JP2014088500A - グラフト共重合体およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に混合しても接着性等の樹脂物性を低下させることなく、帯電防止性を付与することが可能となる新規なグラフト共重合体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示されるグラフト共重合体。
Figure 2014088500

(なお、式中のRは、下記一般式(2)で示される。)
Figure 2014088500

(なお、式中、Xは下記一般式(3)で示される。)
Figure 2014088500

【選択図】なし

Description

本発明は、新規なグラフト共重合体に関するものであり、更に詳しくは、熱可塑性樹脂等に混合することにより、帯電防止性能を付与することが可能となる帯電防止剤としても有用な新規なグラフト共重合体に関するものである。
可塑性樹脂に帯電防止性を付与する方法としては、低分子の界面活性剤(低分子帯電防止剤)を練り込む方法が知られている。しかし、エチレン−酢酸ビニル共重合体に適用した場合、低分子帯電防止剤の樹脂表面へのブリードにより、樹脂の機械特性が低下しやすく、また表面のふき取り等により帯電防止効果が失われやすいという課題を有するものであった。
これらの課題を解決する方法として、非水溶性の親水性ポリマー(高分子帯電防止剤)を練り込む方法が提案されている。そして、両末端にカルボキシル基を有するポリアミドとポリオキシアルキレングリコールとを反応させて得られる生成物を成分とした練り込み用帯電防止剤(例えば特許文献1参照。)、枝ポリマーとしてポリアルキレンエーテルと熱可塑性ポリエステルとのブロックから構成されるグラフトポリマーを持つポリアミド樹脂からなる熱可塑性樹脂用帯電防止剤(例えば特許文献2参照。)、等が提案されている。
特開平06−287547号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開平05−097984号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1、2に提案された帯電防止剤においては、帯電防止効果を発現するためには大量に使用することが必要となり、エチレン−酢酸ビニル共重合体等に混合した際には、その機械特性を低下させる、そもそもエチレン−酢酸ビニル共重合体等の樹脂との相溶性が悪く帯電防止性能を発現し難い、等の課題を有するものであった。
そして、近年、熱可塑性樹脂、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体に混合してもブリード等が抑制され、樹脂特性に影響を与え難い、高分子帯電防止剤の出現が望まれている。
そこで、本発明は、接着性等の樹脂物性を低下させることなく、樹脂に帯電防止性能を付与することが可能となる帯電防止剤としても適用が可能な新規のグラフト共重合体を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をポリ(オキシアルキレン)グリコールで変性した新規なグラフト共重合体が、接着性等の樹脂物性を低下させることなく、樹脂に帯電防止性能を付与することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示されることを特徴とするグラフト共重合体、その製造法およびそれを含んでなる帯電防止剤に関するものである。
Figure 2014088500
(なお、式中のRは、下記一般式(2)で示されるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位を示し、k=0.5〜0.95、l=0.01〜0.2、n=0.04〜0.49であり、k+l+n=1である。)
Figure 2014088500
(なお、式中、Xは下記一般式(3)で示されるジカルボン酸化合物残基単位を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、qは5〜300の整数を示す。)
Figure 2014088500
(なお、式中、Yは炭素数1〜10の炭化水素部位である。)
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のグラフト共重合体は、上記一般式(1)で示されるエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物をポリ(オキシアルキレン)グリコールで変性してなる構造を有する新規なグラフト共重合体である。
ここで、一般式(1)におけるkは、該グラフト共重合体におけるエチレン残基単位の含有割合を示し、lは酢酸ビニル残基単位の含有割合を示し、nはポリ(オキシアルキレン)グリコール変性ビニルアルコール残基単位の含有割合を示す。そして、k=0.5〜0.95、l=0.01〜0.2、n=0.04〜0.49、k+l+n=1である。これら範囲を外れた共重合体である場合、耐熱性に劣る、熱可塑性樹脂と配合した際の相溶性に劣る、帯電防止性能を付与することが困難となる、等の課題を有するものとなり、本願発明の目的を達成できないものとなる。
また、一般式(1)におけるRは、上記一般式(2)で示されるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位を示すものである。そして、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基であり、炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペプチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、フェニル基等を挙げることができる。また、qは、5〜300の整数である。そして、R及びRが、炭素数20を越える炭化水素基である場合、また、qが5未満若しくは300を越える場合、得られる共重合体は、熱可塑性樹脂と配合した際の相溶性に劣る、帯電防止性能を付与することが困難となる、等の課題を有するものとなり、本願発明の目的を達成できないものとなる。
そして、該一般式(2)で示されるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位の具体的例示としては、例えばメトキシポリエチレングリコール残基単位、エトキシポリエチレングリコール残基単位、イソプロポキシポリエチレングリコール残基単位、tert−ブトキシポリエチレングリコール残基単位、フェノキシポリエチレングリコール残基単位、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル残基単位、メトキシポリプロピレングリコール残基単位、エトキシポリプロピレングリコール残基単位、イソプロポキシポリプロピレングリコール残基単位、tert−ブトキシポリプロピレングリコール残基単位、フェノキシポリプロピレングリコール残基単位、ノナプロピレングリコールモノドデシルエーテル残基単位などを挙げることができる。
また、上記一般式(2)におけるXは、上記一般式(3)で示されるジカルボン酸化合物残基単位を示すものである。ここで、Yは炭素数1〜10の炭化水素部位である。そして、該一般式(3)で示されるジカルボン酸化合物残基単位の具体的例示としては、例えばコハク酸残基単位、マロン酸残基単位等の飽和脂肪族ジカルボン酸残基単位;マレイン酸残基単位、フマル酸残基単位、シトラコン酸残基単位等の不飽和ジカルボン酸残基単位等を挙げることができる。
本発明のグラフト共重合体の製造方法としては、上記一般式(1)で示されるグラフト共重合体を製造することが可能であれば如何なる方法により製造することも可能であり、例えば下記一般式(4)で示されるエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物と下記一般式(5)で示される片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールとを脱水触媒の存在下で反応することにより製造する方法を挙げることができる。
Figure 2014088500
(なお、式中、x=0.5〜0.95、y=0.01〜0.2、z=0.04〜0.49であり、x+y+z=1である。)
Figure 2014088500
(なお、R、R、tのそれぞれについては、上記一般式(2)で示されるR、R、qのそれぞれと同様であり、Wは、炭素数1〜10の炭化水素部位を示す。)
該エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物としては、x=0.5〜0.95、y=0.01〜0.2、z=0.04〜0.49、x+y+z=1を満足するエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物であれば如何なるものであってもよい。これら範囲内のエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物であることにより、得られるグラフト共重合体は、耐熱性に優れる、熱可塑性樹脂と配合した際の相溶性に優れる、帯電防止性能付与効果に優れる、等の特性を容易に発現しやすいものとなる。
そして、該エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物としては、特に取り扱い性に優れるグラフト共重合体を得ることが可能となることから、JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定したメルトマスフローレート(以下、MFRと記すこともある。)が1〜300g/10minであることが好ましい。また、重量平均分子量としては、5000〜100000であることが好ましく、特に10000〜30000であることが好ましい。
該エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物は、例えば高圧法により製造されたエチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いて加水分解し、ビニルアルコール単位にケン化することにより得ることができる。また、市販品として、例えば(商品名)メルセンH H−6051(東ソー株式会社製)、(商品名)メルセンH H−6410M(東ソー株式会社製)、(商品名)メルセンH H−6820(東ソー株式会社製)、(商品名)メルセンH H−6822X(東ソー株式会社製)、(商品名)メルセンH H−6960(東ソー株式会社製)などを挙げることができる。
該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールは、該エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物のビニルアルコール残基単位の水酸基部分と反応することにより、該グラフト共重合体のポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位のグラフト鎖部分を誘導するものである。ここで、該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールのR、R、tのそれぞれについては、上記一般式(2)のR、R、qと同様であり、具体的な例示等についても、R、R、qで上述したものと同様である。また、Wは、炭素数1〜10の炭化水素部位であり、具体的な例示等については、Yで上述したものと同様である。
そして、該一般式(5)で示される片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールの具体的例示としては、例えば片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性メトキシポリエチレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性エトキシポリエチレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性イソプロポキシポリエチレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性tert−ブトキシポリエチレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性フェノキシポリエチレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性メトキシポリプロピレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性エトキシポリプロピレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性イソプロポキシポリプロピレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性tert−ブトキシポリプロピレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性フェノキシポリプロピレングリコール、片末端カルボキシル基(コハク酸残基、マロン酸残基、マレイン酸残基、フマル酸残基、シトラコン酸残基等)変性ノナプロピレングリコールモノドデシルエーテルなどを挙げることができる。
そして、該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールは、片末端アルコキシポリ(オキシアルキレン)グリコールと下記一般式(6)で示されるジカルボン酸無水物との反応により得ることができる。
Figure 2014088500
(式中、Vは炭素数1〜10の炭化水素部位を示す。)
その際の片末端アルコキシポリ(アルキレン)グリコールとしてはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルであることが好ましく、該ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばメトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、イソプロポキシポリエチレングリコール、tert−ブトキシポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレングリコール、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリプロピレングリコール、イソプロポキシポリプロピレングリコール、tert−ブトキシポリプロピレングリコール、フェノキシポリプロピレングリコール、ノナプロピレングリコールモノドデシルエーテルなどを挙げることができる。
また、上記一般式(6)で示されるジカルボン酸無水物のVは、炭素数1〜10の炭化水素部位であり、該ジカルボン酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水マロン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸無水物;無水マレイン酸、無水フマル酸、無水シトラコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物などを挙げることが可能であり、これらに限定するものでない。
該ジカルボン酸無水物と該片末端アルコキシポリ(オキシアルキレン)グリコールより該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールを得る際の反応条件について特に制限はなく、片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールが生成する条件であれば、如何なる条件で反応を行ってもよい。反応温度、反応時間、反応濃度などの反応条件は任意に選択すればよく、例えば反応温度として、−50℃〜200℃であることが好ましく、特に20℃〜130℃であることが好ましい。また、反応溶媒としては、一般に用いられている有機溶媒であればいずれのものでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等を挙げることができる。また、無溶媒で反応を行うことも可能である。
また、反応を行う際には、効率的に反応を行うために、生成する水を反応系中から取り除きながら行う方法や、一般的に知られている脱水反応の条件で行うことが好ましく、特に脱水触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。その際の脱水触媒としては、例えば硫酸、塩酸、硝酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの酸触媒;テトラクロロチタン、トリクロロチタンイソプロポキシド、ジクロロジイソプロポキシチタン、酸化チタンなどのチタン化合物触媒;テトラクロロジルコニウム、酸化ジルコニウムなどのジルコニウム化合物触媒;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、BOP試薬、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(MNBA)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)などのカルボジイミド化合物触媒、等を挙げることができ、これらに限定するものではない。また、これらの組み合わせを用いてもよい。
該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールを製造する際、反応に供する該ジカルボン酸無水物と該片末端アルコキシポリ(オキシアルキレン)グリコールの割合については任意であり、その中でも効率よくポリ(オキシアルキレン)グリコールのすべての末端にカルボキシル基を導入することが可能となることから、該ジカルボン酸無水物と該片末端アルコキシポリ(オキシアルキレン)グリコールの比が、1:0.001〜1:1000の範囲で反応を行うことが好ましく、1:1〜1:0.01の範囲で反応を行うことがさらに好ましい。
該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールの回収に用いる析出溶媒としては、該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールが難溶な溶媒であればいずれでもよく、具体的にはヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;アセトン、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテルなどの含酸素炭化水素、等を挙げることができる。
反応はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、反応条件により、2段階以上に分けて行うことも可能である。
そして、本発明のグラフト共重合体は、該エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物と該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールとを反応することにより製造することが可能であり、その際の反応温度、反応時間、反応濃度などの反応条件については任意であり、反応温度としては、例えば−50℃〜200℃であることが好ましく、特に20℃〜130℃であることが好ましい。また、反応を行う際に溶媒を用いる場合、一般に用いられている有機溶媒であればいずれのものでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等を挙げることができる。また、無溶媒で反応を行うことも可能である。
そして、グラフト共重合体を製造する際には、効率的な反応を行うことが可能となることから、生成する水を反応系中から取り除きながら行う方法や、一般的に知られている脱水反応の条件で行うことが好ましく、特に脱水触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。
該脱水触媒として、特に制限はなく、例えば硫酸、塩酸、硝酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの酸触媒;テトラクロロチタン、トリクロロチタンイソプロポキシド、ジクロロジイソプロポキシチタン、酸化チタンなどのチタン化合物触媒;テトラクロロジルコニウム、酸化ジルコニウムなどのジルコニウム化合物触媒;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、BOP試薬、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)、2−メチル−6−ニトロ安息香酸無水物(MNBA)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)などのカルボジイミド触媒、等を挙げることができるがこれらに限定するものではない。また、これらの組み合わせを用いてもよい。
本発明のグラフト共重合体を製造する際の反応に供する該エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物と片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールの割合については本発明のグラフト共重合体の製造が可能であれば任意であり、該片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールをエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物を構成する酢酸ビニルケン化物残基単位の化学量論量以上を用いることにより効率的に製造することが可能となる。
そして、本発明のグラフト共重合体の回収については、析出溶媒を用いても良く、該析出溶媒としては、該グラフト共重合体が難溶な溶媒であればいずれでもよく、例えばヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;アセトン、イソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテルなどの含酸素炭化水素、等が挙げられる。また、回収したグラフト共重合体は、濾過、乾燥を行うことで、分離することが可能である。
反応はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、反応条件により、2段階以上に分けて行うことも可能である。
本発明のグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂等に添加することで、その帯電防止性能を向上させることが可能となる。その際の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンなどを例示することが可能であり、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に適したものであり、本発明のグラフト共重合体をエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の帯電防止剤として使用した際、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の接着性等の樹脂物性を変化させることなく、帯電防止性能を付与することが可能である。
本発明のグラフト共重合体を熱可塑性樹脂等に添加する方法として、特に制限はなく、熱可塑性樹脂の粉末および/またはペレットに本発明のグラフト共重合体を添加する方法、本発明のグラフト共重合体に熱可塑性樹脂の粉末および/またはペレットを添加する方法、熱可塑性樹脂の粉末および/またはペレットと本発明のグラフト共重合体を混錬して練りこむ方法、本発明のグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に高濃度に含有させたマスターバッチを熱可塑性樹脂と混合する方法などを例示可能である。
本発明のグラフト共重合体を、帯電防止剤として使用する際、一般に知られている、高分子型の帯電防止剤や、低分子型の帯電防止剤など、他の帯電防止剤と併用してもよい。
熱可塑性樹脂等に混合することにより、帯電防止性能を付与することが可能となる帯電防止剤としても期待される新規なグラフト共重合体を提供するものである。
以下、本発明を実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例において用いた測定・評価方法を以下に示す。
〜表面固有抵抗値の測定〜
得られたグラフト共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体組成物をプレス機を用いて、加熱時間3分、加圧時間3分(100kgf/cm)、冷却時間3分の条件で10cm×10cm、厚さ0.2mmのシートを作成し、そのシートを23℃、湿度50%RHの条件で48時間静置後、超絶縁計により同条件の雰囲気下で測定した(ASTM D257(1984年)に準拠)。
〜グラフト共重合体におけるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位の導入量)
得られたグラフト共重合体を重ベンゼンに溶かし、60℃に加熱してH−NMRにて測定し、そのピーク値より算出した。
実施例1
スターラー、攪拌子を備えた1000mlのナスフラスコを窒素雰囲気下として、メトキシポリエチレングリコール(アルドリッチ製、(商品名)#750、q=16)250g、無水コハク酸35.11g、N,N−ジメチルアミノピリジン8.23g、テトラヒドロフラン535mlを導入した後、室温にて15時間攪拌した。エバポレーターにてテトラヒドロフランを留去した後に、濃縮液をジエチルエーテル700mlに投入し、濾過により取り出した後乾燥することにより、片末端カルボキシル基変性メトキシポリエチレングリコール(q=16)261gを得た。
スターラー、攪拌子、オイルバスを備えた300mlのナスフラスコを窒素雰囲気下として、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6820;x=0.89、y=0.02、z=0.09)4gを導入し、上述の方法で合成した片末端カルボキシル基変性メトキシポリエチレングリコール35g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.43gを導入した後、トルエン60mlを投入し、110℃に加熱し溶解した。次に、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド4.39gを滴下して加えた後、110℃のまま3時間加熱した。
次に、反応液をヘキサン300m1に投入し、樹脂を析出させ、濾過により取り出した後、アセトン300mlを投入しリパルプ洗浄を行った。濾過により取り出した後、乾燥することにより、グラフト共重合体(k=0.89、l=0.02、n=0.09、q=16)6.1gを得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 630)100重量部に対して、得られたグラフト共重合体10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ1.9×1010Ωであり、帯電防止性能に優れるものであった。
実施例2
実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6820;x=0.89、y=0.02、z=0.09)の代わりにエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6822X;x=0.89、y=0.02、z=0.09)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりグラフト共重合体(k=0.89、l=0.02、n=0.09、q=16)5.9gを得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 510)100重量部に対して、得られたグラフト共重合体10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ1.3×1012Ωであり、帯電防止性能に優れるものであった。
実施例3
実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6820;x=0.89、y=0.02、z=0.09)の代わりにエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6960;x=0.82、y=0.03、z=0.15)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりグラフト共重合体(k=0.82、l=0.03、n=0.15、q=16)7.1gを得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 510)100重量部に対して、得られたグラフト共重合体10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ3.9×1011Ωであり、帯電防止性能に優れるものであった。
実施例4
実施例1において、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6820;x=0.89、y=0.02、z=0.09)の代わりにエチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物(東ソー(株)製、(商品名)メルセンH H−6051;x=0.89、y=0.04、z=0.07)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりグラフト共重合体(k=0.89、l=0.04、n=0.07、q=16)6.9gを得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 510)100重量部に対して、得られたグラフト共重合体10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ2.4×1011Ωであり、帯電防止性能に優れるものであった。
実施例5
実施例1において、メトキシポリエチレングリコール(アルドリッチ製、(商品名)#750、q=16)250gの代わりにメトキシポリエチレングリコール(アルドリッチ製、(商品名)#2000、q=45)667gを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりグラフト共重合体(k=0.89、l=0.02、n=0.09、q=45)を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 630)100重量部に対して、得られたグラフト共重合体10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ3.2×1011Ωであり、帯電防止性能に優れるものであった。
比較例1
実施例1において、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドを用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法によりグラフト共重合体の製造を試み3.99gの回収物を得た。得られた回収物は、グラフト共重合体ではなく、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物と片末端カルボキシル基変性メトキシポリエチレングリコールの混合物であることを確認した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 630)100重量部に対して、得られた回収物10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ6.8×1016Ωであり、帯電防止性能に劣るものであった。
比較例2
実施例1において、メトキシポリエチレングリコール(アルドリッチ製、(商品名)#750、q=16)250gの代わりにメトキシエチレングリコール(q=1)25.3gを用いた以外は、実施例1と同様の方法により、グラフト共重合体(k=0.89、l=0.02、n=0.09、q=1)を得た。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、(商品名)ウルトラセン 630)100重量部に対して、得られたグラフト共重合体10重量部を配合し、組成物としてその表面固有抵抗を測定したところ9.1×1015Ωであり、帯電防止性能に劣るものであった。
本発明の新規なグラフト共重合体によれば、熱可塑性樹脂、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂に混合しても接着性等の樹脂物性を低下させることなく帯電防止性を付与することが可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするグラフト共重合体。
    Figure 2014088500
    (なお、式中のRは、下記一般式(2)で示されるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位を示し、k=0.5〜0.95、l=0.01〜0.2、n=0.04〜0.49であり、k+l+n=1である。)
    Figure 2014088500
    (なお、式中、Xは下記一般式(3)で示されるジカルボン酸化合物残基単位を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、qは5〜300の整数を示す。)
    Figure 2014088500
    (なお、式中、Yは炭素数1〜10の炭化水素部位である。)
  2. 上記一般式(2)で示されるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位が、ノナエチレングリコールモノデシルエーテル残基単位、メトキシポリエチレングリコール残基単位、エトキシポリエチレングリコール残基単位、フェノキシポリエチレングリコール残基単位、ノナプロピレングリコールモノデシルエーテル残基単位、メトキシポリプロピレングリコール残基単位、エトキシポリプロピレングリコール残基単位及びフェノキシポリプロピレングリコール残基単位からなる群より選択されるポリ(オキシアルキレン)グリコール残基単位であり、上記一般式(3)で示されるジカルボン酸化合物残基単位が、コハク酸残基単位及び/又はマレイン酸残基単位であることを特徴とする請求項1に記載のグラフト共重合体。
  3. 下記一般式(4)で示されるエチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン化物と下記一般式(5)で示される片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールとを脱水触媒の存在下で反応し、請求項1又は2に記載のグラフト共重合体とすることを特徴とするグラフト共重合体の製造法。
    Figure 2014088500
    (なお、式中、x=0.5〜0.95、y=0.01〜0.2、z=0.04〜0.49であり、x+y+z=1である。)
    Figure 2014088500
    (なお、式中、R、R、tのそれぞれについては、上記一般式(2)で示されるR、R、qのそれぞれと同様であり、Wは、炭素数1〜10の炭化水素部位を示す。)
  4. 上記一般式(5)に記載の片末端カルボキシル基変性ポリ(オキシアルキレン)グリコールが、片末端アルコキシポリ(オキシアルキレン)グリコールと下記一般式(6)で示されるジカルボン酸無水物との反応生成物であることを特徴とする請求項3に記載のグラフト共重合体の製造法。
    Figure 2014088500
    (式中、Vは炭素数1〜10の炭化水素部位を示す。)
  5. 脱水触媒が、酸触媒、チタン化合物触媒及びカルボジイミド化合物触媒からなる群より選択される脱水触媒であることを特徴とする請求項3又は4に記載のグラフト共重合体の製造法。
  6. 請求項1又は2に記載のグラフト共重合体を含んでなることを特徴とする高分子帯電防止剤。
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