施し、処理された画像信号をシステム制御装置71に出力する。システム制御装置71は、処理された画像信号に基づいて、表示装置73に画像を表示させるための表示信号を表示装置73に出力する。表示装置73は、表示信号に基づく画像を、被検体80の撮影画像としてスクリーンに表示する。放射線の代表例はX線であり、本発明の放射線発生ユニット1と放射線撮影システム6は、X線発生ユニットとX線撮影システムとして利用することができる。X線撮影システムは、工業製品の非破壊検査や人体や動物の病理診断に用いることができる。
以上より、信頼性が改善された本発明の放射線発生ユニットを備えた放射線撮影システムは、信頼性の高い放射線撮影システムである。
1(2、3、4):放射線発生ユニット、5:放射線発生装置、6:放射線撮影システム、10:放射線発生管、11:陰極、12:陽極、13:真空容器、13a:第一金属部材、13b:第二金属部材、13c:筒状部材、14:電子放出源、15:引き出し電極、16:レンズ電極、17:ターゲット、18:支持基板、19:放射線遮蔽部材、20:ヒーター:30:温度センサー、31:情報処理回路、40:高圧回路基板、50:収納容器、51:絶縁性液体、52:透過窓、61:温度制御部、62:電圧制御部、63:管制御部、64:動作判定手段、71:システム制御装置、72:放射線検出装置、73:表示装置、80:被検体
Claims (7)
- 電子放出源を備えた陰極と、
前記電子放出源から放出される電子の照射を受けて放射線を発生するターゲットを備えた陽極と、
絶縁性の筒状部材を有する真空容器と、を有する放射線発生管と、
前記放射線発生管の温度を検出する測温手段と、
前記放射線発生管の動作状態を出力する動作判定手段と、
前記測温手段により得られた温度測定値と、前記動作判定手段により得られた動作状態と、に基づいて前記放射線発生管を加熱する加熱手段と、を備えることを特徴とする、放射線発生ユニット。 - 前記放射線発生管と前記測温手段及び前記加熱手段とが収納容器の内部に収納されており、
前記収納容器の余空間に絶縁性液体が充填されていることを特徴とする、請求項1に記載の放射線発生ユニット。 - 少なくとも前記真空容器の外面上又はその近傍に前記測温手段と前記加熱手段とが設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の放射線発生ユニット。
- 少なくとも前記筒状部材の外面上又はその近傍に前記測温手段と前記加熱手段とが設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の放射線発生ユニット。
- 前記筒状部材がセラミックスからなることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の放射線発生ユニット。
- 前記加熱手段が、抵抗加熱ヒーター又は赤外線ヒーターであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の放射線発生ユニット。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の放射線発生ユニットと、
前記放射線発生ユニットから放出され、かつ被検体を透過した放射線を検出する放射線検出装置と、
前記放射線発生ユニットと前記放射線検出装置とを連携制御する制御装置と、を備えることを特徴とする、放射線撮影システム。
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JP2012237682A JP2014089815A (ja) | 2012-10-29 | 2012-10-29 | 放射線発生ユニット及び放射線撮影システム |
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2012
- 2012-10-29 JP JP2012237682A patent/JP2014089815A/ja active Pending
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