JP2014079066A - 電力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気機器4に接続され、互いに独立して充放電状態が制御される複数の二次電池2と、複数の二次電池2に接続され、各々の二次電池2を充電する燃料電池3とを設ける。
また、複数の二次電池2の中から放電対象及び充電対象を設定し、放電対象から電気機器4への放電状態と燃料電池3から充電対象への充電状態とを制御する制御手段14を設ける。
さらに、複数の二次電池2の各々についての相対的な劣化度を判定する判定手段11と、判定手段11で判定された相対的な劣化度に基づいて放電対象及び充電対象を変更する切り換え判定手段18とを設ける。
【選択図】図2
Description
これらの課題に対し、複数の二次電池と燃料電池とを組み合わせて、各電池の負荷を適切に制御することが考えられる。すなわち、複数の二次電池を放電対象と充電対象とに分類し、放電対象を用いて車両を駆動しつつ、駆動系統から独立した形で充電対象を燃料電池で充電するものである。二次電池の充放電の役割は、放電対象の充電率がある程度低下した時点で交代させる。
また、劣化の進行した二次電池は、充電容量の低下により放電時間が短縮される。これにより、他の二次電池の充電時間も短縮されることになり、適切な充放電サイクルでの運用が困難となる。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(4)あるいは、前記第二変更手段は、前記充電対象の充電率が上限充電率以上であり、かつ前記充電対象が前記判定手段で相対的な劣化度が大きいと判定された場合に、前記充電対象への充電状態を停止し前記放電対象を維持することが好ましい。
この場合、前記判定手段が、前記複数の二次電池のうち相対的に劣化度合いの小さい小劣化電池と相対的に劣化度合いの大きい大劣化電池とを判定し、前記切り換え判定手段が、前記外部充電制御手段による外部充電完了後の最初の前記放電対象を前記大劣化電池の中から選択することが好ましい。
この場合、前記切り換え判定手段は、前記判定手段で判定された相対的な劣化度が高い順に、前記外部充電完了後の放電順序を決定することが好ましい。
本実施形態の電力制御装置1が適用された車両20を図1に示す。この車両20は、電動式のモーター4(電気機器)と、モーター4の走行用バッテリーとしての複数の二次電池2及び燃料電池3とを搭載したハイブリッド燃料電池車両である。
図2は、モーター4の駆動回路の模式図である。ここでは、二次電池2の個数が二個であり、モーター4及びインバーター7間の回路と車載充電器8及びインレット21間の回路とが三相交流回路であって、その他が直流回路であるものを示す。以下、二個の二次電池2のそれぞれを区別する場合には、第一電池2a,第二電池2bと呼び分けて説明する。
図3は、電子制御装置10で制御される二次電池2の充放電状態(電力の流れ)を模式的に示すものである。図3(a)は車両20の外部充電中の状態に対応し、図3(b),(c)は通常走行時の状態に対応する。ここでいう通常走行時には、車両20の移動中だけでなく、一時停止中や停車中等の非外部充電時全般が含まれる。
図2に示すように、電子制御装置10には、劣化度判定部11,対象設定部12,外部充電制御部13及び充放電制御部14が設けられる。これらの各要素は、電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、あるいはソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
劣化度判定部11(判定手段)は、複数の二次電池2の各々についての劣化度合いを算出,判定するとともに、相対的な劣化度合いの大小を判定し、各々の二次電池2を「大劣化電池」と「小劣化電池」とに分類するものである。これらの分類は相対的なものであり、分類の基準値は各々の二次電池2の劣化度合いの大きさに応じて変更される。例えば、最も劣化度合いの小さいものよりも大きく、かつ、最も劣化度合いが大きいものよりも小さい基準値が設定される。この場合、二次電池2の個数が二個であれば、何れか一方が大劣化電池に分類され、他方が小劣化電池に分類される。また、二次電池2の個数が三個以上であれば、少なくとも一個以上の二次電池2が大劣化電池及び小劣化電池のそれぞれに分類される。
対象設定部12は、通常走行時(非外部充電時)に放電を担当する放電電池(放電対象)と充電される充電電池(充電対象)とを複数の二次電池2の中から選択し、その役割を設定するものである。放電電池は、通常走行時にモーター4へ電力を供給する役割を担当する二次電池2であり、充電電池は、放電電池がモーター4の電力源として働いている間に燃料電池3からの電力供給を受けて充電される二次電池2である。
外部充電制御部13(外部充電制御手段)は、外部充電時における二次電池2の充電制御を担当するものである。外部充電制御部13は、所定の外部充電開始条件が成立すると、燃料電池3の作動を停止させ、外部電源から供給される電力を全ての二次電池2に供給して充電する。外部充電開始条件は、例えば充電ケーブルのインレット21への差し込みの有無や外部からの給電状態,車載充電器8の作動状態等に基づいて判定される。
SOCMAX_EX=K1×SOCHPIBASE …式1
充放電制御部14(制御手段)は、通常走行時における放電系統及び充電系統の制御を担当するものである。充放電制御部14の機能は、基本電気出力算出部15,充放電域算出部16,充放電出力算出部17,切り換え判定部18及び充電休止判定部19の各々に分類される。
基本電気出力算出部15(電気出力制御手段)は、燃料電池3の基本電気出力QFCを算出するものである。基本電気出力QFCとは、二次電池2を充電するときの標準的な電気出力である。ここでは、複数の二次電池2のうち、放電電池の充電率低下速度Xと充電電池の充電率SOCとに基づいて基本電気出力QFCが算出される。放電電池の充電率低下速度X,充電電池の充電率SOC及び基本電気出力QFCの関係は、例えばマップ,数式等で定義される。基本電気出力算出部15は、このようなマップ,数式等に基づいて燃料電池3の基本電気出力QFCを算出する。ここで算出された基本電気出力QFCの値は、充放電出力算出部17に伝達される。
例えば、充電率低下速度Xがこの車両20で想定される最大速度であり、かつ、充電電池の充電率SOCが最大であるときの基本電気出力QFCの値をQ1とおく。また、充電率低下速度Xがゼロであり、かつ、充電電池の充電率SOCが最小であるときの基本電気出力QFCの値をQ2とおく。本実施形態で設定される基本電気出力QFCの値Q1は、値Q2よりも小さい値とされる。
基本電気出力QFCの値がQ1<Q2という関係を満たすマップを設定することや、基本電気出力QFCの変動範囲幅がW1>W2という関係を満たすマップを設定することは、『放電対象の充電率低下速度Xよりも充電対象の充電率SOCを燃料電池3の電気出力の大きさに強く反映させる』ことに相当する。
充放電域算出部16(充放電域制御手段)は、充電電池の上限充電率SOCMAX_CHAと放電電池の下限充電率SOCMIN_DISとを劣化度差ΔDLに基づいて設定するものである。充電電池の上限充電率SOCMAX_CHAは、燃料電池3による充電が完了したか否かを判断する際の指標となる。また、放電電池の下限充電率SOCMIN_DISは、その放電電池の電力残量を把握するための指標となる。これらの二つは、充放電の役割を切り換えるタイミングの判定に使用される。
SOCMAX_CHA=K2×SOCSFCBASE …式2
SOCMIN_DIS=K3×SOCLWBASE …式3
充放電出力算出部17(充放電出力制御手段)は、燃料電池3で実際に発電される電力(電気出力)や充電電池に入力される充電電力,放電電池からモーター4へと供給される電力等を算出するものである。ここでは、燃料電池3から二次電池2に供給される充電出力Qや、燃料電池3の発電出力QTGT、充電電池に入力される充電入力C(充電出力Qに対応するもの)、放電電池から出力される放電出力D等が算出される。なお、発電出力QTGTとは、燃料電池3で発電させる電気出力の最終的な制御目標値であり、二次電池2を充電するための電気出力やモーター4をアシストするための電気出力等を含むものである。
Q=K4×QFC …式4
QASST=(QM-QMAX)×L …式5
QMAX=K5×QMAXBASE …式6
第一の補填手法は、燃料電池3が起動中であるときに選択される。充放電出力算出部17は電気出力アシスト量QASSTの電気出力を燃料電池3に補填させるべく、燃料電池3の電気出力を増加させる。燃料電池3が起動中であるのは、充電電池が充電中であるか、燃料電池3が後述する発電アイドル状態であるときである。
前述の電気出力アシスト量QASSTが暫定放電電池の最大電気出力EMAX未満であるとき、前述の電気出力アシスト量QASSTを暫定放電電池の放電出力Eとする。つまり、電気出力アシスト量QASSTの全てを暫定放電電池からの電気出力で補填させる。一方、電気出力アシスト量QASSTが最大電気出力EMAX以上のときには、最大電気出力EMAXを暫定放電電池の放電出力Eとする。この場合、暫定放電電池からの電気出力の全てがモーター4側に供給されるものの、その電気出力で賄われるのは電気出力アシスト量QASSTの一部となる。
また、電気出力アシスト量QASSTと放電電池の最大電気出力QMAXとの加算値(QASST+QMAX)を暫定放電電池の放電出力Eに設定することも考えられる。この場合、放電電池の放電出力Dがゼロとなり、実質的にモーター4を駆動する主体は暫定放電電池のみとなる。
切り換え判定部18(変更判定手段)は、充電電池及び放電電池の切り換えに係る判定を実施するものである。ここでは、相対的な劣化度DLに基づいて前述の切り換え条件が成立するか否かが判定されるとともに、切り換え条件の成立時に充電電池及び放電電池のそれぞれが変更される。切り換え条件としては、放電電池の充電率SOCに関する第一の切り換え条件と、充電電池の充電率SOCに関する第二の切り換え条件とが設定される。また、この切り換え判定部18には、第一の切り換え条件に基づいて放電対象を切り換える第一変更部18a(第一変更手段)と、第二の切り換え条件に基づいて放電対象を切り換える第二変更部18b(第二変更手段)とが設けられる。
第二の切り換え条件は、充電電池の充電率SOCがその上限充電率SOCMAX_CHA以上になり、かつ、二次電池2の相対的な劣化度DLや劣化度差ΔDLが所定の劣化度条件を満たすことである。第二変更部18bは、充電電池にそれ以上の充電ができない満充電状態になると、二次電池2の相対的な劣化度DLや劣化度差ΔDLに基づいて充放電の役割を変更する。
充電休止判定部19(休止制御手段)は、通常走行時の燃料電池3による充電を休止させるための判定を実施するものである。ここでは、所定の充電休止条件が成立する場合に充電電池への充電が一時的に禁止され、燃料電池3が発電アイドル状態に制御される。発電アイドル状態とは、燃料電池3が燃料供給を受けたまま発電を休止、もしくは、最小電力を供給する状態である。例えば、燃料電池3の電極とコンバーター6との間の直流回路上に介装されたスイッチが切断された状態や、発電モードを間欠モードあるいは低電圧発電モードで燃料供給を実施する状態などが発電アイドル状態に含まれる。
本実施形態では、放電電池の充電率SOCが休止判定充電率SOCPAUSE以上であり、かつ、充電電池の電池温度Tが休止温度TPAUSE以上であるときに充電が休止され、燃料電池3が発電アイドル状態に維持される。また、上記の条件が不成立になると、燃料電池3での発電が再開され、充電電池が充電される。
SOCPAUSE=K6×SOCCBASE …式7
TPAUSE=K7×TCBASE …式8
図6〜図10は、電子制御装置10で実施される制御手順を例示するフローチャートである。図6は、二次電池2の状態に対応する制御用フラグを設定するフローである。また、図7は通常走行時の充放電状態を制御するための各種パラメーターを算出するフローであり、図8は通常走行時における燃料電池3の電気出力や二次電池2の充放電出力を制御するフローである。また、図9は通常走行時における二次電池2の充放電の役割を切り換えるための判定を行うフローであり、図10は外部充電時の充電状態を制御するフローである。これらのフローは、電子制御装置10の内部において所定周期で繰り返し実施される。
図6に示すフラグ設定フローでは、二次電池2の劣化度合いと充放電状態とに関する制御用のフラグFLC,FLDCが設定される。フラグFLCは、通常走行時の充電対象の二次電池2が大劣化電池に分類されているときにFLC=1(オン)に設定され、充電対象が大劣化電池でないときにFLC=0(オフ)に設定されるものである。また、フラグFLDCは、通常走行時の放電対象の二次電池2が大劣化電池に分類されているときにFLDC=1(オン)に設定され、放電対象が大劣化電池でないときにFLDC=0(オフ)に設定されるものである。
図7に示すパラメーター算出フローでは、充放電制御部14において、通常走行時の充放電制御に用いられるパラメーターが算出される。ステップB10ではフラグFLCの値が判定され、FLC=1であればステップB30〜B35に進み、FLC=0であればステップB20に進む。また、ステップB20ではフラグFLDCの値が判定され、FLDC=1であればステップB40〜45に進み、FLDC=0であればステップB50に進む。
ステップB30〜B35,B40〜45は、補正係数K2〜K7を設定するためのステップである。
また、充電電池,放電電池の何れも大劣化電池でない場合には、ステップB50において、全ての補正係数K2〜K7の値が1.0に設定される。
ステップB120では、補正係数K5に標準最大電気出力QMAXBASEを乗じたものが最大電気出力QMAXとして算出される。最大電気出力QMAXは、放電電池の放電出力Dの最大値である。モーター4の要求電気出力QMがこの最大電気出力QMAXを超えると、不足分の電気出力が燃料電池3から補充されることになる。
上記のパラメーターの算出が終了すると、図8に示す通常走行時の充放電制御フローに進む。
図8に示すフローでは、充放電制御部14において、二次電池2及び燃料電池3の電気出力の大きさが制御される。ステップC10では、モーター4の要求電気出力QMが電子制御装置10に読み込まれる。また、ステップC20ではフラグFLDCの値が判定され、FLDC=1であればステップC30に進み、FLDC=0であればステップC130に進む。
図9に示す切り換え判定フローでは、二次電池2の充放電の役割を切り換えるタイミングと、充電電池の休止状態(燃料電池3の発電アイドル状態)とが制御される。このフロー中で使用されるフラグGは、外部充電後の充放電状態を把握するためのものである。外部充電が完了した後に全ての大劣化電池が一回以上、放電電池として使用されるまでの間はG=1に設定される。全ての大劣化電池が一回以上、放電電池として使用された後は、次の外部充電が完了するまでの間はG=0に設定される。
ステップD30では、燃料電池3が発電アイドル状態に制御され、一時的に発電が休止される。また、続くステップD40では、放電電池からの電力供給が継続される。その後の制御は、図6のフラグ設定フローに進む。
図10に示す外部充電フローでは、外部充電時における二次電池2の充電状態が制御される。ステップE10では、フラグFLC又はFLDCの何れかの値が1であるか否かが判定される。すなわち、二次電池2の中に大劣化電池があるか否かが判定される。ここで、FLC=1又はFLDC=1であるときにはステップE20に進み、それ以外の場合はステップE40に進む。
また、続くステップE80では、図9の切り換え判定フローで使用されるフラグGの値が1に設定される。その後の制御は、図6のフラグ設定フローに進む。
[6−1.充放電域のグラフ]
第一電池2a及び第二電池2bの劣化度DLの経年変化を図11(a)に示す。図中の破線は第一電池2aの劣化度DL1のグラフであり、実線は第二電池2bの劣化度DL2のグラフである。ここでは、第二電池2bの劣化進行速度が第一電池2aの劣化進行速度よりもやや速いものとする。
第一電池2a及び第二電池2bの充電率SOCの経時変化を図12(a),(b)に示す。ここでは、第一電池2aが小劣化電池に分類され、第二電池2bが大劣化電池に分類された状態での充放電サイクルを説明する。第二電池2bの上限充電率SOCMAX及び外部充電時上限充電率SOCMAX_EXは、第一電池2aの上限充電率SOCMAX及び外部充電時上限充電率SOCMAX_EXよりも低く設定される。また、第二電池2bの下限充電率SOCMINは、第一電池2aの下限充電率SOCMINよりも高く設定される。
時刻t2に第二電池2bの充電率SOCが下限充電率SOCMIN以下になると、第一の切り換え条件が成立して充放電の役割が切り換えられる。このとき、第一電池2aが放電電池となり、第二電池2bが充電電池となる。
また、区間t6〜t7は、区間t3〜t4と同様に第二電池2bの無負荷期間となる。充電時間が短縮されるほど、無負荷期間が延長されることになり、第二電池2bの劣化の進行が抑制される。
[7−1.燃料電池の出力]
(1)上記の電力制御装置1では、放電側の二次電池2の充電率低下速度Xに基づいて燃料電池3の基本電気出力QFCが算出される。これにより、それぞれの二次電池2の放電速度に応じた燃料電池3の電気出力制御が可能となり、燃料電池3の劣化の進行を抑制しつつ二次電池2の電欠を防止できる。
例えば、モーター4の要求電気出力QMが小さく、放電側の二次電池2の充電率SOCがゆっくりと低下するような運転状態では、燃料電池3の基本電気出力QFCが小さく設定される。これにより燃料電池3の発電負荷が小さくなり、燃料電池3の劣化を抑制することができる。また、燃料電池3の電気出力が比較的小さくなるため、燃料電池3の発電効率を高めることができる。さらに、発電効率が向上することで燃料電池3の駆動に係る燃費を改善することができ、車両20のランニングコストを削減することができる。
したがって、燃料電池3の電気出力制御を通して、複数の二次電池2の劣化状態を均等化することができる。これにより、二次電池2の耐用年数を延長することができ、コストパフォーマンスを高めることができる。なお、相対的に劣化していない側の二次電池2に関しても、燃料電池3の電気出力を絞ることで二次電池2に作用する電気的負荷を軽減することができ、二次電池2の劣化の進行を抑制することができる。
例えば、充電電池の充電率SOCが比較的高ければ、急いで充電を完了しなくても電欠が生じないため、基本電気出力QFCが小さく設定される。このように、電力消費速度に対して充電率SOCに余裕がある場合には、燃料電池3を低出力とすることで、二次電池2の電欠を防止しながら、二次電池2及び燃料電池3の劣化を抑制できる。
また、充電電池の充電率SOCが比較的低ければ、燃料電池3が高出力とされるため、電欠が発生する可能性を低めることができる。
(4)また、上記の電力制御装置1では、図4に示すように充電率低下速度Xよりも充電電池の充電率SOCが基本電気出力QFCの値に強く反映される。このように、充電側の充電率SOCが燃料電池3の電気出力値に与える影響を強めることで、二次電池2の電欠をより確実に防止することができ、車両設備の信頼性を向上させることができる。
したがって、相対的に劣化が進行した二次電池2について、その劣化度DLが高いほど、劣化の進行を抑制することができ、複数の二次電池2の劣化状態を均等化することができる。また、上記の充電率低下速度Xに基づいて燃料電池3の電気出力を制御するものと比較して、二次電池2の相対的な劣化状態を燃料電池3の電気出力に直接的に反映させることができ、劣化状態の均等化効果を高めることができる。
(1)上記の電力制御装置1では、複数の二次電池2の相対的な劣化度合いが判定されるとともに、その劣化度合いに応じて、個々の二次電池2の充電率SOCの許容変動幅が設定される。例えば、大劣化電池の充電率SOCの許容変動幅は、小劣化電池の充電率SOCの許容変動幅よりも狭くなるように設定される、また、劣化が進行するにつれて、充電率SOCの許容変動幅が狭められる。これにより、図12(a),(b)に示すように、大劣化電池は小劣化電池よりも早く充電が完了し、あるいは早く放電が完了することになり、小劣化電池よりも大劣化電池の実質的な使用時間(累積使用時間)が短縮される。
また、個々の二次電池2の劣化状態を均等化することで、二次電池2の全体で使用することができる電力を増大させることができ、使用可能な電池容量の低下を抑制することができる。これにより、二次電池2の耐用年数を延長することができ、コストパフォーマンスを向上させることができる。
したがって、二次電池2の劣化の進行を効率的に抑制することができる。また、二次電池2の劣化が進行するほどその進行速度が遅くなるため、複数の二次電池2の劣化状態を均等化することができる。
(1)上記の電力制御装置1では、二つの二次電池2の一方が放電電池として機能している間に、他方が充電電池とされる。これらの充放電の役割の切り換え条件の判定は、各々の二次電池2の劣化度DLに応じて変更される。このように、二次電池2の相対的な劣化度合いに基づいて放電対象を変更する条件を変化させることで、電欠の発生を抑制しつつ劣化が進行しにくい放電態様を選択することができ、二次電池2の劣化の進行を抑制することができる。これにより、各々の二次電池2の劣化状態を均等化することができる。
一方、この切り換え判定部18には、充電電池の充電率SOCに関する第二の切り換え条件を判定する第二変更部18bが併設される。これにより、劣化度DLに応じて充電対象と放電対象とを切り換えることができ、累積使用時間を均一化することができる。したがって、一方のみの二次電池2に偏った劣化の進行を抑制することができる。
(1)上記の電力制御装置1では、放電電池である大劣化電池からの放電出力Dがその劣化度DLに応じて制限される。例えば、劣化度差ΔDLに基づいて設定された補正係数K5を標準最大電気出力QMAXBASEに乗じたものが、その大劣化電池の最大電気出力QMAXとされる。これにより、大劣化電池からの高出力の持ち出しが抑制されるため、劣化の進行を抑制することができ、二次電池2の劣化状態を均等化することができる。
(1)上記の電力制御装置1では、所定の充電休止条件が成立すると、燃料電池3が一時的に発電アイドル状態に制御され、燃料電池3による充電電池への充電が一時的に中断される。また、充電休止条件としては、放電電池の充電率SOCと充電電池の電池温度Tとが判定される。このように、放電対象の充電率SOCと充電対象の電池温度Tとに基づいて充電対象の充電の可否を判断することで、充電入力Cの余力や充電環境温度が劣化度DLに及ぼす影響力の大小に応じて充電を実施し、あるいはこれを中断することができる。これにより、電欠を発生させることなく二次電池2の劣化を抑制することができ、二次電池2の劣化状態を均等化することができる。
また、小劣化電池に対する大劣化電池の相対的な劣化度DLが高いほど、休止温度TPAUSEが低く設定される。したがって、大劣化電池の充電を休止させやすくすることができ、効果的に劣化の進行を抑制することができ、複数の二次電池2の劣化状態を均等化することができる。
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
2 二次電池
2a 第一電池
2b 第二電池
3 燃料電池
4 モーター(電気機器)
5 燃料タンク
6 コンバーター
7 インバーター
8 車載充電器
9 制御回路
10 電子制御装置
11 劣化度判定部(判定手段)
12 対象設定部
13 外部充電制御部(外部充電制御手段)
14 充放電制御部(制御手段)
15 基本電気出力算出部(電気出力制御手段)
16 充放電域算出部(充放電域制御手段)
17 充放電出力算出部(充放電出力制御手段)
18 切り換え判定部(変更判定手段)
18a 第一変更部(第一変更手段)
18b 第二変更部(第二変更手段)
19 充電休止判定部(休止制御手段)
20 車両
Claims (6)
- 電気機器に接続され、互いに独立して充放電状態が制御される複数の二次電池と、
前記複数の二次電池に接続され、各々の前記二次電池を充電する燃料電池と、
前記複数の二次電池の中から放電対象及び充電対象を設定し、前記放電対象から前記電気機器への放電状態と前記燃料電池から前記充電対象への充電状態とを制御する制御手段と、
前記複数の二次電池の各々についての相対的な劣化度を判定する判定手段と、
前記判定手段で判定された相対的な劣化度に基づいて前記放電対象及び前記充電対象を変更する切り換え判定手段と
を備えたことを特徴とする、電力制御装置。 - 前記切り換え判定手段が、
前記放電対象の充電率が下限充電率以下であるときに、前記放電対象を変更する第一変更手段と、
前記充電対象の充電率が上限充電率以上であるときに、前記判定手段で判定された相対的な劣化度に基づいて前記放電対象を変更する第二変更手段と、を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の電力制御装置。 - 前記第二変更手段は、前記充電対象の充電率が上限充電率以上であり、かつ前記放電対象が前記判定手段で相対的な劣化度が大きいと判定された場合に、前記放電対象を変更する
ことを特徴とする、請求項2記載の電力制御装置。 - 前記第二変更手段は、前記充電対象の充電率が上限充電率以上であり、かつ前記充電対象が前記判定手段で相対的な劣化度が大きいと判定された場合に、前記充電対象への充電状態を停止し前記放電対象を維持する
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の電力制御装置。 - 前記複数の二次電池に接続される外部充電設備からの給電により、前記複数の二次電池を充電する外部充電制御手段を備え、
前記切り換え判定手段が、前記外部充電制御手段による外部充電完了後の最初の前記放電対象を、前記判定手段で判定された相対的な劣化度に基づいて選択する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の電力制御装置。 - 前記切り換え判定手段は、前記判定手段で判定された相対的な劣化度に基づいて、前記外部充電完了後に前記放電対象が放電する順序を決定する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の電力制御装置。
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