JP5422895B2 - レンズ系及びこれを有する光学装置 - Google Patents

レンズ系及びこれを有する光学装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5422895B2
JP5422895B2 JP2008035987A JP2008035987A JP5422895B2 JP 5422895 B2 JP5422895 B2 JP 5422895B2 JP 2008035987 A JP2008035987 A JP 2008035987A JP 2008035987 A JP2008035987 A JP 2008035987A JP 5422895 B2 JP5422895 B2 JP 5422895B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
lens system
object side
refractive power
image side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008035987A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009192996A (ja
Inventor
一政 田中
昭彦 小濱
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2008035987A priority Critical patent/JP5422895B2/ja
Publication of JP2009192996A publication Critical patent/JP2009192996A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5422895B2 publication Critical patent/JP5422895B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、一眼レフカメラ用交換レンズや複写用レンズなどに好適なレンズ系及びこれを有する光学装置に関する。
従来、一眼レフカメラ用交換レンズや複写用レンズなどに用いられるレンズ系として、所謂ダブルガウス型レンズ系が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
近年では、上記のようなダブルガウス型レンズに対しては、収差性能だけではなく、光学性能を損なう要因の一つであるゴーストやフレアに関する要求も厳しさを増しており、そのためレンズ面に施される反射防止膜にもより高い性能が要求され、要求に応えるべく多層膜設計技術や多層膜成膜技術も進歩を続けている(例えば、特許文献2参照)。
特公昭58−57725号公報 特開2000−356704号公報
しかしながら、従来のダブルガウス型レンズ系では、球面収差、像面湾曲、歪曲収差などは良好に補正されているものの、特に絞り開放時に見られるガウス型レンズ系特有のサジタルコマ収差が大きく残存し、十分に高い光学性能を有しているとは言えなかった。また、このようなガウス型レンズ系における光学面からは、ゴーストやフレアとなる反射光が発生しやすいという問題もあった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、諸収差が良好に補正され、ゴーストやフレアをより低減させた、高い光学性能を持つレンズ系及びこれを有する光学装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明のレンズ系は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を持つ第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群からなり、前記第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第21レンズと、正の屈折力を持つ第22レンズと、正の屈折力を持つ第23レンズと、第2Lレンズとの実質的に4個のレンズからなり、前記レンズ系は、ガラス材料と樹脂材料の複合からなる複合型非球面レンズを含み、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を設け、前記第23レンズの像側の面の曲率半径をr23bとし、前記第2Lレンズの像側の面の曲率半径をr2Lbとしたとき、次式0.745≦r23b/r2Lb<1.000の条件を満足する
また、本発明の光学装置は、上記レンズ系を有することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、諸収差が良好に補正され、ゴーストやフレアをより低減させた、高い光学性能を持つレンズ系及びこれを有する光学装置を提供することができる。
以下、好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、撮影レンズ2として本実施形態に係るレンズ系を備えたデジタル一眼レフカメラ1(光学装置)において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして、焦点板4に結像された光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へと導かれる。これにより、撮影者は、物体(被写体)像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、さらにフォーカルプレーンシャッター8も光路外へ退避し、撮影レンズ2で集光された不図示の物体(被写体)の光は、撮像素子7上に到達する。これにより、不図示の物体(被写体)からの光は、撮像素子7により撮像され、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者はカメラ1による物体(被写体)の撮影を行うことができる。
上記のように、撮影レンズ2として用いられている、本実施形態に係るレンズ系は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群と、正の屈折力を持つ第2レンズ群とを有するレンズ系において、第1レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持ち、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ第11レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズとを有し、第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第21レンズと、正の屈折力を持つ第22レンズと、正の屈折力を持つ第23レンズとを有する構成である。この構成により、所謂対称型のダブルガウス型の屈折力配置を実現し、歪曲収差を良好に補正するとともに、球面収差と像面湾曲を補正している。
上記構成である本実施形態とは異なり、非球面レンズを有さないダブルガウス型レンズ系においては、レンズ系内で発生する負の球面収差の補正を、第21レンズの物体側の面の曲率を大きく(曲率半径を小さく)することで行うが、一方で曲率を大きくした第21レンズの物体側の面はサジタルコマ収差を大きく発生させていた。
なお、本実施形態の説明において、曲率、曲率半径及び屈折力の大小は、絶対値での大小を示すものとする。
そこで、本実施形態に係るレンズ系では、ガラス材料と樹脂材料の複合からなる複合型非球面レンズを有する構成とすることで、負の球面収差の補正を効率的に行うことが可能となり、その分、第21レンズの物体側の面の曲率を小さくする(すなわち、曲率半径を大きくする)ことができるとともに、サジタルコマ収差を抑えることができるようになっている。なお、本実施形態における非球面レンズは、負の球面収差の発生を抑えられるように、正の屈折力を持ちながら、光軸から離れるに従って正の屈折力が弱くなるような形状の非球面となっている。
また、非球面レンズを、ガラス材料と樹脂材料の複合からなる構成することにより、ガラス材料のみで構成される非球面レンズに比べて製造コストが安くできる。なぜならば、ガラス材料のみで構成される非球面レンズの場合は、非球面の形成のために、球面研磨に比べて時間のかかる非球面精研削を行うか、あるいは同じく時間のかかる500℃程度までの加熱・冷却過程を伴うガラスモールディングを行う必要がある。しかしながら、ガラス材料と樹脂材料の複合からなる複合型非球面レンズの場合は、ガラス材料に比べ流動性のよい樹脂上に非球面を形成することにより、製造時間の短縮化が可能になるため、結果として製造時間要因によるコストを抑えることが可能なためである。さらに、ガラス材料に比べて樹脂材料は転写性がよく、非球面形成が比較的容易に製造しやすいため、製造コストを抑えることができる。
また、本実施形態のレンズ系では、第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を設けて構成されることが好ましい。さらに、この反射防止膜は多層膜であり、その最表面層はウェットプロセスを用いて形成された層であることが好ましい。この構成とすることで、空気との屈折率差を小さくして、光の反射をより小さくすることができるため、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、本実施形態のレンズ系では、前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線における屈折率をndとしたとき、次式nd≦1.30の条件を満足することが好ましい。この条件式を満足することで、空気との屈折率差を小さくすることができるため、光の反射をより小さくすることが可能になり、ゴーストやフレアをさらに低減させることができる。
また、本実施形態のレンズ系では、第1レンズ群と第2レンズ群との間に、開口絞りを配置することが好ましい。この構成により、所謂対称型であるダブルガウス型レンズ系を構成でき、歪曲収差や倍率色収差を効率的に補正して、高い光学性能を実現できる。
また、本実施形態のレンズ系では、反射防止膜が設けられた光学面は、開口絞りから見て凹面であることが好ましい。開口絞りに対して凹面にゴーストが発生し易いため、この構成により、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
あるいは、本実施形態のレンズ系では、反射防止膜が設けられた光学面は、像面から見て凹面であることが好ましい。像面に対して凹面にゴーストが発生し易いため、この構成により、ゴーストやフレアを効果的に低減させることができる。
なお、反射防止膜は、ウェットプロセスに限らず、(ドライプロセス等により)屈折率が1.30以下となる層を少なくとも1層含むようにしてもよい。このように構成しても、ウェットプロセスを用いた場合と同様の効果を得ることができる。ここで、屈折率が1.30以下になる層は、多層膜を構成する層のうち最表面層であることが望ましい。
また、本実施形態のレンズ系では、レンズ系全系の焦点距離をfとし、レンズ系の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をBfとしたとき、次式(1)の条件を満足することが好ましい。
0.60<Bf/f<1.00 …(1)
上記条件式(1)は、一眼レフカメラ用交換レンズや複写用レンズなどに好適な、バックフォーカスを確保し且つ高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(1)の下限値を下回ると、レンズ系の焦点距離に対してバックフォーカスが相対的に短くなりすぎるため、一眼レフカメラ用交換レンズや複写用レンズなどに好適なレンズ系を得ることができない。
一方、条件式(1)の上限値を上回ると、レンズ系の焦点距離に対してバックフォーカスが相対的に長くなりすぎるため、レンズ系の屈折力配置が対称型から大きく離れ、歪曲収差を補正することが困難になるため、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(1)の上限値を0.85にすることが好ましい。
本実施形態のレンズ系では、前記複合型非球面レンズの樹脂材料のd線における屈折率をnPとしたとき、次式(2)の条件を満足することが好ましい。
1.400<nP<1.800 …(2)
上記条件式(2)は、複合型非球面レンズの樹脂材料の屈折率を適度にすることで、本レンズ系が高い光学性能を得るための条件式である。
この条件式(2)の下限値を下回ると、即ち複合型非球面レンズの樹脂材料の屈折率が過度に小さくなると、非球面による効果を十分に得るために、母球面からの非球面乖離量を大きくする必要がある。すると、温度変化や吸湿変化をしやすい樹脂材料においては、非球面乖離量に比例して複合型非球面レンズの樹脂材料の厚さが光軸付近とレンズ周辺部とで大きく異なることになり、球面収差や像面湾曲が大きく変動してしまい、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(2)の下限値を1.450にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(2)の下限値を1.500にすることがより好ましい。
一方、条件式(2)の上限値を上回ると、即ち複合型非球面レンズの樹脂材料の屈折率が過度に高くなると、温度変化や吸湿変化をしやすい樹脂材料において、温度や湿度などの影響を過剰に受けやすくなり、球面収差や像面湾曲が大きく変動してしまい、高い光学性能を実現することができない。
本実施形態のレンズ系では、前記複合型非球面レンズのガラス材料のd線における屈折率をnGとするとき、次式(3)の条件を満足することが好ましい。
nG>1.550 …(3)
上記条件式(3)は、複合型非球面レンズのガラス材料の屈折率を適切にすることで、高い光学性能を得るための条件式である。
この条件式(3)の下限値を下回ると、複合型非球面レンズが正レンズの場合、負の球面収差が大きく発生してしまう。すると、その負の球面収差を補正するために、第21レンズの物体側の面の曲率を大きく(曲率半径を小さく)する必要があり、これにより第21レンズの物体側の面からサジタルコマ収差が大きく発生してしまい、高い光学性能を実現することができない。あるいは、複合型非球面レンズが負レンズの場合、サジタルコマ収差が大きく発生してしまい、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を1.580にすることが好ましい。
また、本実施形態のレンズ系では、前記複合型非球面レンズの樹脂材料面は、最も物体側に配置されるレンズの像側の面から、最も像側に配置される第2Lレンズの物体側の面までの、少なくとも1つのレンズ面に設けられていることが好ましい。これは、樹脂材料はガラス材料に比べ硬度が低いため、樹脂材料面が、仮に第11レンズの物体側の面(最も物体側に位置するレンズ面)や第2Lレンズの像側の面(最も像側に位置するレンズ面)など、使用者が容易に触れることが可能な面であると、樹脂材料の硬度が低いことに起因して、レンズに傷が付き易くなる。レンズに傷がついてしまうと、フレア等の原因となり、高い光学性能が維持できなくなるため、好ましくない。
なお、本実施形態のレンズ系では、(最も像側に配置された)第2Lレンズは、複合型非球面レンズであることが好ましい。本実施形態のようなダブルガウス型レンズ系の場合、最も像側に配置された第2Lレンズを非球面レンズとすることで、効率的に負の球面収差の補正が可能となる。その結果、サジタルコマ収差の発生原因面である、第21レンズの物体側の面の曲率を小さくする(曲率半径を大きくする)ことができるため、サジタルコマ収差の発生を抑えることが可能となり、高い光学性能を得ることができる。
また、本実施形態のレンズ系では、(最も像側に配置された)第2Lレンズのガラス材料のd線における屈折率をn2Lとしたとき、次式(4)の条件を満足することが好ましい。
n2L>1.700 …(4)
上記条件式(4)は、サジタルコマ収差を抑え、高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(4)の下限値を下回ると、第2Lレンズで負の球面収差が大きく発生してしまうため、この負の球面収差を補正するために、第21レンズの物体側の面の曲率を大きく(曲率半径を小さく)する必要がある。その結果、第21レンズの物体側の面からサジタルコマ収差が大きく発生してしまい、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(4)の下限値を1.720にすることが好ましい。
また、本実施形態のレンズ系では、(最も像側に配置された)第2Lレンズのガラス材料のd線における屈折率をn2Lとし、複合型非球面レンズの樹脂材料のd線における屈折率をnPとしたとき、次式(5)の条件を満足することが好ましい。
n2L−nP<0.400 …(5)
上記条件式(5)は、複合型非球面レンズのガラス材料と樹脂材料との境界面で発生する諸収差を抑え、高い光学性能を実現するための条件式である。なお、n2L<nPとしてもよい。
この条件式(5)の上限値を上回ると、複合型非球面レンズのガラス材料と樹脂材料との境界面の屈折率差が大きくなってしまう。すると、その境界面で球面収差、コマ収差及び色収差などが発生するため、高い光学性能を実現することができなくなる。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(5)の上限値を0.300にすることが好ましい。
さらに、本実施形態の効果を確実にするために、上記条件式(5)の下限値を−0.400にすることがより好ましい。但し、条件式(5)の下限値が−0.400を下回ると、複合型非球面レンズのガラス材料と樹脂材料との境界面の屈折率差が大きくなってしまい、その境界面で球面収差やコマ収差、色収差などが発生するため、高い光学性能を実現することができなくなる。
また、本実施形態のレンズ系では、第2レンズ群は、最も物体側に負の屈折力を持つ第21レンズを有し、第21レンズの物体側の面の曲率半径をr21aとし、前記レンズ系全系の焦点距離をfとしたとき、次式(6)の条件を満足することが好ましい。
0.300<(−r21a)/f<0.450 …(6)
上記条件式(6)は、Fナンバーが1.4程度の大口径比レンズ系において、効率的にサジタルコマ収差を抑え、高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(6)の下限値を下回ると、第21レンズの物体側の面でサジタルコマ収差が大きく発生してしまい、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の下限値を0.330にすることが好ましい。
一方、条件式(6)の上限値を上回ると、レンズ系で無限遠から近距離までの合焦時や拡大倍率を変更したときの球面収差と像面湾曲と非点収差の変動が過剰に大きくなり、無限遠から近距離まであるいは広い拡大倍率の変化の範囲において、高い光学性能を維持することができなくなる。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(6)の上限値を0.370にすることが好ましい。
また、本実施形態のレンズ系では、最も像側に配置された第2Lレンズは正の屈折力を持ち、第2レンズ群は、第23レンズの像側に、第2Lレンズのみを配置することが好ましい。このような配置とすることで、レンズ系全体のレンズ枚数を適度に抑えてコストを下げることが可能になるとともに、第23レンズと第2Lレンズとで正の屈折力を配分して負の球面収差の発生を抑えて、Fナンバー1.4程度の大口径比でありながら、高い光学性能を実現したレンズ系を提供することができる。
本実施形態のレンズ系では、第1レンズ群は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を持ち、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力である第11レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズとを有しており、第12レンズの像側に、負の屈折力を有する第13レンズのみを配置することが好ましい。このような配置とすることで、レンズ系全体のレンズ枚数を適度に抑えてコストを下げることが可能になるとともに、負の屈折力を第13レンズと第21レンズで配分して、他のレンズで発生する負の球面収差補正を効率的に行うことが可能になり、高い光学性能を実現することができる。
また、本実施形態のレンズ系では、第13レンズの像側の面の曲率半径をr13bとし、第2レンズ群の最も物体側に位置する第21レンズの物体側の面の曲率半径をr21aとしたとき、次式(7)の条件を満足することが好ましい。
0.900<(−r21a)/r13b<1.100 …(7)
上記条件式(7)は、Fナンバーが1.4程度の大口径比レンズ系において、効率的にサジタルコマ収差を抑え、高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(7)の下限値を下回ると、即ち第21レンズの物体側の面の曲率が第13レンズの像側の面の曲率に比べ過度に大きくなった(曲率半径が小さくなった)場合、第21レンズの物体側の面でサジタルコマ収差が大きく発生してしまい、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の下限値を0.950にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(7)の下限値を0.960にすることがより好ましい。
一方、条件式(7)の上限値を上回ると、即ち第13レンズの像側の面の曲率が、第21レンズの物体側の面の曲率に比べ過度に大きく(曲率半径が小さく)なった場合、第13レンズの像側の面でサジタルコマ収差が大きく発生してしまい、高い光学性能を実現することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(7)の上限値を1.050にすることが好ましい。また、本実施形態の効果をさらに確実にするために、条件式(7)の上限値を1.040にすることがより好ましい。
本実施形態のレンズ系では、第2レンズ群は、物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第21レンズと、正の屈折力を持つ第22レンズと、正の屈折力を持つ第23レンズと、最も像側に配置される第2Lレンズとを有し、前記第23レンズの像側の面の曲率半径をr23bとし、前記第2Lレンズの像側の面の曲率半径をr2Lbとしたとき、次式(8)の条件を満足することが好ましい。
0.680<r23b/r2Lb<1.000 …(8)
上記条件式(8)は、負の球面収差を効率的に補正し、高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(8)の下限値を下回ると、即ち第23レンズの像側の面の曲率が、第2Lレンズの像側の面の曲率に比べ過度に大きく(曲率半径が小さく)なった場合、第23レンズの像側の面で負の球面収差が大きく発生し高い光学性能を実現できない。なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(8)の下限値を0.710にすることが好ましい。
一方、条件式(8)の上限値を上回ると、即ち第2Lレンズの像側の面の曲率が第23レンズの像側の面の曲率に比べ過度に大きく(曲率半径が小さく)なった場合、第2Lレンズの像側の面で負の球面収差が大きく発生し高い光学性能を実現できない。なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(8)の上限値を0.960にすることが好ましい。
また、本実施形態のレンズ系では、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔は常時固定であることが好ましい。このような構成とすることで、レンズ系で無限遠から近距離までの合焦や、拡大倍率の変更時に、第1レンズ群と第2レンズ群を一体で動かすことが可能になり、従って簡便なメカニカル構成でレンズ鏡筒を製造可能になり、一体でない場合に比べコストを抑えることが可能になる。また、第1レンズ群と第2レンズ群との相互偏心を抑えやすくなり、偏心に伴う偏心コマ収差の発生を抑えることができる。
また、本実施形態のレンズ系では、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔は無限遠合焦時固定であることが好ましい。このような構成とすることで、レンズ系で無限遠から近距離までの合焦や、拡大倍率の変更時に、第1レンズ群と第2レンズ群を一体で動かすことが可能になり、従って簡便なメカニカル構成でレンズ鏡筒を製造可能になり、一体でない場合に比べコストを抑えることが可能になる。また、第1レンズ群と第2レンズ群との相互偏心を抑えやすくなり、偏心に伴う偏心コマ収差の発生を抑えることができる。
また、本実施形態のレンズ系では、レンズ系中の非球面は1面のみであることが好ましい。本実施形態に係る複合型非球面レンズを含め、非球面レンズは、球面レンズに比べてコストが高い。そこで、レンズ系中の非球面を1面のみとすることで、収差補正をして高い光学性能を実現しつつ、コストを抑えることが可能になる。また、非球面が2面以上ある場合に懸念される、非球面相互間の偏心等製造誤差による性能劣化を回避することができ、製造時にも高い光学性能を維持することができる。
また、本実施形態のレンズ系では、第2レンズ群は、物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第21レンズと、正の屈折力を持つ第22レンズとを有し、第21レンズと第22レンズは接合されて接合レンズを構成していることが好ましい。このように、第21レンズと第22レンズを接合させることで、波長ごとの球面収差の差及び波長ごとのコマ収差の差を良好に補正することが可能になり、高い光学性能を実現することができる。
また、本実施形態のレンズ系では、前記接合レンズにおいて、第21レンズのd線における屈折率をn21とし、第22レンズのd線における屈折率をn22とし、第21レンズのd線におけるアッベ数をν21とし、第22レンズのd線におけるアッベ数をν22としたとき、次式(9),(10)の条件を満足することが好ましい。
−0.050<n22−n21<0.050 …(9)
16.0<ν22−ν21<40.0 …(10)
上記条件式(9)は、効率的に波長ごとの球面収差の差、及び波長ごとのコマ収差の差を補正しつつ、球面収差とコマ収差自体の発生を抑え、高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(9)の下限値を下回ると、即ち第21レンズと第22レンズとの屈折率差が過剰に大きくなった場合、第21レンズと第22レンズとの境界面で球面収差やコマ収差が発生してしまい、高い光学性能を確保することができない。なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(9)の下限値を−0.022にすることが好ましい。
一方、条件式(9)の上限値を上回ると、即ち第21レンズと第22レンズとの屈折率差が過剰に大きくなった場合、第21レンズと第22レンズとの境界面で球面収差やコマ収差が発生してしまい、高い光学性能を確保することができない。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(9)の上限値を0.022にすることが好ましい。
上記条件式(10)は、効率的に波長ごとの球面収差の差、及び波長ごとのコマ収差の差を補正し、高い光学性能を実現するための条件式である。
この条件式(10)の下限値を下回ると、即ち第21レンズと第22レンズとのアッベ数差が過剰に小さくなる場合、効率的な波長ごとの球面収差の差及び波長ごとのコマ収差の差の補正ができず、高い光学性能を実現することが困難になる。なお、実施形態の効果を確実にするために、条件式(10)の下限値を18.0にすることが好ましい。
一方、条件式(10)の上限値を上回ると、即ち第21レンズと第22レンズとのアッベ数差が過剰に大きくなる場合、波長ごとの球面収差の差及び波長ごとのコマ収差の差の補正が過剰となり、高い光学性能を実現することが困難になる。なお、本実施形態の効果を確実にするために、条件式(10)の上限値を30.0にすることが好ましい。
以下、本実施形態に係る各実施例について、図面を参照しつつ説明する。以下に、表1〜表4を示すが、これらは第1〜第4実施例における各諸元の表である。[面データ]においては、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序を、rは各レンズ面の曲率半径を、dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔を、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率を、νdはd線を基準とするアッベ数を示す。なお、表中において、空気の屈折率「1.000000」の記載は省略している。[全体諸元]において、fはレンズ系全体の焦点距離を、FNOはFナンバーを、ωは半画角(単位:度)を、Yは像高を、TLは無限遠合焦状態における(最も物体側に配置された)第11レンズの物体側の面から像面Iまでのレンズ全長を示す。[可変間隔データ]において、Rは撮影距離すなわち物体から像面Iまでの距離(単位:m)を、βは撮影倍率を、Bfはバックフォーカスを示す。[条件式]において、上記の条件式(1)〜(10)に対応する値を示す。
なお、表中において、焦点距離f、曲率半径r、面間隔d、その他の長さの単位は、一般に「mm」が使われている。但し、光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
また、表中において*印が付される非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をS(y)とし、基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をAnとしたとき、以下の式(a)で表される。なお、各実施例において、2次の非球面係数A2は0であり、その記載を省略している。また、Enは、×10nを表す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。
S(y)=(y2/r)/{1+(1−κ・y2/r21/2
+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10 …(a)
以上の表の説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略する。
(第1実施例)
第1実施例に係るレンズ系について、図2、図3、図4及び表1を用いて説明する。図2は、第1実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。第1実施例に係るレンズ系は、図2に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とから構成されている。なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間には、開口絞りSが配置されている。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第11レンズL11と、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズL12と、像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第13レンズL13とから構成されている。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた負メニスカス形状の第21レンズL21と、第21レンズL21に接合され、物体側に凹面を向けた正メニスカス形状の第22レンズL22と、像側に凸面を向けた正メニスカス形状の第23レンズL23と、最も像側に配置され、樹脂材料とガラス材料の複合型非球面レンズであり、樹脂上に形成した非球面である物体側の面が像側の面に比べて弱い屈折力を持つ両凸形状の第2LレンズL2Lとから構成されている。なお、第2Lレンズから射出した光線は像面Iに結像する。
上記構成のレンズ系において、近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを一体にして、物体側へ移動することによって行う。
表1に第1実施例における各諸元の表を示す。なお、表1における面番号1〜15は、図2に示す面1〜15に対応している。また、第1実施例において、第13面は非球面形状に形成されている。
(表1)
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd
1 41.3555 5.0000 1.804000 46.57
2 158.7150 0.1000
3 27.3795 5.5000 1.834807 42.71
4 36.9003 1.6000
5 45.7517 1.6000 1.698947 30.13
6 16.8163 9.3000
7 開口絞りS 7.7000
8 -17.2554 1.8000 1.755199 27.51
9 -153.0397 6.5000 1.754999 52.32
10 -26.6098 0.2000
11 -50.0504 4.0000 1.834807 42.71
12 -39.2206 0.1000
13* 169.3173 0.1000 1.552810 37.63
14 169.3173 5.5000 1.729157 54.68
15 -42.3874 (Bf)
[非球面データ]
第13面
κ=1.0000
A4=-2.0184E-06
A6=7.7020E-10
A8=-9.5209E-13
[各種データ]
f=51.61
FNO=1.44
ω=23.00
Y=21.60
TL=87.48
[可変データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
R ∞ 1.64
β 0.0 -1/30
Bf 38.4757 40.1961
[条件式]
条件式(1) Bf/f=0.75
条件式(2) nP=1.553
条件式(3) nG=1.729
条件式(4) n2L=1.729
条件式(5) n2L−nP=0.176
条件式(6) (−r21a)/f=0.334
条件式(7) (−r21a)/r13b=1.026
条件式(8) r23b/r2Lb=0.925
条件式(9) n22−n21=-0.0002
条件式(10) ν22−ν21=24.8
表1に示す諸元の表から、本実施例に係るレンズ系では、上記条件式(1)〜(10)を全て満たすことが分かる。
図3は、第1実施例の諸収差図を示しており、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)での諸収差図を、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)での諸収差図をそれぞれ示す。
なお、各収差図において、FNOはFナンバーを、Aは光線入射角(単位:度)を、NAは開口数を、HOは物体高(単位:mm)をそれぞれ示す。dはd線(波長587.6nm)、gはg線(波長435.8nm)に対する諸収差を、記載のないものはd線に対する諸収差をそれぞれ示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示す。コマ収差図は、各入射角又は物体高において実線はd線及びg線に対するメリディオナルコマ収差、原点より右側の破線はd線に対してメリディオナル方向に発生するサジタルコマ収差、原点より左側の破線はd線に対してサジタル方向に発生するサジタルコマ収差を表す。以上の収差図の説明は、他の実施例においても同様とし、その説明を省略する。
各収差図から明らかなように、第1実施例に係るレンズ系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることが分かる。
その結果、第1実施例のレンズ系を搭載することにより、デジタル一眼レフカメラ(光学装置。図1参照)においても、優れた光学性能を有していることが分かる。
なお、図4に示すように、物体側からの光線BMが上記レンズ系に入射すると、その光は(最も像側に配置された)第2LレンズL2Lにおける像側のレンズ面(第1番目のゴースト発生面であり、面番号15に該当)で反射した後に、同じく第2LレンズL2Lにおける物体側のレンズ面(第2番目のゴースト発生面であり、面番号13に該当)で再度反射して像面Iに到達し、ゴーストを発生させてしまう。なお、第1番目のゴースト発生面(面番号15)は開口絞りSに対して凹面を向けており、第2番目のゴースト発生面(面番号13)は像面に対して凹面である。このような面に、より広い波長範囲で広入射角に対応した反射防止膜を形成することで、ゴーストを効果的に低減させている。なお、反射防止膜について詳細は後述するが、各実施例に係る反射防止膜は7層からなる多層構造であり、最表面層の第7層はウェットプロセスを用いて形成され、d線に対する屈折率は1.26(以下に示す、表5参照)である。
(第2実施例)
第2実施例に係るレンズ系について、図5、図6、図7及び表2を用いて説明する。図5は、第2実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。第2実施例に係るレンズ系は、図5に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とから構成されている。なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間には、開口絞りSが配置されている。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第11レンズL11と、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズL12と、像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第13レンズL13とから構成されている。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第21レンズL21と、第21レンズL21に接合され、物体側に凹面を向けた正メニスカス形状の第22レンズL22と、像側の面が強い屈折力を持つ両凸形状の第23レンズL23と、最も像側に配置され、樹脂材料とガラス材料の複合型非球面レンズであり、物体側の面が樹脂上に形成した非球面であり像側に凸面を向けた正メニスカス形状の第2LレンズL2Lとから構成されている。なお、第2Lレンズから射出した光線は像面Iに結像する。
上記構成のレンズ系において、近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを一体にして、物体側へ移動することによって行う。
表2に第2実施例における各諸元の表を示す。なお、表2における面番号1〜15は、図5に示す面1〜15に対応している。また、第2実施例において、第13面は非球面形状に形成されている。
(表2)
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd
1 46.6380 5.5000 1.804000 46.57
2 345.6367 0.1000
3 29.2487 5.5000 1.834807 42.71
4 40.6547 1.8000
5 87.8670 1.6000 1.647689 33.79
6 18.7104 9.3000
7 開口絞りS 7.7000
8 -18.4227 1.8000 1.805181 25.42
9 -486.2010 6.5000 1.804000 46.57
10 -29.5127 0.2000
11 1057.3415 4.5000 1.834807 42.71
12 -42.1357 0.1000
13* -149.4499 0.1000 1.552810 37.63
14 -149.4499 4.5000 1.772499 49.60
15 -56.5247 (Bf)
[非球面データ]
第13面
κ=1.0000
A4=-2.3336E-06
A6=1.3285E-09
A8=-3.9009E-12
[各種データ]
f=51.60
FNO=1.44
ω=23.12
Y=21.60
TL=87.71
[可変データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
R ∞ 1.64
β 0.0 -1/30
Bf 38.5078 40.2277
[条件式]
条件式(1) Bf/f=0.75
条件式(2) nP=1.553
条件式(3) nG=1.773
条件式(4) n2L=1.773
条件式(5) n2L−nP=0.220
条件式(6) (−r21a)/f=0.357
条件式(7) (−r21a)/r13b=0.985
条件式(8) r23b/r2Lb=0.745
条件式(9) n22−n21=-0.001
条件式(10) ν22−ν21=21.2
表2に示す諸元の表から、本実施例に係るレンズ系では、上記条件式(1)〜(10)を全て満たすことが分かる。
図6は、第2実施例の諸収差図を示しており、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)での諸収差図を、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)での諸収差図をそれぞれ示す。
各収差図から明らかなように、第2実施例に係るレンズ系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることが分かる。
その結果、第2実施例のレンズ系を搭載することにより、デジタル一眼レフカメラ(光学装置。図1参照)においても、優れた光学性能を有していることが分かる。
なお、図7に示すように、物体側からの光線BMが上記レンズ系に入射すると、その光は、負メニスカスレンズL13における像側のレンズ面(第1番目のゴースト発生面であり、面番号6に該当)で反射した後に、負メニスカスレンズL12における像側のレンズ面(第2番目のゴースト発生面であり、面番号4に該当)で再度反射して像面Iに到達し、ゴーストを発生させてしまう。なお、第1番目のゴースト発生面(面番号6)及び第2番目のゴースト発生面(面番号4)は、いずれも開口絞りSに対して凹面であるとともに、像面に対しても凹面である。このような面に、より広い波長範囲で広入射角に対応した反射防止膜を形成することで、ゴーストを効果的に低減させている。なお、反射防止膜について詳細は後述するが、各実施例に係る反射防止膜は7層からなる多層構造であり、最表面層の第7層はウェットプロセスを用いて形成され、d線に対する屈折率は1.26(以下に示す、表5参照)である。
(第3実施例)
第3実施例に係るレンズ系について、図8、図9及び表3を用いて説明する。図8は、第3実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。第3実施例に係るレンズ系は、図8に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とから構成されている。なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間には、開口絞りSが配置されている。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第11レンズL11と、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズL12と、像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第13レンズL13とから構成されている。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像側の面の曲率半径が大きい両凹形状の第21レンズL21と、第21レンズL21に接合され、像側の面の曲率半径が小さい両凸形状の第22レンズL22と、像側の面が強い屈折力を持つ両凸形状の第23レンズL23と、最も像側に配置され、樹脂材料とガラス材料の複合型非球面レンズであり、物体側の面が樹脂上に形成した非球面であり像側に凸面を向けた正メニスカス形状の第2LレンズL2Lとから構成されている。なお、第2Lレンズから射出した光線は像面Iに結像する。
上記構成のレンズ系において、近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを一体にして、物体側へ移動することによって行う。
表3に第3実施例における各諸元の表を示す。なお、表3における面番号1〜15は、図8に示す面1〜15に対応している。また、第3実施例において、第13面は非球面形状に形成されている。
(表3)
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd
1 45.6058 5.5000 1.772499 49.60
2 296.7518 0.1000
3 29.1170 5.5000 1.882997 40.76
4 39.4902 1.6000
5 73.0680 1.6000 1.647689 33.79
6 18.4729 9.3000
7 開口絞りS 7.7000
8 -18.3644 1.8000 1.784696 26.29
9 342.0979 6.5000 1.804000 46.57
10 -30.5985 0.2000
11 9394.4860 4.5000 1.834807 42.71
12 -43.3481 0.1000
13* -123.7741 0.1000 1.552810 37.63
14 -123.7741 4.5000 1.772499 49.60
15 -48.5167 (Bf)
[非球面データ]
第13面
κ=1.0000
A4=-2.7219E-06
A6=7.4832E-10
A8=-2.5366E-12
[各種データ]
f=51.60
FNO=1.44
ω=23.08
Y=21.60
TL=87.50
[可変データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
R ∞ 1.64
β 0.0 -1/30
Bf 38.5022 40.2221
[条件式]
条件式(1) Bf/f=0.75
条件式(2) nP=1.553
条件式(3) nG=1.773
条件式(4) n2L=1.773
条件式(5) n2L−nP=0.220
条件式(6) (−r21a)/f=0.356
条件式(7) (−r21a)/r13b=0.994
条件式(8) r23b/r2Lb=0.893
条件式(9) n22−n21=0.019
条件式(10) ν22−ν21=20.3
表3に示す諸元の表から、本実施例に係るレンズ系では、上記条件式(1)〜(10)を全て満たすことが分かる。
図9は、第3実施例の諸収差図を示しており、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)での諸収差図を、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)での諸収差図をそれぞれ示す。
各収差図から明らかなように、第3実施例に係るレンズ系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることが分かる。
その結果、第3実施例のレンズ系を搭載することにより、デジタル一眼レフカメラ(光学装置。図1参照)においても、優れた光学性能を有していることが分かる。
(第4実施例)
第4実施例に係るレンズ系について、図10、図11及び表4を用いて説明する。図10は、第4実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。第4実施例に係るレンズ系は、図10に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とから構成されている。なお、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間には、開口絞りSが配置されている。
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第11レンズL11と、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズL12と、像側に凹面を向けた負メニスカス形状の第13レンズL13とから構成されている。
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、像側の面の曲率半径が大きい両凹形状の第21レンズL21と、第21レンズL21に接合され、像側の面の曲率半径が小さい両凸形状の第22レンズL22と、像側の面が強い屈折力を持つ両凸形状の第23レンズL23と、最も像側に配置され、樹脂材料とガラス材料の複合型非球面レンズであり、物体側の面が樹脂上に形成した非球面であり像側に凸面を向けた正メニスカス形状の第2LレンズL2Lとから構成されている。なお、第2Lレンズから射出した光線は像面Iに結像する。
上記構成のレンズ系において、近距離物体への合焦は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とを一体にして、物体側へ移動することによって行う。
表4に第4実施例における各諸元の表を示す。なお、表4における面番号1〜15は、図10に示す面1〜15に対応している。また、第4実施例において、第13面は非球面形状に形成されている。
(表4)
[レンズ諸元]
面番号 r d nd νd
1 46.0109 5.5000 1.788001 47.37
2 318.6937 0.1000
3 28.5452 5.5000 1.834807 42.71
4 39.4106 1.6000
5 76.5401 1.6000 1.647689 33.79
6 18.4793 9.3000
7 開口絞りS 7.7000
8 -18.4961 1.8000 1.805181 25.42
9 31837.2730 6.5000 1.804000 46.57
10 -30.3764 0.2000
11 5077.4803 4.5000 1.834807 42.71
12 -42.7967 0.1000
13* -137.6466 0.1000 1.552810 37.63
14 -137.6466 4.5000 1.804000 46.57
15 -51.5585 (Bf)
[非球面データ]
第13面
κ=1.0000
A4=-2.3686E-06
A6=-1.4624E-10
A8=-4.6597E-14
[各種データ]
f=51.60
FNO=1.44
ω=23.09
Y=21.60
TL=87.51
[可変データ]
無限遠合焦状態 近距離合焦状態
R ∞ 1.64
β 0.0 -1/30
Bf 38.5097 40.2296
[条件式]
条件式(1) Bf/f=0.75
条件式(2) nP=1.553
条件式(3) nG=1.804
条件式(4) n2L=1.804
条件式(5) n2L−nP=0.251
条件式(6) (−r21a)/f=0.358
条件式(7) (−r21a)/r13b=1.001
条件式(8) r23b/r2Lb=0.830
条件式(9) n22−n21=-0.001
条件式(10) ν22−ν21=21.2
表4に示す諸元の表から、本実施例に係るレンズ系では、上記条件式(1)〜(10)を全て満たすことが分かる。
図11は、第4実施例の諸収差図を示しており、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)での諸収差図を、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)での諸収差図をそれぞれ示す。
各収差図から明らかなように、第4実施例に係るレンズ系は、諸収差が良好に補正され、高い光学性能を有していることが分かる。
その結果、第4実施例のレンズ系を搭載することにより、デジタル一眼レフカメラ(光学装置。図1参照)においても、優れた光学性能を有していることが分かる。
なお、以下の記載内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用可能である。
上記実施例では、2群構成を示したが、3群等の他の群構成にも適用可能である。
また、全体又は単独又は複数のレンズ群、又は部分レンズ群を光軸方向に移動させて、無限遠物体から近距離物体への合焦を行う合焦レンズ群としてもよい。
また、前記合焦レンズ群はオートフォーカスにも適用でき、オートフォーカス用の(超音波モーター等の)モーター駆動にも適している。
また、レンズ群又は部分レンズ群を光軸に垂直な方向に振動させて、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する防振レンズ群としてもよい。特に、第2レンズ群又は第2レンズ群の部分群を防振レンズ群とするのが好ましい。
また、レンズ面を非球面としても構わない。また、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも構わない。
また、上記実施例のように、開口絞りは第1レンズ群と第2レンズ群との間に配置されるのが好ましいが、開口絞りとしての部材は設けずにレンズ枠でその役割を代用しても良い。
ここで、第1〜第4実施例のレンズ系に用いられる反射防止膜について説明する。本実施形態に係る反射防止膜101は、図12に示すように、7層(第1層101a〜第7層101g)からなり、本レンズ系の光学部材102の光学面に形成されている。
第1層101aは真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムで形成されている。この第1層101aの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第2層101bが形成される。続いて、第2層101bの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第3層101cが形成され、第3層101cの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第4層101dが形成される。さらに、第4層101dの上に真空蒸着法で蒸着された酸化アルミニウムからなる第5層101eが形成され、第5層101eの上に真空蒸着法で蒸着された酸化チタンと酸化ジルコニウムの混合物からなる第6層101fが形成される。そして、第6層101fの上にウェットプロセスによりシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる第7層101gが形成される。このようにして本実施形態の反射防止膜101が形成される。
なお、第7層101gの形成には、ウェットプロセスの一種であるゾル−ゲル法を用いている。ゾル−ゲル法とは、光学部材の光学面上に光学薄膜材料であるゾルを塗布し、ゲル膜を堆積後、液体に浸漬し、この液体の温度及び圧力を臨界状態以上にしてその液体を気化・乾燥させることにより、膜を生成する製法である。但し、ウェットプロセスとして、ゾル−ゲル法に限らず、ゲル状態を経ることなしに固体膜を得る方法を用いてもよい。
以上のように、反射防止膜101は、第1層101a〜第6層101fまではドライプロセスである電子ビーム蒸着により形成され、最表面層(最上層)である第7層101gはフッ酸/酢酸マグネシウム法で調製したゾル液を用いるウェットプロセスにより形成されている。
続いて、上記構成の反射防止膜101を形成する手順を説明する。まず、予めレンズ成膜面(上述の光学部材102の光学面)に真空蒸着装置を用いて、第1層101aとなる酸化アルミニウム層、第2層101bとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第3層101cとなる酸化アルミニウム層、第4層101dとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層、第5層101eとなる酸化アルミニウム層、第6層101fとなる酸化チタン−酸化ジルコニウム混合層を順に形成する。そして、真空蒸着装置より光学部材102を取り出した後、フッ酸/酢酸マグネシウム法により調製したゾル液にバインダー成分を添加したものをスピンコート法により塗布して、第7層101gとなるシリカとフッ化マグネシウムの混合物からなる層を形成する。ここで、フッ酸/酢酸マグネシウム法によって調製される際の反応式を以下の式(b)に示す。
2HF+Mg(CH3COO)2 → MgF2+2CH3COOH …(b)
この成膜に用いたゾル液は、原料混合後、オートクレーブで140℃、24時間高温加圧熟成処理を施した後、成膜に用いられる。光学部材102は、第7層101gの成膜終了後、大気中で160℃、1時間加熱処理して完成される。より具体的には、上記のゾル−ゲル法を用いることにより、大きさが数nmから数十nmのMgF粒子ができ、さらに、それらの粒子が数個集まって二次粒子が形成され、それら二次粒子が堆積することにより第7層101gが形成される。
上記のようにして形成された反射防止膜101の光学的性能について、図13に示す分光特性を用いて説明する。なお、図13は、基準波長λを550nmとしたときに、以下の表5で示される条件で反射防止膜101を設計した場合、光線が垂直入射するときの分光特性を表している。また、表5では、酸化アルミニウムをAl23、酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物をZrO2+TiO2、シリカとフッ化マグネシウムの混合物をSiO2+MgF2と示しており、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.46、1.62、1.74及び1.85の4種類であるときの各々の設計値を示している。
(表5)
物質 屈折率 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 SiO2+MgF2 1.26 0.275λ 0.268λ 0.271λ 0.269λ
第6層 ZrO2+TiO2 2.12 0.045λ 0.057λ 0.054λ 0.059λ
第5層 Al2O3 1.65 0.212λ 0.171λ 0.178λ 0.162λ
第4層 ZrO2+TiO2 2.12 0.077λ 0.127λ 0.13λ 0.158λ
第3層 Al2O3 1.65 0.288λ 0.122λ 0.107λ 0.08λ
第2層 ZrO2+TiO2 2.12 0 0.059λ 0.075λ 0.105λ
第1層 Al2O3 1.65 0 0.257λ 0.03λ 0.03λ
基板の屈折率 1.46 1.62 1.74 1.85
図13より、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。
なお、第1実施例のレンズ系において、正レンズL2Lの屈折率は1.729157であるため、正レンズL2Lにおける像側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、正レンズL2Lの物体側の樹脂面の屈折率は1.552810であるため、正レンズL2Lの物体側の樹脂面に基板の屈折率が1.52に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第2実施例のレンズ系において、負メニスカスレンズL13の屈折率は1.647689であるため、負メニスカスレンズL13における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、正メニスカスレンズL12の屈折率は1.834807であるため、正メニスカスレンズL12における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第3実施例のレンズ系において、負メニスカスレンズL13の屈折率は1.647689であるため、負メニスカスレンズL13における像側のレンズ面に、基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、正メニスカスレンズL11の屈折率は1.772499であるため、正メニスカスレンズL11における像側のレンズ面に基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
また、第4実施例のレンズ系において、正メニスカスレンズL11の屈折率は1.788001であるため、正メニスカスレンズL11の像側のレンズ面に、基板の屈折率が1.74に対応する反射防止膜を用いることが可能である。正メニスカスレンズL12の屈折率は1.834807であるため、メニスカスレンズL12における物体側と像側のレンズ面に、基板の屈折率が1.85に対応する反射防止膜を用いることが可能である。また、負メニスカスレンズL13の屈折率は1.647689であるため、負メニスカスレンズL13の物体側と像側のレンズ面に基板の屈折率が1.62に対応する反射防止膜を用いることが可能である。
このように、本実施形態の反射防止膜101を、第1〜第4実施例のレンズ系にそれぞれ適用することで、Fナンバーが1.0以上2.0以下程度の大口径比を有し、バックフォーカスが長く、諸収差が良好に補正され、ゴーストやフレアをより低減させた、高い光学性能を持つレンズ系及びこれを有する光学装置を提供することができる。
なお、上記の反射防止膜101は、平行平面板の光学面に設けた光学素子として利用することも可能であるし、曲面状に形成されたレンズの光学面に設けて利用することも可能である。
次に、上記反射防止膜101の変形例について説明する。この変形例の反射防止膜は5層からなり、以下の表6で示される条件で構成される。なお、第5層の形成に、前述のゾル−ゲル法を用いている。また、表6では、基準波長λを550nmとしたときに、基板の屈折率が1.52であるときの設計値を示している。
(表6)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第5層 シリカとフッ化マグネシウムの混合物 1.26 0.269λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.043λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.217λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.066λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.290λ
基板 BK7 1.52
図14に、変形例の反射防止膜に光が垂直入射するときの分光特性を示す。図14により、波長が420nm〜720nmの全域で、反射率が0.2%以下に抑えられていることが分かる。なお、図15に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
比較のため、図16に、従来の真空蒸着法などのドライプロセスのみで成膜し、以下の表7で示される条件で構成される多層広帯域反射防止膜の垂直入射時の分光特性を示す。なお、図17に、入射角が30度、45度、60度の場合の分光特性を示す。
(表7)
物質 屈折率 光学膜厚
媒質 空気 1.00
第7層 MgF 1.39 0.243λ
第6層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.119λ
第5層 酸化アルミニウム 1.65 0.057λ
第4層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.220λ
第3層 酸化アルミニウム 1.65 0.064λ
第2層 酸化チタン−酸化ジルコニウム混合物 2.12 0.057λ
第1層 酸化アルミニウム 1.65 0.193λ
基板 BK7 1.52
図14及び図15で示す変形例の分光特性を、図16及び図17で示す従来例の分光特性と比較すると、変形例に係る反射防止膜の反射率の低さが良く分かる。
なお、本発明を分かりやすくするために、上記実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
本実施形態に係るレンズ系を備えた光学装置(カメラ)の構成を示す図である。 第1実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。 第1実施例に係るレンズ系の諸収差図であり、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)における諸収差図、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)における諸収差図をそれぞれ示す。 第1実施例に係るレンズ系において、入射光線が第1番目のゴースト発生面と第2番目のゴースト発生面で反射する様子を説明する図である。 第2実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。 第2実施例に係るレンズ系の諸収差図であり、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)における諸収差図、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)における諸収差図をそれぞれ示す。 第2実施例に係るレンズ系において、入射光線が第1番目のゴースト発生面と第2番目のゴースト発生面で反射する様子を説明する図である。 第3実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。 第3実施例に係るレンズ系の諸収差図であり、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)における諸収差図、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)における諸収差図をそれぞれ示す。 第4実施例に係るレンズ系の構成を示す断面図である。 第4実施例に係るレンズ系の諸収差図であり、(a)は無限遠合焦状態(撮影倍率β=0.0)における諸収差図、(b)は近距離合焦状態(撮影倍率β=-1/30)における諸収差図をそれぞれ示す。 本実施例に係る反射防止膜の構造を示す説明図である。 本実施例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 変形例に係る反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。 従来技術で作成した反射防止膜の分光特性を示すグラフである。
符号の説明
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
S 開口絞り I 像面
1 カメラ(光学装置) 2 撮影レンズ(レンズ系)
3 クイックリターンミラー 4 焦点板
5 ペンタプリズム 6 接眼レンズ
7 撮像素子
101 反射防止膜
101a 第1層 101b 第2層
101c 第3層 101d 第4層
101e 第5層 101f 第6層
101g 第7層 102 光学部材

Claims (23)

  1. 光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持つ第1レンズ群と、開口絞りと、正の屈折力を持つ第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群からなるレンズ系において、
    前記第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第21レンズと、正の屈折力を持つ第22レンズと、正の屈折力を持つ第23レンズと、第2Lレンズとの実質的に4個のレンズからなり、
    前記レンズ系は、ガラス材料と樹脂材料の複合からなる複合型非球面レンズを含み、
    前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群における光学面のうち少なくとも1面に、ウェットプロセスを用いて形成された層を少なくとも1層含んだ反射防止膜を設け
    前記第23レンズの像側の面の曲率半径をr23bとし、前記第2Lレンズの像側の面の曲率半径をr2Lbとしたとき、次式
    0.745≦r23b/r2Lb<1.000
    の条件を満足することを特徴とするレンズ系。
  2. 前記第1レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、正の屈折力を持ち、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力を持つ第11レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズとを有することを特徴とする請求項1に記載のレンズ系。
  3. 前記反射防止膜は多層膜であり、
    前記多層膜の最表面層は、前記ウェットプロセスを用いて形成された層であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ系。
  4. 前記ウェットプロセスを用いて形成された層のd線における屈折率をndとしたとき、次式
    nd≦1.30
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレンズ系。
  5. 前記反射防止膜が設けられた光学面は、前記開口絞りから見て凹面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズ系。
  6. 前記反射防止膜が設けられた光学面は、像面から見て凹面であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレンズ系。
  7. 前記レンズ系全系の焦点距離をfとし、前記レンズ系の最も像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をBfとしたとき、次式
    0.60<Bf/f<1.00
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレンズ系。
  8. 前記複合型非球面レンズの樹脂材料のd線における屈折率をnPとしたとき、次式
    1.400<nP<1.800
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレンズ系。
  9. 前記複合型非球面レンズのガラス材料のd線における屈折率をnGとするとき、次式
    nG>1.550
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレンズ系。
  10. 前記複合型非球面レンズの樹脂材料面は、最も物体側に配置されるレンズの像側の面から、最も像側に配置される前記第2Lレンズの物体側の面までの、少なくとも1つのレンズ面に設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のレンズ系。
  11. 前記第2Lレンズは、前記複合型非球面レンズであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のレンズ系。
  12. 前記第2Lレンズのガラス材料のd線における屈折率をn2Lとしたとき、次式
    n2L>1.700
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のレンズ系。
  13. 前記第2Lレンズのガラス材料のd線における屈折率をn2Lとし、前記複合型非球面レンズの樹脂材料のd線における屈折率をnPとしたとき、次式
    n2L−nP<0.400
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のレンズ系。
  14. 前記第2レンズ群は、最も物体側に負の屈折力を持つ第21レンズを有し、前記第21レンズの物体側の面の曲率半径をr21aとし、前記レンズ系全系の焦点距離をfとしたとき、次式
    0.300<(−r21a)/f<0.450
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のレンズ系。
  15. 前記第2Lレンズは正の屈折力を持ち、
    前記第2レンズ群は、前記第23レンズの像側に、前記第2Lレンズのみを配置することを特徴とする請求項14のいずれか1項に記載のレンズ系。
  16. 前記第1レンズ群は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を持ち、物体側の面が像側の面に比べて強い屈折力である第11レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカス形状の第12レンズとを有しており、前記第12レンズの像側に、負の屈折力を有する第13レンズのみを配置することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のレンズ系。
  17. 前記第13レンズの像側の面の曲率半径をr13bとし、前記第2レンズ群の最も物体側に位置する第21レンズの物体側の面の曲率半径をr21aとしたとき、次式
    0.900<(−r21a)/r13b<1.100
    の条件を満足することを特徴とする請求項16に記載のレンズ系。
  18. 前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は常時固定であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のレンズ系。
  19. 前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔は無限遠合焦時固定であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載のレンズ系。
  20. 前記レンズ系中の非球面は1面のみであることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載のレンズ系。
  21. 前記第2レンズ群は、物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第21レンズと、正の屈折力を持つ第22レンズとを有し、前記第21レンズと前記第22レンズは接合されて接合レンズを構成していることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載のレンズ系。
  22. 前記接合レンズにおいて、前記第21レンズのd線における屈折率をn21とし、前記第22レンズのd線における屈折率をn22とし、前記第21レンズのd線におけるアッベ数をν21とし、前記第22レンズのd線におけるアッベ数をν22としたとき、次式
    −0.050<n22−n21<0.050
    16.0<ν22−ν21<40.0
    の条件を満足することを特徴とする請求項21に記載のレンズ系。
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載のレンズ系を有することを特徴とする光学装置。
JP2008035987A 2008-02-18 2008-02-18 レンズ系及びこれを有する光学装置 Expired - Fee Related JP5422895B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008035987A JP5422895B2 (ja) 2008-02-18 2008-02-18 レンズ系及びこれを有する光学装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008035987A JP5422895B2 (ja) 2008-02-18 2008-02-18 レンズ系及びこれを有する光学装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009192996A JP2009192996A (ja) 2009-08-27
JP5422895B2 true JP5422895B2 (ja) 2014-02-19

Family

ID=41075020

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008035987A Expired - Fee Related JP5422895B2 (ja) 2008-02-18 2008-02-18 レンズ系及びこれを有する光学装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5422895B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5636668B2 (ja) 2009-11-30 2014-12-10 株式会社ニコン レンズ系及び光学装置
JP5641393B2 (ja) * 2010-02-25 2014-12-17 株式会社ニコン レンズ系及び光学機器
JP5716986B2 (ja) * 2010-02-25 2015-05-13 株式会社ニコン レンズ系及び光学機器
JP2012220804A (ja) * 2011-04-12 2012-11-12 Nikon Corp レンズ系、光学機器及びレンズ系の製造方法
JP5853715B2 (ja) * 2012-01-16 2016-02-09 株式会社ニコン 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法
KR101932717B1 (ko) 2012-02-13 2018-12-26 삼성전자주식회사 결상렌즈 시스템
JP5895745B2 (ja) * 2012-07-04 2016-03-30 株式会社ニコン 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法
JP5978848B2 (ja) * 2012-08-09 2016-08-24 株式会社ニコン 変倍光学系、光学装置
CN104603665B (zh) * 2012-08-09 2018-02-02 株式会社尼康 可变放大率光学系统、光学装置和可变放大率光学系统的制造方法
CN113589481B (zh) * 2019-07-02 2022-10-28 浙江舜宇光学有限公司 光学成像镜头
CN112230374B (zh) * 2020-10-30 2022-03-01 诚瑞光学(苏州)有限公司 摄像光学镜头

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05323187A (ja) * 1992-05-26 1993-12-07 Asahi Optical Co Ltd 複合型非球面レンズを含むレンズ系
JP2843311B2 (ja) * 1995-12-26 1999-01-06 株式会社リコー 小型の広角レンズ
JP4686888B2 (ja) * 2000-04-20 2011-05-25 株式会社ニコン ズームレンズ及び該レンズを備える撮影装置
JP2002131640A (ja) * 2000-10-27 2002-05-09 Nidec Copal Corp ズームレンズ
JP4355154B2 (ja) * 2003-03-28 2009-10-28 株式会社コシナ ソフトフォーカスレンズ
WO2006030848A1 (ja) * 2004-09-16 2006-03-23 Nikon Corporation 非晶質酸化珪素バインダを有するMgF2光学薄膜、及びそれを備える光学素子、並びにそのMgF2光学薄膜の製造方法
JP4929902B2 (ja) * 2006-07-27 2012-05-09 株式会社ニコン 単焦点レンズと、これを有する撮像装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009192996A (ja) 2009-08-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5636668B2 (ja) レンズ系及び光学装置
JP5422895B2 (ja) レンズ系及びこれを有する光学装置
JP5564959B2 (ja) 広角レンズ、撮像装置、広角レンズの製造方法
JP5403411B2 (ja) コンバータレンズ及びこれを有する光学装置
JP5311200B2 (ja) 広角レンズ、光学装置
JP5207121B2 (ja) 広角レンズ及びこれを有する撮像装置
WO2016117651A1 (ja) 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法
JP5853715B2 (ja) 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法
JP2013033178A (ja) 光学系、光学装置、光学系の製造方法
JP5093657B2 (ja) レトロフォーカスレンズ、撮像装置、およびレトロフォーカスレンズの合焦方法
JP2016136213A (ja) 光学系、この光学系を有する光学機器、及び、光学系の製造方法
JP6531402B2 (ja) 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法
JP2013109025A (ja) 撮影レンズ、この撮影レンズを有する光学機器、及び、撮影レンズの製造方法
JP5170616B2 (ja) 広角レンズ、撮像装置、および広角レンズの合焦方法
JP2009198854A (ja) 広角レンズ、これを有する撮像装置及び結像方法
JP5712749B2 (ja) ズームレンズ、撮像装置、ズームレンズの製造方法
JP5633287B2 (ja) 広角レンズ、撮像装置、広角レンズの製造方法
JP5333406B2 (ja) 撮影レンズ、光学機器、撮影レンズの製造方法
JP5218902B2 (ja) 広角レンズおよび撮像装置
JP5464379B2 (ja) 光学系、光学装置
JP5440810B2 (ja) 光学系、光学装置
JP5464380B2 (ja) 光学系、光学装置
JP5895745B2 (ja) 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法
JP2012220804A (ja) レンズ系、光学機器及びレンズ系の製造方法
JP5861281B2 (ja) 光学系、この光学系を有する撮像装置、及び、光学系の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110722

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131029

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131111

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5422895

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees