JP2014077931A - 光学部品の製造方法および光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価に製造できるとともに、表面粗さを増大させることなく、内部応力による残留歪みが除去されたZnSeからなる光学部品を提供する。
【解決手段】ZnSe多結晶体を合成する第1工程と、該ZnSe多結晶体をプレス成形することにより成形体を得る第2工程と、該成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱する第3工程と、を含む製造方法により得られる光学部品。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学部品の製造方法および光学部品に関する。
セレン化亜鉛(以下、ZnSeとも記す)は、赤外光の透過性に優れていることから、たとえば切断加工や板金に用いられている炭酸ガスレーザ用の窓材やレンズ材等のような光学部品として使用されている。
昨今、このように赤外光の透過性を有する光学部品が用いられる用途のうち、夜間用監視カメラや放射線温度計等の需要が急速に拡大している。現状、これらの用途には、原料価格が安価であるという理由から、ほとんどの場合、ゲルマニウム(Ge)が使用されている。
しかしながら、Geは赤外光領域における透過性は高いものの、可視光領域においては光を全く透過しないため、可視光を利用して光軸調整を行なうことができず、実用性に課題を有していた。
ZnSeは赤外光領域から可視光領域に至るまでの幅広い波長領域において高い透過性を有しており、上記のような用途に対して好適である。したがって、ZnSeからなる光学部品を安価に製造することができれば、Geに代わる高い実用性を具備した光学部品を提供することができる。
そこで、ZnSeからなる光学部品を安価に製造する方法として、たとえば、国際公開第2003/055826号パンフレット(特許文献1)、特開平05−043359号公報(特許文献2)等の方法が提案されている。
国際公開第2003/055826号パンフレット 特開平05−043359号公報
従来、ZnSeからなる光学部品は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により合成されたZnSe多結晶体に、超精密旋盤による研削加工や、砥石による研磨加工といった機械加工を行なうことにより製造されていた。このような機械加工は、加工時間が長いことのみならず、大きな素材から部品形状を削り出す必要があることから、少なからず加工屑として素材を無駄にしており、製造コストを高くする原因となっていた。
特許文献1の方法は、原料粉末を成形した後、焼結を行ない相対密度55%以上80%以下の焼結体を作製し、その焼結体を高温下でプレスして最終形状に変形させるものである。この方法は、機械加工を用いないため、研削や研磨による加工屑の発生が少なく、材料歩留まりを高めることができる。しかしながら、この方法は、粉末状の原料を用いており、原料粉末を焼結させながら部品形状に変形させるものであり、不純物の混入が避けられず、透光性への悪影響が危惧される。
特許文献2の方法は、焼結体を高温下で加圧成形し、成形品を作製する方法である。この方法によれば、粉末状の原料を用いないため、不純物の混入はある程度避けられるものの、成形品には内部応力による残留歪みが存在しており、残留歪みを除去する手段が新たに必要であった。
ここで、上記のような残留歪みを除去する手段として、ガラスレンズなどの製造工程では、加熱処理(高温アニール)が行なわれている。しかし、本発明者が検討を行なったところ、ZnSe成形体に対して同様の高温アニールを行なった場合、残留歪みは除去できるものの、光学部品の表面に荒れが生じ、光学部品に要求される品質(表面粗さ)が維持できないことが判明した。すなわち、ZnSeからなる光学部品では、従来公知の残留歪み除去手段を適用できない。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、安価に製造できるとともに、表面粗さを増大させることなく、内部応力による残留歪みが除去されたZnSeからなる光学部品を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねたところ、比較的大きい結晶粒径からなるZnSe多結晶体を用いても、特定の条件を採用すればプレス成形法により部品形状に成形できるとの知見が得られたとともに、さらに該成形品の残留歪みを除去し得る特殊な処理条件を見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の光学部品は、ZnSe多結晶体を合成する第1工程と、該ZnSe多結晶体をプレス成形することにより成形体を得る第2工程と、該成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱する第3工程と、を含むことを特徴とする製造方法によって得られる。
ここで、上記第3工程は、上記成形体とZnSe粉末とを接触させながら、不活性ガス雰囲気下、800℃以上950℃以下の温度で実行されることが好ましい。
また、上記ZnSe粉末は、好ましくは平均粒径が1μm以上100μm以下である。
上記の製造方法によって得られたZnSe多結晶体からなる本発明の光学部品は、内部応力による残留歪みが実質的に存在しないという特徴を具備する。そして、任意の表面における算術平均粗さが10nm以下であれば、光学部品としてさらに好適である。
また、本発明の光学部品は、内部応力による残留歪みを有しないため、直交ニコルに配置された2枚の偏光板の間に配置し、該偏光板の面に対して垂直方向から光を照射して観察した場合に、観察視野内において明部が実質的に存在しないという特性を示す。
本発明の光学部品は、安価に製造できるとともに、表面粗さを増大させることなく、内部応力による残留歪みが除去されるという優れた効果を有する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<光学部品の製造方法>
本発明の光学部品は、以下のような製造方法により製造される。すなわち、当該製造方法は、ZnSe多結晶体を合成する第1工程と、該ZnSe多結晶体をプレス成形することにより成形体を得る第2工程と、該成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱する第3工程と、を含むことを特徴とする。すなわち、本発明の製造方法は、第1工程および第2工程を実行することにより、研削や研磨等の機械加工を行なわずに、安価にZnSe多結晶体からなる成形体を得るとともに、第3工程を実行することを以って、該成形体の表面粗さを増大させることなく内部応力による残留歪みを除去することができるという効果を有している。
なお、本発明の製造方法は、上記の第1工程〜第3工程を含む限り他の工程を含んでいてもよく、上記の第1工程〜第3工程を含む限り、本発明の効果は示される。
<第1工程>
第1工程では、ZnSe多結晶体を合成する。ここで、ZnSe多結晶体を合成する方法は特に限定されないが、CVD法を好適に用いることができる。その他に、ZnSe多結晶体を合成する方法としては、たとえば、従来公知のPVD(Physical Vapor Deposition)法、高圧溶融法等を挙げることができる。
ZnSe多結晶体を合成する方法としてCVD法を用いる場合は、従来公知の条件を採用することができ、特に限定されない。たとえば、基板温度を550℃〜800℃、圧力を100〜2000Paとする条件下で、ZnとH2Seとを反応させることにより、ZnSe多結晶体を合成することができる。
<第2工程>
第2工程では、第1工程で得られたZnSe多結晶体をプレス成形することにより成形体を得る。本発明者は、ZnSe多結晶体の高温での特性を調べた結果、900℃以上の温度で多結晶体が軟化し、荷重を加えると容易に塑性変形することを見出し、さらにこの性質を利用して、ZnSe多結晶体を型形状に成形できることを見出した。
ここで、塑性変形を生じさせる温度は高ければ高いほど、より変形し易くなるが、不活性ガス雰囲気下で1030℃を超えるとZnSeの分解が始まる。このため、成形時の温度は920℃以上1030℃以下であることが好ましく、より好ましくは950℃以上1020℃以下である。
また、加熱下で塑性変形を生起させる雰囲気は、ZnSeの酸化を防止する観点からは、圧力が1×10-3Pa以下の真空や、アルゴンまたは窒素等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。なお、真空中で加熱する場合は950℃を超えるとZnSeの分解が始まるため、不活性ガス雰囲気下で実行されることがより好ましい。
一方、光学部品としてレンズを成形する場合、レンズは通常凹形状や凸形状を呈するため、成形時に形状の変形等を伴うことから成形時の加圧面積がその変形に伴って変化し、一定とはならない。たとえば、成形用の型と素材(ZnSe多結晶体)との接触面積(すなわち光学部品の表面積)で除した圧力を基準とし、20MPa以上60MPa以下の圧力条件を採用することが好ましい。その圧力が20MPa未満の場合、十分に変形しない場合があり、60MPaを超過すると、多結晶体に亀裂が入る等の破損に至る場合がある。より好ましい範囲は、25MPa以上50MPa以下である。
また、上記加圧の方法としては、時間とともに徐々に荷重を増加する方法で型と素材との接触面積が増えていくのを補うことができる。荷重を増加する速度としては、遅い方が好ましいが、生産性との兼ね合いでその速度は限定される。通常、0.2MPa/秒以上0.5MPa/秒以下とすることが好ましい。このときの変形速度は、概ね3×10-4〜1×10-3/秒程度の値となる。ここで当該変形速度とは、素材の変形量(ΔL)を素材の元の寸法(L)と変形に要した時間(T)で割った値(ΔL/L/T)である。
このようなプロセスを経ることで、CVD法により合成されたZnSe多結晶体(すなわち第1工程で合成されたZnSe多結晶体)は、上記の条件を採用したプレス成形(第2工程)により光学部品へと成形されることになる。プレス成形時の加熱および加圧により、該ZnSe多結晶体は変形とともに再結晶化し、結晶粒は成長する。結晶粒の成長は加熱温度と加熱時間に依存する。光学部品の最終の形状に仕上げるためには、少なくとも5分間以上の加圧と加熱が必要である。すなわち、第2工程において、5分間以上荷重を負荷する必要がある。
なお、プレス成形時、加圧による変形を与えると歪みが入るが、歪量は変形速度に依存して大きくなる。従って、歪量を小さくするためには、加圧変形は長い時間をかけて徐々に変形させる方がよい。一方で、時間をかけ過ぎると粒成長により結晶粒が肥大化してしまい、変形後の形状精度が悪化する。歪みが少なく形状精度が高い形状が得られる成形時間は、温度によって異なるので、一義的に決めることはできない。しかし、上記の通り、5分間以上とすることは必要であり、より好ましくは5分以上30分以下とすることが好適である。
また、30分を超えると、粒が成長しすぎて形状精度が悪化したり、最悪の場合、破損するという不都合を生じる可能性がある。
また、第2工程において、ZnSe多結晶体はプレス成形用の型にセットされてプレス成形されるが、該プレス成形用の型は、グラッシーカーボンまたは炭化ケイ素焼結体で構成されていることが好ましい。これらの材料は1000℃近くの高温においても強度を保ち、ZnSeとの反応性が低く、かつ熱膨張係数が小さいからである。なお、グラッシーカーボンとは、ガラス状炭素であり、気体透過度が0(ゼロ)のものを示す。
<第3工程>
第3工程では、第2工程で得られた成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱する。これにより、本発明の光学部品の製造方法は、ZnSe成形体に生じた内部応力による残留歪みを除去することができるものとしている。
ところで、一般的なガラスレンズも加熱しながらプレス成形することにより、レンズ形状に加工されている。ガラスレンズの製造過程では、型形状に成形後、該プレス成形体を大気中で500℃程度の温度で加熱することにより、内部応力による残留歪みを除去することができる。
一方、ZnSe多結晶体は、上記のように酸化防止の観点から、大気中での加熱は採用することができず、不活性ガス雰囲気下で加熱する必要がある。さらに、本発明者が、ZnSe多結晶体からなるプレス成形体の残留歪みを除去できる条件について検討を行なったところ、ZnSe多結晶体では、残留歪みの除去のために800℃以上の高温を要することが見出された。しかし同時に、ZnSe多結晶体を大気圧下、800℃以上の高温で加熱した場合、残留歪みを除去することができるが、その反面、ZnSeの昇華が発生し、昇華にともない光学部品の表面が荒れてしまい、光学部品としての要求品質を満足できないことが判明した。
本発明者は、ZnSe多結晶体からなる成形体の残留歪みを除去するとともに、表面荒れを防止する手段を鋭意検討した結果、成形体を加熱用坩堝に収容して加熱する際に、該坩堝内において、該成形体の上からZnSe粉末を充填し、該成形体をZnSe粉末で覆うことにより、800℃以上の温度で加熱するとZnSeの昇華を効果的に防止できることを見出した。すなわち、ZnSe多結晶体からなる成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱することにより、ZnSeの昇華に伴う成形体表面の荒れを効果的に防止することができる。
ここで、残留歪みを除去するためには、加熱時の保持時間は長いほど好ましく、たとえば加熱温度が800℃〜850℃程度の場合には、保持時間は100時間以上であることが好ましく、加熱温度が850℃〜900℃程度の場合には、保持時間は50時間以上であることが好ましく、加熱温度が900℃〜950℃程度の場合には、保持時間は10時間以上であることが好ましい。
また、加熱温度は、上記のように800℃以上であることを要し、好ましくは950℃以下である。すなわち、第3工程は、不活性ガス雰囲気下、800℃以上950℃以下で実行されることが好ましい。加熱温度が950℃を超過すると、ZnSeの昇華を十分に防止できない傾向があり好ましくない。
第3工程で使用されるZnSe粉末は、特に限定されず、たとえば、ZnSe多結晶体を粉砕して微粉末としたもの等を好適に用いることができる。また、ZnSe粉末の平均粒径は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。平均粒径が100μmを超過すると、隙間なくZnSe成形体を覆うことができない場合があり好ましくない。また、平均粒径が1μm未満であると、粉末の嵩密度が低くなり、この場合にも成形体を隙間なく覆うことができなくなる傾向があり好ましくない。なお、上記の平均粒径としては、レーザー回折・散乱法により測定された値を採用する。
ここで、ZnSe粉末とZnSe成形体との接触状態は、ZnSe粉末が少なくともZnSe成形体のレンズとして機能する面を覆うように接触させることが好ましく、より好ましくは、ZnSe成形体の表面全体を覆うように接触させることが好適である。
加熱時にZnSe成形体およびZnSe粉末を内部に保持する坩堝としては、特に限定されず、たとえば、従来公知の石英やアルミナ等からなる坩堝を用いることができる。
上記の方法によって昇華が防止される機序の詳細は不明であるが、本発明者は、ZnSe粉末が優先的に昇華することによって坩堝内部の雰囲気がZnSeの飽和蒸気圧に達するためZnSe成形体の昇華が抑制されるものと推測している。
以上のように、本発明の光学部品の製造方法は、上記の第1工程、第2工程および第3工程を、この順序で実行することにより、ZnSe多結晶体からなる光学部品であって、表面粗さを増大させることなく、内部応力による残留歪みが除去された光学部品を製造することができる。そして、本発明の製造方法は、機械加工を用いていないため、光学部品を安価に製造することができる。
なお、本発明の製造方法は、上記の通り、研削や研磨などの機械加工を行なわないことを特徴の一つとするものであるが、ここでいう機械加工とは、最終の光学部品の形状を成形するために行なわれるものであって、製造コストに影響を及ぼすような加工屑を排出する加工を意味する。したがって、第1工程で合成されたZnSe多結晶体を第2工程で用いるプレス成形用の型にセットできるような形状に成形する予備加工や、その際に行なわれる鏡面研磨加工等は、ここでいう機械加工には含まれず、このような予備加工や鏡面研磨加工の採用を排除するものではない。
以下、本発明の光学部品について説明する。
<光学部品>
本発明の光学部品は、上記の製造方法によって安価に製造されるZnSe多結晶体からなる光学部品であり、内部応力による残留歪みが実質的に存在しないという優れた特性を具備している。
このような本発明の光学部品は、赤外光等を利用した各種の装置に組み込まれて光学的な機能を果たす部品であって、とりわけ夜間用監視カメラや放射温度計に好適である。また、たとえば、切断加工や板金に用いられている炭酸ガスレーザ用の窓材やレンズ材にも利用できる。
上記のような用途に用いられる光学部品には、通常、表面粗さの指標である算術平均粗さ(Ra)が20nm以下であることが要求される。
本発明の光学部品は、加熱処理を行なうことにより残留歪みを除去する第3工程において、ZnSeの昇華が発生しないため、第2工程を実行した後と第3工程を実行した後とで、成形体の表面粗さの変化が極めて小さく、プレス成形時の表面粗さを維持することができる。
したがって、光学部品の表面粗さは、第2工程までの製造条件により調整可能であり、上記の条件に従えば、算術平均粗さは10nm以下とすることができる。算術平均粗さが、10nm以下である光学部品は、良好な光学特性を有し、上記のいずれの用途にも適応可能である。
ここで、算術平均粗さは、従来公知の表面粗さ測定機を用いて測定することができる。表面粗さ測定機としては、たとえば従来公知の白色干渉計等を挙げることができる。
そして、算術平均粗さは、レンズとして機能する面(すなわち、レンズ面)において、10nm以下であることが好ましく、より好ましくは任意の表面において算術平均粗さが10nm以下である。
また、上記のように本発明の光学部品には、内部応力による残留歪みが実質的に存在しない。ここで、歪みの有無および歪みの大小は、たとえば、直交ニコル法によって判別することができる。
直交ニコル法による歪み検査(以下、直交ニコル観察とも記す)は、従来公知の偏光顕微鏡や偏光測定計(ポーラリメータ)等を用いて、たとえば、以下のようにして行なうことができる。検査対象となる光学部品を、直交ニコルに配置された2枚の偏光板の間に設置し、該偏光板の面に対して垂直方向から光を照射して観察する。光学部品に歪みがない場合は、複屈折が起こらないため、観察視野全体が暗く黒色に見える(すなわち、暗部のみが観測される)。これに対し、光学部品に歪みがある場合は、複屈折が起こり、観察視野内に明部が観測される。そして、歪みが大きいほど、観察視野内における明部の範囲も大きくなる。
ここで、直交ニコルに配置されるとは、光路上において、上記2枚の偏光板が、一方の偏光板を基準として、他方の偏光板を90度回転させて(すなわち、直交させて)、直列に配置されることを示す。
本発明の光学部品は、上述のとおり、残留歪みを有しないため、直交ニコルに配置された2枚の偏光板の間に配置し、該偏光板の面に対して垂直方向から光を照射して観察した場合に、観察視野内において明部が実質的に存在しない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜14および比較例1〜3>
<第1工程>
まず、以下の条件により、CVD法でZnSe多結晶体を合成した。すなわち、基板温度を650℃、圧力を2000Paとし、ZnとH2Seとを反応させることにより、ZnSe多結晶体を合成した。
なお、このようにして合成されたZnSe多結晶体は、次の第2工程を実行する前に、直径36.0mm、厚み9.5mmの円板状に加工した。
<第2工程>
次いで、上記の円板状に加工したZnSe多結晶体をプレス成形することにより成形体を製造した。
すなわち、上記で円板状に加工したZnSe多結晶体の表面を鏡面研磨加工した後、プレス成形用のグラッシーカーボン製の型にセットした。この型は、上下一対の型と型の外周を拘束するリング状の筒からなり、一方の型は鏡面研磨された平型で、他方の型は、面が178.18mmの曲率半径を有した凸型の鏡面研磨面のものを使用した。
続いて、このZnSe多結晶体をセットした型一式をプレス成形機(製品名:「GMP−207」、東芝機械社製)にセットした後、試料室を真空状態にして450℃まで加熱した。その後、不活性ガスとして窒素ガスを封入することにより不活性ガス雰囲気とし、950℃まで加熱した。
次いで、温度が950℃に達した後、0.02kN/秒の速度で加圧を行ない、最大荷重50MPaまで負荷し、この最大荷重で5分間保持することにより、直径が38.1mm、中心部の厚さが8.89mm、曲率178.18mmである凸レンズ形状の成形体を得た。
以上のようにして、ZnSe多結晶体からなる成形体を17個製造した。
このようにして得られた各成形体を、ポーラリメータ(製品名:「SPII型
」、神港精機株式会社製)を用いて観察したところ、いずれの成形体もレンズ面の内部に明部が観測された。すなわち、いずれの成形体も、内部応力による残留歪みを有していた。
また、各成形体の算術平均粗さ(Ra)を、白色干渉計(製品名:「NewView7200」、Zygo株式会社製)を用いて測定したところ、各成形体の算術平均粗さは、いずれも4nm〜7nmの範囲に含まれていた。
<第3工程>
次いで、成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱することにより、成形体の残留歪みを除去して、光学部品(レンズ)を製造した。
すなわち、実施例1〜14については、成形体を蓋付き坩堝に収容した後、坩堝の開口部から、平均粒径が1μm以上100μmであるZnSe粉末を充填し、該粉末により成形体を覆った。すなわち、坩堝内において、ZnSe多結晶体からなる成形体とZnSe粉末とが接触した状態とした。
続いて、同坩堝に軽く蓋をした後、真空熱処理炉の内部に設置して、炉内を真空状態とした。次いで、不活性ガスとして窒素ガスを封入することにより、不活性ガス雰囲気とした。そして、表1に示す加熱温度と保持時間で、それぞれ加熱処理を行ない、実施例1〜14に係る光学部品を得た。
比較例1〜3の成形体については、成形体のみを上記と同様の坩堝に収容し、上記と同様の不活性ガス雰囲気下、表1に示す加熱温度と保持時間で、それぞれ加熱処理を行ない、比較例1〜3に係る光学部品(レンズ)を得た。すなわち、比較例では、加熱時にZnSe粉末を用いていない。
上記のようにして得られた実施例1〜14および比較例1〜3の光学部品を塩酸でエッチングした後、前述の方法により光学部品の歪みの有無を確認した。結果を表1に示す。
さらに、前述の方法により各光学部品の算術平均粗さを測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014077931
表1中、参考例1とは、第3工程を実行する前の17個の成形体を示し、参考例1の算術平均粗さの欄は、該17個の算術平均粗さの範囲(最大値および最小値)を示している。
また、歪みの欄の「有り」とは、直交ニコル観察において、観察視野内に明部が存在することを示し、「無し」とは、直交ニコル観察において、観察視野内に明部が全く存在していないことを示し、「実質的に無し」とは、観察視野内に僅かに明部が存在するが、参考例1の歪みに比し、歪みの範囲は大幅に減少しており、実質的に無視できる程度の歪みであることを示す。
表1から明らかなように、各実施例の光学部品は、各比較例の光学部品に比し、良好な品質を有し、以って本発明の光学部品が、研削や研磨などの機械加工を採用せず、安価に製造できるとともに、表面粗さを増大させることなく、歪みが除去された光学部品であることを確認した。
特に、実施例1〜10に係る光学部品は、表面粗さが増大することなく歪みが完全に除去されている。加熱温度が800℃未満である実施例11および12に係る光学部品は、歪みの除去が完全ではなく、加熱温度が950℃を超過した実施例13および14に係る光学部品は、僅かながら算術平均粗さが増加している。この結果より、第3工程の加熱温度としては、800℃以上950℃以下の範囲が好適であると考察される。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (6)

  1. ZnSe多結晶体を合成する第1工程と、
    前記ZnSe多結晶体をプレス成形することにより成形体を得る第2工程と、
    前記成形体とZnSe粉末とを接触させながら加熱する第3工程と、を含む、ZnSe多結晶体からなる光学部品の製造方法。
  2. 前記第3工程は、前記成形体とZnSe粉末とを接触させながら、不活性ガス雰囲気下、800℃以上950℃以下の温度で実行される、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ZnSe粉末は、平均粒径が1μm以上100μm以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法によって得られたZnSe多結晶体からなる光学部品であって、
    内部応力による残留歪みが実質的に存在しない、光学部品。
  5. 任意の表面における算術平均粗さが10nm以下である、請求項4に記載の光学部品。
  6. 直交ニコルに配置された2枚の偏光板の間に配置し、前記偏光板の面に対して垂直方向から光を照射して観察した場合に、観察視野内において明部が実質的に存在しない、請求項4または5に記載の光学部品。
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