JP2014082977A - 食品中からのセレウリド産生セレウス菌の検出方法、これに用いられるプライマーおよびプローブ - Google Patents

食品中からのセレウリド産生セレウス菌の検出方法、これに用いられるプライマーおよびプローブ Download PDF

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Abstract

【課題】 食品試料中のセレウリド産生セレウス菌を、迅速かつ簡便に特異性良く、かつ高感度に検出する方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係るセレウリド産生セレウス菌の検出方法は、食品中からセレウリド産生セレウス菌を検出するセレウリド産生セレウス菌の検出方法であって、セレウリド産生に関わるセレウリド合成酵素遺伝子を含むセレウス菌のcesオペロンを標的遺伝子プライマー及びプローブのうち少なくとも一方として用いる。特に、前記セレウス菌のcesオペロンを、cesD領域、cesT領域及びcesP領域のうち少なくとも一の領域の配列とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、食品中に含まれる可能性のあるセレウリド産生セレウス菌の検出方法及びこれに用いられる増殖用のプライマー、さらに該プライマーを用いて増殖されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブに関し、特に、食品中から検出対象であるセレウリド産生セレウス菌を迅速、簡便かつ高感度に検出するための実用性の高い検出方法、およびこれに用いることができるプライマー・プローブを提供することを目的とする。
セレウリド自体の検出法としては、セレウリドによるHEp-2細胞(ヒト喉頭がん由来の細胞)の空胞化変性、つまり例えば自己融解性の作用により障害をうけた細胞内小器官を処理するために生じた空胞を観察する方法がある。この方法では、まずセレウス菌の培養が必要であり、その培養上清をろ過滅菌および段階希釈してHEp-2細胞と混合させ、その後、HEp-2細胞を培養し、HEp-2細胞内に形成される空胞を顕微鏡で観察するものである。
また、別のセレウリド検出法としては、LC/MS(Liquid Chromatography / Mass
Spectrometry: 液体クロマトグラフィー / 質量分析法)を用いて、試料中のセレウリドを分析する方法がある。この方法を用いれば、セレウス菌の検査試料からセレウリドを検出することが可能である。
一方、遺伝子学的な手法を用いたセレウリド産生セレウス菌の検出法についても既に開発されている。例えば特許文献2の方法は、検体として食品も使用できる方法であり、食品成分を含まない培養菌試料を用いて、微量菌の検出が可能な方法である。また特許文献1の方法は、食品試料に添加した菌を7時間培養し、菌を十分に増殖させれば、食品試料検体から菌を検出可能な方法である。さらに特許文献3は、検体中のRNA量を測定する方法であり、リアルタイムPCR機と呼ばれる高額な機器の使用が必須である。
特開2005−124409号公報 特許第4340227号公報 特開2007−312659号公報
セレウス菌(Bacillus cereus)は、土壌や河川など自然界に広く分布しており、食品や食材への汚染機会が多い。このため食材や食品の製造過程から完全に取り除くことは難しい。また嘔吐毒であるセレウリドは耐熱性を有しており、加熱調理しても活性が失われず毒性を発揮するため、加熱による殺菌では食中毒を完全に防止するのはきわめて困難である。セレウス菌の中でも、セレウリドを産生するセレウス菌を食品中から検出する場合には、きわめて短時間のうちに実施可能であることが最も重要であり、次いで対象菌の検出手段が簡便で、しかも陰性または陽性の判別に高い精度を有するものでなければならない。
セレウリドを検出する方法としては、既述したようにHEp-2細胞の空胞変性活性試験やLC/MSを用いた方法が知られている。しかしHEp-2細胞の空胞変性活性試験における陽性判定は、1個のHEp-2細胞内に10個以上の空胞を持った細胞が、1ウエルに30%以上占めている必要がある。この検出法の場合、セレウス菌の培養と、その後のHEp-2細胞の培養との両方の培養が必要であり、検出までに少なくとも3日間を要する。また、顕微鏡観察による陽性判定には観察者の高度の技術の習熟が必要である。
また、LC/MSを用いる方法による場合においては、分析に際して、セレウリドの精製が必要であり、その工程は、超音波処理、エバポレーターによる複数回の蒸発乾固や洗浄、カラムによる精製と抽出が含まれており、きわめて煩雑で多くの時間がかかる。また、LC/MSという高額で特殊な機器が必要であるという点も大きな課題である。
さらに、既述した遺伝子学的な手法を用いたセレウリド産生セレウス菌の検出法についても、特許文献1の方法とともに特許文献2に記載された検体中のRNA量を測定するPCR法を用いる方法は、操作性の簡便性や汎用性の比較的高い方法ではあるが、食品試料用に適合させていないため、食品試料中の菌の検出感度はきわめて低い。
このため、遺伝子検出の前に、菌の前培養が必要であるところから、結果判定に至るのは少なくとも翌日以降となるため迅速性に欠けており実用性には向かない。またそればかりでなく、高額なサーマルサイクラーと呼ばれるPCR専用機の使用を必要とし、しかも菌の増幅時間だけでも少なくとも3時間以上は必要とするものである。このため、製造した食品に対し食中毒防止の目的で、セレウリド産生セレウス菌の検出を試みたとしても、当日中に結果を得ることはできない。
さらに加えて、PCR産物を検出するためには、アガロースゲル電気泳動による検出が用いられるため、電気泳動装置やUVトランスイルミネーター機といった高額でしかも場所をとる機器を必要とし、また発ガン性物質である臭化エチジウム等を用いた増幅産物の染色工程も必要になるため、危険性がありまたきわめて手間のかかる作業となる。また、電気泳動解析では、増幅産物のサイズ情報しか得られない。また電気泳動解析では増幅産物のサイズ情報しか得られない。この場合にリアルタイムPCR法を用いて、増幅産物を検出する方法もあるが、きわめて高額な機器が必要となり現実的ではない。
このように、上記したいずれの方法によっても、菌や細胞の培養が必要でセレウリド検出までに凡そ3日の期間を必要とするものであったり、また検出技術に習熟が必要な方法であったり、さらには高額で特殊な機器や煩雑な工程が必要な方法であったりするものばかりで、迅速性や簡便性だけでなく汎用性にも欠けている。
そこで、本発明では、食品試料中からのセレウリド産生セレウス菌をいかにして迅速、簡便かつ高感度に検出することができるかについて種々研究を重ねた結果、実用的で、しかも汎用性の高いセレウリド産生セレウス菌の検出方法及びこれに用いられる増幅用プライマー、増幅後にヌクレオチド鎖検出を容易にするための良好なプローブを開発するに至ったものである。
本発明者らは、上記課題を総じて解決するため、まずセレウリド産生に関わるセレウリド合成酵素遺伝子を含むcesオペロンを標的遺伝子とした。具体的にはセレウス菌のcesオペロンであるcesD又はcesT又はcesP領域の配列をプライマーおよびプローブとして用いるものである。標的遺伝子の増幅方法としては、ここでは特別な機器を用いる必要がなく、RNAを鋳型としてワンステップで標的核酸を増幅できるNASBA(Nucleic Acid Sequence-based Amplification)法を使用することとした。この場合に、食品から直接且つ高感度で且つ短時間にて増幅し得るNASBA法に最も適したプライマーとして、配列番号1,2,3,4,5,9,10を用いた。
更に、上記した標的増幅産物の検出には、配列特異的なサンドイッチハイブリダイゼーション法を検出原理とし、この場合に検出時の操作性が簡便であり、検出時間も短く、格別機器類を用いる必要のない核酸クロマトグラフィー法を使用することとした。具体的には、本発明はセレウリド産生セレウス菌が含まれた食品を試料として抽出された核酸に対して、セレウリド産生セレウス菌の核酸と配列特異的に結合し、NASBA法のプライマーとして用いることができる特定のヌクレオチド配列鎖を含むセレウリド産生セレウス菌の検出方法に関する。
また、本発明は、上記した特定のヌクレオチド配列鎖と対となり、核酸増幅反応を成し遂げるためのプライマーに関する。また、本発明は、食品中からセレウリド産生セレウス菌を検出する際に、セレウリド産生に関わるセレウリド合成酵素遺伝子を含むセレウス菌のcesオペロンを標的遺伝子として用いるようにした検出用のプライマーに関する。さらにこの場合のセレウス菌のcesオペロンが、cesD又はcesT又はcesP領域の配列である検出用のプライマーに関する。
さらに、この場合の配列が配列番号1、2,3,4,5,9,10であり、配列番号1と2、配列番号2と3、配列番号4と5、配列番号9と10のいずれかの組み合わせを主たるプライマーセットとして遺伝子増幅するための食品中のセレウリド産生セレウス菌の検出用プライマーに関する。また、本発明は、NASBA法で増幅されたヌクレオチド鎖と配列特異的に結合し、その増幅されたヌクレオチド鎖を検出するために用いる事のできるヌクレオチド配列鎖を検出するためのプローブに関する。
本発明によれば、まず迅速性の観点からみた場合に、NASBA法に最適化させた増幅効率の高い配列番号1と2、または配列番号2と3、または配列番号4と5、または配列番号9と10のヌクレオチド配列鎖を核酸増幅反応のプライマー対として使用し、増幅反応としてNASBA法を用いた場合に、増幅反応時間に必要な時間を僅か20分と短縮できる。これは、既述した特許文献1〜3に記載の従来法による増幅時間が、少なくとも3時間を要することに比べると、1/9から1/12程度の短時間に短縮でき、増幅効率にきわめて優れており迅速に検出可能となる。
なお、この場合に、配列番号1と2、または配列番号2と3、または配列番号4と5、または配列番号9と10のヌクレオチド配列鎖からなる核酸増幅反応のプライマー対の中でも、特に、配列番号1と2のヌクレオチド配列鎖をNASBA法のプライマー対として用いた場合、最も多くの目的増幅産物を得られることから、食品試料中からのセレウリド産生セレウス菌検出にとっては、最も好適である。配列番号1と2のヌクレオチド配列鎖からなる核酸増幅反応のプライマー対を用いて、核酸増幅した後に産生される目的のヌクレオチド鎖を検出する目的で、配列番号6と7のヌクレオチド配列鎖をプローブとして使用すれば、例えば、核酸クロマトグラフィー法に適応した場合、機器や器具を用いることなく、簡便な操作で増幅産物、特にNASBA法により増幅した1本鎖ヌクレオチドからなる産物を、僅か15分以内に検出することができる
また、汎用性の観点からみても、NASBA法を使用することで、ヒートブロックという安価な機器で核酸増幅反応を行えるため、様々な施設でセレウリド産生セレウス菌の検出が可能となり、高い汎用性が得られる。さらに、検出精度の高感度性の観点からみても、本発明のヌクレオチド配列鎖をプライマーとして用いたNASBA増幅法による増幅産物から標的核酸を検出する本発明によれば、食品試料1gあたり10cfuのセレウリド産生セレウス菌を検出できる。即ち、本発明品を用いれば、既存法よりも100倍高感度で検出できる。培養菌であれば1菌を検出可能とする特許文献2の検出法を用いたセレウリド産生セレウス菌が含まれた食品を試料とした場合の検出感度が食品試料1g当たり10cfuの菌(実施例5参照)だったのに比べると既存法よりも格段の高感度であることが理解できよう。
セレウリド合成酵素遺伝子を保有したセレウリド産生セレウス菌の特異的検出を検討した結果を示す図である。 PCR法を用いて食品から直接セレウリド産生セレウス菌の検出を検討した結果を示す図である。
本発明において食品中から検出する標的物質は嘔吐毒であるセレウリドを産生するセレウス菌である。ここで食品とは主としてヒトの食料として用いられるものであるが、場合によってはイヌ、ネコ、馬、ヤギなど家畜類の食料となるものも含まれる。食品の例としては米飯、生野菜、煮物、焼き物、生海産物、焼きそば、スパゲティ、カレーライス等ヒトの食料となる食物の一切を含む。また家畜の飼料をも含む。食品試料としては食品の一部を摘出して用いる。
食品が例えば米飯である場合に、市販の米飯25gを用い、生理食塩水225mLと共にストマフィルターに入れ、セレウリド産生セレウス菌を加え、ストマッカーで混合させたものを、食品試料の10%乳剤とする。この時のセレウリド産生セレウス菌の量は、食品1gあたり10cfuとした。しかし米飯や生理食塩水、添加するセレウリド産生セレウス菌の分量については上記したものに限られるわけではなく適宜調整するものとする。米飯以外の食品についても同様である。
この食品試料から核酸を抽出する方法としては、市販品のExtragenII(東ソー社製)を用いることができ、この抽出核酸を核酸増幅法に使用する。標的核酸の増幅手段としては、NASBA法、転写媒介性増幅法(TMA法)、転写酵素と逆転写酵素の協奏反応によるRNA増幅・検出法(Transcription Reverse Transcription Concerted Reaction、TRC法)等の公知のRNA増幅法を用いることができる。
例えば、NASBA法、TMA法およびTRC法の場合、その原理としてRNA polymeraseを用いて転写反応を利用し増幅産物を得るという共通点がある一方で、相違点も存在する。TRC法の場合、NASBA法やTMA法とは異なり、増幅試薬にフォワードプライマーおよびリバースプライマーを加えただけでは、原理上増幅反応は開始されない。これは、核酸増幅工程の前段階としてシーザープローブによる標的mRNAの切断工程が必要なためである。即ち、TRC法はNASBA法やTMA法に比べ、増幅反応において工程数が多く複雑性を持った増幅法であると言える。
また、NASBA法とTMA法は、ほぼ同じ増幅原理を有しているが、増幅反応に用いる酵素の数が、TMA法では逆転写酵素とRNA polymeraseの2種類であるのに対し、NASBA法では逆転写酵素、RNA polymeraseおよびRNaseHの3種類であり、この点が両方法間の差異である。TMA法では、逆転写酵素に含まれるRNaseH活性を利用し、DNAとRNAの二本鎖のRNA鎖側を分解する反応を行っている。
即ち、TMA法ではRNAを鋳型にcDNAを合成する逆転写反応と、DNAとRNAの二本鎖のRNA鎖側を分解する反応を1種類の酵素(逆転写酵素)で担わせているのに対し、NASBA法では、これら2つの反応(逆転写反応およびDNAとRNAの二本鎖のRNA鎖側を分解する反応)を1種類の酵素で競合させることなく、各反応に対し専用の酵素を当てることにより効率的に増幅反応を行うことができるという特徴を有している。これら核酸増幅方法の差異を踏まえ、セレウリド産生セレウス菌を食品試料中から迅速かつ簡便に検出するためには特にNASBA法、たとえば特許第2650159号公報に記載のNASBA法を有利に用いることができる。
食品中からセレウリド産生セレウス菌を迅速、簡便かつ高感度で検出するために使用する標的遺伝子核酸の増幅用プライマーとしては、特定のプライマーを用いる必要がある。NASBA法のプライマー対として第1プローブと第2プローブの組み合わせとし、配列番号1と2、または配列番号2と3、または配列番号4と5、または配列番号9と10の組み合わせで用い、配列番号2、または配列番号5、または配列番号10のヌクレオチド配列の5’末端側に配列番号21のT7 RNA ポリメラーゼのプロモーター配列を付ける。NASBA法に必要な試薬は、NASBA Amplification キット(カイノス社製)を使用することができる。この場合NASBA法はそのキットの操作手順に従い実施するのが望ましい。但し、この場合の増幅時間については、使用書記載の90分ではなく、20分程度と短くする。
上記配列番号1、2、3、4、5、9、10に示されるヌクレオチド配列において、1塩基又は数個(例えば1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個)の塩基が欠失、置換又は付加されていても、更には、5’末端側もしくは3’末端側にヌクレオチド配列が付加されていても、標的遺伝子核酸であるセレウリド産生セレウス菌を特異的に増幅できるものであれば、本発明におけるプライマーとして使用することができる。
また、上記により増幅された標的遺伝子核酸に対して、配列番号6,7,11,12,22,23をプローブとして用い、標的核酸を容易に検出することができる。この場合に配列表では、便宜上DNA配列で示されているが、DNAのヌクレオチド配列からなるプローブであってもよいし、RNAのヌクレオチド配列からなるプローブであってもよい。しかし、プローブとしての安定性に優れていることからDNAのヌクレオチド配列からなるプローブであることが好ましい。上記プローブのいずれを第1のプローブ又は第2のプローブにするかは、適宜選択・決定することができる。
上記配列番号6,7,11,12,22,23に示されるヌクレオチド配列において、1塩基又は数個(例えば1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、さらに好ましくは1個)の塩基が欠失、置換又は付加されていても、特異的な標的核酸を検出することができるものであれば、本発明におけるプローブとして使用することができる。
つまり、食品中からセレウリド産生セレウス菌を迅速、簡便かつ高感度で検出するために使用する遺伝子増幅用プライマーとして、セレウス菌のcesオペロンであるcesD又はcesT又はcesP領域の配列をプライマーとして用いることができる。さらに好ましくは、この場合に、配列番号1,2,3,4,5,9,10であり、配列番号1と2、配列番号2と3、配列番号4と5、配列番号9と10の何れかの組み合わせの1つを主たるプライマーセットとして標的遺伝子の増幅をおこなうようにするのがよい。この場合に配列番号1と2とを主たるプライマー対として用いるのが最も優れている。
また、上記の各場合において、増幅された遺伝子産物を配列番号6と7、配列番号11と12、配列番号22と23をプローブ対として遺伝子産物を検出することで食品試料中から迅速・簡便にセレウリド産生セレウス菌を検出することができる。さらに遺伝子の増幅手段についてもPCR、TMA、TRC、またはNASBA法等、何れのRNA増幅手段を用いることができるが、迅速性および簡便性の観点からNASBA法によるのが最も好ましい。
この場合に、第1のプローブを標識高分子担体に結合させる方法としては、5’又は3’末端に付加基を導入した配列番号6,7,11,12,22,23に示されるヌクレオチド配列を有するDNAを、付加基を導入した標識高分子担体に結合させる方法を挙げることができる。上記付加基を導入するDNAの末端は5’末端が好ましい。また、上記付加基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等を挙げることができるが、例えば、標識高分子担体がカルボキシル基で修飾されている場合はアミノ基が好ましい。
上記標識高分子担体における高分子担体としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシル基を有するポリアクリル酸塩等の親水性樹脂やアクリル系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、ポリスチレン系ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、SBR樹脂、NBR樹脂、ポリアミド系ラテックス、カルボキシ変性ポリスチレン系ラテックス等のラテックスなどを挙げることができるが、上記配列番号6,7,11,12,22,23に示されるヌクレオチド配列にアミノ基が導入されている場合には、アミノ基とカルボキシキル基を介して共有結合を生じる反応によって、第1のプローブを標識高分子担体に結合させることが容易となるため、ポリスチレン系ラテックス中にカルボキシル基を導入したカルボキシ変性ポリスチレン系ラテックスが好ましく、具体的には、カルボキシル基含有ポリスチレンラテックス(固形分4%(w/w)(Duke Scientific社製)やカルボキシル基含有ポリスチレンラテックス(固形分10%(w/w)(Bangs社製)を用いることができる。
具体的には、第1プローブが結合した標識高分子担体である第1プローブ結合標識高分子担体の調製方法としては、例えば、配列番号6,7,11,12,22,23に示されるヌクレオチド配列の5'末端にアミノ基を導入した第1プローブと、カルボキシル基含有ポリスチレンラテックス(Bangs社製)と、水溶性カルボジイミドを50mMのMES(2-Morpholinoethanesulfonic acid、monohydrate)(同仁化学研究所社製)緩衝液中で混合し、ラテックス中のカルボキシル基と第1のプローブのアミノ基とを結合させた後、モノエタノールアミン(和光純薬工業社製)を添加し、さらに反応させ、上記反応液を遠心分離後上清除去し、得られた沈殿に非イオン性の界面活性剤を含むHEPES(2-[4-(2-Hydroxyethyl) -1- piperazinyl] ethanesulfonic acid)(埼京化成社製)緩衝液で洗浄及び再懸濁して調製する方法を挙げることができる。
また、この場合に高分子担体の粒子径の大きさは適宜選択することができるが、メンブレン孔径より小さい粒径から選択されることが好ましく、例えば直径500nm以下の粒子の大きさを選択することができる。また、上記標識高分子担体として、展開支持体の色と識別可能な色を呈する高分子担体を用いてもよく、顔料等を用いて着色した高分子担体を用いることもできる。
つぎに、第2プローブを担持展開した支持体の調製方法としては、展開支持体上の識別可能な所定の位置に第2プローブを固相化する方法を挙げることができ、例えば、5’又は3’末端に付加基を導入した配列番号6,7,11,12,22,23に示されるヌクレオチド配列を有するプローブを展開支持体に固相化させる方法を挙げることができる。上記付加基を導入するDNAの末端は3’末端が好ましい。また、上記付加基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基等を挙げることができるが、例えば、展開支持体がカルボキシル基で修飾されている場合はアミノ基が好ましく、かかる付加基の付加の有無に関わらず、化学合成法等公知の方法を利用して第2のプローブを作製することが可能である。
上記展開支持体としては、ナイロンメンブレンやカルボキシル基修飾ナイロンメンブレン等のナイロンメンブレン誘導体、セルロースメンブレンやニトロセルロースメンブレン等セルロースメンブレン誘導体などを挙げることができるが、上記配列番号6,7,11,12,22,23に示されるヌクレオチド配列にアミノ基が導入されている場合には、アミノ基とカルボキシキル基を介して共有結合を生じる反応によって、第2のプローブを展開支持体上の識別可能な所定の位置に固相化することが容易となるため、カルボキシル基修飾ナイロンメンブレンの使用が好ましい。
第2プローブ担持展開支持体の具体的な調製方法としては、例えば、カルボキシル基修飾ナイロンメンブレンを水溶性カルボジイミドにより処理し、脱イオン水で洗浄して活性化し、かかる活性化したカルボキシル基修飾ナイロンメンブレンに、第2のプローブ配列を有するヌクレオチドを識別可能となるように適宜所定の位置に固相化し、15分間風乾し、その後第2のプローブ配列を有するヌクレオチドが固相化されたカルボキシル基修飾ナイロンメンブレンをTrisベース緩衝液で処理することで活性基を消去し、ヌクレオチドが固相化されたメンブレンを脱イオン水で洗浄して調製する方法を例示することができる。第2プローブ配列を有するヌクレオチドの固相化の態様としては特に制限されず、ライン状でも円形スポット状でもよい。
前記増幅産物を検出する方法としては、展開支持体に担持された第2プローブ及び標識高分子担体結合第1プローブに、増幅した1本鎖核酸をドットハイブリダイゼーション法によりハイブリダイズさせて検出する方法であれば特に制限されないが、あらかじめ第1プローブを標識高分子担体に結合した第1プローブ結合標識高分子担体を保持部に保持させておくことが好ましく、かかる保持部として、ADVANTEC製の吸収パッドを好適に例示することができる。
かかる第1プローブ結合標識高分子担体を保持した展開パッド等からなる保持部を、前記第2プローブ担持展開支持体の他端に順次連結することにより、本発明の検出方法に有利に用いることができる核酸クロマトグラフ用試験片とすることができる。保持部の作製方法としては、第1プローブ配列を有するヌクレオチドが結合している標識高分子担体を保持部に塗布し、乾燥させる方法を例示することができる。
増幅産物を、展開支持体に担持された第2プローブ及び標識高分子担体に結合した第1プローブにハイブリダイズさせて検出する方法としては、例えば、上記核酸クロマトグラフ用試験片を、増幅産物を含む溶液に浸すことで、上記第1プローブ結合標識高分子担体は、上記保持部から展開支持体に浸出し、展開支持体上の第1プローブと対をなす第2プローブが固相化されている所定の位置に達した場合に、かかる所定の位置で、上記増幅産物を一つは固相に結合させて捕獲試薬として使用し、もう一つは標識として検出試薬として用いるようにしたサンドイッチハイブリダイゼーション法によりサンドイッチハイブリダイズすることで捕捉することができる。
ついで、第1プローブ配列を有するヌクレオチドが結合している標識高分子担体が、第2プローブ配列を有するヌクレオチドが展開支持体上の固相化されている位置に達した所定の位置で蓄積することで、所定の位置に現れる着色ラインや着色スポット等の有無を検出像として直接又は蛍光可視化装置などを用いて判定することにより評価することができ、かかる評価により検出対象食中毒菌(セレウリド産生セレウス菌)を検出することができる。なお、上記判定は、簡便性の点で目視判定とすることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔食品試料中のセレウリド産生セレウス菌を、NASBA法を用いて、検出し得るプライマーセットの選択〕
プライマーセットの組み合わせは、表1に記す。リバースプライマー側のヌクレオチドには、その5’末端側に配列番号21のT7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を付加する。表1は、食品試料中のセレウリド産生セレウス菌を、NASBA法を用いて、検出し得るプライマーセットを選別した時のプライマーの組み合わせおよび電気泳動による結果を記した表を示す。
なお、表1において「目的位置のバンド」とは増幅産物の量をあらわしており、○印は「増幅産物の量が十分であること」(目視によるバンド(ライン)の検出有り)を示し、また×印は「目視によるバンド(ライン)の検出なし」を示している。

配列番号1:GGAATCGAAGGGAATATGGCA
配列番号2:CACCAAAGAGGTACGGTCTA
配列番号3:AATCCTTACCCCCTGGTCTA
配列番号4:GGAACAAGATTTCTTGAGGA
配列番号5:CGGTGCTTCTCTTCCAGAAA
配列番号8:GAAAGAACCGTTACTAGGGA
配列番号9:CATACGTAAAGGGAGAGCCA
配列番号10:CTTTCAGCGTCCAAATCTCA
配列番号13:CTGAGACCGTATGGAAAGAA
配列番号14:TTTGGCTACAAGCGTCCCCA
配列番号15:GGGACGCTTGTAGCCAAATTA
配列番号16:TGCAGACGTTCTTCCTGTGA
配列番号17:GATGAGCATGGTAAAACCGA
配列番号18:CGCTGTGTGAACATTTTCGGT
配列番号19:ATTGAGCTTCTACCGCTAGA
配列番号20:CATGTTGAGGAGGTTGGACA
配列番号21:AATTCTAATACGACTCACTATAGGGAG
食品試料としては市販の米飯25gを用い、生理食塩水225mLと共にストマフィルターに入れ、セレウリド産生セレウス菌を加え、ストマッカーで混合させたものを、食品試料の10%乳剤とする。この時のセレウリド産生セレウス菌の量は、食品1gあたり10cfuとした。この食品試料から市販品のExtragenII(東ソー社製)を用いて核酸を抽出し、核酸増幅のための抽出核酸試料とした。
NASBA法による増幅に必要な試薬は、NASBA Amplification キット(カイノス社製)を使用し、NASBA法はそのキットの操作手順に従い実施した。但し、増幅時間は、使用書に記載されている90分ではなく、20分と短くした。増幅産物の検出は、アガロースゲル電気泳動により確認した。具体的には、2%濃度のアガロースゲルを用い、定電圧100Vで40分間、電気泳動した。その他の操作方法等に関しては、Molecular Cloning 第2版に従い実施した。
その結果、プライマーセットとして、(配列番号1、配列番号2)、(配列番号2、配列番号3)、(配列番号4、配列番号5)、(配列番号9、配列番号10)を用いた時、食品試料中の10cfu/gのセレウリド産生セレウス菌を、増幅反応時間が僅か20分で検出することができた。これらプライマーセットによる検出感度は、実施例5で示す既存法に比べ約100倍も高感度であることを示している。また、増幅時間については、従来法に比して1/9になっており、迅速性も著しく向上していることが示された。その中でもフォワードプライマーとしては、配列番号1を用い、リバースプライマーとしては配列番号2を用いた時、NASBA法において最も増幅効率が優れることを見出した(上記の表1参照)。
なお、米飯および米飯以外の食品試料を用いた場合のNASBAによる食品ごとに必要な増幅時間を検証した結果を表2に示す。
〔プローブ結合標識高分子担体の作製〕
オリゴヌクレオチドプローブとカルボキシル基含有ポリスチレンラテックスとを結合させるために、プローブ配列の5’末端にアミノ基を導入した5’末端アミノ基導入オリゴヌクレオチドをDNA合成機により合成した。配列番号6,7、11、12、22、23のプローブ配列を有するヌクレオチドと、カルボキシル基含有ポリスチレンラテックス(Bangs社製)とを、水溶性カルボジイミドを50mMのMES(2-Morpholinoethanesulfonic acid、monohydrate)(同仁化学研究所社製)緩衝液中で混合し、ラテックス中のカルボキシル基とプローブのアミノ基とを結合させた後、モノエタノールアミン(和光純薬工業社製)を添加し、さらに反応させた。上記反応液を遠心分離後上清除去し、得られた沈殿に非イオン性の界面活性剤を含むHEPES(2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1- piperazinyl] ethanesulfonic acid)(埼京化成社製)緩衝液で洗浄及び再懸濁して、プローブ配列を有するヌクレオチドが結合している標識高分子担体が調製され、使用まで4℃にて保存された。
〔プローブ配列を有するオリゴヌクレオチドが、識別可能な所定の位置に固相化された展開支持体の作製〕
オリゴヌクレオチドプローブと、カルボキシル基修飾ナイロンメンブレン(ポール社製)とを結合させるために、プローブ配列の3’末端にアミノ基を導入した3’末端アミノ基導入オリゴヌクレオチドをDNA合成機により合成した。上記メンブレンを水溶性カルボジイミドにより処理し、脱イオン水で洗浄し活性化させた。かかる活性化されたカルボキシル基修飾ナイロンメンブレンに上記3’末端アミノ基導入オリゴヌクレオチド(配列番号6,7、11、12、22、23)の1種類を結合させ、15分間風乾した。風乾されたメンブレンをTrisベース緩衝液で処理し、残存する活性基を除去した後、メンブレンを脱イオン水で洗浄し、再び風乾することで、プローブ配列を有するオリゴヌクレオチドが、識別可能な所定の位置にライン状に固相化された展開支持体が作製された。
〔核酸クロマトグラフ測定用試験片の作製〕
本発明に用いられる核酸クロマトグラフ用試験片を以下のように作製した。プローブ配列を有するヌクレオチドが結合している標識高分子担体を緩衝液に溶解して展開パッド(ADVANTEC社製)に塗布後、乾燥させて保持部とした。上記展開支持体の一端に、上記展開支持体とは重なり合わない部分で保持部を連結した。さらに、該展開支持体の他端に吸収パッド(ADVANTEC社製)を連結し、核酸クロマトグラフ測定用試験片とした。
〔プローブ対の決定〕
配列番号6,7、11、12、22、23のプローブを固相化した展開支持体と、配列番号6,7、11、12、22、23のプローブと結合した標識高分子担体を用いて、核酸クロマトグラフ測定用試験片を作製し、配列番号1と2、または配列番号4と5、または配列番号9と10をプライマーセットとして、核酸増幅したヌクレオチド鎖を使用して、効率よく核酸クロマトグラフで検出し得るプローブの組み合わせを調べた。
その結果、表3に示すように、配列番号6と7、または配列番号11と12、または配列番号22と23のプローブ対では、配列番号7、12,23のヌクレオチドを第1プローブとし、配列番号6、11,22のヌクレオチドを第2プローブとした時、効率よく標的核酸を検出し得る事が判明した。表3は、配列番号1と2、または配列番号4と5、または配列番号9と10をプライマーセットにして核酸増幅させたヌクレオチドを検出するために、核酸クロマトグラフに適したプローブ対を見出す検討結果の表をあらわしている。

配列番号6:TTATACATTTTAATGGCCTATTGTA
配列番号7:CAACGATTAAGTTGGTGACAAGACC
配列番号11:GTATCACACGCAGGGGATTATATTC
配列番号12:GCAGTTGCTTCTCATCCAGTAGGTG
配列番号22:TCTGCAATTAGACGGTGAAGCGTAT
配列番号23:GGTCATAGTATGGGTGCTTTGGCAG
〔多種の食品試料中のセレウリド産生セレウス菌を、NASBA法を用いて検出〕
配列番号1と2をプライマーセットとした。食品試料としては市販の焼き魚、生野菜、煮物、生海産物、焼きそば、スパゲッティを用い、各々25gを生理食塩水225mLと共にストマフィルターに入れ、セレウリド産生セレウス菌を加え、ストマッカーで混合させたものを、食品試料の10%乳剤とする。この時のセレウリド産生セレウス菌の量は、食品1gあたり10cfuとした。この食品試料から市販品のExtragenII(東ソー社製)を用いて核酸を抽出し、核酸増幅のための抽出核酸試料とした。
NASBA法に必要な試薬は、NASBA Amplification キット(カイノス社製)を使用し、NASBA法はそのキットの操作手順に従い実施した。但し、増幅時間は、使用書に記載されている90分ではなく、20分と短くした。増幅後の増幅産物の検出には、第1のプローブとして配列番号7に示されるヌクレオチド配列を、第2プローブとして配列番号6に示されるヌクレオチド配列を用いた核酸クロマトグラフ測定用試験片を用いた。検出ラインは、目視にて行った。
その結果、全ての食品試料からセレウリド産生セレウス菌を検出した。種々の食品を試料とした時のセレウリド産生セレウス菌の検出を実験した結果を表4に示す。
〔特異性試験〕
配列番号1と2のプライマー対および配列番号6と7のプローブ対を用いた場合のセレウリド産生セレウス菌に対する特異性を確認するため、セレウリド産生しないセレウス菌が検出されるか否かを調べた。
セレウス菌の培養は、BactoTM Brain Heart Infusion(Becton
Dickinson社製)を用い、37℃条件下で行った。培養した菌体からの核酸抽出は、ExtragenII(東ソー社製)を用い、その使用書にしたがい実施した。抽出核酸量は、分光光度計を用い波長260nmにおける吸光度より算出した。
この場合、フォワードプライマーとしては、配列番号1に示されるヌクレオチド配列を用い、リバースプライマーとしては、その5’末端側にRNAポリメラーゼプロモーター配列が付加された配列番号2に示されるヌクレオチド配列を用いて、抽出核酸0.1μgを試料として、NASBA増幅を行った。NASBA法に必要な試薬は、NASBA Amplification キット(カイノス社製)を使用し、NASBA法はそのキットの操作手順に従い実施した。但し、増幅時間は、使用書に記載されている90分ではなく、20分と短くした。増幅後における増幅産物の検出には、第1のプローブとして配列番号7に示されるヌクレオチド配列を、第2プローブとして配列番号6に示されるヌクレオチド配列を用いた核酸クロマトグラフ測定用試験片を用いた。検出ラインは、目視にて行った。
その結果、図1にあらわしたように、セレウリド合成酵素遺伝子を保有したセレウリド産生セレウス菌の特異的検出試験により、ストリップ1のほうはセレウリド合成酵素を持たないセレウス菌を、またストリップ2のほうはセレウリド合成酵素遺伝子を保有するセレウス菌から抽出した核酸を試料として用いることにより、NASBA法で増幅したヌクレオチドを検出することができた。このようにセレウリド産生セレウス菌を試料として用いた場合は、核酸クロマトでライン検出されるが、セレウリドを産生しないセレウス菌を試料として用いた場合は、核酸クロマト上にラインは検出されなかった。従って、上記プライマー対およびプローブ対は、セレウリド産生セレウス菌を特異的に検出し得ると判明した。
なお、図1では、ストリップ1は、セレウリド合成酵素を持たないセレウス菌から抽出した核酸を試料として用いて、NASBA法で増幅したヌクレオチドを検出した結果を示し、ストリップ2は、セレウリド合成酵素遺伝子を保有するセレウス菌から抽出した核酸を試料として用いて、NASBA法で増幅したヌクレオチドを検出した結果を示している。
〔特許文献2の方法で、食品試料から直接のセレウリド産生セレウス菌検出〕
試みに既述した特許文献2(特許第4340227号)による方法で食品試料中から直接のセレウリド産生セレウス菌の検出をおこなってみた。この場合、食品試料としては市販の米飯25gを用い、生理食塩水225mLと共にストマフィルターに入れ、セレウリド産生セレウス菌を加え、ストマッカーで混合させたものを、食品試料の10%乳剤とした。この時のセレウリド産生セレウス菌の量は、食品1gあたり10、10、10cfuとした。
この食品試料から市販品のExtragenII(東ソー社製)を用いて核酸を抽出し、核酸増幅のための抽出核酸試料とした。この場合におけるセレウス菌の検出にはBacillus cereus (CRS gene) PCR Detection Kit(タカラバイオ社製)を使用し操作手順に従い実施した。増幅産物の検出は、アガロースゲル電気泳動により確認した。具体的には、2%濃度のアガロースゲルを用い、定電圧100Vで40分間、電気泳動した。その他操作方法等に関しては、Molecular Cloning第2版に従い実施した。
その結果、図2のPCR法を用いて食品中から直接にセレウリド産生セレウス菌を検出する試験において、レーン1には分子量マーカーを、またレーン2〜4にはそれぞれ食品1gあたり10(レーン2)、10(レーン3)、10(レーン4)cfuの菌を接種したサンプルを用いて試験をおこなったところ、特許文献2に記載された従来法のセレウリド産生セレウス菌の検出感度は食品1g当たり10cfu(レーン4)だった。
なお、図2では、レーン1は、分子量マーカーを示し、レーン2-4は、それぞれ食品1g当たり10(レーン2)、10(レーン3)、10(レーン4)cfuの菌を接種したサンプルを示す。
配列番号1:cesD領域を増幅するためのプライマー
配列番号2:cesD領域を増幅するためのプライマー
配列番号3:cesD領域を増幅するためのプライマー
配列番号4:cesT領域を増幅するためのプライマー
配列番号5:cesT領域を増幅するためのプライマー
配列番号6:cesD領域で増幅されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブ
配列番号7:cesD領域で増幅されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブ
配列番号8:cesD領域を増幅するためのプライマー
配列番号9:cesP領域を増幅するためのプライマー
配列番号10:cesP領域を増幅するためのプライマー
配列番号11:cesP領域で増幅されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブ
配列番号12:cesP領域で増幅されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブ
配列番号13:cesA領域で増幅するためのプライマー
配列番号14:cesA領域で増幅するためのプライマー
配列番号15:cesA領域で増幅するためのプライマー
配列番号16:cesA領域で増幅するためのプライマー
配列番号17:cesB領域で増幅するためのプライマー
配列番号18:cesB領域で増幅するためのプライマー
配列番号19:cesT領域で増幅するためのプライマー
配列番号20:cesT領域で増幅するためのプライマー
配列番号21:T7 RNA polymeraseのプロモーター配列
配列番号22:cesT領域で増幅されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブ
配列番号23:cesT領域で増幅されたヌクレオチド鎖を検出するためのプローブ

Claims (11)

  1. 食品中からセレウリド産生セレウス菌を検出するセレウリド産生セレウス菌の検出方法であって、
    セレウリド産生に関わるセレウリド合成酵素遺伝子を含むセレウス菌のcesオペロンを標的遺伝子プライマー及びプローブのうち少なくとも一方として用いることを特徴とするセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  2. 前記セレウス菌のcesオペロンは、cesD領域、cesT領域及びcesP領域のうち少なくとも一の領域の配列であることを特徴とする請求項1に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出法。
  3. 前記配列は、配列番号1、2、3、4、5、9、10であり、配列番号1と2、配列番号2と3、配列番号4と5、配列番号9と10の組み合わせのうちいずれか一の組み合わせを主たるプライマーセットとして用いて遺伝子増幅を行うことを特徴とする請求項2に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  4. 前記遺伝子増幅による遺伝子産物を、配列番号6と7、配列番号11と12、配列番号22と23の組み合わせのうちいずれか一の組み合わせをプローブとして用いて検出することを特徴とする請求項3に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  5. 前記検出において、配列特異的なサンドイッチハイブリダイゼーション法を検出原理とし、核酸クロマトグラフィー法を使用することを特徴とする請求項4に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  6. 前記検出において、セレウリド産生セレウス菌が含まれた食品を試料として抽出された核酸に対して、セレウリド産生セレウス菌の核酸と配列特異的に結合し、NASBA法のプライマーとして用いることができる特定のヌクレオチド配列鎖を含むことを特徴とする請求項4に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  7. 前記特定のヌクレオチド配列鎖と対となり、核酸増幅反応を成し遂げるプライマーとして用いることができるヌクレオチド配列鎖を含むことを特徴とする請求項6に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  8. 標的遺伝子増幅方法がPCR又はNASBAであることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  9. NASBA法で増幅されたヌクレオチド鎖と配列特異的に結合し、その増幅されたヌクレオチド鎖を検出するために用いることのできるヌクレオチド配列鎖を含むセレウリド産生セレウス菌を検出することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のセレウリド産生セレウス菌の検出方法。
  10. 食品中からセレウリド産生セレウス菌を検出するセレウリド産生セレウス菌の検出方法に用いるプライマーであって、
    配列番号1と2、配列番号2と3、配列番号4と5、配列番号9と10の組み合わせのうちいずれか一の組み合わせを主たるプライマーセットとして含むことを特徴とするプライマー。
  11. 食品中からセレウリド産生セレウス菌を検出するセレウリド産生セレウス菌の検出方法に用いるプローブであって、
    配列番号6と7、配列番号11と12、配列番号22と23の組み合わせのうちいずれか一の組み合わせからなることを特徴とするプローブ。



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