JP2014080651A - ニッケル−鉄基合金 - Google Patents

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月峰 谷
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志宏 鍾
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Abstract

【課題】700℃以上の主蒸気温度を有するボイラ管材料としての使用に適している合金であって、高温強度、優れた構造安定性と加工性に優れるニッケル−鉄基合金。
【解決手段】ガンマ相(γ,fcc)とガンマ’相(γ',Ni3Al)の二相構造を有し、組成が、質量%で、鉄が20〜40%;クロムが17〜25%;チタンが1.3〜2.2%;アルミニウムが1.0〜2.0%;ニオブが1.0〜2.0%;モリブデンが0.5〜1.0%;タングステンが0〜2.0%;コバルトが0〜5.0%;ケイ素が0.05〜0.5%;炭素が0.03%以下;ホウ素が0.001〜0.01%;ジルコニウムが0.005〜0.05%;残部ニッケル及び不可避的不純物からなり、700℃においてガンマ’相(Ni3Al)の体積%が10〜20の範囲で含有され、初期平均ガンマ’相サイズが20〜70nmの範囲である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温での高い強度、熱間加工性と相安定性に優れた特性を有するニッケル−鉄基耐熱合金に関するものである。特に、本発明の合金は、700℃以上の高温で先進超々臨界圧(A-USC)石炭焚きボイラで使用される管材料として好適である。
石炭燃料ボイラの熱効率を向上させる点と、汚染物質の排出量(CO2を含む)を低下させる観点から、石炭ベースの発電所で先進の蒸気サイクルで使用される管の使用温度と使用圧力は、高くなる傾向がある。先進超々臨界圧(A-USC)石炭焚きボイラの蒸気温度と圧力の最新の目標は、35MPaの圧力下で700℃に近づいている。この目標が、とりわけボイラ過熱器や再熱器として採用される場合は、安価で、700℃以上の高温で、高強度、優れた耐食性と熱安定性を有するボイラ管材料を必要とする。
フェライト鋼とオーステナイト鋼は、このような高い温度と圧力で十分な強度を持たないため、除外する必要がある。
A286合金、Inconel706合金、Inconel718合金を含む安価なニッケル−鉄基合金は、A-USCにおける管用合金の一つの可能性として提案されている。しかし、これらの合金は、A-USCボイラ管材の強度要件を満たすための、650℃を超える温度で十分な強度を持っていない。
高温で強度向上するように改良されたニッケル−鉄基合金は、特許文献1(中国特許公開公報CN1064709 A)に開示されている。GH2984という合金は、クロムを18から20重量%、モリブデンを2.0から2.4重量%、ニオブを0.9から1.3重量%、アルミニウムを0.2から0.5重量%、チタンを0.9から1.3重量%を含んでおり、残部が鉄および不可避的不純物からなるもので、かつ船ボイラ過熱器での低圧(<25MPa)で700℃付近での長時間使用中に、良好な性能を有する。しかし、この合金は高い圧力であって700℃以上の温度範囲で、A-USCボイラ管に応用するためのクリープ破断強度と耐酸化性が不十分である(30-35MPa)
良好な耐酸化性を持つ別のニッケル−鉄基合金は、特許文献2(特開2011- 63838号公報)に開示されている。この合金は、20〜30%の鉄と21〜25%のクロムを含んでおり、大型の部品やコンポーネントに製造する優れた耐酸化性と優れた加工性を有している。しかし、この合金の微細構造は、長時間使用中に安定していない。
特許文献3(特開2005-2929号公報)には、多量の鉄(15-45%)と少量のクロム(14-18%)を有するニッケル−鉄基合金が開示されている。蒸気タービンロータ用に設計されたこの合金は700℃で高強度と耐クリープ性を有しているが、耐腐食性および相安定性はボイラ管用には充分ではない。
したがって、既存のニッケル−鉄基合金は、十分な強度および/または耐腐食性を有しておらず、700°C以上の高温となるA-USC石炭焚きボイラでの長期運転が可能な管装置を製造するための候補材料ではない。
その結果として、高温での高い強度と良好な耐腐食性を有することが知られているニッケル基耐熱合金は、700℃以上の高温である先進A-USC石炭焚ボイラで使用することができる蒸気ボイラ管に最も適した材料と期待されている。そのようなNi基合金の具体例としては、インコネル(登録商標)617(例えば、質量百分率で表される組成として、クロム22.0%、モリブデン9%、コバルト12.5%、鉄1.0%、ケイ素0.1 %、チタン0.4%、アルミニウム1.2%、マンガン1.0%、残部としてニッケル及び不可避不純物)、インコネル740(クロム25.0%、モリブデン0.5%、ニオブ2.0%、鉄0.7%、コバルト20%、チタン1.8%、アルミニウム0.9 %、残部としてニッケル及び不可避不純物)、Haynes(登録商標)230(クロム22.0%、モリブデン2%、タングステン14%、鉄3%、アルミニウム0.3%、ケイ素0.5%、マンガン0.5%、残部としてニッケル及び不可避不純物)を含む。
インコネル617(クロム22.0%、モリブデン9%、コバルト12.5%、鉄1.0%、ケイ素0.1%、チタン0.4%、アルミニウム1.2%)は固溶体強化ニッケル基合金であり、結晶粒内でM(C、N)炭窒化物と均一に分布したM23C6炭化物によりさらに強化されている。これらは、高温使用中に粒界に炭化物皮膜を形成するように結晶粒に沿って成長する傾向がある。しかし、焼きなましにおける熱割れと緩和割れの発生の危険性と同様にクリープ脆化割れの傾向によって、その適用が制限されうる。一方、インコネル617合金の耐クリープ性は700℃以上でA-USC蒸気ボイラ管の用途に使用する管材料としては不十分である。
ヘインズ230(クロム22.0%、モリブデン2%、タングステン14%、鉄3%、アルミニウム0.3%、ケイ素0.5%、マンガン0.5%)合金は、産業用ガスタービンの燃焼部材用の固溶および炭化物強化ニッケル−クロム−タングステン基合金である。この合金は高温強度、1150℃までの酸化環境に対する抵抗性や長期熱的安定性を含む優れた特性を兼ね備えている。しかし、長時間クリープに曝されている間の時間依存性の塑性変形の影響を受けて、合金中に炭化物相に加えて、他の相が析出することで、延性と高温強度の両方を減少させることになる。
インコネル740(米国特許番号6258317)は、その魅力的なクリープ強度と耐食性によって、もともと石炭や他の化石燃料火力発電所の超臨界圧(USC)蒸気ボイラ管用途に使用するための欧州THERMIEプログラム用に開発されたニッケル−クロム−コバルト基合金である。インコネル740は、主にγ’析出物の高い体積分率の析出によってその強さが得られ、さらには、コバルトを添加することでさらに固溶強化される。ただし、中間温度では少量のη析出物(Ni3Ti)が粒界に沿って形成され、より高い温度と長時間の時効時間では、一般に、γ’相が温度上昇とともに急速な粗大化挙動を示すに伴って、大量の板状粒内析出物η相が形成される。クリープ試験中には、η’-Ni3Ti相と高ケイ素含有G相は粒界に析出するが、この析出はそれに関連する機械的特性を劣化される。
しかし、これらのすべてのニッケル基またはニッケル−コバルト基合金は、ニッケル、コバルト、タングステンや他の高融点元素を高い含有量で含んでおり、このことは、これらの合金を高価にし、均一に鋳造し大型部品を製作することを難しくしている。
したがって、700℃級A-USC石炭焚きボイラの先進蒸気条件を満たすことができる経済的な管材料は、現在存在しない。現在使用可能なボイラ管材料の検査によれば、必要な強度、耐酸化性と耐食性、熱的安定性、コストと製造可能性を兼ね備えることを達成することが困難であることは明らかである。
本発明者らは、700℃以上で充分な高温強度、優れた耐食性、加工性、および優れた相安定性を示す安価な合金の製造を目的として鋭意研究を行った。この研究の結果、本発明者らは、添付の特許請求の範囲に記載されているような、γ/γ'二相構造、及び17%以上のクロムと20%以上の鉄を有するニッケル−鉄基合金は、700℃級A-USC石炭焚きボイラでボイラ管材料としての使用に適していることを発見した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであって、以下のことを特徴としている。
1. 組成が、質量%で、
鉄が20%から40%;
クロムが17%から25%まで;
チタンが1.3%から2.2%まで;
アルミニウムが1.0%から2.0%まで;
ニオブが1.0%から2.0%まで;
モリブデンが0.5%から1.0%まで;
タングステンが0%から2.0%まで;
コバルトが0%から5.0%まで;
ケイ素が0.05%から0.5%まで;
炭素が0.03%以下;
ホウ素が0.001%から0.01%まで;
ジルコニウムが0.005%から0.05%まで;
残余のニッケルおよび不可避的不純物からなり、ボイラ用過熱管に好適であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
2. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、クロムが18%から23%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
3. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、鉄が25%から34%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
4. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、チタンが1.5%から2.0%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
5. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、アルミニウムが1.4%から1.8%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
6. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ニオブが1.1%から1.6%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
7. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ケイ素が0.05%から0.2%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
8. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ホウ素が0.001%から0.005%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
9. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、鉄が次式により規定される範囲であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
8x(質量%Al+質量%Ti+質量%Nb-1)≧質量%Fe≧6x(質量%Al+質量%Ti+質量%Nb-1)
10. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、鍛造形成体であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
11. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、熱処理が、1000℃から1150℃までの温度で行なわれる溶体化処理と、750℃から850℃の温度範囲と、650℃から760℃の温度範囲で行なわれる二段時効熱処理が含まれていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
12. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ガンマ相(γ, fcc)とガンマプライム相(γ', Ni3Al)の二相構造を有し、700℃においてガンマプライム相(Ni3Al)の体積%が10から 20までの範囲で含有され、初期平均ガンマプライム相サイズが20 nmから 70 nmまでの範囲であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
13. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、750℃で、0.2%耐力が550MPaから700MPaであり、伸びが10%以上を有していることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
14. ボイラ過熱器及び/又は再熱器の内部の管として使用される物品であって、上記記載の合金から作られていることを特徴とする物品。
本発明と従来技術によるニッケル−鉄基合金に行われた圧縮試験の結果を示すグラフである。 本発明と従来技術によるニッケル−鉄基合金のミクロ組織を比較する顕微鏡写真を示している。 本発明と従来技術に係るニッケル−鉄基合金の725℃での時効時間に伴うと硬さの変化を示している。 圧延された試料の外観を示す写真を示している。 本発明合金1のγ/γ '二相構造を示している。 本発明と従来技術の圧延試料について800℃までの引張強度の結果を示している。
このニッケル−鉄基合金は、700℃以上で動作するA-USC発電プラントのボイラ用途に要求される部品のための十分な高温強度、耐腐食性、熱的安定性、並びに加工性を有している。鉄を制御して添加することで、その耐酸化性が著しく劣化することなく、合金の加工性を向上させると共に、合金のコストを低くすることが見出されている。高クロム含有量とガンマプライム相形成元素の適切な量、比較的少量のモリブデンおよびガンマプライム相強化元素の組み合わせによって、合金の熱的安定性と加工性を損なうことなく、耐食性、合金の高温強度が向上する。
以下、本発明の合金の化学組成とその効果について説明する。合金元素の用語%は質量%を意味する。
鉄は低コストであり、多く添加することにより、合金のコストを削減する。鉄の制御された添加によって、その耐酸化性を著しく劣化することなく、合金の加工性を向上することが見出されている。加工性やコストの節約のために、少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%が添加される。しかし、鉄の添加によって、クロム、モリブデン、タングステン、ニオブを有する合金に鉄を過剰に追加すると同時に、TCP(トポロジー的最密充填)相が析出を促進し、強化相としてのガンマプライム相の有効性を減少させることが判明しており、その結果機械的性質が劣化する。合金の耐酸化性、高温強度を維持するために、40%以下であり、好ましくは34%以下となるように添加する。従って、合金の耐酸化性、高温強度と加工性を維持するために、鉄の含有量は次の関係を満たし、かつ、20%から40%の範囲、好ましくは25%から34%の範囲である。
8x(質量%Al+質量%Ti+質量%Nb-1)≧質量%Fe≧6x(質量%Al+質量%Ti+質量%Nb-1)
クロムは、耐酸化性、耐腐食性を向上させるために有効な元素である。また、クロムは、本発明で定義されている合金系における熱間加工性の向上に寄与する。これらの効果を達成するために、この元素は、17%以上の割合で含有されるのがよく、好ましくは18%以上が望ましい。一方、クロムは過剰に含まれている場合には、有害なTCP相が形成され、熱間加工性や溶接性が著しく低下する。従って、クロムの含有量が25%以下である必要がある。そこで、クロムの量は、好ましくは17%から25%であり、より好ましく18%から23%の範囲内である。
チタンは、高温強度とクリープ破断強度を向上させるためにガンマプライム相(Ni3(Al,Ti))の形成を促進するための元素である。さらに、この元素は結晶粒界の強化に貢献する。これらの効果を達成するために、チタンは1.3%以上の量を含有することが好ましい。しかし、チタンが過剰に含まれている場合は、ガンマプライム相を過剰に析出させ、その結果、熱間加工性や溶接性が著しく低下する。そこで、チタンが含まれている場合はチタンの含有量は2.2%以下である必要がある。好ましくは、チタンの含有量は、1.5%から2.0%にする必要がある。
アルミニウムは、ガンマプライム相(Ni3(Al,Ti))を形成することにより耐酸化性、高温強度を向上させるための非常に有効な元素である。これらの効果を達成するために、アルミニウムは1.0%以上の量を含有することが好ましい。アルミニウム含有量が2.0%以上である場合は、熱間加工性が著しく低下する。したがって、アルミニウム含有量は1.0%以上2.0%未満にするべきである。好ましくは、アルミニウムの含有量は、1.4〜1.8%にする必要がある。
ニオブは、ガンマプライム相の形成を促進し、強度向上に大きく寄与する元素である。この効果を達成するために、ニオブは1.0%以上の量を含有することが好ましい。しかしながら、ニオブは2.0%以上である場合は、溶解の間にマクロ偏析が生じると共に、デルタ相やラーべス(Laves)相などの有害相が合金中に現れる。したがって、ニオブの含有量は1.0%以上2.0%未満にするべきである。好ましくは、ニオブの含有量は、1.1〜1.6%にする必要がある。
モリブデンとタングステンは、ガンマ相の強化用に添加され、ガンマ相及び/又はガンマプライム相中の固溶強化により高温での強度を改善する。これらの効果を達成するために、これらの元素の含有量の下限は、モリブデンについて0.5%、タングステンについてゼロであることが好ましい。しかし、これらの要素が過剰に含まれている場合は、TCP相が合金中に形成される。そこで、これらの要素の上限含有量は、モリブデンについて1.0%、タングステンについて2.0%の必要がある。
コバルトは、積層欠陥エネルギーを低下させ、炭化物の分布を改善し、および鉄基耐熱合金の結晶粒径を微細化する元素である。しかし、ニッケル - 鉄基超合金にコバルトを大量に添加すると、鉄、モリブデン、タングステンと高レベルで組み合わせた場合、TCP相の形成が生じやすい。コバルトの量は、好ましくは0から5.0%の範囲である。
ケイ素は、脱酸元素として重要であり、さらに耐酸化性の向上に寄与する元素である。しかし、ケイ素は、アルミニウムを大量に含有する場合に、Ni基合金の熱間加工性や溶接性を低下させる強力な作用を有する。したがって、ケイ素の添加量は、好ましくは0.05〜0.5%の範囲である。
炭素は、ニオブとチタンと結合して、MC型炭化物を形成する。 MC炭化物は、ピン止め効果によって、粒界の移動を抑制する。しかし炭素の添加量が多すぎると、MC炭化物が粗大に形成され、ニオブやチタンの強化元素を多量に使い果たすことにより、機械的性質を低下させる。したがって、炭素の含有量は、好ましくは0.03%以下である。
ジルコニウムとホウ素は、以前から知られているニッケル基超合金においては、延性や靭性を得るために添加される。これら元素が過剰に含まれると、クリープ強度が低下し、またはプロセスウィンドウが狭くなることにつながる。ホウ素の含有量は0.001から0.01質量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、0.001から0.005質量%の範囲であり、またジルコニウムは好ましくは0.005から0.02質量%の範囲である。
本発明のニッケル−鉄基超合金は、上記の合金元素が含まれており、残部はニッケルである。上記の元素に加えて、インゴットを製造する過程で組み込まれた元素が不純物として含まれていてもよい。本明細書では、このような不純物は、不可避不純物を指している。
さらに詳細な説明のために、本発明を具体化した実施例を示す。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない点に留意されたい。
各々表1に示す組成を有する合金Aから合金Iは、鍛造することなくアーク溶解によって製造される。合金Aから合金Hは本発明に含まれ合金Iは比較材GH2984である。


表1に記載されている全てのアーク溶融された合金について、圧縮試験が行われて、図1に示すように、その結果を比較した。圧縮試験に先立って、すべての材料が均質化した後、GH2984用の標準熱処理条件で熱処理された。
本発明の合金は、図1に示すように、650℃から750℃の温度範囲で、高温強度がGH2984合金よりも優れている。本発明の合金は、特にGH2984合金よりもはるかに優れている。本発明の合金は、ボイラ管がA-USC発電プラントで使用されている範囲の近傍の高温で高い強度を有する。
一方、本発明の合金は、1000℃以上の強度が、既知のGH2984合金に匹敵する。これは、本発明の合金は鍛造温度での変形抵抗が既知のGH2984合金に匹敵しており、既知の合金と同じ程度に製造することが容易であることを意味する。
本発明の合金D、Eと既知のGH2984に対して、725℃、1500時間、高温に曝した後の微細組織の比較が行われた。高温に曝す前に、全ての材料がGH2984用の標準熱処理条件で熱処理された。図2に示すように、有害なTCP相がGH2984合金で観察されるが[図2(c)参照]、合金D、EではTCP相は観察されなかった[図2(a)、(b)参照]。したがって、本発明合金はGH2984合金よりも優れた微細構造の安定性を有している。
図3では、異なる時間について、725℃の高温に曝した本発明の合金中の微小硬度の変動を示している。熱処理状態時の合金の硬さも比較のためにプロットしてある。
GH2984合金の硬さは、時効時間の増加と共に徐々に減少したが、時効期間中、本発明の合金はGH2984よりも高い硬度を示し、1500時間まで時効中、その硬さはほぼ安定に保持されるか又はわずかに減少した。このことは、本発明の合金は優れた相安定性を有し、650 oCから750oCで高温に曝した後でも、高強度を保持することを明らかに示唆している。
各々表2に示す組成を有する合金1、2は、鋳造と鍛造加工により製造された。合金1は、本発明の範囲内であり、合金2は、比較材料GH2984である。ここでは、比較例として市販のニッケル・コバルト基合金であるインコネル740の組成を示す。

インゴットの表面を確認して、均質化と熱間圧延の前に断面マクロ偏析試験を行った。合金1、2の場合、インゴットの表面上に表面的な欠陥はなく、またマクロ偏析に固有の組織は観察されなかった。したがって、以上の結果から、本発明合金は良好な可鋳性(cast-ability)を有することが判る。
次に、鍛造性(forge-ability)と強度の評価用試料を準備した。具体的には、インゴット7kgを真空溶解炉で製造して、その後インゴットは約60mmの正方形棒材を得るために、1050℃から1200℃の温度範囲で鍛造され、次に厚さ約10mmの板材を得るために1050℃から1200℃の温度範囲で熱間圧延された。合金1、2は、その後GH2984合金の標準熱処理された。
図4は、本発明を具体化した合金1の熱間圧延された試料の外観と、既知のGH2984合金のそれを一緒に示す写真である。合金1、2の熱間圧延条件は同じである。合金1、2では、表面き裂は見つからなかった。したがって、合金1はGH2984合金のような良好な加工性を有し、鍛造性の点で、ボイラ管の製造に適していると判断された。
図5は、本発明合金1のγ/γ'二相構造を示している。
図6は、各熱処理した試料から採取した試験片についての室温から800℃までの引張試験の実施結果を示している。本発明を具体化する合金が既知のGH2984合金よりも高い引張強さを示し、650℃から750℃までの温度範囲で、約30〜50%の降伏強さの改善が確認された。また、ニッケル・コバルト基合金インコネル740について発表された論文からのデータも図6に示している。これによると、本発明の合金1の引張強さは、最大800℃までの範囲で、ニッケル・コバルト基合金であるインコネル740よりも優れていることを示している。
結果は、採用された試験条件では、本発明のニッケル−鉄基合金(合金1)は既存のニッケル−鉄基合金(合金2)に対して本質的に同じ加工性を示すと共に、構造の安定性が改善されている。一方で、本発明のニッケル−鉄基合金は、ニッケル - コバルト基合金であるインコネル740と比較しても優れた高温強度を示している。
本発明の合金は、主にボイラ管材料として主蒸気温度700℃以上を有する先進超々臨界圧ボイラで使用するためのものである。従って、本発明のニッケル - 鉄基合金は、高温のボイラ、ボルト、ガスタービンエンジンのように、高温強度や耐食性を必要とする他の用途の材料としても用いることができる。
中国特許公開 第1064709号公報 特開2011―63838号公報 特開2005―29295号公報

Claims (14)

  1. ニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、組成が、質量%で、
    鉄が20%から40%;
    クロムが17%から25%まで;
    チタンが1.3%から2.2%まで;
    アルミニウムが1.0%から2.0%まで;
    ニオブが1.0%から2.0%まで;
    モリブデンが0.5%から1.0%まで;
    タングステンが0%から2.0%まで;
    コバルトが0%から5.0%まで;
    ケイ素が0.05%から0.5%まで;
    炭素が0.03%以下;
    ホウ素が0.001%から0.01%まで;
    ジルコニウムが0.005%から0.05%まで;
    残余のニッケルおよび不可避的不純物からなり、ボイラ用過熱管に好適であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  2. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、クロムが18%から 23%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  3. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、鉄が25%から 34%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  4. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、チタンが1.5%から2.0%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  5. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、アルミニウムが1.4%から1.8%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  6. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ニオブが1.1%から1.6%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  7. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ケイ素が0.05%から0.2%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  8. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ホウ素が0.001%から0.005%までの範囲で含有されていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  9. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、鉄が次式により規定される範囲であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
    8x(質量%Al+質量%Ti+質量%Nb-1)≧質量%Fe≧6x(質量%Al+質量%Ti+質量%Nb-1)
  10. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、鍛造形成体であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  11. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、熱処理が、1000℃から1150℃までの温度で行なわれる溶体化処理と、750℃から840℃の温度範囲と、650℃から720℃の温度範囲で行なわれる二段時効熱処理が含まれていることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  12. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、ガンマ相(γ, fcc)とガンマプライム相(γ', Ni3Al)の二相構造を有し、700℃においてガンマプライム相(Ni3Al)の体積%が10から 20までの範囲で含有され、初期平均ガンマプライム相サイズが20 nmから 70 nmまでの範囲であることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  13. 上記のニッケル−鉄基鍛造合金に於いて、750℃で、0.2%耐力が550MPaから700MPaであり、伸びが10%以上を有していることを特徴とするニッケル−鉄基鍛造合金。
  14. ボイラ過熱器及び/又は再熱器の内部の管として使用される物品であって、上記記載の合金から作られていることを特徴とする物品。
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