JP2014084281A - アムホテリシンb含有組成物およびその製造方法 - Google Patents

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肇 伊吹
Mitsuaki Kuwano
光明 桑野
Kenta Yoshii
健太 吉井
Takashi Tsuboi
貴司 坪井
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Abstract

【課題】アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および水性組成物、並びにそれらの製造方法の提供。
【解決手段】アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有する固形組成物であって、(i)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える工程または(ii)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する工程によって得られる固形組成物。該固形組成物に、水を加えることによって得られる水性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および水性組成物、並びにそれらの製造方法に関する。
アムホテリシンBは、ポリエン系抗生物質のひとつであって水に極めて難溶性であり、服用しても生体内への吸収性が極めて低いなどの短所を有するが、その優れた薬効のため深在性真菌感染症に対する治療価値の高い注射剤として、また、生体への低い吸収性を利用して消化管内(胃腸内)におけるカンジダの異常増殖に対する錠剤およびシロップ剤として用いられている。
一方、モノステアリン酸ポリエチレングリコールは、界面活性剤であり、それにはポリエチレングリコール部分の重合度が異なる多数の化合物が存在する。
アムホテリシンBを有効成分とする注射用製剤として、例えば「ファンギゾン(登録商標)注射用50mg」、「アムビゾーム(登録商標)点滴静注用50mg」が知られているが、いずれも他の注射剤と混合すると配合変化するため、その使用には一定の制約が設けられている(非特許文献1、2)。また、院内調剤などにおいてこれらの注射剤を他の注射剤と混合する場合、通常、感染リスク低減の目的で孔径0.22μmのフィルターを用いて濾過滅菌を行うが、ファンギゾン注射用50mgについては平均孔径1.0μm未満のフィルターを用いて濾過滅菌することはできず、また、アムビゾーム点滴静注用50mgについても孔径1.2μm未満のフィルターを用いて濾過滅菌することはできない。
また、ファンギゾン注射用には可溶化剤としてデオキシコール酸が含まれているため、これを使用する場合にはその強力な界面活性作用に起因する強い粘膜刺激性や溶血性などが問題となっている(非特許文献3)。
特許文献1は、アムホテリシンBなどの難溶性薬物を高圧ホモジナイザーを用いてナノオーダーサイズに微粒子化することを特徴とする微粒子分散液の製造方法に関する発明であるが、この微粒子分散液においてアムホテリシンBが溶解しているわけではない。
国際公開2005/094788号
添付文書「ファンギゾン注射用50mg」 添付文書「アムビゾーム点滴静注用50mg」 Graefe's Arch. Clin. Exp. Ophthalmol. 274:549-553,2009.
アムホテリシンBを含有する点眼液を含む外用剤、注射液、内服剤などを提供するために、生理食塩水などの電解質溶液と混合しても配合変化せず澄明・安定であり、さらに投与による生体への負荷を軽減することができるアムホテリシンBを含有する組成物を開発することが求められている。
本発明は、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および水性組成物、および、それらの組成物を含む点眼剤、点耳剤、吸引剤、内服剤、皮膚科用剤または歯科口腔用製剤、並びに、それらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、
(1)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有する固形組成物であって、(i)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える工程または(ii)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する工程によって得られる固形組成物は、いずれも水に溶解して澄明な水溶液となることを見出し、そして、
(2)アムホテリシンB、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を含有する水性組成物であって、(i)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える工程または(ii)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加える工程によって得られる水性組成物は、いずれも生理食塩水と混合しても配合変化せず澄明・安定であり、さらに投与による生体への負荷を軽減することができることを見出し、本発明を完成させた。
さらに、本発明のアムホテリシンB含有水性組成物は、濾過滅菌用の孔径0.22μmフィルターの透過性も良好であり、既存のアムホテリシンB含有注射用製剤よりも利便性に優れていることを見出した。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)下記工程1または2によって得られるアムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有する水に可溶な固形組成物。
工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える工程
工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する工程
(2)下記工程1または2によって得られるアムホテリシンB、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を含有する水性組成物。
工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える工程
工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加える工程
(3)下記工程1または2によって得られる1〜50%(w/w)のアムホテリシンBおよび50〜99%(w/w)のモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有する水に可溶な固形組成物。
工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える工程
工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する工程
(4)下記工程1または2によって得られる0.01〜20%(w/w)のアムホテリシンB、0.01〜40%(w/w)のモノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を含有する水性組成物。
工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える工程
工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加える工程
(5)モノステアリン酸ポリエチレングリコールが、モノステアリン酸ポリエチレングリコール55、モノステアリン酸ポリエチレングリコール40およびモノステアリン酸ポリエチレングリコール25からなる群から選択される少なくとも1種である上記(1)〜(4)記載の固形組成物または水性組成物。
(6)低級アルコールが、メタノールまたはエタノールである上記(1)〜(4)記載の固形組成物または水性組成物。
(7)上記(1)〜(6)記載の固形組成物または水性組成物を含む注射剤、点眼剤、点耳剤、吸引剤、内服剤、皮膚科用剤または歯科口腔用製剤。
(8)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去し、ついでモノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物の製造方法。
(9)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物の製造方法。
(10)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去し、ついでモノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える、アムホテリシンBを含有する水性組成物の製造方法。
(11)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去し、ついで水を加える、アムホテリシンBを含有する水性組成物の製造方法。
本発明によれば、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および水性組成物、および、それらの組成物を含む点眼剤、点耳剤、吸引剤、内服剤、皮膚科用剤または歯科口腔用製剤、並びに、それらの製造方法を得ることができる。
アムホテリシンBは水に極めて難溶性であるが、(i)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してからモノステアリン酸ポリエチレングリコールを加えたもの、または(ii)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去したものを必須成分とする本発明のアムホテリシンB含有固形組成物は、水に可溶な固形物であり、これが水に溶解すればアムホテリシンBを含有する澄明な水溶液となる。アムホテリシンB含有固形組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などに利用できる。
また、(i)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える工程、または(ii)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加える工程によって得られるアムホテリシンB含有水性組成物は、アムホテリシンBが水に溶解した澄明な水溶液であり、必要に応じて濾過滅菌することも可能である。
また、本明細書に記載した各種の試験結果より、本発明のアムホテリシンB含有水性組成物は、安定な水溶液であり、また、生理食塩水(電解質溶液)と混合しても配合変化を起こさず生体内投与に適し、さらに、孔径0.22μmフィルターを用いて濾過滅菌することが可能であるので、既存の製剤よりも利便性に優れている。
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた組成物の外観を示す図である。 実施例1〜4または比較例3で得られた組成物を生理食塩水と混合して得られた溶液の外観を示す図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「水に可溶な」とは、水に溶解して、澄明な溶液となることを意味する。
本明細書において、「固形」とは、液体状や気体状ではなく、固体状であることを意味する。
本明細書において、「水性」とは、水性溶媒に澄明な状態で溶解していることを意味する。
〔本発明の組成物〕
(1)アムホテリシンB
本発明で用いられる「アムホテリシンB」は、優れた抗真菌剤であり、純度、性状などに違いのあるものが存在するが、市販または公知の製造方法により得られるものであれば、特に制限されない。
(2)モノステアリン酸ポリエチレングリコール
本発明で用いられる「モノステアリン酸ポリエチレングリコール」は、市販または公知の製造方法により得られるものであれば特に限定されないが、通常ポリエチレングリコール部分の重合度が、2〜150であるものが挙げられ、好ましくは25〜55である。
本発明で用いられる「モノステアリン酸ポリエチレングリコール」は、好ましくは、モノステアリン酸ポリエチレングリコール2(PEG−2)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール5(PEG−5)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール10(PEG−10)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール20(PEG−20)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール25(PEG−25)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール40(PEG−40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール55(PEG−55)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール100(PEG−100)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール150(PEG−150)であり、より好ましくはモノステアリン酸ポリエチレングリコール25(PEG−25)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール40(PEG−40)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール55(PEG−55)である。PEGと共に記載される数値は、ポリエチレングリコール部分の重合度を示す。
(3)低級アルコール
本発明で用いられる「低級アルコール」は、アムホテリシンBを溶解させることができる炭素数1〜5のアルコールであって、好ましくはメタノール、エタノールであり、より好ましくは、メタノールである。とりわけメタノールまたはエタノールを用いれば、アムホテリシンBを溶解させた後、低温でも容易にこれらを留去することができるため、アムホテリシンBを熱分解させないという長所を有する。
(4)水
本発明で用いられる「水」は、水であれば特に制限されないが、例えば、注射用水、蒸留水、精製水、滅菌水、滅菌精製水などが挙げられる。
(5)製造条件
本発明においては、アムホテリシンB1質量部に対して、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを、通常1〜100質量部、好ましくは2〜70質量部、より好ましくは2〜50質量部を用いる。
本発明においては、アムホテリシンB1gに対して、通常50L以下の低級アルコールを用いる。低級アルコールとして、例えばメタノールを用いる場合は、アムホテリシンB1gに対して、メタノールを、好ましくは20L以下、より好ましくは5L以下で用いる。
本発明においては、アムホテリシンB、またはアムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解させた後、低級アルコールを留去するので、低級アルコールの使用量はなるべく少ない方が望ましい。
本発明においては、本発明のアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物または水性組成物を生体に投与する場合には、低級アルコールを留去して該水性組成物中に医薬として許容される量以上に残存させないことが望ましい。
本発明においては、低級アルコールに、アムホテリシンB、または、アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを、通常、4℃〜室温で溶解する。アムホテリシンB、または、アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールの溶解性を向上させ、また、低級アルコールの使用量を減少させるために、アムホテリシンB、または、アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールBを含有する低級アルコール溶液を加温することもできるが、なるべく40℃以下に加温することが好ましい。
本発明において、低級アルコールを留去する方法は特に限定されないが、アムホテリシンBが熱分解することを避けるために、例えばエバポレーターを用いれば低温(例えば40℃以下)で低級アルコールを減圧留去することができる。
本発明のアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物中のアムホテリシンBの配合割合は、1〜50%(w/w)、好ましくは2〜40%(w/w)、より好ましくは3〜35%(w/w)である。
また、本発明のアムホテリシンBを含有する水性組成物中のアムホテリシンBの配合割合は、0.01〜20%(w/w)、好ましくは0.01〜15%(w/w)、より好ましくは0.02〜10%(w/w)である。
本発明のアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物中のモノステアリン酸ポリエチレングリコールの配合割合は、50〜99%(w/w)、好ましくは60〜98%(w/w)、より好ましくは65〜97%(w/w)である。
また、本発明のアムホテリシンBを含有する水性組成物中のモノステアリン酸ポリエチレングリコールの配合割合は、0.01〜30%(w/w)、好ましくは0.01〜20%(w/w)、より好ましくは0.01〜10%(w/w)である。
本発明のアムホテリシンB含有組成物におけるアムホテリシンBとモノステアリン酸ポリエチレングリコールの配合割合(アムホテリシンB/モノステアリン酸ポリエチレングリコール)は、特に限定されないが1/100〜1/1(質量比)、好ましくは1/70〜1/2、より好ましくは1/50〜1/2である。
本発明のアムホテリシンB含有組成物は、例えば医薬、動物薬、農薬として適用することができる。医薬や動物薬の場合には、経口でも、非経口でも投与することができる。投与剤型としては、注射剤、点眼剤、点耳剤、吸引剤、内服剤(錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤)、皮膚科用剤、歯科口腔用製剤などが挙げられ、それらは汎用されている技術を用いて製剤化することができる。また、本発明のアムホテリシンB含有組成物は、水または生理食塩水に可溶であるので、用時溶解させて注射剤などの液剤として使用することもできる。なお、本発明のアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および水性組成物に含まれるアムホテリシンBの含有量は、症状、年齢、剤形などにより適宜調整することができる。
本発明のアムホテリシンB含有組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの経口剤であれば、乳糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クエン酸カルシウムなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂などのコーティング剤、パラオキシ安息香酸エチル、ベンジルアルコールなどの安定化剤、甘味料、酸味料、香料などの矯味矯臭剤などを必要に応じて配合して調製することができる。
本発明のアムホテリシンB含有水性組成物は、例えば、注射剤、点眼剤などの非経口剤であれば、塩化ナトリウム、濃グリセリンなどの等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ε−アミノカプロン酸などの緩衝化剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤、塩化ベンザルコニウム、パラベンなどの防腐剤などを必要に応じて配合して調製することができる。
本発明のアムホテリシンB含有水性組成物は、安定な水溶液であり、また、生理食塩水(電解質溶液)と混合しても配合変化を起こさず、さらに、孔径0.22μmフィルターを用いて濾過滅菌することが可能であるので、既存の製剤よりも利便性に優れている。
以下に、各種の実施例および試験結果を示すが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
1.アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物の調製
実施例A
ナカライテスク社製のアムホテリシンB(以下「AMPH−B」とする) 5mgを、約4〜10℃で、メタノール 20mLに溶解した。この溶液に界面活性剤である日光ケミカルズ社製のステアリン酸ポリオキシル40(以下「MYS−40」とする) 25mgを、約4〜10℃で加えて溶解し、減圧下約35℃でエバポレーターを用いてメタノールを留去することにより、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例B
実施例AのMYS−40 25mgに代えてMYS−40 50mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例C
実施例AのMYS−40 25mgに代えてMYS−40 100mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例D
実施例AのMYS−40 25mgに代えてMYS−40 150mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例E
実施例AのMYS−40 25mgに代えてMYS−40 10mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例F
実施例AのMYS−40 25mgに代えて日光ケミカルズ社製のステアリン酸ポリオキシル55(以下「MYS−55」とする)25mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例G
実施例AのMYS−40 25mgに代えてMYS−55 100mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例H
実施例AのMYS−40 25mgに代えて日光ケミカルズ社製のステアリン酸ポリオキシル25(以下「MYS−25」とする) 100mgを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例I
AMPH−B 300mgをメタノール 1200mLで溶解後、減圧下約35℃でメタノールを留去して固体の残留物を得た。この残留物100mgを約40℃に加温したMYS−40 2gに混和することによりアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例J
実施例Aのメタノール 20mLに代えてエタノール 500mLを用いる以外は実施例Aと同様の操作を行ってアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物を得た。
実施例A〜Jの配合組成を表1に示す。
2.アムホテリシンBを含有する水性組成物の調製
実施例1〜10
実施例A〜Jで得られた各アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物に、水性組成物中のアムホテリシンBの濃度が0.1%となるように注射用水を加えた後、遮光下、約4〜10℃で攪拌して澄明なアムホテリシンBを含有する水性組成物[実施例1〜10]を得た。
比較例1
MYS−40 100mgを注射用水5mLに溶解した。この水溶液にAMPH−B 5mgを添加して、遮光下、約4〜10℃で攪拌して混濁したアムホテリシンBを含有する組成物を得た。
比較例2
AMPH−B 5mgをメタノール 20mLで溶解した。この溶液に界面活性剤であるポリソルベート80 100mgを加えて溶解後、減圧下約35℃でメタノールを留去することによりアムホテリシンBを含有する組成物を得た。このアムホテリシンB含有組成物に、注射用水 5mLを加えた後、遮光下、約4〜10℃で攪拌して混濁したアムホテリシンBを含有する組成物を得た。
比較例3
「ファンギゾン注射用50mg」を注射用水 10mLに加えて溶解させた。
(結果)
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた各組成物の外観を図1に示す。
(考察)
実施例1〜10、比較例1〜2および図1から明らかなように、市販のAMPH−Bをメタノールで処理[溶解・留去]することなくそのまま用いても澄明な水溶液とはならず、また、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(MYS−55、MYS−40、MYS−25)に代えてポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル(ポリソルベート80)を用いても澄明な水溶液は得られない。したがって、(1)アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去して得られたものにモノステアリン酸ポリエチレングリコールと水を加えた水性組成物、または(2)アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加えた
水性組成物とすることによってはじめて澄明な水溶液が得られる。
3.アムホテリシンBを含有する水性組成物中のアムホテリシンB濃度
(測定用標準液の調製)
AMPH−B 2.5mgをDMSO 5mLに溶解し、さらにDMSOを加えて10mLとした(AMPH−B-DMSO溶液)。マイクロチューブにDMSOをそれぞれ920、960、980μL量り取り、AMPH−B-DMSO溶液 80、40、20μLをそれぞれ添加して測定用標準液とした。
(試料溶液の調製)
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた組成物を13、000rpm 10分間遠心分離し、その上清を得た(上清液)。マイクロチューブにDMSO 990μLを量り取り、上清液 10μLを添加して各試料溶液とした。
各試料溶液中のAMPH−B濃度は吸光プレートリーダー(SpectraMax Plus384、Molecular Devices社)にて波長390nmで測定し、測定用標準液の吸光度と比較して算出した。
(結果)
各試料溶液中のAMPH−B濃度を表2に示す。
(考察)
表2より、実施例1〜4で得られた組成物中のAMPH−Bの濃度は理論濃度と一致しているので、本発明のアムホテリシンBを含有する水性組成物は水への溶解性に優れていることが明らかとなった。
4.生理食塩水による配合変化
実施例1〜4および比較例3で得られた組成物を生理食塩水と混合して配合変化の有無を検討した。
(試験材料および方法)
実施例1〜4で得られた組成物を遠心分離処理した後の上清液を用いた。生理食塩水と各上清液は、生理食塩水:上清液=1:1(容量比)で混合し、室温にて外観を観察した。
比較例3で得られた組成物は添付文書に記載の調製法に従ってファンギゾン注射用50mgに注射用水10mLを添加して溶解した。生理食塩水との混合は上記と同様に容量比1:1で混合し、室温にて外観を観察した。
(結果)
実施例1〜4または比較例3で得られた組成物を、生理食塩水と混合後して得られる溶液の外観を図2に示す。
(考察)
図2から明らかなように、本発明のアムホテリシンBを含有する水性組成物は、生理食塩水(電解質溶液)と混合しても配合変化を起こさず安定であるのに対して、比較例3(市販のアムホテリシンB含有注射用製剤)は配合変化を起こして混濁している。したがって、本発明のアムホテリシンBを含有する水性組成物は、生理食塩水などの電解質溶液と混合しも配合変化を起こさず安定である。
5.フィルター通過性
実施例1〜2および比較例2〜3で得られた組成物を用いて、孔径0.22μmフィルターの通過性を検討した。
(試験材料および方法)
実施例1〜2および比較例2〜3と生理食塩液を1:1(容量比)の割合で混合した各混合液をシリンジに取り、ついで、ミリポア社の直径33mm、孔径0.22μmフィルター(型番:Millex(登録商標)-GV)に装着してプランジャーを指で押して抵抗の有無を確認した。
(結果)
実施例1〜2で得られた組成物では、抵抗はほとんどなくフィルター通過性が良好であったが、比較例2〜3で得られた組成物では抵抗が大きくフィルターを完全に通過させることができなかった。
(考察)
本発明のアムホテリシンBを含有する水性組成物を生理食塩水(電解質液)で希釈したものは、孔径0.22μmフィルターを用いて濾過滅菌することが可能となる。
6.製剤例(実施例)
本発明のアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物または水性組成物を用いた代表的な製剤例を以下に示す。
1)注射剤(10mL中)
実施例AのアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物 0.3g
塩化ナトリウム 90mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
実施例AのアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および添加物の混合比を適宜変更することにより、所望の注射剤を得ることができる。また、凍結乾燥して用時溶解用注射剤とすることもできる。
2)点眼剤(100mL中)
実施例1のアムホテリシンBを含有する水性組成物 3g
塩化ナトリウム 900mg
塩化ベンザルコニウム 10mg
水酸化ナトリウム 適量
塩酸 適量
滅菌精製水 適量
実施例1のアムホテリシンBを含有する水性組成物および添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の点眼剤を得ることができる。
3)錠剤(1錠)
実施例AのアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物 0.3g
乳糖 66.4mg
トウモロコシデンプン 20mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 6mg
ヒドロキシプロピルセルロース 4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.6mg
上記処方の錠剤に、コーティング剤(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂などの通常のコーティング剤)2mgを用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得る。また、実施例AのアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物および添加物の種類および量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる。
4)カプセル剤(1カプセル中)
実施例AのアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物 0.3g
乳糖 100mg
トウモロコシデンプン 30mg
ポビドン 15mg
タルク 5mg
実施例AのアムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物と乳糖の混合比を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる。

Claims (11)

  1. 下記工程1または2によって得られるアムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有する水に可溶な固形組成物。
    工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える工程
    工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する工程
  2. 下記工程1または2によって得られるアムホテリシンB、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を含有する水性組成物。
    工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える工程
    工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加える工程
  3. 下記工程1または2によって得られる1〜50%(w/w)のアムホテリシンBおよび50〜99%(w/w)のモノステアリン酸ポリエチレングリコールを含有する水に可溶な固形組成物。
    工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える工程
    工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する工程
  4. 下記工程1または2によって得られる0.01〜20%(w/w)のアムホテリシンB、0.01〜40%(w/w)のモノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を含有する水性組成物。
    工程1:アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから、モノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える工程
    工程2:アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去してから水を加える工程
  5. モノステアリン酸ポリエチレングリコールが、モノステアリン酸ポリエチレングリコール55、モノステアリン酸ポリエチレングリコール40およびモノステアリン酸ポリエチレングリコール25からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4記載の固形組成物または水性組成物。
  6. 低級アルコールが、メタノールまたはエタノールである請求項1〜4記載の固形組成物または水性組成物。
  7. 請求項1〜6記載の固形組成物または水性組成物を含む注射剤、点眼剤、点耳剤、吸引剤、内服剤、皮膚科用剤または歯科口腔用製剤。
  8. アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去し、ついでモノステアリン酸ポリエチレングリコールを加える、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物の製造方法。
  9. アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去する、アムホテリシンBを含有する水に可溶な固形組成物の製造方法。
  10. アムホテリシンBを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去し、ついでモノステアリン酸ポリエチレングリコールおよび水を加える、アムホテリシンBを含有する水性組成物の製造方法。
  11. アムホテリシンBおよびモノステアリン酸ポリエチレングリコールを低級アルコールに溶解後、低級アルコールを留去し、ついで水を加える、アムホテリシンBを含有する水性組成物の製造方法。
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