JP2014080359A - 熱可塑性樹脂膜及び合わせガラス - Google Patents

熱可塑性樹脂膜及び合わせガラス Download PDF

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JP2014080359A JP2013201846A JP2013201846A JP2014080359A JP 2014080359 A JP2014080359 A JP 2014080359A JP 2013201846 A JP2013201846 A JP 2013201846A JP 2013201846 A JP2013201846 A JP 2013201846A JP 2014080359 A JP2014080359 A JP 2014080359A
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Yoshinaga Hayashi
善永 林
Shigehiro Inui
成裕 乾
Noboru Kato
昇 加藤
Takehiro Nakamura
岳博 中村
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Abstract

【課題】引裂強度が高い熱可塑性樹脂膜を提供する。
【解決手段】本発明に係る熱可塑性樹脂膜1では、熱可塑性樹脂を含む層1aが、厚さ方向Dtに2層以上積層されており、かつ、熱可塑性樹脂を含む層1aが、厚さ方向Dtと直交する第1の方向D1に5層以上積層されている。本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、該第1,第2の合わせガラス部材の間に配置された熱可塑性樹脂膜1とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂を含む層が複数積層されている多層構造を有する熱可塑性樹脂膜に関する。また、本発明は、上記熱可塑性樹脂膜を用いた合わせガラスに関する。
従来、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂膜が、様々な用途で用いられている。
また、上記熱可塑性樹脂膜の一例として、合わせガラスに用いられる中間膜がある。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に上記中間膜を挟み込むことにより、製造されている。上記合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。
上記中間膜の一例として、下記の特許文献1には、アセタール化度が60〜85モル%のポリビニルアセタール100重量部と、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも一種の金属塩0.001〜1.0重量部と、30重量部を超える可塑剤とを含む遮音層が開示されている。さらに、下記の特許文献1には、上記遮音層が他の層に積層されており、他の層/遮音層/他の層の積層構造を有する多層中間膜も記載されている。
下記の特許文献2には、音響透過損失(TL値)が異なる2種以上の層が交互に4層以上積層されている中間膜が開示されている。特許文献2の実施例2では、2つの層A,BがA/B/A/B/A/Bの積層構造で積層された多層中間膜が記載されている。
下記の特許文献3では、ヤング率が異なる2種類以上の層を積層した中間膜が開示されている。特許文献3の実施例1,2では、2つの層A,BがA/B/Aの積層構造で積層された多層中間膜が記載されている。
下記の特許文献4では、樹脂組成物A又は樹脂Aにより形成された部位Aと、樹脂組成物B又は樹脂Bにより形成された部位Bとを水平方向に有する中間膜が開示されている。
特開2007−070200号公報 特開平7−172879号公報 特開2003−192402号公報 WO2009/131195A1
上記熱可塑性樹脂膜には、引張応力が付与されることがある。上記引張応力によって、熱可塑性樹脂膜に亀裂が発生し、また、該亀裂が成長することで、破断に至る場合がある。該亀裂の発生及び成長は、熱可塑性樹脂膜の引裂強度を高めることで抑制することができる。このため、熱可塑性樹脂膜では、引裂強度が高いことが望ましく、使用時に破断し難いことが望ましい。しかしながら、従来の熱可塑性樹脂膜では、引裂強度が低いことがある。
また、上記特許文献1〜4に記載のような従来の中間膜を用いて合わせガラスを得た場合には、該中間膜の引裂強度が低いという問題がある。
また、近年、自動車業界全般において、化石燃料価格の高騰に対応したり、地球温暖化の影響を考慮してCOを削減したりするために、燃費を向上することが重要な課題となっている。このための車の軽量化が重要となっている。車の軽量化方法の一つとして、自動車の窓ガラスの薄型化が検討されている。しかしながら、従来の中間膜を用いて窓ガラスを薄型化した場合、引裂強度の低さから、充分な耐貫通性が得られないことがある。
本発明の目的は、引裂強度が高い熱可塑性樹脂膜、並びに該熱可塑性樹脂膜を用いた合わせガラスを提供することである。
本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向に2層以上積層されており、かつ、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層されている、熱可塑性樹脂膜が提供される。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜であることが好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、厚さ方向と直交する第1の方向に積層されている前記層の前記第1の方向における平均厚みが、100mm以下である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、厚さ方向に積層されている前記層の厚さ方向における平均厚みが100μm以下である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、該熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層された積層体を2つ以上備え、前記積層体が、厚さ方向に2層以上積層されている。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、該熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向に2層以上積層された積層体を5つ以上備え、前記積層体が、前記第1の方向に5層以上積層されている。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール又はエチレン−酢酸ビニル共重合体である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記第1の方向における引裂強度が60N/mm以上である。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜のある特定の局面では、前記熱可塑性樹脂を含む層が、前記第1の方向10mmあたり5層以上積層されている。
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に配置された上述した熱可塑性樹脂膜とを備える、合わせガラスが提供される。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜では、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向に2層以上積層されており、かつ、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層されているので、引裂強度を高めることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を模式的に示す斜視図である。 図3は、本発明の第3の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を模式的に示す斜視図である。 図4は、図1に示す熱可塑性樹脂膜を用いた複合膜を模式的に示す断面図である。 図5は、図1に示す熱可塑性樹脂膜を用いた合わせガラスを模式的に示す断面図である。 図6は、図4に示す複合膜を用いた合わせガラスを模式的に示す断面図である。 図7(a)及び(b)は、図1に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図8(a)及び(b)は、図1に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図9(a)及び(b)は、図2に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図10(a)及び(b)は、図2に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図11(a)及び(b)は、図2に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図12(a)及び(b)は、図3に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図13(a)及び(b)は、図3に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図14(a)及び(b)は、図3に示す熱可塑性樹脂膜における層の積層状態を説明するための模式図である。 図15(a)〜(d)は、実施例1の熱可塑性樹脂膜を製造する各工程を説明するための模式図である。 図16(a)〜(c)は、実施例1の熱可塑性樹脂膜を製造する各工程を説明するための模式図である。 図17は、引裂き試験の評価に用いた直角形試験片の形状を示す図である。 図18(a)及び(b)は、実施例及び比較例で得られた熱可塑性樹脂膜から、引裂き試験の評価に用いた直角形試験片を切り抜く際の方向を説明するための模式図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜では、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向に2層以上積層されており、かつ、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層されている。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向に2層以上積層された積層体を備える。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層された積層体を備える。上記厚さ方向及び上記第1の方向は、熱可塑性樹脂を含む層の積層方向である。なお、厚さ方向と直交する第1の方向とは、厚さ方向と直交する方向のうちの任意の1つの方向である。本発明に係る熱可塑性樹脂膜は、5層以上積層された積層体を、厚さ方向と直交する方向のうち少なくとも1つの方向で備えていればよい。
このように、熱可塑性樹脂を含む層(以下、単に樹脂層と記載することがある)を多く積層して熱可塑性樹脂膜を作製することにより、熱可塑性樹脂膜の引裂強度を高めることができる。特に、厚さ方向に2層以上でかつ厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上で、熱可塑性樹脂を含む層を複数積層して熱可塑性樹脂膜を作製することにより、熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高めることができる。
以下、本発明に係る熱可塑性樹脂膜を、第1の熱可塑性樹脂膜と呼ぶことがある。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の厚さ方向における厚みが同じであるときに、厚さ方向における上記樹脂層の積層数が2層以上である場合には、厚さ方向における上記樹脂層が単層である場合と比べて、上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度が高くなる。さらに、上記第1の熱可塑性樹脂膜の上記第1の方向における厚みが同じであるときに、上記第1の方向における上記樹脂層の積層数が5層以上である場合には、上記第1の方向における上記樹脂層の積層数が4層以下である場合と比べて、上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度が高くなる。
また、例えば、上記第1の熱可塑性樹脂膜が合わせガラス用中間膜である場合に、中間膜の引裂強度を高めることで、該中間膜を備えた合わせガラスの耐貫通性が上昇する。よって、同等の耐貫通能力を維持したままで、従来のガラス板より薄いガラス板を、合わせガラスを得るために用いることが可能となり、自動車の軽量化を図ることができる。
また、近年、内燃機関を用いた燃料自動車から、電気モータを用いた電気自動車及び内燃機関と電気モータとを用いたハイブリッド電気自動車等への移行が進行している。内燃機関を用いた燃料自動車に用いられる合わせガラスでは、比較的低周波域での遮音性が特に求められている。但し、内燃機関を用いた燃料自動車に用いられる合わせガラスでも、高周波域での遮音性が高いことが望ましい。これに対して、電気モータを利用した電気自動車及びハイブリッド電気自動車に用いられる合わせガラスでは、電気モータの駆動音を効果的に遮断するために、高周波域における高い遮音性が特に求められる。
しかし、従来の中間膜を用いて合わせガラスを構成した場合には、合わせガラスの高周波域における遮音性が充分ではなく、従ってコインシデンス効果による遮音性の低下が避けられないことがある。特に、この合わせガラスの20℃付近での遮音性が充分ではないことがある。
ここで、コインシデンス効果とは、ガラス板に音波が入射したとき、ガラス板の剛性と慣性とによって、ガラス面上を横波が伝播して横波と入射音とが共鳴し、その結果、音の透過が起こる現象をいう。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜(第1の熱可塑性樹脂膜)では、厚さ方向に2層以上でかつ上記第1の方向に5層以上で、熱可塑性樹脂を含む層が複数積層されているので、第1の熱可塑性樹脂膜の遮音性を高めることもできる。
上記厚さ方向と直交し、かつ上記第1の方向と異なる第2の方向で、上記熱可塑性樹脂膜(熱可塑性樹脂を含む層)は単層であってもよい。上記第2の方向で、上記熱可塑性樹脂膜(熱可塑性樹脂を含む層)は多層であってもよい。上記熱可塑性樹脂膜では、上記厚さ方向及び上記第1の方向と直交する第2の方向に、熱可塑性樹脂を含む層が、2層以上積層されていてもよく、5層以上積層されていてもよい。上記第2の方向は、熱可塑性樹脂を含む層の積層方向であってもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜は、一般に厚さ方向と縦方向と横方向とを有する。上記第1の方向が縦方向又は横方向であり、かつ上記第2の方向が横方向又は縦方向であることが好ましい。但し、上記第1の方向及び上記第2の方向はそれぞれ、縦方向と横方向との間の斜め方向であってもよい。上記縦方向は、上記厚さ方向及び上記横方向と直交していることが好ましい。上記横方向は、上記厚さ方向及び上記縦方向と直交していることが好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜は、厚さ方向と長さ方向と幅方向とを有していてもよい。この場合に、上記第1の方向が長さ方向又は幅方向であり、上記第2の方向が幅方向又は長さ方向であることが好ましい。上記第1の方向及び上記第2の方向は、長さ方向と幅方向との間の斜め方向であってもよい。上記長さ方向は、上記厚さ方向及び上記幅方向と直交していることが好ましい。上記幅方向は、上記厚さ方向及び上記長さ方向と直交していることが好ましい。
引裂強度がより一層高くなり、かつ上記第1の熱可塑性樹脂膜の作製が容易であることから、上記第1の熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層された積層体を2つ以上備え、該積層体が、厚さ方向に2層以上積層されていることが好ましい。引裂強度がより一層高くなり、かつ上記第1の熱可塑性樹脂膜の作製が容易であることから、上記第1の熱可塑性樹脂膜は、熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向に2層以上積層された積層体を5つ以上備え、該積層体が、厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層されていることが好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向に、3層以上積層されていることが好ましく、5層以上積層されていることがより好ましく、10層以上積層されていることがより一層好ましく、20層以上積層されていることが更に好ましく、40層以上積層されていることが特に好ましく、80層以上積層されていることが最も好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、熱可塑性樹脂を含む層が、上記第1の方向に、7層以上積層されていることが好ましく、10層以上積層されていることがより好ましく、20層以上積層されていることが更に好ましく、40層以上積層されていることが特に好ましく、80層以上積層されていることが最も好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、熱可塑性樹脂を含む層が、上記第2の方向に、2層以上積層されていることが好ましく、3層以上積層されていることがより好ましく、5層以上積層されていることがより一層好ましく、10層以上積層されていることが更に好ましく、20層以上積層されていることが更に一層好ましく、40層以上積層されていることが特に好ましく、80層以上積層されていることが最も好ましい。
また、上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度を、更に一層高める観点からは、熱可塑性樹脂を含む層が、第1の方向10mmあたり3層以上積層されていることが好ましく、第1の方向10mmあたり5層以上積層されていることが好ましく、第1の方向10mmあたり10層以上積層されていることがより好ましく、第1の方向10mmあたり100層以上積層されていることが更に好ましい。なお、第1の方向10mmあたりの積層数は、以下の方法によって測定することができる。
(第1の方向10mmあたりの積層数)=(第1の方向の積層数)/(第1の方向の幅[mm])×10[mm]
なお、第1の方向10mmあたりの積層数が、小数点以下を含む場合は、小数点以下を切り上げて積層数を計算する。例えば、第1の方向10mmあたりの積層数が4.3と計算される場合は、第1の方向10mmあたりの積層数は5である。
積層数が増えるほど応力集中点が分散され、破断起点が生じにくいために引裂強度が高くなる。上記積層数の上限は特に限定されないが、上記第1の熱可塑性樹脂膜の透明性がより一層向上することから、厚さ方向における上記樹脂層の積層数、上記第1の方向における上記樹脂層の積層数及び上記第2の方向における上記樹脂層の積層数はそれぞれ、好ましくは25000層以下、より好ましくは20000層以下、更に好ましくは6000層以下、特に好ましくは5000層以下、最も好ましくは1000層以下である。この理由は、上記積層数が好ましい上限以下であれば、各樹脂層が平滑になりやすいためである。
熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向に2層以上積層されており、厚さ方向に積層された樹脂層の厚さ方向における平均厚みが100μm以下である場合にも、引裂強度を高めることができる。上記平均厚みは、複数の樹脂層の厚みの平均である。上記複数の樹脂層の厚みは、上記第1の熱可塑性樹脂膜をスーパーダンベルカッター(ダンベル社製)によって打ち抜きした試験片の中央部を、デジタル外側マイクロメータMCD130−25(新潟精機社製)により計測することで求められる。上記第1の熱可塑性樹脂膜の厚みが同じであるときに、厚さ方向での樹脂層の積層数が多くなるように、厚さ方向に積層された樹脂層の厚さ方向における平均厚みが100μm以下である場合には、厚さ方向での樹脂層の積層数が少なくなるように、厚さ方向に積層された樹脂層の厚さ方向における平均厚みが100μmを超える場合と比べて、引裂強度がより一層高くなる。
熱可塑性樹脂を含む層が、上記第1の方向に5層以上積層されており、上記1の方向に積層された樹脂層の上記第1の方向における平均厚みが100μm以下である場合にも、引裂強度を高めることができる。上記平均厚みは、複数の樹脂層の上記第1の方向における厚みの平均である。上記第1の方向における厚みの平均は、上記第1の熱可塑性樹脂膜の上記第1の方向における厚みを定規によって計測した値を、上記第1の方向の積層数で除算することによって算出される。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の上記第1の方向における寸法が同じであるときに、上記第1の方向での樹脂層の積層数が多くなるように、上記第1の方向に積層された樹脂層の上記第1の方向における平均厚みが100μm以下である場合には、上記第1の方向での樹脂層の積層数が少なくなるように、上記第1の方向に積層された樹脂層の上記第1の方向における平均厚みが100μmを超える場合と比べて、引裂強度がより一層高くなる。
本発明に係る熱可塑性樹脂膜(第1の熱可塑性樹脂膜)は、表面に他の熱可塑性樹脂膜が積層されて、複合膜として用いられてもよい。上記複合膜は、1つ又は2つの第2の熱可塑性樹脂膜を備える。上記複合膜では、本発明に係る熱可塑性樹脂膜(第1の熱可塑性樹脂膜)の一方の表面又は両面に、上記第2の熱可塑性樹脂膜が積層されている。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を模式的に斜視図で示す。なお、図1及び後述する図では、寸法及び大きさは、図示の便宜上、実際の寸法及び大きさから適宜変更している。
図1に示す熱可塑性樹脂膜1は、熱可塑性樹脂を含む層1aが、厚さ方向Dtに2層以上積層されており、かつ、熱可塑性樹脂を含む層1aが、厚さ方向Dtと直交する第1の方向D1に5層以上積層されて構成されている。具体的には、熱可塑性樹脂膜1では、層1aが、厚さ方向Dtに11層積層されており、第1の方向D1に9層積層されている。
図7(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜1は、層1aが厚さ方向Dtに2層以上積層された積層体1A(斜線で囲まれた範囲内)を備える(2層の場合には、例えば、図7(b)に示す積層体1Aa(斜線で囲まれた範囲内))。また、図8(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜1は、層1aが第1の方向D1に5層以上積層された積層体1B(斜線で囲まれた範囲内)を備える(5層の場合には、例えば、図8(b)に示す積層体1Ba(斜線で囲まれた範囲内))。熱可塑性樹脂膜1は、第1の方向D1に5層以上積層された積層体1Bを2つ以上備え、該積層体1Bが、厚さ方向Dtに2層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜1は、層1aが厚さ方向Dtに2層以上積層された積層体1Aを5つ以上備え、該積層体1Aが、第1の方向D1に5層以上積層されている。
複数の層1aの組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数の層1aの組成は同一であることが好ましい。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を模式的に斜視図で示す。
図2に示す熱可塑性樹脂膜11は、熱可塑性樹脂を含む層11aと熱可塑性樹脂を含む層11bとが、厚さ方向Dtに合計で2層以上積層されており、かつ、熱可塑性樹脂を含む層11a,11bが、厚さ方向Dtと直交する第1の方向D1に5層以上積層されて構成されている。具体的には、熱可塑性樹脂膜11では、6個の層11aと5個の層11bとが、厚さ方向Dtに交互に11層積層されており、11個の層11a,11bの積層体である層が、第1の方向D1に9層積層されている。
図9(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜11は、層11a,11bが厚さ方向Dtに合計で2層以上積層された積層体11A(斜線で囲まれた範囲内)を備える(2層の場合には、例えば、図9(b)に示す積層体11Aa(斜線で囲まれた範囲内))。また、図10(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜11は、層11aが第1の方向D1に5層以上積層された積層体11B(斜線で囲まれた範囲内)を備える(5層の場合には、例えば、図10(b)に示す積層体11Ba(斜線で囲まれた範囲内))。また、図11(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜11は、層11bが第1の方向D1に5層以上積層された積層体11C(斜線で囲まれた範囲内)を備える(5層の場合には、例えば、図11(b)に示す積層体11Ca(斜線で囲まれた範囲内))。熱可塑性樹脂膜11は、層11aが第1の方向D1に5層以上積層された積層体11Bと層11bが第1の方向D1に5層以上積層された積層体11Cとを合計で2つ以上備え、該積層体11Bと該積層体11Cとが、厚さ方向Dtに合計で2層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜11は、層11a,11bが厚さ方向Dtに合計で2層以上積層された積層体11Aを5つ以上備え、該積層体11Aが、第1の方向D1に5層以上積層されている。
熱可塑性樹脂膜11のように、異なる2種以上の層が、厚さ方向に積層されていてもよい。また、異なる2種以上の層が、上記第1の方向に積層されていてもよく、上記第2の方向に積層されていてもよい。
複数の層11a,11bの組成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。複数の層11aの組成は、同一であってもよく、異なっていてもよく、同一であることが好ましい。複数の層11bの組成は、同一であってもよく、異なっていてもよく、同一であることが好ましい。複数の層11a,11bの厚さ方向Dtにおける厚さは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、複数の層11a,11bの第1の方向D1における厚さは、同一であってもよく、異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
図3に、本発明の第3の実施形態に係る熱可塑性樹脂膜を模式的に斜視図で示す。
図3に示す熱可塑性樹脂膜21は、熱可塑性樹脂を含む層21aが、厚さ方向Dtに2層以上積層されており、熱可塑性樹脂を含む層21aが、厚さ方向Dtと直交する第1の方向D1に5層以上積層されおり、かつ、厚さ方向Dt及び第1の方向D1と直交する方向D2に2層以上積層されて構成されている。具体的には、熱可塑性樹脂膜21では、層21aが、厚さ方向Dtに11層積層されており、第1の方向D1に9層積層されており、第2の方向D2に17層積層されている。
図12(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが厚さ方向Dtに2層以上積層された積層体21A(斜線で囲まれた範囲内)を備える(2層の場合には、例えば、図12(b)に示す積層体21Aa(斜線で囲まれた範囲内))。また、図13(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが第1の方向D1に5層以上積層された積層体21B(斜線で囲まれた範囲内)を備える(5層の場合には、例えば、図13(b)に示す積層体21Ba(斜線で囲まれた範囲内))。また、図14(a)に示すように、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが第2の方向D2に2層以上積層された積層体21C(斜線で囲まれた範囲内)を備える(2層の場合には、例えば、図14(b)に示す積層体21Ca(斜線で囲まれた範囲内))。
熱可塑性樹脂膜21は、層21aが第1の方向D1に5層以上積層された積層体21Bを2つ以上備え、該積層体21Bが、厚さ方向Dtに2層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが第2の方向D2に2層以上積層された積層体21Cを2つ以上備え、該積層体21Cが、厚さ方向Dtに2層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが厚さ方向Dtに2層以上積層された積層体21Aを5つ以上備え、該積層体21Aが、第1の方向D1に5層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが第2の方向D2に2層以上積層された積層体21Cを5つ以上備え、該積層体21Cが、第1の方向D1に5層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが厚さ方向Dtに2層以上積層された積層体21Aを2つ以上備え、該積層体21Aが、第2の方向D2に2層以上積層されている。また、熱可塑性樹脂膜21は、層21aが第1の方向D1に5層以上積層された積層体21Bを2つ以上備え、該積層体21Bが、第2の方向D2に2層以上積層されている。
層1a,11a,11b,21aに含まれる熱可塑性樹脂はそれぞれ、ポリビニルアセタールであることが好ましい。層1a,11a,11b,21aはそれぞれ、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂膜1,11,21はそれぞれ、合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜であることが好ましい。熱可塑性樹脂膜1,11,21はそれぞれ、第1,第2の合わせガラス部材の間に配置されて用いられることが好ましい。
図4に、図1に示す熱可塑性樹脂膜1を用いた複合膜を断面図で示す。
図4に示す複合膜31は、熱可塑性樹脂膜1と、熱可塑性樹脂膜1の第1の表面に積層された第2の熱可塑性樹脂膜32と、熱可塑性樹脂膜1の第1の表面とは反対の第2の表面に積層された第2の熱可塑性樹脂膜33とを備える。第2の熱可塑性樹脂膜32,33はそれぞれ、単一の膜である。図4では、熱可塑性樹脂膜1は、図1のX−X線に沿う断面部分が示されている。
複合膜31は、合わせガラスに用いられる合わせガラス用複合中間膜であることが好ましい。複合膜31は、第1,第2の合わせガラス部材の間に配置されて用いられることが好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、厚さ方向に積層された上記樹脂層の厚さ方向における平均厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下である。厚さ方向で最も薄い上記樹脂層の厚さ方向における厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上である。厚さ方向で最も厚い上記樹脂層の厚さ方向における厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、厚さ方向に積層された上記樹脂層の1層当たりの厚さ方向における厚み(厚さ方向に積層された全ての樹脂層の各厚み)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下である。厚さ方向に積層された上記樹脂層の1層当たりの厚み(厚さ方向に積層された全ての樹脂層の各厚み)は、100μmを超えていてもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜において厚さ方向の両側の表面に位置する2つの層の1層当たりの厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下である。上記第1の熱可塑性樹脂膜において厚さ方向の両側の表面に位置する2つの層の1層当たりの厚みは、100μmを超えていてもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、上記第1の方向に積層された上記樹脂層の上記第1の方向における平均厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下である。上記第1の方向で最も薄い上記樹脂層の上記第1の方向における厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上である。上記第1の方向で最も厚い上記樹脂層の上記第1の方向における厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、上記第1の方向に積層された上記樹脂層の1層当たりの上記第1の方向における厚み(上記第1の方向に積層された全ての樹脂層の各厚み)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは100000μm(100mm以下)、より好ましくは10000μm(10mm)以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記第1の方向に積層された上記樹脂層の1層当たりの厚み(上記第1の方向に積層された全ての樹脂層の各厚み)は、100000μmを超えていてもよい。
上記樹脂層が上記第2の方向に積層されている場合には、上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、上記第2の方向に積層された上記樹脂層の上記第2の方向における平均厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは100000μm(100mm以下)、より好ましくは10000μm(10mm)以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記第2の方向で最も薄い上記樹脂層の上記第2の方向における厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上である。上記第2の方向で最も厚い上記樹脂層の上記第2の方向における厚みは、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
上記樹脂層が上記第2の方向に積層されている場合には、上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度をより一層高める観点からは、上記第2の方向に積層された上記樹脂層の1層当たりの上記第2の方向における厚み(上記第2の方向に積層された全ての樹脂層の各厚み)は、好ましくは5nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは100000μm(100mm以下)、より好ましくは10000μm(10mm)以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記第2の方向に積層された上記樹脂層の1層当たりの厚み(上記第2の方向に積層された全ての樹脂層の各厚み)は、100000μmを超えていてもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜全体の厚み(厚さ方向における厚み)は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。上記第1の熱可塑性樹脂膜全体の厚みが上記下限以上であると、上記第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度及び耐貫通性がより一層高くなる。上記第1の熱可塑性樹脂膜の厚みが上記上限以下であると、上記第1の熱可塑性樹脂膜の透明性がより一層高くなる。
上記複合膜の厚み(厚さ方向における厚み)は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。上記複合膜の厚みが上記下限以上であると、上記複合膜の引裂強度及び耐貫通性がより一層高くなる。上記複合膜の厚みが上記上限以下であると、上記複合膜の透明性がより一層高くなる。
複合膜の引裂強度及び遮音性をより一層良好にする観点からは、上記第2の熱可塑性樹脂膜の1層当たりの厚み(厚さ方向における厚み、全ての第2の熱可塑性樹脂膜の各厚み)は好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下である。上記第2の熱可塑性樹脂膜の厚みが上記下限以上であると、上記複合膜の厚みが厚くなりすぎず、上記複合膜及び合わせガラスの遮音性がより一層高くなり、更に可塑剤のブリードアウトを抑制できる。
上記複合膜の厚み(厚さ方向における厚み)をTとしたときに、上記第2の熱可塑性樹脂膜全体の厚み(厚さ方向における厚み)は特に限定されないが、好ましくは0.1Tを超え、より好ましくは0.2T以上、好ましくは0.9T以下、より好ましくは0.8T以下である。上記第2の熱可塑性樹脂膜全体の厚みは、1つの第2の熱可塑性樹脂膜を用いる場合には1つの第2の熱可塑性樹脂膜の厚みであり、2つの第2の熱可塑性樹脂膜を用いる場合には2つの第2の熱可塑性樹脂膜の合計の厚みである。
上記第1の熱可塑性樹脂膜と上記第2の熱可塑性樹脂膜との組成は同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の熱可塑性樹脂膜と上記第2の熱可塑性樹脂膜との組成は異なることが好ましい。上記第2の熱可塑性樹脂膜の厚み(厚さ方向における厚み)は、全ての上記第1の熱可塑性樹脂膜中の厚さ方向に積層された層の厚さ方向における各厚みよりも厚く、上記第1の熱可塑性樹脂膜中の厚さ方向に積層された層の厚さ方向における最大厚みよりも厚い。
上記第2の熱可塑性樹脂膜の上記第1の熱可塑性樹脂膜側とは反対の外側の表面は、エンボス加工されていてもよい。エンボス加工する方法としては、エンボスロール法及びリップエンボス法等が挙げられる。中でも定量的に一定の凹凸模様が形成されるようにエンボス加工を行うことができることから、エンボスロール法が好ましい。
複合膜と合わせガラス部材との接着性をより一層高くし、合わせガラスの耐貫通性をより一層高める観点からは、上記エンボス加工された上記第2の熱可塑性樹脂膜の外側の表面の十点平均粗さRzは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上記十点平均粗さRzは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。引裂強度、接着力、耐貫通性及び遮音性をバランスよく良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜では、上記熱可塑性樹脂が、第1のポリビニルアセタールと第2のポリビニルアセタールとであり、上記第1のポリビニルアセタールを含む層と上記第2のポリビニルアセタールを含む層とが交互に合計で10層以上積層されており、上記第1のポリビニルアセタールと上記第2のポリビニルアセタールとの重合度が10以上異なることが好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の強靭性をより一層高める観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜の上記第1の方向における引裂強度が60N/mm以上であることが好ましい。上記引裂強度は高いほどよい。なお、厚さ方向と直交する2つの積層方向のそれぞれに上記樹脂層が5層以上で積層されている場合に、2つの積層方向のうち、引裂強度がより高い方向における引裂強度(2つの積層方向の引裂強度が同じである場合には、2つの積層方向における引裂強度)が60N/mm以上であることが好ましい。また、厚さ方向と直交する2つの積層方向のそれぞれに上記樹脂層が5層以上で積層されている場合に、第1の方向の積層数が第2の方向の積層数よりも多いことが好ましい。但し、厚さ方向と直交する2つの積層方向のそれぞれに上記樹脂層が5層以上で積層されている場合に、第1の方向の積層数と第2の方向の積層数とは同一であってもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜の強靭性をより一層高める観点からは、上記第2の方向で上記第1の熱可塑性樹脂膜が単層である場合に、上記第1の熱可塑性樹脂膜の上記第2の方向における引裂強度が60N/mm以上であることが好ましい。上記引裂強度は高いほどよい。この引裂強度を示す上記第2の方向は、厚さ方向及び上記第1の方向と直交する方向であることが好ましい。
以下、本発明に係る熱可塑性樹脂膜に含まれる各成分の詳細を説明する。
(熱可塑性樹脂)
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。上記第2の熱可塑性樹脂膜は熱可塑性樹脂を含む。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル共重合体、ポリウレタン及びポリビニルアルコール等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
引裂強度、接着力、耐貫通性及び遮音性をバランスよく良好にする観点からは、上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール又はエチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましく、ポリビニルアセタールであることがより好ましい。
引裂強度、接着力、耐貫通性及び遮音性をバランスよくより一層良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層は、上記熱可塑性樹脂としてポリビニルアセタールを含むことが好ましく、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含むことがより好ましい。引裂強度、接着力、耐貫通性及び遮音性をバランスよくより一層良好にする観点からは、上記第2の熱可塑性樹脂膜は、上記熱可塑性樹脂としてポリビニルアセタールを含むことが好ましく、ポリビニルアセタールと可塑剤とを含むことがより好ましい。
上記ポリビニルアセタールは、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に、70〜99.9モル%の範囲内である。
上記ポリビニルアセタールを得るためのポリビニルアルコールの重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1700を超え、特に好ましくは2000以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、より一層好ましくは3000以下、更に好ましくは3000未満、特に好ましくは2800以下である。上記ポリビニルアセタールは、重合度が上記下限以上及び上記上限以下であるポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタールであることが好ましい。上記重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記重合度が上記上限以下であると、第1,第2の熱可塑性樹脂膜の成形が容易になる。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれる上記ポリビニルアセタールを得るためのポリビニルアルコールの重合度は、好ましくは1700を超え、より好ましくは2000以上、好ましくは3000未満である。
上記ポリビニルアルコールの重合度は平均重合度を示し、該平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれる上記ポリビニルアセタールはそれぞれ、ポリビニルブチラールであることが好ましい。ポリビニルブチラールの使用により、合わせガラス部材に対する第1の熱可塑性樹脂膜及び複合膜の接着力がより一層適度に発現する。さらに、第1の熱可塑性樹脂膜及び複合膜の耐候性等がより一層高くなる。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基の含有率(水酸基量)は、31モル%以下であることが好ましい。ポリビニルアセタールの水酸基の含有率が低いと、ポリビニルアセタールの親水性が低くなり、可塑剤の含有量を多くすることができる。この結果、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれる上記ポリビニルアセタールの水酸基の含有率は好ましくは13モル%以上、より好ましくは18モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21.5モル%以上、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは28モル%以下、特に好ましくは26モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、上記第1の熱可塑性樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。さらに、第1の熱可塑性樹脂膜の柔軟性が高くなり、第1の熱可塑性樹脂膜の取扱性がより一層良好になる。
上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールの水酸基の含有率は好ましくは26モル%以上、より好ましくは27モル%以上、更に好ましくは28モル%以上、好ましくは35モル%以下、より好ましくは33モル%以下、更に好ましくは32モル%以下、特に好ましくは31.5モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、第2の熱可塑性樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、第2の熱可塑性樹脂膜の柔軟性が高くなり、第2の熱可塑性樹脂膜の取扱性がより一層良好になる。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれるポリビニルアセタールの水酸基の含有率は、上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールの水酸基の含有率よりも、低いことが好ましく、1モル%以上低いことがより好ましく、3モル%以上低いことがより一層好ましく、5モル%以上低いことが更に好ましく、7モル%以上低いことが特に好ましい。
上記ポリビニルアセタールの水酸基の含有率は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して、又はASTM D1396−92に準拠して測定することにより求めることができる。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれる上記ポリビニルアセタールのアセチル化度(アセチル基量)は好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.4モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは15モル%以下である。上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度は好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.4モル%以上、好ましくは20モル%以下、より好ましくは5モル%以下、更に好ましくは2モル%以下、特に好ましくは1.5モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタールと可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ第1,第2の熱可塑性樹脂膜のガラス転移温度が十分に低くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、第1,第2の熱可塑性樹脂膜の耐湿性がより一層高くなる。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度は、上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールのアセチル化度よりも、高いことが好ましく、0.1モル%以上高いことがより好ましく、0.5モル%以上高いことがより一層好ましく、1モル%以上高いことが更に好ましく、5モル%以上高いことが特に好ましく、10モル%以上高いことが最も好ましい。
また、合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれるポリビニルアセタールのアセタール化度は、上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールのアセタール化度よりも高いことが好ましい。
上記アセチル化度は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して測定できる。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれるポリビニルアセタールのアセタール化度は好ましくは50モル%以上、より好ましくは53モル%以上、更に好ましくは60モル%以上、特に好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%、更に好ましくは80モル%以下、特に好ましくは78モル%以下である。上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールのアセタール化度は好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは65モル%以上、特に好ましくは67モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78モル%以下、更に好ましくは76モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタールと可塑剤との相溶性がより一層高くなり、かつ第1,第2の熱可塑性樹脂膜のガラス転移温度が十分に低くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタールを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法又はASTM D1396−92に準拠した方法により、アセチル化度(アセチル基量)と水酸基の含有率(ビニルアルコール量)とを測定し、100モル%からアセチル化度と水酸基の含有率とを差し引くことにより算出され得る。
なお、ポリビニルアセタールがポリビニルブチラールである場合には、上記アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」又はASTM D1396−92に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。ASTM D1396−92に準拠した方法による測定が好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層の遮音性がより一層高くなることから、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれる上記ポリビニルアセタールは、アセチル化度aが8モル%以下であり、かつアセタール化度aが70モル%以上であるポリビニルアセタールAであるか、又はアセチル化度bが8モル%を超えるポリビニルアセタールBであることが好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層に含まれる上記ポリビニルアセタールは、上記ポリビニルアセタールAであってもよく、上記ポリビニルアセタールBであってもよい。
上記ポリビニルアセタールAのアセチル化度aは8モル%以下、好ましくは7.5モル%以下、より好ましくは7モル%以下、更に好ましくは6.5モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、特に好ましくは1モル%以上である。上記アセチル化度aが上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
上記ポリビニルアセタールAのアセタール化度aは70モル%以上、好ましくは70.5モル%以上、より好ましくは71モル%以上、更に好ましくは71.5モル%以上、特に好ましくは72モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは83モル%以下、更に好ましくは81モル%以下、特に好ましくは79モル%以下である。上記アセタール化度aが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度aが上記上限以下であると、ポリビニルアセタールAを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタールAの水酸基の含有率aは好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率aが上記下限以上であると、第1,第2の熱可塑性樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率aが上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタールBのアセチル化度bは、8モル%を超え、好ましくは9モル%以上、より好ましくは9.5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、特に好ましくは10.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは28モル%以下、更に好ましくは26モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記アセチル化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセチル化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタールBを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタールBのアセタール化度bは好ましくは50モル%以上、より好ましくは53モル%以上、更に好ましくは55モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、好ましくは80モル%以下、より好ましくは78モル%以下、更に好ましくは76モル%以下、特に好ましくは74モル%以下である。上記アセタール化度bが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度bが上記上限以下であると、ポリビニルアセタールBを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタールBの水酸基の含有率bは好ましくは18モル%以上、より好ましくは19モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは21モル%以上、好ましくは31モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは29モル%以下、特に好ましくは28モル%以下である。上記水酸基の含有率bが上記下限以上であると、第1,第2の熱可塑性樹脂膜の接着力がより一層高くなる。上記水酸基の含有率bが上記上限以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
上記ポリビニルアセタールA,Bはそれぞれ、ポリビニルブチラールであることが好ましい。
また、引裂強度がより一層高い第1,第2の熱可塑性樹脂膜が得られることから、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂膜に含まれるポリビニルアセタールは、アセタール化度とアセチル化度との合計が65モル%以上であるポリビニルアセタールCを含むことが好ましい。
上記ポリビニルアセタールCのアセタール化度cは好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、更に好ましくは66モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは82モル%以下、更に好ましくは79モル%以下である。上記アセタール化度cが上記下限以上であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。上記アセタール化度aが上記上限以下であると、ポリビニルアセタールCを製造するために必要な反応時間を短縮できる。
上記ポリビニルアセタールCのアセチル化度cは好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上、更に好ましくは0.8モル%以上、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、更に好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度cが上記上限以下及び上記下限以上であると、可塑剤の移行を容易に制御でき、合わせガラスの遮音性をより一層高めることができる。
引裂強度及び遮音性をより一層良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜は、上記ポリビニルアセタールA又は上記ポリビニルアセタールBを含有する第1の層Xと、上記ポリビニルアセタールCを含有する第2の層Yとを有することが好ましく、上記ポリビニルアセタールA又は上記ポリビニルアセタールBを含有する第1の層Xと上記ポリビニルアセタールCを含有する第2の層Yとが交互に積層されていることが好ましい。上記ポリビニルアセタールA又はポリビニルセタールBとポリビニルアセタールCとは、重合度が異なることが好ましく、重合度が10以上異なることがより好ましい。
(可塑剤)
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層は可塑剤を含むことが好ましい。上記第2の熱可塑性樹脂膜は可塑剤を含むことが好ましい。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステルなどの有機酸エステル可塑剤、並びに有機リン酸エステル可塑剤及び有機亜リン酸エステル可塑剤などの有機リン酸エステル可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機酸エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
上記有機酸エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機酸エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
上記有機リン酸エステル可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤を含むことが好ましい。このジエステル可塑剤の使用により、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。
Figure 2014080359
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも1種を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層及び上記第1の熱可塑性樹脂膜全体に関しては、上記ポリビニルアセタール100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は好ましくは20重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは40重量部以上、特に好ましくは50重量部以上、好ましくは80重量部以下、より好ましくは78重量部以下、更に好ましくは75重量部以下、特に好ましくは72重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、第1の熱可塑性樹脂膜の引裂強度及び合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、第1の熱可塑性樹脂膜の透明性がより一層高くなる。
上記第2の熱可塑性樹脂膜に関しては、上記ポリビニルアセタール100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは35重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは45重量部以下、更に好ましくは43重量部以下、特に好ましくは38重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、第2の熱可塑性樹脂膜の接着力が高くなり、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、第2の熱可塑性樹脂膜の透明性がより一層高くなる。
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層及び上記第1の熱可塑性樹脂膜全体のポリビニルアセタール100重量部に対する可塑剤の各含有量は、上記第2の熱可塑性樹脂膜のポリビニルアセタール100重量部に対する可塑剤の含有量よりも、多いことが好ましく、5重量部以上多いことがより好ましく、10重量部以上多いことがより一層好ましく、15重量部以上多いことが更に好ましく、20重量部以上多いことが特に好ましい。
また、引裂強度及び遮音性をより一層良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜が、上記ポリビニルアセタールA又は上記ポリビニルアセタールBを含有する第1の層Xと、上記ポリビニルアセタールCを含有する第2の層Yとを有する場合、上記第1の層Xに含まれるポリビニルアセタールA又はポリビニルアセタールB100重量部に対する可塑剤の含有量は、上記第2の層Yに含まれるポリビニルアセタールC100重量部に対する可塑剤の含有量よりも、多いことが好ましく、5重量部以上多いことがより好ましく、10重量部以上多いことが更に好ましく、15重量部以上多いことが特に好ましい。
(他の成分)
上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層及び上記第2の熱可塑性樹脂膜はそれぞれ、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(第1の熱可塑性樹脂膜及び複合膜の製造方法)
上記第1の熱可塑性樹脂膜の製造方法としては、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、押出コーティング法、多層溶融押出成形法、ホットメルトラミネーション法及びヒートラミネーション法等が挙げられる。
製造が容易であり、かつ引裂強度及び遮音性により一層優れた第1の熱可塑性樹脂膜が得られるため、上記第1の熱可塑性樹脂膜は、多層溶融押出成形法により得られていることが好ましい。上記多層溶融押出成形法としては、例えば、マルチマニホールド法及びフィードブロック法等が挙げられる。
上記第1の熱可塑性樹脂膜を容易に製造し、引裂強度、接着力、耐貫通性及び遮音性をバランスよく良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜の製造方法は、多層溶融押出成形法により成形する工程を備えることが好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂膜をより一層容易に製造し、引裂強度、接着力、耐貫通性及び遮音性をバランスよくより一層良好にする観点からは、上記第1の熱可塑性樹脂膜を、マルチマニホールド法又はフィードブロック法により成形することが好ましい。上記複合膜の製造方法は、1つ又は2つの上記第2の熱可塑性樹脂膜を、上記第1の熱可塑性樹脂膜の一方の表面又は両方の表面に積層する工程を備えることが好ましい。
(合わせガラス)
上記第1の熱可塑性樹脂膜は、合わせガラス部材の間に配置されて用いられることが好ましい。上記第1の熱可塑性樹脂膜の厚さ方向の両側に、他の部材が配置されることが好ましく、合わせガラス部材が配置されることが好ましい。
図5に、図1に示す熱可塑性樹脂膜1を用いた合わせガラスの一例を模式的に断面図で示す。
図5に示す合わせガラス51は、第1の合わせガラス部材52と、第2の合わせガラス部材53と、熱可塑性樹脂膜1とを備える。熱可塑性樹脂膜1は、第1,第2の合わせガラス部材52,53の間に配置されており、挟み込まれている。
第1の合わせガラス部材52は、熱可塑性樹脂膜1の第1の表面に積層されている。第2の合わせガラス部材53は、熱可塑性樹脂膜1の第1の表面とは反対の第2の表面に積層されている。従って、合わせガラス51は、第1の合わせガラス部材52と、熱可塑性樹脂膜1と、第2の合わせガラス部材53とがこの順で積層されて構成されている。
図6に、図4に示す複合膜31を用いた合わせガラスの一例を模式的に断面図で示す。
図6に示す合わせガラス61は、第1の合わせガラス部材52と、第2の合わせガラス部材53と、複合膜31とを備える。複合膜31は、第2の熱可塑性樹脂膜32と熱可塑性樹脂膜1と第2の熱可塑性樹脂膜33とを有する。複合膜31は、第1,第2の合わせガラス部材52,53の間に配置されており、挟み込まれている。
第1の合わせガラス部材52は、第2の熱可塑性樹脂膜32の外側の表面に積層されている。第2の合わせガラス部材53は、第2の熱可塑性樹脂膜33の外側の表面に積層されている。
上記第1,第2の合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びアクリル樹脂板等が挙げられる。上記アクリル樹脂板としては、ポリメチルメタクリレート板等が挙げられる。
上記第1,第2の合わせガラス部材の厚みは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは3mm以下である。合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、第1,第2の合わせガラス部材の間に、上記第1の熱可塑性樹脂膜又は上記複合膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス部材と上記第1の熱可塑性樹脂膜又は上記複合膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。上記第2の熱可塑性樹脂膜の上記第1の熱可塑性樹脂膜側とは反対の外側の表面がエンボス加工されている場合には、第1,第2の合わせガラス部材と上記複合膜との間に残留する空気をより一層効果的に脱気できる。
上記第1の熱可塑性樹脂膜及び上記複合膜は、引っ張り強度が高いことが望まれる様々な用途に用いられる。
上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記合わせガラスは、これら以外にも使用できる。上記合わせガラスは、建築用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
上記合わせガラスのヘーズ値は、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、より一層好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.4%以下である。合わせガラスのヘーズ値は、JIS K6714に準拠して測定できる。上記合わせガラスのヘーズを低くするために、上記第1の熱可塑性樹脂膜を構成する各樹脂層はフィラーを含まないことが好ましく、上記第2の熱可塑性樹脂膜はフィラーを含まないことが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
樹脂A(エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、三井・デュポンケミカル社製「EVAFLEX460」)を用意した。
180℃に加熱された2つの押出機1と押出機2とに、上記樹脂Aを供給し、それぞれギアポンプを介して、得られる熱可塑性樹脂膜における第1の方向(幅方向)に同じ厚みで層が21層積層されるフィードブロックにて合流させて、樹脂Aを含む層が第1の方向に21層積層された積層体81を得た(図15(a)参照、模式図である図15,16における積層数及び厚みは実際の積層数及び厚みと異なる)。その後、得られる熱可塑性樹脂膜における第1の方向に層が積層されるスクエアミキサーに、積層体81を通過させて、樹脂Aを含む層が第1の方向に42層積層されている積層体82を得た(図15(c)参照)。
なお、スクエアミキサーは、断面形状が長方形である流路を通過した熱可塑性樹脂を、分岐流路により2分割し、それらを積み重ねて合流させて層数を2倍にすることが可能な流路を有する筒体である。スクエアミキサーでは、図15(a)に示す樹脂Aを含む層が第1の方向に21層積層された積層体81を、第1の方向と直交する方向の中央で2分割するように、第1の方向である矢印X1の方向に流路を圧縮することで、図15(b)に示すように、層数が21層であり、かつ第1の方向における厚さが1/2である2つの圧縮物を得た。次に、第1の方向と直交する方向である矢印X2の方向に流路を拡大することで、図15(c)に示すように、第1の方向における層数が2倍の42層であり、かつ第1の方向と直交する方向における厚さが流路を拡大する前の2倍である積層体82を得た。
さらに、この操作を5回行い、結果としてこの操作を合計で6回繰り返して、樹脂Aを含む層が第1の方向に1344層積層されている積層体83を得た(図15(d)参照)。得られた積層体83は、厚さ方向では単層の膜である。
次に、得られる熱可塑性樹脂膜における厚さ方向に層が積層されるスクエアミキサーに、積層体83を通過させて、樹脂Aを含む層が第1の方向に672層かつ厚さ方向に2層積層されている積層体84を得た(図16(b)参照)。
なお、スクエアミキサーでは、図15(d)に示す樹脂Aを含む層が第1の方向に1344層積層された積層体83を、第1の方向の中央で2分割するように、第1の方向と直交する方向である矢印X3の方向に流路を圧縮することで、図16(a)に示すように、層数が672層であり、かつ第1の方向と直交する方向における厚さが1/2である2つの圧縮物を得た。次に、第1の方向である矢印X4の方向に流路を拡大することで、図16(b)に示すように、第1の方向と直交する方向における層数が2倍の2層であり、かつ第1の方向と直交する方向における厚さが流路を拡大する前の2倍である積層体84を得た。
さらに、この操作を合計で4回繰り返して、樹脂Aを含む層が第1の方向に84層かつ厚さ方向に16層積層されている積層体85を得た(図16(c)参照)。
このようにして得られた積層体85を流路幅200mmのTダイに供給して、シート状に成形した後、引取ロールで引き取って厚みを調整し、樹脂Aを含む層が、第1の方向に84層かつ厚さ方向に16層積層されている熱可塑性樹脂膜を得た。得られた熱可塑性樹脂膜全体の厚み、熱可塑性樹脂膜における厚さ方向及び幅方向それぞれにおける層の平均厚みは、下記の表1に示す値であった。
(実施例2〜5)
熱可塑性樹脂膜全体の厚み、熱可塑性樹脂膜の幅方向の幅、熱可塑性樹脂膜における厚さ方向及び幅方向それぞれにおける層の平均厚み、厚さ方向及び幅方向における層の積層数を下記の表1に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、
熱可塑性樹脂膜を得た。
(実施例6〜8)
熱可塑性樹脂膜全体の厚み、熱可塑性樹脂膜の幅方向の幅、熱可塑性樹脂膜における厚さ方向及び幅方向それぞれにおける層の平均厚み、厚さ方向及び幅方向それぞれにおける層の積層数を下記の表1に示すように設定したこと、並びに、流路幅50mmのTダイを用いたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂膜を得た。
(比較例1)
180℃に加熱された2つの押出機1と押出機2とに、上記樹脂Aを供給し、それぞれギアポンプを介して、得られる熱可塑性樹脂膜における厚さ方向に同じ厚みで層が21層積層されるフィードブロックにて合流させて、樹脂Aを含む層が第2の方向に21層積層された膜を得た。
このようにして得られた膜をTダイに供給して、シート状に成形した後、引取ロールで引き取って厚みを調整し、樹脂Aを含む層が厚さ方向に21層積層されている熱可塑性樹脂膜を得た。
(比較例2)
熱可塑性樹脂膜全体の厚み、熱可塑性樹脂膜における厚さ方向及び幅方向それぞれにおける層の平均厚みを下記の表1に示すように変更したこと以外は比較例1と同様にして、熱可塑性樹脂膜を得た。得られた熱可塑性樹脂膜における厚さ方向における層の平均厚み(表では「厚み」と記載)及び幅方向における層の厚みは、下記の表1に示す値であった。
(比較例3)
180℃に加熱された1つの押出機1に、上記樹脂Aを供給し、ギアポンプを介して、Tダイに供給して、シート状に成形した後、引取ロールで引き取って厚みを調整し、熱可塑性樹脂膜を得た。
(比較例4,5)
熱可塑性樹脂膜全体の厚み、熱可塑性樹脂膜の第1の方向の幅、を下記の表1に示すように設定したこと以外は比較例3と同様にして、熱可塑性樹脂膜を得た。
(比較例6)
熱可塑性樹脂膜全体の厚み、熱可塑性樹脂膜における厚さ方向及び幅方向それぞれにおける層の平均厚み、厚さ方向における層の積層数を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂膜を得た。
(評価)
(1)引裂強度
JIS K7128−3:1998に準拠して、ダンベルカッターを用いて、得られた熱可塑性樹脂膜を図17に示す形状に切り抜き、直角形試験片を用意した。また、ダンベルカッターを用いて切り抜く際に、第1の方向(幅方向)の引裂強度を評価するための直角形試験片は、図18(a)に示すように、上記直角形試験片が第1の方向に平行となるように切り抜いた。また、ダンベルカッターを用いて切り抜く際に、第2の方向(長さ方向)の引裂強度を評価するための直角形試験片は、図18(b)に示すように、上記直角形試験片が第2の方向に平行となるように切り抜いた。なお、図18(a)及び(b)における各層の積層数は実際の積層数とは異なる。
オリエンテック社製万能試験機「RTC−1310A」を用いて、JIS K7128−3:1998に準拠して、23℃及び試験速度500mm/分の条件で、上記直角形試験片の引裂強度を評価した。なお、引裂方向は、厚さ方向と直交する第1の方向(幅方向)と、厚さ方向及び第1の方向と直交する第2の方向(長さ方向)とした。
なお、実施例6〜8で得られた熱可塑性樹脂膜については、第2の方向の引裂強度のみを評価した。
結果を下記の表1に示す。
Figure 2014080359
なお、熱可塑性樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体を用いた具体的な実施例を示したが、エチレン−酢酸ビニル共重合体にかえてポリビニルアセタールを用いた場合であっても、厚さ方向に2層以上でかつ上記第1の方向に5層以上で、熱可塑性樹脂を含む層を複数積層することで、得られる熱可塑性樹脂膜の引裂強度が高くなることを確認した。
なお、熱可塑性樹脂を含む層を、厚さ方向に2層以上及び第1の方向(幅方向)に5層以上積層し、かつ第2の方向に複数積層していない熱可塑性樹脂膜を得た具体的な実施例を示したが、熱可塑性樹脂を含む層を、厚さ方向に2層以上及び第1の方向(幅方向)に5層以上積層し、かつ第2の方向(長さ方向)に2層以上で積層した熱可塑性樹脂膜でも、引裂強度がより一層高くなる。さらに、熱可塑性樹脂を含む層を、厚さ方向に2層以上及び第1の方向(幅方向)に5層以上積層し、かつ第2の方向(長さ方向)に5層以上で積層した熱可塑性樹脂膜では、得られる熱可塑性樹脂膜の引裂強度が更に一層高くなる。
1,11,21…熱可塑性樹脂膜
1a,11a,11b,21a…熱可塑性樹脂を含む層
1A,1Aa…層1aが厚さ方向Dtに2層以上又は2層積層された積層体
1B,1Ba…層1aが第1の方向D1に5層以上又は5層積層された積層体
11A,11Aa…層11a,11bが厚さ方向Dtに合計2層以上又は2層積層された積層体
11B,11Ba…層11aが第1の方向D1に5層以上又は5層積層された積層体
11C,11Ca…層11bが第1の方向D1に5層以上又は5層積層された積層体
21A,21Aa…層21aが厚さ方向Dtに2層以上又は2層積層された積層体
21B,21Ba…層21aが第1の方向D1に5層以上又は5層積層された積層体
21C,21Ca…層21aが第2の方向D2に2層以上又は2層積層された積層体
31…複合膜
32,33…第2の熱可塑性樹脂膜
51,61…合わせガラス
52…第1の合わせガラス部材
53…第2の合わせガラス部材
81…樹脂Aを含む層が第1の方向に21層積層された積層体
82…樹脂Aを含む層が第1の方向に42層積層された積層体
83…樹脂Aを含む層が第1の方向に1344層積層された積層体
84…樹脂Aを含む層が第1の方向に672層、厚さ方向に2層積層された積層体
85…樹脂Aを含む層が第1の方向に84層、厚さ方向に16層積層された積層体
Dt…厚さ方向
D1…第1の方向
D2…第2の方向
X1,X3…流路の圧縮方向
X2,X4…流路の拡大方向

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向に2層以上積層されており、かつ、
    熱可塑性樹脂を含む層が、厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層されている、熱可塑性樹脂膜。
  2. 合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
  3. 厚さ方向と直交する第1の方向に積層されている前記層の前記第1の方向における平均厚みが、100mm以下である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂膜。
  4. 厚さ方向に積層されている前記層の厚さ方向における平均厚みが100μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  5. 熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向と直交する第1の方向に5層以上積層された積層体を2つ以上備え、
    前記積層体が、厚さ方向に2層以上積層されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  6. 熱可塑性樹脂を含む層が厚さ方向に2層以上積層された積層体を5つ以上備え、
    前記積層体が、前記第1の方向に5層以上積層されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール又はエチレン−酢酸ビニル共重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  8. 前記第1の方向における引裂強度が60N/mm以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  9. 前記熱可塑性樹脂を含む層が、前記第1の方向10mmあたり5層以上積層されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
  10. 第1の合わせガラス部材と、
    第2の合わせガラス部材と、
    前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に配置された請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜とを備える、合わせガラス。
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