JP2014088599A - 金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット - Google Patents

金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット Download PDF

Info

Publication number
JP2014088599A
JP2014088599A JP2012239560A JP2012239560A JP2014088599A JP 2014088599 A JP2014088599 A JP 2014088599A JP 2012239560 A JP2012239560 A JP 2012239560A JP 2012239560 A JP2012239560 A JP 2012239560A JP 2014088599 A JP2014088599 A JP 2014088599A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal hydroxide
anode
metal
producing
hydroxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012239560A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Kamo
哲郎 加茂
Noriaki Sugamoto
憲明 菅本
Tatsuo Kibe
龍夫 木部
Isao Takada
功 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2012239560A priority Critical patent/JP2014088599A/ja
Publication of JP2014088599A publication Critical patent/JP2014088599A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】粒径が微小で均一な金属水酸化物を製造する。
【解決手段】電解液3中に、円柱状の陰極4の中心と同心円上に金属水酸化物の金属からなる陽極5を配置した金属水酸化物製造装置1を用いて、電解法により金属水酸化物を生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、不純物が少なく、粒子径が微小で均一である金属水酸化物を製造する金属水酸化物の製造装置、及び金属水酸化物の製造方法、その製造方法により得られた金属水酸化物を用いたスパッタリングターゲットに関するものである。
樹脂混練用導電性フィラー、導電性ペースト、透明導電膜塗料、透明導電性薄膜作製用のターゲット材などには、ニッケル、コバルト、銅、ガリウム、銀、インジウム等の金属水酸化物が使用されている。ターゲット材に用いられる金属水酸化物には、一般的に塩素のようなハロゲン元素などの不純物を含まず、また粒子サイズが揃った微小な粒子径のものが必要とされている。
通常、金属水酸化物は、対象金属の硝酸塩や硫酸塩などの水溶液の中和沈殿反応により得るのが一般的である。しかしながら、この方法では、洗浄を繰り返しても不純物イオンが十分低減されない問題がある。またこの中和反応により生成する水酸化物は、一般に粒度分布を限られた一定範囲に制御することは困難である。
また、多孔質セラミックス製造方法では、結晶種子となる水酸化物水溶液をアルカリ性側と酸性側に交互に変化させ、水和物の溶解と成長とを制御し均一な細孔と粒子を得るpHスイング法がある。しかしながら、この方法を以ってしても粒子径の制御は十分ではなく、粒子径が大きくなり所望の粒子サイズが得られない。このため、多孔質セラミックス製造方法は、多孔質アルミナの製造方法にしか適用されておらず、上述の樹脂混練用導電性フィラー、導電性ペースト等の電子材料に広く使用されていない。
金属水酸化物を得る他の方法としては、電解反応による沈殿生成方法がある。電解反応による沈殿生成方法としては、例えば特許文献1にインジウム金属から水酸化物を得る方法が開示されている。また、特許文献2には、インジウムの電解による水酸化インジウム沈殿においてあらかじめ水酸化インジウムを電解液に加えて懸濁させ、比表面積が10m/g以下で、ピーク流径と平均粒子径の比が3以下となる粒度の揃った沈殿物の製造方法が開示されている。
特許文献1及び2の金属水酸化物の生成方法は、金属を陽極として使用し、溶出する金属イオンを沈殿させる方法であるため不純物を少なくすることができる。電解法は、電解液中に、図6に示すように陰極30と陽極31とが配置され、電極間に電圧がかかると電気分解が起こり、金属水酸化物が電解液中に析出する。しかしながら、この方法では、析出する水酸化物の粒子径が均一とならない。
板状の陰極30と陽極31を並べて配置した場合、陽極31における電界は図7に示すようになる。図7(A)は、電源と接続する陽極31の接続部32が点状である場合であり、図7(B)は、接続部32を陽極31の一辺に設けた場合である。
図6に示す電極の配置では、各電極の側面側の端部30a、31aにおいて電界密度が高くなってしまう。電界密度が高い部分では、金属イオンの溶出速度が電界密度に比例して高まるため沈殿発生核数も増え、微小な沈殿粒子が多数生成することになる。一方、電界密度が疎である部分は、逆の傾向があり、比較的大きな沈殿粒子が少なく生成される。このため、電界密度が高い電極端部では、微小な水酸化物が生成され、電界密度が端部よりも低い部分からは粒径が大きな水酸化物が生成されるため、粒子径が均一とならない。
特開平6−171937号公報 特開平10―204669号公報
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、不純物が少なく、粒径が微小で均一な金属水酸化物を製造する金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにその製造方法により得られた金属水酸化物を用いたスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本発明に係る金属水酸化物の製造装置は、電解法により金属水酸化物を製造する金属水酸化物の製造装置であり、電解液中に、円柱状の陰極の中心と同心円上に上記金属水酸化物の金属からなる陽極を配置したことを特徴とする。
上述した目的を達成する本発明に係る金属水酸化物の製造方法は、電解法により金属水酸化物を製造する金属水酸化物の製造方法であり、電解液中に、円柱状の陰極の中心と同心円上に金属水酸化物の金属からなる陽極を配置した金属水酸化物の製造装置にて電解を行い、金属水酸化物を析出することを特徴とする。
上述した目的を達成する本発明に係るスパッタリングターゲットは、上記金属水酸化物の製造方法により製造された金属水酸化物を用いて得られたことを特徴とする。
本発明では、円柱状の陰極の中心と同心円上に金属水酸化物の金属からなる陽極を配置したことにより、陽極全体において電界密度が均一となるため、粒径が微小で均一な金属水酸化物を生成することができる。また、本発明では、電解法を用いているため、金属水酸化物に不純物の混入することを防止できる。
本発明を適用した金属水酸化物の製造装置を示す斜視図である。 同製造装置に用いる陽極及び陰極の配置を示す斜視図である。 電界の方向を説明する図である。 同製造装置に用いる陽極及び陰極の配置を示す斜視図である。 陽極の他の実施の形態を示す斜視図である。 従来の陽極及び陰極の配置における電界密度を示す図である。 従来の電極における電界を示す平面図であり、(A)は陽極と電源との接続が点状である場合を示し、(B)は、陽極と電源との接続が陽極の一端である場合を示す平面図である。
以下に、本発明を適用した金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びに金属水酸化物を用いたスパッタリングターゲットについて説明する。なお、本発明は、特に限定がない限り、以下の詳細な説明に限定されるものではない。実施の形態について、以下の順序で詳細に説明する。
1.金属水酸化物
2.金属水酸化物の製造装置及び製造方法
3.金属酸化物の製造方法
4.スパッタリングターゲット
<1.金属水酸化物>
金属水酸化物は、樹脂混練用導電性フィラー、導電性ペースト、透明導電膜塗料、透明導電性薄膜作製用のターゲット材に使用される。金属水酸化物としては、不純物が少なく、均一で粒径が微小のものが好ましい。このような均一で粒径が微小の金属水酸化物は、高密度のスパッタリングターゲットを得ることができる。
金属水酸化物の金属としては、チタン、ジルコニウムなどの4A族元素、バナジウム、ニオブなどの5A族元素、クロム、モリブデン、タングステンなどの6A族元素、マンガンなどの7A族元素、鉄、コバルト、ニッケルなどの8族元素、銅、銀などの1B族、亜鉛、カドミウムなどの2B族、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどの3B族、珪素、スズなどの4B族を挙げることができる。
<2.金属水酸化物の製造装置及びその製造方法>
金属水酸化物は、例えば図1に示す金属水酸化物の製造装置1を用いて製造することができる。金属水酸化物の製造装置1は、電解槽2が電解液3である程度満たされ、電解液3中に円柱状の陰極4の中心と同心円上に陽極5が配置され、陰極4及び陽極5はそれぞれ直流電源6に電気的に接続されている。また、金属水酸化物の製造装置1は、陽極5の内側の電解液3を陽極5の外側へと排出し、電解液3を陽極5の内側と外側とで循環させる循環ポンプ7が設けられている。このような構成の金属水酸化物の製造装置1では、陰極4及び陽極5に電圧をかけると、陽極5から金属イオンが溶出し、水酸化物となって析出し、金属水酸化物を製造する。
具体的に、電解液3としては、塩化物塩、硫酸塩、硝酸塩などの水溶液を一般的に使用できる。これらの中でも、スパッタリングターゲットを製造する際の仮焼により不純物を減少できる硝酸塩が好ましい。また、これらの水溶液の塩としては、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩などを使用することができる。これの中でも、スパッタリングターゲットを製造する際の仮焼により不純物を減少できるアンモニウム塩や一級アミン塩が好ましい。
また、電解液3は、電解によって溶出した陽極の金属イオンを金属水酸化物として沈殿させるためにpHを調整する。金属水酸化物として沈殿を起こすpHは、元素の種類のほか共存イオン、電解液3の濃度等によっても影響を受けるので、それぞれにあったpHの範囲(pH域)で電解を行う必要がある。ここで、電解液3のpHは、金属水酸化物が沈殿するpH域の下限値から下限値+4の範囲内とすることが好ましく、pH域の下限値から下限値+2の範囲内で行うことが更に好ましく、pH域の下限値から下限値+1.5の範囲内で行うことが特に好ましい。電解液3のpHをこのような範囲内に設定することによって、核の析出が適度に遅くなる一方で結晶成長が進みやすくなる。
また、電解液3について、生成された金属水酸化物の溶解度や温度等の他の条件については、生成される金属水酸化物により異なるため、適宜決定する。例えば、水酸化インジウムの場合には、溶解度を10−6〜10−3mol/Lの範囲、硝酸アンモニウムの濃度を0.1〜2.0mol/L、液温を20〜60℃の範囲とすることが好ましい。
なお、クエン酸や酒石酸、グリコール酸などの含酸素キレート化合物やEDTAなどの含窒素キレートの共存によっても水酸化物の溶解安定性が向上するため、適正にpHを調整することが必要である。
陰極4は、カーボン、白金、金などの不溶性アノード陰極を使用することができる。陰極4に不溶性アノード陰極を用いることで、陽極5の金属が電解液3に溶解する反応が起こるようになる。陰極4は、図1に示すように円柱状であり、電解槽2の底面に対して垂直に設けられている。
陽極5は、生成する金属水酸化物を構成する金属、即ち上述した4A族元素、5A族元素、6A族元素、7A族元素、8族元素、1B族、2B族、3B族、4B族等の金属からなる。陽極5は、管状に形成され、中空内5aの中央に陰極4が配置される。したがって、陰極4の中心と陽極5の中心が一致し、陰極4と陽極5は同心円上に配置され、一周において陰極4と陽極5との間は等距離となっている。
ここで、陰極4と陽極5との関係について説明する。図2に示すように、陽極5の中空内5aの中央に円柱状の陰極4を配置し、陽極5の上端全面に電気的接続部8を設け、この電気的接続部8と陰極4との間に直流電源6を設け、陰極4と陽極5とが電気的に接続されている。図2に示す陽極5は、管状であるため側面の端部がないことから、板状の陽極とは異なり、図3に示すように電界の方向は陰極4に均等に向っている。したがって、電界密度に偏りが生じず、陽極全体において電界密度が均一となっている。これにより、陽極5からの金属イオンの溶出速度が適度でありかつ一定であるため、粒径が均一で微小の金属水酸化物を沈殿させることができる。
一方、陽極の電界密度が不均一の場合には、金属イオンの溶出速度にばらつきが生じ、結果として中和沈殿の濃度分布にばらつきが生じる。したがって、陽極の電界密度を均一にし、均一を維持することができれば、均一で粒径が微小の金属水酸化物を継続して生成することができる。図2に示す陰極4と陽極5では、均一な電界密度を維持することができるため、均一で粒径が微小の金属水酸化物を継続して生成することができる。
また、図4に示すように、陽極5の上端に一点で接続された電気的接続部9を設けた場合であっても同様に陽極5に側面の端部がないことから、電界密度に偏りが生じず陽極全体において電界密度が均一になる。したがって、この場合であっても、粒径が均一で微小の金属水酸化物を得ることができる。
更に、陰極4及び陽極5は、例えば図5に示すように、円柱状の陰極3の中心と同心円上に略板状の陽極9を複数並べて配置してもよい。このように配置することによっても、上述した管状の陽極5と同様に、陰極4を中心に複数の陽極9が等距離に配置されているので電界密度が均一になる。したがって、この場合であっても、粒径が均一で微小の金属水酸化物を得ることができる。なお、複数の陽極9は、直流電源6と電気的に接続されていれば接続方法等は特に限定されない。
循環ポンプ7は、電解槽2内の電解液3を吸引する吸引パイプ11と、吸引パイプ11によって吸引された電解液3を陽極5の下方に送り込むポンプ12と、ポンプ12から陽極5の下方に電解液3を注入する注入パイプ13とを備える。注入パイプ13には、陽極5側の先端にノズルが取り付けられており、そのノズルが陽極5の下方において中空内5aに差し込まれている。循環ポンプ7は、吸引パイプ11で吸引した電解液3をポンプ12により注入パイプ13を介して陽極5の中空内5aに送り込み、陽極5の下方から上方に向って上昇流にして電解液3を流し、陽極5の外側の電解液3に戻すことで陽極5内の電解液3を循環させる。したがって、金属水酸化物の製造装置1では、電解液3の流動性を維持できる金属水酸化物の沈殿量となる条件で電界を行うことが好ましい。
このような構成の金属水酸化物の製造装置1による製造方法では、直流電源6で陰極4及び陽極5に電圧をかけ、陽極5から金属イオンを溶出させ、金属水酸化物を沈殿させて製造する。
そして、金属水酸化物の製造方法では、金属水酸化物が陽極5の中空内5aに析出するため、循環ポンプ7により陽極5の中空内5aの電解液3を陽極5の外側に溢流させることで、電解液3と共に析出した金属水酸化物を陽極5の外側の電解液3に排出する。金属水酸化物の製造装置1では、金属水酸化物が析出している間、又は適宜電解液3を循環させる。
電解条件は、特に限定されないが、電流密度を3A/dm〜15A/dmで行うことが好ましい。電流密度が3A/dmより低い場合には、金属水酸化物の生産効率が低下してしまう。電流密度が15A/dmよりも高い場合には、電解電圧が上昇することで液温上昇が生じやすいこと、金属の表面が不動態化し電解し難くなるなどの問題が生じてしまう。したがって、電流密度を3A/dm〜15A/dmとすることが好ましい。
金属水酸化物の製造方法では、電解が終わった後に、陽極5の外側に排出された金属水酸化物を固液分離し、必要に応じて分離した金属水酸化物を純水で洗浄して再び固液分離する。固液分離方法は、例えばロータリーフィルタ、遠心分離、フィルタープレス、加圧濾過、減圧濾過等による濾過を挙げることができる。
ここで、金属水酸化物の製造方法では、金属水酸化物が沈殿している電解液を異なる金属からなる陽極5を備えた電解槽2に入れて再び電解を行い、異なる金属の金属水酸化物の沈殿を行ってもよい。これにより、前段階で生成した金属水酸化物に異なる金属水酸化物をコートした沈殿物を得ることが可能性である。このようにすることで、粒径が均一で、組成にばらつきがなく組成の揃った金属水酸化物を得ることが可能である。このような金属水酸化物を原料に使用することで、スパッタリングターゲットをより高機能とすることができる。
以上のような金属水酸化物の製造方法では、図3に示すように陽極5が陰極4の中心と同心円上に配置されていることによって、電界密度が偏らず均一となる。これにより、金属水酸化物の製造装置1では、金属イオンの溶出が一定となるため、粒径が均一で微小の金属水酸化物を沈殿させることができる。
更に、金属水酸化物の製造方法では、好ましくは電解液3のpHをpH域の下限値から下限値+4の範囲内、更に好ましく下限値+2までの範囲内、特に好ましくは下限値+1.5の範囲内に調整することによって、金属イオンの溶出を適度に遅くでき、かつ結晶成長が進むため、粒径がより均一で微小の金属水酸化物を沈殿させることができる。また、金属水酸化物の製造方法では、電解法を用いるため、金属水酸化物に不純物が混入することを防止できる。
<3.金属酸化物の製造方法>
上述して得られた金属水酸化物は、乾燥し、仮焼して金属酸化物とする。この金属酸化物がスパッタリングターゲットの原料となる。
乾燥方法は、スプレードライヤ、空気対流型乾燥炉、赤外線乾燥炉等の乾燥機で行う。乾燥条件は、金属水酸化物によって異なり、それぞれにあった乾燥条件とし、十分に乾燥でき、仮焼工程での粒度分布調整に不都合が生じない条件とすることが好ましい。例えば、金属水酸化物が水酸化インジウム粉の場合には、乾燥温度は80℃〜150℃の範囲が好ましい。乾燥温度が80℃よりも低い場合には、乾燥が不十分となり、150℃よりも高い場合には、水酸化インジウムから酸化インジウムに変化してしまい、次工程での酸化インジウム粉の粒度分布調整において不都合となる。乾燥時間は、金属水酸化物や温度により異なるが、約10時間〜24時間程度である。
そして、乾燥後の金属水酸化物を仮焼して金属酸化物を生成する。仮焼条件も、金属水酸化物によって異なるため、それぞれにあった仮焼条件とする。例えば、酸化インジウムの場合には、仮焼温度600℃〜800℃、仮焼時間1時間〜10時間で行うことが好ましい。なお、金属水酸化物をより所望の粒径とするために、必要に応じて解砕又は粉砕を行ってもよい。
<4.スパッタリングターゲット>
スパッタリングターゲットは、上述した金属水酸化物の製造方法により製造された金属水酸化物を乾燥し、所定の温度で仮焼して得られた金属酸化物を原料に用いる。
先ず、金属酸化物と他のターゲット材料とを所定の割合で混合し造粒粉を作製する。次に、造粒粉を用いて例えばコードプレス法により成型体を作製する。次に、成型体を原料に合わせて適宜条件を決めて焼結を行う。次に、必要に応じて、焼結体の平面や側面を研磨する等の加工を行う。そして、焼結体をCu製のバッキングプレートにボンディングすることにより、スパッタリングターゲットを得ることができる。
スパッタリングターゲットは、粒径が微小で均一な金属水酸化物から得られた金属酸化物は導電性ペースト、透明導電膜塗料などに高分散性を発現するため高密度となる。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、幅40cm、奥行40cm、深さ50cmの80L電解槽に、50Lの2.0mol/L硝酸アンモニウム水溶液を張った。電解液の温度を60℃に恒温し、1N硝酸及び24%アンモニア水を使用して電解液pHを5.5に維持した。このpHは、金属水酸化物を沈殿するpH域の下限値は4.0であり、下限値から+1.5である。
陽極には、銅金属99.99%の外直径6.0cm、内直径4.0cm、長さ40cmを10本、電解槽の底面に対して垂直に配置し、それぞれの中に陰極として円柱状で直径2.0mm、長さ40cmのチタン金属棒を陽極管の中央に陽極に平行に配置した。一本の銅電極の重量は5614gであった。陽極内面と陰極の距離は9mmに維持した。循環ポンプは陽極それぞれに設けた。
電解液は、電解槽より150L/minの流量で抜き出し、各陽極の底部から再び陽極の中空内に導入して頂部から溢流させそれぞれ循環を形成した。この状態で両電極に電圧を印加し直流電流密度0.3A/cmを維持して電界を行った。
電界を行うと、電解槽には薄い青色の水酸化銅沈殿物が析出した。電圧印加2時間の後に、電解を終了し、10本の各陽極の重量を測定し陽極消費量のばらつきを調べた。銅陽極は、内径が一様に均一に広がり管の肉厚が薄くなっている状況が観察された。各陽極の電界後の平均重量は2041gであり、3573g減少していた。10本の重量ばらつきの指標として標準偏差sは64gであり、CV値(標準偏差/平均)は1.8%であった。
そして、析出した水酸化銅をろ過して回収して粒度分布をレーザー光ドップラー法により測定した結果、表1に示すとおり最小径0.3μm、最大径1.5μm、メジアン径0.6μmであり極めて限定された粒度分布を有していた。したがって、実施例1では、均一で粒径が微小な水酸化銅が得られたことがわかる。
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同じ装置を使用し、電解槽に2.0mol/L硝酸アンモニウム水溶液を50L張った。そして、電解液の温度を45℃に恒温し、1N硝酸及び24%アンモニア水を使用して電解液pH4.0を維持した。このpHは、金属水酸化物を沈殿するpH域の下限値2.5から+1.5である。
陽極には、1本がインジウム金属の外直径6.0cm、内直径4.0cm、長さ40cmのものを用意し、10本配置し、実施例1と同じように陰極棒を配置した。循環ポンプは陽極それぞれに設けた。この状態で両電極に電圧を印加し直流電流密度0.3A/cmを維持して電界を行った。
電圧印加後7時間を保持した。電解槽には、ほぼ白い色の水酸化インジウム沈殿物が析出した。3時間後に電解を終了し、10本の各陽極の重量を測定し陽極消費量のばらつきを調べた。陽極は内径が一様に均一に広がり、管の肉厚が薄くなっている状況が観察された。各陽極の電界前の重量は4591gであった。各陽極の電界後の平均重量は2008gであり、2583g減少していた。10本の重量ばらつきの指標として標準偏差sは37gであり、CV値(標準偏差/平均)は1.4%であった。
析出した水酸化インジウムをろ過して回収し、粒度分布をレーザー光ドップラー法により測定した結果、表1に示すとおり最小径0.2μm、最大径1.5μm、メジアン中央径0.6μmであり極めて限定された範囲の粒度分布を有していた。したがって、実施例2では、均一で粒径が微小な水酸化インジウムが得られたことがわかる。
次に、得られた水酸化インジウムを使用して120℃、12時間での大気中静置条件で乾燥し、大気中700℃で焼成した。この後、コールドプレス大気圧焼結法によって酸化インジウム単独での焼結体を作製した。この結果、焼結体の密度は7.14g/cmであり、酸化インジウムの真比重7.18g/cmに対して99.4%なる高密度が得られた。
(比較例1)
比較例1では、陽極として厚み2cm、幅30cm、高さ10cmの板状の銅板を10枚用意した。各銅板は、5364kgである。陰極には厚み0.2cm、幅30cm、高さ10cmのメッシュ状のチタン板を準備した。
陽極10枚、陰極11枚をそれぞれ1枚ずつ、陰極と陽極とを交互に2.0cmの間隔で平行に配置したサンドイッチ型として電解を行った。電解槽内はスリーワンモータで槽全体を攪拌した。そして、この条件以外は実施例1と同様に電解を開始した。
電解開始3時間後には、各陽極の重量を測定した結果、各陽極の平均重量は2008gであり2583g減少していた。10枚の重量ばらつきの指標として標準偏差sは299gであり、CV値(標準偏差/平均)は11.6%に相当した。
析出した水酸化銅をろ過して回収し粒度分布をレーザー光ドップラー法により測定した結果、表1に示すとおり最小径0.3μmの粒子は観察されたが、最大径は10.0μmまでに分布し、メジアン中央径1.0μmであり実施例に比較すると広い分布の粒度を有していた。したがって、比較例1では、均一で微小な水酸化銅は得られなかったことがわかる。
(比較例2)
比較例2では、陽極として厚み約2cm、幅が30cm、高さ10cmの板状のインジウム板を10枚用意した。各インジウム板は、各4386gである。陰極は、比較例1と同じメッシュ状のチタン板を用意した。陽極と陰極の配置は、比較例1と同様に陰極と陽極とを交互に2.0cmの間隔で配置したサンドイッチ型とした。それら以外は、実施例2と同様に電解を開始した。
電解開始3時間後、各陽極の重量を測定した結果、各陽極の平均重量は1302gであり3084gが減少していた。10本の重量ばらつきの指標として標準偏差sは308gであり、CV値(標準偏差/平均)は10.0%に相当した。
析出した水酸化物をろ過して回収した。回収物の粒度分布をレーザー光ドップラー法により測定した結果、表1に示すとおり最小径0.3μmであるが、最大径は8.0μmまでに分布し、メジアン中央径1.9μmであり実施例2に比較すると広い分布の粒度を有していた。したがって、比較例2では、均一で微小な水酸化銅は得られなかったことがわかる。
また、この方法で得られた水酸化インジウムを使用して120℃、12時間での大気中静置条件で乾燥し、大気中700℃で焼成した。この後コールドプレス大気圧焼結法によって酸化インジウム単独での焼結体を作製した。この結果、焼結体の密度は7.10g/cmであり、酸化インジウムの真比重7.18g/cmに対して98.9%であり、実施例2の結果に比べると低い結果であった。
Figure 2014088599
1 金属水酸化物の製造装置、2 電解槽、3 電解液、4 陰極、5 陽極、6 直流電源、7 循環ポンプ、8 電気的接続部、9 電気的接続部、10 陽極、11 吸引パイプ、12 ポンプ、13 注入ポンプ

Claims (9)

  1. 電解法により金属水酸化物を製造する金属水酸化物の製造装置において、
    電解液中に、円柱状の陰極の中心と同心円上に上記金属水酸化物の金属からなる陽極を配置したことを特徴とする金属水酸化物の製造装置。
  2. 上記陽極は、管状であり、電解槽の底面に対して垂直に設けられていることを特徴とする請求項1項記載の金属水酸化物の製造装置。
  3. 上記電解液のpHは、上記金属水酸化物が沈殿するpH域の下限値から下限値+1.5までの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金属水酸化物の製造装置。
  4. 上記陽極の内側の上記電解液を下方から上方に向って流し、該陽極の上端から該陽極の外側に溢流して該電解液を循環させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の金属水酸化物の製造装置。
  5. 電解法により金属水酸化物を製造する金属水酸化物の製造方法において、
    電解液中に、円柱状の陰極の中心と同心円上に上記金属水酸化物の金属からなる陽極を配置した金属水酸化物の製造装置にて電解を行い、上記金属水酸化物を析出することを特徴とする金属水酸化物の製造方法。
  6. 上記陽極は、管状であり、電解槽の底面に対して垂直に設けられていることを特徴とする請求項5記載の金属水酸化物の製造方法。
  7. 上記電解液のpHを上記金属水酸化物が沈殿するpH域の下限値から下限値+1.5までの範囲内に設定して電解を行うことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の金属水酸化物の製造方法。
  8. 上記陽極の内側の上記電解液を下方から上方に向って流し、該陽極の上端から該陽極の外側に溢流して該電解液を循環させることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項記載の金属水酸化物の製造方法。
  9. 上記請求項5乃至請求項8の金属水酸化物の製造方法により製造された金属水酸化物を用いて得られたことを特徴とするスパッタリングターゲット。
JP2012239560A 2012-10-30 2012-10-30 金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット Pending JP2014088599A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012239560A JP2014088599A (ja) 2012-10-30 2012-10-30 金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012239560A JP2014088599A (ja) 2012-10-30 2012-10-30 金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014088599A true JP2014088599A (ja) 2014-05-15

Family

ID=50790726

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012239560A Pending JP2014088599A (ja) 2012-10-30 2012-10-30 金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014088599A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016037633A (ja) * 2014-08-07 2016-03-22 住友金属鉱山株式会社 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法
JP2016050351A (ja) * 2014-09-01 2016-04-11 住友金属鉱山株式会社 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06171937A (ja) * 1992-12-09 1994-06-21 Japan Energy Corp 酸化インジウム粉末の製造方法
JPH08500394A (ja) * 1992-08-26 1996-01-16 スパンボア・プロプライエタリー・リミテッド 電解酸化器
JPH10258287A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Sanyo Electric Co Ltd 汚水処理装置
JP2003534459A (ja) * 2000-05-19 2003-11-18 アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 過マンガン酸塩エッチング溶液の電気化学再生用のカソード

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08500394A (ja) * 1992-08-26 1996-01-16 スパンボア・プロプライエタリー・リミテッド 電解酸化器
JPH06171937A (ja) * 1992-12-09 1994-06-21 Japan Energy Corp 酸化インジウム粉末の製造方法
JPH10258287A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Sanyo Electric Co Ltd 汚水処理装置
JP2003534459A (ja) * 2000-05-19 2003-11-18 アトーテヒ ドイッチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 過マンガン酸塩エッチング溶液の電気化学再生用のカソード

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016037633A (ja) * 2014-08-07 2016-03-22 住友金属鉱山株式会社 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法
JP2016050351A (ja) * 2014-09-01 2016-04-11 住友金属鉱山株式会社 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6090442B2 (ja) 水酸化インジウム粉の製造方法及び酸化インジウム粉の製造方法
JP5949663B2 (ja) 水酸化インジウム粉の製造方法、酸化インジウム粉の製造方法、並びにスパッタリングターゲット
CN105742568B (zh) 一种镍钴铝氧化物及其制备方法
JPH10204669A (ja) 酸化インジウム粉末の製造方法
JP2014088599A (ja) 金属水酸化物の製造装置及び金属水酸化物の製造方法、並びにスパッタリングターゲット
JP6119622B2 (ja) 水酸化インジウム粉の製造方法及び陰極
JP5994524B2 (ja) 金属水酸化物粉末の製造方法
JPH10273318A (ja) 酸化ガリウム粉末の製造方法
CN110512225B (zh) 一种氧化锌粉体的制备方法
JP6201193B2 (ja) 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法
TWI579239B (zh) A method for producing tin hydroxide powder, and a tin hydroxide powder
JP2016102241A (ja) 水酸化インジウム粉の製造方法
JP4178485B2 (ja) スパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末およびその製造方法
JP2016113684A (ja) 電解装置、及び水酸化インジウム粉の製造方法
JP2016013953A (ja) 導電性無機酸化物粒子の製造方法及びその製造方法によって得られた導電性無機酸化物粒子で構成された導電性無機酸化物粉
CN110983381B (zh) 一种电解钨酸铵溶液制备超细钨粉的方法
JP6318719B2 (ja) 硫酸系銅電解液、及びこの電解液を用いたデンドライト状銅粉の製造方法
JP6201195B2 (ja) 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法
JP6040900B2 (ja) 金属水酸化物の製造方法
JP6086053B2 (ja) 水酸化インジウム粉の製造方法
KR101521636B1 (ko) 양이온 교환막을 이용한 직접 전해 합성법으로 금속 화합물을 제조하는 방법
JP6201915B2 (ja) カソード及びこれを用いた金属水酸化物の製造方法
JP2016117928A (ja) 水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の電解装置、水酸化インジウム粉又は水酸化スズ粉の製造方法、及びスパッタリングターゲットの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160114

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160510