JP2014077669A - 発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法及び該方法で製造された発光分光分析用アルミニウム合金標準試料 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム2次合金の製造或いは鋳造プロセス等の管理に好適な標準試料であって、正確な検量線の作成や正確な分析値のチェックを行なうことができ、1つの標準試料で分析できる点数を大幅に増大させた発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法を提供する。
【解決手段】目標とする標準試料の合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯(m)を準備し、上記アルミニウム合金の液相線温度以上に予熱した有底円筒状の金型(10)に、上記アルミニウム合金溶湯(m)を注湯し、然る後、直ちに、常温の冷却水(w)が満たされた水槽(12)であって、該水槽(12)の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローする水槽(12)に、上記の金型(10)を浸漬して上記アルミニウム合金溶湯(m)を急冷凝固させ、急冷凝固して得られた円柱状の金属体を所定の長さに切断する。
【選択図】図2
【解決手段】目標とする標準試料の合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯(m)を準備し、上記アルミニウム合金の液相線温度以上に予熱した有底円筒状の金型(10)に、上記アルミニウム合金溶湯(m)を注湯し、然る後、直ちに、常温の冷却水(w)が満たされた水槽(12)であって、該水槽(12)の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローする水槽(12)に、上記の金型(10)を浸漬して上記アルミニウム合金溶湯(m)を急冷凝固させ、急冷凝固して得られた円柱状の金属体を所定の長さに切断する。
【選択図】図2
Description
本発明は、金属成分が均一で品質の安定した発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法とその方法で製造された発光分光分析用アルミニウム合金標準試料に関する。
アルミニウム精錬業界やその需要家において、アルミニウム合金材料の金属成分の管理には、通常、発光分光分析法が用いられている。この発光分光分析法は、試料に外部エネルギーを与えることにより発光させ、放射された光を回折格子によって元素特有のスペクトル線に分離し、定性・定量を行う分析法であり、具体的には、前もって作成しておいた標準試料に基づいて引かれた検量線に分析対象試料のスペクトル強度比を内装してその分析対象試料の元素含有量を検量する。
ここで、この発光分光分析法を用いてアルミニウム合金材料の金属成分の管理を行なう場合、同一の試料についての測定強度が種々の原因で経時的に変化(ドリフト)するのを補正する、いわゆるドリフト補正を定期的に行なう必要がある。そして、このドリフト補正後、補正が正しく実施されているか確認するため、化学分析によって元素組成が既知となっている分析値チェック用の標準試料を用い、分析器の分析値確認を行なう。なお、この分析値チェック用の標準試料は、上記ドリフト補正実施の有無にかかわらず、日常管理における分析値チェック用試料としても使用される。
ところで、一般にこのような発光分光分析法における検量線作成や分析値チェック用に使用される標準試料としては、目標とする合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯を金型に鋳込んで鋳造した40〜60mm径×10mm厚さのディスク状の分析面を有するいわゆるキノコ型標準試料(JIS Z 2611に例示)が従来より使用されている。発光分光分析に当っては、このような標準試料の分析面を面削して平滑な平面とした後、該平面内の所定の位置を発光させて発生したスペクトル強度比から検量線を引き、或いは分析値の確認を行なっている。
しかしながら、上記のキノコ型標準試料には次のような問題点があった。すなわち、アルミニウム合金材料の金属成分の管理に発光分光分析法を用いる場合、上述のように定期的にドリフト補正後の分析値チェックや日常管理としての分析値チェックを行なう必要があるが、キノコ型標準試料は分析面の厚さが10mm(そのうち分析有効厚さは凡そ6mm程度)しかないため、例えば日常管理にこの標準試料を使用した場合、1ヶ月程度で1つの標準試料を使い切ってしまうことになる。つまり、標準試料を頻繁に交換をしなければならず、アルミニウム合金材料の成分管理を経済的に行なうのが困難にあるという問題があった。
そこで、かかる問題点を解決し得る技術として、例えば、特許文献1には、微細な金属体の混合成形体を丸棒状に押出加工(塑性加工)することによって、元素含有量(すなわち金属成分)が均一で、しかも分析面の厚さを厚くした円柱型標準試料を提供する技術が開示されている。かかる技術によれば、1つの標準試料から分析できる点数を大幅に増やすことができ、標準試料の交換頻度を低減させることができる。それゆえ、発光分光分析にかかるランニングコストを低減することができる。
しかしながら、微細な金属体の混合成形体を丸棒状に押出加工して製造した円柱型標準試料(すなわち急冷凝固粉末材)は、ドリフト補正には何ら制限なく使用できる一方、例えば、特にアルミニウム2次合金の製造或いは鋳造プロセス等の管理に用いる検量線の作成や日常管理における分析値チェック用には適さないという課題があった。
なぜなら、アルミニウム合金の発光分光分析方法について規定するJIS H 1305では、主として検量線の作成に使用する標準試料は、均質で、分析試料と冶金履歴(どのような履歴で製造されたか)及び化学組成が近似していることが求められており、塑性加工によって製造される上記従来の円柱型標準試料(急冷凝固粉末材)は、これを用いてアルミニウム2次合金の製造或いは鋳造プロセス等の管理を行った場合、冶金履歴の近似性といった要件を満たさなくなるからである。
なぜなら、アルミニウム合金の発光分光分析方法について規定するJIS H 1305では、主として検量線の作成に使用する標準試料は、均質で、分析試料と冶金履歴(どのような履歴で製造されたか)及び化学組成が近似していることが求められており、塑性加工によって製造される上記従来の円柱型標準試料(急冷凝固粉末材)は、これを用いてアルミニウム2次合金の製造或いは鋳造プロセス等の管理を行った場合、冶金履歴の近似性といった要件を満たさなくなるからである。
それゆえに、この発明の主たる課題は、とりわけアルミニウム2次合金の製造或いは鋳造プロセス等の管理に好適な標準試料であって、正確な検量線の作成や正確な分析値のチェックを行なうことができる均質性を有するのに加え、1つの標準試料で分析できる点数を大幅に増大させた発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法と、該方法で製造された発光分光分析用アルミニウム合金標準試料とを提供することである。
本発明における第1の発明は、
(1)目標とする標準試料の合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯mを準備し、
(2)上記アルミニウム合金の液相線温度以上に予熱した有底円筒状の金型10に、上記アルミニウム合金溶湯mを注湯し、
(3)然る後、直ちに、常温の冷却水wが満たされた水槽12であって、該水槽12の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローする水槽12に、上記の金型10を浸漬して上記アルミニウム合金溶湯mを急冷凝固させ、
(4)急冷凝固して得られた円柱状の金属体を所定の長さに切断する、
ことを特徴とする発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法である。
(1)目標とする標準試料の合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯mを準備し、
(2)上記アルミニウム合金の液相線温度以上に予熱した有底円筒状の金型10に、上記アルミニウム合金溶湯mを注湯し、
(3)然る後、直ちに、常温の冷却水wが満たされた水槽12であって、該水槽12の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローする水槽12に、上記の金型10を浸漬して上記アルミニウム合金溶湯mを急冷凝固させ、
(4)急冷凝固して得られた円柱状の金属体を所定の長さに切断する、
ことを特徴とする発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法である。
この発明では、アルミニウム合金溶湯mが注湯された金型10を急冷させる際に、常温の冷却水wが満たされた水槽12であって、該水槽12の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローする水槽12を用いているので、金型の表面全体を略均一な冷却速度で急冷することができる。このため、金型10に注湯したアルミニウム合金溶湯mが凝固する際の偏析を当該溶湯m全体で極小化することができ、金型10を用いて円柱状の標準試料を鋳造しているにもかかわらず、得られる標準試料は全体が三次元的に非常に均質なものとなる。
したがって、かかる方法で製造された短円筒状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料は、同じ鋳造材である上記従来のキノコ型標準試料に比べて、分析面の厚さが著しく厚いことから、1つの標準試料で分析できる点数を大幅に増大させることはできる。
したがって、かかる方法で製造された短円筒状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料は、同じ鋳造材である上記従来のキノコ型標準試料に比べて、分析面の厚さが著しく厚いことから、1つの標準試料で分析できる点数を大幅に増大させることはできる。
本発明によれば、アルミニウム2次合金の製造或いは鋳造プロセス等の管理に好適な標準試料であって、正確な検量線の作成や正確な分析値のチェックを行なうことができる均質性を有するのに加え、1つの標準試料で分析できる点数を大幅に増大させた発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法と、該方法で製造された発光分光分析用アルミニウム合金標準試料とを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体例を示しながら詳述する。図1は、発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法における金型への溶湯注湯工程の概略を示す図であり、図2は同製造方法における急冷工程の概略を示す図である。これらの図が示すように、本発明の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法は、大略、金型10と水槽12とからなる製造装置を用いて実行される。
金型10は、アルミニウム合金の融点よりも高い温度に耐え得る耐熱性の材料で構成された中空円筒(パイプ)状の本体10aを具備しており、この本体10aの底は底板10bで密閉されている。ここで、図1に示す実施形態の場合、上記底板10bが本体10aの側周面よりも張出すように形成されており、金型10を自立させた際に安定して自立できるようになっている。
上記の本体10aは、アルミニウム合金溶湯mに偏析を生じさせることなく3次元的に均一に冷却させるといった観点から、内径40〜60mm×高さ400〜500mmのサイズで構成されている。また、本体10aの上部内面は、上端開口に向けてその内径が拡径するテーパー状に構成されており、本体10a内部で鋳造した円柱状の標準試料が取り出し易いようになっている。更に、本体10aの上部外面には、左右一対のアーム10cが突設されており、このアーム10cを介して金型搬送手段(鋳造機;図示せず)などにセットされるようになっている。
上記の本体10aは、アルミニウム合金溶湯mに偏析を生じさせることなく3次元的に均一に冷却させるといった観点から、内径40〜60mm×高さ400〜500mmのサイズで構成されている。また、本体10aの上部内面は、上端開口に向けてその内径が拡径するテーパー状に構成されており、本体10a内部で鋳造した円柱状の標準試料が取り出し易いようになっている。更に、本体10aの上部外面には、左右一対のアーム10cが突設されており、このアーム10cを介して金型搬送手段(鋳造機;図示せず)などにセットされるようになっている。
なお、この金型10は、上述のように、アルミニウム合金の融点よりも高い温度に耐える耐熱性の材料で構成されるが、例えば、SUS304に代表されるステンレス鋼のような錆が生じ難い材料で構成するのが好ましい。
水槽12は、金型10に注湯したアルミニウム合金溶湯mを常温の冷却水で急冷(水冷)させるための装置で、天面が開放された有底円筒状の外缶12aと、この外缶12aの内部にて同心円状に配設され、同じく天面が開放された有底円筒状の内缶12bとで構成された二重缶構造の容器を備える。
この二重缶構造の容器を構成する内缶12bの下端部には、複数(図2の例の場合2つ)に分枝した冷却水供給ラインLの先端が挿入される。この冷却水ラインLの先端は、内缶12bの周壁を貫通し、該内缶12b内周面の周方向に開口している。これにより、冷却水供給ラインLより供給された冷却水wは、内缶12bの底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流が内缶12b上端の開口から外缶12a内に向けてオーバーフローするようになる。そして、内缶12bから外缶12aへとオーバーフローした冷却水wは、外缶12aの下端部に設けられた排水口12cから水槽12外へと排出される。
なお、排水口12cから排出された冷却水wは、チラーなどの冷却手段で常温に戻された後、冷却水ラインLに戻すようにしてもよい。
この二重缶構造の容器を構成する内缶12bの下端部には、複数(図2の例の場合2つ)に分枝した冷却水供給ラインLの先端が挿入される。この冷却水ラインLの先端は、内缶12bの周壁を貫通し、該内缶12b内周面の周方向に開口している。これにより、冷却水供給ラインLより供給された冷却水wは、内缶12bの底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流が内缶12b上端の開口から外缶12a内に向けてオーバーフローするようになる。そして、内缶12bから外缶12aへとオーバーフローした冷却水wは、外缶12aの下端部に設けられた排水口12cから水槽12外へと排出される。
なお、排水口12cから排出された冷却水wは、チラーなどの冷却手段で常温に戻された後、冷却水ラインLに戻すようにしてもよい。
次に本発明の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法について説明する。本発明の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法は、「アルミニウム合金溶湯調製工程」→「金型への溶湯注湯工程」→「急冷工程」→「切断仕上げ工程」がこの順に実行される。
「アルミニウム合金溶湯調製工程」は、目標とする標準試料の合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯mを準備する工程である。この工程で準備されたアルミニウム合金溶湯mは、液相線温度よりも150℃以上高い温度で保持しておくのが好ましく、より好ましくは200℃以上である。アルミニウム合金溶湯mをこのような高温で保持しておくことにより、続く「金型への溶湯注湯工程」での作業に多少手間取って時間が掛かり、アルミニウム合金溶湯mが不所望に空冷されたとしても、該溶湯m中に偏析が生じるのを防止できるからである。
また、この「アルミニウム合金溶湯調製工程」では、必要に応じてフラックスによる脱滓やAr(アルゴン)処理による脱ガス処理を行なう。
また、この「アルミニウム合金溶湯調製工程」では、必要に応じてフラックスによる脱滓やAr(アルゴン)処理による脱ガス処理を行なう。
「金型への溶湯注湯工程」は、上記アルミニウム合金の液相線温度以上に予熱した有底円筒状の金型10を図示しない金型搬送手段(鋳造機)にセットし、この金型10に上記アルミニウム合金溶湯mを柄杓14などで汲み取って注湯する工程である(図1参照)。
ここで、金型10をアルミニウム合金の液相線温度以上に予熱する理由は、上記「アルミニウム合金溶湯調製工程」でアルミニウム合金溶湯mを液相線温度よりも150℃以上高い温度で保持する理由と同じで、本工程での作業に多少手間取って時間が掛かり、アルミニウム合金溶湯mが不所望に空冷されたとしても、該溶湯m中に偏析が生じるのを防止するためである。なお、金型10の予熱温度は、アルミニウム合金の液相線温度よりも100℃以上高い温度にする方がより好ましい。また、この金型10を予熱する前に、必要に応じて、該金型10の内面に離型剤を塗布するようにしてもよい。
そして、金型10へのアルミニウム合金溶湯mの注湯が完了したら、金型搬送手段によって金型10が水槽12まで搬送され、直ちに次の「急冷工程」が実行される。
ここで、金型10をアルミニウム合金の液相線温度以上に予熱する理由は、上記「アルミニウム合金溶湯調製工程」でアルミニウム合金溶湯mを液相線温度よりも150℃以上高い温度で保持する理由と同じで、本工程での作業に多少手間取って時間が掛かり、アルミニウム合金溶湯mが不所望に空冷されたとしても、該溶湯m中に偏析が生じるのを防止するためである。なお、金型10の予熱温度は、アルミニウム合金の液相線温度よりも100℃以上高い温度にする方がより好ましい。また、この金型10を予熱する前に、必要に応じて、該金型10の内面に離型剤を塗布するようにしてもよい。
そして、金型10へのアルミニウム合金溶湯mの注湯が完了したら、金型搬送手段によって金型10が水槽12まで搬送され、直ちに次の「急冷工程」が実行される。
「急冷工程」は、上述した水槽12を用いて金型10に注湯したアルミニウム合金溶湯mを偏析が生じないように急冷・凝固(固化)させる工程である(図2参照)。
この「急冷工程」では、冷却水wとして、上述したように常温のものを用いる。このように常温の冷却水wを用いることにより、「急冷工程」のランニングコストを抑えることができ、標準試料の製造を経済的に行なうことができるようになる。
また、水槽12に投入する冷却水wの圧力や流量といった冷却水条件は、金型10や水槽12のサイズなどによって適宜設計されるものであるが、例えば内径59mm×高さ400mmの金型10に、350mmの高さまで注湯したアルミニウム合金溶湯mを、内径215mm(200AのJIS規格配管に相当)×高さ410mmの内缶12bを有する水槽12で冷却させる本実施形態では、冷却水条件が圧力0.15MPa、流量20リットル/分に設定される。このような冷却水条件の水槽12に金型10を3分間浸漬することにより、偏析を極小化した状態でアルミニウム合金溶湯mの凝固が完了し、標準試料の基になる地金が完成する。
そして、完成した地金の温度が作業員のハンドリングできる温度にまで低下すると、最後の「切断仕上げ工程」が実行される。
この「急冷工程」では、冷却水wとして、上述したように常温のものを用いる。このように常温の冷却水wを用いることにより、「急冷工程」のランニングコストを抑えることができ、標準試料の製造を経済的に行なうことができるようになる。
また、水槽12に投入する冷却水wの圧力や流量といった冷却水条件は、金型10や水槽12のサイズなどによって適宜設計されるものであるが、例えば内径59mm×高さ400mmの金型10に、350mmの高さまで注湯したアルミニウム合金溶湯mを、内径215mm(200AのJIS規格配管に相当)×高さ410mmの内缶12bを有する水槽12で冷却させる本実施形態では、冷却水条件が圧力0.15MPa、流量20リットル/分に設定される。このような冷却水条件の水槽12に金型10を3分間浸漬することにより、偏析を極小化した状態でアルミニウム合金溶湯mの凝固が完了し、標準試料の基になる地金が完成する。
そして、完成した地金の温度が作業員のハンドリングできる温度にまで低下すると、最後の「切断仕上げ工程」が実行される。
「切断仕上げ工程」は、上記の「急冷工程」で完成した地金を所定のサイズに切り分けて製品として完成させる工程である。本実施形態では、金型10から取り出した地金の先端(金型の底面側)から15mmの部分を切り出して地金の長手方向における均質性チェック用のサンプルとし、その後、地金を長手方向に50mmずつ切断して4個の短円柱状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料を得る。
次に、以上のような方法で製造した発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の均質性の検討結果について説明する。
表1は、上述の方法で製造した発光分光分析用Al−Si−Cu系合金標準試料について同一分析面の別の箇所を連続8点(実施例1〜8)分析した結果である。
表1は、上述の方法で製造した発光分光分析用Al−Si−Cu系合金標準試料について同一分析面の別の箇所を連続8点(実施例1〜8)分析した結果である。
一方、表2は、Al−Si−Cu系合金で構成された市販のキノコ型標準試料を購入し、同一分析面の別の箇所を連続8点(比較例1〜8)分析した結果である。
これらの表が示すように、特にCV値(変動係数)同士を比較した場合、市販のキノコ型標準試料よりも本実施形態の短円柱状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の方が優れた均質性を有することが窺える。
なお、この結果は、同一の分析面における均質性を示すのもであるが、本実施形態の短円柱状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料は、厚さ方向における測定結果でもCV値が1.5以下と、標準試料として必要十分な均質性を有している。
なお、この結果は、同一の分析面における均質性を示すのもであるが、本実施形態の短円柱状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料は、厚さ方向における測定結果でもCV値が1.5以下と、標準試料として必要十分な均質性を有している。
なお、上述の実施形態では、水槽12として外缶12aと内缶12bとで構成された二重缶構造のものを示したが、この水槽12は、上記の二重缶構造のものに限定されるものではなく、常温の冷却水wが満たされた水槽12であって、該水槽12の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローするものであれば如何なる態様であってもよい。
10…金型
12…水槽
12a…外缶
12b…内缶
m…アルミニウム合金溶湯
12…水槽
12a…外缶
12b…内缶
m…アルミニウム合金溶湯
Claims (2)
- 目標とする標準試料の合金成分に調製したアルミニウム合金溶湯(m)を準備し、
上記アルミニウム合金の液相線温度以上に予熱した有底円筒状の金型(10)に、上記アルミニウム合金溶湯(m)を注湯し、
然る後、直ちに、常温の冷却水(w)が満たされた水槽(12)であって、該水槽(12)の底部から上部に向けて渦巻状に水流が形成され、且つその水流がオーバーフローする水槽(12)に、上記の金型(10)を浸漬して上記アルミニウム合金溶湯(m)を急冷凝固させ、
急冷凝固して得られた円柱状の金属体を所定の長さに切断する、
ことを特徴とする発光分光分析用アルミニウム合金標準試料の製造方法。 - 請求項1に記載の方法で製造された短円柱状の発光分光分析用アルミニウム合金標準試料。
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