JP2014081431A - 撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び、撮影レンズの製造方法 - Google Patents

撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び、撮影レンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な光学性能を有する撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び、この撮影レンズの製造方法を提供する。
【解決手段】カメラ1等の光学機器に搭載される撮影レンズSLは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、を有し、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んで形成され、最も像側に両凹レンズL22を有し、次式の条件を満足する。0.30<yG2/yG1<0.80。yG1:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第1レンズ群G1の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする。yG2:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第2レンズ群G2の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び、撮影レンズの製造方法に関する。
従来、写真用カメラやビデオカメラ等で、Fナンバーが比較的明るく、光学性能が容易に得られるレンズタイプとして、いわゆるガウス型レンズがあり、現在も多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。また近年、このような光学系に対しては、収差性能だけではなく、光学性能を損なう要因の一つであるゴーストやフレアに関する要求も厳しさを増しており、そのためレンズ面に施される反射防止膜にもより高い性能が要求され、要求に応えるべく多層膜設計技術や多層膜成膜技術も進歩を続けている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−072359号公報 特開2000−356704号公報
しかしながら、従来のレンズは十分に高い光学性能を有しているとは言えなかった。それと同時に、このような光学系における光学面からは、ゴーストやフレアとなる反射光が発生しやすいという課題もあった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、ゴーストやフレアをより低減させ、良好な光学性能を有する撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び、この撮影レンズの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る撮影レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、を有し、第1レンズ群および第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んで形成され、最も像側に両凹レンズを有し、次式の条件を満足することを特徴とする。
0.30 < yG2/yG1 < 0.80
但し、
yG1:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第1レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
yG2:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第2レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
また、このような撮影レンズにおいて、反射防止膜は多層膜であり、ウェットプロセスで形成された層は、多層膜を構成する層のうち最も表面側の層であることが好ましい。
また、このような撮影レンズは、ウェットプロセスを用いて形成された層の屈折率をndとしたとき、この屈折率ndは1.30以下であることが好ましい。
また、このような撮影レンズは、開口絞りを有し、反射防止膜が設けられた光学面は、開口絞りから見て凹形状のレンズ面であることが好ましい。
また、このような撮影レンズにおいて、開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、第1レンズ群内のレンズの物体側のレンズ面であることが好ましい。
また、このような撮影レンズにおいて、開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、第1レンズ群内のレンズの像面側のレンズ面であることが好ましい。
また、このような撮影レンズにおいて、反射防止膜が設けられた光学面は、像面から見て凹形状のレンズ面であることが好ましい。
また、このような撮影レンズにおいて、像面から見て凹形状のレンズ面は、第2レンズ群の最も物体側のレンズの、物体側レンズ面であることが好ましい。
また、このような撮影レンズにおいて、第1レンズ群は、物体側より順に、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第1レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第2レンズ及び物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第3レンズを有することが好ましい。
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
(ν1+ν2)/2 > 55
但し、
ν1:第1レンズ群の第1レンズの媒質のd線に対するアッベ数
ν2:第1レンズ群の第2レンズの媒質のd線に対するアッベ数
また、このような撮影レンズにおいて、第2レンズ群は、物体側より順に、正レンズ及び負レンズを貼り合わせた接合レンズを有することが好ましい。
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
1.70 < (n21+n22)/2 < 1.95
但し、
n21:第2レンズ群の正レンズの媒質のd線に対する屈折率
n22:第2レンズ群の負レンズの媒質のd線に対する屈折率
また、このような撮影レンズにおいて、第1レンズ群は、負レンズと正レンズとを貼り合わせた接合レンズを有することが好ましい。
また、このような撮影レンズは、次式の条件を満足することが好ましい。
−0.50 < r1/f < −0.20
但し、
r1:第1レンズ群内の接合レンズの最も物体側の面の曲率半径
f:無限遠合焦時の全系の焦点距離
また、このような撮影レンズは、第1レンズ群内に開口絞りを有することが好ましい。
また、本発明に係る光学機器は、上述の撮影レンズのいずれかを有することを特徴とする。
また、本発明に係る撮影レンズの製造方法は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、を有し、第1レンズ群および第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んで形成する撮影レンズの製造方法であって、最も像側に両凹レンズ配置し、次式の条件を満足するように配置することを特徴とする。
0.30 < yG2/yG1 < 0.80
但し、
yG1:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第1レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
yG2:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第2レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
本発明によれば、ゴーストやフレアをより低減させ、良好な光学性能を有する撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び撮影レンズの製造方法を提供することができる。
第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。 第1実施例に係る撮影レンズの諸収差図であって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は中間撮影距離合焦状態(撮影倍率−0.01倍)を示す。 第1実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図であって、入射した光線が第1番目の反射光発生面と第2番目の反射光発生面で反射する様子の一例を説明する図である。 第2実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。 第2実施例に係る撮影レンズの諸収差図であって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は中間撮影距離合焦状態(撮影倍率−0.01倍)を示す。 第3実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。 第3実施例に係る撮影レンズの諸収差図であって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は中間撮影距離合焦状態(撮影倍率−0.01倍)を示す。 第4実施例に係る撮影レンズのレンズ構成を示す断面図である。 第4実施例に係る撮影レンズの諸収差図であって、(a)は無限遠合焦状態を示し、(b)は中間撮影距離合焦状態(撮影倍率−0.01倍)を示す。 上記撮影レンズを搭載するカメラの断面図である。 上記撮影レンズの製造方法を説明するためのフローチャートである。 反射防止膜の層構造の一例を示す説明図である。 反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性の入射角度依存性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性の入射角度依存性を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る撮影レンズSLは、光軸に沿って、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、を有して構成されている。また、この撮影レンズSLは、最も像側に両凹レンズL22を有することが望ましい。このような構成とすることにより、この撮影レンズSLは、有効径が25mmから30mm程度の大口径レンズとすることができ、鏡筒の小型化と諸収差を良好に補正することができる。また、この撮影レンズSLは、いわゆるガウスタイプのレンズを変形したものである。ガウスタイプでは、開口絞りSの前後にてレンズが略対称の形状をしているため、その対称性により、歪曲収差などの補正が容易となる。
それでは、このような撮影レンズSLを構成するための条件について説明する。まず、この撮影レンズSLは、以下に示す条件式(1)を満足することが望ましい。
0.30 < yG2/yG1 < 0.80 (1)
但し、
yG1:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第1レンズ群G1の
光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
yG2:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第2レンズ群G2の
光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
条件式(1)は、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2の中間撮影距離(撮影倍率−0.01倍)時の合焦における移動比率の適切な範囲を規定するための条件式である。この条件式(1)の下限値を下回ると、第2レンズ群G2単体で発生する倍率色収差が悪化してしまうため好ましくない。なお、本願の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を0.35にすることが好ましい。また、条件式(1)の上限値を上回ると、コマ収差及び像面湾曲が補正過剰になってしまうため好ましくない。なお、本願の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.60にすることが好ましい。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、この反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んでいる。このように構成することで、本実施形態に係る撮影レンズSLは、物体からの光が光学面で反射されて生じるゴーストやフレアをさらに低減することができ、高い結像性能を達成することができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLにおいて、反射防止膜は多層膜であり、ウェットプロセスで形成された層は、多層膜を構成する層のうち最も表面の層であることが好ましい。このようにすれば、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、ウェットプロセスを用いて形成された層の屈折率をndとしたとき、この屈折率ndが1.30以下であることが好ましい。このようにすれば、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、開口絞りSを有し、反射防止膜が設けられた光学面は、開口絞りSから見て凹形状のレンズ面であることが好ましい。光学面のうち開口絞りSから見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このようにすれば、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLの第1レンズ群G1において反射防止膜が設けられた、開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、物体側のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群G1における光学面のうち開口絞りSから見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLの第1レンズ群G1において反射防止膜が設けられた、開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、像面側のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群G1における光学面のうち開口絞りから見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLにおける光学面のうち反射防止膜が設けられた光学面は、像面から見て凹形状のレンズ面であることが好ましい。光学面のうち像面から見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このようにすれば、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLの第1レンズ群G1において反射防止膜が設けられた、像面から見て凹形状のレンズ面は、物体側のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群G1における光学面のうち像面から見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLの第1レンズ群G1において反射防止膜が設けられた、像面から見て凹形状のレンズ面は、像面側のレンズ面であることが好ましい。第1レンズ群G1における光学面のうち像面から見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLの第2レンズ群G2における光学面のうち反射防止膜が設けられた、像面から見て凹形状のレンズ面は、第2レンズ群G2の最も物体側のレンズの、物体側レンズ面であることが好ましい。第2レンズ群G2における光学面のうち像面から見て凹形状のレンズ面で反射光が発生し易いため、このような光学面に反射防止膜を形成することでゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLにおいて、反射防止膜は、ウェットプロセスに限らず、ドライプロセス等により形成しても良い。この際、反射防止膜は屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにすることが好ましい。反射防止膜が、屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにすることで、反射防止膜をドライプロセス等で形成しても、ウェットプロセスを用いた場合と同様の効果を得ることができる。なおこの時、屈折率が1.30以下になる層は、多層膜を構成する層のうち最も表面側の層であることが好ましい。
また、この撮影レンズSLは、第1レンズ群G1が、物体側より順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第1レンズ)L11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第2レンズ)L12、及び、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第3レンズ)L13を有することが望ましい。このような構成とすることにより、無限遠から近距離までの撮影領域において、球面収差と像面湾曲を良好に補正することができる。
また、この撮影レンズSLは、以下に示す条件式(2)を満足することが望ましい。
(ν1+ν2)/2 > 55 (2)
但し、
ν1:第1レンズ群G1の第1レンズL11の媒質のd線に対するアッベ数
ν2:第1レンズ群G1の第2レンズL12の媒質のd線に対するアッベ数
条件式(2)は、第1レンズ群G1の正の屈折力を有するレンズ成分(第1レンズ)L11及び正の屈折力を有するレンズ成分(第2レンズ)L12の分散を規定するための条件式である。条件式(2)を満足することによって、色収差を良好に補正することができる。特に、コマ収差を良好に補正できる。なお本願の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を60にすることが好ましい。
また、この撮影レンズSLは、第2レンズ群G2が、物体側より順に正レンズ(例えば、図1における両凸レンズL21)と上述の両凹レンズ(負レンズ)L22とを貼り合わせた接合レンズCL2を有することが望ましい。このような構成とすることにより、像側に配置されたレンズに色消し効果を持たせ、全体として色収差が補正できる。特にこの構成により、合焦時の色収差の変動を少なくすることができる。またこのように、正レンズL21と負レンズL22とを接合レンズCL2とすることにより、光線の全反射を防ぎ、当該レンズにおいて光線を良好に通すことができる。
また、この撮影レンズSLは、以下に示す条件式(3)を満足することが望ましい。
1.70 < (n21+n22)/2 < 1.95 (3)
但し、
n21:第2レンズ群G2の正レンズL21の媒質のd線に対する屈折率
n22:第2レンズ群G2の負レンズL22の媒質のd線に対する屈折率
条件式(3)は、第2レンズ群G2の正レンズL21と負レンズL22の屈折率を規定するための条件式である。条件式(3)を満足することによって、ペッツバール和の増大を防ぐことができる。なお、本願の効果を確実にするために、条件式(1)の下限値を1.75にすることが好ましい。また、本願の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を1.85にすることが好ましい。
また、この撮影レンズSLは、第1レンズ群G1に負レンズ(例えば図1における両凹レンズL15)と正レンズ(例えば図1における両凸レンズL16)とを貼り合わせた接合レンズCL1を有することが望ましい。このような構成により、像側に配置した接合レンズCL2と同様に色消し効果があり、全体として色収差が補正できる。
また、この撮影レンズSLは、以下に示す条件式(4)を満足することが望ましい。
−0.50 < r1/f < −0.20 (4)
但し、
r1:第1レンズ群G1内の接合レンズCL1の最も物体側の面の曲率半径
f:無限遠合焦時の全系の焦点距離
条件式(4)は、無限遠合焦時のこの撮影レンズSLの全系の焦点距離fに対する第1レンズ群G1内の接合レンズCL1の負レンズ(図1における両凹レンズL15)の物体側の面(図1における第10面)の曲率半径の比を規定するための条件式である。ここで、曲率半径は、物体側に凸の面を正とし、像側に凸の面を負とする。この条件式(4)を満足することによって、像面湾曲の増大を防ぐことができる。なお、本願の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を−0.45にすることが好ましい。また、本願の効果を確実にするために、条件式(4)の上限値を−0.25にすることが好ましい。
また、この撮影レンズSLは、第1レンズ群G1内に開口絞りSを有することが望ましい。このような構成により、コマ収差を良好に補正することができる。
次に、本実施形態に係る撮影レンズSLを備えた光学装置であるカメラを図10に基づいて説明する。このカメラ1は、撮影レンズ2として本実施形態に係る撮影レンズSLを備えたレンズ交換式の所謂ミラーレスカメラである。本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、不図示のOLPF(Optical low pass filter:光学ローパスフィルタ)を介して撮像部3の撮像面上に被写体像を形成する。そして、撮像部3に設けられた光電変換素子により被写体像が光電変換されて被写体の画像が生成される。この画像は、カメラ1に設けられたEVF(Electronic view finder:電子ビューファインダ)4に表示される。これにより撮影者は、EVF4を介して被写体を観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、撮像部3により光電変換された画像が不図示のメモリに記憶される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。なお、本実施形態では、ミラーレスカメラの例を説明したが、カメラ本体にクイックリターンミラーを有しファインダー光学系により被写体を観察する一眼レフタイプのカメラに本実施形態に係る撮影レンズSLを搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
なお、以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
本実施形態では、2群構成の撮影レンズSLを示したが、以上の構成条件等は、3群等の他の群構成にも適用可能である。また、最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。また、レンズ群とは、合焦時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
また、単独または複数のレンズ群、または部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としても良い。この場合、合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。
また、レンズ群または部分レンズ群を光軸に垂直な方向の成分を持つように移動させ、または、光軸を含む面内方向に回転移動(揺動)させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としてもよい。特に、第1レンズ群G1の最も像側のレンズ(例えば、図1におけるL17)を防振レンズ群とするのが好ましい。
また、レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、前述したように、レンズ加工及び組立調整が容易になり、加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を妨げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしても良い。
開口絞りSは、前述のように、第1レンズ群G1中に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
さらに、各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し高コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。
また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、35mmフィルムサイズ換算での焦点距離が、60mmから150mm程度、好ましくは80mmから90mm程度である。また、本実施形態に係る撮影レンズSLは、バックフォーカス(この撮影レンズSLの最も像側のレンズ面から像面Iまでの光軸上の距離)が最も小さい状態で10mmから30mm程度とするのが望ましい。
以下、本実施形態に係る撮影レンズSLの製造方法の概略を、図11を参照して説明する。まず、各レンズを配置してレンズ群G1〜G2をそれぞれ準備する(ステップS100)。また、最も像側に両凹レンズL22を配置する(ステップS200)。さらにまた、各レンズ群G1〜G2が、前述の条件式(1)を満足するように配置する(ステップS300)。
具体的には、本実施形態では、例えば図1に示すように、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL12、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14、両凹レンズL15と両凸レンズL16とを接合した接合レンズCL1、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL17を配置して第1レンズ群G1とし、物体側から順に両凸レンズL21と両凹レンズL22とを接合した接合レンズCL2を配置して第2レンズ群G2とする。このように準備した各レンズ群を上述の手順で配置して撮影レンズSLを製造する。
以下、本願の各実施例を、図面に基づいて説明する。なお、図1、図4、図6及び図8は、各実施例に係る撮影レンズSL(SL1〜SL4)の構成及び屈折力配分を示す断面図である。また、これらの撮影レンズSL1〜SL4の断面図の下部には、無限遠(∞)から近距離物体(至近)に合焦する際の各レンズ群G1〜G2の光軸に沿った移動方向が矢印で示されている。また、図1、図4、図6及び図8に示すように、第1〜第4実施例に係る撮影レンズSL1〜SL4は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、から構成されている。そして、無限遠から近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2を別々に物体側に繰出すことにより行われる。すなわち、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が増大し、バックフォーカスが増大するように、第1及び第2レンズ群G1,G2が光軸に沿って物体側に移動する。また、開口絞りSは第1レンズ群G1中に配置され、合焦に際し、この第1レンズ群G1とともに移動する。
〔第1実施例〕
図1は、第1実施例に係る撮影レンズSL1の構成を示す図である。この図1に示す撮影レンズSL1において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第1レンズ)L11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第2レンズ)L12、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第3レンズ)L13、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14、両凹レンズL15と両凸レンズL16とを接合した接合レンズCL1、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL17から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に両凸レンズ(正レンズ)L21と両凹レンズ(負レンズ)L22とを接合した接合レンズCL2から構成されている。また、開口絞りSは、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL14と両凹レンズL15との間に配置されている。なお、この撮影レンズSL1と像面Iとの間には、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等から構成されるフィルター群FLが配置されている。像面Iは、撮像素子(例えば、フィルム、CCD、CMOS等)に結像される。
また、本第1実施例に係る撮影レンズSL1は、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL17の物体側レンズ面(面番号13)に、後述する反射防止膜が形成されている。
以下の表1に第1実施例の諸元の値を掲げる。この表1において、全体諸元に示すfは焦点距離、FNoはFナンバー、2ωは画角[°]、Yは像高、TLは全長をそれぞれ表している。なお、これらの値は無限遠合焦時のものである。また、全長TLは、撮影レンズSL1の最も物体側のレンズ面(第1面)から像面Iまでの光軸上の距離である。さらに、レンズデータに示す面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、面間隔は各光学面から次の光学面までの光軸上の間隔を、屈折率及びアッベ数はそれぞれd線(λ=587.6nm)に対する値を示している。なお、表1に示す面番号1〜23は図1に示す番号1〜23に対応している。また、レンズ群焦点距離は第1〜第2レンズ群G1〜G2の各々の始面と焦点距離を示している。ここで、以下の全ての諸元表において掲載されている焦点距離、曲率半径、面間隔、その他長さの単位は一般に「mm」が使われるが、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。なお、曲率半径の「0.0000」は平面又は開口を示している。また、空気の屈折率「1.00000」の記載は省略している。またこれらの符号の説明及び諸元表の説明は以降の実施例においても同様である。
(表1)第1実施例
[全体諸元]
f = 32.4
FNo= 1.24
2ω = 26.19
像高 = 8.19
TL = 52.60

[レンズデータ]
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd
物面 ∞ ∞
1 33.0214 4.40 1.6968 55.52
2 637.5014 0.10
3 18.2318 4.00 1.6030 65.44
4 25.6174 0.10
5 20.9000 3.10 1.7950 45.31
6 30.0000 0.90
7 55.2655 1.20 1.7174 29.57
8 10.8367 5.20
9 0.0000 4.70 開口絞りS
10 -12.2930 1.20 1.6727 32.19
11 85.0000 4.00 1.8830 40.66
12 -19.6365 0.30
13 -49.0000 2.10 1.7725 49.62
14 -23.4000 (d14)
15 30.8466 4.10 1.8348 42.73
16 -38.7000 1.20 1.7552 27.57
17 85.2086 (d17)
18 0.0000 0.50 1.5168 63.88
19 0.0000 1.11
20 0.0000 1.59 1.5168 63.88
21 0.0000 0.30
22 0.0000 0.70 1.5168 63.88
23 0.0000 0.70
像面 ∞

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 51.86
第2レンズ群 15 47.97
また、上述したように、この第1実施例に係る撮影レンズSL1において、無限遠物体から近距離物体への合焦に際し、第1レンズ群G1及び第2レンズ群G2が光軸上を移動するため、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d14、第2レンズ群G2とフィルター群FLとの軸上空気間隔d17、及び、バックフォーカスBfが変化する。次の表2に、無限遠合焦状態、中間撮影距離合焦状態、及び、近距離合焦状態における可変間隔を示す。なお、この表2において、中間撮影距離は撮影倍率−0.01倍の撮影距離、近撮影距離は撮影倍率−0.07倍の撮影距離である。また、バックフォーカスBfは第2レンズ群G2の最も像側のレンズ面(第17面)から像面Iまでの光軸上の距離を表している。この説明は以降の実施例においても同様である。
(表2)
レンズ状態 無限遠 中間距離 近距離
d14 0.90 1.13 2.67
d17 10.20 10.43 11.97
Bf 15.10 15.33 16.87
次の表3に、この第1実施例における各条件式対応値を示す。なおこの表3において、yG1は無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第1レンズ群G1の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とし、yG2は無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの第2レンズ群G2の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする。また、ν1は第1レンズ群G1の第1レンズL11の媒質のd線に対するアッベ数を、ν2は第1レンズ群G1の第2レンズL12の媒質のd線に対するアッベ数を、n21は第2レンズ群G2の正レンズL21の媒質のd線に対する屈折率を、n22は第2レンズ群G2の負レンズL22の媒質のd線に対する屈折率をそれぞれ表している。これらの符号の説明は以降の実施例においても同様である。
(表3)
yG1=‐0.47
yG2=‐0.23
ν1=55.52
ν2=65.44
n21=1.8348
n22=1.7552
(1)yG2/yG1=0.50
(2)(ν1+ν2)/2=60.48
(3)(n21+n22)/2=1.795
(4)r1/f=‐0.38
このように、この第1実施例に係る撮影レンズSL1は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
この第1実施例に係る撮影レンズSL1の無限遠合焦状態における諸収差図を図2(a)に示し、中間撮影距離状態(撮影距離−0.01)における諸収差図を図2(b)に示す。各収差図において、dはd線(波長587.6nm)、gはg線(波長435.8nm)に対する収差を表す。また、記載のないものはd線に対する収差を表す。また、非点収差図中の実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示し、FNOはFナンバー、NAは開口数、Yは像高(単位:mm)、H0は物体高(単位:mm)を示す。また、コマ収差図は、各入射角において、実線はd線及びg線に対するメリジオナルコマ収差を示す、なお、この収差図の説明は以降の実施例においても同様である。この第1実施例において、各収差図から明らかなように、各合焦状態において諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることは明らかである。
図3は、上記第1実施例と同様の構成の撮影レンズであって、入射した光線が第1番目の反射面と第2番目の反射面で反射して像面Iにゴーストやフレアを形成する様子の一例を示す図である。
図3において、物体側からの光線BMが図示のように撮影レンズに入射すると、正メニスカスレンズL17における物体側のレンズ面(第1番目の反射光の発生面でありその面番号は13)で反射し、その反射光は両凹レンズL15における物体側のレンズ面(第2番目の反射光の発生面でありその面番号は10)で再度反射して像面Iに到達し、ゴーストおよびフレアを発生させてしまう。なお、第1番目の反射光の発生面13は、開口絞りSから見て凹形状のレンズ面、第2番目の反射光の発生面10は開口絞りSから見て凹形状のレンズ面である。このような面に、より広い波長範囲で広入射角に対応した反射防止膜を形成することで、ゴーストおよびフレアを効果的に低減させることができる。なお、反射防止膜の作用、効果は、以降の実施例でも同様であり、個別の詳細な説明を省略する。
〔第2実施例〕
図4は、第2実施例に係る撮影レンズSL2の構成を示す図である。この図4に示す撮影レンズSL2において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第1レンズ)L11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第2レンズ)L12、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第3レンズ)L13、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14、両凹レンズL15と両凸レンズL16とを接合した接合レンズCL1、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL17から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に両凸レンズ(正レンズ)L21と両凹レンズ(負レンズ)L22とを接合した接合レンズCL2から構成されている。また、開口絞りSは、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL14と両凹レンズL15との間に配置されている。なお、この撮影レンズSL2と像面Iとの間には、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等から構成されるフィルター群FLが配置されている。像面Iは、撮像素子(例えば、フィルム、CCD、CMOS等)に結像される。
また、本第2実施例に係る撮影レンズSL2は、第1レンズ群G1の両凹レンズL15の物体側レンズ面(面番号10)と、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL17の物体側レンズ面(面番号13)に、後述する反射防止膜が形成されている。
以下の表4に第2実施例の諸元の値を掲げる。なお、表4に示す面番号1〜23は図3に示す番号1〜23に対応している。
(表4)第2実施例
[全体諸元]
f = 32.5
FNo= 1.24
2ω = 26.27
像高 = 8.10
TL = 52.80

[レンズデータ]
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd
物面 ∞ ∞
1 37.4072 4.00 1.6968 55.52
2 836.3694 0.20
3 17.3000 4.30 1.5932 67.90
4 22.6987 0.20
5 19.2229 2.80 1.8040 46.60
6 28.5771 0.90
7 50.1939 1.30 1.6990 30.13
8 10.6967 5.20
9 0.0000 4.60 開口絞りS
10 -13.9566 1.20 1.6990 30.13
11 36.8866 4.40 1.9027 35.73
12 -20.9635 0.20
13 -69.0000 2.10 1.7725 49.62
14 -31.0000 (d14)
15 29.7061 4.20 1.8830 40.66
16 -45.6954 1.30 1.8052 25.45
17 62.4328 (d17)
18 0.0000 0.50 1.5168 63.88
19 0.0000 1.11
20 0.0000 1.59 1.5168 63.88
21 0.0000 0.30
22 0.0000 0.70 1.5168 63.88
23 0.0000 0.70
像面 ∞

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 51.23
第2レンズ群 15 51.11
この第2実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d14、第2レンズ群G2とフィルター群FLとの軸上空気間隔d17、及び、バックフォーカスBfは、合焦に際して変化する。次の表5に無限遠合焦状態、中間距離合焦状態、近距離合焦状態における各群間隔を示す。
(表5)
レンズ状態 無限遠 中間距離 近距離
d14 0.80 1.05 3.21
d17 10.20 10.42 11.74
Bf 15.10 15.32 16.64
次の表6に、この第2実施例における各条件式対応値を示す。
(表6)
yG1=‐0.48
yG2=‐0.22
ν1=55.52
ν2=67.90
n21=1.8830
n22=1.8052
(1)yG2/yG1=0.47
(2)(ν1+ν2)/2=61.71
(3)(n21+n22)/2=1.84409
(4)r1/f=‐0.43
このように、この第2実施例に係る撮影レンズSL2は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
この第2実施例に係る撮影レンズSL2の無限遠合焦状態における諸収差図を図5(a)に示し、中間撮影距離状態(撮影距離−0.01)における諸収差図を図5(b)に示す。この第2実施例において、各収差図から明らかなように、各合焦状態において諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることは明らかである。
[第3実施例]
図6は、第3実施例に係る撮影レンズSL3の構成を示す図である。この図6に示す撮影レンズSL3において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第1レンズ)L11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第2レンズ)L12、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第3レンズ)L13、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL15と物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL16とを接合した接合レンズCL1、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL17から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に両凸レンズ(正レンズ)L21と両凹レンズ(負レンズ)L22とを接合した接合レンズCL2から構成されている。また、開口絞りSは、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL14と負メニスカスレンズL15との間に配置されている。なお、この撮影レンズSL3と像面Iとの間には、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等から構成されるフィルター群FLが配置されている。像面Iは、撮像素子(例えば、フィルム、CCD、CMOS等)に結像される。
また、本第3実施例に係る撮影レンズSL3は、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL15の物体側レンズ面(面番号10)と、第2レンズ群G2の両凸レンズL21の物体側レンズ面(面番号15)に、後述する反射防止膜が形成されている。
以下の表7に第3実施例の諸元の値を掲げる。なお、表7に示す面番号1〜23は図6に示す番号1〜23に対応している。
(表7)第3実施例
[全体諸元]
f = 32.0
FNo= 1.24
2ω = 25.87
像高 = 8.10
TL = 57.42

[レンズデータ]
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd
物面 ∞ ∞
1 35.2535 4.80 1.6968 55.52
2 207.9092 0.10
3 30.5964 4.60 1.5932 67.90
4 62.5231 0.10
5 19.6000 4.70 1.8160 46.59
6 23.2000 1.00
7 50.5339 1.60 1.7552 27.57
8 11.9667 4.82
9 0.0000 4.80 開口絞りS
10 -11.6552 1.40 1.6889 31.16
11 -297.7087 4.00 1.9027 35.73
12 -19.5086 0.10
13 -86.7505 3.40 1.7725 49.62
14 -24.9468 (d14)
15 28.9738 4.90 1.8830 40.66
16 -25.0000 1.60 1.7847 25.64
17 65.1950 (d17)
18 0.0000 0.50 1.5168 63.88
19 0.0000 1.11
20 0.0000 1.59 1.5168 63.88
21 0.0000 0.30
22 0.0000 0.70 1.5168 63.88
23 0.0000 0.70
像面 ∞

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 55.36
第2レンズ群 15 42.77
この第3実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d14、第2レンズ群G2とフィルター群FLとの軸上空気間隔d17、及び、バックフォーカスBfは、合焦に際して変化する。次の表8に無限遠合焦状態、中間距離合焦状態、近距離合焦状態における各群間隔を示す。
(表8)
レンズ状態 無限遠 中間距離 近距離
d14 1.20 1.40 3.41
d17 9.40 9.65 11.07
Bf 14.30 14.55 15.97
次の表9に、この第3実施例における各条件式対応値を示す。
(表9)
yG1=‐0.45
yG2=‐0.25
ν1=55.52
ν2=67.90
n21=1.8330
n22=1.7847
(1)yG2/yG1=0.56
(2)(ν1+ν2)/2=61.71
(3)(n21+n22)/2=1.83386
(4)r1/f=‐0.36
このように、この第3実施例に係る撮影レンズSL3は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
この第3実施例に係る撮影レンズSL3の無限遠合焦状態における諸収差図を図7(a)に示し、中間撮影距離状態(撮影距離−0.01)における諸収差図を図7(b)に示す。この第3実施例において、各収差図から明らかなように、各合焦状態において諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることは明らかである。
[第4実施例]
図8は、第4実施例に係る撮影レンズSL4の構成を示す図である。この図8に示す撮影レンズSL4において、第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第1レンズ)L11、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第2レンズ)L12、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズ(第3レンズ)L13、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL14、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL15、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL16と物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL17とを接合した接合レンズCL1、及び、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL18から構成されている。また、第2レンズ群G2は、物体側から順に両凸レンズ(正レンズ)L21と両凹レンズ(負レンズ)L22とを接合した接合レンズCL2から構成されている。また、開口絞りSは、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL14と負メニスカスレンズL15との間に配置されている。なお、この撮影レンズSL4と像面Iとの間には、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等から構成されるフィルター群FLが配置されている。像面Iは、撮像素子(例えば、フィルム、CCD、CMOS等)に結像される。
また、本第4実施例に係る撮影レンズSL4は、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL15の像面側レンズ面(面番号11)と、第2レンズ群G2の両凸レンズL21の物体側レンズ面(面番号17)に、後述する反射防止膜が形成されている。
以下の表10に第4実施例の諸元の値を掲げる。なお、表10に示す面番号1〜25は図8に示す番号1〜25に対応している。
(表10)第4実施例
[全体諸元]
f = 32.0
FNo= 1.24
2ω = 25.87
像高 = 8.50
TL = 63.30

[レンズデータ]
面番号 曲率半径 面間隔 nd νd
物面 ∞ ∞
1 60.8267 4.00 1.6700 57.35
2 277.1265 0.20
3 30.3043 4.20 1.5932 67.90
4 59.9054 0.10
5 17.2779 4.20 1.8160 46.59
6 23.1790 1.00
7 20.5316 1.40 1.7283 28.38
8 10.1672 6.50
9 0.0000 3.00 開口絞りS
10 27.5450 1.50 1.7880 47.35
11 18.4146 5.00
12 -9.5880 1.40 1.6990 30.13
13 -333.6252 3.70 1.8830 40.80
14 -14.2548 0.10
15 -121.4866 3.20 1.7550 52.34
16 -27.8996 (d16)
17 34.7780 5.70 1.8830 40.66
18 -23.0692 1.40 1.7552 27.57
19 105.7386 (d19)
20 0.0000 0.50 1.5168 63.88
21 0.0000 1.11
22 0.0000 1.59 1.5168 63.88
23 0.0000 0.30
24 0.0000 0.70 1.5168 63.88
25 0.0000 0.64
像面 ∞

[レンズ群焦点距離]
レンズ群 始面 焦点距離
第1レンズ群 1 58.14
第2レンズ群 17 41.52
この第4実施例において、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上空気間隔d16及び第2レンズ群G2とフィルター群FLとの軸上空気間隔d19、及び、バックフォーカスBfは、合焦に際して変化する。次の表11に無限遠合焦状態、中間距離合焦状態、近距離合焦状態における各群間隔を示す。
(表11)
レンズ状態 無限遠 中間距離 近距離
d16 1.28 1.64 3.59
d19 10.52 10.72 12.19
Bf 15.36 15.56 17.03
次の表12に、この第4実施例における各条件式対応値を示す。
(表12)
yG1=‐0.57
yG2=‐0.21
ν1=57.35
ν2=67.90
n21=1.8830
n22=1.7552
r1=‐9.5880
(1)yG2/yG1=0.37
(2)(ν1+ν2)/2=62.625
(3)(n21+n22)/2=1.8191
(4)r1/f=‐0.30
このように、この第4実施例に係る撮影レンズSL4は、上記条件式(1)〜(4)を全て満足している。
この第4実施例に係る撮影レンズSL4の無限遠合焦状態における諸収差図を図9(a)に示し、中間撮影距離状態(撮影距離−0.01)における諸収差図を図9(b)に示す。この第4実施例において、各収差図から明らかなように、各合焦状態において諸収差が良好に補正されており、高い光学性能を有していることは明らかである。
ここで、本願の実施形態に係る撮影レンズSLに用いられる反射防止膜(多層広帯域反射防止膜とも言う)について説明する。図12は、反射防止膜の膜構成の一例を示す図である。この反射防止膜101は7層からなり、レンズ等の光学部材102の光学面に形成される。第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。また、この第1層101aの上に更に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。さらに、この第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、この第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。またさらに、この第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、この第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。
そして、このようにして形成された第6層101fの上に、ウェットプロセスによりフッ化マグネシウムとシリカの混合物からなる第7層101gが形成されて本実施形態の反射防止膜101が形成される。第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾル−ゲル法を用いている。ゾル−ゲル法とは、原料を混合することにより得られたゾルを、加水分解・重縮合反応などにより流動性のないゲルとし、このゲルを加熱・分解して生成物を得る方法であり、光学薄膜の作製においては、光学部材の光学面上に光学薄膜材料ゾルを塗布し、乾燥固化によりゲル膜とすることで膜を生成することができる。なお、ウェットプロセスとして、ゾル−ゲル法に限らず、ゲル状態を経ないで固体膜を得る方法を用いるようにしてもよい。
このように、この反射防止膜101の第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最上層である第7層101gは、フッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより以下の手順で形成されている。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にシリコンアルコキシドを加えたものをスピンコート法により塗布することにより、第7層101gとなるフッ化マグネシウムとシリカの混合物からなる層を形成する。フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の式(a)に示す。
2HF+Mg(CH3COO)2→MgF2+2CH3COOH (a)
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。この光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。このようなゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmの粒子が空隙を残して堆積することにより第7層101gが形成される。
このようにして形成された反射防止膜101を有する光学部材の光学的性能について図13に示す分光特性を用いて説明する。
本実施形態に係る反射防止膜を有する光学部材(レンズ)は、以下の表13に示す条件で形成されている。ここで表13は、基準波長をλとし、基板(光学部材)の屈折率が1.62、1.74及び1.85について反射防止膜101の各層101a(第1層)〜101g(第7層)の光学膜厚をそれぞれ求めたものである。なお、表13では、酸化アルミニウムをAl2O3、酸化チタンと酸化ジルコニウム混合物をZrO2+TiO2、フッ化マグネシウムとシリカの混合物をMgF2+SiO2とそれぞれ表している。
(表13)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 MgF2+SiO2 1.26 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.127λ 0.13λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.122λ 0.107λ 0.08λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0.257λ 0.03λ 0.03λ
基板の屈折率 1.62 1.74 1.85
図13は、表13において基準波長λを550nmとして反射防止膜101の各層の光学膜厚を設計した光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を表している。
図13から、基準波長λを550nmで設計した反射防止膜101を有する光学部材は、光線の波長が420nm〜720nmの全域で反射率を0.2%以下に抑えられることが判る。また、表13において基準波長λをd線(波長587.6nm)として各光学膜厚を設計した反射防止膜101を有する光学部材でも、その分光特性にはほとんど影響せず、図13に示す基準波長λが550nmの場合とほぼ同等の分光特性を有する。
次に、本反射防止膜の変形例について説明する。この反射防止膜は5層からなり、表13と同様、以下の表14で示される条件で基準波長λに対する各層の光学膜厚が設計される。本変形例では、第5層の形成に前述のゾル−ゲル法を用いている。
(表14)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第5層 MgF2+SiO2 1.26 0.275λ 0.269λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.043λ
第3層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.217λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.066λ
第1層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.290λ
基板の屈折率 1.46 1.52
図14は、表14において、基板の屈折率が1.52及び基準波長λを550nmとして各光学膜厚を設計した反射防止膜を有する光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を示している。図14から本変形例の反射防止膜は、光線の波長が420nm〜720nmの全域で反射率が0.2%以下に抑えられることがわかる。なお、表14において基準波長λをd線(波長587.6nm)として各光学膜厚を設計した反射防止膜を有する光学部材でも、その分光特性にはほとんど影響せず、図14に示す分光特性とほぼ同等の特性を有する。
図15は、図14に示す分光特性を有する光学部材への光線の入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性をそれぞれ示す。なお、図14、図15には表14に示す基板の屈折率が1.46の反射防止膜を有する光学部材の分光特性が図示されていないが、基板の屈折率が1.52とほぼ同等の分光特性を有していることは言うまでもない。
また比較のため、図16に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜した反射防止膜の一例を示す。図16は、表14と同じ基板の屈折率1.52に以下の表15で示される条件で構成される反射防止膜を設計した光学部材に光線が垂直入射する時の分光特性を示す。また、図17は、図16に示す分光特性を有する光学部材への光線の入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性をそれぞれ示す。
(表15)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 MgF2 1.39 0.243λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.119λ
第5層 Al2O3 1.65 0.057λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.220λ
第3層 Al2O3 1.65 0.064λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0.057λ
第1層 Al2O3 1.65 0.193λ
基板の屈折率 1.52
図13〜図15で示される本実施形態に係る反射防止膜を有する光学部材の分光特性を、図16および図17で示される従来例の分光特性と比較すると、本実施形態に係る反射防止膜はいずれの入射角においてもより低い反射率を有し、しかもより広い帯域で低い反射率を有することが良くわかる。
次に、本願の第1実施例から第4実施例に、上記表13および表14に示す反射防止膜を適用した例について説明する。
本第1実施例の撮影レンズSL1において、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL17の屈折率は、表1に示すように、nd=1.7725であるため、正メニスカスレンズL17における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表13参照)を用いることでレンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
本第2実施例の撮影レンズSL2において、第1レンズ群G1の両凹レンズL15の屈折率は、表4に示すように、nd=1.6990であり、第1レンズ群G1の正メニスカスレンズL17の屈折率は、nd=1.7725であるため、両凹レンズL15における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表13参照)を用い、正メニスカスレンズL17における物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表13参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
本第3実施例の撮影レンズSL3において、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL15の屈折率は、表7に示すように、nd=1.6889であり、第2レンズ群G2の両凸レンズL21の屈折率は、nd=1.8830であるため、負メニスカスレンズL15における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表13参照)を用い、両凸レンズL21における物体側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜101(表13参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
本第4実施例の撮影レンズSL4において、第1レンズ群G1の負メニスカスレンズL15の屈折率は、表10に示すように、nd=1.7880であるため、負メニスカスレンズL15における物体側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表13参照)を用い、負メニスカスレンズL15における像面側のレンズ面に、基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜101(表13参照)を用いることで各レンズ面からの反射光を少なくでき、ゴーストやフレアを低減することができる。
なお、本反射防止膜は、平行平面の光学面に設けて光学素子として利用することも可能であるし、曲面状に形成されたレンズの光学面に設けて利用することも可能である。
なお、以上の各実施例に示す撮影レンズSL1〜SL4を、上述したカメラ1に搭載することにより、上述した効果を奏することは言うまでもない。また、上記各実施例は本発明の一具体例を示しているものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
SL(SL1〜SL4) 撮影レンズ
G1 第1レンズ群 L11 第1レンズ L12 第2レンズ
G2 第2レンズ群 L21 正レンズ L22 両凹レンズ(負レンズ)
S 開口絞り 1 カメラ(光学機器) I 像面 101 反射防止膜
101a 第1層 101b 第2層 101c 第3層
101d 第4層 101e 第5層 101f 第6層
101g 第7層 102 光学部材

Claims (19)

  1. 物体側より順に、
    正の屈折力を有する第1レンズ群と、
    正の屈折力を有する第2レンズ群と、を有し、
    前記第1レンズ群から前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んで形成され、
    最も像側に両凹レンズを有し、
    次式の条件を満足することを特徴とする撮影レンズ。
    0.30 < yG2/yG1 < 0.80
    但し、
    yG1:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの前記第1レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
    yG2:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの前記第2レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
  2. 前記反射防止膜は多層膜であり、
    前記ウェットプロセスで形成された層は、前記多層膜を構成する層のうち最も表面側の層であることを特徴とする請求項1に記載の撮影レンズ。
  3. 前記ウェットプロセスを用いて形成された層の屈折率をndとしたとき、前記屈折率ndは1.30以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮影レンズ。
  4. 開口絞りを有し、
    前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、前記開口絞りから見て凹形状のレンズ面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  5. 前記開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの物体側のレンズ面であることを特徴とする請求項4に記載の撮影レンズ。
  6. 前記開口絞りから見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの像面側のレンズ面であることを特徴とする請求項4に記載の撮影レンズ。
  7. 前記反射防止膜が設けられた前記光学面は、像面から見て凹形状のレンズ面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  8. 前記像面から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの物体側のレンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の撮影レンズ。
  9. 前記像面から見て凹形状のレンズ面は、前記第1レンズ群内のレンズの像面側のレンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の撮影レンズ。
  10. 前記像面から見て凹形状のレンズ面は、前記第2レンズ群内のレンズの、最も物体側のレンズの、物体側のレンズ面であることを特徴とする請求項7に記載の撮影レンズ。
  11. 前記第1レンズ群は、物体側より順に、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第1レンズ、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第2レンズ及び物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第3レンズを有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  12. 次式の条件を満足することを特徴とする請求項11に記載の撮影レンズ。
    (ν1+ν2)/2 > 55
    但し、
    ν1:前記第1レンズ群の前記第1レンズの媒質のd線に対するアッベ数
    ν2:前記第1レンズ群の前記第2レンズの媒質のd線に対するアッベ数
  13. 前記第2レンズ群は、物体側より順に、正レンズ及び前記負レンズを貼り合わせた接合レンズを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  14. 次式の条件を満足することを特徴とする請求項13に記載の撮影レンズ。
    1.70 < (n21+n22)/2 < 1.95
    但し、
    n21:前記第2レンズ群の前記正レンズの媒質のd線に対する屈折率
    n22:前記第2レンズ群の前記負レンズの媒質のd線に対する屈折率
  15. 前記第1レンズ群は、負レンズと正レンズとを貼り合わせた接合レンズを有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  16. 次式の条件を満足することを特徴とする請求項15に記載の撮影レンズ。
    −0.50 < r1/f < −0.20
    但し、
    r1:前記第1レンズ群内の前記接合レンズの最も物体側の面の曲率半径
    f:無限遠合焦時の全系の焦点距離
  17. 前記第1レンズ群内に開口絞りを有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の撮影レンズ。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の撮影レンズを有することを特徴とする光学機器。
  19. 物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、を有し、前記第1レンズ群および前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に反射防止膜が設けられ、前記反射防止膜はウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んで形成する撮影レンズの製造方法であって、
    最も像側に両凹レンズ配置し、
    次式の条件を満足するように配置することを特徴とする撮影レンズの製造方法。
    0.30 < yG2/yG1 < 0.80
    但し、
    yG1:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの前記第1レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
    yG2:無限遠から撮影倍率−0.01倍に合焦するときの前記第2レンズ群の光軸上の移動量を表し、物体側へ移動するときを負の値とする
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