JP2014085611A - 眼鏡レンズ耐摩耗試験機 - Google Patents

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Nobuyoshi Iwata
信義 岩田
Norikazu Yamashita
徳一 山下
Yoshimi Nishida
祥己 西田
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Abstract

【課題】使用場所に制約を受けることがなく、しかも、不慣れな作業者でも正確な評価結果を得ることが可能な眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供する。
【解決手段】レンズ基材3を保持する保持部材(ベースプレート2)と、レンズ基材3を上方から覆う形状に形成されるとともに貫通穴14が形成されたカバー4とを備える。貫通穴14に挿入可能な擦り傷生成用の押圧子15を有するレバー23と、このレバー23に載せられた重錘27とを備える。貫通穴14は、レンズ基材3の径方向の中間部と対向する位置に径方向とは交差する方向へ押圧子15より長く形成されている。貫通穴14の長手方向に延びる一対の穴壁14aは、互いに平行に形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、眼鏡レンズに擦り付ける擦り傷生成用の押圧子を備えた耐摩耗性を評価する試験機に関するものである。
従来、眼鏡レンズの基材は、ハードコート膜や反射防止膜が形成された後に擦り傷や摩耗に対する耐性が評価されている。前記基材の耐摩耗性を評価するにあたっては、例えば特許文献1に記載されている専用の装置を使用したり、作業者が手で擦り傷生成用の押圧子をレンズ基材に擦り付けて行っていた。
特許文献1に開示されている装置は、レンズ基材の上に擦り傷生成用の押圧子を載せ、この押圧子に重りを載せた状態でレンズ基材を押圧子に対して水平方向に往復させるものである。レンズ基材を往復させるための機構は、電動式のもので、レンズ基材を支持する箱状の筐体の中に収容されている。
特開2003−295131号公報
特許文献1に示す従来の評価用装置は、レンズ基材を往復させるための電動式の駆動機構を備えており、大型である。しかも、この装置は、重量が重いものである。このため、この従来の評価用装置は、容易に運ぶことができず、使用場所に制約を受けるから、実用的ではなかった。
一方、耐摩耗性を評価するために作業者が擦り傷生成用の押圧子を手でレンズ基材に擦り付ける場合は、作業者が交代すると評価結果が変わってしまうおそれがある。この理由は、押圧子をレンズ基材に押し付けるときの押圧力の大きさや、押圧子の往復ストローク、移動速度などが作業者毎に異なるからである。このため、作業者が手で前記押圧子をレンズ基材に擦り付けて正確な評価結果を得るためには、作業に熟練を要するという問題があった。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、使用場所に制約を受けることがなく、しかも、不慣れな作業者でも正確な評価結果を得ることが可能な眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機は、耐摩耗性を評価する対象となるレンズ基材を光軸が上下方向を指向する状態で保持する保持部材と、前記レンズ基材を上方から覆う形状に形成されるとともに貫通穴が形成されたカバーと、前記貫通穴に挿入可能な擦り傷生成用の押圧子を有するレバーと、このレバーにおける前記押圧子と対応する部分に載せられた重錘とを備え、前記貫通穴は、前記レンズ基材の径方向の中間部と対向する位置に前記径方向とは交差する方向へ前記押圧子より長く形成され、この貫通穴の長手方向に延びる一対の穴壁は、互いに平行に形成されていることを特徴とするものである。
本発明は、前記発明において、前記カバーの上面と下面のうち一方は凸曲面によって形成されているとともに、他方は凹曲面によって形成され、前記カバーは、前記レンズ基材の上面が凸曲面である場合に前記凹曲面が前記レンズ基材と対向するようにレンズ基材に被せられ、かつレンズ基材の上面が凹曲面である場合に前記凸曲面が前記レンズ基材と対向するようにレンズ基材に被せられるものであることを特徴とする。
本発明は、前記発明において、前記カバーは、前記レンズ基材の外周部のみに接触するものであることを特徴とする。
本発明は、前記発明において、前記レバーは、前記押圧子が設けられた一端部から前記貫通穴の長手方向に離間した把持部を有し、前記保持部材は、前記把持部を前記長手方向へ移動自在に支えるガイド部を備えていることを特徴とする。
本発明は、前記発明において、前記押圧子が前記貫通穴内に挿入された状態の前記レバーを前記貫通穴に沿って往復させたときの往復回数を検出する計数器をさらに備えていることを特徴とする。
本発明によれば、カバーの貫通穴に擦り傷生成用の押圧子を挿入し、この押圧子を貫通穴の長手方向に往復させることによって、押圧子がレンズ基材に擦り付けられる。押圧子の移動する方向は、貫通穴の長手方向に延びる一対の穴壁によって規制される。押圧子が往復するときのストロークは、貫通穴の長手方向の両端に位置する穴壁によって規制される。押圧子がレンズ基材を押す押圧力は、重錘の重量に相当する一定の大きさになる。
このため、押圧子の移動方向、移動ストロークおよび押圧力がそれぞれ一定になるから、不慣れな作業者であっても正確な評価結果を得ることが可能になる。
また、本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機は、保持部材と、カバーと、レバーと、重錘とによって構成されている。これらの部材は、いずれも電動式の装置と較べて小型のものである。このため、本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機は、占有スペースが狭くてよいとともに持ち運びが容易であるから、使用場所の制約が小さいものである。
したがって、本発明によれば、使用場所に制約を受けることがなく、しかも、不慣れな作業者でも正確な評価結果を得ることが可能な眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することができる。
本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機の平面図である。 図1におけるII−II線断面図で、同図はレンズ基材の上面が凸曲面である場合を示す。 図1におけるII−II線断面図で、同図はレンズ基材の上面が凹曲面である場合を示す。 カバーの平面図である。 レバーの底面図である。 本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機の斜視図である。 本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機の使用方法を説明するための平面図で、同図(A)は貫通穴がレンズ基材の径方向の一方に偏って位置する状態を示し、同図(B)は貫通穴がレンズ基材の径方向の他方に偏って位置する状態を示している。
以下、本発明に係る眼鏡レンズ耐摩耗試験機の一実施の形態を図1〜図7によって詳細に説明する。
図1に示す眼鏡レンズ耐摩耗試験機1は、ベースプレート2を備えており、このベースプレート2の上で全ての作業を行うことができるように構成されている。ベースプレート2は、図2に示すように、後述するレンズ基材3とカバー4とを保持するためのものである。この実施の形態においては、このベースプレート2によって、本発明でいう「保持部材」が構成されている。
前記レンズ基材3は、眼鏡レンズ(図示せず)を製造するための円板状の眼鏡用レンズ基材や、この眼鏡用レンズ基材と同一条件で成膜処理が施された円板状の評価用レンズ基材である。この実施の形態は、この評価用レンズ基材を用いる例を示す。評価用レンズ基材には、図2に示すように、眼鏡用レンズ基材と同様に凸曲面3aや凹曲面3bが形成されている。
この実施の形態によるベースプレート2は、レンズ基材3に嵌合させたアダプタリング5を保持する構成が採られている。アダプタリング5の外径は、ベースプレート2の円形凹部6に嵌合するように形成されている。アダプタリング5の内周部は、レンズ基材3の外周部が嵌合する形状に形成されている。すなわち、アダプタリング5は、レンズ基材3の外径に対応させて複数種類用意されており、耐摩耗性の評価を行うレンズ基材3に適合するものが用いられる。なお、ベースプレート2は、アダプタリング5を使用することなく、レンズ基材3が直接嵌合するように形成することができる。
レンズ基材3は、このベースプレート2にアダプタリング5を介して嵌合あるいは直接嵌合することによって、光軸Cが上下方向を指向する状態でベースプレート2に保持される。
前記カバー4は、前記レンズ基材3を上方から覆うことが可能な形状に形成されている。この実施の形態によるカバー4は、図1および図4に示すように、レンズ基材3と同様にプラスチック材料によって円板状に形成されたカバー本体7と、このカバー本体7の外周部に設けられた一対のストッパー8とによって構成されている。カバー本体7の上面と下面のうち一方は、凸曲面7aによって形成され、他方は、凹曲面7bによって形成されている。
前記ベースプレート2に保持されたレンズ基材3の上面が凸曲面3aである場合は、図2に示すように、カバー本体7の凹曲面7bがレンズ基材3と対向するようにカバー本体7がレンズ基材3に被せられる。前記レンズ基材3の上面が凹曲面3bである場合は、図3に示すように、カバー本体7の凸曲面7aがレンズ基材3と対向するようにカバー本体7がレンズ基材3に被せられる。
このカバー本体7の外径は、使用するレンズ基材3の外径と同等に形成されている。このため、この実施の形態による眼鏡レンズ耐摩耗試験機においては、使用するレンズ基材3の外径に対応した複数種類のカバー4が用意されている。
カバー本体7の前記凸曲面7aの曲率は、図3に示すように、レンズ基材3の凹曲面3bの曲率より小さい。カバー本体7の凹曲面7bの曲率は、図2に示すように、レンズ基材3の凸曲面3aの曲率より大きい。このため、図2および図3に示すように、レンズ基材3の上にカバー本体7が被せられた状態において、カバー本体7は、レンズ基材3の外周部のみに接触する。この接触状態において、レンズ基材3とカバー本体7との間には隙間Sが形成されている。
カバー本体7の外周部に設けられた前記一対のストッパー8は、カバー本体7が前記ベースプレート2に対して移動することを規制するためのものである。これらのストッパー8は、カバー本体7の軸心を挟んで一方と他方とに振り分けられる位置に設けられている。
この実施の形態によるストッパー8は、図2に示すように、上下方向に延びるように形成されてベースプレート2のピン穴に嵌合するストッパーピン11と、このストッパーピン11をカバー本体7に接続するためのステー12とによって構成されている。
ストッパーピン11は、円柱状に形成されている。このストッパーピン11の長さと上下方向の位置は、図2および図3に示すように、ベースプレート2上のレンズ基材3にカバー本体7を被せた状態において、ストッパーピン11の下端部がベースプレート2のピン穴13に嵌合するように形成されている。ストッパーピン11は、カバー本体7の凹曲面7bがレンズ基材3と対向する状態(図2参照)と、カバー本体7の凸曲面7aがレンズ基材3と対向する状態(図3参照)とのいずれの状態においても、ベースプレート2のピン穴13に嵌合する。
カバー本体7における径方向の中間部、言い換えればカバー本体7における前記レンズ基材3の径方向の中間部と対向する位置には、貫通穴14が形成されている。この貫通穴14は、後述する擦り傷生成用の押圧子15を挿入するための穴である。この貫通穴14は、図2および図3に示すように、カバー本体7の凸曲面7aと凹曲面7bとの両方に開口し、一方の開口からレンズ基材3の光軸Cと平行に他方の開口まで延びるように形成されている。
貫通穴14の開口形状は、図4に示すように、カバー本体7の径方向とは直交する方向(図4においては左右方向)に長い長方形である。この貫通穴14の長手方向に延びる一対の穴壁14a,14aは、互いに平行に形成されている。
前記押圧子15は、図2に示すように、角柱状の押圧子本体21と、この押圧子本体21に被せられた擦り傷生成部材22とを備えている。この実施の形態による押圧子15は、作業者(図示せず)が把持するレバー23に取付ねじ24によって着脱可能に取付けられている。
前記押圧子本体21は、ゴムなどの弾性体によって形成されている。この押圧子本体21を形成する弾性体としては、例えば、消しゴムや砂消しゴムが挙げられる。この押圧子本体21は、評価の対象となるレンズ基材3の種類に対応させて複数の種類のものが用意されている。レンズ基材3の種類としては、この実施の形態で示すような凸曲面3aや凹曲面3bを有する標準的なものと、表裏両面が平坦面となるように形成された平板状のものがある。標準的なレンズ基材3の評価に用いられる押圧子本体21の下面には、図2および図3に示すように、凹曲面21aまたは凸曲面21bが形成されている。
これらの凹曲面21aと凸曲面21bの曲率は、レンズ基材3の凸曲面3aと凹曲面3bの曲率と同等に形成されている。この実施の形態による押圧子本体21は、ベースプレート2に保持されているレンズ基材3の上面が凸曲面3aである場合は、下面が凹曲面21aであるものが使用される。また、押圧子本体21は、ベースプレート2に保持されているレンズ基材3の上面が凹曲面3bである場合は、下面が凸曲面21bであるものが使用される。一方、平板状のレンズ基材(図示せず)の評価に用いる押圧子本体21の下面は、平坦面となるように形成されている。
前記擦り傷生成部材22は、スチールウールによって形成されている。この実施の形態による擦り傷生成部材22は、紐状のスチールウールによって構成されている。なお、擦り傷生成部材22は、スチールウールの他に、紙、布、紙ヤスリ等によって形成することができる。
この擦り傷生成部材22は、図5に示すように、押圧子本体21に一側面21cから下面側を通して他側面21dに延びるように巻き付られ、結束部材25によって縛り付けられている。前記一側面と他側面は、前記貫通穴14の長手方向の両端に位置する壁面14b,14b(図1参照)と対向する側面である。前記貫通穴14の大きさは、このようにスチールウール製の擦り傷生成部材22を押圧子本体21に巻き付けて構成された押圧子15を挿入できるように形成されている。貫通穴14の長手方向の長さは、この押圧子15より長く形成されている。
前記レバー23は、図1および図5に示すように、前記押圧子15が取付けられた一端部23aから前記貫通穴14の長手方向に離間した把持部26を有している。把持部26は、作業者(図示せず)が手で把持できるように形成されている。
レバー23の前記一端部23aの上には、円板状の重錘27が載せられている。この重錘27の中心部には、前記取付ねじ24の頭部24aを挿入可能な穴27aが形成されている。重錘27は、レンズ基材3のレンズ面(凸曲面3a、凹曲面3b)に形成されている膜の種類に応じた重量のものが用いられる。ハードコート膜や反射防止膜の耐摩耗性評価を行うときの重錘の重量は、500g〜5kgの範囲で必要に応じて変えることができる。
レバー23の把持部26は、図1および図6に示すように、ベースプレート2のガイド部31に支えられている。ガイド部31は、ベースプレート2から上方に延びる板によって形成されている。このガイド部31の上端部分には、上方に向けて開放する2つの凹溝32が形成されている。これらの凹溝32は、前記貫通穴14の長手方向とは直交する方向に並べて形成されている。
また、これらの凹溝32は、それぞれ前記レバー23が上方から嵌合可能な形状であって、前記貫通穴14の長手方向と同じ方向に延びるように形成されている。ガイド部31に2つの凹溝32が形成されている理由は、図7(A),(B)に示すように、カバー4の取付位置が変わるとレバー23の水平方向の位置が変わるからである。このガイド部31にレバー23を通すことにより、把持部26の移動する方向が前記貫通穴14の長手方向と同一の方向に規制される。
レバー23の上には、図1および図6に示すように、計数器33が設けられている。この計数器33は、前記押圧子15が前記貫通穴14内に挿入された状態でレバー23を貫通穴14に沿って水平に往復移動させたときの往復回数を検出するものである。この計数器33は、例えば加速度センサによってレバー23の移動、停止を検出するものを用いることができる。
なお、図示してはいないが、レバー23を上述したように往復させるときのレバー23の移動速度の目安を作業者に知らせるために、音が所定間隔で発生する音発生装置を備えることができる。この音発生装置が発する音に合わせてレバー23を往復させることによって、作業者が交代したとても、レバー23の移動速度を略一定とすることができる。
このように構成された眼鏡レンズ耐摩耗試験機1を使用してレンズ基材3の耐摩耗性を評価するためには、先ず、評価の対象となるレンズ基材3をベースプレート2に保持させ、このレンズ基材3にカバー4を載せる。カバー4は、レンズ基材3の上面が凸曲面3aである場合はカバー本体7の凹曲面7bをレンズ基材3に対向させ、レンズ基材3の上面が凹曲面3bである場合は、凸曲面7aをレンズ基材3に対向させる。
そして、カバー4のストッパーピン11をベースプレート2のピン穴13に挿入し、カバー4の貫通穴14に前記押圧子15を上方から挿入する。押圧子15は、予めレバー23に取り付けておく。レンズ基材3の上面が凸曲面3aである場合は、押圧子本体21の下面が凹曲面21aである押圧子15を用いる。レンズ基材3の上面が凹曲面3bである場合には、前記下面が凸曲面21bである押圧子15を用いる。
次に、レバー23の把持部26がベースプレート2のガイド部31に挿入されている状態でレバー23の一端部23aに重錘27を載せる。そして、レバー23の把持部26を把持してレバー23を前後方向(前記貫通穴14の長手方向)に往復させる。この往復動作は、前記押圧子15が貫通穴14の長手方向に延びる穴壁14aに沿って移動するとともに、貫通穴14の長手方向の両端に位置する穴壁14bに接触するように行う。ハードコート膜や反射防止膜の耐摩耗性評価を行うときには、必要に応じた回数だけレバー23を往復させる。貫通穴14の長手方向の両端に位置する2つの穴壁14b,14bどうしの間隔は約50mm程度が望ましい。このため、レバー23を往復させるときの往復ストロークは約50mmになる。
レンズ基材3の一方のレンズ面の二箇所において耐摩耗性を評価する場合は、上述したようにレバー23を所定の回数だけ往復させた後、擦り傷生成部材22を擦り付ける位置を変えて上述した作業を繰り返す。擦り傷生成部材22を擦り付ける位置を変えるためには、レバー23から重錘27を外してレバー23(押圧子15)とカバー4とを持ち上げ、カバー4を上方から見て周方向に180度回転させてベースプレート2に再び装着する。すなわち、カバー4が図7(A)に示すようにベースプレート2に取付けられていた場合は、上述したようにカバー4を180度回転させることによって、図7(B)に示すように貫通穴14の位置が変わる。
そして、このカバー4の貫通穴14に押圧子15を挿入し、レバー23に重錘27を載せた状態で再度レバー23を所定の回数だけ往復させる。
このようにレンズ基材3の一方のレンズ面の一箇所または二箇所に擦り傷生成部材22を擦り付けた後、レンズ基材3とカバー4とをそれぞれ裏返し、他方のレンズ面の一箇所または二箇所に擦り傷生成部材22を所定回数だけ往復させて擦り付ける。
一方のレンズ面と他方のレンズ面との両方に擦り傷生成部材22を擦り付ける作業が終了した後、レンズ基材3をベースプレート2から取り外し、レンズ面に擦り傷が形成されているか否かを目視によって検査する。この目視検査は、レンズ面を清掃した状態で例えばレンズ基材3を通して蛍光灯を見て行う。
上述したように構成されたレンズ基材3の眼鏡レンズ耐摩耗試験機1においては、カバー4の貫通穴14に擦り傷生成用の押圧子15を挿入し、この押圧子15を貫通穴14の長手方向に往復させることによって、押圧子15がレンズ基材3に擦り付けられる。押圧子15の移動する方向は、貫通穴14の長手方向に延びる一対の穴壁14a,14aによって規制される。押圧子15が往復するときのストロークは、貫通穴14の長手方向の両端に位置する穴壁14b,14bによって規制される。押圧子15がレンズ基材3を押す押圧力は、重錘27の重量に相当する一定の大きさになる。
このため、この実施の形態によれば、押圧子15の移動方向、移動ストロークおよび押圧力がそれぞれ一定になるから、不慣れな作業者であっても正確な評価結果を得ることが可能になる。
この実施の形態による眼鏡レンズ耐摩耗試験機1は、ベースプレート2(保持部材)と、カバー4と、レバー23と、重錘27とによって構成されている。これらの部材は、いずれも電動式の装置と較べて小型のものである。このため、この実施の形態による眼鏡レンズ耐摩耗試験機1は、占有スペースが狭くてよいとともに持ち運びが容易であるから、使用場所の制約が小さいものである。
したがって、この実施の形態によれば、使用場所に制約を受けることがなく、しかも、不慣れな作業者でも正確な評価結果を得ることが可能な眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することができる。
この実施の形態による前記カバー4の上面と下面のうち一方は凸曲面7aによって形成されているとともに、他方は凹曲面7bによって形成されている。前記カバー4は、前記レンズ基材3の上面が凸曲面3aである場合に前記凹曲面7bが前記レンズ基材3と対向するようにレンズ基材3に被せられる。また、前記カバー4は、レンズ基材3の上面が凹曲面3bである場合に前記凸曲面7aが前記レンズ基材3と対向するようにレンズ基材3に被せられる。
このため、レンズ基材3の凸曲面3aの耐摩耗性の評価と、レンズ基材3の凹曲面3bの耐摩耗性の評価とを一つのカバー4を使用して行うことができる。すなわち、凸曲面用のカバーと、凹曲面用のカバーとをそれぞれ用意する必要がない。したがって、この実施の形態によれば、レンズ基材3の両面について耐摩耗性の評価を行うことが可能な眼鏡レンズ耐摩耗試験機1を少ない部品で構成できるから、持ち運びをより一層容易に行うことが可能な眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することができる。
この実施の形態による前記カバー4は、前記レンズ基材3の外周部のみに接触するものである。
このため、レンズ基材3のレンズ面とカバー4との間に挟み込まれた異物がレンズ面に擦り付けられて擦り傷が生成されることを防ぐことができる。この結果、評価結果の信頼性が高い眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することができる。
この実施の形態による前記レバー23は、前記押圧子15が設けられた一端部23aから前記貫通穴14の長手方向に離間した把持部26を有している。前記ベースプレート2は、前記把持部26を前記長手方向へ移動自在に支えるガイド部31を備えている。
このため、擦り傷生成用押圧子15の移動する方向を貫通穴14の前記一対の穴壁14aと前記ガイド部31との二箇所で規制することができる。
したがって、この実施の形態によれば、評価結果がより一層正確になる眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することができる。
この実施の形態による眼鏡レンズ耐摩耗試験機1は、計数器33を備えている。この計数器33は、前記押圧子15が前記貫通穴14内に挿入された状態のレバー23を前記貫通穴14に沿って往復させたときの回数を検出するものである。
このため、この実施の形態によれば、一定回数だけ前記押圧子15をレンズ基材3に擦り付けることが可能になるから、より一層正確な評価結果が得られる眼鏡レンズ耐摩耗試験機を提供することができる。
この実施の形態に示す眼鏡レンズ耐摩耗試験機1を実際に使用して耐摩耗性の評価を行ったところ、熟練者ではない作業者であっても、評価結果がばらつくことはなく、しかも作業を簡単に行うことができた。
1…眼鏡レンズ耐摩耗試験機、2…ベースプレート2(保持部材)、3…レンズ基材、3a,7a…凸曲面、3b,7b…凹曲面、4…カバー、7…カバー本体、8…ストッパー、15…押圧子、27…重錘、26…把持部、31…ガイド部、33…計数器。

Claims (5)

  1. 耐摩耗性を評価する対象となるレンズ基材を光軸が上下方向を指向する状態で保持する保持部材と、
    前記レンズ基材を上方から覆う形状に形成されるとともに貫通穴が形成されたカバーと、
    前記貫通穴に挿入可能な擦り傷生成用の押圧子を有するレバーと、
    このレバーにおける前記押圧子と対応する部分に載せられた重錘とを備え、
    前記貫通穴は、前記レンズ基材の径方向の中間部と対向する位置に前記径方向とは交差する方向へ前記押圧子より長く形成され、
    この貫通穴の長手方向に延びる一対の穴壁は、互いに平行に形成されていることを特徴とする眼鏡レンズ耐摩耗試験機。
  2. 請求項1記載の眼鏡レンズ耐摩耗試験機において、
    前記カバーの上面と下面のうち一方は凸曲面によって形成されているとともに、他方は凹曲面によって形成され、
    前記カバーは、前記レンズ基材の上面が凸曲面である場合に前記凹曲面が前記レンズ基材と対向するようにレンズ基材に被せられ、かつレンズ基材の上面が凹曲面である場合に前記凸曲面が前記レンズ基材と対向するようにレンズ基材に被せられるものであることを特徴とする眼鏡レンズ耐摩耗試験機。
  3. 請求項1または請求項2記載の眼鏡レンズ耐摩耗試験機において、前記カバーは、前記レンズ基材の外周部のみに接触するものであることを特徴とする眼鏡レンズ耐摩耗試験機。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の眼鏡レンズ耐摩耗試験機において、前記レバーは、前記押圧子が設けられた一端部から前記貫通穴の長手方向に離間した把持部を有し、
    前記保持部材は、前記把持部を前記長手方向へ移動自在に支えるガイド部を備えていることを特徴とする眼鏡レンズ耐摩耗試験機。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の眼鏡レンズ耐摩耗試験機において、前記押圧子が前記貫通穴内に挿入された状態の前記レバーを前記貫通穴に沿って往復させたときの往復回数を検出する計数器をさらに備えていることを特徴とする眼鏡レンズ耐摩耗試験機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018097099A1 (ja) * 2016-11-25 2018-05-31 旭硝子株式会社 基材評価方法および屈曲ガラス評価装置
CN113049367A (zh) * 2021-04-30 2021-06-29 京东方科技集团股份有限公司 疏水疏油层耐久性测试摩擦件、工装及测试方法

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