JP2014087779A - 塊状処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、糞尿等を処理する処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダと、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、を含む、塊状処理剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、処理剤に関する。より詳しくは、糞尿などの処理に用いられる処理剤に関する。
一般的に、トイレは、糞尿を水とともに下水道に流す水洗式のものと、タンクに溜めておく汲み取り式のものに大別することができる。水洗式トイレの場合、糞尿は水とともに下水道に流され、下水処理場で処理される。一方、汲み取り式トイレの場合、バキュームカー等によりタンクから糞尿を汲み取り、下水処理場に運ばれて処理される。
下水処理場においては、糞尿を含む汚水は浄化槽に貯溜され、ここで糞尿中の有機物は活性汚泥等の微生物の作用により分解除去され、ついで、水分は何段階かの処理工程を経て浄化され、河川に放流される。
しかしながら、地震等の災害による長期の停電および断水時等においては、トイレが使用できなくなり、各家庭では糞尿が大量に溜まってしまう。大量に溜まった糞尿からは悪臭が発散し続け、そのままにしておくと、その臭気により生活環境が著しく悪化してしまう。そこで、一般には糞尿をプラスチック製の袋に入れ、密封状態でとりあえず保管しておく方法等が採られているが、前記プラスチック製の袋は破損し易いため、保管中に破損して糞尿が漏れ出し、周囲に悪臭を発散させてしまう等の問題がある。また、前記プラスチック製の袋に入れられた糞尿は、時間とともに腐敗して臭気ガスが溜まり、その圧力で、前記プラスチック製の袋から臭気ガスが漏れ出てしまう等の問題もある。
また、工事現場、イベント会場、キャンプ場等においては、簡易トイレが使用されているが、従来の簡易トイレにおいては、設置しているうちに大量の糞尿が溜まり、周囲に悪臭を発散する等の問題がある。
このような状況下、特許文献1には、中和率が50モル%以上であるアクリル酸単量体水溶液を重合反応させ、親水性の多価エポキシ化合物と重合開始剤を加えたのち光を照射して再重合反応をさせてゲル状固形体となさしめ、さらにこのゲル状固形体を熱風で乾燥、粉砕、選別し、表面架橋剤を添加し表面処理した、し尿処理用の高吸水性ポリマーが開示されている。
特開2008−095016号公報
本発明者は、特許文献1に記載の高吸水性ポリマーを用いて糞尿を処理した場合、処理後数日で被処理物が腐敗し、悪臭やガスが発生するという問題を有していることを認識した。また、本発明者は、従来においては認識されていない、使用上などの課題が存在していることを認識した。
よって、本発明では、被処理物の悪臭やガスの発生を抑え、さらに、使用上の課題の少なくとも1つを解決する処理剤を提供することを目的とする。
上記目的は、以下の発明を提供することによって解決される。
(1)消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダと、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、を含む、塊状処理剤。
(2)前記リン酸塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウムおよびリン酸三カリウムからなる群から選択される、(1)に記載の塊状処理剤。
(3)ゼオライトまたは酸化亜鉛をさらに含む、(1)または(2)に記載の塊状処理剤。
(4)糞尿の処理に用いられる、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
(5)平均直径が3〜100mmである、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の塊状処理剤。
(6)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤。
(7)平均粒径が、150μm超〜3mm未満である、(6)に記載の顆粒状処理剤。
(8)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(6)もしくは(7)に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器。
(9)水の非存在下に、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(6)もしくは(7)に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、(8)に記載の便器。
(10)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(6)もしくは(7)に記載の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品。
本発明は、上記の発明によって、以下の効果を有する。
(1)本発明の第1は、消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダと、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、を含む、塊状処理剤である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に被処理物(たとえば、尿)を処理することが可能である。また、処理後も被処理物の腐敗がほとんど起こらず、悪臭やガスの発生を効果的に抑制することができる。つまり、消毒剤、消臭剤、殺菌剤または滅菌剤の用途にも用いることができ、感染症の予防にも繋がる。また、本発明の処理剤は、固形化されているため、使用時に粉塵が舞いにくくなる結果、取り扱い性が向上する。特に、災害時での使用において、微細な粉塵が発生せず、取り扱い性の観点で非常に優れ、健康被害を有意に抑制する。さらに、本発明の処理剤は、使用後、長期間が経過しても半固形状(ゲル状)の形態を維持することができる。従来の処理剤を用いて液状の被処理物(たとえば、尿)を処理した場合、処理直後は固形状または半固形状(ゲル状)の形態とすることができるものであっても、長期間が経過すると、被処理物の一部または全部が液状化し、消臭効果や取り扱い性が低下することがあった。かような傾向は、特に夏場や気温の高い地域といった、高温下で使用される場合に顕著である。そして、このように取り扱い性が悪い処理剤は、皮膚等に付着し易い。その場合、避難所等で長引く生活で免疫力等が低下している中では、皮膚炎等を引き起こす可能性が高くなる。しかし、本発明の処理剤は固形化されている上、さらに液状の被処理物を処理しても、長期間、固形状または半固形状(ゲル状)の形態を保持していられるので、処理を行う前後において取り扱い性が著しく向上する。その結果、衛生的な面で優れた処理剤を提供することができる。
(2)また、本発明の第1の塊状処理剤において、上記のpH8〜13のリン酸塩が、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウムおよびリン酸三カリウムからなる群から選択されることによって、さらに上記の効果が向上する。具体的には、被処理物を処理した後、長期間が経過しても、被処理物が液状化しにくくなり、取り扱い性がさらに向上する。
(3)また、本発明の第1の塊状処理剤が、ゼオライトまたは酸化亜鉛を含むことによって、さらに上記の効果が向上する。具体的には、ゼオライトや酸化亜鉛によって、被処理物(例えば、大便、小便)から発生しうるアンモニアや硫化物などのにおいの成分を吸着することができる。よって、悪臭をさらに抑制することができる。
(4)また、本発明の第1の塊状処理剤が、消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダと、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、を含むことによって、さらに上記の効果が向上する。したがって、糞尿の処理に適している。
(5)また、本発明の第1の塊状処理剤の平均直径が3〜100mmであることによって、取り扱い性を向上させることができると共に、被処理物との接触面積が増大し、被処理物との反応効率を向上させることができる。
(6)本発明の第2は、本発明の第1の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、顆粒状処理剤であると、塊状処理剤のように、処理剤を製造する際に大きな塊状を長持間保つ必要がないのでバインダの量を少なくできるとの観点で、単位重量当たりの有効成分の割合を高めることができる。
(7)また、本発明の第2の顆粒状処理剤の平均粒径が、150μm超〜3mm未満であると、取り扱い性が向上しながら、被処理物との接触面積が増大し、被処理物との反応効率を向上させることができる。
(8)本発明の第3は、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、本発明の便器は、予め処理剤が配置されてなるので、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。それに対して、従来の処理剤は、排泄をした後、自分で(あるいは介護者などが)糞尿に、処理剤を振り掛ける必要があり、使用者(あるいは介護者など)は不快になることがあった。しかし、本発明の便器によれば、予め処理剤が配置されているので、排泄後は特に確認を要することなく、必要に応じて、そのまま簡易式便器を廃棄すれば足りるという効果も有する。さらに、尿等の液状物を処理した後、長期間が経過しても、被処理物が固形状または半固形状(ゲル状)を維持し、液状化しにくいため、便器から廃棄場所に被処理物を移す際に、その移送作業を容易に行うことができるという効果もまた有する。
(9)また、本発明の第3の便器において、水の非存在下に、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなると、(8)で述べた効果の他、便器としての保存性も向上する。
(10)本発明の第4は、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の塊状処理剤または(6)もしくは(7)に記載の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品である。かかる構成によって、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、悪臭やガスの発生を抑制することができる。また、吸収性物品の中に存在する本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が非常に優れた消臭性を有し、さらに、尿等の液状物を処理した後長時間が経過しても、被処理物が液状化することが抑制されることにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、「%」は、「重量%」または「質量%」であると解する。特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。
<本発明の第1>
(1)塊状処理剤
本発明の第1は、消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダと、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、を含む、塊状処理剤である。上記のように、本発明の処理剤は、バインダを含むことによって固形化されてなるため、取り扱い性に優れる。なお、本発明の第1の塊状処理剤を構成する成分は、バインダによって相互に結着した状態で存在する。なおまた、本明細書において「塊状処理剤」との意味は、打錠されることによって固形化されているもののみならず、成分同士が凝集して不定形な塊状になっているものも含む概念である。
また、本発明の塊状処理剤(本明細書中、単に「処理剤」とも称する場合がある)は、液状の被処理物(たとえば、尿)と接触した場合、膨潤し固形状または半固形状(ゲル状)となる。そして、固形状または半固形状(ゲル状)であるため、被処理物が処理剤中に投入された際に、処理剤が被処理物を効果的に被覆することができる。処理剤に被処理物が投入されたときには、被処理物は、その投入の圧力と被処理物の重量により、処理剤の中に侵入し、処理剤に覆われる形態になると考えられる。このような形態であると、被処理物から生じる臭気を、大気中に放出するのを抑制することができる。さらには、被処理物が糞の場合は、糞の外側を覆うことによって、腐敗を防ぎ、臭気を抑制することができる。そして、本発明の塊状処理剤は、長期間、固形状または半固形状(ゲル状)の形態を保持することができるため、臭気の拡散を抑制する効果が長期間にわたって優れている。
本発明の第1の塊状処理剤の形状にも、消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダと、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、を含むことによって、固形化されていれば、特に制限されない。例えば、球状、円柱状、中高状の円柱状、直方体状など、どのような形状であってもよい。ただし、処理剤の保存性の観点から、球状、円柱状、中高状の円柱状などが好ましく、作製上の観点から、円柱状、中高状の円柱状が好ましい。
本発明の第1の塊状処理剤の平均直径は、3〜100mmであることが好ましい。このような範囲であることによって、上記した粉塵に起因する問題を有意に解決することができ、取り扱い性を向上させながら、被処理物との接触面積を増大させ、被処理物との反応効率を向上させ、上記して効果を奏することが容易となる。本発明の第1の塊状処理剤の平均直径は、より好ましくは6〜50mmであり、さらに好ましくは7〜20mmである。ここで、本発明の第1の塊状処理剤の平均直径とは、50粒の塊状処理剤を任意に選択して、1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。また、本発明の第1の塊状処理剤の平均厚さは、1〜30mmであることが好ましい。また、本発明の第1の塊状処理剤の平均厚さは、より好ましくは2〜15mmであり、さらに好ましくは4〜10mmである。かかる範囲であることによって、上記した効果を奏することが容易となる。平均直径が、7〜20mmであり、平均厚さが、4〜10mmであると、被処理物と接触した際に、崩壊する速度が高くなり、また、かような処理剤を製造する観点でも容易であり、特に好ましい。なお、本発明の第1の塊状処理剤が、円柱状、中高状の円柱状、直方体状の形態であれば、長軸が平均直径となる。他方、短軸が、平均厚さとなる。なお、ここで言う「平均直径」「平均厚さ」は、打錠されてなる塊状処理剤についてのものである。また、本発明の第1の塊状処理剤の重量にも特に制限はないが、運搬性や取り扱い性を鑑みると、1粒当たりの重量は、好ましくは0.05〜30g程度であり、より好ましくは、0.2〜10g程度、さらに好ましくは0.3〜2g程度である。無論、この範囲外であってもよい。
以下、構成要件について、詳説する。
[消石灰]
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる消石灰(Ca(OH))は、強アルカリであるため、糞尿処理の際(特に大便)の殺菌効果が大きい。また、口蹄疫や鳥インフルエンザなどに感染した動物や家畜あるいはその死骸、その動物や家畜が食べていた餌(植物など)、その動物や家畜が存在していた、または、存在している家畜舎、あるいは、その家畜舎付近の土壌や道路などを、殺菌、滅菌、消毒、消臭することなどに効果がある。これにより、有機物の発酵・分解が止まる。すると、殺菌、滅菌、消毒される。そして、臭気を低減させる効果を得ることができる。また、消石灰は、主に硫化物を吸着するため、この点からも消石灰を使用することによる臭気の低減効果が大きいと言える。
消石灰の形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して消石灰を効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。
かかる範囲であると、製造が容易となり生産コストが低くなり、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上し、処理時に塊状物が生じず、未反応物が残存しなくなる。必要に応じて、前記消石灰は、平均粒径が異なる2種以上の消石灰が組み合わせて使用されてもよい。なお、本発明において、かかる平均粒径は、100粒を任意に選択して、顕微鏡によって1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。以下、本明細書中に記載の「平均粒径」は、同様の定義である。なお、所望の平均粒径とするためには、適宜、篩いなどにかければよい。
本発明で用いられる消石灰は、疎水性の被覆剤で表面処理したものであってもよい。また、本発明で用いられる消石灰は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。
本発明の塊状処理剤に、消石灰が含まれる場合、かかる消石灰の含有量は、塊状処理剤の総質量(100重量%;以下同じ)に対して、5〜90重量%程度、8〜70重量%程度、あるいは、10〜50重量%程度である。かかる範囲であれば、被処理物(例えば、糞尿)の処理の際し、臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
[吸水性ポリマー(吸水剤、高分子吸水剤とも称することがある)]
本発明の第1の塊状処理剤に含まれる吸水性ポリマー(吸水剤)は、消石灰を補助する役割をする。つまり、例えば、処理剤として、消石灰だけを用いた場合、被処理物(例えば糞尿中)の水分を吸収しきれず泥状または液状となる場合がある。消石灰が湿ると、消石灰自身が独特の悪臭を放つ場合がある。また、糞尿が泥状のままであれば、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。
本発明の第1の塊状処理剤には、吸水性ポリマー(高分子吸水剤)が含まれるため、被処理物中の水分を吸収し固化することができる。被処理物に対して、消石灰および吸水性ポリマーを加えると、被処理物が固化し、固化した被処理物の周囲を消石灰が覆う形となり、微生物の発酵、分解活動を止めることができ、ひいては、上述した効果を有することができる。また、消石灰の添加量を低減させることができ、消石灰自身が発する悪臭をより低減させることができる。さらには、吸水性ポリマーが、水分に接触した際に膨潤するため、固化されている処理剤の崩壊の基点となる役目をする。その結果、被処理物を被覆する速度を早くし、悪臭が放散することをより抑制することができる。
本発明で用いられる吸水性ポリマーは、本発明の効果を奏するために悪影響を及ぼさない限り、特に制限はなく、公知の物質を使用することができる。その具体的な例としては、例えばデンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体などのデンプン系吸水性ポリマー、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト共重合体などのセルロース系吸水性ポリマー、多糖類系吸水性ポリマー、コラーゲン等のたんぱく質系吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール架橋重合体などのポリビニルアルコール系吸水性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体などのアクリル系吸水性ポリマー、無水マレイン酸系吸水性ポリマー、ビニルピロリドン系吸水性ポリマー、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体などのポリエーテル系吸水性ポリマー等などが挙げられる。これら吸水性ポリマーは、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これら吸水性ポリマーは、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)、アクアリック(登録商標)CA(株式会社日本触媒製)、サンフレッシュ、アクアパール(サンダイヤポリマー株式会社製)、ハイモサブHS−960(ハイモ株式会社製)などが挙げられる。これら吸水性ポリマーの中でも、ハイモサブHS−960(ハイモ株式会社製)がより好ましい。アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)の中でも、好ましくは、SA−50II、SA−60N TYPE−IIまたはSA60−Sであり、吸水力の観点では、SA60−Sが好ましい。また、コストの観点では、SA−50IIまたはSA−60N TYPE−IIが好ましい。前記吸水性ポリマーの形状も特に制限されず、例えば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状等が例示できる。前記吸水性ポリマーが粒状である場合、その平均粒径にも特に制限はないが、好ましくは50〜1000μmであり、より好ましくは80〜850μmであり、さらに好ましくは100〜600μmである。
吸水性ポリマーの含有量は、吸水性ポリマーの種類や形状、および被処理物に含まれる水分量などにより適宜調整可能であるが、塊状処理剤の総質量に対して、1〜90重量%程度、4〜60重量%程度、5〜50重量%程度、あるいは、10〜45重量%程度であることが好ましい。かかる範囲であれば、吸水性ポリマーの効果を有意に得られ、未反応の吸水性ポリマーが残留せず、コスト的に有利である。
[結合剤(バインダ)]
本発明の第1の塊状処理剤に含まれるバインダは、下記で説明する有機系バインダであっても、無機系バインダであってもよい。しかし、結着性を鑑みると、好ましくは、本発明の第1の塊状処理剤に含まれるバインダは、セルロース系バインダ、高分子系バインダおよびでんぷん系バインダからなる群から選択される少なくとも1種の有機系バインダであることが好ましく、特には、前記バインダが、セルロース系バインダであると好ましい。
本発明の第1の塊状処理剤は、消石灰などの成分が固形化されている点に特徴を有する。本発明の第1の塊状処理剤は、消石灰のほかに吸水性ポリマー(吸水剤)などが含まれるが、かかる吸水性ポリマー(吸水剤)は、固形化時(圧縮時)にクッション的な役割になり打錠や圧縮が困難となる場合がある。
しかしながら、本発明の第1の塊状処理剤は、結合剤(バインダ)を含むため、固形化、タブレット化、造粒化が容易となる。そして、結合剤(バインダ)が含まれるという形態によって、本発明の第1の塊状処理剤は、十分な強度を有する。その点、運搬性や取り扱い性の観点で好ましい。
本発明の第1の塊状処理剤に含まれるバインダは、従来公知の方法で合成しても、市販品を購入することによって準備してもよい。市販品としては、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2、PH−102、TG−101、ST−02、TG−101や、樋口商会社製PVPK−15、PVPK−30、PVPK−90(ポリビニルピロリドン)、日本製紙ケミカル社製のKCフロック(W−50S、W−50、W−100/100G、W−200/200G、W−250、W−300G、W−400G)などが好適に使用されるが、中でも、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2、セルロース系の日本製紙ケミカル社製のKCフロックは、形状が繊維状であるため、結合力・崩壊性の観点で、好ましい。また、日本製紙ケミカル社製のKCフロックと旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2が、結着性の観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。特に、旭化成ケミカルズ社製のセロッサK2は、形状が粒状であり粒子が細かいので、結合力も高く、打錠機のホッパーからのフィードがスムーズである観点で非常に優れていることを、本発明者は見出している。
本発明の第1の塊状処理剤に含まれるバインダの平均粒径にも特に制限はないが、好ましくは1μm〜100μmであり、より好ましくは5μm〜70μmであり、さらに好ましくは20μm〜60μmである。
バインダの含有量は、本発明の第1の塊状処理剤の総質量に対して、0.3〜85重量%程度、1〜80重量%程度、5〜70重量%程度、8〜65重量%程度、あるいは、20〜60重量%程度であるである。かかる範囲であると、粉状である消石灰、吸水性ポリマーを塊状にし、使用時の粉塵飛散を防ぐ効果の観点で好ましい。バインダとして例えばセルロース系のバインダを使用した際に、バインダの量が増えると以下の効果がある。つまり、バインダ自体にも吸水性があり、崩壊の基点の役目をする吸水剤を補助する機能を発揮して、被処理物と接触した際に、崩壊の速度が上がる。また、バインダの量が減ると、コストを低く抑えることができ、容量が減る分、被処理物と接触する面積が上がり、反応性が向上する。
また、バインダとして、カルボキシビニルポリマーを使用してもよい。
カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸系の架橋共重合体で、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸等の置換アクリル酸等のアクリル酸系モノマーの架橋ポリマーである。前記アクリル酸系モノマーは、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
カルボキシビニルポリマーにおける架橋剤は、1分子当たり2以上の炭素−炭素二重結合(アルケニルエーテル基)を有した多価アルコールのポリアルケニルエーテルが好ましく、具体的には、スクロースのアリルエーテル、ペンタエリトリトールのアリルエーテル等が挙げられる。
カルボキシビニルポリマーは、市販品の中から自由に選択することが可能であるが、粘度の経時変化の少ない安定性の高いものを用いることが好ましい。
カルボキシビニルポリマーの市販品としては、たとえば、AQUPEC(登録商標)HV−501[粘度:5400−11400mPa・s(0.5%)]、HV−504[粘度:26500−39500mPa・s(同)]、HV−505[粘度:45000−70000mPa・s(同)]、HV−501E[粘度:5400−11400mPa・s(同)]、HV−504E[粘度:26500−39500mPa・s(同)]、HV−505E[粘度:40000−70000mPa・s(同)]、HV−501ER[粘度:7000−14000mPa・s(同)]、HV−505ED[粘度:40000−60000mPa・s(同)](以上、住友精化株式会社製)、カーボポール980[粘度:16000−28000mPa・s(0.2%)]、981[粘度:4000−7500mPa・s(同)]、2984[粘度:2500−6500mPa・s(同)]、ETD2050[粘度:6000−14000mPa・s(同)]、Ultrez10[粘度:12000−29000mPa・s(同)](以上、ループリゾール・アドバンスト・マテリアルズ社製)、ジュンロンPW−110[粘度:10000−20000mPa・s(0.2%中和、25℃)]、PW−111[粘度:3000−7000mPa・s(同)]、PW−150[粘度:15000−25000mPa・s(同)]、PW−302S[粘度:15000−25000mPa・s(同)]、PW−350S[粘度:1500−50000mPa・s(同)]、PW−500[粘度:20000−35000mPa・s(同)](以上、東亞合成株式会社製)、ハイビスワコー(登録商標)103[粘度:15000mPa・s(0.2%中和)]、104[粘度:26000mPa・s(同)]、105[粘度:4000mPa・s(同)](以上、和光純薬工業株式会社製)、カーボポール(登録商標)71G[粘度:4000−11000mPa・s(0.5wt%、pH7.5)]、971P[粘度:4000−11000mPa・s(同)]、981[粘度:4000−10000mPa・s(同)]、941[粘度:4000−10000mPa・s(同)]、934[粘度:30500−39400mPa・s(同)]、934P[粘度:29400−39400mPa・s(同)](以上、B.F.Goodrich Chemical社製)や、カルボキシビニルポリマーカルシウム・カリウム塩であるユニセーフECT−203(日油株式会社製)等をあげることができ、これらのなかでも、カーボポール(登録商標)シリーズ、AQUPEC(登録商標)シリーズ、ハイビスワコー(登録商標)シリーズ、が好ましく、AQUPEC(登録商標)HV−505がより好ましい。なお、上記粘度の記載は、25℃における値である。カルボキシビニルポリマーは、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
カルボキシビニルポリマーの含有量は特に制限はないが、第1の塊状処理剤の総量に対して、0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
このようにバインダとしてカルボキシビニルポリマーを含ませると、消石灰を凝集させる効果があり、結果、粉塵を抑制し、所期の課題を解決することができる。しかも、カルボキシポリマーを入れ、混合するだけの工程で消石灰の粉塵を防止する効果があり、加工工程(打錠工程)を省いてもよく、生産能力も上がり、コストも下がるという効果を有する。
[リン酸塩、炭酸塩および水酸化物]
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物(以下、単に「塩」とも称することがある)は、アルカリ性であるため、消石灰と同様の効果がある。なお、本明細書中に記載のpHは、水に対して十分な溶解度を有するもの(1重量%の水溶液を調製できる程度の溶解度を有するもの、すなわち、室温の水100gに対して1g以上溶解するもの)については、当該物質の1重量%の水溶液を調製し、これを(株)佐藤商事社製のPHレコーダーSDカード記録系型番PH−SDを用いて測定する値を意味するものとする。また、水に対する溶解度が比較的低いもの(1重量%の水溶液を調整できない程度の溶解度しか有さないもの、すなわち、室温の水100gに対して1g未満しか溶解しないもの)については、その飽和水溶液(スラリー溶液であってもよい)について、上記測定器を用いて測定する値を意味するものとする。
pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物もまた、アルカリ性であって消石灰と同様の効果を有するため、消石灰だけでなく、上記塩もまた含む本発明の第1の塊状処理剤は、糞尿処理の際の殺菌、滅菌、消毒、消臭する効果がさらに向上する。そして、上記のように、消石灰と、吸水性ポリマーと、バインダを含む塊状処理剤は、被処理物に接触すると、被処理物を固形化または半固形化(ゲル化)することができる。しかしながら、本発明者は、処理剤の含有物のアルカリ性を高めるに従い、消臭等の効果は高まるものの、特に、尿等の液状の被処理物に対して処理剤を使用した後、長時間が経過すると、被処理物の一部または全部が液状化してしまい、消臭効果が低下すると共に、取り扱い性が低下してしまうという問題点を見出した。
そして、かような問題点に対し、本発明者は、pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種を添加することにより、処理剤を使用した後、長時間経過した後であっても被処理物の液状化を抑制することができることを見出した。すなわち、適度なアルカリ性を有する塩を含むことにより、被処理物が固形状または半固形状(ゲル状)を維持できることを見出した。このように、適度なアルカリ性を有する塩を含むことにより、被処理物が固形状を維持するために適当な分子構造が固定されやすくなり、その結果、処理剤に含まれる吸水性ポリマーの分子構造が固形状である時の構造から変化しにくくなると考えられる。なお、本発明は、上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
上記リン酸塩、炭酸塩および水酸化物のpHは、被処理物の液状化が起こりにくく、また、人が肌に触れたときの腐食性を防止するという観点から、8.2〜12.5が好ましく、8.5〜11であるとより好ましく、9〜10であると特に好ましい。すなわち、上記塩は、弱アルカリ性塩であると好ましい。弱アルカリ性とすることにより、吸水性ポリマーの分子鎖ネットワークがより保持しやすくなる。
また、上記塩において、リン酸、炭酸または水酸化物イオンのカウンターイオンとしては、有機イオン、無機イオンのいずれであってもよいが、電離度等を考慮して、無機イオンが好ましい。無機イオンとしては、アルカリ金属の陽イオン、第二族元素の陽イオン、遷移金属の陽イオン等が挙げられるが、アルカリ金属の陽イオンまたは第二族元素の陽イオンが好ましい。すなわち、上記塩として、アルカリ金属または第二族元素のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であると好ましい。
さらに、上記カウンターイオンのなかでも、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンであると好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンであると特に好ましい。これらのイオンのリン酸塩、炭酸塩または水酸化物であると、例えば、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩を使用した場合、ポリアクリル酸塩の「塩部分」と親和性が高く、吸水性ポリマーのネットワークを強固に保持することができると考えられる。その結果、長時間が経過しても、被処理物がゲル状態から液体状に戻ることを抑制しやすくなる。
上記リン酸塩、炭酸塩および水酸化物の形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。
上記塩の大きさにも特に制限はないが、平均粒径が、100nm〜3mm程度、より好ましくは0.01〜1mm程度のものであることが、粉体の形態であると塊状にし易く、吸水性ポリマーの補助的役割をする観点で好ましい。無論、種類によって、あるいは、製造の便宜を考慮して、これらの範囲を逸脱するものであっても構わない。
上記塩の量(複数種であれば、複数種の合計質量)は、塊状処理剤全体(100重量%)に対して、好ましくは、5〜60重量%、より好ましくは5.5〜55質量%、さらにより好ましくは8〜50重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。かような範囲であれば、消臭効果が上がり、さらに、被処理物が液状化しにくくなる。
また、上記塩の量(複数種であれば、複数種の合計質量)は、重量比において、消石灰の量に対して、同じであるか、またはそれ以上であると好ましい。このような重量比にすることによって、特に吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸ナトリウムを使用した場合、被処理物の液状化を抑制する効果が高くなる。一方、消石灰の量よりも、上記塩の量を多くしすぎると、塊状処理剤の吸水速度が低下してしまうことがあるため、上記塩の量は、消石灰の量に対し、重量比で2倍程度以下とすると好ましい。
(リン酸塩)
本発明で用いることができるpH8〜13のリン酸塩としては、より具体的には、リン酸水素二ナトリウム(NaHPOまたはNaHPO・12HO;pH=9.0〜9.6)、リン酸三ナトリウム(NaPOまたはNaPO・12HO;pH=11.5〜12.5)、ピロリン酸四ナトリウム(NaまたはNa・10HO;pH=9.9〜10.7)、トリポリリン酸ナトリウム(Na10;pH=9.0〜10.2)、リン酸水素二カリウム(KHPOまたはKHPO・12HO;pH=8.7〜9.3)およびリン酸三カリウム(KPO;pH=11.5〜12.5)、ピロリン酸四カリウム(K;pH=10.0〜10.7)が挙げられる。これらのリン酸塩は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記リン酸塩のなかでも、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウムおよびリン酸三カリウムからなる群から選択されると好ましい。これらのリン酸塩を用いることにより、十分な消臭効果が得られると共に、被処理物が固形状態または半固形状態(ゲル状態)を維持しやすくなる。
特に、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸ナトリウムを使用した場合、上記リン酸塩の中でも、カウンターイオンがナトリウムイオンであるリン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウムが好ましい。これらのリン酸塩は、処理剤中に含まれる消石灰のカルシウムイオンと、ポリアクリル酸ナトリウムのナトリウムイオンとがイオン交換して分子構造が変化することを抑制できるため、より被処理物を固形状または半固形状(ゲル状)に維持する効果が高くなる。
上記リン酸塩を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、リン酸水素二ナトリウムは、キシダ化学株式会社やミテジマ化学株式会社などから購入することができる。
(炭酸塩)
本発明で用いることができるpH8〜13の炭酸塩としては、より具体的には、炭酸水素ナトリウム(NaHCO(重曹);pH=8.5)、炭酸水素カリウム(KHCO;pH=8〜8.5)、炭酸ナトリウム(NaCOまたはNaCO・HO;pH=11〜12)、炭酸カリウム(KCOまたはKCO・1.5HO;pH=11.5〜12.5)が挙げられる。これらの炭酸塩は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記炭酸塩のなかでも、炭酸水素ナトリウムが好ましい。炭酸水素ナトリウムを用いることにより、十分な消臭効果が得られると共に、被処理物が固形状態または半固形状態(ゲル状態)を維持しやすくなる。また、被処理物と処理剤を接触させた際、処理剤が素早く崩壊し、被処理物を被覆することができるという効果も得られる。また、炭酸水素ナトリウムは、炭酸のカウンターイオンがナトリウムイオンであるため、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸ナトリウムを使用した場合、上記リン酸塩と同様のメカニズムにより、被処理物を固形状または半固形状(ゲル状)に維持する効果が高くなる。
上記炭酸塩を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、炭酸水素ナトリウムは、大倉アグリ株式会社、高杉製薬株式会社や昭和化学株式会社などから購入することができる。
(水酸化物)
本発明で用いることができるpH8〜13の水酸化物としては、より具体的には、水酸化マグネシウム(Mg(OH);pH=9.5〜10.5)、水酸化カルシウム(Ca(OH);pH=12〜12.5)、水酸化バリウム(Ba(OH);pH=12.5〜13)が挙げられる。これらの水酸化物は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記水酸化物のなかでも、入手のしやすさ等の観点から、水酸化マグネシウムが好ましい。
上記水酸化物を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、水酸化マグネシウムは、純正化学株式会社などから購入することができる。
[添加剤]
本発明の第1の塊状処理剤の他の好ましい形態は、添加剤を含む。本発明の第1の塊状処理剤の添加剤としては、ゼオライト、酸化亜鉛であることが好ましい。さらに、添加剤として、活性炭、潤滑剤、次亜塩素酸塩および四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
添加剤の量は、本発明の初期の効果を奏する範囲であれば特に制限はないが、本発明の第1の塊状処理剤の総質量に対して、0.5〜30重量%程度、0.7〜20重量%程度、あるいは、0.8〜18重量%程度である。
以下、添加剤の構成要件を詳説する。
(ゼオライト)
本発明の第1の塊状処理剤は、ゼオライトである添加剤をさらに含むとよい。「ゼオライト」とは沸石類と呼ばれる鉱物の総称で、天然のゼオライトは約40種類発見されている。ゼオライトが含まれると、被処理物(例えば、糞尿)に含まれるアンモニア成分を吸着し、消臭、脱臭に効果がある。ゼオライトを含むことによって、ゼオライトの細孔が、悪臭を取り込んで、悪臭を抑制することができる。
本発明のゼオライトは、天然のものであっても、人工的なものであってもよいが、入手性の観点からは、人工的なものであることが好ましい。また、本発明のゼオライトは、水や窒素分子よりも少し大きい5.5〜8Å程度の極微小な空洞がトンネル状に構成されているモルデナイトと呼ばれるゼオライトであることが好ましい。
市販品を購入する場合、新東北化学工業(株)社製の、ゼオライト2460、ゼオライト60、ゼオライトCPなどが好ましい。
本発明のゼオライトの平均粒径にも特に制限はないが、0.5mm以下程度が好ましく、より好ましくは、0.4mm以下であり、下限としては、10μm以上程度である。
ゼオライトとして、たとえば、SiO(酸化ケイ素)、Al(酸化アルミニウム)、CaO(酸化カルシウム)、NaO(酸化ナトリウム)、KO(酸化カリウム)、Fe(酸化鉄)、MgO(酸化マグネシウム)、付着水(HO)、結合水(HO)、その他が、それぞれ、70.5重量%、11.3重量%、2.6重量%、1.6重量%、1.3重量%、0.7重量%、0.1重量%、8.0重量%、3.9重量%程度含まれるものが挙げられるが、無論、かかる組成に限定されることはなく、それぞれの成分が0.1〜2割程度前後して、合計が100%になるように調製されたものを用いてもよい。なお、本発明において、例えば、K[AlSi]などのゼオライトを用いてもよい。
ゼオライトを使用する場合の使用量は、ゼオライトの種類や形状、および被処理物(例えば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤の総質量に対して、0.1〜50重量%程度、1〜30重量%、あるいは、2〜20重量%程度の範囲であることがさらに好ましい。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
(酸化亜鉛)
本発明の第1の塊状処理剤は、酸化亜鉛である添加剤をさらに含むとよい。酸化亜鉛は、ZnOで表される亜鉛の酸化物であり、アンモニア、硫化物などの臭いの成分を吸着して消臭、脱臭する効果を有する。
酸化亜鉛としては、市販品の中から自由に選択することが可能である。たとえば、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)、酸化亜鉛II種(ハクスイテック株式会社製)などが挙げられる。
本発明において、酸化亜鉛の含有量は、特に制限されないが、処理剤全量(100重量%)に対して、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜15重量%、よりさらに好ましくは、0.3〜12重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。
(活性炭)
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる活性炭は、上記の消石灰が放つことがある悪臭を抑制する観点から添加されると好ましい。また、活性炭は、糞尿処理中に発生する悪臭を抑制する働きをも有する。
本発明で用いられる活性炭は、特に制限されない。活性炭の具体的な例としては、例えば、木炭、コークス、ヤシガラ、天然繊維、ポリアクリロニトリル、レーヨン、フェノール樹脂などの合成樹脂、ピッチなどを原料として用い、公知の方法で得られた活性炭が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、前記活性炭は、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、活性炭GYアルカリ用、活性炭GX酸性用(以上、東洋紡株式会社製)、またはこれらの混合物などが挙げられる。
さらに、消石灰と活性炭とが予め混合されている市販品、例えば、ゾルバリット(宇部マテリアルズ株式会社製)を用いて、本発明の処理剤の消石灰成分および活性炭成分としてもよい。これら活性炭の中でも、悪臭物質の吸着の観点で、ゾルバリットがより好ましい。
前記活性炭の形状も特に制限されず、例えば、粒状、粉末状、顆粒状、ペレット状、マカロニ状、繊維状、ハニカム状等が例示できる。
活性炭を使用する場合の使用量は、活性炭の種類や形状、および被処理物(例えば、糞尿)中に含まれる成分などにより適宜調整可能であるが、処理剤の総質量に対して、0.1〜20重量%程度、0.4〜15重量%程度、あるいは、0.3〜10重量%程度である。かかる範囲であると、悪臭を抑制する効果がより高くなり、コスト的にも経済的である。
(潤滑剤)
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる潤滑剤は、本発明の第1の塊状処理剤を作製する際に、特に、打錠機の臼へのフィードをスムーズになるために用いられるものである。潤滑剤の種類としては、従来公知のものを適宜選択して、あるいは、組み合わせて使用することができる。例えば、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル系、二酸化ケイ素などのケイ素系、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛などが使われ、エステル系、ケイ素系、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。潤滑剤の含有量は、本発明の第1の塊状処理剤の総量に対して、0.5〜20重量%程度、あるいは、0.8〜17重量%程度であることが好ましい。かかる範囲であると、原料のフィード、崩壊性を高める。
(次亜塩素酸塩)
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる次亜塩素酸塩は、水素原子と塩素原子が酸素原子に結合した構造H−O−Clを有する次亜塩素酸の塩である。次亜塩素酸塩としては、特に制限されないが、無機塩であるのが好ましく、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、次亜塩素酸カリウム(KClO)、および次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)(CaCl(ClO)・HOまたはCa(ClO))からなる群より選択されるのがより好ましい。また、次亜塩素酸塩は、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
次亜塩素酸塩は、アルカリ性であるため、消石灰と同様の効果がある。
次亜塩素酸塩の形状は、特に制限されず、例えば、粉粒状、ペレット状等が例示できるが、大便に対して効果的に分散させるという観点から、粉粒状であることが好ましい。また、その平均粒径の下限にも特に制限されないが、例えば、10μm以上、より好ましくは50μm以上である、上限にも特に制限されないが、例えば、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは150μm以下である。つまり、10〜1000μmが好ましく、50〜300μmが好ましく、100〜150μmが好ましい。かかる範囲であると、製造が容易となり生産コストを低くすることができ、得られる処理剤と被処理物との接触面積が増加し、反応効率が向上する場合がある他、処理時に塊状物が生じず、未反応物が残存しない。必要に応じて、前記次亜塩素酸塩は、平均粒径が異なる2種以上の次亜塩素酸塩が組み合わせて使用されてもよい。
本発明の塊状処理剤に、次亜塩素酸塩が含まれる場合、かかる次亜塩素酸塩の含有量は、塊状処理剤の総質量に対して、0.0000001〜50重量%程度、0.000001〜20重量%程度、あるいは、0.00001〜10質量程度である。かかる範囲であれば、被処理物(例えば、糞尿)の処理の際の臭気低減やガス発生の抑制の効果がより良好に得られる。
次亜塩素酸塩を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、次亜塩素酸カルシウムの場合は日本曹達株式会社の高度サラシ粉70などが好ましい。
(四級アンモニウム塩)
本発明の第1の塊状処理剤に含まれうる四級アンモニウム塩は、殺菌および消毒という観点から添加されると好ましい。四級アンモニウム塩としては、上記効果を有するものであれば特に制限されないが、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デシルイソノニルジメチルアンモニウム塩、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドからなる群より選択されると好ましい。これらの中でも、塩化セチルピリジニウムおよび塩化ベンザルコニウムが好ましい。また、四級アンモニウム塩は、単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の塊状処理剤に、四級アンモニウム塩が含まれる場合、かかる四級アンモニウム塩の含有量は、塊状処理剤の総質量に対して、0.0000001〜50重量%程度、0.000001〜20重量%程度、あるいは、0.00001〜10質量程度である。かかる範囲であれば、被処理物(例えば、糞尿)の処理の際、効果的に殺菌および消毒効果を得ることができる。
(その他の添加剤)
本発明の処理剤は、本発明において悪影響を及ぼさない限り、その他の添加剤をさらに含有していてもよい。かかる添加剤の例としては、臭気対策の観点から、香料、消臭剤、または脱臭剤;アルコール等の親水性有機化合物、または界面活性剤;糞尿中の水分含有量を制御するという観点から、シリカゲル、無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤;殺菌・脱臭の観点から、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素含有化合物;糞尿処理時のアルカリ性条件を補完する観点から、水酸化ナトリウム等の第1族元素の水酸化物等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で使用してもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記香料の例としては、例えば、レモンオイル、レモングラス、シナモン油、ラベンダー油、ベチパー等が挙げられる。
前記界面活性剤としては、各種の界面活性剤を使用することができ、その具体的な例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネートなどのアニオン系界面活性剤;長鎖第1級アミン塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウム塩、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリドなどのカチオン系界面活性剤;または塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性系界面活性剤等が挙げられる。また、処理剤を糞尿に添加する際に用いられうる、
後述の水溶性樹脂からなる包袋、水溶紙からなる包袋、または水解性不織布からなる包袋も、本発明の処理剤の添加剤として含有されうる。
かようなその他の添加剤は、含まれたとしても、本発明の第1の塊状処理剤の総量に対して、0.1〜10重量%程度、あるいは1〜3重量%程度である。
[本発明の第1の塊状処理剤の作製方法]
本発明の第1の塊状処理剤は、上記の組成を、混合し、所望の大きさあるいは重量になるように、圧縮することによって、作製することができる。この際、混合する方法は、各成分を一度に混合してもよいし、各成分を順次混合してもよい。なお、バインダとしてカルボキシビニルポリマーを使用する場合、下記のように「固化」させることは不要となり、添加後には各成分の凝集が行われ不定形な塊状となり、本発明の第1の塊状処理剤を作製することができる。このようにバインダとしてカルボキシポリマーを入れ、混合するだけで消石灰の粉塵を防止する効果があり、加工工程(打錠工程)が省けるだけでなく生産能力も上がり、コストを下げながら、本発明の所期の効果を奏することができる。
以下、本発明の第1の塊状処理剤の固化のための作製方法を好ましいいくつかの実施形態に分けて説明する。無論、下記の方法には制限されない。
[卓上式手動の打錠機で固化]
卓上式手動の打錠機(杵と臼はそれぞれ一つ)で固化するために、まず、杵には、固化をする各成分を手でスプーンにて入れる。この際、フィードの難しさは考える必要はない。その後、手動(油圧)にてレバーを下して圧力をかけて、各成分を固化させることによって、第1の塊状処理剤を作製する。なお、卓上式手動の打錠機の利点は、かなりの時間、滞留させて圧力をかけるので固まりにくい組み合わせであっても固化できるというところである。なお、例えば口径の小さい杵(直径7mm:上下円版型)を用いた場合、口径が小さい方が面積当たりにより高い圧力がかかるので固化しにくいものでも固まる傾向がある。一方で、例えば口径の大きい杵(直径15mm:上下平版型)を用いる場合、口径が大きい方が面積当たりに小さい圧力になるので固化しにくいものには不利になるが、口径の大きい分、杵へのフィードは有利になり、生産性は向上する。
[連続式の打錠機]
また、連続式の打錠機は、直打式であってもなくてもよいが、前処理の手間(例えば、造粒工程;本発明では、吸水性ポリマーが使用されるため乾式が好ましい)を省くことができるという点で生産性が向上する直打式を採用することも好ましい。ただ、本発明の主成分として用いられうる消石灰は、その粒径が小さいため、そのような微粉のものをフィードしやすくするために潤沢剤を入れることが好ましい。一方で、前処理を行う場合は、例えば、ローラーコンパクターを用いて大きな圧力をかけて圧延して微粉を造粒したものにバインダ(結合剤)を混合したものを打錠することによって、本発明の第1の塊状処理剤を作製してもよい。大量生産を鑑みると、例えば、株式会社畑鐵工所製の打錠機(型式AP18−SS−IIなど)を使用することが好ましい。この際の杵臼の直径は、13mm程度であり、杵立数は、18本程度である。かかる打錠機を使用すれば、原料を所望の割合となるように調製し、混合し、打錠機のホッパーに混合した原料を入れ、打錠機で回転式に打錠をしていくだけで生産が可能であり、好ましい。
また、連続式の回転型打錠機で、本発明の第1の塊状処理剤を作製してもよい。具体的には、各成分(例えば、消石灰、吸水性ポリマー、バインダ、リン酸塩、潤沢剤)を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、例えば、上下円版型であってもよい。
このように、本発明の第1の塊状処理剤を作製するための固形化のため方法には、特に制限はない。上記のように、打錠、ローラーコンパクター、湿式の圧縮(圧縮対象の原体を水で湿らせ、圧縮)を適宜組み合わせて、適用すればよい。なお、本発明の第1の塊状処理剤は、吸水性ポリマーを含むため、吸水性ポリマーを混合する前の段階、消石灰、潤滑剤などの添加剤との混合物を湿式で造粒し、その後、吸水性ポリマーと混合する方法もよい。また、連続式の回転型打錠機で、本発明の第1の塊状処理剤を作製してもよい。具体的には、各成分を混合し混合物を作製し、連続打錠機のホッパーに混合物を入れて打錠を行う。杵の形状は、例えば、上下円版型であってもよい。
[本発明の第1の塊状処理剤の用途]
本発明の第1の塊状処理剤の用途は特に制限されない。例えば、糞尿、有機性汚泥、動植物、家畜、家畜舎または土壌の処理に用いられうる。本発明の第1の塊状処理剤が、糞尿処理剤、有機性汚泥処理剤、動植物処理剤、家畜処理剤、家畜舎処理剤または土壌処理剤として使用されることによって、様々な効果を奏する。具体的には、本発明の第1の塊状処理剤が、糞尿処理剤に含まれることによって、本発明の処理剤は、固形化されているため、処理剤を使用する際に、粉塵が舞わないため、取り扱い性が向上する。また、本発明の処理剤は、吸水性ポリマーとリン酸塩を含んでいるため、被処理物を処理した直後から、長期間にわたって固形状または半固形状(ゲル状)の形態を維持することができる。
その結果、取り扱い性がさらに向上する。具体的には、糞尿の処理は、災害用トイレ、渋滞用トイレ(渋滞時に車内で使用するトイレ)、工事現場等の仮設トイレ、ペット用トイレ(猫砂や犬のトイレ)、海外での水洗インフラのない地域での応用などがある。なお、本発明の第1の塊状処理剤が、糞尿処理に用いられる場合、かかる糞尿は、人糞尿のみならず、例えば、牛糞尿、豚糞尿、鶏糞尿等の畜糞尿等も包含する。また、前記糞尿は、大便単独でもよいし、小便単独でもよいし、大便と小便との混合物であってもよい。本発明の処理剤は、糞尿の処理に好適に用いられ、小便の処理に特に好適に用いられる。大便単独の場合、水分を多く含むことが好ましい。また、有機性汚泥の処理は、汚染された河川の処理、外食店舗から排出される食品残さ、感染症患者の嘔吐物の処理、血液の処理等の用途に好適に用いられうる。
動植物、家畜、家畜舎または土壌の処理は、具体的には、口蹄疫や鳥インフルエンザなどの感染症に感染した動物、家畜、それらの餌、それらの家畜、家畜舎または土壌の処理に適用可能である。口蹄疫や鳥インフルエンザの消毒には、通常は、粉状の消石灰が用いられるが、本発明の処理剤は、固形化されているため、動植物処理剤、家畜処理剤、家畜舎処理剤または土壌処理剤に含まれることによって、粉塵の被害を有意に低減し、さらに、取り扱い性(ハンドリング)を良くし、反応性を悪くすることがなく、消毒剤、殺菌剤、滅菌剤、消臭剤の用途としても使用が可能である。そして、通常、消毒用に用いられる消石灰、石灰石などは、粒状も存在するが、反応性が悪いので粉状で使用する場合が一般的である。本発明によれば、吸水性ポリマー(高分子吸水剤)が混合されて固化されてなる粒子であり、かかる高分子吸水剤が、水分に接触した際に膨潤による崩壊の基点となる役目をする。よって、塊状(粒状)であっても反応性が落ちることなく(つまり、粉状と同程度の反応性を有しながらも)、ハンドリングが大変よくなり、粉状に砕けるので反応性も落ちず、口蹄疫や鳥インフルエンザの消毒の際に非常に好適である。また、回収も容易となる。
<本発明の第2>
本発明の第2は、本発明の第1の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤である。本発明の第2のように、顆粒状処理剤であると、塊状処理剤のように固形状態を長持間保つ必要がないのでバインダの量を少なくできるとの観点で、塊状処理剤の単位重量当たりの有効成分の割合を高めることができる。
また、一旦塊状物にしてしまえば、それを粉砕して顆粒物にしても、かかる吸水特性を上げるという効果が継続するため、好適である。本発明の第2の顆粒状処理剤は、一旦固化させた、本発明の第1の塊状処理剤を粉砕することによってなる。従来の粉末状態では、そのような「一旦固化させる」という工程を経て作製されるものは知られていない。つまり、本発明の第2の顆粒状処理剤は、構成的な面からして(バインダの有無)、従来の粉末状態の処理剤とは異なる。
本発明の第1の塊状処理剤を粉砕する方法は特に制限されないが、例えば、従来公知の細粒化装置を用いることなどで、行うことができる。使用できる細粒化装置としては、剪断粗砕機、衝撃破砕機、高速回転式粉砕機に分類されて、切断、剪断、衝撃、摩擦といった粉砕機構のうちの1つ以上の機構を有するものが好ましく使用できる。例えば、畑鉄工所の整粒機や、岡田精工の卓上用ミルなどを用いることができる。無論、これら以外の装置を使用してもよい。あるいは、金づち等で破砕してもよい。
また、第1の塊状処理剤を打錠する際、攪拌機で撹拌している間に塊状処理剤が砕ける程度の硬度とし、撹拌することによって顆粒状処理剤を製造してもよい。かような方法により、製造時において、粉塵の発生が抑制される。
本発明の第2の顆粒状処理剤の平均粒径は、1粒当たり、好ましくは150μm超〜3mm未満であり、より好ましくは、0.05〜2mm程度、さらに好ましくは0.1〜1mm程度である。かような範囲であると、取り扱い性が向上しながら、被処理物との接触面積が増大し、被処理物との反応効率を向上させることができる。
本発明の第2の顆粒状処理剤は、上記のようにバインダの量を、本発明の第1の塊状処理剤よりも少なくすることができる。バインダの量の目安は、本発明の第1の塊状処理剤の場合の、好ましくは10%減、より好ましくは30%減、さらに好ましくは50%減〜70%減である。その減らすことができた分に、消石灰、バインダ、上記リン酸塩、炭酸塩もしくは水酸化物から選択される塩、または添加剤等の量を増やして、全体を100重量%とすればよい。
<本発明の第3>
本発明の第3は、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器である。本発明の第3の便器は、本発明の第1の塊状処理剤や本発明の第2の顆粒状処理剤を含んでいるので、本発明の第1の塊状処理剤、本発明の第2の顆粒状処理剤の効果を有する。ここで、特には、本発明の第3の便器は、本発明の第1の塊状処理剤が含まれると、取り扱い性の観点から非常に好ましい。無論、本発明の第3の便器が、本発明の第2の顆粒状処理剤を含むことも好ましく、その際は、表面積が大きくなり反応性のより良くなる効果がある。
本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が糞尿処理に用いられる場合、第1の塊状処理剤の使用量は、被処理物(例えば、糞尿)100質量部に対し、10〜200質量部の範囲であることが好ましく、20〜100質量部の範囲であることがより好ましく、30〜60質量部であることがさらに好ましい。処理剤の使用量が、10質量部未満である場合には、糞尿と消石灰との接触面積が減少するため、糞尿が空気に触れ、糞尿の発酵・分解が進む虞がある。一方、100質量部を超える場合には、処理後の残渣が多くなり、処理後の廃棄物が多くなる場合がある。また、コストが高くなる場合がある。
よって、本発明の第3の便器に、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を予め配置する場合は、上記の範囲の量で配置することが好ましい。
本発明の第3の便器には、取り扱いの容易性等の観点から、例えば、糞尿を受ける部分に、表面が撥水処理されたシートや内面が撥水処理された袋などに本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を配置しておくことが好ましく、そこに、糞尿を添加することによって、廃棄する際にも非常に容易となる。なお、糞尿臭には、大きく分けて、大便臭とアンモニア臭がある。大便臭は、有機的な臭気であり、アンモニア臭は無機的な臭気である。アンモニア臭は、無機臭であり、排泄後、表面が撥水処理されたシートを縛れば拡散しにくい臭気である。しかし、大便臭は、ガスが検体自体から発生するので表面が撥水処理されたシート(例えば、ビニール袋)内の内圧を高め、ビニール袋を縛っても漏れて拡散する傾向にある。従来知られている糞尿処理剤であると、脱臭効果が低いため、糞尿臭(特に、大便臭)を抑制することが困難であった。本発明によれば、本発明の第1の塊状処理剤、本発明の第2の顆粒状処理剤、本発明の第3の便器が提供され、攪拌等の操作を必要とせず、簡便にかつ効率的に尿等を処理することが可能であり、殺菌等を行うことができるため、悪臭やガスの発生を抑制することができ、例えば、被災地のトイレ事情を著しく改善することができ、衛生面において非常に好適である。
上記のように、本発明の第1の塊状処理剤は、固形化されているため、ポータブルトイレ等に前もって敷いておき、その上から排尿または排便をすることができる。そうすると、排尿または排便の勢いで、消石灰などの粉塵が舞い上がらない。すると、中に含まれている腐食性を有する強アルカリである消石灰が舞い上がらないため、人体の繊細部分に飛び散ることなく、健康面からみても好ましい。
また、上記のように、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤は、被処理物に対して使用すると、たとえ液状の被処理物であっても、固形状または半固形状(ゲル状)とすることができ、さらに、この固形状または半固形状(ゲル状)の形態を長期間保持することができる。したがって、被処理物を廃棄場所に移すことができず、被処理物を長期間保管しなければならないような状況であっても、被処理物が液状化して漏れ出すことがなく、衛生的に好ましい。被処理物が液状化してしまう現象は高温下で顕著となるため、特に、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤は、夏場や気温の高い地域において優れた効果を発揮する。
また、本発明の第3の便器の好ましい形態によれば、水の非存在下に、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が予め配置されてなる。つまり、水を不要とする乾式の形態であるので、便器としての保存性も向上する。また、粉塵等の問題が生じず、ポータブルトイレ等に前もって敷いておき、その上から排尿・排便をすることができる。
また、本発明の便器は、予め処理剤が配置されてなるので、排泄後、使用者は、自己(あるいは要介護者など)の糞尿を確認する必要はなく、使用者も快適に使用することができる。それに対して、従来の処理剤は、排泄をした後、自分で(あるいは介護者などが)糞尿に、処理剤を振り掛ける必要があり、使用者(あるいは介護者など)は不快になることがあった。しかし、本発明の便器によれば、予め処理剤が配置されているので、排泄後は特に確認を要することなく、必要に応じて、そのまま便器を廃棄すれば足りるという効果も有する。
<本発明の第4>
本発明の第4は、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、吸収性物品である。本発明の第4にかかる吸収性物品は、上記した本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤、液透過性を有する表面シート、液不透過性を有する背面シートを備えると好ましい。
本発明にかかる吸収性物品の製造方法は、特に限定されないが、例えば、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤を、液透過性を有する基材(表面シート)と液不透過性を有する基材(背面シート)でサンドイッチして、必要に応じて、弾性部材、拡散層、粘着テープ等を装備することで、吸収性物品、例えば、大人用紙オムツや生理用ナプキンとすればよい。
本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤は、吸収性物品に消臭機能を付与でき、長時間にわたり、優れた消臭性能と吸収特性を示すものである。
このような吸収性物品としては、具体的には、近年成長の著しい大人用紙オムツをはじめ、子供用オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等が挙げられ、それらに特に限定されるものではない。吸収性物品の中に存在する本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤が非常に優れた消臭性を有し、さらに、尿等の液性が高いものを処理した後、長期間が経過しても、液体が漏れにくいことにより、装着している本人、介護の人々の負担を大きく低減することができる。
吸収性物品に含まれる、本発明の第1の塊状処理剤または本発明の第2の顆粒状処理剤の量は、用途に応じて適宜調整すればよいが、衛生材料等の場合、その中に、5〜50g、あるいは、10〜30g程度含ませることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。
[塊状処理剤の作製]
(実施例1) 下記表1に示される成分を、下記表1に示される混合割合で(合計100重量%)、2,000gとなるように混合することによって混合物を作製した。かかる混合物2,000gを(株)畑鐵工所製HT−AP18SS−II連続式打錠機で、φ13mmの杵と臼を用いて、本圧1.5kN、30rpm打錠することによって塊状処理剤 2000粒を作製した(1粒0.8g、平均直径:13mm、平均厚さ:6mm)。
なお、表1中の原料は以下のものを使用した。吸水剤(1)は、住友精化(株)社製アクアキープSA−50II(ポリアクリル酸ナトリウム系吸水性ポリマー)、バインダは、日本製紙ケミカル社製KCフロック(W−200/200G)、リン酸水素二ナトリウムは、ミテジマ化学(株)社製リン酸水素二ナトリウム、潤滑剤(ステアリン酸カルシウム)は、(株)サンエース社製、製品名SAK−CS−Pを用いた。また、吸水剤として用いた住友精化(株)社製アクアキープSA−50IIの粒度分布は、以下の通りである。
さらに、バインダとして用いた日本製紙ケミカル社製KCフロック(W−200/200G)の平均粒径は、32μmである。
(実施例2)
ゼオライトを追加し、さらに、下記表1に示される混合割合に変更したこと以外は、実施例1と同様に塊状処理剤を作製した。なお、ゼオライトは、新東北化学工業(株)社製ゼオライトCPを用いた。なお、当該ゼオライトの平均粒径は、0.2mm以下である。
(実施例3〜9)
下記表1に示される成分を、下記表1に示される混合割合に変更したこと以外は、実施例1と同様に塊状処理剤を作製した。
(実施例10〜12)
下記表1に示される成分において、吸水剤(1)の代わりに吸水剤(2)を用い、また、下記表1に示される混合割合に変更したこと以外は、実施例1と同様に塊状処理剤を作製した。
なお、吸水剤(2)としては、住友精化(株)社製アクアキープSA−60N TYPE−IIを用いた。当該吸水剤(2)の平均粒径は、300μmである。
(実施例13)
下記表1に示される成分において、リン酸水素二ナトリウムの代わりに重曹(炭酸水素ナトリウム;pH=8.5)を用い、下記表1に示される混合割合に変更したこと以外は、実施例1と同様に塊状処理剤を作製した。
なお、重曹は、大倉アグリ株式会社製炭酸水素ナトリウムを用いた。
(実施例14〜19)
下記表1−1に示される組成に変更したこと以外は、実施例1と同様に塊状処理剤を作製した。
なお、酸化亜鉛としては、酸化亜鉛(粒径:2〜3μm):ハクスイテック株式会社製、型番:酸化亜鉛第1種を用いた。
(実施例20〜21)
ビーカーに、表1−1に示されるような組成で、まずゼオライトを投入し、次いで、カルボマーを投入してキッチン用ミキサーで撹拌した。その後、消石灰を投入してキッチン用ミキサーで撹拌した。このような順番で投入することによって、ゼオライトがカルボマーの過度な粘性を抑える役割を果たして、カルボマーがビーカーの壁面に付着するのを抑制する。そして、カルボマーの粘性の作用で、消石灰の粉塵が舞うことを抑制することができる。その後、任意の順番で他の成分を投入し、キッチン用ミキサーでこれら成分が均一となるように撹拌し、成分同士が凝集して不定形な塊状になっている塊状処理剤を得た。
なお、バインダとしてのカルボキシビニルポリマー(カルボマー)としては、住友精化社製 型番:アクペック HV−505を用いた。
(比較例1〜5)
塊状処理剤に含まれるリン酸塩をリン酸二水素ナトリウム(pH=4.3〜4.9)に変更したこと以外は、実施例1と同様に塊状処理剤を作製した。なお、リン酸二水素ナトリウムは、ミテジマ化学(株)社製リン酸二水素ナトリウムを用いた。
[試験1:水分固化実験]
上記の通り作製した各実施例および比較例の塊状処理剤10gに対し、水100gを添加し、温度30℃、相対湿度55%で保管することで、被処理物が固形状または半固形状(ゲル状)を維持できる期間を評価した。評価は、処理剤に水を添加してから1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後にそれぞれ行い、目視観察により4段階で評価した。評価結果を下記の表3および表3−1に示す。なお、評価結果の詳細は、下記の通りである。なお、表3および表3−1において「−」は、測定を行っていないことを示す。
(固化レベル)
「◎」:処理直後と同等の固形状または半固形状(ゲル状)を保持している
「〇」:若干軟化しているが、固形状または半固形状(ゲル状)を保持している
「△」:液状化部分が観察される
「×」:完全に液状化している。
表3および表3−1より、本発明の塊状処理剤は、1週間を経過しても処理直後の固形状または半固形状(ゲル状)を維持することができ、液状化はほぼ観察されなかった。これに対し、リン酸塩としてリン酸二水素ナトリウムを含む比較例は、3日後には軟化が始まり、1週間を経過すると、液状化した部分が観察された。したがって、本発明の塊状処理剤は、固形状または半固形状(ゲル状)の維持期間が長いことが示された。他方、実施例1〜6の1ヶ月後の結果は「△」で、実施例7〜13の結果は「○」となった。ただし、実施例1〜6も1週間は「◎」または「〇」という結果であるため実用には何の問題もないのは言うまでもない。また、実施例14〜19も実施例7〜13と同等以上になり、1ヶ月後の固化レベルも良好であった。また、実施例20〜21は、バインダとしてカルボマーを用いたものであるが、これらの実施例の結果は1ヶ月後も「◎」であり固化レベルは非常に良好であるということが分かる。
また、表中には示されていないが、水を添加した各処理剤の初期の様子を観察したところ、ゼオライトを含む処理剤(実施例2および4〜7)は、処理剤の崩壊が起こりやすくなる傾向がみられた。また、リン酸水素二ナトリウムの添加量が多いほど、初期の吸水速度は若干低下するものの、強固な固形状または半固形状(ゲル状)を維持することができるという傾向が観察された。
[試験2:臭気評価実験]
糞尿を受ける内面が撥水性を有する容器(ビニール袋)状のトイレパックに、上記の通り作製した各実施例および比較例の塊状処理剤50gを配置した。その配置された処理剤の上に、大便(性別:男、年齢:40歳の大便)200gを添加した。評価は、処理剤に大便を添加してから、1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、1週間後にそれぞれ行い、官能評価により3段階で評価した。評価結果を下記の表3および表3−1に示す。なお、評価結果の詳細は、下記の通りである。
(臭気レベル)
「◎」:ほとんど臭気はなく、消臭されている
「〇」:わずかに臭気はするが、消臭されている
「×」:強い悪臭であり、消臭効果がない。
表3および表3−1より、本発明の塊状処理剤は、1週間を経過しても優れた消臭効果を有していることが示された。また、実施例14〜16および実施例18〜21の結果もすべて「◎」であり、非常に優れた消臭効果を有していることが示された。これに対し、比較例1は良好な消臭効果を有しているものの、比較例5ではほとんど消臭効果が得られなかった。
[試験3:崩壊性評価実験]
上記の通り作製した各実施例および比較例の塊状処理剤10gに対し、水100gを添加し、塊状処理剤の崩壊速度を評価した。なお、崩壊速度が速いほど、被処理物が処理剤によって素早く被覆され、臭気が放散しにくくなることを意味する。評価は、処理剤に水を添加した直後の様子を官能評価により4段階で評価した。評価結果を下記の表3および表3−1に示す。なお、評価結果の詳細は、下記の通りである。
(崩壊性レベル)
「◎」:崩壊速度が極めて早く、処理剤に水を添加後、10秒以下で崩壊する
「〇」:崩壊速度は速く、処理剤に水を添加後、30秒未満で崩壊する
「△」:崩壊速度がやや遅く、処理剤に水を添加後、崩壊するまでに30秒以上要する
「×」:崩壊速度が極めて遅く、処理剤に水を添加後、崩壊するまでに1分以上要する。
表3および表3−1より、本発明の塊状処理剤は、固形状または半固形状(ゲル状)を維持する効果を有している一方で、ほとんどの処理剤が実用に耐えうる崩壊性を有していることが示された。また、実施例7〜9の比較から、リン酸水素二ナトリウムの含有比率を一定以下とすると、固形状または半固形状(ゲル状)を維持する能力と、崩壊性とを両立させられることが示唆された。
上記試験1および2により、本発明の処理剤は、優れた消臭効果を示すと共に、長期間にわたって固形状または半固形状(ゲル状)を維持することができることが示された。したがって、糞尿の処理に用いた際に、優れた消臭効果を得ることができると共に、処理後の取り扱い性もまた良好であることが示された。さらに、上記試験3により、本発明の処理剤の大部分が、被処理物に接触した際の崩壊性もまた良好であることが示された。したがって、本発明の処理剤は、被処理物の処理速度も良好に保持しつつ、長期間にわたって固形状または半固形状(ゲル状)を維持することができ、糞尿の処理時、優れた消臭効果を発揮する。

Claims (10)

  1. 消石灰と、
    吸水性ポリマーと、
    バインダと、
    pH8〜13のリン酸塩、炭酸塩および水酸化物からなる群から選択される少なくとも一種と、
    を含む、塊状処理剤。
  2. 前記リン酸塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二カリウムおよびリン酸三カリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の塊状処理剤。
  3. ゼオライトまたは酸化亜鉛をさらに含む、請求項1または2に記載の塊状処理剤。
  4. 糞尿の処理に用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塊状処理剤。
  5. 平均直径が3〜100mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塊状処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塊状処理剤を粉砕することによってなる、顆粒状処理剤。
  7. 平均粒径が、150μm超〜3mm未満である、請求項6に記載の顆粒状処理剤。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項6もしくは7に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、便器。
  9. 水の非存在下に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項6もしくは7に記載の顆粒状処理剤が予め配置されてなる、請求項8に記載の便器。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の塊状処理剤または請求項6もしくは7に記載の顆粒状処理剤を含んで成形されてなる、糞尿の吸収性物品。
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