JP2014080404A - ガングリオシドgm4の調製方法 - Google Patents

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利久 墨
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Abstract

【課題】本発明は、ガングリオシドGM4含有組成物を、簡便且つ効率的に調製する方法を提供することを課題とした。
【解決手段】本発明者等は鋭意研究を行った結果、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の肝臓含有物を原材料とすることにより、ガングリオシドGM4を、簡便且つ効率的に調製することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガングリオシドGM4の調製方法、及びガングリオシドGM4に関する。
ガングリオシドは、シアル酸を結合しているスフィンゴ糖脂質の1種であり、糖鎖配列、並びにシアル酸の結合数及び結合部位等により構造が異なる、種々のものが知られている。例えば、ガングリオシドGM1は、Galβ1→3GalNAcβ1→4Galβ1→4[α3→2NeuAc]Glcβ1→1Cerからなる構造を有している(Galβ1→3GalNAcは、ガラクトースの1位のヒドロキシル基と、Nアセチルグルコサミンの3位のヒドロキシル基がβグリコシド結合によって連結されていることを示す。以下同様の表記である。)。また、GM3は、Galβ1→4[NeuAcα2→3]Glcβ1→1Cerからなる構造を有している。
一般的に、ガングリオシドは、細胞膜表面の脂質ラフトに集中して存在し、細胞のシグナル伝達を調節していることが報告されているが、ガングリオシドはその種類によって異なる機能を有している。例えば、GM2はガン細胞特異的に存在していることが知られており、GM2に対する抗体ががんの診断及び治療に有用であることが知られている(特許文献1)。従って、ガングリオシドを種類別に精製、単離することは、ガングリオシドの機能の解明のために極めて重要である。
ガングリオシドGM4は、NeuAcα2→3Galβ1→1Cerからなる構造を有しており、高濃度に精製されたものが各種知られている。しかしながら、その原料組織としては魚類の脳組織を使用しており、原料組織を十分量集めることが困難であるため、大量に調製することが困難である(非特許文献1)。
特開平10‐257893号公報
Nobuko Tanaka and Hiroshi Okamura, Characteristics of Gangliosides in liver of Japanese Pilchard, J. Of Oleo Sci., 52, 239-243 (2003)
本発明は、ガングリオシドGM4含有組成物を、簡便且つ効率的に調製する方法を提供することを課題とした。
本発明者等は、鋭意研究の結果、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物の肝臓に、ガングリオシドGM4が大量に含まれていることを見出した。さらに驚くべきことに、これらの動物の肝臓においては、ガングリオシド全体に対するガングリオシドGM4の割合も高いことが見出された。また、ガングリオシドGM4をカラム精製する際に、カラムからの溶出方法をアイソクラティック溶出で行うと、他の溶出方法(リニアグラジエント溶出及びステップワイズ溶出)に比べてより効率的にガングリオシドGM4を溶出できることを見出した。通常、リニアグラジエント溶出やステップワイズ溶出は、カラムからの溶出を効率的に行うために有効な溶出方法であることが知られているところ、このことは驚くべき結果であった。
これらの知見を基に、本発明者等は鋭意研究を行った結果、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の肝臓含有物を原材料とすることにより、ガングリオシドGM4を、簡便且つ効率的に調製することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記の構成を有するものである。
項1. 下記工程(a)、(b)、(c)及び(d)を含むことを特徴とする、ガングリオシドGM4の調製方法:
(a)トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の肝臓含有物の脂質を抽出する工程、
(b)工程(a)で得られた脂質抽出物をけん化後、中和する工程、
(c)工程(b)で得られた中和物を、クロマトグラフィーによって分画する工程、及び
(d)工程(c)で得られた画分から、ガングリオシドGM4含有画分を得る工程。
項2. 工程(c)が、下記工程(c1)、(c2)及び(c3)からなることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法:
(c1)工程(b)で得られた中和物を、陰イオン交換カラムを用いたクロマトグラフィーによって分画する工程、
(c2)工程(c1)で得られた画分から、ガングリオシドGM4含有画分を得る工程、及び
(c3)工程(c2)で得られたガングリオシドGM4含有画分を、ケイ酸カラムを用いたクロマトグラフィーによって分画する工程。
項3. 工程(c3)における分画が、アイソクラティック溶出によって行われることを特徴とする、請求項2に記載の調製方法。
項4. トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の動物由来のガングリオシドGM4。
項5. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の動物由来のガングリオシドGM4。
本発明によれば、ガングリオシドGM4を、簡便且つ効率的に製造すること、及びガングリオシドGM4を安価に提供することができる。さらに、エイ類は、他の魚類に比べて体重が大きいこと、及び体重に占める肝臓重量の割合が高いことから、本発明の調製方法は、使用する原材料の調達が容易である点でも、ガングリオシドGM4の大量調製に有利である。
また、近年、日本近海、特に有明海において、トビエイ目に属するナルトビエイによる漁業被害が深刻な問題となっている。具体的には、ナルトビエイによる貝類資源の食害、漁業網にかかるナルトビエイによる漁業の非効率化の問題が挙げられる。本発明によれば、ナルトビエイを有効利用することができるため、上記問題の解決又は緩和に極めて優れた効果を発揮することができる。
粗スフィンゴ糖脂質画分のTLC分析結果を示す図である。 陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製で得られた10 mM酢酸アンモニウム溶出画分のTLC分析結果を示す図である。 陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製で得られた10 mM酢酸アンモニウム溶出画分の加水分解物のTLC分析結果を示す図である。 ケイ酸カラム溶出画分のTLC分析結果を示す図である。 ケイ酸カラム溶出画分の加水分解物のTLC分析結果を示す図である。 ガングリオシドGM4画分中のガングリオシドGM4を、ESI−MSにより確認した結果を示す図である。 ガングリオシドGM4画分中のガングリオシドGM4を、ESI−MSにより確認した結果を示す図である。 ガングリオシドGM4画分中のガングリオシドGM4を、ESI−MSにより確認した結果を示す図である。 ガングリオシドGM4画分中に含まれているガングリオシドGM4の純度を、Diolカラムによる順相HPLCで測定した結果を示す図である。
(1)ガングリオシドGM4の調製方法
本発明のガングリオシドGM4の調製方法は、下記工程(a)、(b)、(c)及び(d)を含むことを特徴とする、ガングリオシドGM4の調製方法である。
(1−1)工程(a)
工程(a)は、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の肝臓含有物の脂質を抽出する工程である。
トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種としては、トビエイ目動物が好ましい。
トビエイ目動物は、トビエイ目に分類される動物であり、トビエイ科、アカエイ科、ウチワザメ科、ムツエラエイ科、ウスエイ科、ヒラタエイ科、ウロトリゴン科、ポタモトリゴン科、又はツバクロエイ科等に属する動物が例示され、これらの中でもトビエイ科又はアカエイ科に属する動物が好ましく挙げられ、トビエイ科に属する動物がより好ましく挙げられる。トビエイ科に属する動物としては、ナルトビエイ、マダラトビエイ、又はオニイトマキエイ等が例示され、これらの中でもナルトビエイが好ましく挙げられる。アカエイ科に属する動物としては、アカエイが例示される。
シビレエイ目動物は、シビレエイ目に分類される動物であり、ヤマトシビレエイ科、又はタイワンシビレエイ科に属する動物が例示され、これらの中でもヤマトシビレエイ科に属する動物が好ましく挙げられる。ヤマトシビレエイ科に属する動物としては、ヤマトシビレエイが好ましく挙げられる。
ガンギエイ目動物は、ガンギエイ目に分類される動物であり、ガンギエイ科、シノノメサカタザメ科、トンガリサカタザメ科、サカタザメ科に属する動物が例示され、これらの中でもガンギエイ科に属する動物が好ましく挙げられる。ガンギエイ科に属する動物としては、ガンギエイが好ましく挙げられる。
ノコギリエイ目動物は、ノコギリエイ目に分類される動物であり、ノコギリエイ科に属する動物が例示される。ノコギリエイ科に属する動物としては、ノコギリエイが挙げられる。
本発明のガングリオシドの調製方法によれば、上記動物を用いることにより、ガングリオシドGM4を、簡便且つ効率的に調製すること可能となる。
肝臓含有物は、上記動物の肝臓又は肝臓加工物を含有するものであれば特に限定されるものではないが、ガングリオシドGM4の調製が容易であるという観点から、肝臓又は肝臓加工物を、好ましくは70重量%以上、より好ましくは85重量%以上、特に好ましくは95重量%以上含有するものである。
上記動物の肝臓は、上記動物の体内から取り出された肝臓組織であり、公知の方法によって調製することができる。
上記動物の肝臓加工物は、上記動物の体内から取り出された肝臓組織又は肝臓含有組織を加工したものである。加工の態様としては、肝臓組織中のガングリオシドGM4が分解されない限り特に限定されるものではない。肝臓加工物としては、その後の操作の簡便性の観点から、凍結乾燥物、又はアセトンパウダー(アセトン可溶化成分を除いた乾燥粉末)を使用することが好ましい。
脂質の抽出は、脂質を溶解させることができる種々の溶媒(抽出溶媒)を用いて抽出することにより行われる。抽出方法としては、特に限定されるものではなく、種々の公知の方法を採用することができるが、例えば抽出溶媒を肝臓含有物に加えてホモジナイズした後、不溶性の残渣を除去する方法が挙げられる。得られた脂質抽出物は下記工程(b)に用いられる。
抽出溶媒としては、例えば有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、エーテル類、ピリジン類、ポリエーテル類、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。これらの中でも、クロロホルム及びアルコールの混合溶液が好ましく、クロロホルム及びメタノールを一定割合、例えば容量で2:1(クロロホルム:メタノール)で混合した溶液が例示される。
抽出に用いられる有機溶剤の量としては、特に限定されず、肝臓含有物から脂質を抽出するのに十分な量であればよい。具体的には、肝臓含有物の固形分重量に対して0.5〜100倍、好ましくは1〜50倍がよい。抽出の際の温度条件は、使用する溶剤の沸点にもよるが、例えばエタノールを用いた場合では、好ましくは0℃〜80℃がよい。抽出温度がこの範囲以下であれば抽出効率が低下し、またこの範囲以上であれば溶剤の揮発をもたらし、またエネルギー使用量が増えるのみである。抽出時間は、特に限定されないが、抽出効率と作業性の観点から、好ましくは10分〜24時間がよい。
不溶性の残渣を除去する方法も公知の方法で行えばよく、具体的には吸引濾過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、濾過遠心機などを用いればよい。
得られた脂質抽出物は、下記工程(b)におけるけん化反応の効率性の観点から、濃縮乾固することが好ましい。濃縮乾固する方法としては、種々の公知の方法、例えば凍結乾燥、又は蒸発乾燥等が挙げられる。
(1−2)工程(b)
工程(b)は、工程(a)で得られた脂質抽出物をけん化後、中和する工程である。
工程(a)で得られた脂質抽出物をけん化することにより、脂質抽出物中の中性脂質やタンパク質を破壊し、ガングリオシド以外の脂質成分を除くことができる。
けん化は、種々の公知の方法によって行うことができる。例えば、工程(a)で得られた脂質抽出物と、アルカリ溶液を混合し、一定時間静置することにより行われる。
アルカリ溶液は、けん化反応を起こすものであれば特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムをアルコールに溶解させた溶液が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムをメタノールに溶解させた溶液が挙げられる。
アルカリ溶液の添加量としては、脂質抽出物中の中性脂質やタンパク質を破壊することができる限り、特に限定されず、脂質抽出物の量に応じて適宜選択されるものであるが、例えば脂質抽出物とアルカリ溶液の混合液におけるpHが10〜14、好ましくは11〜14、より好ましくは12〜14の範囲となるように添加することが好ましい。
脂質抽出物とアルカリ溶液を混合した後の静置時間は、脂質抽出物中の中性脂質やタンパク質を破壊することができる限り、特に限定されるものではないが、例えば0.1時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは10時間以上、さらに好ましくは24時間以上の静置時間が挙げられる。
中和は、種々の公知の方法によって行うことができるが、例えば、けん化後の溶液(けん化溶液)に、酸溶液を加えて混合することにより行われる。得られた中和物は、下記工程(c)に用いられる。
酸溶液は、けん化溶液の中和を行うことができる限り特に限定されるものではないが、例えば酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、クエン酸等が挙げられる。
酸溶液の添加量としては、けん化溶液の中和を行うことができる限り特に限定されるものではなく、けん化溶液のpHに従って適宜選択される。
中和後の溶液は、下記工程(c)の移動相用溶媒の調製が容易であるという観点から、濃縮乾固することが好ましい。濃縮乾固する方法としては、種々の公知の方法、例えば凍結乾燥等が挙げられる。また、中和後の溶液を、濃縮乾固する代わりに、又は濃縮乾固した後に、下記工程(c)のクロマトグラフィーに適した溶媒を選択できる観点から、濃縮乾固物を透析して脱塩することが好ましい。透析方法としては、脱塩することができる限り特に限定されるものではないが、蒸留水に対して透析することが挙げられる。
(1−3)工程(c)
工程(c)は、工程(b)で得られた中和物を、クロマトグラフィーによって分画する工程である。
クロマトグラフィーは、工程(b)で得られた中和物を、移動相用溶媒と混合し、該混合液をクロマトグラフィー用カラム中に流すことにより、該混合液中の成分をカラムの担体に吸着させ、洗浄溶媒でカラムを洗浄した後、該吸着物を溶出液で溶出することにより行われる。分画は、該溶出液で溶出された液を、溶出順に複数画分に分けて回収することにより行われる。
クロマトグラフィー用カラムとしては、ガングリオシドGM4を吸着することができる限り特に限定されず、公知のカラムを適宜選択することができる。このようなカラムとしては、例えば陰イオン交換カラム、ケイ酸カラム、逆相分配カラム、順相分配カラム、又はシリカゲルを化学修飾した-RP、-CN、若しくは-Diol等が挙げられる。これらの中でも、ガングリオシドGM4の吸着性及び溶出の容易性の観点から、陰イオン交換カラム、又はケイ酸カラムが好ましく挙げられる。
移動相用溶媒は、ガングリオシドGM4をカラムに吸着させることができるものである限り特に限定されず、カラムの種類に従って適宜選択することができる。例えば、カラムが陰イオン交換カラムである場合は、クロロホルム/アルコール/水の混合溶液が挙げられ、この混合溶液に酢酸エチル及び/又は酢酸ブチルなどを任意の割合で加えた溶液でもよい。また、例えば、カラムがケイ酸カラムである場合は、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、クロロホルムが好ましく挙げられる。アルコールとしては、種々のアルコールを使用することができるが、好ましくはメタノールが挙げられる。クロロホルム/アルコール/水の混合溶液の混合割合は、特に限定されるものではないが、一つの好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水が10〜50:40〜80:0〜25(容量比)である混合割合が挙げられ、より好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水が20〜40:50〜70:3〜18(容量比)である混合割合が挙げられ、さらに好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水が25〜35:55〜65:6〜10(容量比)である混合割合が挙げられる。
洗浄液は、カラムに吸着したガングリオシドGM4を脱離させないものである限り特に限定されず、カラムの種類に従って適宜選択することができる。カラムが陰イオン交換カラムである場合は、クロロホルム/アルコール/水の混合溶液が挙げられる。カラムがケイ酸カラムである場合は、クロロホルム/アルコールの混合溶液、クロロホルム/アセトンの混合溶液、クロロホルム/酢酸エチルの混合溶液、又はクロロホルム/酢酸ブチルの混合溶液が挙げられ、クロロホルム/アルコールの混合溶液が好ましく挙げられる。アルコールとしては、種々のアルコールを使用することができるが、好ましくはメタノールが挙げられる。クロロホルム/アルコール/水の混合溶液の混合割合は、特に限定されるものではないが、一つの好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水が10〜50:40〜80:0〜25である混合割合が挙げられ、より好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水が20〜40:50〜70:3〜18(容量比)である混合割合が挙げられ、さらに好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水が25〜35:55〜65:6〜10(容量比)である混合割合が挙げられる。クロロホルム/アルコールの混合溶液の混合割合は、特に限定されるものではないが、一つの好ましい態様として、クロロホルム:アルコールが50〜100:0〜50(容量比)である混合割合が挙げられ、より好ましい態様として、クロロホルム:アルコールが70〜100:0〜30(容量比)である混合割合が挙げられ、さらに好ましい態様として、クロロホルム:アルコールが80〜95:5〜20(容量比)である混合割合が挙げられる。
溶出は、公知の方法、例えば、アイソクラティック溶出、リニアグラジエント溶出、又はステップワイズ溶出によって行われる。アイソクラティック溶出は、溶出が、同一組成を有する1種類の溶出液によって行われる。リニアグラジエント溶出は、溶出が、溶出液中の特定成分(1種又は2種以上)の濃度を徐々に変化させながら行われ、通常、ある組成を有するA液と、A液とは別の組成を有するB液とを、A液に対するB液の割合を徐々に増やしながら混合して、溶出が行われる。より具体的には、リニアグラジエント溶出は、例えば100%のA液で溶出し、A液に加えるB液の量を徐々に増やしながらさらに溶出を行い、最終的に100%のB液で溶出を行うことによって行われる。ステップワイズ溶出は、溶出が、溶出液中の特定成分(1種又は2種以上)の濃度が異なる複数種類の溶出液を順に溶出に用いることにより行われる。より具体的には、ステップワイズ溶出は、第1液、第2液、・・・第n液(n=2以上)を準備し、まず第1液で溶出し、次に第2液で溶出し、・・・最後に第n液で溶出することにより行われる。
溶出液は、カラムに吸着したガングリオシドGM4を脱離させることができるものである限り特に限定されず、カラムの種類、溶出方法に従って適宜選択することができる。
カラムが陰イオン交換カラムである場合は、溶出液としては、酢酸アンモニウム及び/又は重炭酸アンモニウムを含む溶液であって、該溶液の溶媒がクロロホルム/アルコール/水の混合溶液、クロロホルム/アセトン/水の混合溶液、クロロホルム/酢酸エチルの混合溶液、又は酢酸ブチル/水の混合溶液である溶液が挙げられ、酢酸アンモニウム及び/又は重炭酸アンモニウムを含むクロロホルム/アルコール/水の混合溶液が好ましく挙げられる。アルコールとしては、種々のアルコールを使用することができるが、好ましくはメタノールが挙げられる。クロロホルム/アルコール/水の混合溶液の好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水の混合割合が10〜50:40〜80:0〜25(容量比)である混合溶液が挙げられ、より好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水の混合割合が20〜40:50〜70:3〜18(容量比)である混合溶液が挙げられ、さらに好ましい態様として、クロロホルム:アルコール:水の混合割合が25〜35:55〜65:6〜10(容量比)である混合溶液が挙げられる。溶出液中の酢酸アンモニウムの濃度としては、ガングリオシドGM4を溶出することができる濃度である限り特に限定されるものではないが、20mMより高い濃度ではガングリオシドGM4が効率よく溶出されにくい傾向にあるため、好ましくは3〜20mM、より好ましくは5〜16mM、さらに好ましくは8〜12mMの濃度が挙げられる。
カラムがケイ酸カラムである場合は、溶出液としては、クロロホルム/アルコール/水の混合溶液、クロロホルム/アセトンの混合溶液、クロロホルム/酢酸エチルの混合溶液、又はクロロホルム/酢酸ブチルの混合溶液が挙げられる。アルコールとしては、種々のアルコールを使用することができるが、好ましくはメタノールが挙げられる。カラムがケイ酸カラムである場合、溶出液の一つの好ましい態様として、クロロホルム/アルコール/水の混合溶液が挙げられ、さらに溶出方法によって以下のような溶出液が好ましく挙げられる。
カラムがケイ酸カラムである場合で、溶出方法がアイソクラティック溶出である場合は、例えばクロロホルム:アルコール:水の混合割合が45〜85:5〜45:0〜20(容量比)である混合溶液が挙げられ、好ましくはクロロホルム:アルコール:水の混合割合が55〜75:15〜35:0〜15(容量比)である混合溶液が挙げられ、さらに好ましくはクロロホルム:アルコール:水の混合割合が60〜70:20〜30:2〜10(容量比)である混合溶液が挙げられる。
カラムがケイ酸カラムである場合で、溶出方法がリニアグラジエント溶出である場合は、A液として、例えばクロロホルム:アルコールの混合割合が50〜100:0〜50(容量比)である混合溶液が挙げられ、好ましくはクロロホルム:アルコールの混合割合が65〜95:5〜35(容量比)である混合溶液が挙げられ、より好ましくはクロロホルム:アルコールの混合割合が75〜90:10〜25(容量比)である混合溶液が挙げられ、B液として、例えばクロロホルム:アルコールの混合割合が10〜70:30〜90(容量比)である混合溶液が挙げられ、好ましくはクロロホルム:アルコールの混合割合が25〜55:45〜75(容量比)である混合溶液が挙げられ、より好ましくはクロロホルム:アルコールの混合割合が35〜45:55〜65(容量比)である混合溶液が挙げられる。
カラムがケイ酸カラムである場合で、溶出方法がステップワイズ溶出である場合は、例えばクロロホルム:アルコールの混合割合が0〜100:0〜100(容量比)である混合溶液が挙げられ、具体的には第1液として、例えばクロロホルム:アルコールの混合割合が80〜100:0〜20(容量比)である混合溶液が挙げられ、好ましくはクロロホルム:アルコールの混合割合が90〜100:0〜10(容量比)である混合溶液が挙げられ、第n液として例えばクロロホルム:アルコールの混合割合が0〜20:80〜100(容量比)である混合溶液が挙げられ、好ましくはクロロホルム:アルコールの混合割合が0〜10:90〜100(容量比)である混合溶液が挙げられ、第2液〜第(n−1)液として、アルコールの混合割合が第1液から第n液にかけて増加していくように調整された混合溶液が挙げられる。具体的には、例えば第1液がクロロホルム:アルコールの混合割合が95〜100:0〜5(容量比)である混合溶液であり、第2液がクロロホルム:アルコールの混合割合が85〜95:5〜15(容量比)である混合溶液であり、第3液がクロロホルム:アルコールの混合割合が75〜85:15〜25(容量比)である混合溶液であり、第4液がクロロホルム:アルコールの混合割合が65〜75:25〜35(容量比)である混合溶液であり、第5液がクロロホルム:アルコールの混合割合が40〜60:40〜60(容量比)である混合溶液であり、第6液(第n液)がクロロホルム:アルコールの混合割合が0〜5:95〜100(容量比)である混合溶液である。
クロマトグラフィー及び分画のその他の条件(温度、カラムサイズ、移動相の量、洗浄液の量、溶出液の量、各画分の容量等)は、公知の情報に基づき、適宜選択することができる。
クロマトグラフィーによる分画は、ガングリオシドGM4の精製度が高まるという観点から、複数回繰り返すこと、すなわちクロマトグラフィーによる分画によって得られた、ガングリオシドGM4含有画分を、さらに次のクロマトグラフィーによって分画することが好ましい。この態様において、クロマトグラフィー用カラムは、同種のカラムを用いても良いし、異なるカラムを用いても良い。このような態様のうちの一つの好ましい態様としては、工程(c)を下記工程(c1)、(c2)、及び(c3)によって行う態様が挙げられる。
(1−3−1)工程(c1)
工程(c1)は、工程(b)で得られた中和物を、陰イオン交換カラムを用いたクロマトグラフィーによって分画する工程である。
工程(c1)は、クロマトグラフィー用カラムとして、陰イオン交換カラムを用いる以外、上記工程(c)と同様に行われる。
(1−3−2)工程(c2)
工程(c2)は、工程(c1)で得られた画分から、ガングリオシドGM4含有画分を得る工程である。
ガングリオシドGM4含有画分を得るとは、工程(c1)で得られた複数の画分から、ガングリオシドGM4を含有している画分を選択することである。このような画分の選択は、各画分中にガングリオシドGM4が含まれているか否かを、公知の方法によって判定し、ガングリオシドGM4が含まれている画分を選択することによって行われる。このようにして得られたガングリオシドGM4含有画分は、下記工程(c3)に用いられる。
ガングリオシドGM4が含まれているか否か判定する方法は、特に限定されるものではなく、画分中の成分を分析することができる種々の手法を用いることができる。このような手法としては、例えば、薄層クロマトグラフィー、MASSスペクトロメトリー、又はNMR等が挙げられる。これらの中でも、手法の容易性の観点から、薄層クロマトグラフィーが挙げられる。
薄層クロマトグラフィーは公知の方法によって行うことができ、特に限定されるものではないが、例えば、各画分の溶液を濃縮乾固し、該濃縮乾固物を少量のクロロホルム/メタノール混合溶液(2/1、容量比)等の溶媒に溶解させ、さらにクロロホルム/メタノール/12mM MgCl2溶液の混合溶液(50/40/10、容量比)等の展開溶媒を混合し、該展開溶媒を担体上で展開させたあと、展開パターンを公知の方法により検出することにより行われる。この際に、精製されたガングリオシドGM1、GM2、GM3及び/又はGM4等を同時に展開させ、各画分中のスフィンゴ脂質の移動度と、該精製されたガングリオシドの移動度と比較することにより、各画分中にガングリオシドGM4が含まれているか否かを判定することができる。
(1−3−3)工程(c3)
工程(c3)は、工程(c2)で得られたガングリオシドGM4含有画分を、ケイ酸カラムを用いたクロマトグラフィーによって分画する工程である。
工程(c1)は、工程(c2)で得られたガングリオシドGM4含有画分を分画する点、及びクロマトグラフィー用カラムとしてケイ酸カラムを用いる点以外、上記工程(c)と同様に行われることができるが、ガングリオシドGM4の溶出の効率が高いという観点から、好ましくは、溶出がアイソクラティック溶出によって行われる態様が挙げられる。本発明においては、驚くべきことに、工程(c3)における溶出をアイソクラティック溶出によって行うことにより、ガングリオシドGM4を効率良く溶出できることが見出された。
(1−4)工程(d)
工程(d)工程(c)で得られた画分から、ガングリオシドGM4含有画分を得る工程である。
工程(d)は、工程(c)で得られた画分を用いる点以外は、上記工程(c2)と同様に行われる。
(2)ガングリオシドGM4
本発明のガングリオシドGM4は、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の動物由来のガングリオシドGM4である。
動物由来とは、該動物の体組織、好ましくは肝臓含有物中に含まれているものであることを示す。肝臓含有物とは、上記「(1−1)工程(a)」に記載されているものを示す。
由来する動物は、上記「(1−1)工程(a)」の記載と同様である。
本発明のガングリオシドGM4の調製は、特に限定されるものではないが、ガングリオシドGM4の精製度の観点から、一つの好ましい態様として、上記「(1)ガングリオシドGM4の調製方法」に記載された方法が挙げられる。
本発明のガングリオシドGM4は、上記動物以外の動物に由来するガングリオシドGM4とは、ガングリオシドGM4中のセラミド部分の脂肪酸鎖の構成の点で異なるものである。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製
1−1.粗スフィンゴ糖脂質画分の調製
2 gのナルトビエイ肝臓凍結乾燥物に200 mlのクロロホルム/メタノールの混合溶液(2/1, v/v)を加えてホモジナイズし、濾過することにより脂質成分を抽出した。
濾液を濃縮乾固後、5 mlの0.6 N NaOH/メタノールに溶解し、室温で一晩放置し、中性脂質やタンパク質を破壊した。酢酸で中和後、濃縮乾固してメタノールを除いた後、蒸留水に懸濁して蒸留水に対して透析した。透析内液を凍結乾燥して乾燥粉末(粗スフィンゴ糖脂質画分)を得た。
得られた粗スフィンゴ糖脂質画分を、展開溶媒(クロロホルム/メタノール/12mM MgCl2溶液の混合溶液(50/40/10、容量比))に溶解させ、TLCにより該展開溶媒を展開し、展開パターンをDPA試薬によって検出した。結果を図1に示す。
図1において、展開溶媒は、下から上に向けて展開されている(下記図2〜5において同様)。ガングリオシド標準溶液と表示されたレーンは、精製されたガングリオシドGM1、GM2、GM3、GD1a、GD1b、及びGT1bを含有する溶液を展開したレーンである。標準溶液と表示されたレーンは、グルコース‐セラミド結合物、ラクトース‐セラミド結合物、CTH(Ceramide Tri Hexose)、及びGlc(Glucose)を含有する溶液を展開したレーンである。
図1の結果より、粗スフィンゴ糖脂質画分中には、ガングリオシドGM3よりもやや移動度が高い物質が主要なガングリオシドであることが示唆された。
1−2.粗スフィンゴ糖脂質画分の陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製
粗スフィンゴ糖脂質画分の乾燥粉末を5 mlのクロロホルム/メタノール/水の混合溶液(30/60/8, v/v/v)に溶解し、同溶液で平衡化したQMAカートリッジ(陰イオン交換体、ゲル容積1 ml)にサンプリングした。非吸着物を同溶液で洗い流した後、10 mMの酢酸アンモニウムを含む同溶液で、吸着物を溶出した。本イオン交換クロマトグラフィー操作を5回繰り返して、10 mM酢酸アンモニウム溶出画分を得た。
該画分を凍結乾燥し、展開溶媒(クロロホルム/メタノール/12mM MgCl2溶液の混合溶液(50/40/10、容量比))に溶解させ、TLCにより該展開溶媒を展開し、展開パターンをDPA試薬によって検出した。結果を図2に示す。
図2において、GM3と表示されたレーンは、精製されたGM3を含有する溶液を展開したレーンである。originalと表示されたレーンは、クロロホルム/メタノール 2/1抽出物を展開したレーンである。BT3と表示されたレーンは、3回目の精製時に非吸着物を洗い流した試料を展開したレーンである。10mM AA1,2,3と表示されたレーンは、それぞれ溶出液を1 mlずつ分取した試料を展開したレーンである。Globoと表示されたレーンは、陰イオン交換で除かれる中性糖脂質の対比に用いたグロボシドを展開したレーンである
図2の結果より、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製で得られた10 mM酢酸アンモニウム溶出画分中には、ガングリオシドGM3よりもやや移動度が高い物質が主要成分として含まれていることが示唆された。
さらに、上記ガングリオシドGM3よりもやや移動度が高い物質が、ガングリオシドGM4であるか、あるいはガングリオシドGM3であるのかを確かめた。ガングリオシドGM3は加水分解によりラクトース‐セラミド結合物を生じることが知られており、また、ガングリオシドGM4は加水分解によりガラクトース‐セラミド結合物を生じることが知られている。そして、ラクトース‐セラミド結合物と、ガラクトース‐セラミド結合物は、TLCにおける移動度が明確に異なることが知られている。このことを利用して、10 mM酢酸アンモニウム溶出画分を加水分解したもの、ガングリオシドGM3加水分解物、及びガングリオシドGM4加水分解物のTLCにおける移動度を比較することにより、上述のガングリオシドGM3よりもやや移動度が高い物質が、ガングリオシドGM4であるか、あるいはガングリオシドGM3であるのかを確かめた。
具体的には、10 mM酢酸アンモニウム溶出画分を蒸発乾燥し、該蒸発乾燥物に0.2 N トリフルオロ酢酸を加え、80 °Cで1時間加水分解した後、該加水分解後の溶液を凍結乾燥した。この凍結乾燥物を展開溶媒(クロロホルム/メタノール/12mM MgCl2溶液の混合溶液(50/40/10、容量比))に溶解させ、TLCにより該展開溶媒を展開し、展開パターンをDPA試薬によって検出した。結果を図3に示す。
図3において、GM3と表示されたレーンは、精製されたGM3を含有する溶液を展開したレーンである。GM4と表示されたレーンは、精製されたGM4を含有する溶液を展開したレーンである。10 mM eluateと表示されたレーンは、10 mM酢酸アンモニウム溶出画分を展開したレーンである。Hydrolyzateの表示は、加水分解したものを展開したレーンであることを示す。NeuAcは、シアル酸を含有する溶液を展開したレーンである。Gal-Cerと表示されたレーンは、ガラクトース‐セラミド結合物を含有する溶液を展開したレーンである。Lac-Cerと表示されたレーンは、ラクトース‐セラミド結合物を含有する溶液を展開したレーンである。
図3の結果より、10 mM酢酸アンモニウム溶出画分に含まれるガングリオシドGM3よりもやや移動度が高い物質は、ガングリオシドGM4であることが明らかになった。
1−3.陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製で得られた10 mM酢酸アンモニウム溶出画分のケイ酸カラムによる精製
10 mM酢酸アンモニウム溶出画分を濃縮乾固し、8 mlのクロロホルムに溶解し、クロロホルムで平衡化したケイ酸カラム(1.2 × 22 cm)にサンプリングした。その後、クロロホルム/メタノール溶液(9/1, v/v)で不純物を溶出した。不純物の溶出後、クロロホルム/メタノール/水 溶液(65/25/4, v/v)溶液(150 ml)を溶出液として、アイソクラティック溶出により吸着物を溶出し、ケイ酸カラム溶出画分を得た。
該画分を凍結乾燥し、展開溶媒(クロロホルム/メタノール/12mM MgCl2溶液の混合溶液(50/40/10、容量比))に溶解させ、TLCにより該展開溶媒を展開し、展開パターンをDPA試薬によって検出した。結果を図4に示す。
図4において、「86−100」のように数字で示されたレーンは、該数字で示される画分番号のケイ酸カラム溶出画分をプールした溶液を展開したレーンを示す。
図4の結果より、ガングリオシドGM4は、画分番号86-100に、高純度で含まれていることが明らかとなった。この結果に基づき、ケイ酸カラム溶出画分の画分番号86-100をプールしたものをガングリオシドGM4画分とした。
ガングリオシドGM4画分に高純度で含まれている物質が、ガングリオシドGM4であることを確認するために、該ガングリオシドGM4画分を加水分解し、TLCによって分析した。結果を図5に示す。
図5より、ガングリオシドGM4画分に高純度で含まれている物質は、確かにガングリオシドGM4であることが確認された。
さらに、ガングリオシドGM4画分に高純度で含まれている物質が、ガングリオシドGM4であることを確認するために、ESI−MSを行った。結果を図6、7、及び8に示す。ESI−MSの条件は各図中に示す。
図6、7、及び8の結果より、得られた分子イオン及びフラグメントパターンから、ガングリオシドGM4画分に高純度で含まれている物質はガングリオシドGM4であることが確認された。
2.ガングリオシドGM4画分中のガングリオシドGM4の純度の測定
上記「1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製」で得られたガングリオシドGM4画分に含まれているガングリオシドGM4の純度を、Diolカラムによる順相HPLCで測定した。
カラムは、Develosil 100 diol (2 x 250 mm)を用い、; 溶離液 A, クロロホルム:メタノール:1mol/L 酢酸アンモニウム = 92:8:0.5 (v/v/v); 溶離液B, クロロホルム:メタノール:水:1mol/L 酢酸アンモニウム = 65:30:5:0.5 (v/v/v/v), を 0 (A:90%, B:10%) から 20分(B:100%)となるよう直線的濃度勾配をかけて溶出した。カラム温度は40℃で行った。検出は、陰イオンモードESIイオントラップマススペクトロメトリーで行った。結果を図9に示す。
図9の結果より、ガングリオシドGM4画分に含まれているガングリオシドGM4の純度は100%であることが明らかとなった。
3.ガングリオシドGM4の含有割合
各魚類について、体重に対して肝臓重量が占める割合を測定した。
また、上記「1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製」で得られた「ガングリオシドGM4画分」に含まれるシアル酸量を定量した。。これと同時に、上記「1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製」で得られた「スフィンゴ糖脂質画分」に含まれるシアル酸量を定量した。また、アカエイ、ガンギエイ、及びヤマトシビレエイの肝臓凍結乾燥物を材料として、上記「1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製」と同様に得られた「ガングリオシドGM4画分」及び「スフィンゴ糖脂質画分」に含まれるシアル酸量も定量した。さらに、参考として、マダイ、カツオ、及びマサバの肝臓凍結乾燥物を材料として、上記「1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製」と同様に得られた「スフィンゴ糖脂質画分」に含まれるシアル酸量も定量した。なお、シアル酸量の定量は、Y. Uchidaらの方法で行った(J. Biochem., 82, 1425-1433, 1977)。体重に対して肝臓重量が占める割合の測定結果を表1に示す。また、「ガングリオシドGM4画分」及び「スフィンゴ糖脂質画分」に含まれるシアル酸量の定量結果を下記表2に示す。
Figure 2014080404
Figure 2014080404
表1の結果より、エイの比肝臓重量は約10%程度もあり、他の魚類(1%程度)に比べて極めて高いことが明らかとなった。
表2中、「肝臓凍結乾燥物中のシアル酸」は、肝臓凍結乾燥物1gから得られる「スフィンゴ糖脂質画分」中のシアル酸重量を示し、「精製後のGM4画分のシアル酸」は、肝臓凍結乾燥物1gから得られる「ガングリオシドGM4画分」中のシアル酸重量を示す。上記「2.ガングリオシドGM4画分中のガングリオシドGM4の純度の測定」より、「ガングリオシドGM4画分」中のガングリオシドGM4の純度はほぼ100%であるため、「肝臓凍結乾燥物中のシアル酸」に対する「精製後のGM4画分のシアル酸」は、肝臓凍結乾燥物中の全シアル酸重量に対する、ガングリオシドGM4のシアル酸重量の割合を示す。表2の結果より、ナルトビエイ、アカエイ、ガンギエイ、及びヤマトシビレエイなどのエイの肝臓乾燥物中には、他の魚類に比べて、極めて高い割合でシアル酸が含まれていることが明らかとなった。また、ナルトビエイ、アカエイ、ガンギエイ、及びヤマトシビレエイの肝臓凍結乾燥物中の全シアル酸重量に対する、ガングリオシドGM4のシアル酸重量は、約50%という極めて高い割合であった。
以上の通り、エイは他の魚類に比べて、比肝臓重量も高く、さらに肝臓中のシアル酸も豊富で、且つ肝臓中のシアル酸に含まれるガングリオシドGM4の割合も高いことから、エイの肝臓はガングリオシドGM4を得るための材料として極めて優れていることが明らかとなった。
4.溶出方法の検討
ケイ酸カラム溶出画分を得るための溶出を、アイソクラティック溶出ではなく、リニアグラジエント溶出、又はステップワイズ溶出で行う以外は、上記「1.ナルトビエイ肝臓凍結乾燥物からのガングリオシドGM4の精製」と同様に「ガングリオシドGM4画分」を調製した。なお、リニアグラジエント溶出は、溶出液としてA液(クロロホルム/メタノール溶液(85/15,v/v)(750 ml))及びB液(クロロホルム/メタノール溶液(40/60,v/v)(750 ml))を用い、A液とB液の混合液(徐々にB液の混合割合を増加)で溶出することにより行った。また、ステップワイズ溶出は、溶出液として、順にクロロホルム(75 ml)、クロロホルム/メタノール溶液(9/1,v/v)(75 ml)、クロロホルム/メタノール溶液(8/2,v/v)(75 ml)、クロロホルム/メタノール溶液(7/3,v/v)(75 ml)、クロロホルム/メタノール溶液(1/1,v/v)(75 ml)、メタノール(75 ml)を用いて、溶出することにより行った。
上記「3.ガングリオシドGM4の含有割合」と同様の方法に従って、調製された「ガングリオシドGM4」に含まれるシアル酸量を定量した。ナルトビエイ又はガンギエイの肝臓凍結乾燥物1gから得られる「ガングリオシドGM4画分」中のシアル酸重量を、溶出方法別に比較した結果を表3に示す。
Figure 2014080404
表3の結果より、ケイ酸カラム溶出画分を得るための溶出をアイソクラティック溶出で行った方が、リニアグラジエント溶出及びステップワイズ溶出で行う場合に比べて、効率的にガングリオシドGM4を溶出できることが明らかとなった。

Claims (5)

  1. 下記工程(a)、(b)、(c)及び(d)を含むことを特徴とする、ガングリオシドGM4の調製方法:
    (a)トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の肝臓含有物の脂質を抽出する工程、
    (b)工程(a)で得られた脂質抽出物をけん化後、中和する工程、
    (c)工程(b)で得られた中和物を、クロマトグラフィーによって分画する工程、及び
    (d)工程(c)で得られた画分から、ガングリオシドGM4含有画分を得る工程。
  2. 工程(c)が、下記工程(c1)、(c2)及び(c3)からなることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法:
    (c1)工程(b)で得られた中和物を、陰イオン交換カラムを用いたクロマトグラフィーによって分画する工程、
    (c2)工程(c1)で得られた画分から、ガングリオシドGM4含有画分を得る工程、及び
    (c3)工程(c2)で得られたガングリオシドGM4含有画分を、ケイ酸カラムを用いたクロマトグラフィーによって分画する工程。
  3. 工程(c3)における分画が、アイソクラティック溶出によって行われることを特徴とする、請求項2に記載の調製方法。
  4. トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の動物由来のガングリオシドGM4。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、トビエイ目動物、シビレエイ目動物、ノコギリエイ目動物、及びガンギエイ目動物からなる群から選択される少なくとも1種の動物由来のガングリオシドGM4。
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