JP2014078502A - Mcpユニット、mcp検出器および飛行時間型質量分析器 - Google Patents
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Abstract
【課題】外部環境に影響されることなく安定した時間応答特性を得るための構造を備えたMCPユニット、該MCPユニットを含むMCP検出器および該MCP検出器を含む飛行時間型分析器を提供する。
【解決手段】MCPユニットは、MCPのチャネル径による制限に依存することなく所望の時間応答特性を実現する構造を備えたトライオード構造を有し、MCP群2と、第1電極1と、第2電極3と、アノード4と、加速電極5を備える。特に、当該MCPユニットは、MCP群2からの二次電子の入射に応答してアノード4から放出される反射電子の水平方向に沿った移動を制限するための制限構造を備える。
【選択図】図13
【解決手段】MCPユニットは、MCPのチャネル径による制限に依存することなく所望の時間応答特性を実現する構造を備えたトライオード構造を有し、MCP群2と、第1電極1と、第2電極3と、アノード4と、加速電極5を備える。特に、当該MCPユニットは、MCP群2からの二次電子の入射に応答してアノード4から放出される反射電子の水平方向に沿った移動を制限するための制限構造を備える。
【選択図】図13
Description
本発明は、飛行時間型質量分析法等に利用される検出器の主要部として、電子やイオンなどの荷電粒子の増倍機能を有するMCPユニット、該MCPユニットを含むMCP検出器および該MCP検出器を含む飛行時間型分析器に関するものである。
高分子の分子量を検出する手法として飛行時間型質量分析法(TOF−MS:Time Of Flight Mass Spectrometry)が知られている。図1は、このTOF−MSによる分析装置(以下、TOF−MS装置という)の構造を説明するための図である。
図1に示されたように、TOF−MS装置では、真空容器110内の一端に検出器100が配置され、該真空容器110内の他端にサンプル(試料としてのイオン源)120が配置される。両者の間には、開口を有するリング形状の電極130(イオン加速器)が配置される。電極130は接地され、所定電圧が印加されているサンプル120に対してイオン抽出システム(レーザ光源を含む)からレーザビームが照射されると、サンプル120から放出されたイオンは、サンプル120と電極130の間に形成される電界によって加速され、検出器100へ衝突する。サンプル120から電極130の間においてイオンに与えられる加速エネルギーは、イオン電荷により決定される。そのため、イオン電荷が同一であれば電極130を通過するときの速度はイオンの質量に依存する。また、電極130と検出器100の間では、イオンは定速で飛行するため、電極130と検出器100の間におけるイオンの飛行時間は、速度に逆比例することになる。つまり、分析部は、この電極130から検出器100までの飛行時間を求めることでイオンの質量を決定する(検出器100からの出力電圧をオシロスコープでモニタする)。視覚的には、オシロスコープ上に表示される出力電圧の時間スペクトルに現れるピークの発生時間から、イオンの質量判定が可能になる。
このようなTOF−MS装置に適用可能な検出器としては、例えば特許文献1に開示されたMCP検出器が知られている。図2は、TOF−MS装置に適用可能なMCP検出器の一例として、特許文献1に開示されたトライオード構造(Triode-structure)を有するMCP検出器の等価回路図である。図2に示されたMCP検出器100aは、内部が所定の真空度に維持された真空容器内に収納されている。なお、真空容器は、導電性材料からなり(金属筐体)、グランド電位に設定されている。MCP検出器100aでは、2枚のマイクロチャネルプレート(MCP:Micro Channel Plate)20、21(以下、MCP群2という)が、それぞれの中央に開口が設けられたIN電極1とOUT電極3とで挟み込まれている。OUT電極3の後方にはアノード4が配置され、さらに、OUT電極3とアノード4との間には金属メッシュを有する加速電極5が配置されている。また、信号読み出し用のBNC端子(Bayonet Neil-Concelman connector)6のシールド側には、真空容器が接続される一方、BNC端子6の芯線は、コンデンサ62を介してアノード4に接続されている。このコンデンサ62には、出力を絶縁することで、信号出力レベルをGNDレベルにする機能がある。さらに、BNC端子6のシールド側とOUT電極3の間、および、BNC端子6のシールド側と加速電極5の間にも、それぞれコンデンサ80、90が配置されている。加速電極5とアノード4との間隔Bは、MCP群2と加速電極5との間隔Aよりも広くなるよう設定されている。
上述のような構造を有するMCP検出器100aにおいて、IN電極1に設定されたマイナス電位を基準として、OUT電極3は、IN電極1よりも高いマイナス電位に設定される。加速電極5及びアノード4は、OUT電極3よりも高いマイナス電位に設定される。なお、加速電極5とアノード4は同一電位に設定されても良い。このように、MCP検出器100aは、アノード電位がグランドされていないフローティングアノード構造を有する。
BNC端子6の芯線を介して取り出された、アノード4からの信号は増幅器(Amp)により増幅された後、分析部へ取り込まれる。具体的には、MCP検出器100aにおいて、荷電粒子がMCP群2に入射すると、これに応じてMCP群2から多数の電子(MCPそれぞれで増倍された二次電子)が放出される。こうして放出された二次電子がアノード4に到達し、電圧又は電流変化として電気信号に変換される(BNC端子6の芯線から信号が出力される)。この際、アノード4と芯線との間に設けられたコンデンサ62により、検出信号は接地電位で外部に出力され、また、BNC端子6のシールド側とOUT電極3との間、および、BNC端子6のシールド側と加速電極5との間にそれぞれもうけられたコンデンサ80、90により、出力信号の波形歪みやオーバーシュート(リンギング)の発生が抑制される。
近年、TOF−MSでは、イオン化手法やイオン光学の発達に起因したイオン源から検出器までの領域における特性改善や、エレクトロニクスの発達に起因した解析システムの特性改善により、検出器の更なる特性向上が要求されるようになってきた。上述の特許文献1に開示されたトライオード構造のMCP検出器は、このような要求に応える電子デバイスとして、MCPのチャネル径による制限に依存することなく所望の時間応答特性を実現するため、時間スペクトルにおける検出ピークの立上がり時間及び立下り時間を任意に制御可能にする。しかしながら、係る優れた検出特性を有するトライオード構造のMCP検出器であっても、使用環境によってはその検出特性の安定性が損なわれる可能性があることが、発明者らの研究により発見された。
すなわち、トライオード構造のMCP検出器の時間応答特性の評価は、図3(A)に示されたように、当該MCP検出器を収納する真空容器などの外部電位源の影響を受けにくい環境下で行われる。このように、外部電位源の影響を受けにくい環境下(図3(A))では、図3(B)に示されたようなアノード出力(電圧信号)の信号波形が得られる。一方、実際には、図4(A)に示されたように、アノード4がマイナス電位に設定されるMCP検出器は、グランド電位に設定された金属筐体内に収納された環境下で使用される。特に、MCP検出器の使用に際して、筐体内壁から十分に離間した状態で当該MCP検出器を使用する場合には安定した時間応答特性が得られるが、近年の装置小型化要求から、当該MCP検出器と筐体内壁との距離を十分に確保することは難しい状況である。したがって、MCP検出器の近傍に外部電位源としてグランド電位に設定された金属筐体が配置された環境下(図4(A))では、図4(B)に示されたようなアノード出力の信号波形が得られる。
なお、図3(A)および図4(A)それぞれに示された等電位線は、加速電極5とアノード4とが同電位に設定された状況下での等電位線を示す。また、外部電位源の影響を受けにくい環境下での測定結果を示す図3(B)において、グラフG310は、トライオード構造を有するMCP検出器から得られるアノード出力を示し、グラフG320は、MCP群2とアノード4との間に加速電極が設けられていないバイポーラ構造(bipolar-structure)を有するMCP検出器から得られるアノード出力を示す。また、外部電位源の影響を受け易い環境下での測定結果を示す図4(B)において、グラフG410は、トライオード構造を有するMCP検出器から得られるアノード出力を示し、グラフG420は、参考例として、外部電位源の影響を受けにくい環境下でのトライオード構造を有するMCP検出器のアノード出力(図3(B)中のグラフG310に一致)を示す。
図3(B)中のグラフG310と図4(B)中のグラフG410の比較から分かるように、図4(A)の環境下では、グラフG410の矢印Pで示された部分、すなわちマイナスピークを過ぎた後にオーバーシュート(リンギング)が発生している。オーバーシュートは、アノード4からの電圧信号がマイナスのピークを過ぎた後にプラスに一時的に立ち上がる現象をいう。
オーバーシュート発生のメカニズムを検証するに当たり、図3(A)の環境下での電界分布と、図4(A)の環境下での電界分布を比較してみると、図3(A)の環境下では、MCP検出器周辺の電界の乱れは少なく、MCP検出器内における設定電位が安定していることが分かる。MCP群2とアノード4との間、特に加速電極5とアノード4の間の電界が安定している場合、MCP群2から放出された電子がアノード4に衝突することにより反射電子(主に、アノード4で弾性散乱した二次電子や電子衝突により新たに発生した二次電子を含む)が発生したとしても、発生した反射電子は等速運動でアノード4、加速電極5に吸収されるため、図3(B)中に示されたグラフG310のようなアノード出力の信号波形が得られると考えられる。一方、図4(A)の環境下では、マイナス電位に設定されたアノード4とグランド電位に設定された筐体内壁が近接されているため、MCP検出器周辺の電界が乱れ、等電位線が加速電極5とアノード4との間の空間内に浸み込んでいることが分かる。この場合、アノード4から放出された反射電子がアノード4に吸収されることなく短時間で筐体の内壁に到達する可能性が増大し、オーバーシュート発生の要因となると考えられる。すなわち、MCP群2から放出された二次電子がアノード4に衝突すると、該アノード4から放出された反射電子が筐体の内壁へ飛び出すことによりアノード4内の電子が一時的に不足することが、オーバーシュート発生の要因の一つと考えられる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、外部環境に影響されることなく安定した時間応答特性を得るための構造を備えたMCPユニット、該MCPユニットを含むMCP検出器および該MCP検出器を含む飛行時間型分析器を提供することを目的としている。
本発明に係るMCPユニットは、MCPのチャネル径による制限に依存することなく所望の時間応答特性を実現するため、時間スペクトルにおける検出ピークの立上がり時間及び立下り時間を任意に制御可能なMCPユニットとして、MCPと、第1電極と、第2電極と、アノードと、加速電極を備える。特に、本発明に係るMCPユニットは、MCPからの二次電子の入射に応答してアノードから放出される反射電子(二次電子)を、加速電極とアノードとの間の空間内に閉じ込めるための制限構造を、更に備える。なお、MCPは、当該MCPユニットの中心軸と交差する平面上に配置された、該中心軸に沿って移動する荷電粒子の入射に応答して内部で増倍された二次電子を放出する。また、MCPは、荷電粒子が入射される入射面と、該入射面に対向するとともに該二次電子を出射する出射面とを有する。第1電極は、MCPの入射面に接触した電極であって、第1電位に設定されている。第2電極は、MCPの出射面に接触した電極であって、第1電位よりも高い第2電位に設定されている。アノードは、MCPの出射面から放出された二次電子が到達する位置に配置された電極である。このアノードは、中心軸に交差した状態で配置されるとともに、第2電位よりも高い第3電位に設定されている。加速電極は、MCPとアノードとの間に配置された電極であって、第2電位よりも高い第4電位に設定されている。また、加速電極は、MCPの出射面からアノードへ向かう二次電子を通過させるための複数の開口を有する。
上記制限構造には、加速電極とアノードとの間の空間を、当該MCPユニット周辺空間から物理的に隔離する第1の態様と、アノードから放出される反射電子の、当該MCPユニットの中心軸に直交する方向に沿った移動を制限する第2の態様と、加速電極とアノードとの電位差を制御する第3の態様と、マイクロチャネルプレートからアノードに向かう二次電子の軌道を制御する第4の態様と、アノードからの反射電子の放出自体を抑制する構造を変更する第5の態様により実現可能である。なお、上記制限構造は、第1〜第5の態様のうち2以上の態様の組合せによっても実現可能である。
第1の態様に係る制限構造は、加速電極とアノードとの間に配置されたリング部材を含む。このリング部材は、加速電極からアノードへ向かう二次電子が通過させるよう、当該MCPユニットの中心軸を取り囲む連続面によって規定される貫通孔を有する。リング部材は、加速電極に接触する第1面と、第1面に対向するとともにアノードに接触する第2面を有し、該リング部材の貫通孔は、第1面と第2面を連絡するよう伸びた形状を有する。
なお、アノードには、金属板のみからなる構造の他、種々の構造が採用可能である。例えば、アノードは、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料からなるアノード基板(絶縁性基板)を備えても良い。この場合、アノードには、絶縁性基板と、該絶縁性基板上の一部領域または全面に金属膜(箔)が設けられた構造が採用可能である。アノードには、絶縁性基板と、該絶縁性基板上の一部領域または全面に金属板が固定された構造が採用されても良い。アノードが絶縁性基板を備えた構造を有する場合、リング部材の材料は金属、絶縁材料のいずれであっても良い。ただし、アノード全体が金属板からなる構造において、リング部材は、その構成材料によって異なる機能を発揮する。例えば、加速電極とアノードとを同電位に設定する場合には、リング部材は、金属材料からなるのが好ましい。一方、加速電極の電位とアノードの電位を独立して制御する場合、リング部材は、絶縁材料からなるのが好ましい。
第2の態様に係る制限構造の一例は、荷電粒子の入射に応答して放出される二次電子の増倍に寄与する、マイクロチャネルプレートの有効領域の一部を、第1電極側から塞ぐマスク部材を含んでも良い。この場合、マスク部材は、当該MCPユニットの中心軸を取り囲む連続面により規定される貫通孔を有するのが好ましい。さらに、マスク部材は、第1電極の一部であっても良い。
第2の態様に係る制限構造の他の例は、当該MCPユニット周辺の電界分布が外部電位源の影響を受けにくい理想環境下において算出されたアノードの理論最大径であって、一旦放出された反射電子の吸収を可能にする理論最大径よりも、その最大径が拡大されたアノードを含んでも良い。この場合、加速電極の最大径も、アノードの最大径と略一致しているのが好ましい。
第2の態様に係る制限構造の他の例は、第2電極から加速電極までの前記中心軸に沿った第1間隔が、加速電極からアノードまでの中心軸に沿った第2間隔よりも狭く設定された状態で、第2間隔が第1間隔の2倍以下になるよう配置された加速電極とアノードの双方を含んでも良い。
第2の態様に係る制限構造の更に他の例は、当該MCPユニットからグランド電位に設定された筐体までの距離を十分に離すことにより、当該MCPユニットから該筐体までの電位勾配を弱める構造を含んでも良い。
第3の態様に係る制限構造は、加速電極とアノードとの間の空間における電位勾配が第2電極と加速電極との間の空間における電位勾配よりも小さくなるよう、第3電位が加速電極の第4電位よりも高く設定されたアノードを含んでも良い。
第4の態様に係る制限構造も一例は、マイクロチャネルプレートからアノードに向かう二次電子の軌道を制御するための電子レンズ構造として、マイクロチャネルプレートの入射面に対面する平坦部のエッジからアノードに向かって伸びた側壁部を有する第1電極を含んでも良い。
第4の態様に係る制限構造の他の例は、マイクロチャネルプレートの出射面に対面する平坦部のエッジからアノードに向かって伸びた側壁部を有する第2電極を含んでも良い。
第5の態様に係る制限構造は、その表面が、二次電子の発生を抑制するカーボンなどでコーティングされたアノードを含んでも良い。
本発明に係るMCP検出器は、上述のような構造を備えたMCPユニット(本発明に係るMCPユニット)により実現可能である。すなわち、当該MCP検出器は、上記MCPユニットと、マイクロチャネルプレートとともにアノードを挟むよう配置された信号出力部と、を備える。信号出力部は、アノードに電気的に接続された信号線を有する。また、信号出力部は、信号線と、該信号線を包囲するシールド部とを備えた同軸ケーブルを含んでもよく、この場合、当該MCP検出器は、さらに、シールド部と電気的に接続された一方の端子と、加速電極に電気的に接続された他方の端子とを有するコンデンサを備えるのが好ましい。
さらに、本発明に係る飛行時間型質量分析器は、真空容器(グランド電位に設定された金属筐体)と、イオン抽出システムと、イオン加速器と、上述のような構造を有するMCP検出器(本発明に係るMCP検出器)と、試料から放出されたイオンに関する情報として、少なくとも質量を判定する分析部と、を備える。真空容器は、イオン源として分析されるべき試料が内部に設置される。イオン抽出システムは、真空容器内に設置された試料からイオンを放出させる。イオン加速器は、真空容器内に配置された、試料から放出されたイオンを加速させる。MCP検出器は、イオン加速器を試料ととともに挟むように配置される。分析部は、MCP検出器からの検出信号に基づいてイオン加速器からMCP検出器までの飛行時間を検出することにより、該MCP検出器に到達したイオンの質量を決定する。
なお、この発明に係る各実施例は、以下の詳細な説明及び添付図面によりさらに十分に理解可能となる。これら実施例は単に例示のために示されるものであって、この発明を限定するものと考えるべきではない。
また、この発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、詳細な説明及び特定の事例はこの発明の好適な実施例を示すものではあるが、例示のためにのみ示されているものであって、この発明の範囲における様々な変形および改良はこの詳細な説明から当業者には自明であることは明らかである。
本発明によれば、優れた時間応答特性を実現するトライオード構造のMCPユニットに、MCPからの二次電子の入射に応答してアノードから放出される反射電子(二次電子)を、加速電極とアノードとの間の空間内に閉じ込めるための制限構造を設けることにより、外部電位源などの外部環境に影響されることなく安定した時間応答特性が得られる。
以下、本発明に係るMCPユニット、MCP検出器、および飛行時間型質量分析器の各実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
本発明に係る飛行時間型質量分析器は、図1に示されたように、内部が所定の真空度まで減圧された真空容器110と、レーザ光源を含むイオン抽出システムと、イオン加速器であるリング形状の電極130と、検出器100と、分析部を備える。本発明に係るMCP検出器は、検出器100に好適に適用可能であり、トライオード構造が採用されている。以下の説明では、本発明に係る飛行時間型質量分析器に適用可能な検出器として、トライオード構造を有するMCPユニット及びそれを含むMCP検出器の各実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明に係るMCPユニット等の基本構造として、トライオード構造を有するMCPユニットおよびMCP検出器について、図5〜図7および図8(A)〜図10(B)を用いて説明する。図5は、トライオード構造を有するMCPユニットが適用されたMCP検出器の基本構造を説明するための組み立て工程図であり、上記特許文献1に開示されたトライオード構造のMCPユニットの基本構造に一致している。図6は、図5に示されたMCP検出器の、L1−L1線に沿った断面構造を示す図である。なお、図5および図6に示されたMCP検出器の等価回路図は、図2に示された等価回路図と一致している。
図5に示されたMCP検出器は、内部が所定の真空度に維持された真空容器(グランド電位に設定された金属筐体)を備え、該真空容器の管軸AX(MCPユニットの中心軸に一致)に沿って順に、IN電極1(第1電極)、MCP群2、OUT電極3(第2電極)、加速電極5、アノード4が配置された構造を有する。MCP群2は、2枚のディスク形状のMCP20、21により構成されている。また、MCP群2の入射面(荷電粒子が到達する前面)側にはIN電極1(第1電極)が配置される一方、出射面(後面)側にはOUT電極3(第2電極)が配置されている。このように、MCP群2と、該MCP群2を挟み込んだIN電極1とOUT電極3によりMCPアセンブリが構成される。また、図5及び図6に示されたMCP検出器では、各電極への電圧印加構造として、IN電極(第1電極)1、OUT電極(第2電極)3、加速電極5(加速電極基板50を含む)、アノード4(アノード基板40を含む)のそれぞれに電圧印加用リードが設けられた4端子電圧印加構造が採用されている。
IN電極1は、中央に開口10を有するドーナツ形状を有する、金属製(例えば、ステンレス製)の電極であり、その盤面には、管軸AXを中心に90度ごとに4つの皿ねじ910が挿入される孔が設けられている。IN電極1の後面には、後方から延びた棒形状を有する、導電性材料(例えばステンレス製)のINリードが電気的に接続されている。IN電極1とINリードの接続位置は、隣接する2つの孔の中間に位置することになる。INリードは、絶縁性材料のINリード用インシュレータに挿入された状態で保持されており、この構造によりINリードは、他の構造要素(部品)とは絶縁されている。INリード用インシュレータとしては、例えば加工性、耐熱性、耐衝撃性、絶縁性に優れたPEEK(PolyEtherEtherKetone)樹脂が適している。
OUT電極3も、IN電極1と同様に、中央に開口30を有するドーナツ形状を有する、金属製の電極であるが、INリードを収容するINリード用インシュレータと接触しないよう、その一部が切り取られた構造を有する。そして、OUT電極3の盤面には、IN電極1の孔に対応する位置に、同様の孔が設けられている。OUT電極3の後面には、後方から延びる棒形状を有する、導電性材料(例えばステンレス製)のOUTリードが電気的に接続されている。なお、OUTリードは、正面から見てINリードを管軸AXを中心に左回りに90度回転させた位置に配置されている。このOUTリードも、INリードと同様に、絶縁性材料、例えばPEEK樹脂製のOUTリード用インシュレータに挿入された状態で保持されている(他の構造要素とは絶縁されている)。
なお、IN電極1とOUT電極3の間には、これらIN電極1及びOUT電極3それぞれの孔に対応する位置に、ドーナツ形状を有する、絶縁性材料のMCPインシュレータ901が配置されている。これらMCPインシュレータ901は、例えば、PEEK樹脂製であり、その厚みはMCP群2より若干薄い。以上のようにIN電極1とOUT電極3でMCP群2が挟み込まれたMCPアセンブリは、ディスク形状のMCP20、21の中心がIN電極1とOUT電極3のそれぞれの開口10、30の中心と一致するように精度よく組み立てられることにより得られる。
OUT電極3の後方には、所定の間隔をおいて加速電極基板50が配置されている。この加速電極基板50は、中央に円形の開口を有する金属製の電極であるが、この開口を覆うように金属メッシュが設けられている。これら加速電極基板50及び金属メッシュにより加速電極5が構成されている。加速電極基板50は、INリードを収容するINリード用インシュレータ、及び、OUTリードを収容するOUTリード用インシュレータと接触しないよう、切り欠き構造を有する。上述のように、加速電極基板50は、OUT電極3に対して所定間隔をおいて配置されるため、該加速電極基板50には、OUT電極3の孔に対応する箇所に孔が設けられるとともに、OUT電極3との間には、ともにドーナツ形状を有する導電性材料の薄板801と絶縁性材料のインシュレータ902が配置されている。薄板801は、コンデンサ80の一端をOUT電極3とで挟み込むための金属部品である。薄板801としては、延性に優れた材料が適しており、例えば、りん青銅板に金又は銅メッキが施された部材が好ましい。また、インシュレータ902としては、例えばPEEK樹脂が適用可能である。なお、加速電極基板50に設けられた開口は、当該加速電極5の有効領域(MCP群2から放出された二次電子が通過するためのメッシュ領域)を規定しており、MCP群2の有効領域(二次電子を放出する領域)よりも広い。
さらに、加速電極基板50の後方には、所定の間隔をおいてアノード基板40が配置されている。このアノード基板40は、ガラスエポキシ樹脂(絶縁材料)で成形されたディスク形状を有し、その表面及び裏面には銅等の金属薄膜の所定パターンが形成されている。また、表面の金属薄膜パターンと裏面の金属薄膜パターンは導通されている。そして、アノード基板40は、INリードを収容するINリード用インシュレータ、及び、OUTリードを収容するOUTリード用インシュレータと接触しないよう、切り欠き構造を有する。上述のように、アノード基板40は加速電極基板50に対して所定間隔をおいて配置されるため、該アノード基板40には、加速電極基板50の孔に対応する箇所に孔が設けられるとともに、加速電極基板50との間には、ともにドーナツ形状を有する導電性材料の薄板803と絶縁性材料のインシュレータ904が配置されている。薄板803は、コンデンサ90の一端を加速電極基板50とで挟み込むための金属部品である。薄板803としては、延性に優れた材料が適しており、例えば、りん青銅板に金又は銅メッキが施された部材が好ましい。また、インシュレータ904としては、例えばPEEK樹脂が適用可能である。
アノード基板40の表面及び裏面のそれぞれに形成される金属薄膜パターンのうち、表面の金属薄膜パターンは、OUT電極3の開口30と形状が一致する円形であって、開口30と表面の金属薄膜パターンとは同軸に配置されている。一方、裏面の金属薄膜パターンは、アノード基板40の中心から径方向の一方に延びる概ね線状のパターンであり、外側の端部には後方から延びる棒形状を有する、導電性材料(例えばステンレス製)のアノードリードが電気的に接続されている。なお、アノードリードは、正面から見てOUTリードを管軸AXを中心に左回りに90度回転させた位置に配置されている。つまり、INリードとは管軸AXを中心に対称な位置に配置されることになる。このアノードリードも、INリード、OUTリードと同様に、絶縁性材料、例えばPEEK樹脂製のアノードリード用インシュレータに挿入された状態で保持されることにより、他の構造要素とは絶縁される。
裏面の金属薄膜パターンの中央には、銅製のアノード端子41がねじ止めされている。このアノード端子41とアノード基板40によりアノード4が構成される。なお、アノード4は、上述の構造には限定されず、例えば、絶縁材料からなるアノード基板40と、該アノード基板40上の一部領域または全面に固定された金属板により構成されても良い。また、アノード4全体が金属板で構成されても良い。
アノード4の後方には、後方カバー500が配置されている。この後方カバー500は、ドーナツ形状を有する基板501と、円筒部502と、同じくドーナツ形状を有する基板503により構成されている。円筒部502は、基板501、503間に挟み込まれ、ねじ920、930によって固定されており、後方カバー500は、このように基板501の内周と基板503の外周が円筒部502を介して接続されることで、深皿状の部材となる。基板501、503、円筒部502は、いずれも金属製(例えばステンレス製)である。また、基板501には、ねじ孔が設けられており、アノード4の背面にインシュレータ903と薄板802を挟んで後方カバー500が配置されている。このとき、ねじ孔に電気絶縁性(例えばPEEK樹脂が適用可能である)のねじ910を締結することにより各電極1、3、4とMCP群2が、後方カバー500に固定される。薄板802は、基板501とともにコンデンサ80、90それぞれの他端を挟み込むための金属部品である。薄板802も薄板801、803と同様の材料で良い。インシュレータ903には、例えばPEEK樹脂が適用可能である。また、基板501は、各リード用インシュレータが挿入される孔を有する。
基板503の中央には、ねじ940により、信号出力部であるBNC端子6が固定されている。BNC端子6の外側600は、後方カバー500の基板501に電気的に接続されている。一方、BNC端子6の内側の芯線601は、アノード端子41にコンデンサ62を介して接続されている。このコンデンサ62には、出力を絶縁することで、信号出力レベルをGNDレベルにする機能がある。
なお、OUT電極3と基板501との間には、各端子が上述の薄板801と薄板802によりこれらOUT電極3と基板501のそれぞれに電気的に接続された、4つのコンデンサ80が、管軸AXを中心に等間隔離れて配置される。なお、基板501、円筒部502及び基板503は、それぞれ金属製であるので、コンデンサ80の一端は、BNC端子6の外側600に電気的に接続されることになる。同様に、加速電極基板50と基板501との間には、各端子が上述の薄板803と薄板802によりこれら加速電極基板50と基板501のそれぞれに電気的に接続された、4つのコンデンサ90が、管軸AXを中心に等間隔離れて配置される。したがって、これらコンデンサ90も、金属製の基板501と加速電極基板50の間に取り付けられることになり、コンデンサ90の一端は、BNC端子6の外側600に電気的に接続されることになる。
また、上述のようなトライオード構造のMCP検出器において、加速電極5は、図6に示されたように、アノード4までの最短距離BがMCP群2の出射面までの最短距離Aよりも長くなるよう、MCP群2とアノード4との間に配置されている。すなわち、A<Bの条件を満たすように加速電極5がMCP群2−アノード4間に配置されることにより、検出ピークのFWHMの大幅な短縮が可能になり、時間応答特性を向上させることができる。これは、MCP群2、加速電極5、及びアノード4の配置条件を調整することにより、検出された時間スペクトル上に現れるピークのFWHMの低減が可能になるためである。すなわち、MCP群2−加速電極5間の距離Aの調整は検出ピークの立上がり時間の制御に寄与し、加速電極5−アノード4間の距離Bの調節は検出ピークの立下り時間の制御に寄与する。
加速電極5は、OUT電極3よりも高い電位に設定されれば良いが、加速電極5がアノード4と同じ電位に設定されることにより、従来のバイポーラ構造のMCP検出器と比較して、MCP群2から放出される二次電子の加速領域を任意に制限することができる(放出された時間拡がりが抑制されることから従来よりも検出ピークの立上がり時間の短縮が可能)。
図7は、トライオード構造を有するMCPユニットが適用されたMCP検出器の時間応答特性を示すグラフである。また、図8(A)は、図7の応答特性を測定するために用意されたトライオード構造のMCPユニットの構造(外部電位源による影響を受けにくい理想環境下での構造)を示す断面図であり、図8(B)は、測定結果を示す表である。
用意された測定系は、図8(A)に示されたように、入射面側にIN電極1が設けられるとともに出射面側にOUT電極3が設けられたMCP群2と、アノード4と、これらMCP群2とアノード4との間に配置された加速電極5により構成されたMCPユニットであり、外部電位源の影響を受けにくい理想環境に設置されているものとする。このような測定系のMCPユニットにおいて、アノード4及び加速電極5はグランドレベルに設定され、OUT電極3は−500Vに設定され、IN電極1は−2000Vに設定されている。また、加速電極5の有効領域は、開口率81%の金属メッシュ(線幅40μm、配線ピッチ0.4mm)で構成されている。
この測定は、図8(A)中に示されたMCP群2−加速電極5間の最短距離A、及び加速電極5−アノード4間の最短距離Bを変えながらアノード4から得られる出力電圧の時間変化をモニタすることにより行われた。すなわち、図8(B)に示されたように、距離Aが1.1mmで距離Bも1.1mmのケース1、距離Aが1.1mmで距離Bが2.6mmのケース2、距離Aが2.6mmで距離Bが1.1mmのケース3について測定が行われた。図7中に示されたグラフG810はケース1(A=B)の時間スペクトルを示し、グラフG820はケース2(A<B)の時間スペクトルを示す。図7からも分かるように、ケース2の場合、検出ピークの立下り時間が大幅に短縮されたことに伴って検出ピークの半値全幅(FWHM)も大幅に低減されている。一方、図7には示されていないが、ケース3の場合、検出ピークのFWHMは結果的にケース1とほぼ変わりはないが、検出ピークの立下がり時間の短縮とが逆に立上がり時間が伸びてしまっている。このように、ケース3では、立下がり時間と立上がり時間が連動して変化するため、検出ピークの波形整形は困難である。
次に、図9(A)〜図9(C)は、加速電極5の構造を説明するための図である。図9(A)に示されたように、加速電極5は、中央に円形の開口5aが設けられた加速電極基板50と、開口5aを覆うように貼り付けられた金属メッシュ51を備える。金属メッシュ51は、図9(B)に示されたように、所定線幅の金属ワイヤを格子状に配列することにより得られる。線幅は製造上の制約や機械的強度の観点から40μm程度が限界と考えられる。図9(C)は、線幅40μmで構成された金属メッシュ51の配線ピッチと開口率との関係を示す表である。
上述のような構造を有する加速電極5の有効領域における開効率(金属メッシュの開効率)は、60%以上95%以下であるのが好ましい。開口率が60%を下回ると、通過電子数(加速電極の透過率)が低下し、アノードから得られる信号量が減少するからである。一方、開口率が95%を超えると、得られる時間スペクトルにおける検出ピークの波形整形が実質的にできなくなるからである。なお、図10(A)は、図8(A)に示されたMCPユニットに適用される加速電極の開口率(%)と立上がり時間(ps)との関係を示すグラフであり、図10(B)は、測定条件を示す表である。
次に、上述のような構造を有するトライオード構造のMCPユニットに適用される制限構造について説明する。すなわち、本発明に係るMCPユニット等は、上述のようなトライオード構造を基本構造として備え、さらに、当該MCPユニット近傍に存在する外部電位源の影響を低減するための制限構造として、種々の構造が適用可能である。
図11は、本発明に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の特徴的構造を説明するための等価回路図であり、その主要部分は図2の等価回路図と重複している。図11のMCP検出器もTOF−MS装置等に適用可能である。図11に示されたMCP検出器は、内部が所定の真空度に維持された真空容器内に収納されている。なお、真空容器は、導電性材料からなり、グランド電位に設定されている。このMCP検出器では、2枚のMCP20、21(MCP群2)が、それぞれの中央に開口が設けられたIN電極1とOUT電極3とで挟み込まれている。OUT電極3の後方にはアノード4が配置され、さらに、OUT電極3とアノードとの間には金属メッシュを有する加速電極5が配置されている。また、信号読み出し用のBNC端子6のシールド側には、真空容器が接続される一方、BNC端子6の芯線は、コンデンサ62を介してアノード4に接続されている。このコンデンサ62には、出力を絶縁することで、信号出力レベルをGNDレベルにする機能がある。さらに、BNC端子6のシールド側とOUT電極3の間、および、BNC端子6のシールド側と加速電極5の間にも、それぞれコンデンサ80、90が配置されている。加速電極5とアノード4との間隔Bは、MCP群2と加速電極5との間隔Aよりも広くなるよう設定されている。
上述のような構造を有するMCP検出器において、IN電極1に設定されたマイナス電位を基準として、OUT電極3は、IN電極1よりも高いマイナス電位に設定される。加速電極5及びアノード4は、OUT電極3よりも高いマイナス電位に設定される。なお、加速電極5とアノード4は同一電位に設定されても良い。このように、MCP検出器は、アノード電位がグランドされていないフローティングアノード構造を有する。
BNC端子6の芯線を介して取り出された、アノード4からの信号は増幅器(Amp)により増幅された後、分析部へ取り込まれる。具体的には、MCP検出器100aにおいて、荷電粒子がMCP群2に入射すると、これに応じてMCP群2から多数の電子が放出される。こうして放出された二次電子がアノード4に到達し、電圧又は電流変化として電気信号に変換される。この際、アノード4と芯線との間に設けられたコンデンサ62により、検出信号は接地電位で外部に出力され、また、BNC端子6のシールド側とOUT電極3との間、および、BNC端子6のシールド側と加速電極5との間にそれぞれ設けられたコンデンサ80、90により、出力信号の波形歪みやオーバーシュート(リンギング)の発生が抑制される(理想環境において)。
特に、本発明に係るMCPユニットは、MCP群2からの二次電子の入射に応答してアノード4から放出される二次電子(反射電子)を、加速電極とアノードとの間の空間内に閉じ込めるための制限構造を、更に備える。
具体的な制限構造としては、図11中に示されたように、加速電極とアノードとの間の空間を、当該MCPユニット周辺空間から物理的に隔離する態様I(第1実施形態)と、アノードから放出される反射電子の、当該MCPユニットの中心軸に直交する方向に沿った移動を制限する態様II(第2実施形態)と、加速電極とアノードとの電位差を制御する態様III(第3実施形態)と、マイクロチャネルプレートからアノードに向かう二次電子の軌道を制御する態様IV(第4実施形態)と、アノードからの反射電子の放出自体を抑制する構造を変更する態様V(第5実施形態)により実現可能である。なお、上記制限構造は、態様I〜Vのうち2以上の態様の組合せによっても実現可能である。
(第1実施形態)
図12は、第1実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図13は、図12に示されたMCP検出器の、L2−L2線に沿った断面構造を示す図である。
図12は、第1実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図13は、図12に示されたMCP検出器の、L2−L2線に沿った断面構造を示す図である。
第1実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、加速電極5とアノード4との間の空間を周辺空間から隔離する構造(態様I)により実現される。具体的には、第1実施形態における制限構造には、図5に示されたMCP検出器の基本構造のうち、スペーサとしてのインシュレータ904に代えて、貫通孔904Aaを有するリング部材904Aが適用される。
すなわち、この第1実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器は、管軸AX(MCPユニットの中心軸に一致)に沿って順に、IN電極1(第1電極)、MCP群2、OUT電極3(第2電極)、加速電極5、アノード4が配置された構造を有する。なお、IN電極1とOUT電極3の間には、絶縁性材料のMCPインシュレータ901が配置されている。OUT電極3の後方には、インシュレータ902を介して加速電極5が配置されている。さらに、この加速電極5の後方にはアノード4が配置されており、これら加速電極5とアノード4との間に、MCP群2からの二次電子が通過可能な貫通孔904Aaを有するリング部材904Aが配置されている。アノード4の後方には、インシュレータ903と薄板802を挟んで後方カバー500が配置されている。この後方カバー500は、基板501と、円筒部502と、基板503により構成されている。基板503の中央には、信号出力部であるBNC端子6が固定されており、BNC端子6の内側の芯線601が、アノード端子41にコンデンサ62を介して接続されている。
第1実施形態において、リング部材904Aは、加速電極5からアノード4へ向かう二次電子が通過させるよう、管軸AXを取り囲む連続面によって規定される貫通孔904Aaを有する。なお、リング部材904Aは、加速電極5に接触する第1面と、第1面に対向するとともにアノード4に接触する第2面を有し、該リング部材904Aの貫通孔904Aaは、第1面と第2面を連絡するよう伸びた形状を有する。また、リング部材904Aは、金属部材、絶縁材料のいずれで構成されても良い。この構造により、加速電極5とアノード4との間の空間の、周辺空間からの隔離状態に維持される。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される(図4(B)中のグラフG420参照)。ただし、アノード4全体が金属板からなる構造において、リング部材904Aは、その構成材料によって異なる機能を発揮する。すなわち、加速電極5とアノード4とを同電位に設定する場合には、リング部材904Aは、金属材料からなるのが好ましい。一方、加速電極5の電位とアノード4の電位を独立して制御する場合、リング部材904Aは、絶縁材料からなるのが好ましい。
(第2実施形態)
第2実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、アノード4から放出される反射電子の、MCP検出器の管軸AXに直交する方向に沿った移動を制限する構造(態様II)により実現される。なお、この第2実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造は、当該第2実施形態における制限構造に相当する構造を除き、図5に示された基本構造と実質的に一致する。
第2実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、アノード4から放出される反射電子の、MCP検出器の管軸AXに直交する方向に沿った移動を制限する構造(態様II)により実現される。なお、この第2実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造は、当該第2実施形態における制限構造に相当する構造を除き、図5に示された基本構造と実質的に一致する。
すなわち、第2実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器は、管軸AX(MCPユニットの中心軸に一致)に沿って順に、IN電極1(第1電極)、MCP群2、OUT電極3(第2電極)、加速電極5、アノード4が配置された構造を有する。なお、IN電極1とOUT電極3の間には、絶縁性材料のMCPインシュレータ901が配置されている。OUT電極3の後方には、インシュレータ902を介して加速電極5が配置されている。さらに、この加速電極5の後方にはアノード4が配置されており、これら加速電極5とアノード4との間に、スペーサとしてのインシュレータ904が配置されている。アノード4の後方には、インシュレータ903と薄板802を挟んで後方カバー500が配置されている。この後方カバー500は、基板501と、円筒部502と、基板503により構成されている。基板503の中央には、信号出力部であるBNC端子6が固定されており、BNC端子6の内側の芯線601が、アノード端子41にコンデンサ62を介して接続されている。
第2実施形態に係る制限構造は種々の構造により実現可能であるが、図14は、第2実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の第1の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図15は、図14に示されたMCP検出器の、L3−L3線に沿った断面構造を示す図である。
具体的に、第2実施形態における制限構造を実現する第1の構造には、図5に示されたMCP検出器の基本構造のうち、IN電極1に代えて、IN電極100Aが適用される。この第1の構造において、IN電極100Aは、その開口100Aaの直径が、図5(基本構造)に示されたIN電極1の開口10の直径よりも小さくなるようマスク部材100Abが設けられている。マスク部材100Abは、図14に示されたように、管軸AXを取り囲む連続面により規定される貫通孔を有するとともに、IN電極100Aの一部を構成している。この構造によれば、アノード4上では、MCP群2から放出された二次電子の到達領域はより管軸AX近傍に制限される。そのため、アノード4から放出される反射電子の発生位置と該アノード4の端部までの距離を相対的に拡大することが可能になり、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される。
次に、第2実施形態における制限構造を実現する第2の構造には、図5に示されたMCP検出器の基本構造のうち、加速電極5およびアノード4に代えて、加速電極500Aおよびアノード400が適用される。なお、図16は、第2実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の第2の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図17は、図16に示されたMCP検出器の、L4−L4線に沿った断面構造を示す図である。加速電極500Aおよびアノード400を除き、制限構造として第2の構造を備えたMCP検出器(図16および図17)の構造は、図5に示されたMCP検出器の基本構造と実質的に一致している。
すなわち、この第2の構造において、加速電極500Aは、中央の開口を有する加速電極基板500Aaと、この開口を塞ぐ金属メッシュにより構成されている。特に、加速電極基板500Aaの形状は円形を有し、図5に示された加速電極基板50よりもその最大径が拡大されている。同様に、アノード400においても、アノード基板400aの形状は円形を有し、図5に示されたアノード基板40よりもその最大径が拡大されている。具体的には、アノード400(アノード基板400a)は、当該MCPユニット周辺の電界分布が外部電位源の影響を受けにくい理想環境下(例えば図8(A)の環境)において算出されたアノードの理論最大径であって、一旦放出された反射電子の吸収を可能にする理論最大径よりも拡大された最大径を有する。同様に、加速電極500Aも、アノード400と同程度の最大径を有する。この第2の構造によっても、アノード400から放出された反射電子の走行距離(管軸AXに直交する方向)を実質的に伸ばすことが可能になる。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される。
次に、第2実施形態における制限構造を実現する第3の構造には、図5に示されたMCP検出器の基本構造のうち、加速電極5とアノード4の間に配置されるインシュレータ904に代えて、インシュレータ904Bが適用される。なお、図18は、第2実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の第3の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図19は、図18に示されたMCP検出器の、L5−L5線に沿った断面構造を示す図である。インシュレータ904Bを除き、制限構造として第3の構造を備えたMCP検出器(図18および図19)の構造は、図5に示されたMCP検出器の基本構造と実質的に一致している。
すなわち、この第3の構造において、インシュレータ904Bは、加速電極5からアノード4までの管軸AXに沿った間隔Bの設定に寄与する。具体的には、OUT電極3から加速電極5までの管軸AXに沿った間隔Aが、加速電極5からアノード4までの管軸AXに沿った間隔Bよりも狭く設定された状態で、間隔Bが間隔Aの2倍以下になるよう、加速電極5とアノード4の間隔Bが規定される。この第3の構造によれば、通常の間隔よりも加速電極5とアノード4の間隔を狭めることにより、アノード4から放出される反射電子の移動立体角を狭めることが可能になる。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される。
さらに、第2実施形態における制限構造を実現する第4の構造は、当該MCP検出器自体の構造は、図5に示された基本構造と同じであるが、MCP検出器からグランド電位に設定された筐体までの距離を十分に離されている、この第4の構造によれば、当該MCPユニットから筐体までの電位勾配を弱めることが可能になる。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される。
(第3実施形態)
第3実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、加速電極5とアノード4との電位差を制御する構造(態様III)により実現される。なお、この第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の基本構造は、当該第3実施形態における制限構造に相当する構造を除き、図2および図11に示された基本構造と実質的に一致する。また、図20は、第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造を説明するための等価回路図である。図21(A)は、第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器において、OUT電極3−アノード4間の電圧印加状態を示す図であり、図21(B)は、MCPユニットの断面構造を示す図である。
第3実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、加速電極5とアノード4との電位差を制御する構造(態様III)により実現される。なお、この第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の基本構造は、当該第3実施形態における制限構造に相当する構造を除き、図2および図11に示された基本構造と実質的に一致する。また、図20は、第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造を説明するための等価回路図である。図21(A)は、第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器において、OUT電極3−アノード4間の電圧印加状態を示す図であり、図21(B)は、MCPユニットの断面構造を示す図である。
すなわち、この第3実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器(図20)は、図2および図11と同様に、内部が所定の真空度に維持された真空容器内に収納されている。なお、真空容器は、導電性材料からなり、グランド電位に設定されている。このMCP検出器では、2枚のMCP20、21(MCP群2)が、それぞれの中央に開口が設けられたIN電極1とOUT電極3とで挟み込まれている。OUT電極3の後方にはアノード4が配置され、さらに、OUT電極3とアノードとの間には金属メッシュを有する加速電極5が配置されている。また、信号読み出し用のBNC端子6のシールド側には、真空容器が接続される一方、BNC端子6の芯線は、コンデンサ62を介してアノード4に接続されている。
この第3実施形態における制限構造は、図20に示されたように、加速電極5よりも高い電位をアノード4に設定するための構造により実現される。この場合、図21(A)に示されたように、加速電極5とアノード4との間の空間における電位勾配が、OUT電極3と加速電極5との間の空間における電位勾配よりも小さくなるよう、所定の電位がアノード4に設定される。この第3実施形態における制限構造によれば、アノード4から放出された反射電子の軌道は、加速電極5とアノード4との間の空間に設定された電位勾配により、アノード4側へ曲げられる。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される(図21(B)参照)。
(第4実施形態)
第4実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、マイクロチャネルプレートからアノードに向かう二次電子の軌道を制御する構造(態様IV)により実現される。なお、この第4実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造は、当該第4実施形態における制限構造に相当する構造を除き、図5に示された基本構造と実質的に一致する。
第4実施形態における制限構造は、図11中に示されたように、マイクロチャネルプレートからアノードに向かう二次電子の軌道を制御する構造(態様IV)により実現される。なお、この第4実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造は、当該第4実施形態における制限構造に相当する構造を除き、図5に示された基本構造と実質的に一致する。
すなわち、第4実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器は、管軸AX(MCPユニットの中心軸に一致)に沿って順に、IN電極1(第1電極)、MCP群2、OUT電極3(第2電極)、加速電極5、アノード4が配置された構造を有する。なお、IN電極1とOUT電極3の間には、絶縁性材料のMCPインシュレータ901が配置されている。OUT電極3の後方には、インシュレータ902を介して加速電極5が配置されている。さらに、この加速電極5の後方にはアノード4が配置されており、これら加速電極5とアノード4との間に、スペーサとしてのインシュレータ904が配置されている。アノード4の後方には、インシュレータ903と薄板802を挟んで後方カバー500が配置されている。この後方カバー500は、基板501と、円筒部502と、基板503により構成されている。基板503の中央には、信号出力部であるBNC端子6が固定されており、BNC端子6の内側の芯線601が、アノード端子41にコンデンサ62を介して接続されている。
第4実施形態に係る制限構造は種々の構造により実現可能であるが、図22は、第4実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の第1の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図23は、図22に示されたMCP検出器の、L6−L6線に沿った断面構造を示す図である。
具体的に、第4実施形態における制限構造を実現する第1の構造には、図5に示されたMCP検出器の基本構造のうち、IN電極1に代えて、IN電極100Bが適用される。この第2の構造において、IN電極100Bは、MCP群2からアノード4に向かう二次電子の軌道を制御するための電子レンズ構造を実現する形状を有する。すなわち、IN電極100Bは、開口100Baを有する平坦部(MCP群2の入射面に対面する部分)と、該平坦部のエッジからアノード4に向かって伸びた側壁部により構成されている。この第1の構造によれば、アノード4から放出された反射電子が、管軸AXに直交する方向に沿って移動する場合であっても、反射電子の軌道はアノード4側へ曲げられる。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される。
次に、第4実施形態における制限構造を実現する第2の構造には、図5に示されたMCP検出器の基本構造のうち、OUT電極3に代えて、OUT電極300が適用される。なお、図24は、第4実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の第2の構造を説明するための組み立て工程図である。また、図25は、図24に示されたMCP検出器の、L7−L7線に沿った断面構造を示す図である。
第4実施形態の第2の構造において、OUT電極300は、MCP群2からアノード4に向かう二次電子の軌道を制御するための電子レンズ構造を実現する形状を有する。すなわち、OUT電極300は、開口300aを有する平坦部(MCP群2の出射面に対面する部分)と、該平坦部のエッジからアノード4に向かって伸びた側壁部により構成されている。この第2の構造によれば、アノード4から放出された反射電子が、管軸AXに直交する方向に沿って移動する場合であっても、反射電子の軌道はアノード4側へ曲げられる。その結果、加速電極5とアノード4との間の空間から当該MCP検出器の外部に向かって反射電子の飛び出す可能性が、効果的に低減される。
(第5実施形態)
第5実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造は、図5および図6に示されたトライオード構造のMCP検出器の基本構造と同じである。ただし、この第5実施形態は、アノード4からの反射電子の放出自体を抑制する構造を備える。具体的には、アノード4が、その表面に、二次電子(反射電子)の発生を抑制するカーボンなどがコーティングされた構造を有する。このように、アノード4自体の構造を変更することによっても、外部電位源の影響を低減する効果が十分に期待できる。
第5実施形態に係るMCPユニットが適用されたMCP検出器の構造は、図5および図6に示されたトライオード構造のMCP検出器の基本構造と同じである。ただし、この第5実施形態は、アノード4からの反射電子の放出自体を抑制する構造を備える。具体的には、アノード4が、その表面に、二次電子(反射電子)の発生を抑制するカーボンなどがコーティングされた構造を有する。このように、アノード4自体の構造を変更することによっても、外部電位源の影響を低減する効果が十分に期待できる。
以上の本発明の説明から、本発明を様々に変形しうることは明らかである。そのような変形は、本発明の思想および範囲から逸脱するものとは認めることはできず、すべての当業者にとって自明である改良は、以下の請求の範囲に含まれるものである。
1、100A、100B…IN電極(第1電極)、2…MCP群、3、300…OUT電極(第2電極)、20、21…MCP、4、400…アノード、5、500A…加速電極、904、904B…インシュレータ、904A…リング部材。
Claims (7)
- 当該MCPユニットの中心軸と交差する平面上に配置された、前記中心軸に沿って移動する荷電粒子の入射に応答して内部で増倍された二次電子を放出するマイクロチャネルプレートであって、該荷電粒子が入射される入射面と、該入射面に対向するとともに該二次電子を出射する出射面とを有するマイクロチャネルプレートと、
前記マイクロチャネルプレートの入射面に接触した第1電極であって、第1電位に設定された第1電極と、
前記マイクロチャネルプレートの出射面に接触した第2電極であって、前記第1電位よりも高い第2電位に設定された第2電極と、
前記マイクロチャネルプレートの出射面から放出された二次電子が到達する位置に、前記中心軸に交差した状態で配置されたアノードであって、前記第2電位よりも高い第3電位に設定されたアノードと、
前記マイクロチャネルプレートと前記アノードとの間に配置された加速電極であって、前記第2電位よりも高い第4電位に設定されるとともに、前記マイクロチャネルプレートの出射面から前記アノードへ向かう二次電子を通過させるための複数の開口を有する加速電極と、そして、
前記マイクロチャネルプレートからの二次電子の入射に応答して前記アノードから放出される反射電子の、前記中心軸に直交する方向に沿った移動を制限するための制限構造と、を備えたMCPユニット。 - 前記制限構造は、前記荷電粒子の入射に応答して放出される二次電子の増倍に寄与する、前記マイクロチャネルプレートの有効領域の一部を、前記第1電極側から塞ぐマスク部材を含むことを特徴する請求項1に記載のMCPユニット。
- 前記マスク部材は、前記中心軸を取り囲む連続面により規定される貫通孔を有することを特徴する請求項2に記載のMCPユニット。
- 前記マスク部材は、前記第1電極の一部を構成することを特徴する請求項2または3に記載のMCPユニット。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載のMCPユニットと、そして、
前記マイクロチャネルプレートとともに前記アノードを挟むよう配置された信号出力部であって、前記アノードに電気的に接続された信号線を有する信号出力部と、を備えたMCP検出器。 - 前記信号出力部は、前記信号線と、該信号線を包囲するシールド部とを備えた同軸ケーブルを含み、そして、
当該MCP検出器は、さらに、前記シールド部と電気的に接続された一方の端子と、前記加速電極に電気的に接続された他方の端子とを有するコンデンサを備えることを特徴とする請求項5に記載のMCP検出器。 - イオン源として分析されるべき試料が内部に設置される真空容器と、
前記真空容器内に設置された試料からイオンを放出させるためのイオン抽出システムと、
前記真空容器内に配置された、前記試料から放出されたイオンを加速するためのイオン加速器と、
前記イオン加速器を前記試料ととともに挟むように配置された、請求項5または6に記載のMCP検出器と、そして、
前記試料から放出されたイオンに関する情報として、少なくとも質量を判定するための分析部であって、前記MCP検出器からの検出信号に基づいて前記イオン加速器から前記MCP検出器までの飛行時間を検出することにより、前記MCP検出器に到達したイオンの質量を決定する分析部とを備えた飛行時間型質量分析器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114207773A (zh) * | 2019-08-02 | 2022-03-18 | 浜松光子学株式会社 | 离子检测器、测定装置及质量分析装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0628997A (ja) * | 1992-07-09 | 1994-02-04 | Hamamatsu Photonics Kk | 真空装置 |
WO1998020518A1 (fr) * | 1996-11-06 | 1998-05-14 | Hamamatsu Photonics K.K. | Multiplicateur d'electrons |
US20080290267A1 (en) * | 2007-05-24 | 2008-11-27 | Masahiro Hayashi | MCP unit, MCP detector and time of flight mass spectrometer |
JP2011181336A (ja) * | 2010-03-01 | 2011-09-15 | Hamamatsu Photonics Kk | マイクロチャンネルプレートアセンブリ |
-
2013
- 2013-09-19 JP JP2013194486A patent/JP2014078502A/ja active Pending
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